JP2005011958A - 光電変換素子の電流電圧特性の測定方法及び測定装置 - Google Patents

光電変換素子の電流電圧特性の測定方法及び測定装置 Download PDF

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

【課題】測定対象である積層型光電変換素子の面積にかかわらず、低コストの測定装置を用いて正確に積層型光電変換素子の出力特性を測定する。
【解決手段】異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、光電変換素子の電流電圧特性を測定するときに、合成光の分光分布を所定の時間内で変動させ、複数の半導体接合部の各々において、合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定し(S050)、短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて(S060)、合成光の照射による光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定し(S080)、出力電圧及び出力電流の少なくとも一方を変化させるようにし(S090)、短絡電流の比率の推定、出力電圧及び出力電流の測定、出力電圧又は出力電流の変化を複数回繰り返し、得られた測定値に基づいて、光電変換素子の電流電圧特性を求める(S140)。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光電変換素子の測定方法及び測定装置に関し、特に、太陽電池、フォトダイオード、光センサー、電子写真感光体等で使用される、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
分光感度の異なる光電変換層を複数積み重ねた構造の光電変換素子は、光入射側の光電変換層で吸収しきれなかった波長の光を別の光電変換層で吸収することによって、光電変換素子を高出力化または高感度化することができる。そのため、このような、いわゆる積層型光電変換素子が、盛んに開発されている。
【0003】
ところで、積層型光電変換素子の出力特性を正確に測定することは、以下のような理由から非常に重要である。
【0004】
例えば、最大出力が重要な積層型光電変換素子を製造して出荷する場合、検査において最大出力が定格値に満たないものは不良品となるが、正確な出力測定ができなければ、出荷する積層型光電変換素子の最大出力を保証することができない。また、出力測定の誤差が大きく測定装置の状態によって変化すると、同じ品質の積層型光電変換素子を製造していても、検査のしきい値が変化してしまうので、製造の歩留まりが不安定になってしまう。さらに、出荷品の品質を保証するため、出力測定の誤差分を検査のしきい値に上乗せすると、製造の歩留まりが低下してしまう。
【0005】
また、上記積層型光電変換素子を利用したシステムを構築する場合、積層型光電変換素子の出力を正確に予測できないと、システム全体の誤差が大きくなったり、システムの効率が低下したりする。
【0006】
具体的には、例えば太陽電池の場合、積層型太陽電池の最大出力の保証、製造の歩留まり、積層型太陽電池を用いた発電システムの発電予測、システム効率などに大きな影響が出る。
【0007】
しかしながら、積層型光電変換素子の出力特性を正確に測定することは、非常に困難であった。
【0008】
正確な出力測定が困難である理由の最たるものは、照射する光のスペクトルによって、積層型光電変換素子の出力特性が大きく変化するからである。
【0009】
具体的には、例えば2つの半導体接合部を積み重ねて直列に接続したダブル型太陽電池(以下、ダブルセルと称する)の場合について説明する。光入射側の半導体接合部をトップセル、反対側の半導体接合部をボトムセルとした場合、それぞれのセルの短絡電流は、セルの分光感度が異なるため、照射する光のスペクトルによって変化する。その結果、ダブルセル全体の短絡電流と曲線因子と開放電圧が変化して、ダブルセルの出力特性が大きく変化してしまう。
【0010】
これに対し、単一の半導体接合部からなる単層型太陽電池(以下、シングルセルと称する)の場合、照射する光のスペクトルによって変化するのは、短絡電流のみであり、曲線因子と開放電圧はほとんど影響を受けないので、短絡電流のスペクトルによる影響を補正すれば、ほぼ正確な出力特性を測定することができる。
【0011】
以上のように、積層型光電変換素子の出力特性は、照射する光のスペクトルによって大きく影響を受ける。
【0012】
一般に、光電変換素子の出力特性を正確に測定するためには、照射する光の強度とスペクトルと光電変換素子の温度等の試験条件を規定する必要がある。例えば、太陽電池の場合は、このような試験条件は、基準状態(Standard Test Condition、STCとも称する)として、JIS C 8960に、
太陽電池の温度:25℃
照射する光の分光放射照度分布(スペクトル):基準太陽光
(基準太陽光は、JIS C 8911に規定されており、図14に示すようなスペクトルを有している。)
照射する光の放射照度:1000W/m
と規定されている。
【0013】
屋外において基準太陽光の得られる条件で光電変換素子の出力特性を測定する方法は、基準太陽光法と呼ばれ、積層型光電変換素子であっても正確な測定が可能である。しかしながら、上記の基準状態の内、基準太陽光のスペクトルを得ることは、屋外で太陽光を用いても非常に困難である。これは、基準太陽光の得られる気象条件が、非常に限られるからである。例えば、日本で基準太陽光の得られる気象条件は、年間数日しかないと言われている。
【0014】
従って、基準太陽光法は、正確な測定が可能であるものの、その実施は非常に困難であり、測定頻度が極端に少ないことから実用性に問題がある。一方、屋内で擬似太陽光光源を用いる場合には、基準太陽光のスペクトルを得るのは、ほとんど不可能である。
【0015】
ところで、シングルセルの場合は、擬似太陽光光源(ソーラーシミュレータ)をスペクトルと放射照度の場所むら、時間変動率によって、基準太陽光に近い状態から順にA、B、Cに等級分けしており(具体的には、JIS C 8912、JIS C 8933に記載されている)、等級AまたはBのソーラーシミュレータを用い、測定対象の太陽電池と分光感度の近い二次基準太陽電池を用いて、ソーラーシミュレータの放射照度を設定することによって、スペクトルの基準太陽光からのずれによる誤差を補正している。これは例えば、JIS C 8913、JIS C 8934に記載されている。このような方法は、シングルセルでは、スペクトルの影響がほぼ短絡電流のみであるので可能となる。
【0016】
しかしながら、積層型太陽電池の場合は、スペクトルの影響が短絡電流のみならず曲線因子と開放電圧にも及ぶので、上述の方法では、出力特性を正確に測定することができない。そのため、上述のJIS規格の適用範囲から、積層型太陽電池は除外されている。
【0017】
そこで、積層型太陽電池を正確に測定する方法として、以下のような方法が開示されている。
【0018】
この方法は、マルチソース法とも呼ばれ、積層型太陽電池を測定するときの疑似太陽光のスペクトルを調整可能にし、スペクトルを調整することによって、積層型太陽電池が基準太陽光の下で発生すると推定される短絡電流と曲線因子の値を得て、出力特性を正確に測定する方法である。このようなマルチソース法は、例えば、T.Glatfelter and J.Burdick,19th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,1987,pp1187−1193(非特許文献1)に記載されている。
【0019】
すなわち、積層型太陽電池を構成する、複数の光電変換機能を有する半導体接合部の各々をコンポーネントセルとし、各コンポーネントセルが、積層型太陽電池の内部で、基準太陽光の下で発生する短絡電流をIn,ref(nは各コンポーネントセルの番号)とし、疑似太陽光の下で発生する短絡電流をIn,testとすれば、各コンポーネントセルに対し、
In,test=In,ref …(1)
となるように疑似太陽光の放射照度とスペクトルを調整することによって、積層型太陽電池の短絡電流と曲線因子が基準太陽光の下での値に一致すると推定される。
【0020】
このマルチソース法においては、疑似太陽光のスペクトルを調整できるソーラーシミュレータを用いることを前提としている。各コンポーネントセルの短絡電流を調整するため、前述の非特許文献1においては、Xeランプ1つと、ハロゲンランプ2つを用い、3つの光源の光をフィルタによって3つの波長帯域に分けた後、合成している。そして3つの光源の放射照度をそれぞれ調整することで、3つの波長帯域の光の強度を制御して合成された光のスペクトルを調整している。
【0021】
ところで、近年、上述の光電変換素子の実用化が進むにつれて、受光面積の大きな光電変換素子の電流電圧特性を、太陽光の標準的な放射照度である1000W/m程度の放射照度の下で測定する必要が増している。
【0022】
しかるに、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を光照射下で測定するためには、1000W/m程度の強度の光を、大面積に均一に照射する必要がある。人工的な光源を利用する場合、そのためには、例えば照射面積1mあたり数十kw程度の大電力の放電灯が必要となる。しかしながら、そのような大電力の放電灯で定常光を発生させるには、大電力を定常的に供給せねばならないことから、非常に大規模な設備が必要であり、現実的ではない。
【0023】
そこで、定常光ではなく、パルス光を発生させることによって、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法が知られている。パルス光を発生させる疑似太陽光光源としては、正確な定義はないが、一般的に、パルス光の持続時間がおおよそ20msec以上のものがロングパルスソーラシミュレータ、持続時間が数msecのものがショートパルスソーラシミュレータと呼ばれている。パルス光によって、光電変換素子の電流電圧特性を測定する場合は、定常光の場合のような測定中の光電変換素子の温度上昇の問題がほとんどなく、温度補正をほとんど必要としないという長所もある。
【0024】
以上のようなパルス型ソーラシミュレータにおいて、積層型光電変換素子を測定するために、複数のパルス光源を備えたものが、米国特許第6154034号明細書(特許文献1)に開示されている。該特許文献のパルス型ソーラシミュレータでは、積層型光電変換素子の、各々のコンポーネントセルの分光感度に応じて、スペクトルを調整することができる。この文献に記載されたパルス型ソーラシミュレータは、前述のマルチソース法を、パルス型ソーラシミュレータに応用したものと言える。
【0025】
【非特許文献1】
T.Glatfelter and J.Burdick,19th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,1987,pp1187−1193
【特許文献1】
米国特許第6154034号明細書
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ソーラシミュレータの光が定常光であっても、パルス光であっても、複数の光源によってスペクトルを調整する場合、複数の光源各々の光強度を独立に制御できるようにする必要がある。そのためには、各光源ごとに光強度を制御する構成が必要である。そのため、マルチソース法によるソーラシミュレータは構成が複雑となり、調整が煩雑で、制御に熟練を要する。また、各光源ごとに制御部分を備える必要があるため、装置の構成が複雑となってコストも非常に高価なものとなる。
【0027】
さらに、上記のマルチソース法によるソーラシミュレータにおいて、合成された疑似太陽光のスペクトルを良好なスペクトルに調整するためには、各光源ごとの光強度を、±1%以下の高い精度で制御する必要がある。
【0028】
ここで、光源が定常光であれば、各光源による各々の光の時間安定性を向上させるように、複雑な電源と複雑な制御機構を併用することにより、各光源ごとの光強度を、±1%以下の高い精度で制御することが可能である。しかしながら、上述のように定常光では、照射する面積に実質的な限界がある。
【0029】
一方、光源がパルス光の場合は、一般的にパルス光は光強度の再現性に2〜3%のバラツキがあることが多いので、±1%以下の高精度で各光源ごとの光強度を制御することは非常に困難である。
【0030】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、上述した問題点を解決し、測定対象である積層型光電変換素子の面積にかかわらず、モジュールあるいはアレイ等の大面積のものでも測定でき、低コストの測定装置を用いながら、正確に積層型光電変換素子の出力特性を測定することのできる方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の一態様としての光電変換素子の電流電圧特性の測定方法は、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子に、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法であって、
前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる工程と、
前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する工程と、
前記短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて、前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する工程と、
前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる工程と、
前記推定する工程、前記測定する工程、及び前記変化させる工程を複数回繰り返す工程と、
前記繰り返す工程で得られた測定値に基づいて、前記光電変換素子の電流電圧特性を求める工程と、を備えている。
【0032】
すなわち、本発明では、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子に、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、光電変換素子の電流電圧特性を測定するときに、合成光の分光分布を所定の時間内で変動させ、複数の半導体接合部の各々において、合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定し、短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて、合成光の照射による光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定し、出力電圧及び出力電流の少なくとも一方を変化させるようにし、短絡電流の推定、短絡電流の測定、及び出力電圧又は出力電流を変化させるのを複数回繰り返し、得られた測定値に基づいて、光電変換素子の電流電圧特性を求める。
【0033】
このようにすると、合成光が、常に短絡電流の比率が所定の値を満たすように制御されていない状態であっても、光電変換素子の電流電圧特性を基準太陽光の下で測定するのと同様に正確に測定することができる。
【0034】
また、合成光の調整方法が簡略化されるので、測定の制御性が向上すると共に、操作者の違いによる測定誤差を小さくすることができる。
【0035】
また、従来の屋内での測定方法では困難であった、例えば、1m×1m以上の大面積の光電変換素子についても正確な電流電圧特性の測定が可能となる。
【0036】
また、照射光としてパルス光を用いる場合であっても、積層型光電変換素子の電流電圧特性を基準太陽光の下で測定するのと同様に正確に測定することができる。
【0037】
更に、本発明により、正確な電流電圧特性が得られることによって、光電変換素子の製造工程の歩留まりを安定させ、製品における出力を一層確実に保証することが可能となる。
【0038】
また、合成光として、1000W/mの放射照度を中心として、光電変換素子の短絡電流の放射照度に対する直線性が保たれる範囲において、複数の半導体接合部の各々における短絡電流の比率が、所定の値となるような合成光を照射すると、放射照度補正による補正誤差が少なくなるので、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。
【0039】
また、合成光を、光電変換素子の温度が2℃上昇するまでの間に、複数の半導体接合部の各々における短絡電流の比率が所定の値に、少なくとも30回以上等しくなるように分光分布を変動させるようにすると、温度補正による補正誤差が少なくなり、電流電圧特性曲線を形成する測定点が十分な点数になるので、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。
【0040】
また、測定時間内での複数の半導体接合部の各々の短絡電流の比率の変化が、基準太陽光を照射した場合の比率に対して±2%以内であると、1点1点の出力電圧と出力電流の測定が正確になり、積層型光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。
【0041】
また、出力電圧を段階的に変化させ、電圧を設定してから、測定を開始するまでの時間が、光電変換素子の充放電の時定数の4倍以上であるようにすると、測定中の電圧値及び電流値の充放電による変動が無視できるほど少なくなり、1点1点の出力電圧と出力電流の測定が正確になり、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。
【0042】
また、上記目的を達成する本発明の別の態様としての光電変換素子の電流電圧特性の測定方法は、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子に、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法であって、
前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる工程と、
前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する工程と、
前記推定された短絡電流の比率を記録する工程と、
前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する工程と、
前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる工程と、
前記推定する工程、前記記録する工程、前記測定する工程、及び前記変化させる工程を、前記所定の時間よりも短い時間で複数回繰り返す工程と、
前記繰り返す工程で得られた測定値のうち、前記記録された短絡電流の比率が所定の範囲内にあることを条件として測定値を選択する工程と、
前記選択された測定値に基づいて、前記光電変換素子の電流電圧特性を求める工程と、を備えている。
【0043】
この態様では、合成光の分光分布を所定の時間内で変動させ、複数の半導体接合部の各々において、合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定し、推定された短絡電流の比率を記録し、合成光の照射による光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定し、出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させるようにし、短絡電流の推定、短絡電流の記録、出力電圧及び出力電流の測定、及び出力電圧又は出力電流を変化させるのを所定の時間よりも短い時間で複数回繰り返し、得られた測定値のうち、記録された短絡電流の比率が所定の範囲内にあることを条件として測定値を選択し、選択された測定値に基づいて、光電変換素子の電流電圧特性を求める。
【0044】
このようにすると、上記の効果に加え、半導体接合部の各々の短絡電流の比率をその時点その時点で判定しなくても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定することができるという効果が得られる。
【0045】
また、電変換素子の近傍に設けられ、複数の半導体接合部の各々の分光感度に近似した分光感度を有する複数のモニタリングセルの短絡電流の比率から、短絡電流の比率を推定するようにすると、半導体接合部の各々の短絡電流の比率の推定が正確になり、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。
【0046】
更に、上記目的を達成する本発明の更に別の態様としての光電変換素子の電流電圧特性の測定装置は、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子の電流電圧特性を測定する装置であって、
異なる分光分布を有する2以上の光を合成して合成光を得る手段と、
前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる手段と、
前記光電変換素子に前記合成光を照射する手段と、
前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する手段と、
前記短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて、前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する手段と、
前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる手段と、を備えている。
【0047】
更にまた、上記目的を達成する本発明の更に別の態様としての光電変換素子の電流電圧特性の測定装置は、複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子の電流電圧特性を測定する装置であって、
異なる分光分布を有する2以上の光を合成して合成光を得る手段と、
前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる手段と、
前記光電変換素子に前記合成光を照射する手段と、
前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する手段と、
前記推定された短絡電流の比率を記録する手段と、
前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する手段と、
前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる手段と、
前記測定お擦る手段によって測定された測定値のうち、前記記録された短絡電流の比率が所定の範囲内にあることを条件として測定値を選択する手段と、を備えている。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0049】
なお、本明細書では、複数の半導体接合部が積み重ねられた構造を有する光電変換素子を積層型光電変換素子と称する。
【0050】
まず、図1、図2、図3、図4を参照して、本発明に係る測定装置の基本的構成及び該装置による測定方法を詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明に係る測定装置の一実施形態の構成を模式的に示す図である。図1において、101は第一の光源、102は第一の楕円ミラー、103は第一の光源用の電源、104は第二の光源、105は第二の楕円ミラー、106は第二の光源用の電源、107はハーフミラー、108はフィルタ、109はインテグレータ、110はシャッター、111は平面ミラー、112はコリメーターレンズ、113は測定対象である積層型光電変換素子、114は第一のモニタリングセル、115は第二のモニタリングセル、116は光照射面、117は第一の部分短絡電流検出手段、118は第二の部分短絡電流検出手段、119は積層型光電変換素子の電圧検出手段、120は積層型光電変換素子の電流検出手段、121は積層型光電変換素子の電圧可変手段、122は部分短絡電流比較制御手段、123は計測制御/データ処理手段である。
【0052】
なお、図1において、点線は照射光の光路、実線は素子を測定する部分の電気的な接続、破線はデータ及び計測制御信号のやり取りの経路、矢印付き一点鎖線はトリガ信号または制御命令の流れを、それぞれ示している。
【0053】
ここで、部分短絡電流とは、測定対象の積層型光電変換素子を構成する複数の半導体接合部の各々で、光照射の際に発生する短絡電流を指す。しかしながら、これらの短絡電流の各々を分離して検出することは困難であるため、後述する複数のモニタリングセルによって、複数の半導体接合部の各々が発生する短絡電流に相当する短絡電流を擬似的に検出する。この場合、複数のモニタリングセルの各々が出力する短絡電流を部分短絡電流と呼ぶことにする。
【0054】
本実施形態では、以上のような構成において、複数の半導体接合部が積み重ねられた積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定するときに、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射する。
【0055】
図1において、例えば、第一の光源101として短波長光の光源、第二の光源104として長波長光の光源を用いる。第一の光源101から出射した光は、楕円鏡102で集光され、ハーフミラー107で反射される。一方、第二の光源104から出射した光は、楕円鏡105で集光され、ハーフミラー107を透過する。ここで、例えば、ハーフミラー107として、多層膜による干渉作用を利用した、いわゆるコールドミラーを用いれば、第一の光源101の短波長光を反射し、第二の光源104の長波長光を透過して、両光源の光を合成することができる。合成された光は、所望に応じて選択されるフィルタ108を透過して、シャッター110で制御され、インテグレータ109を通り、平面ミラー111で反射され、コリメーターレンズ112で平行光に近い状態に整えられて、光照射面116に入射する。
【0056】
以上のようにして合成光を照射した状態で、積層型光電変換素子113の電流電圧特性を測定する。ここで、モニタリングセルを図1には2つ示しているが、実際には積層型光電変換素子113の積み重ねられた半導体接合部の数に応じた数のモニタリングセルを用意する。モニタリングセル114、115は、例えば、積層型光電変換素子113が2つの半導体接合部が積み重ねられたいわゆるダブルセルの場合、それぞれの半導体接合部をトップセルとボトムセルとすれば、トップセルとボトムセルの分光感度に近似した分光感度をそれぞれ有する。モニタリングセル114、115によって、合成された光のトップセルの感度波長領域の光とボトムセルの感度波長領域の光が、それぞれ光電変換され、部分短絡電流検出手段117、118によって、それぞれの波長領域の光による部分短絡電流I1、I2が検出される。
【0057】
ここで、光照射面116内の分光放射照度分布の場所むらは、測定に支障がない程度に小さいことを前提とする。特に、モニタリングセル114、115と積層型光電変換素子113の間の分光放射照度分布の場所むらは、I2/I1−1の値で表現すれば、好ましくは、±2%、より好ましくは、±1%の範囲内にあることが望ましい。このように、モニタリングセルと積層型光電変換素子とにおける分光放射照度分布の場所むらが小さいと、積層型光電変換素子の電流電圧特性が、より正確になる。
【0058】
検出された部分短絡電流は、部分短絡電流比較制御手段122において比較されて、トップセルとボトムセルの短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に等しいと推定された時に、電圧検出手段119と電流検出手段120に測定開始の制御命令またはトリガ信号を出す。また、電圧可変手段121に、次の設定電圧に設定する制御命令またはトリガ信号を出す。
【0059】
図2は、短絡電流の比率の変化と電圧測定、電流測定、電圧設定のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。図2において、横軸は、時間tを示し、各グラフは、上段から、波長領域別の部分短絡電流I1及びI2の比であるI2/I1、電圧測定信号、電流測定信号、及び電圧設定信号の時間的変化をそれぞれ示している。
【0060】
図3は、本実施形態における測定方法の一例を工程順に説明した、フローチャートである。
【0061】
以下、図2のタイミングチャートを参照しながら、図3のフローチャートを用いて、本実施形態の測定方法における各工程について順に詳細に説明する。
【0062】
まず測定を開始する前に、図3のステップS010において、上述したように、予め、分光分布が所定の時間内で変動する合成光とモニタリングセルを準備しておく。
【0063】
測定開始後、ステップS020において、合成光を測定対象の積層型光電変換素子に照射する。この時、定常光であればシャッターを開にする。また、パルス光であればパルス発光を開始させても良いし、シャッターを併用しても良い。
【0064】
次に、ステップS030において、電圧可変手段121によって、積層型光電変換素子の電圧Vを測定開始時の電圧(V=V1)に設定する。
【0065】
次に、ステップS040において、上述したように、モニタリングセル114及び115と、部分短絡電流検出手段117及び118によって、それぞれの半導体接合部が分光感度を有する波長領域の光による部分短絡電流I1及びI2を検出する。ここで、好ましくは、部分短絡電流I1及びI2は、アナログ量として連続的に検出することが望ましい。こうすることによって、実際の部分短絡電流の変動に対する検出量I1及びI2の変動の遅れが、モニタリングセルの光応答性による時間だけとなり、積層型光電変換素子の電流電圧特性の測定上無視できるほど小さくなるので、測定した電流電圧特性が、より正確となる。また、部分短絡電流I1及びI2の検出をデジタル量として検出する場合には、検出のための測定時間tLは、I2/I1の変化(周期)に対して十分に短い測定時間とし、繰り返し継続的に測定することが望ましい。
【0066】
次に、ステップS050において、部分短絡電流比較制御手段122によって、上記I1及びI2のデータを比較する。
【0067】
ここで、基準太陽光の下でのI2/I1の値をKとすれば、式
I2/I1=K …(2)
を満たしたとき、トップセルとボトムセルの短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に等しいと推定される。
【0068】
次に、ステップS060において、上述の式(2)を満たすかどうか判定し、満たしていると判定された場合には、次のステップS070に進み、満たしていないと判定された場合には、前述のステップS040に戻る。
【0069】
ここで、部分短絡電流I1及びI2の検出をデジタル量として検出する場合は、検出されたI1及びI2の値は、離散的な値となる。ところが、一般に測定量には、様々な誤差要因が含まれるので、I2/I1の値とKとが、測定の不確かさの範囲内に含まれれば、式(2)を満たすと判定して良い。例えば、測定の不確かさが、±2%と推定される場合には、以下の式
0.98≦I2/I1/K≦1.02 …(3)
を満たす時に、式(2)を満たすと判定する。また、測定の不確かさが、±1%と推定される場合には、以下の式
0.99≦I2/I1/K≦1.01 …(4)
を満たす時に、式(2)を満たすと判定する。
【0070】
次に、ステップS070において、後述する式(7)を満たすかどうか判定し、満たすと判定された場合には次のステップS080に進み、満たしていないと判定された場合には、前述のステップS040に戻る。なお、このステップは、後述するように省略することもできる。
【0071】
次に、ステップS080において、部分短絡電流比較制御手段122から、電圧検出手段119と電流検出手段120に、同時に、測定開始を指示する制御命令またはトリガ信号を出力し、積層型光電変換素子の電圧と電流を測定させる。
【0072】
次に、ステップS090において、部分短絡電流比較制御手段122から、電圧可変手段121に、次の設定電圧への設定を指示する制御命令またはトリガ信号を出力する。ここで、計測制御/データ処理手段123によって、予め、測定する積層型光電変換素子の開放電圧に応じて、所望の点数の設定電圧のデータ(V1,V2,…,Vn)を計算し、その順に電圧可変手段121を制御するようにするのが望ましい。
【0073】
以下、ステップS080とステップS090の工程での処理を、図2を参照して詳述する。
【0074】
I2/I1の値が、上記式(2)を満たしたと判定された時点(t=t1)で、部分短絡電流比較制御手段122から、電圧検出手段119と電流検出手段120に、同時に、測定開始を指示する制御命令またはトリガ信号がそれぞれ出力される。図2ではこのタイミングを、時間t=t1上の一点鎖線で示しており、電圧検出手段119に出力される測定開始を指示する信号をVmeasure、電流検出手段120に出力される測定開始を指示する信号をImeasureで示している。また、同時に、部分短絡電流比較制御手段122から、電圧可変手段121に、次の設定電圧(V=V2)に設定するよう指示する制御命令またはトリガ信号が出力される。
【0075】
この時、電圧検出手段119と電流検出手段120が、メモリー機能を有するものであれば、好ましくは、トリガ信号Vmeasure及びImeasureに対して、図2に示したように、時間pだけプリトリガをかけることが望ましい。また、電圧検出手段119と電流検出手段120の測定時間は、等しいことが望ましく、電圧測定と電流測定の時間(データ測定の積分時間)をmとすれば、好ましくは、時間pは、トリガ信号全体の幅を示す時間m未満であることが望ましく、最適には、以下の式
p=m/2 …(5)
を満たすことが望ましい。
【0076】
ここで、使用する機器の機能によっては、プリトリガをかける時間pの分解能が不足することがある。その場合は、式(5)の両辺は、必ずしも等しくなくてもよく、設定可能な時間分解能の範囲で近似しておれば良い。また、部分短絡電流I1及びI2の検出をデジタル量として検出する場合には、測定の積分時間mは、電圧測定と電流測定の時間に、部分短絡電流検出のための測定時間tLを加えたものとすることが望ましい。
【0077】
以上のごとくプリトリガをかけることによって、測定の積分時間mの間に、I2/I1の値が変化しても、その間のI2/I1の平均値が、プリトリガをかけない場合に比べて、所定の値Kに近くなるので、電流電圧特性をより正確に測定することができる。また、式(5)を満たすことによって、式(2)を満たす時点の前後のI2/I1の値の変動が相殺されて、測定の積分時間mの間のI2/I1の平均値が、所定の値Kにさらに近くなるので、電流電圧特性が一層正確に測定できる。
【0078】
また、上記のプリトリガがかけられない場合には、測定の積分時間mの経過中のI2/I1の値が式(3)を満たすことが望ましく、式(4)を満たすことがより望ましい。それによって、プリトリガが、かけられない場合であっても、電流電圧特性が正確に測定できる。
【0079】
また、電圧可変手段121に、次の設定電圧への設定を指示する制御命令またはトリガ信号を出力してから、電圧可変手段が設定電圧の変更を開始する、すなわち、図2においてVsetがハイレベルとなるまでの間に、遅延時間dを設けることが望ましい。この時、遅延時間dと測定の積分時間mとプリトリガ時間pとが、以下の式
d>m−p …(6)
を満たすことが望ましい。このようにすると、電圧測定と電流測定の終了した後に、次の設定電圧への電圧変更を開始することを確実にすることができる。ただし、プリトリガがかけられない場合は、p=0とする。
【0080】
また、図2に示したように設定電圧の変更開始後、次に、式(2)を満たす時点(t=t2)までの時間をiとし、積層型光電変換素子の充放電の時定数をτとすれば、以下の式
i≧4×τ+p …(7)
を満たすことが、望ましい。このようにすると、積層型光電変換素子の設定電圧の変化に対する過渡的応答による電圧測定と電流測定の誤差を排除することができ、電流電圧特性をより正確に測定することができる。また、合成光の分光分布の変動の周期が短く、式(7)を満たすことができない場合、ステップS040に戻るようにして、その時点の電圧測定、電流測定及び電圧設定を指示する制御命令またはトリガ信号を、部分短絡電流比較制御手段122が出力しないようにすれば、式(7)を満たすようにすることができる。
【0081】
なお、I2/I1の変動の周期が、式(7)の右辺4×τ+pの値より、十分に大きいことが分かっている場合は、ステップS070を省略することができる。
【0082】
次に、ステップS100において、測定した積層型光電変換素子の電圧及び電流のデータ対が、所望の測定点数nに達したかどうか判定する。所望の測定点数nに達していないと判定された場合、ステップS040に戻る。具体的には、最初に式(2)を満たす時点(図2におけるt=t1)から、n番目に式(2)を満たす時点(図2におけるt=tn)まで、ステップS040からステップS090までの処理をn回繰り返すことによって、所望の点数nの積層型光電変換素子の電圧及び電流のデータ対が得られる。
【0083】
一方、ステップS100において所望の測定点数nに達したと判定された場合、ステップS110において、設定電圧を、待機電圧(Vreset)に設定する。
【0084】
次に、ステップS120において、計測制御/データ処理手段123によって、上述の工程で得られた、n点の積層型光電変換素子の電圧及び電流のデータ対を取得する。
【0085】
次に、ステップS130において、取得したn点の電圧及び電流のデータ対を記憶手段に保存する。この時、必要に応じて、適宜データを補正処理し、補正後のデータを保存しても良い。ここで、補正処理の具体的な例としては、電圧及び電流のデータ対の温度補正と照度補正による基準状態への補正がある。例えば、積層型光電変換素子の電流電圧特性測定中の温度が、25±2℃の範囲外であった場合は、データを温度補正する必要がある。また、放射照度が、1000±10W/mの範囲外であった場合は、データを照度補正する必要がある。補正方法は、例えば、JIS C 8913の6.1に記載された公知の補正式を用いて、補正することができる。
【0086】
また、ここで同時に、モニタリングセルの部分短絡電流のデータ、電流電圧特性測定中の積層型光電変換素子の温度のデータ等、他の測定データも取得し、電圧及び電流のデータと伴に保存しても良い。なお、照度補正に用いる放射照度用のデータとしては、モニタリングセルによる部分短絡電流のデータを用いても良いし、モニタリングセルと別に基準光電変換素子を準備して、該基準光電変換素子の短絡電流を、電圧及び電流のデータ対の測定と同じタイミングで測定したデータを用いてよい。
【0087】
次に、ステップS140において、取得された電圧及び電流のデータは、計測制御/データ処理手段123において、必要に応じて、適宜ソフトウェアで処理され、積層型光電変換素子の電流電圧特性を表示する。この場合、必要に応じて、補正された電圧及び電流のデータ対、(I1,V1),(I2,V2),…,(In,Vn)を直線または近似曲線で結べば、電流電圧特性曲線(IVカーブ)が得られる。また、電流電圧特性から、公知の算出方法により、最大出力(Pmax)、光電変換効率(η)、開放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)、曲線因子(FF)、最大出力動作電圧(Vpm)、最大出力動作電流等(Ipm)等の積層型光電変換素子の出力特性の各パラメータを計算することができる。
【0088】
以上の工程を実行することにより、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態による積層型光電変換素子の電圧及び電流の測定では、常に、上記式(2)を満たす状態、すなわち積み重ねられた各々の半導体接合部の短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に実質的に等しい場合にのみ測定されているので、基準太陽光の下で測定した特性と同等に正確な電流電圧特性を得ることができる。
【0090】
(変形例)
ところで、上述した、電圧測定と電流測定の積分時間m、及び積層型光電変換素子の充放電の時定数τの4倍が、式(2)を満たすある時点と次に満たす時点との時間間隔である(tn−t(n−1))よりも十分に小さい場合、すなわち、次の式
tn−t(n−1)>>m,4×τ …(8)
を満たす場合においては、以下で詳述するように図4のフローチャートに示す工程によって、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定することができる。
【0091】
以下、本実施形態の変形例の測定方法における各工程について図4のフローチャートを参照して順に詳細に説明する。なお、図示されたように、ステップS040までは、上記で図3に関して説明した工程と同様であるので、説明を省略する。
【0092】
ステップS200において、電圧検出手段119と電流検出手段120に、同時に、測定開始を指示する制御命令またはトリガ信号を出力し、積層型光電変換素子の電圧と電流を測定させる。
【0093】
次に、ステップS210において、電圧可変手段121に、次の設定電圧への設定を指示する制御命令またはトリガ信号を出力する。
【0094】
次に、ステップS220において、測定した電圧及び電流のデータ対の数が所定の測定点数mに達したかどうか判定し、達していないと判定された場合には、ステップS040に戻り、ステップS040からステップS210までの処理を繰り返す。これは、すなわち、I2/I1の値に関わらず、積層型光電変換素子の電圧及び電流の測定と設定電圧の変更とをm回繰り返すことを意味する。
【0095】
この時、設定電圧が変更されてから、次の電圧と電流の測定が開始されるまでの時間間隔が時定数τの4倍よりも大きいと、各時点での出力電圧及び出力電流の測定が正確になるので、望ましい。また、ここで、測定点数mは、所望の測定点数nよりも十分大きい数にしておくことが望ましい。
【0096】
ステップS220で、所定の測定点数mに達したと判定された場合には、次のステップS230に進む。次のステップS230では、図3に示したステップS110と同様の処理を行う。
【0097】
次に、ステップS240において、計測制御/データ処理手段123によって、積層型光電変換素子の電圧、電流、及び、I1、I2のm点のデータセットを取得する。
【0098】
次に、ステップS250において、I1及びI2のデータを比較し、ステップS260において、上述の式(2)を満たすかどうかを判定する。
【0099】
式(2)を満たすと判定された場合は、ステップS280で、n点の電圧及び電流のデータ対を記憶手段に保存し、満たさないと判定された場合は、ステップS270で、該当する電圧及び電流のデータを使用しないようにする。
【0100】
すなわち、本変形例では所望の測定点数nよりも十分多い測定点数mのデータを取得しておき、所得した後に、I2/I1の値を調べて、データを取捨選択するようにする。それによって、積層型光電変換素子の電圧及び電流の測定値として、常に、上記式(2)を満たすものが選択されることになる。
【0101】
最後の工程であるステップS290での処理は、図3におけるステップS140での処理と同様である。
【0102】
なお、図4のフローチャートに示した工程では、図1における部分短絡電流比較制御手段122は、計測制御/データ処理手段123によって兼ねられることになる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の変形例による積層型光電変換素子の電圧及び電流の測定では、常に、上記式(2)を満たす状態、すなわち積み重ねられた各々の半導体接合部の短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に実質的に等しい場合に測定されたデータを用いているので、基準太陽光の下で測定した特性と同等に正確な電流電圧特性を得ることができる。
【0104】
<各構成要素の説明>
以下、本発明に係る測定装置の各構成要素について、さらに詳細に説明する。
【0105】
(積層型光電変換素子)
本発明に係る測定方法において、測定対象の積層型光電変換素子(以下、サンプルセルとも称する)は、複数の光電変換機能を有する半導体接合部(以下、コンポーネントセルとも称する)を積み重ねた構造である。積み重ねたコンポーネントセルの各々から電極が取り出されている構造のものは、接合が2つの場合、4端子型と呼ばれる。複数のコンポーネントセルが、直列に接続され、電極が両端だけにある場合、2端子型と呼ばれる。本発明に係る出力特性測定方法は、どちらのタイプにも適用できるが、2端子型に適用したときに特に効果が大きい。
【0106】
積層型光電変換素子のデバイスの種類としては、太陽電池、フォトダイオード、光センサー、電子写真感光体等が挙げられる。
【0107】
半導体接合部の種類としては、pn接合、pin接合、MIS型接合などが挙げられる。
【0108】
半導体材料としては、結晶質、多結晶質、微結晶質、非晶質のものが挙げられ、物質としては、Si、SiC、SiGe、C、Ge等のIV族あるいはIV族化合物、GaAs、AlGaAs、InP、InSb等のIII−V族化合物、ZnSe、ZnO、CdS、CdTe、Cu2S等IIVI族化合物、CuInSe、CuInS等のI−III−VI族化合物、有機半導体等、あるいは上述の化合物の混合物が挙げられる。
【0109】
また、本発明に係る測定方法によれば、例えば、太陽電池の場合、セル、サブモジュール、モジュール、など様々な形態のものを測定することができる。また、セル、サブモジュール、モジュール等を適宜直列あるいは並列に接続した状態のものも測定することができる。
【0110】
ここで、サンプルセルは、各コンポーネントセルの分光感度が分かっていることが望ましい。分光感度の測定は、以下のような、公知の分光感度測定方法によって行われる。すなわち、n番目のコンポーネントセルが、積層型光電変換素子全体の電流を律速するように、n番目のコンポーネントセルの感度波長領域の光強度のみが著しく不足したバイアス光をサンプルに照射した状態で、単色光をチョッピングしながらサンプルに照射し、単色光の波長を掃引しながら、サンプルの出力電流の変化を検出することによって、測定される。1〜n番目のコンポーネントセルについて、バイアス光の分光放射照度分布をそれぞれの測定に適したものに変更して、上記工程を繰り返すことにより、全てのコンポーネントセルの分光感度が得られる。ここで、積層型光電変換素子のサイズが大きすぎて分光感度が測定できない場合は、同じ条件で作成した、小面積のサンプルを用いて測定しても良い。
【0111】
また、サンプルセルは、電流電圧特性の温度係数が分かっていることが望ましい。具体的には、開放電圧、短絡電流、曲線因子それぞれの温度係数が分かっていることが望ましい。サンプルセル自体の温度係数を測定することが困難である場合には、同等の特性を有する積層型光電変換素子群の温度係数の代表値を用いても良い。また、サンプルセルを測定する場合に、サンプルセルが、25±2℃となるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難で有る場合には、前述の温度係数によって温度補正を行い、25℃における特性を求めることが必要である。
【0112】
また、電流電圧特性の測定結果に照度補正を行う必要がある場合には、積層型光電変換素子のシリーズ抵抗Rsの値が、分かっていることが望ましい。シリーズ抵抗Rsの測定方法は、例えば、JIS C 8913の6.3に記載された二つの異なった放射照度のIVカーブから求める方法などの公知の方法によって、求められる。また、簡易的には、IVカーブのVoc近傍の接線の傾きから、求めることもできる。
【0113】
(各コンポーネントセルの短絡電流の比率の推定)
以下、本発明に係る測定方法の重要な要素である各コンポーネントセルの短絡電流の比率の推定方法について、詳述する。
【0114】
一般に、積層型光電変換素子の各コンポーネントセルは、積み重ねられ直列に接続されているので、その短絡電流を直接測定することは困難である。そこで、以下のような方法で、その短絡電流が推定される。
【0115】
すなわち、まず上述の分光感度測定方法によって、積層型光電変換素子の各コンポーネントセルの分光感度を測定し、波長λにおける、n番目のコンポーネントセルの分光感度をQn(λ)とする。次に、照射光(本発明においては、合成光)の分光放射照度分布(スペクトル)を公知のスペクトル測定手段によって測定し、波長λにおける照射光の分光放射照度をEt(λ)とする。次に、n番目のコンポーネントセルの照射光の下での短絡電流をIn,testとすれば、In,testは、以下の式
In,test = ∫Et(λ)Qn(λ)dλ …(9)
によって求められる。ここで積分する波長範囲は、Qn(λ)>0の範囲で定積分すれば良い。
【0116】
分光感度Qn(λ)の具体例としては、例えば2層の積層型光電変換素子で、図7のようなグラフが得られる。図7において、701及び702は、トップセル及びボトムセルの分光感度をそれぞれ示している。
【0117】
なお、n番目のコンポーネントセルの、基準太陽光の下での短絡電流をIn,refとすれば、In,refは、以下の式
In,ref = ∫Eo(λ)Qn(λ)dλ …(10)
Eo(λ):基準太陽光の分光放射照度分布
によって求められる。なお、ここで積分する波長範囲は、式(9)の場合と同様である。
【0118】
従って、積層型光電変換素子の各コンポーネントセルの短絡電流の比率、(I1,test:I2,test:…:In,test)は、上記式(9)を用いて求めることができる。そして、その比率が、基準太陽光の下での比率に等しい時、すなわち、以下の式
(I1,test:I2,test:…:In,test)=(I1,ref:I2,ref:…:In,ref) …(11)
を満たす時、合成光のスペクトルは、積層型光電変換素子の電流電圧特性の測定において、基準太陽光のスペクトルと等価な状態にあると言える。
【0119】
しかしながら、スペクトルが変動する合成光において、式(9)を用いて、各コンポーネントセルの短絡電流の比率を求め、その値を用いて、部分短絡電流比較制御手段を機能させることは、以下の点で困難なところがある。
【0120】
すなわち、n番目のコンポーネントセルの分光感度Qn(λ)は、予め測定しておけば良いが、照射光のスペクトルEt(λ)は、変動するので、その時点その時点で測定しなければならない。ある時点で測定した照射光のスペクトルEt(λ)を用いて式(9)の計算を行うのは、積分演算の可能なパーソナルコンピュータ等の情報処理装置が必要である。一方、合成光のスペクトル変動の周期は、後述する理由から、ミリ秒(msec)オーダーであることが多い。
【0121】
現状の技術では、普及型のスペクトロラジオメーターによれば、スペクトルの測定にまず、ミリ秒オーダーの積分時間を要し、また、測定装置に使用される一般的なパーソナルコンピュータの処理能力では、その積分演算をして、なおかつ、演算結果から機器の制御をミリ秒オーダーで行うのは、困難である。また、普及型とはいえ、その時点その時点のスペクトルを測定できるスペクトロラジオメーターが高価であることも問題である。ただし、将来的には、パーソナルコンピュータの機器制御の高速化や、スペクトロラジオメーターの低コスト化が進めば、前述の方法も採用可能である。
【0122】
以上のような理由から、本発明に係る測定方法では、各コンポーネントセルの短絡電流の比率の推定のために、以下で詳述するようなモニタリングセルを用い、その短絡電流を実測して、モニタリングセルの短絡電流の比率をもって、各コンポーネントセルの短絡電流の比率とする方法を採用している。この方法によれば、スペクトル測定や積分演算などを必要としないので、後述する部分短絡電流比較制御手段を高速で機能させることができ、好適である。
【0123】
(モニタリングセル)
モニタリングセルは、積層型光電変換素子の各コンポーネントセルの短絡電流を推定するために用いられ、各コンポーネントセルの分光感度と近似した分光感度を有した光電変換素子であって、各コンポーネントセルに対応して、独立に設けられる。すなわち、積層型光電変換素子が、n個のコンポーネントセルから構成されておれば、n個のコンポーネントセルにそれぞれ対応するn個のモニタリングセルを用意することが望ましい。
【0124】
積層型光電変換素子の各コンポーネントセルは、前述したようにそれぞれの短絡電流を直接測定することはできないが、独立に設けたモニタリングセルであれば、その短絡電流を直接測定することができる。各モニタリングセルの分光感度が、各コンポーネントセルの分光感度に近似しておれば、各コンポーネントセルの短絡電流の比率(I1,test:I2,test:…:In,test)は、各モニタリングセルの短絡電流の比率(I1,moni:I2,moni:…:In,moni)で代用することができる。すなわち、以下の式
(I1,test:I2,test:…:In,test)
≒(I1,moni:I2,moni:…:In,moni) …(12)
により、式(9)の積分演算をすることなく、各コンポーネントセルの短絡電流の比率を直接測定することができる。
【0125】
ここで、上記の式(12)が成り立つためには、各モニタリングセルの各コンポーネントセルに対する分光感度の近似度を高めることが重要である。その近似度の指標として、以下の式
Mn= ∫Eo(λ)Qrn(λ)dλ/∫Et(λ)Qrn(λ)dλ× ∫Et(λ)Qn(λ)dλ/∫Eo(λ)Qn(λ)dλ…(13)
Eo(λ):基準太陽光の分光放射照度分布
Et(λ):照射光の分光放射照度分布
Qrn(λ):n番目のコンポーネントセル用のモニタリングセルの分光感度
Qn(λ):n番目のコンポーネントセルの分光感度
で定義される、ミスマッチ係数Mnが、各々0.98以上1.02以下であることが望ましい。
【0126】
従って、各モニタリングセルは、当然、予め分光感度を測定してあることが必要である。また、照射光の分光放射照度分布は変動するが、少なくとも上記式(11)が成り立つ時点での分光放射照度分布において、ミスマッチ係数Mnが、各々0.98以上1.02以下であることが望ましい。
【0127】
また、各モニタリングセルは、経時的に特性が安定であるように処理されていることが望ましい。例えば、アモルファス材料のように光劣化現象を有する材料で形成する場合は、予め特性が安定化するのに十分な時間光照射しておくことが望ましい。
【0128】
また、各モニタリングセルは、それぞれ単一の半導体接合部からなる、いわゆるシングルセルであることが望ましい。また、各モニタリングセルは、積層型光電変換素子の各コンポーネントセルを形成する材料と異なる材料を用いてモニタリングセルを形成しても良い。その場合は、分光感度を近づけるために、図5のように光学フィルタを受光面側に設けても良い。
【0129】
図5は、モニタリングセルの具体例の一つを分解して構成を示した断面図であり、501は光電変換素子、502は光電変換素子のケース、503は光学フィルタ用ホルダー、504及び505は光学フィルタである。ここで、光学フィルタ504及び505は矢印のようにフィルタ用ホルダー503にはめ込み、フィルタ用ホルダー503を矢印のようにケース502にかぶせるようにはめ込んで用いる。
【0130】
モニタリングセルの分光感度Qrn(λ)の具体例としては、例えば2層の積層型光電変換素子用のモニタリングセルでは、図8に示すようなグラフになる。図8において、801及び802は、トップセル及びボトムセル用のモニタリングセルの分光感度をそれぞれ示している。
【0131】
モニタリングセルは、基準状態における短絡電流があらかじめ測定されていることが望ましい。それによって、各モニタリングセルの基準状態における短絡電流の比率、(I1,moni,ref:I2,moni,ref:…:In,moni,ref)を求めることができる。照射光の下での各モニタリングセルの短絡電流の比率が、基準状態における短絡電流の比率に等しい時、すなわち、以下の式
(I1,moni:I2,moni:…:In,moni)=(I1,moni,ref:I2,moni,ref:…:In,moni,ref)…(14)
が成り立つとき、上記式(11)が成り立つと見なすことができる。
【0132】
基準状態における短絡電流(In,moni,ref)の測定方法としては、例えば、JIS C 8910に記載された、公知の一次基準太陽電池用セルの校正方法によって求められる。また、例えば、JIS C 8911に記載された、公知の二次基準太陽電池用セルの校正方法によって求めても良い。
【0133】
また、例えば、JIS C 8915に記載された、公知の分光感度測定方法によって、各モニタリングセルの分光感度Qrn(λ)を測定し、以下の式
In,moni,ref = ∫Eo(λ)Qrn(λ)dλ …(15)
によって、基準状態における短絡電流(In,moni,ref)を求めても良い。
【0134】
また、モニタリングセルとしては、短絡電流の温度係数が分かっているものを使用することが望ましい。モニタリングセル自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同等の光電変換素子の温度係数の値を用いても良い。また、モニタリングセルは、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難で有る場合には、前述の温度係数によって短絡電流の温度補正を行い、25℃における短絡電流を求めることが必要である。
【0135】
また、モニタリングセルは、照射光の放射照度が、1000W/mを中心としたある範囲で、その短絡電流の、放射照度に対する変化が、直線的であること(直線性を有すること)が望ましい。モニタリングセルの短絡電流が、放射照度に対し直線性を有する範囲は、好ましくは、800W/m以上1200W/m以下、より好ましくは、500W/m以上1500W/m以下、であることが望ましい。
【0136】
(部分短絡電流比較制御手段)
部分短絡電流比較制御手段は、各コンポーネントセルの短絡電流の比率の推定結果を取得して比較し、各コンポーネントセルの短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に等しいかどうかを判定し、等しいと判定される場合にのみ、電圧検出手段と電流検出手段に同時に、測定開始を指示する制御命令またはトリガ信号を出力し、また、電圧可変手段に、次の設定電圧への設定変更を指示する制御命令またはトリガ信号を出す機能を有するものである。
【0137】
本発明に係る測定において、合成光の分光放射照度分布は、所定の時間内で繰り返し変動しているので、制御命令またはトリガ信号は、上記の判定の後、できるだけ速やかに出力し、できるだけ速やかに電圧及び電流の測定と電圧の設定とを開始することが望ましい。
【0138】
ここで、所定の時間は、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定するために要する時間であり、積層型光電変換素子の温度上昇や、測定に要するタクトタイムの点から、通常は、十秒程度以下であることが多い。電流電圧特性の測定中の、積層型光電変換素子の温度上昇は、好ましくは、2℃以下、より好ましくは、1℃以下であることが望ましい。それによって、電流電圧特性の測定結果の温度による誤差を小さくでき、測定結果がより正確になる。一方、電流電圧特性曲線を描くための測定点数は、30点以上であることが望ましい。それによって、Pmax、Voc、Isc等の特性の計算結果が、より正確になる。従って、照射する合成光の変動の最大周期は、少なくとも300msec以下であることが望ましい。よって、電圧及び電流のデータ対1点あたりの測定時間は、300msecよりも十分に短いことが望ましく、制御命令またはトリガ信号が出力されてから、電圧及び電流の測定を開始するまでの時間(以下、制御実行時間とも称する)は、電圧及び電流の測定時間よりもさらに短いことが望ましい。通常の測定では、制御実行時間は、できるだけ短いことが好ましく、少なくとも数msec以下であることが望ましい。
【0139】
部分短絡電流比較制御手段として、パーソナルコンピュータ等と計測制御ソフトウェア等のプログラムの組合せを利用することもできる。この場合、部分短絡電流比較制御手段は、上記の計測制御/データ処理手段と兼用することができる。しかしながら、現在の技術水準では、一般的なパーソナルコンピュータ等と計測制御ソフトウェアでは、制御実行時間として、ミリ秒オーダーの時間を要する。従って、このような場合は、所定の時間が、最も長い部類の場合に相当し、実際にはまれである。
【0140】
実際には、パルス光を利用した合成光の場合等、合成光の変動の最小周期は、ミリ秒オーダーであることが多い。その場合、制御実行時間としては、マイクロ秒(μsec)オーダーであることが望ましい。このような制御実行時間を満足するには、プログラムによる制御命令では実現困難であり、トリガ信号を用いる方が望ましい。
【0141】
従って、部分短絡電流比較制御手段としては、複数の電気信号を比較して、その結果トリガ信号を出力する電気回路が望ましい。このような電気回路(トリガ出力回路とも称する)は、オペアンプあるいはIC等を用いることによって、公知の技術によって構成することができる。このような、トリガ出力回路を用いることによって、部分短絡電流比較制御手段が、部分短絡電流検出手段から信号を受け取ってから、トリガ信号を出力するまで、ナノ秒(nsec)オーダーで処理することができる。従って、電圧検出手段、電流検出手段及び電圧可変手段が、トリガ信号を受け取ってから、電圧測定、電流測定及び電圧設定を開始させるまでの反応時間がマイクロ秒オーダーであれば、制御実行時間をマイクロ秒オーダーにすることができる。
【0142】
図6は、トリガ出力回路の基本的な一例を示す回路図である。図6において、入力端子601から入力された信号I1は、係数増幅器603を通ることで指定された定数K倍されK×I1となり、比較器604の正入力に入力される。入力端子602から入力された信号I2はそのまま比較器604の負入力に入力される。ここで、係数増幅器603としては、例えば、オペアンプを用いることができ、比較器604としては、例えば、コンパレータを用いることができる。
【0143】
比較器604はK×I1>I2の時にハイレベル信号を、K×I1≦I2の時にローレベル信号を出力する。比較器604の出力は、コンデンサ606、抵抗607で構成された微分回路を通ることで微分され、ダイオード610を通して出力端子612に接続される。
【0144】
また、比較器604の出力は、否定論理器605を通ったあと、コンデンサ608、抵抗609で構成された微分回路を通ることで微分され、ダイオード611を通して出力端子612に接続される。ここで、否定論理器605としては、例えば、インバータ7404を用いることができる。また、図6において、係数増幅器603、比較器604、否定論理器605の電源回路は、省略した。
【0145】
この回路によって、比較器604の出力が、ハイレベルからローレベルになる場合も、ローレベルからハイレベルになる場合も、I2/I1=Kになった時に、出力端子612からはトリガパルスが出力されることになる。負論理のトリガパルスが必要な時は、否定論理器を使って出力を反転させれば良い。
【0146】
また、部分短絡電流比較制御手段は、好ましくは、制御命令またはトリガ信号を出力する条件(判定条件)を可変できる調整機構を有することが望ましい。具体的には、積層型光電変換素子のコンポーネントセルの数に応じて、比較する部分短絡電流の数が変わる。また、測定対象の積層型光電変換素子の違いによって、合成光照射下で出力する短絡電流の比率が変化し、部分短絡電流の判定条件も変化する。このような変化に応じて、判定条件を変化させるように調整できることが望ましい。より好ましくは、計測制御/データ処理手段に判定条件を入力し、計測制御/データ処理手段から制御命令を出力して、部分短絡電流比較制御手段の判定条件を調整することが可能であることが望ましい。
【0147】
また、部分短絡電流比較制御手段として、複数のチャンネルを備えたデジタルオシロスコープを用いることもできる。例えば、チャンネル1に入力したI1の値とチャンネル2に入力したI2の値を比較し、I2/I1=Kになった時に、チャンネル3の電圧測定とチャンネル4の電流測定を開始するようにする。前述のプリトリガをかけることもできる。この場合は、電圧検出手段と電流検出手段についてもデジタルオシロスコープがその機能を兼ねる。
【0148】
(電圧検出手段と電流検出手段)
電圧検出手段及び電流検出手段は、デジタルマルチメータ、または、アナログデジタル変換機器(A/Dボード、A/D変換モジュール等のA/D変換器)を利用したもの、または、デジタルオシロスコープ等、公知の手段を用いれば良い。電流は、シャント抵抗を用いて、電圧に変換して測定しても良い。また、電圧検出手段と電流検出手段は、部分短絡電流比較制御手段からの制御命令またはトリガ信号を受信して、電圧または電流の測定を開始できる機能を有する要がある。また、測定結果を計測制御/データ処理手段に出力する機能を有するものが望ましい。
【0149】
また、好ましくは、メモリー機能を有し、前述のプリトリガをかける機能を有するものが望ましい。また、好ましくは、メモリー機能によって、測定値を一時保存し、所望の点数の電圧及び電流のデータ対の測定が終了してから、全てのデータ対を計測制御/データ処理手段に出力する機能を有するものが望ましい。それによって、計測制御/データ処理手段がデータを受け取る時間を、所望の点数のデータ対の測定終了後として、かつ一括することができるので、全体の測定を高速化することができる。また、好ましくは、放射照度比較制御手段からの制御命令またはトリガ信号を受信してから、電圧または電流の測定を開始するまでの反応時間がマイクロ秒オーダーであるものが望ましい。それによって、ミリ秒オーダーでスペクトルが変動する合成光に対応した測定を実現できる。
【0150】
また、測定に要する積分時間は、好ましくは、0.1PLC(PLCは、1秒をAC電源周波数で除した時間)以下、より好ましくは、0.01PLC以下であることが望ましい。
【0151】
また、測定器の確度としては、好ましくは、測定値の±1%以下、より好ましくは、±0.5%以下、最適には、±0.2%以下であることが望ましい。
【0152】
(電圧可変手段)
電圧可変手段は、測定対象の積層型光電変換素子の正負電極間の電圧あるいは電流を可変させる手段であり、バイポーラー電源、電子負荷、コンデンサに蓄積された電荷の放電等、公知の手段を用いればよい。また、電圧可変手段は、部分短絡電流比較制御手段からの制御命令またはトリガ信号を受信して、積層型光電変換素子の電圧あるいは電流を設定するか、または負荷抵抗の抵抗値を設定する機能を有する必要がある。また、好ましくは、計測制御/データ処理手段によって、設定値を制御できるものであることが望ましい。
【0153】
例えば、電源を制御する場合、電源本体はアナログ制御であっても、デジタル値を計測制御/データ処理手段から受信して、アナログ値に変換し、電源を制御することのできるプログラマーと組み合わせて使用することによって、設定値を制御することができる。
【0154】
また、好ましくは、積層型光電変換素子の電圧あるいは電流を可変させる場合に、複数段階で設定値を可変できるものが望ましい。より好ましくは、制御命令またはトリガ信号を受信してから、設定値を変化させるまでの上述の遅延時間dを設定できるものが望ましい。また、電圧可変手段の設定値の変更を開始してから、次の設定値に対して±1%の範囲に到達するまでの時間を立ち上がり時間qとすれば、より好ましくは、以下の式
i>q+p …(16)
が成り立つことが望ましい。
【0155】
また、積層型光電変換素子の電圧を測定し、所望の設定電圧になるようにフィードバックし、その時に流れる電流を測定できる機能(電圧設定電流測定機能)を有する電源を用いることもできる。この場合、電圧可変手段が、電圧検出手段と電流検出手段を兼ねる。
【0156】
(計測制御/データ処理手段)
計測制御/データ処理手段は、部分短絡電流検出手段、部分短絡電流比較制御手段、電圧検出手段、電流検出手段、電圧可変手段、照射光の電源、シャッター等の機器に制御命令を出力したり、機器からデータを取得して処理する機能を有する。
【0157】
計測制御/データ処理手段としては、計測制御あるいはデータ処理用のソフトウェアをインストールした、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。また、計測制御/データ処理手段は、計測器等と制御命令やデータをやりとりするためのインターフェイスを備えていることが望ましく、好ましくは、計測器の制御をプログラミングできるものが望ましい。
【0158】
また、計測制御/データ処理手段は、取得したデータを前述のごとく、適宜処理する機能と、データをハードディスク等の各種記憶媒体に保存する機能とを有する。
【0159】
(基準光電変換素子)
以下、太陽電池を例にとって、基準光電変換素子の要件を説明する。太陽電池の場合、基準太陽電池となるが、以下基準セルと称する。
【0160】
上記のモニタリングセルが、合成光の各コンポーネントセルの感度波長領域に応じた部分短絡電流を求めるために用いられるのに対し、基準セルは、合成光の波長領域の中で、積層型基準太陽電池全体の短絡電流を制限するコンポーネントセル(以下、律速セルと称する)が感度を有する波長領域の放射照度を求めるために用いられる。
【0161】
基準セルは、基本的に上記のモニタリングセルと同じものを用いても良い。
【0162】
基準セルとモニタリングセルとに同じものを用いる場合は、各モニタリングセルの中で、律速セルと近似した分光感度を有するものを基準セルと呼ぶことにする。
【0163】
基準セルは、サンプルセルと同じく、積層型光電変換素子であっても良いし、異なる材料によって構成されていても良い。ただし、以下のごとくサンプルセルと同等の分光感度を有していることが望ましい。
【0164】
第一に、基準セルがサンプルセルと同じく、積層型光電変換素子である場合には、律速セルが基準セルとサンプルセルとで同じ種類のコンポーネントセルであり、両者の律速セルが近似した分光感度を有していることが望ましい。ただし、律速セルがどのコンポーネントセルになるかは、照射する光のスペクトルによって変化するが、少なくとも、前述の基準状態において、基準セルとサンプルセルの律速セルが同じコンポーネントセルであることが望ましい。
【0165】
第二に、基準セルが、サンプルセルと異なる材料によって形成されている場合には、基準セルの分光感度が、サンプルセルの律速セルと近似した分光感度を有していることが望ましい。前述のモニタリングセルの内、サンプルセルの律速セルと近似した分光感度を有しているものを基準セルとして併用しても良い。
【0166】
以上のようにすることにより、基準セルを用いて照射光の放射照度を測定するときに、測定結果が正確になり、その結果、積層型光電変換素子の出力特性の測定が正確に行える。
【0167】
また、基準セルは、経時的に特性が安定であるように処理されていることが望ましい。基準セルを、光、熱、湿度等に対して、安定化させることにより、基準セルの基準状態における電流電圧特性の信頼性が高まり、サンプルセルの出力特性の測定が正確になる。また、基準状態における電流電圧特性を再測定する時間間隔を広くとることができる。
【0168】
また、基準セルは、基準状態における短絡電流があらかじめ測定されていることが望ましい。基準状態における短絡電流の測定方法としては、例えば、JISC 8910に記載された、公知の一次基準太陽電池用セルの校正方法を使用できる。また、基準セルが、積層型光電変換素子である場合には、本発明に係る測定方法を用いて電流電圧特性を測定し、基準状態における短絡電流を求めても良いし、公知の、マルチソース法、補助光源法、基準太陽光法等の方法を用いて、基準状態における短絡電流を求めても良い。
【0169】
また、基準セルは、短絡電流の温度係数が分かっているものを使用することが望ましい。基準セル自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同等の光電変換素子の温度係数の値を用いても良い。また、基準セルを用いて、サンプルセルを測定する場合に、基準セルは、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難で有る場合には、前述の温度係数によって温度補正を行い、25℃における特性を求めることが必要である。
【0170】
また、基準セルは、照射光の放射照度が、1000W/mを中心としたある範囲で、その短絡電流の放射照度に対する変化が、直線的であること(直線性を有すること)が望ましい。基準セルの短絡電流が、放射照度に対し直線性を有する範囲は、好ましくは、800W/m以上1200W/m以下、より好ましくは、500W/m以上1500W/m以下、であることが望ましい。
【0171】
また、基準セルとサンプルセルの律速セルの関係が、以下の式
Mn= ∫Eo(λ)Qr(λ)dλ/∫Et(λ)Qr(λ)dλ× ∫Et(λ)Qlim(λ)dλ/∫Eo(λ)Qlim(λ)dλ…(17)
Qr(λ):基準セルの分光感度、または基準セルの律速セルの分光感度
Qlim(λ):サンプルセルの律速セルの分光感度
で計算されるミスマッチ係数Mnが、0.98以上1.02以下であることが望ましい。
【0172】
また、合成光の放射照度に場所むらが有る場合は、基準セルの発電部面積は、サンプルセルを構成する1枚の基板上に形成された最小単位部分の発電部面積と、好ましくは、±20%以下、より好ましくは、±10%以下、最適には±5%以下の範囲で近似していることが望ましい。このように基準セルとサンプルセルの発電部面積が近似することによって、照射光の場所むらによる誤差が大幅に低減されるからである。サンプルセルが、複数の積層型光電変換素子を直列及び/または並列に接続した形態(いわゆる、モジュールまたはアレイ)である場合には、直列及び/または並列に接続された単一基板上の最小単位部分(以下、サブモジュールと略記する。)の発電部面積が、基準セルの発電部面積と近似していれば良い。
【0173】
(合成光)
本発明に係る出力特性測定方法に用いられる合成光は、複数の人工光源による光を合成したものである。人工光源としては、擬似太陽光光源が望ましい。光源のランプの種類としては、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が好適に用いられる。点灯方法は、連続点灯でもパルス点灯でも良い。
【0174】
また、本発明に係る測定方法における合成光は、異なる分光分布を有する2以上の光を合成したものであり、合成後の分光分布が所定の時間内で繰り返し変動することに特徴がある。合成に用いる、異なる分光分布を有する2以上の光の数は、積層型光電変換素子のコンポーネントセルの数と同じとすることが望ましい。
【0175】
また、合成後の分光分布を変動させる方法としては、例えば、以下のようなものがある。
【0176】
例えば、コンポーネントセルの数が2である、いわゆるダブルセルの場合、2つの光源を用意する。図1に示した構成が、この場合に相当する。図1において、例えば、第一の光源101として、定常光型キセノンランプを用い、第二の光源104として、ハロゲンランプを用いる。この時、定常光型キセノンランプの電源103としてキセノンランプの発光強度にある程度の変動が出るものを用いると良い。
【0177】
一般にキセノンランプの発光強度は、変動することが多く、この変動を抑えて発光強度を安定化させるために電源に様々な調整機能を付加しているので、発光強度にある程度の変動を許容すれば、低コストでコンパクトな電源とすることができる。一方、ハロゲンランプの電源106としては、DC電源を用いるのが一般的であり、ハロゲンランプは、無視できるほどリップルの少ない定常発光をさせる。
【0178】
ハーフミラー107が、多層膜による干渉作用を利用した、いわゆるコールドミラーであれば、キセノンランプ101の短波長光を反射し、ハロゲンランプ104の長波長光を透過させる。この時、ハーフミラーの透過率が0%近くから、100%近くに急激に変化する途中の50%の透過率を有する波長(カットオン波長と呼ぶことにする。)は、トップセルとボトムセルの分光感度が入れ替わる付近の波長を選択して設計される。従って、ハーフミラー107で反射された、キセノンランプによるカットオン波長より短波長の光の強度が変動し、ハーフミラー107を透過したハロゲンランプの光の強度は、ほぼ一定である。この時、モニタリングセル114による部分短絡電流I1の値が変動し、モニタリングセル115による部分短絡電流I2の値は、変動が少ないことになる。従って、I2/I1の値は、図2のグラフに示したように変動する。
【0179】
合成光の他の例としては、前述の例において、第一及び第二の光源、及びそれらの電源を、ロングパルス発光型キセノンランプとその電源に変更したものを用いることができる。一般に、パルス発光型の光源は、発光強度が一定ではなく変動する。
【0180】
例えば、図13は、いわゆるロングパルス型のパルス発光の発光強度の時間変化の一例を示すグラフである。図13において、1301は、待機点灯時の発光強度を、1302は、パルス点灯移行時のオーバーシュートした発光強度を、1303は、準定常状態に移行した後の発光強度をそれぞれ示している。図13のように、ロングパルス型と言われる発光で、1303のような準定常状態であっても、数%の発光強度の変動が認められる。従って、第一の光源101及び第二の光源104として、ロングパルス型の光源を用いれば、部分短絡電流I1、I2のどちらの値も変動するので、I2/I1の値も変動する。もし、パルス発光型の電源の特性上、部分短絡電流I1、I2の変動の位相が同じである場合は、2つの電源103、106間で、パルス発光開始のトリガのタイミングを、変動の周期が重ならないようにずらす手段を設ければ良い。
【0181】
合成光のさらに他の例としては、図10にその構成例を示すように、第一及び第二の光源1001及び1003、及びそれらの電源1003及び1006を、ショートパルス発光型キセノンランプとその電源に変更したものを用いることができる。例えば、1パルスで、1対の電圧と電流のデータを取得し、所望の点数分のパルス発光を繰り返すことで、所望の点数の電圧、電流のデータ対を取得する、マルチパルス方式と呼ばれる方法を用いる場合、図11のグラフに例を示すように、第一と第二の光源のパルス発光のタイミングを、パルス発光時間の半値幅より少ない時間幅だけずらすことによって、I2/I1の値を変動させることができる。
【0182】
以上の例は、2つの光源による光を合成する例であるが、同様にして、3つ以上の光を合成することも可能である。また、複数の光源からの光を合成する場合に、図1のように多層膜による干渉フィルタを用いることもできるが、十分に光路長が取れる場合は、図12に構成例を示すように、複数の光源をなるべく近づけて設置し、できるだけ近い光路で、照射面に合成光を入射させるようにしてもよい。また、インテグレータを用いず、複数の種類の小型の光源を互い違いに多数並べることによって、照射面に合成光を照射させることもできる。また、光源のランプに流れる電流値を変化させることによって、光源ごとのスペクトルを変化させることもできる。
【0183】
また、前述のように複数の光源を独立して用いるのではなく、一つの光源から出た光を分岐して、別々の複数の種類のフィルタを通し、該フィルタの光路に対する挿入量を変動させたり、光路に対する該フィルタの設置角度を変動させたりして、一つの光源から分光分布の変動する合成光を作り出すこともできる。
【0184】
また、合成光の分光分布を所定の時間内で変動させて、各コンポーネントセルが合成光照射下で出力する短絡電流の比率を変動させる場合に、該短絡電流の比率の変動が、所定の値を前後して変動するように、光源の発光強度を調整することが望ましい。例えば、図1に示した例では、I2/I1の値が、Cを挟んで上下するように、第一の光源101及び第二の光源104の発光強度を調整することが望ましい。
【0185】
また、各コンポーネントセルが合成光照射下で出力する短絡電流の比率が、所定の値に一致するときの合成光の放射照度は、1000W/mを中心として、積層型光電変換素子の短絡電流の放射照度に対する直線性が保たれる範囲であることが望ましい。この範囲は、積層型光電変換素子の種類によって異なるが、概して、好ましくは、700W/m以上1300W/m以下、より好ましくは、800W/m以上1200W/m以下、最適には、900W/m以上1100W/m以下であることが望ましい。この範囲を狭くすることによって、測定した電圧及び電流のデータ対の照度補正する補正幅が小さくなり、照度補正誤差が小さくなって、測定結果がより正確になる。この時、放射照度は、前述の基準セルによって測定される。
【0186】
(温度測定手段)
積層型光電変換素子の温度を測定する手段としては、基準接点補償機能を持つ温度計と熱電対、あるいは白金抵抗体を利用した温度計など公知の手段を用いることができる。また、積層型光電変換素子の25℃における開放電圧と、開放電圧の温度係数が分かっている場合には、積層型光電変換素子の開放電圧から、計算によって温度を求めることもできる。
【0187】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これら実施例は例示であり、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0188】
【実施例1】
前述の、本発明の実施形態として説明した、図1に示した本発明に係る測定装置を用い、図3のフローチャートに示した、本発明に係る測定方法によって、以下のように積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定した。
【0189】
測定対象の積層型光電変換素子(サンプルセル)としては、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)と、微結晶シリコンをi層に用いたpin接合(微結晶Siセル)をこの順に積み重ねた構造のa−Si/微結晶Siダブル型太陽電池セルを用いた。本実施例の積層型光電変換素子には、a−Siセル、微結晶Siセルと2つのコンポーネントセルがある。これらのコンポーネントセルを、光入射側から順に、トップセル、ボトムセルと呼ぶ。
【0190】
上記のダブル型太陽電池は、1枚のステンレス基板上に作成された、10cm×10cmの大きさのセルである。サンプルの番号を#1−1、#1−2、#1−3とした。サンプルセルを温度調整する機構は、特に設けていないが、熱容量の大きい、表面を絶縁材で覆った金属ブロックの上に載せて測定した。測定室を25℃に温度調整しているので、サンプルセルも金属ブロックも温度は約25℃になっている。
【0191】
前述の3枚の分光感度を直接測定することは、面積が大きすぎて困難であったので、前述の3枚と同じロットで、1cm×1cmの太陽電池を作成し、この小面積サンプルの分光感度を以下の公知の分光感度測定方法によって測定した。その結果の一例を図7に示す。図7はサンプル#1−1と同じロットで作成した太陽電池の分光感度のグラフであり、図7において、701は、トップセルの、702はボトムセルの分光感度をそれぞれ示す。ここで、分光感度は、その最大値を1として規格化された量子効率で表示している。
【0192】
分光感度の測定は、短波長領域に感度を有するトップセルの分光感度を測定する場合には、分光器で分光されたモノクロ光に、ボトムセルの予想感度領域の波長のバイアス光、すなわち白色光からトップセルの分光感度の大きい短波長領域をカットした光を重畳して照射し、トップセルの電流でダブル型太陽電池全体の電流が制限される状態、すなわちトップセルが律速セルになるようにして測定した。ボトムセルについても同様に、測定したいセルが律速セルになるようなバイアス光を照射して測定した。測定データは、10nm間隔で得られた。
【0193】
次に、図14に示した基準太陽光のスペクトルのデータと前述の図7に示すような分光感度の測定データの積を式(10)にしたがって積分した。その結果、トップセル及びボトムセルの短絡電流が計算できた。その結果、本実施例のサンプルセルは、基準太陽光の下では、トップセルが律速セルであることが分かった。
【0194】
また、前述のモニタリングセルとしては、1cm×1cmの大きさの結晶シリコン太陽電池501の光入射側に、色ガラスフィルタを組み合わせた、以下のものを用いた。モニタリングセルのパッケージ502は、表面に黒色アルマイト処理を施したアルミニウムのブロックを用いた公知のもの(例えばJIS C 8911に示されている)を用い、パッケージの外側にペルチェ素子を取り付けて、セルの温度が、25℃±2℃になるように温度調整した。
【0195】
トップセル用のモニタリングセル(モニタリングセル1とする)としては、光電変換素子501として、結晶シリコン太陽電池を用い、その光入射側に取り付ける光学フィルタ504、505として、50×50mmのアサヒテクノ硝子(株)製のC−50SとHOYA(株)製のL39を用いた。また、ボトムセル用のモニタリングセル(モニタリングセル2とする)としては、結晶シリコン太陽電池501は、モニタリングセル1と同じ型式のものを用い、その光入射側にアサヒテクノ硝子(株)製のA−73AとHOYA(株)製のHA50の光学フィルタを用いた。これらのフィルタは、フィルタ用のホルダー503にはめ込み、フィルタ用ホルダーをパッケージ502にかぶせるようにはめ込んだ。
【0196】
モニタリングセルは、予め、校正機関に、二次基準太陽電池としての校正を依頼し、基準状態における短絡電流の値(校正値)を求めたものを使用した。校正値は、それぞれ、モニタリングセル1は6.6mA、モニタリングセル2は5.2mAであった。
【0197】
従って、この場合、前述の式(2)におけるKは、
K=5.2/6.6≒0.788
となる。
【0198】
また、モニタリングセル1と2の分光感度を、公知の分光感度測定方法によって測定した。その結果、図8のグラフに示すような分光感度が得られた。図8において、801は、モニタリングセル1の分光感度を、802は、モニタリングセル2の分光感度をそれぞれ示している。ここで、分光感度は、その最大値を1として規格化された量子効率で表示している。
【0199】
前述のごとく、本実施例のサンプルセルは、トップセルが律速セルであるので、モニタリングセル1を基準セルとし、放射照度は、モニタリングセル1によって測定された値を用いることとした。
【0200】
また、光源101としては、定常点灯用のキセノンランプを用い、電源103によって定常発光させた。ここで、専用電源103の性能により、キセノンランプの発光強度には、約100msecの周期で±5%の変動が出た。
【0201】
また、光源104としては、ハロゲンランプを用い、電源106としてDC電源を用いて、定常発光させた。ハロゲンランプの発光強度の変動は無視できるレベルであり、一定と見なすことができた。
【0202】
また、ハーフミラー107としては、カットオン波長が、620nmのコールドミラーを用いた。コールドミラーによって、620nmより短波長のキセノンランプの光と、620nmより長波長のハロゲンランプの光が合成され、エアマスフィルタ108を通すことによって、スペクトルを基準太陽光スペクトルになるべく近似させた後、インテグレータ109を用いることによって、放射照度の場所むらが改善されて、光照射面116に合成光が入射した。合成光のサンプルセルへの照射のON/OFFは、シャッター110で制御した。
【0203】
ここで、合成光は、短波長のキセノンランプの光が変動していることにより、その分光放射照度分布が、約50msecの周期で変動した。
【0204】
本実施例に用いた合成光照射装置の有効照射面積は、120×120mmであり、後述する比較例と比較するために、比較的小規模な装置を用いた。
【0205】
ここで、モニタリングセル1の両極間に、1Ωのシャント抵抗を取り付け、モニタリングセル2の両極間に、2Ωのシャント抵抗を取り付けて、シャント抵抗の両端の電圧差を、測定することで部分短絡電流検出手段とした。よって、それぞれのシャント抵抗の両端の電圧差をm1、m2とすれば、部分短絡電流I1とI2は、式
I1=m1 [mA]
I2=m2/2 [mA]
でそれぞれ求められる
モニタリングセル1に取り付けたシャント抵抗の両端の電圧差m1を、図6に示したトリガ出力回路の入力端子601に入力し、モニタリングセル2に取り付けたシャント抵抗の両端の電圧差m2を、トリガ出力回路の入力端子602に入力して、部分短絡電流比較制御手段122であるトリガ出力回路を機能させた。
【0206】
ここで、係数増幅器603は、信号が1.576倍(0.788×2)となるものを使用した。これにより、トリガ出力回路は、I2/I1の値が、0.788となった時に、トリガ信号を出力する。
【0207】
キセノンランプとハロゲンランプの発光強度は、I2/I1の値が、おおよそ0.79を中心に変動するようにそれぞれの電源によって、おおまかに調整した。I2/I1の値は、上記合成光のスペクトルの変動によって、±3%の範囲で変動した。この時、公知のスペクトロラジオメーターによって、合成光のスペクトルを300nmから1100nmの波長範囲で測定した。スペクトル測定の積分時間は、100msecとしたので、変動する合成光の平均的スペクトルが測定された。このスペクトル測定結果をEt(λ)とし、式#13によって、モニタリングセル1と2それぞれについて、ミスマッチ係数M1と、M2を計算したところ、それぞれ、0.995、1.007であり、サンプルセルとモニタリングセルの分光感度の近似度は、良好であった。
【0208】
電圧検出手段119及び電流検出手段120としては、ケースレー社のデジタルマルチメータ2000型を用い、上記のトリガ出力回路から出力されたトリガを外部トリガとして入力し、外部トリガで測定を開始するモードで使用した。なお、電流の測定は、0.1Ωのシャント抵抗に電流を流してその両端の電圧を上記のデジタルマルチメータで測定した。ここで、デジタルマルチメータによる電圧と電流測定の積分時間mは、0.04PLC(電源周波数60Hzならば、0.67msec)に設定した。また、本実施例では、プリトリガはかけていない。しかしながら、出力電圧と出力電流を測定する積分時間mの間の、I2/I1の値の変化は、±0.5%未満であり、電流電圧特性の測定精度は良好であった。
【0209】
また、電圧可変手段としては、菊水電子工業(株)のバイポーラ電源PBX40−10を用い、上記のトリガ出力回路から出力されたトリガを外部トリガとして入力して、ポーズ状態にあった電圧設定を開始するようにした。この時、トリガ出力回路とバイポーラ電源の間に、公知の部品で構成された遅延回路を挿入し、バイポーラ電源が受け取るトリガ信号に、1msecの遅延時間dが生じるようにした。バイポーラ電源の設定電圧に対する立ち上がり時間qは、1msec未満であった。
【0210】
また、計測制御/データ処理手段123としては、GP−IBボードを備えたパーソナルコンピュータを用い、シャッター110、電圧検出手段119、電流検出手段120、電圧可変手段121の制御を行い、放射照度検出手段、電圧検出手段、電流検出手段からのデータの取得と処理を行った。この時、電圧検出手段と電流検出手段は、測定開始のトリガ待ち状態に設定し、電圧可変手段に42点の設定電圧を記憶させて、トリガ待ち状態にした。なお、パーソナルコンピュータのOSは、ウィンドウズ(登録商標)2000を用い、機器の制御とデータ取得とデータ処理のプログラムは、Visual Basic(登録商標)を用いて作成したものを使用した。また、機器の制御とデータのやりとりは、GP−IBバスを用いて行った。
【0211】
以上のような測定装置を用いて、積層型光電変換素子の電流電圧特性を図3のフローチャートに従って、発明の実施の形態で述べた方法で測定した。
【0212】
ここで、サンプルセルのRs(Ω)と静電容量C(μF)を測定し、以下の式
τ=Rs×C …(18)
から、時定数τを計算したところ、0.09μsecであった。
【0213】
一方、I2/I1の値が、所定の値となる時点と時点の間隔(周期)は、平均で約25msec、最小値でも約10msecであったので、i≧10msecであり、常に上記の式(7)を満たしていた。従って、図3のフローチャートにおけるステップS070は省略した。
【0214】
本実施例において、積層型光電変換素子の電圧及び電流のデータ対は、42点であり、電流電圧特性の測定に約1秒を要した。この間の積層型光電変換素子の温度上昇は、0.4℃であった。ここで、積層型光電変換素子の温度は、素子の裏面にシート型の銅−コンスタンタン熱電対を貼り付け、熱電対の電圧を横河電機(株)のデジタル温度計7563型を用いて測定した。また、電流電圧特性の測定は、Isc側からVoc側に電圧を掃引した。
【0215】
また、各電圧、電流のデータ対を取得した時点の放射照度(本実施例では、I1の値)は、1000±10W/mの範囲を外れているものがあったので、取得した全ての電圧及び電流のデータ対について、JIS C 8913の6.1に記載された公知の補正式を用いて、補正した。
【0216】
補正後の電圧、電流のデータ対を近似曲線で結び、図9に示したような電流電圧特性曲線を求めた。図9は、サンプル#1−1の補正後の電圧特性曲線である。この電流電圧特性曲線から、公知の算出方法により、最大出力(Pmax)、開放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)、曲線因子(FF)等の積層型光電変換素子の出力特性の各パラメータを計算した。表1にその結果をまとめた。
【0217】
また、本実施例の測定結果の精度を検証するため、同じサンプルを以下のような、いわゆるマルチソース法によって電流電圧特性を測定し、Pmax、Voc、Isc、FFの出力特性を計算し、上記本発明の測定方法で求めた出力特性値を、マルチソース法による測定値を1とした相対値で表記して、表1にその結果をまとめた。
【0218】
【表1】
Figure 2005011958
【0219】
マルチソース法を用いる場合、キセノンランプ101を放電安定性の高い特殊なランプに交換し、キセノンランプの専用電源103を出力の安定性が高く、高精度の特殊な専用電源に交換して、ハロゲンランプの発光強度とキセノンランプの発光強度の微妙な調整を繰り返し行い、モニタリングセル1と2が、校正機関による校正値を再現するようにした。その上で、バイポーラ電源によって、サンプルセルの電圧を段階的に掃引し、電圧と電流を測定する、従来の測定方法によって、電流電圧特性を測定した。
【0220】
表1から明らかなように、本発明に係る測定装置と測定方法によれば、マルチソース法の測定結果との誤差は、±0.5%未満であり、マルチソース法のように、コストの高い高精度の装置を用いて、複雑な制御を行うことなく、安価な測定装置によって、高精度の電流電圧特性の測定を行うことができる。
【0221】
【比較例1】
従来の測定方法と比較するため、実施例1のサンプルを、以下の方法で測定した。
【0222】
実施例1において、トリガ出力回路を用いず、部分短絡電流I1とI2の値に関わらず、サンプルセルの電圧を段階的に掃引し、電圧と電流を測定する、従来の測定方法によって、電流電圧特性を測定した。実施例1と同様に、出力特性の各パラメータを計算し、測定結果を表2にまとめた。
【0223】
また、実施例1と同様に、マルチソース法による測定値を1とした相対値も表記した。
【0224】
【表2】
Figure 2005011958
【0225】
表2から明らかなように、従来の測定方法によっては、精度の高い測定はできなかった。これは、従来の測定方法では、通常使用できる光源と電源の組合せによって、定常光であってもスペクトルの変動が存在し、積層型光電変換素子の電流電圧特性の変動をうまく補償できなかったためである。積層型光電変換素子の電流電圧特性は、照射光のスペクトルに敏感に変動するため、スペクトルのバランスの最適なタイミングで測定しなければ、正確なデータは得られないことを意味する。
【0226】
【実施例2】
実施例1において、部分短絡電流検出手段117、118、電圧検出手段119、電流検出手段120として、絶縁アンプ4台と、メモリー機能を有する16チャンネル12ビットの高速A/D変換器モジュールを用い、図3のフローの代わりに図4のフローに従って測定した以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じサンプルの電流電圧特性を測定した。
【0227】
すなわち、本実施例では、部分短絡電流I1、I2、サンプルの電圧V、電流Iの4つのデータを同時に繰り返し継続的に測定して、測定データを全てパーソナルコンピュータに転送し、測定終了後、パーソナルコンピュータによって、I2/I1の値が、0.788±0.5%となる時点の電圧、電流のデータ対のみを選択して、電流電圧特性を求めた。
【0228】
この時、I1、I2、V、Iの測定は、全て同時に、積分時間0.1PLCで連続的に測定した。測定時間としては、1秒間行い、600点の(I1、I2、V、I)のデータセットを得た。その内、I2/I1の値が、0.788±0.5%を満たすデータセットは、40点あった。
【0229】
実施例1と同様に、出力特性の各パラメータを計算し、測定結果を表3にまとめた。
【0230】
【表3】
Figure 2005011958
【0231】
表3から、明らかなように、本実施例においても、実施例1と同様に、安価な測定装置によって、高精度の電流電圧特性の測定を行うことができた。
【0232】
【実施例3】
実施例1において、測定対象の積層型光電変換素子と合成光の照射装置を以下のように変更し、電圧検出手段119、電流検出手段120として、絶縁アンプ2台と、メモリー機能を有する4チャンネル16ビットの高速A/D変換ボードを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定した。
【0233】
測定対象の積層型光電変換素子としては、実施例1と素子の種類は同じで、大きさが、35×24cmのダブルセルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ10枚直列に接続し、表面保護層を形成した、モジュールの形態である。このモジュールは、屋根材を兼用する太陽電池モジュールであるので、屋根材としての組み込みのために、約121×35cmの開口部の光電変換面より大きい、約142cm×42cmの外形サイズを持つ。このようなモジュールを3枚作成し、サンプルの番号を#3−1、#3−2、#3−3とした。
【0234】
また、合成光の照射装置としては、図10に示したような、ショートパルスタイプのキセノンランプによるパルス光を2つ合成する装置を用いた。
【0235】
図10において、1001と1004は、ショートパルス発光用のキセノンランプ、1002と1005は、凹面鏡、1003と1006は、ショートパルス発光用の専用電源、1007と1008は、多層膜による干渉フィルタ、1009は、計測制御/データ処理手段、1010は、サンプルモジュール、1011と1012はモニタリングセル、1013は、光照射面をそれぞれ示す。また、点線はそれぞれの光源から出た光のおおよその広がりを示す。なお、モニタリングセル1011と1012は、紙面と垂直に、サンプルモジュール1010を挟む位置に配置されている。
【0236】
また、干渉フィルタ1007は、実施例1と同様にカットオン波長が620nmのコールドミラーであり、キセノンランプ1001から出た光の620nmより長波長の成分を透過する。また、干渉フィルタ1008は、1007と逆に短波長を透過し、長波長を反射する、カットオフ波長が620nmのコールドフィルタであり、キセノンランプ1004から出た光の620nmより短波長の成分を透過する。光照射面1013には、これら2種類の光の合成光が入射する。
【0237】
また、ショートパルス発光型キセノンランプによる電流電圧特性の測定は、発明の実施の形態で述べた、マルチパルス方式を用い、1パルスで、1対の電圧と電流のデータを取得するタイミングを図11で説明する。
【0238】
図11において、横軸は時間、縦軸は部分短絡電流の相対値又はI2/I1を、実線1101は、モニタリングセル1による部分短絡電流I1の最大値を1とした相対値、点線1102は、モニタリングセル2による部分短絡電流I2の相対値、太線1103は、I2/I1の値をそれぞれ示す。図11は、1パルス分の説明図であり、本実施例では、128パルスで、128点の電圧、電流のデータ対を取得した。
【0239】
図11に、実施例1と同様に部分短絡電流検出手段によって、I1及びI2の値を検出した結果を、I1の最大値を1とした相対値で示した。ここで、I1は、トップセルの分光感度を有する波長領域の部分短絡電流を示すので、干渉フィルタ1008を透過した短波長光の強度を主に反映している。また、I2は、ボトムセルの分光感度を有する波長領域の部分短絡電流を示すので、干渉フィルタ1007を透過した長波長光の強度を主に反映している。
【0240】
ここで、専用電源1006によるキセノンランプ1004の発光を、キセノンランプ1001の発光に対して、遅延回路により0.2msec遅らせた。その結果、1102のようにI2の変動は、I1の変動に対して、0.2msec遅れたものとなり、結果としてI2/I1の値が、1103に示すように変動する。そこで、I2/I1の値が、0.788となる時点t1において、トリガ出力回路から、高速A/D変換器に、測定開始のトリガをかける。ここで、高速A/Dボードは、メモリ機能を有し、プリトリガ機能を有するので、高速A/Dボードの測定の積分時間0.004PLCに対し、0.002PLCのプリトリガをかけた。その結果、t1を中心とした測定時間で、モジュールの電圧及び電流を測定することができた。また、トリガ出力回路により、実施例1と同様に、1msecの遅延時間を設けて、バイポーラ電源が次の電圧設定を開始するようにした。
【0241】
なお、本実施例では、128点の設定電圧を予め、パーソナルコンピュータで計算して、バイポーラ電源に記憶させておいた。また、I2/I1の値が、0.788となる時点t1において、部分短絡電流I1とI2の変化率が、なだらかになるように、すなわち図11の両パルス発光のピーク近傍になるように調整した。それによって、I2/I1の値の変化率もなだらかな時点で、電圧及び電流のデータ対の測定を行うことができ、電圧及び電流の測定中のI2/I1の値の変化を、±2%以下に抑えることができた。また、128回のパルス対発光において、各時点(t1,t2,…,t128)における光照射面の放射照度は、950±50W/mであった。
【0242】
上述のごとく、発光のタイミングをずらした1パルスずつの発光によって、1対の電圧と電流のデータを取得し、発光を128回繰り返すことによって、128点の電圧と電流のデータを取得した。このとき、発光と発光の間隔は、約50msecであり、本実施例のサンプルの時定数τは、約0.1μsecであったので、常に上記の式(7)を満たしており、図3のフローチャートにおけるステップS070は省略した。
【0243】
実施例1と同様にサンプルモジュールの裏面にシート型熱電対を貼り付けて、電流電圧特性測定中のモジュールの温度を測定したが、温度上昇は、0.1℃未満であった。サンプルモジュールは、25℃に空調された実験室で測定されたので、モジュールの温度は、25℃±2℃の範囲内であった。
【0244】
得られた電流電圧特性から、実施例1と同様に、出力特性の各パラメータを計算し、測定結果を表4にまとめた。
【0245】
また、ショートパルス発光型キセノンランプの1パルスごとの発光強度を所望の値に制御することは、非常に困難であったため、従来のマルチソース法によって電流電圧特性を測定することはできなかった。
【0246】
本実施例の測定結果の精度を検証するため、同じサンプルを、前述の基準太陽光法によって、屋外で測定した。基準太陽光法の場合、快晴であるだけでなく、エアマス、混濁度、下降水量などの条件が基準に適合しなければならないので、そのような状態の得られるまで4ヶ月以上を要した。
【0247】
上記本発明の測定方法で求めたの出力特性値を、基準太陽光法による測定値を1とした相対値で表記して、表4にその結果をまとめた。
【0248】
【表4】
Figure 2005011958
【0249】
表4から、明らかなように、本発明に係る測定装置及び測定方法によれば、基準太陽光法の測定結果との誤差は、±1%未満であり、基準太陽光法のように、測定機会の非常に少ない方法ではなく、屋内で、いつでも、なおかつ安価な測定装置によって、大面積の積層型太陽電池モジュールの電流電圧特性の測定を、高精度で行うことができる。
【0250】
【実施例4】
実施例1において、測定対象の積層型光電変換素子と合成光の照射装置と部分短絡電流比較制御手段を以下のように変更し、電圧検出手段119、電流検出手段120として、絶縁アンプ4台と、メモリー機能を有する16チャンネル16ビットの高速A/D変換ボードを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定した。
【0251】
測定対象の積層型光電変換素子としては、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siトップセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeミドルセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeボトムセル)を、この順に積み重ねた構造のa−Si/a−SiGe/a−SiGeトリプル型太陽電池モジュールを用いた。
【0252】
このトリプル型太陽電池モジュールは、1枚のステンレス基板上に作成された、35cm×24cmの大きさのセルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ5枚直列に接続し、表面保護層を形成したものであり、開口部の光電変換面は、約120cm×35cm、外形の大きさは、約140cm×42cmである。このようなモジュールを3枚作成し、サンプルの番号を#4−1、#4−2、#4−3とした。
【0253】
また、合成光の照射装置としては、図12に示したような、ロングパルスタイプのキセノンランプによるパルス光を4つ合成する装置を用いた。図12において、1201、1204、1207、1210は、ロングパルス発光用のキセノンランプ、1202、1205、1208、1211は、凹面鏡、1203、1206、1209、1212は、ロングパルス発光用の専用電源、1213、1214、1215、1216は、多層膜による干渉フィルタであり、これらのパルス光源部と干渉フィルタは、紙面と垂直方向に、2セットずつ重なっている。
【0254】
また、1217は、平面ミラー、1218は、エアマスフィルタ、1219は、インテグレータ、1220は、シャッター、1221は、計測制御/データ処理手段、1222は、サンプルモジュール、1223、1224、1225はモニタリングセル、1226は、光照射面をそれぞれ示す。また、点線は、光軸とそれぞれの光源から出た光のおおよその広がりを、破線は計測制御命令のつながりを示す。なお、3つのモニタリングセル1223、1224、1225は、紙面に対し、サンプルモジュール1222の手前に配置されている。
【0255】
ここで、干渉フィルタ1213、1214、1215、1216は、枚数は4枚であるが、種類は3種類で、2枚は同じ種類のものである。本実施例では、サンプルのコンポーネントセルの数が3つなので、3種類の光を合成している。実施例1と同様に各コンポーネントセルの分光感度を測定し、各分光感度特性が、最大値となる波長をλ1、λ2、λ3とした。ここで、3種類の干渉フィルタは、分光感度最大値波長に対して±15%以内の波長に、透過率の最小値を持ち、透過率最小値波長を中心に、透過率が、約150nmの半値幅で低下しているものである。従って、ロングパルスタイプのキセノンランプを光源とした光は、前述の干渉フィルタを透過することによって、トップセル、ミドルセル、ボトムセルの各々の分光感度の最大値近傍の光のみ減衰したスペクトルを持つ。光照射面1226には、これら3種類の光の合成光が入射する。
【0256】
また、ロングパルスタイプのキセノンランプの点灯は、ランプが放電を維持できる最小電流に近いランプ電流値での待機点灯の後、スイッチング装置によって、定常光の点灯の場合の定格電流を超える目標電流が流されるパルス点灯に移る。このパルス点灯移行時、ランプ電流は、目標電流を超える電流値に一旦オーバーシュートした後、目標電流の準定常発光状態を、所望の時間維持し、その後、待機点灯に戻る。ここで、準定常発光状態においても、キセノンランプの発光強度は、一定ではなく、実施例1の定常光型の発光と同様に、ある程度変動している。上記の準定常発光状態における発光強度の変動は、約10msecの周期で約±3%であった。このような発光強度の変動は、ロングパルス発光用のキセノンランプ、1202、1205、1208、1211の間で同期していなかったので、上記の準定常発光状態において、合成光のスペクトルが変動した。また、発光強度の変動が同期していた場合は、キセノンランプの間で、発光開始の時点をずらすように遅延回路を入れることで、合成光のスペクトルを変動させることができる。
【0257】
また、モニタリングセルとしては、1cm×1cmの大きさの結晶シリコン太陽電池501の光入射側に、以下の3つの組み合わせの光学フィルタを取り付けて、3つのモニタリングセル(モニタリングセル1,2,3)を作成した。
【0258】
モニタリングセル1としては、主としてトップセルの感度の高い波長である青色の光を透過させるフィルタと赤外光を吸収するフィルタを組み合わせたものを用いた。フィルタとしては、例えば、HOYA(株)製のHA30とB460を用いることができる。それによって、サンプルのトップセルの分光感度と近似した分光感度をもつモニタリングセル1を作成した。
【0259】
モニタリングセル2は、フィルタとして、HOYA(株)製のHA30と東芝硝子(株)製のLB−A8を用いた結果、サンプルのミドルセルの分光感度と近似した分光感度を得た。
【0260】
モニタリングセル3は、フィルタとして、HOYA(株)製のCF870(長波側をカットするコールドフィルタと呼ばれる干渉フィルタ)と東芝硝子(株)製のA−73Bを用いた結果、サンプルのボトムセルの分光感度と近似した分光感度を得た。
【0261】
ここで、実施例1と同様に変動する合成光の平均的スペクトルを測定し、式(13)によって、モニタリングセル1、2、3それぞれについて、ミスマッチ係数M1、M2、M3を計算したところ、それぞれ、1.004、0.996、0.992であり、サンプルセルとモニタリングセルの分光感度の近似度は、良好であった。
【0262】
また、それぞれのモニタリングセルは、予め、校正機関に、一次基準太陽電池としての校正を依頼し、基準状態における短絡電流の値(校正値)を求めた。その結果、それぞれのモニタリングセルの校正値は、モニタリングセル1が、5.17mA、モニタリングセル2が、7.56mA、モニタリングセル3が、7.29mAであった。
【0263】
従って、モニタリングセル1、2、3が、上記の合成光の照射下で、出力するIsc(部分短絡電流)をそれぞれ、I1、I2、I3(mA)とすれば、以下の式
(I1:I2:I3)=5.17:7.56:7.29 …(19)
を満たす時に、各コンポーネントセルの短絡電流の比率が、基準太陽光の下での値に等しいと推定される。式(19)は、発明の実施の形態あるいは実施例1で用いた式(2)と同等の基準を示す式である。
【0264】
ここで、モニタリングセル1、2、3のそれぞれの両極間に、1Ωのシャント抵抗を取り付け、シャント抵抗の両端の電圧差を、測定することで部分短絡電流検出手段とした。また、式(19)の成立の判断としては、
7.56/5.17≒1.462
7.29/5.17≒1.410
であるので、以下の式
0.98≦I2/I1/1.462≦1.02 …(20)
0.98≦I3/I1/1.410≦1.02 …(21)
の両方を満たす場合に、式(19)を満たすと判断した。
【0265】
部分短絡電流比較制御手段としては、上記の式(20)と式(21)の両方を満たす場合に、電圧検出手段と電流検出手段に、同時に、測定開始のトリガ信号を出し、電圧可変手段に、次の設定電圧に設定するトリガ信号を出す機能を有するものを用いた。
【0266】
ここで、高速A/Dボードは、メモリ機能を有し、プリトリガ機能を有するので、高速A/Dボードの測定の積分時間を0.01PLCとし、0.005PLCのプリトリガをかけた。また、トリガ出力回路により、実施例1と同様に、0.5msecの遅延時間を設けて、バイポーラ電源が次の電圧設定を開始するようにした。なお、本実施例では、64点の設定電圧を予め、パーソナルコンピュータで計算して、バイポーラ電源に記憶させておいた。
【0267】
また、上記の合成光の下で、式(20)と式(21)の両方を満たす時点と時点の間隔は、周期的ではなかったが、平均で、約5msec、最小約2msecであり、約320msecの間に、64点の電圧及び電流のデータ対を取得した。なお、ロングパルス発光の準定常発光状態は、約400msec維持し、その間の光照射面における放射照度は、1000±50W/mであった。一方、トリプル型太陽電池モジュールの時定数τは、約3μsecであった。よって、常に式(7)を満たしていたので、図3のフローチャートにおけるステップS070は省略した。
【0268】
また、測定中のトリプル型太陽電池モジュールの温度上昇は、0.2℃未満であった。トリプル型太陽電池モジュールは、25℃に空調された実験室で測定されたので、モジュールの温度は、25℃±2℃の範囲内であった。
【0269】
得られた電流電圧特性から、実施例1と同様に、出力特性の各パラメータを計算し、測定結果を表5にまとめた。
【0270】
また、ロングパルス発光キセノンランプの1灯ごとの発光強度を所望の値に制御することは、非常に困難であったため、従来のマルチソース法によって電流電圧特性を測定することは、できなかった。
【0271】
本実施例の測定結果の精度を検証するため、同じサンプルを、前述の基準太陽光法によって、屋外で測定した。基準太陽光法の場合、快晴であるだけでなく、エアマス、混濁度、下降水量などの条件が基準に適合しなければならないので、そのような状態の得られるまで4ヶ月以上を要した。
【0272】
上記本発明の測定方法で求めたの出力特性値を、基準太陽光法による測定値を1とした相対値で表記して、表5にその結果をまとめた。
【0273】
【表5】
Figure 2005011958
【0274】
表5から、明らかなように、本発明に係る測定装置と測定方法によれば、基準太陽光法の測定結果との誤差は、±1%未満であり、基準太陽光法のように、測定機会の非常に少ない方法ではなく、屋内で、いつでも、なおかつ安価な測定装置によって、大面積のトリプル型太陽電池モジュールの電流電圧特性の測定を、高精度で行うことができる。
【0275】
【実施例5】
実施例1において、被測定サンプルとモニタリングセルと基準セルと光源101を以下のように変更し、電圧検出手段119、電流検出手段120として、実施例4と同様の装置を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層型光電変換素子の電流電圧特性を測定した。
【0276】
被測定サンプルとして、光入射側からAlGaAsによるpn接合(AlGaAsセル)と、GaAsによるpn接合(GaAsセル)とをこの順に積み重ねた構造のAlGaAs/GaAsダブル型光センサー3枚を用いた。サンプル3枚の番号を#5−1〜#5−3とする。
【0277】
このダブル型光センサーは、1枚のGaAsウエハー上に作成された後、1cm×1cmの大きさにカットされたものであり、センサーとしてユニット化される前の状態である。
【0278】
上記のダブル型光センサーの分光感度を実施例1と同様の方法で測定した結果、トップセルであるAlGaAsセルが律速セルであった。
【0279】
モニタリングセルとしては、光電変換素子501として、AlGaAs(p)/GaAs(n)のヘテロ接合の単接合素子を用い、光学フィルタをダブル型光センサーのAlGaAsセルの分光感度に近似するように選択したものを、モニタリングセル1、光学フィルタをGaAsセルの分光感度に近似するように選択したものを、モニタリングセル2とした。また、モニタリングセルは、予め、校正機関に、二次基準太陽電池としての校正を依頼し、基準状態における短絡電流の値(校正値)を求めたものを使用した。
【0280】
基準セルとしては、被測定サンプルと同じ構造で、同じ1cm×1cmの大きさの積層型光センサーを、多数作成したものの中から、分光感度の測定の結果、律速セルが、被測定サンプルと同じくトップセルであって、平均的な電流電圧特性を持つものを選択した。また、基準セルは、あらかじめ、モニタリングセル1を基準セルとした本発明に係る測定方法によって、基準状態における短絡電流を測定したものを用いた。
【0281】
光源101として、定常点灯用のキセノンランプに替えて、実施例4と同様で、出力の小さいロングパルス型発光のキセノンランプを用いた。電源103も、ロングパルス発光用の専用電源に変更した。
【0282】
実施例1と同様に、ハロゲンランプの発光強度は、一定と見なすことができ、実施例4と同様に、ロングパルス型キセノンランプの発光強度は、準定常発光状態においても、約±3%の変動があったので、合成光のスペクトルが変動した。
【0283】
部分短絡電流比較制御手段として、I2/I1の値が所望の値になった時に、電圧検出手段と電流検出手段に、同時に、測定開始を指示するトリガ信号を出力し、電圧可変手段に、次の設定電圧への設定を指示するトリガ信号を出力する機能を有するものを用いた。実施例4と同様にして、64点の電圧、電流のデータ対を取得した。
【0284】
実施例1と同様の手順で、測定するサンプル3枚の電流電圧特性を得た。得られた電流電圧特性から、実施例1と同様に、出力特性の各パラメータを計算し、測定結果を表6にまとめた。また、実施例1と同様に、マルチソース法による測定を行い、その測定値を1とした相対値も表記した。
【0285】
【表6】
Figure 2005011958
【0286】
表6から、明らかなように、本実施例においても、実施例1と同様に、安価な測定装置によって、高精度の電流電圧特性の測定を行うことができる。
【0287】
【発明の効果】
以上説明視聴に、本発明によれば、合成光が、常に短絡電流の比率が所定の値を満たすように制御されていない状態であっても、光電変換素子の電流電圧特性を基準太陽光の下で測定するのと同様に正確に測定することができる。
【0288】
また、合成光の調整方法が簡略化されるので、測定の制御性が向上すると共に、操作者の違いによる測定誤差を小さくすることができる。
【0289】
また、従来の屋内での測定方法では困難であった、例えば、1m×1m以上の大面積の光電変換素子についても正確な電流電圧特性の測定が可能となる。
【0290】
また、照射光としてパルス光を用いる場合であっても、積層型光電変換素子の電流電圧特性を基準太陽光の下で測定するのと同様に正確に測定することができる。
【0291】
更に、本発明により、正確な電流電圧特性が得られることによって、光電変換素子の製造工程の歩留まりを安定させ、製品における出力を一層確実に保証することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測定装置の一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明における、短絡電流の比率の変化と電圧測定、電流測定、電圧設定のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。
【図3】本発明の測定方法の一例における工程を示したフローチャートである。
【図4】本発明の測定方法の他の例における工程を示したフローチャートである。
【図5】本発明のモニタリングセルの例を分解して示した断面構成図である。
【図6】本発明の測定装置のトリガ出力回路の基本的構成を示す回路図である。
【図7】積層型光電変換素子の分光感度の例を示すグラフである。
【図8】本発明のモニタリングセルの分光感度の例を示すグラフである。
【図9】本発明の測定結果の電流電圧特性曲線の例を示すグラフである。
【図10】本発明の測定装置の他の例を模式的に示す図である。
【図11】本発明の測定方法の一例における、パルス発光による部分短絡電流とI2/I1の時間変動を示すグラフである。
【図12】本発明の測定装置のさらに他の一例を模式的に示す図である。
【図13】ロングパルス型のパルス発光の、発光強度の時間変化の例を示すグラフである。
【図14】エアマス1.5の基準太陽光の分光放射照度を表すグラフである。
【符号の説明】
101、104 光源
102、105 楕円ミラー
103、106 光源用の電源
107 ハーフミラー
108 フィルタ
109 インテグレータ
110 シャッター
111 平面ミラー
112 コリメーターレンズ
113 積層型光電変換素子
114、115 モニタリングセル
116 光照射面
117、118 部分短絡電流検出手段
119 電圧検出手段
120 電流検出手段
121 電圧可変手段
122 部分短絡電流比較制御手段
123 計測制御/データ処理手段
501 光電変換素子
502 ケース
503 ホルダー
504、505 光学フィルタ
601、602 入力端子
603 係数増幅器
604 比較器
605 否定論理器
606、608 コンデンサ
607、609 抵抗
610 ダイオード
612 出力端子
1001、1004 キセノンランプ
1002、1005 凹面鏡
1003、1006 専用電源
1007、1008 干渉フィルタ
1009 計測制御/データ処理手段
1010 サンプルモジュール
1011、1012 モニタリングセル
1013 光照射面
1201、1204、1207、1210 キセノンランプ
1202、1205、1208、1211 凹面鏡
1203、1206、1209、1212 専用電源
1213、1214、1215、1216 干渉フィルタ
1217 平面ミラー
1218 エアマスフィルタ
1219 インテグレータ
1220 シャッター
1221 計測制御/データ処理手段
1222 サンプルモジュール
1223、1224、1225 モニタリングセル
1226 光照射面

Claims (20)

  1. 複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子に、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法であって、
    前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる工程と、
    前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する工程と、
    前記短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて、前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する工程と、
    前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる工程と、
    前記推定する工程、前記測定する工程、及び前記変化させる工程を複数回繰り返す工程と、
    前記繰り返す工程で得られた測定値に基づいて、前記光電変換素子の電流電圧特性を求める工程と、を備えることを特徴とする光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  2. 前記合成光として、1000W/mの放射照度を中心として、前記光電変換素子の短絡電流の放射照度に対する直線性が保たれる範囲において、前記複数の半導体接合部の各々における短絡電流の比率が、前記所定の値となるような合成光を照射することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  3. 前記変動させる工程で、前記光電変換素子の温度が2℃上昇するまでの間に、前記複数の半導体接合部の各々における短絡電流の比率が前記所定の値に、少なくとも30回以上等しくなるように分光分布を変動させることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  4. 前記測定する工程における測定時間内での前記複数の半導体接合部の各々の短絡電流の比率の変化が、基準太陽光を照射した場合の比率に対して±2%以内であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  5. 前記測定する工程で、前記複数の半導体接合部の各々の短絡電流の比率が所定の値となると推定されるタイミングより、測定時間より短い時間だけ先行させて測定を開始することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  6. 前記変化させる工程において、前記出力電圧を段階的に変化させ、該工程において電圧を設定してから、前記測定する工程で測定を開始するまでの時間が、前記光電変換素子の充放電の時定数の4倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  7. 複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子に、異なる分光分布を有する2以上の光を合成した合成光を照射して、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法であって、
    前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる工程と、
    前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する工程と、
    前記推定された短絡電流の比率を記録する工程と、
    前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する工程と、
    前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる工程と、
    前記推定する工程、前記記録する工程、前記測定する工程、及び前記変化させる工程を、前記所定の時間よりも短い時間で複数回繰り返す工程と、
    前記繰り返す工程で得られた測定値のうち、前記記録された短絡電流の比率が所定の範囲内にあることを条件として測定値を選択する工程と、
    前記選択された測定値に基づいて、前記光電変換素子の電流電圧特性を求める工程と、を備えることを特徴とする光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  8. 前記推定する工程で、前記光電変換素子の近傍に設けられ、前記複数の半導体接合部の各々の分光感度に近似した分光感度を有する複数のモニタリングセルの短絡電流の比率から、前記短絡電流の比率を推定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光電変換素子の電流電圧特性の測定方法。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載された光電変換素子の電流電圧特性の測定方法をコンピュータ装置に実行させるコンピュータプログラム。
  10. 複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子の電流電圧特性を測定する装置であって、
    異なる分光分布を有する2以上の光を合成して合成光を得る手段と、
    前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる手段と、
    前記光電変換素子に前記合成光を照射する手段と、
    前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する手段と、
    前記短絡電流の比率が所定の値となるのに応じて、前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する手段と、
    前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる手段と、を備えることを特徴とする光電変換素子の測定装置。
  11. 前記測定する手段は、前記短絡電流の比率が所定の値となったときに、前記測定の開始を指示する信号を出力する手段を含むことを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子の測定装置。
  12. 前記信号を出力する手段は、所望の時間だけ先行して前記信号を出力することが可能であることを特徴とする請求項11に記載の光電変換素子の測定装置。
  13. 前記測定する手段による前記測定の終了後に、前記変化させる手段に、設定電圧及び設定電流の少なくとも一方の変更を指示する信号を出力する手段を有することを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子の測定装置。
  14. 複数の半導体接合部が積み重ねられた光電変換素子の電流電圧特性を測定する装置であって、
    異なる分光分布を有する2以上の光を合成して合成光を得る手段と、
    前記合成光の分光分布を所定の時間内で変動させる手段と、
    前記光電変換素子に前記合成光を照射する手段と、
    前記複数の半導体接合部の各々において、前記合成光の照射によって出力される短絡電流の比率を推定する手段と、
    前記推定された短絡電流の比率を記録する手段と、
    前記合成光の照射による前記光電変換素子の出力電圧及び出力電流を測定する手段と、
    前記出力電圧及び前記出力電流の少なくとも一方を変化させる手段と、
    前記測定お擦る手段によって測定された測定値のうち、前記記録された短絡電流の比率が所定の範囲内にあることを条件として測定値を選択する手段と、を備えることを特徴とする光電変換素子の測定装置。
  15. 前記合成光を得る手段が、複数の光源を備えた疑似太陽光照射装置であることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
  16. 前記合成光を得る手段が、単一の光源から射出し、複数の種類のフィルタを通った光を合成する疑似太陽光照射装置であることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
  17. 前記疑似太陽光照射装置が、ショートパルス型ソーラシミュレータを用い、前記複数の光源の間で、パルス発光のタイミングをずらすことが可能に構成されていることを特徴とする請求項15に記載の光電変換素子の測定装置。
  18. 前記疑似太陽光照射装置が、定常光型ソーラシミュレータ又はロングパルス型ソーラシミュレータを用い、実質的に定常発光をしている時間における光強度を変動させることを特徴とする請求項15に記載の光電変換素子の測定装置。
  19. 前記推定する手段が、前記光電変換素子の近傍に設けられ、前記複数の半導体接合部の各々の分光感度に近似した分光感度を有する複数のモニタリングセルの短絡電流の比率から、前記短絡電流の比率を推定することを特徴とする請求項10から18のいずれか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
  20. 測定データをグラフとして表示させる手段を更に備えることを特徴とする請求項10から19のいずれか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
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