JP5583381B2 - 架構の補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は柱と梁との接合部を効果的に補強する架構の補強構造に関するものである。
従来から、鉄骨造の建物においては、柱と梁の接合部をピン接合とし、当該接合部の近傍に方杖材を設け、当該方杖材により地震等の水平力に抵抗するように構成する構成が採用されていることが知られている。
例えば特許文献1には、鋼製の柱梁と方杖ブレースとを有する柱梁仕口構造を有する架構において、梁が第1の接合部材を介して乾式接合で柱に接合されると共に、柱梁間に架設される方杖ブレースがその両端を第2の接合部材を介して乾式接合で柱および梁にそれぞれ接合されている構成が開示されている。
かかる構成によれば、当該架構に荷重が作用する場合でも、梁と柱との間で曲げモーメントと軸方向力とせん断力が伝達可能である。また、当該特許文献1の構成においては、接合部の曲げ強度が梁部材の曲げ強度よりも低く設定されている。
特開2007−332682号公報
上記特許文献1の構成の如き接合部の曲げ強度を梁部材の曲げ強度より低いものとした架構では、想定する地震に対して、方杖材が降伏して地震エネルギーを吸収することにより、梁部材に作用する曲げモーメントをその梁部材の曲げ強度に到達させないことを前提としている。
ところで、近年観測される地震動は、その規模が年々大きくなっている。かかる点に鑑みると、上記特許文献1の如き構成においては、設計当初に想定していた地震を超える震度の地震が発生し、想定よりも大きな地震によるエネルギーが架構に作用することにより、方杖材が吸収できるエネルギーを超えて地震エネルギーが入力されると、方杖材は破断することとなり、その結果として梁部材に作用する曲げモーメントが大きくなり、当該曲げモーメントがその梁部材の曲げ強度に到達することが充分に予想される。
しかしながら、特許文献1の構成においては、接合部の曲げ強度が梁部材の曲げ強度より低いため、方杖材が塑性変形した後にさらに過大な荷重が作用すると、梁の塑性変形に先んじて接合部が破壊してしまう虞がある。このため、結局のところ荷重作用時にエネルギー吸収を期待できるのは実質的に方杖材のみとなり、仮に想定外の地震等が発生して過大な荷重が入力されてダンパーが破断してしまうと、架構全体の層間変形が急増して倒壊の危険性が一気に向上してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、方杖材の破断を抑制し、且つ、当該方杖材のエネルギー吸収能を充分に発揮させることができる架構の補強構造を提供することを目的とするものである。
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明は、
(1)鋼材からなる柱と梁とを接合してなる柱梁接合部の近傍に、前記柱と梁とに亘って方杖材を架設して補強された架構の補強構造であって、
前記柱及び梁が前記方杖材の全塑性耐力を上回る耐力を有し、
前記柱梁接合部は、前記柱と梁とを剛接合又は半剛接合して形成される共に、前記柱及び梁の全塑性耐力を上回る耐力を有する保有耐力接合とされており、
前記梁は、荷重により前記梁よりも先に前記方杖材を降伏させた後のさらなる荷重の増大によって、前記柱梁接合部を形成する梁端部で最大モーメントを発生させるものであり、
該梁端部には、該最大モーメントに起因して塑性化が予定される塑性化領域が設けられ、
前記方杖材は、当該梁端部の塑性化領域よりもスパン中央側にて前記梁に連結されていることを特徴としている。
これによれば、剛接合又は半剛接合である柱梁接合部に方杖材を設置して補強された架構は、ピン接合である柱梁接合部に方杖材を設置して補強された構造より、地震力や風などの水平力(荷重)に対する建物の剛性が高く、地震や暴風時の層間変形の応答を抑えることができる。この結果、内外装の損傷を抑えられ、災害時の復旧コストを低減させることができる。
また、方杖材を設置する柱梁接合部を、接合される柱及び梁の全塑性耐力を上回る耐力を有するようにした保有耐力接合とすることで以下のような効果が得られる。
耐震設計上想定している規模を上回る地震が発生し、当該地震によるエネルギーが方杖材の吸収可能なエネルギーを超えて架構に作用した場合、当該方杖材の吸収可能なエネルギーを超えるエネルギーは、架構に作用することとなるが、柱梁接合部は、接合される柱および梁の全塑性耐力を上回る耐力を有しているので、柱梁が塑性化してエネルギーを吸収しても壊れることはなく、当該エネルギーを柱梁を塑性化させることで吸収することができる。
また、方杖材を設置して補強しても、地震による外力の増大によって梁端部の塑性化が避けられない場合がある。この場合、梁端部で全塑性耐力に達すると、塑性ヒンジが形成され、梁端部に塑性化する領域が生じることとなり、かかる領域が塑性変形することで、地震エネルギーが吸収されることとなるのである。ここで、梁端部の塑性化領域にて方杖材と梁とを連結すると、方杖材が取り付く梁端部が塑性化した後は方杖材からの力が梁に十分に伝達されず、方杖材によるエネルギー吸収効果および補強効果を十分に発揮できず、架構の層間変形が急増することが考えられ、そうなると、梁端部の曲げモーメントはさらに上昇して、梁の損傷が増大する。これに対し、梁端部の塑性化領域よりスパン中央側にて梁と方杖材とを連結させておくと、梁端部に塑性化領域が形成されても、方杖材は、その梁端部の塑性変形の影響を受けない位置で梁に連結されているので、梁の塑性化後であっても方杖材による補強効果を十分に発揮させることができる。
(2)また、前記梁端部と前記柱とがボルト接合されることで前記柱梁接合部が形成されていることが好ましい。
これによれば、梁端部と柱梁接合部がボルト接合であることにより、ボルトの伸びによる塑性変形が生じる。その結果、梁端部を溶接により接合する場合に比べ、梁端部の塑性化領域は短くなる。部材を設置する自由度が高まる。
(3)また、前記方杖材は、前記柱、梁及び柱梁接合部に作用する荷重によるエネルギーを吸収するダンパーであることが好ましい。
これによれば、方杖材がエネルギーを吸収するダンパーとして機能することとなり、揺れの初期段階から効率よくエネルギーを吸収するので、建物の最大変形を抑え、損傷を小さくできる。
(4)また、前記方杖材を形成するダンパーは、低降伏点鋼を用いて形成されていることが好ましい。
これによれば、方杖材が低降伏点鋼からなるダンパーであるため、ゴムや樹脂等の粘弾性体と異なり、温度により性能が変化することなく、時間的安定性および耐久性も極めて高い。したがって、温度変化や時間経過(経年劣化)によらず、架構の耐震性を安定的に発揮させることができる。
本発明によれば、方杖材の破断を抑制して当該方杖材のエネルギー吸収能を充分に発揮させることができる。
架構の平面的グリッド構成を示す図である。 架構の全体構成を示す斜視図である。 架構を構成する柱と大梁の接合状態を示す図である。 架構を構成する柱と大梁の接合状態を示す図である。 ダンパーの構成を示す図である。 ダンパーを付加した状態の柱と大梁の接合部を示す図である。 柱梁接合部周りの荷重の作用によるモーメントの変化を示す模式図である。
次に、本発明の最も好ましい実施形態について図を参照して具体的に説明する。本実施形態は、鉄骨造3階建ての架構を有する工業化住宅における補強構造の例であり、図1は架構の平面的グリッド構成を示す図、図2は架構の全体構成を示す斜視図、図3、図4は架構を構成する柱と大梁の接合状態を示す図、図5はダンパーの構成を示す図、図6はダンパーを付加した状態の柱と大梁の接合部を示す図である。図7は柱梁接合部周りの荷重の作用によるモーメントの変化を示す模式図である。
図1、2に示すように、住宅Aは、妻方向が2スパンで合計6つの平面グリッドからなる3層の架構からなる。図2に示すように、住宅Aの架構は、1層から3層まで連続した通し柱形式の複数の柱1と、各階層において隣接する柱1どうしを連結する複数の大梁(梁)2と、大梁2の直下に格子状に形成された鉄筋コンクリート造の基礎3とで構成されている。なお、柱脚部は特開平01−203522号公報に開示された露出型固定柱脚工法にて基礎に接合されている。
この架構を構築したのち、相対する大梁2の間に小梁を適宜架け渡した上でALC(軽量気泡コンクリート)からなる床パネルを梁の上フランジに載置して床が構成され、外周部の大梁2にALCからなる壁パネルを取り付けることによって外壁が構成されて住宅Aの躯体が完成する。
図3、図4に示すように、柱1は、外形寸法が150mm角の角形鋼管からなる通し柱となっており、柱脚プレート1aの接合部から中途部分に形成された柱・柱接合部1bまでの部分である下部柱1cは、22mmの肉厚を有する横断面内に溶接による継目が存在しない角型鋼管であり、長さ方向についても、柱部材を長さ方向に連結する節を有することなく構成されている。下部柱1cの上端部に連結されて上部の柱を構成する上部柱1dは、外形寸法が下部柱1cと同一の150mm角ではあるが、下部柱1cよりも薄い4.5mm〜6.0mmの肉厚を有する角形鋼管で構成されている。
柱1は、各階層の標準的な階高(大梁上端面間の離間寸法)が2870mmとなるように大梁2の接合高さ位置が設定されており、当該高さ位置にて、柱1の各面には大梁2のエンドプレート2dの孔2eに対応する孔1fが複数個連続して穿たれており、これによって各階の大梁2を受ける梁受け部1eが形成されている。なお、各孔1fの内壁には、ネジが切られている。
梁受け部1eは、大梁2の孔2eと同様に、上部2段と最下段の計6個の孔1fが、大梁2と接合するボルト4を螺入する孔であり、下から2段目の孔2個は位置合わせ用の孔である。柱・柱接合部1bは、特開平6−180026号公報、特開平8−60740号公報等に記載された公知の接合部構造によって3階の大梁2との梁受け部1eの上方に形成されている。
柱1の各面において、2階の大梁2を受ける梁受け部1eから下方向及び上方向に所定寸法離間した位置と、3階の大梁2を受ける梁受け部1eの下方向に所定方向離隔した位置には、後述するダンパー(方杖材)5をボルト接合する為の複数のボルト孔が穿たれてダンパー5を受けるダンパー受け部1gが形成されている。下部柱1cはシームレスパイプで構成されているのでダンパー受け部1gはボルト孔を穿設するだけで容易に形成することができ接合の高さを自由に設定することができる。なお、各ボルト孔の内壁には、ネジが切られている。
このように、柱1のうち下部柱1bを横断面内に溶接による継目が存在しないシームレスパイプで構成したので、ダンパー5を受ける受け部として柱の所定位置にジョイントボックス等を溶接する必要がなく、溶接欠陥によって性能が低下する可能性がない。従って、耐震性能に対する柱1の信頼性を高めることができる。また、シームレスパイプで構成された範囲内においては、柱1の側面の任意の位置にボルト孔を設けるだけでダンパー5を接合することができるので、ダンパー5の接合高さの設定を、住宅Aに求められる構造耐力や有効な室内空間の広さ等に応じて容易に変更できる。
図3に示すごとく、大梁2は、一対のフランジ2a、2bをウェブ2cによって連結して形成されるH形鋼からなり、全ての階層における全ての大梁2は、梁成が250mm、上下のフランジ2a、2bの幅が125mm、厚みが9mm、ウェブ2cの厚みが6mmに統一されている。
大梁2の各端部には、柱1に接合されるエンドプレート2dが溶接により取り付けられている。該エンドプレート2dは、所定の厚さを有する平板状に形成されており、該エンドプレートには、横方向に中心から左右対称に2列、縦方向に等間隔に4段、同一径の孔2eが計8箇所穿たれている。孔2eのうち上部2段と最下段の計6個の孔が柱1との接合に使用するボルト4を挿通する為の孔である。
なお、下から2段目の孔2個は柱1に大梁2を取り付ける接合作業の際、「シノ」と称する挿嵌部材を挿し込んで位置合わせを行う為の孔であり、これら柱1と大梁2との接合には使用しない。このように柱1の梁受け部1eに大梁2のエンドプレート2dが重ね合わされ、これらを上述の如くボルト締結することにより、柱梁接合部Bが形成される。
当該柱梁接合部Bは、大梁2端部のエンドプレート2dを柱1に高力ボルト4により締結する剛接合であり、また、荷重作用時に被接合材である大梁2及び柱1が塑性域に達するまで破断しない保有耐力接合として構成されている。
詳述すると、柱と梁との接合部を剛接合とする場合、梁は地震発生時に躯体に作用する地震エネルギーを塑性変形により吸収する構造要素となることが期待されている。大きな地震動を受けている間に亘って梁の塑性化によるエネルギー吸収機構を保持するためには、当該梁を保持する柱との接合部である梁両端の柱梁接合部が破断してはならない。このように、梁の塑性変形能を充分に発揮させるべく、梁の塑性変形よりも先に柱梁接合部を破断させない接合状態を保有耐力接合という。
ここで、柱梁接合部を保有耐力接合とするためには、柱と梁との接合方法はもちろん、梁や柱の鋼材の材質や強度など多くの点が設計と関係するが、柱梁接合部の耐力に関しては、当該柱梁接合部の最大曲げ耐力が、梁の梁端部に作用する最大曲げモーメントを上回ることがもっとも主要な条件となる。
そこで、梁の終局耐力をその全塑性モーメントで評価すると、柱梁接合部の必要曲げ耐力は以下の式で規定される。
また、大梁2の上下フランジ2a、2bには、各種部材をボルト固定する為の孔群2a1、2b1が柱1に接合した状態でモジュールに基づく基準線を中心にして穿たれている。この構成は寸法も含め全ての階層の全ての大梁2に共通している。
ところで、大地震に対する設計においては、柱梁接合部Bを形成する大梁2の梁端部に塑性化が生じることが想定される。梁や柱を線材に置換した解析においては、梁や柱の塑性化は、塑性ヒンジという仮想点を梁端縁部や柱端縁部に仮定し、当該仮想点の回転で代表されることが多いが、実際には、特に曲げモーメント分布が材軸方向に添って勾配を有する梁などにおいて、塑性回転を引き起こすためには、塑性化する領域である塑性化領域が梁端縁部のみならず材軸方向に拡げた位置にも設けられるものとなる。
耐震設計上、当該塑性化領域は、柱と梁とを溶接接合により接合する場合、梁の長さをl、梁成をDとすると、柱梁接合部Bを形成する柱芯から梁のスパン中央方向に向けてl/10又は2Dの領域とされているが、本実施形態においては柱1と大梁2とを高力ボルト接合により接合しており、これによって、本実施形態においては、図6に示す如く、柱1の中心線から大梁2のスパン中央方向に向けてDまでの領域のうち、大梁2が占める領域が当該大梁2の塑性化領域2hとなり、該塑性化領域2hは、上記溶接接合により梁と柱を接合する構成よりも梁端部側に縮小されるものとなっているのである。
また、大梁2の上下フランジ2a、2bには、柱梁接合部Bを形成する梁端部からみて上記塑性化領域2hよりもスパン中央側となる位置に、各種部材をボルト固定する為の孔群2a1、2b1が設けられている。
図5に示すダンパー5は、低降伏点鋼からなる芯部材5aと、該芯部材5aに圧縮力を作用させた際の座屈を防止する為の座屈防止部材5bとからなる。
芯部材5aは、矩形断面を有する扁平で長尺な棒板状の本体5a1と、該本体5a1の一端に溶接され大梁2のフランジ2bに接合される第1座部5a2と、該本体5a1の他端に溶接されて柱のダンパー受け部1gに接合される第2座部5a3とを備えている。
座屈防止部材5bは、一般構造用圧延鋼材からなる一対の平板5b1の間に一対の側板5b2を挟みこんで断面ロ字状とし、これらをボルト5b3により締結して構成され、当該座屈防止部材5bの中央の空隙部分に芯部材5aの本体5a1が配されている。座屈防止部材5bの一対の平板5b1の間隔は芯部材5aの厚さよりも僅かに大きいものとされると共に、一対の側板5b2の間隔は芯部材5aの幅よりも僅かに大きく形成されている。
これにより、座屈防止部材5bによって芯部材5aは弱軸まわりの面外曲げが規制されることとなり、これによって芯部材5aの座屈が規制されることとなっている。この結果、ダンパー5は引張力とともに圧縮力をも負担することができ、正負いずれの水平力に対しても抵抗することができるものとなっている。
図6に示すように、ダンパー5は方杖型であり、第1座部5a2を大梁2の下フランジ2bにボルト接合し、第2座部5a3を柱1のダンパー受け部1gにボルト接合することによって、大梁2と柱1に亘って架設されている。大梁2は、該大梁2の下フランジ2bにモジュールに基づいて設けられた複数の孔群のうち、柱1の配置の基準となる基準線(通り芯)から305mm(モジュールの1倍)の位置にある孔群2b1及びその周囲をダンパー連結部2gとして設定されており、当該ダンパー連結部2gにダンパー5の第1座部5a2がボルト接合されている。ここで、該ダンパー連結部2kは、上記大梁の塑性化領域2hよりも大梁2のスパン中央方向となる位置に設けられており、かかる位置でダンパー5が大梁2に連結されることにより、ダンパー5は大梁2の梁端部の塑性変形の影響を受けることはない。
ここで、塑性化領域2hは、上述の如く柱芯から大梁2のスパン方向に向けて梁成Dの大きさに等しい領域における大梁2の占める領域とされており、当該塑性化領域よりもスパン中央側にダンパー連結部2gが設けられているが、これら各部材を線材と仮定し、柱芯と梁端部を一致させて耐震設計を行うことに鑑みれば、大梁2の中心線とダンパー5の中心線との交点が少なくとも大梁2の梁端部から大梁2のスパン中央方向に向けて梁成Dとして設定される塑性化領域2h’よりも大梁2のスパン中央側に設けられていることが好ましい。本実施形態においては、大梁2のダンパー連結部2gが柱1の中心線から梁成Dとして設定される塑性化領域2hよりも大梁2のスパン中央側に設けられ、且つ、大梁2の中心線とダンパー5の中心線の交点が梁端部(各部材を線材と仮定する耐震設計上は柱芯に一致する)から大梁2のスパン中央方向に向けて梁成Dとして設定される塑性化領域2h’よりもスパン中央側に設けられており、いずれにしても、大梁2の梁端部に生じる塑性変形の影響を受けない位置にて大梁2とダンパー5とが接続されるものとなっているのである。
また、本実施例においてダンパー5は、柱1と大梁2に接合した状態でダンパー5の中心線Y1と大梁2の長手方向の中心線X1とのなす角度θが70度となるように構成されている。
なお、上述の如き孔群は、大梁2の長手方向に沿って所定の間隔で形成されており、塑性化領域2hとして規定されている範囲にも形成される場合があるが、その場合は、柱梁接合部Bを形成する大梁2の梁端部からみて当該塑性化領域2hよりもスパン中央側に位置する領域にて最も塑性化領域2hに近い位置に設けられている孔群又は当該孔群よりもさらにスパン中央側に設けられる孔群(本実施形態においては孔群2b1)からなるダンパー連結部2gを介してダンパー5が大梁2にボルト接合により連結されている。
また、ダンパー5と大梁2との連結位置を固定してダンパー受け部1gを柱梁接合部Bから離隔させていくと大梁2の長手方向とのなす角度が直角に近づいていき、大梁2の補剛効果を高めることができる。また、ダンパー5と大梁2の長手方向とのなす角度を変えずにダンパー5とのダンパー受け部1gを柱梁接合部Bから離隔させるとともにダンパー連結部2gをスパン中央方向に移動させた場合も、大梁2に作用する曲げモーメントを小さくすることができ、補強という点では有効である。
また、1本の柱1に対してダンパー5が取付け可能な位置(レベル)は、2階の大梁2のレベルにあっては大梁2の上下フランジ2a、2bであり、3階の大梁2のレベルでは下フランジ2bであり、夫々のレベルで4面(X、Y夫々の方向について2ヶずつ)取り付けることが可能である。
このように、柱梁接合部Bの近傍にダンパー5を設けることにより、本実施形態の架構Cが構成される。
上記構成による作用について、図7を参照しつつ説明する。
上記構成によれば、想定される大地震の発生においては、架構に作用する水平力をダンパー5が負担し、ダンパー5が塑性変形域に達して変形することでエネルギーを吸収し、これによって地震に耐えるものとなっている。特にダンパー5を効かせている状態においては、ダンパー5を不存在とする一般的な架構に比べて大梁2に作用する最大の曲げモーメントを小さくすることができ、しかもそれを大梁2の柱1との連結部分ではなく母材部分に作用させることができるので構造耐力上有利となる。例えばスパンが4270mmの場合、大梁2に作用する曲げモーメントはダンパー連結部2gで最大となり、その値はダンパー5を設置しない状態での2階の大梁2の端部に作用する曲げモーメントの凡そ89%となる。
そして、ごくまれに発生する巨大地震により想定を超える水平力が作用した場合、大梁2においては、大梁2とダンパー5のダンパー連結部2gにもっとも大きなモーメントが作用することとなり、当該モーメントがダンパー5の降伏耐力よりも大きなものとなると、大梁2や柱梁接合部Bに先行して先ずダンパー5が降伏し、塑性変形域に達する(図7のM1)。
この後、ダンパー5は塑性変形域に達しているものの、破断していない状態であるので、かかる状態において、ダンパー5は、それ以上の荷重を負担することはできないものの、塑性変形を生じさせるだけの一定の荷重を負担する。このため、この後に引き続き先ほどよりも大きな水平力が作用すると、ダンパー5は一定の荷重を負担しつつ塑性変形すると共に、徐々に柱梁接合部Bに作用する荷重が増大する。すなわち、当該梁柱接合部5まわりのモーメント分布は、柱梁接合部5に作用するモーメントよりもダンパー連結部2gでのモーメントの方を大とするものの、これらモーメントの差分を徐々に小さなものとして推移する(図7のS2)。
そして、さらに水平力が増大することとなると、遂にはダンパー連結部2gのモーメントよりも柱梁接合部Bに作用するモーメントの方が大きなものとなり、これによって、柱梁接合部Bも塑性化することとなる。本実施形態においては、柱梁接合部Bは保有耐力接合として形成されているため、当該柱梁接合部Bの塑性化とは、実挙動においては大梁の梁端部に予め設けた塑性化領域2hが塑性化するものであって、これにより、大梁2は当該塑性化領域2hの塑性変形によって荷重を負担することとなるが、この状態においても、ダンパー5は大梁2の塑性化領域2hを外したスパン中央側にて大梁2に接続されているので、当該ダンパー5は、大梁2の塑性変形に伴って未だ塑性変形しつつ荷重(モーメント)を負担する。
これによって、上記実施形態においては、かかる終局的な局面においてもダンパー5をエネルギー吸収機構のメンバーとして加えることができる。また、大梁2の梁端部に塑性化領域2hが塑性化された状態であっても、ダンパー5が連結されている位置には塑性化が及ばないので、ダンパー5と大梁2間でダンパー5の降伏耐力に相当する力の伝達が可能となり、これによって、当該ダンパー5による柱梁接合部Bの補強効果を発揮させることも可能である。
このように、ダンパー5は破断するまでエネルギー吸収メンバーとなるものであるが、本実施形態において、ダンパー5は低降伏点鋼により形成されているため、その塑性変形能は著しく大きく、上述の如き終局的な局面であっても早期には破断に至らず、充分なエネルギー吸収能を発揮するのである。
また、ダンパー5は、低降伏点鋼を用いて形成されているため、ゴムや樹脂等の粘弾性体によりかかるダンパーを形成する場合と異なり、日射による紫外線照射、温度や湿度等の周辺環境や経年により性能が変化することなく、時間的安定性および耐久性も極めて高い。したがって、温度変化や時間経過によらず、建物全体の構造躯体としての耐震性を安定的に発揮させるものとなる。
大梁2のエンドプレート2dと柱1とがボルト接合されることで柱梁接合部Bが形成されているので、エンドプレート2dの曲げ変形及びボルトの伸びによる塑性変形が生じる。その結果、梁端部を柱に溶接により接合する場合に比べ、大梁2の梁端部の塑性化領域2hは短くなり、当該大梁2の長さ方向に亘って部材を設置する自由度が高められている。
なお、必要に応じて3階の大梁2のレベルにおいて上フランジ2aに取り付け可能にしてもよいし、R階の大梁2のレベルにおいて下フランジ2bに取り付け可能としてもよい。この場合、柱1の全てを長さ方向に継ぎ目のない1本のシームレスパイプで構成するのが好ましい。
また、純鉄骨造以外に鋼管柱にセメントミルクを充填したCFT造や鉄骨鉄筋コンクリート造にも適用可能である。また、本発明の構成は、柱と梁の接合部を半剛接合する構成においても、採用可能である。
A…住宅
B…柱梁接合部
C…架構
1…柱
1a…柱脚プレート
1b…柱・柱接合部
1c…下部柱
1d…上部柱
1e…大梁との接合部
1f…孔
1g…ダンパー受け部
2…大梁(梁)
2a…上フランジ
2a1…孔群
2b…下フランジ
2b1…孔群
2c…ウェブ
2d…エンドプレート
2e…孔
2h…塑性化領域
2g…ダンパー連結部
3…基礎
4…ボルト
5…ダンパー(方杖材)
5a…芯部材
5a1…本体
5a2…第1座部
5a3…第2座部
5b…座屈防止部材
5b1…平板
5b2…側板
5b3…ボルト

Claims (4)

  1. 鋼材からなる柱と梁とを接合してなる柱梁接合部の近傍に、前記柱と梁とに亘って方杖材を架設して補強された架構の補強構造であって、
    前記柱及び梁が前記方杖材の全塑性耐力を上回る耐力を有し、
    前記柱梁接合部は、前記柱と梁とを剛接合又は半剛接合して形成される共に、前記柱及び梁の全塑性耐力を上回る耐力を有する保有耐力接合とされており、
    前記梁は、荷重により前記梁よりも先に前記方杖材を降伏させた後のさらなる荷重の増大によって、前記柱梁接合部を形成する梁端部で最大モーメントを発生させるものであり、
    該梁端部には、該最大モーメントに起因して塑性化が予定される塑性化領域が設けられ、
    前記方杖材は、当該梁端部の塑性化領域よりもスパン中央側にて前記梁に連結されていることを特徴とする架構の補強構造。
  2. 前記梁端部と前記柱とがボルト接合されることで前記柱梁接合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の架構の補強構造。
  3. 前記方杖材は、前記柱、梁及び柱梁接合部に作用する荷重によるエネルギーを吸収するダンパーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架構の補強構造。
  4. 前記方杖材を形成するダンパーは、低降伏点鋼を用いて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の架構の補強構造。
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