JP5583314B2 - 柱と梁との接合部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨造架構における柱と梁との接合部構造に関するものである。
鉄骨ラーメン構造の建築物において柱と梁とを高力ボルト等のボルトにて接合する場合、従来から柱の梁接合部の肉厚を増すことによって梁接合部の剛性を高めることが一般的に行われてきた。例えば、特許文献1では、角形鋼管柱2の接合部分に角形鋼管柱2よりも厚肉の鋳鋼製の接合金物3を溶接によって取り付け、梁接合部の剛性を高める技術が開示されている。また、特許文献2では、鋼管柱11の長手方向の一部に誘導加熱および圧縮によって厚肉部11aを設けて、厚肉部11aに梁を接合する技術が開示されている。
一方、建築物の高さ制限の厳しい地域に建てられることの多い戸建住宅において、高さ制限の範囲内で快適かつ有効な居住空間を構成する為の工夫が提案されている。例えば、特許文献3では、一部のグリッドにおいて中間階層の床レベルを変更し、階高の増した下層階をリビングルーム等のパブリックな空間として利用し、階高の減少した上部階を収納空間として利用することが提案されている。このような空間構成とすることによって、建築物の高さを増すことなく天井が高く日照や採光も確保しやすい快適な空間を下層階に構成することができ、また、その上部の天井高が減少し居住に適さない空間も有効に活用することができる。
特開昭61−113941号公報 特開平7−292771号公報 特開平6−323010号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術の場合、接合金物の溶接作業という工程が梁接合部の数だけ必要となり手間がかかりコストアップにつながるという問題があった。また、大きな曲げモーメントの作用する梁接合部近傍での溶接作業を伴うので、熱の影響による材質の劣化や溶接欠陥等の問題が生じないように全ての梁接合部について細心の注意を払って品質管理を行う必要も生じていた。
また、特許文献2に開示された技術は、加熱装置9や圧縮装置4等を含む特殊かつ複雑な厚肉加工装置が必要であり、高コストかつ簡易に行い得るものではない。また、厚肉部11aの肉厚を一定に保つように装置を制御することは実際には困難なことであった。更に、溶接の工程を省略することができるので溶接欠陥の問題は解消されるものの、鋼管を圧縮することにより肉厚を増す為、鋼管に内部歪が残留する。その為、後工程として熱処理を行い歪を除去する必要があった。
また、鉄骨ラーメン構造の建築物において特許文献3に開示されたような空間構成とする為には、中間階層の一部の梁の接合レベルを変更する必要があるが、この場合、上記特許文献1、2いずれの技術を利用したとしても、柱と梁とを接合する位置は特殊な加工のされた厚肉の梁接合部に限定される為、厚肉の梁接合部を夫々の梁接合レベル毎に設けなければならず更に手間とコストがかさむという問題があった。
特に、柱や梁等の部材の断面寸法が規格化された工業化住宅においては、設定された梁レベルに応じて予め厚肉の梁接合部を複数形成しておく、或いは柱のバリエーションを複数用意しておく必要がある為、部材品種が膨大になり、部材の管理に手間とコストがかかるという問題があった。また、和室や浴室の床面と一般部の床面との段差を解消する為に一部床のレベルを50mmから100mm程度下げる場合、床を支持する梁のレベルを床下げのレベルに応じて下げる必要がある。この場合、1本の柱に接合する複数の梁どうしが高さ方向にラップするような構成に対応させようとすると、厚肉の梁接合部のバリエーションも増加させざるを得なくなり更に複雑な部材構成とする必要があった。従って、工業化住宅のメリットのひとつである部材の規格化によるコスト削減効果が薄らいでしまうという問題があった。
本発明は、従来技術の問題を解決し、鉄骨構造における柱と梁との接合部を簡易かつ高い品質をもって構成することができ、更に、一部の梁の接合レベルの変更にも容易かつ低コストで対応することが可能な柱と梁との接合部構造を提供することを目的とする。
上記従来技術の課題を解決する為の本発明に係る柱と梁との接合部構造の第1の構成は、中低層の鉄骨造建築物の架構を構成する柱と梁との接合部構造であって、前記柱は、フランジ面の所定高さにボルト接合用の孔を穿った梁接合部を備えるとともに、少なくとも柱脚プレートの接合部から3階梁接合部までの範囲を、横断面内に溶接による継目のない均一の肉厚を有し、且つ前記梁のフランジの厚さよりも厚肉の角形鋼管によって長さ方向についても継目なく構成され、前記梁とボルト接合されたことを特徴とする。
また、本発明に係る柱と梁との接合部構造の第2の構成は、第1の構成において、前記柱の肉厚が、前記梁のフランジの厚さの2乃至3倍であることを特徴とする。
また、本発明に係る柱と梁との接合部構造の第3の構成は、第1又は第2の構成において、前記梁の端部には接合プレートが接合されており、当該接合プレートが前記柱の梁接合部に当接されてボルト接合されたことを特徴とする。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の第4の構成は、第1又は第2の構成において、前記梁の端部にはT字状断面の接合金物が接合されており、当該接合金物が前記柱の梁接合部に当接されてボルト接合されたことを特徴とする。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の第5の構成は、第1乃至第4の構成のいずれかにおいて、前記柱の梁接合部におけるボルト接合用の孔が上下方向に複数穿たれており、前記柱の梁接合部が、中間の階層において当該ボルト接合用の孔の間隔に対応した間隔で上下方向に複数箇所形成されたことを特徴とする。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の構成によれば、梁との接合はフランジ面に穿たれた孔を利用したボルト接合であり、少なくとも柱脚プレートの接合部から3階梁接合部までの範囲を、横断面内に溶接による継目のない均一の肉厚を有する厚肉の角形鋼管によって長さ方向についても継目なく構成している。これにより、地震時に大きな曲げモーメントが発生する柱の下層部における梁接合部の形成工程において溶接等の加熱工程を伴わない。従って、梁接合部が加熱による欠陥の影響を受けず、梁接合部の構造安全性を高めることができる。
また、柱を構成する部材の点数が少なく(即ち部材の接合箇所が少なく)、梁接合部もボルト接合用の孔を穿つという簡易な加工作業のみで形成が可能である。従って、柱の製造工程も大幅に簡略化することができ、当初の柱構成部材が持つ寸法精度を保ちやすいので寸法的な品質管理も容易となる。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の実施形態について、図を用いて説明する。本発明が適用される建築物は、主に中低層の鉄骨造建築物である。ここで、中低層とは、2階建てから5階建てぐらいまでの範囲をいう。構造形式としては、ラーメン構造、ブレースを併用したラーメンブレース構造等、柱と梁の接合部にて曲げモーメントの伝達が行われるものであればよい。構造種別としては、純鉄骨造以外にも、鋼管中内部にセメントミルクを充填したCFT造やさらに内部に鉄筋を配した鉄骨鉄筋コンクリート造等、鉄骨と他の材料とを併用するものでもよい。
本発明に使用する柱は、少なくとも柱脚プレートの接合部から3階の梁接合部までの範囲について、継目無、即ち鋼管の横断面内に溶接による継目が存在しない角形鋼管(いわゆるシームレスパイプ)によって、長さ方向についても継目なく構成され、更に、その角形鋼管の肉厚は一定で一般的な角形鋼管(ここではJIS G 3466等を指す)に比べて「厚肉」に構成されている。
角形鋼管の肉厚は接合される梁のフランジの厚さにほぼ等しく設定されるのが一般的であり、「厚肉」とは接合される梁のフランジの厚さよりも厚い肉厚のことである。角形鋼管の肉厚は接合される梁のフランジの厚さの2〜3倍の厚さを有するのが好ましい。
角形鋼管の肉厚が梁のフランジの厚さの2倍未満では、梁に対して、柱および梁接合部として十分な耐力と剛性が得られない。一方、角形鋼管の肉厚が梁のフランジの厚さの3倍より大きい場合には、梁に対して、柱および梁接合部としての耐力と剛性が過剰になる。その結果、高コストになると共に、重量が重くなりすぎるため、建設現場および鉄骨加工工場での作業性が著しく低下する。
柱をこのように構成した場合、梁の剛性に対して柱の剛性が大きくなり梁にヒンジが発生する崩壊メカニズムとなる。このメカニズムは全体崩壊メカニズムとも呼ばれ、ヒンジが多く形成されるため、一ヶ所の梁ヒンジで吸収するエネルギーが少なくて済む。したがって、梁が破断する可能性は低くなる。そのため、望ましい崩壊形式とされている。一方、梁を介して床を支持する柱が先に崩壊した場合、落階して生存空間が失われ多数の人命に危険が及ぶ可能性が高い。本実施形態の柱によれば、柱が先に崩壊することがなく、建築物の安全性を高めることができる。
梁にヒンジが発生する崩壊メカニズムを有する建築物はエネルギー吸収量が豊富であるといわれており、本実施形態に係る柱と梁との接合部構造を有する建築物はこの点からも耐震性に優れていると言うことができる。
均一な肉厚を有する角形鋼管と他の同一外形の角形鋼管とを接合して柱の断面を途中で変更する場合、柱と柱との接合は溶接、ボルト接合いずれの方法であってもよく、公知の技術を利用して構成することができる。尚、溶接作業を伴う柱と柱との接合部の場合は、大きな応力の作用する梁接合部近傍は避けて作用する応力が小さく影響の少ない部分で接合するのが好ましい。
柱と梁との接合に使用されるボルトの引抜力は、梁に作用する曲げモーメントにより生じるもので、梁接合部に面する柱フランジ面に面外変形を生じさせるものである。梁接合部の柱フランジ面に充分な強度と剛性がなければ柱が破壊したり、梁端部に回転が生じ建築物の水平方向の変形が過大になるという問題が生じる。また、柱にネジを切ったボルト孔を穿ちボルトを螺合してボルト接合する場合、ボルトの引抜力に耐え得るボルト孔のネジ部の強度が求められ、充分な強度が確保されない場合は、ボルトが抜けて柱と梁との接合が解除され、床が落下して建築物が倒壊に至る。また、ボルト孔にネジを切らずに公知のワンサイドボルトを用いてボルト接合する場合もボルト孔周辺の強度が確保されていない場合はボルトが抜けて柱と梁との接合が解除され建築物が倒壊に至る。
一般に重層の門型ラーメン架構において地震力を想定した水平荷重を作用させた場合、各層とも梁端部(柱との接合部)に作用する曲げモーメントは、梁接合レベルが高いほど(柱脚部から接合部までの高さが大きくなるほど)大きい。従って、本発明に使用する柱の均一な肉厚を有する角形鋼管の肉厚は、想定される梁接合レベルの範囲内で梁端部に作用する応力が最も大きくなる場合、つまり、均一な肉厚を有する角形鋼管の範囲内で想定される梁接合レベルのうちもっとも高いレベルに梁を接合した場合、フランジ近傍の最も大きな引抜力が作用するボルト孔周囲において柱が変形・破断することなく構造安全性が確保されるように設定している。
本発明に使用する梁は、H形鋼、溝形鋼、鋼管等、梁接合部に於いて曲げモーメントを伝達し得る強度を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
本発明における柱と梁との接合部構造の形式は、ボルト接合によって剛接合を実現する、即ち柱と梁との間で曲げモーメントを伝達するように設計されたものであればいかなるものでもよく、特に限定されるものではない。例えば、梁の端部に柱との接合面を有する接合プレートを溶接等によって取り付け、該接合プレートを梁接合部に当接し、高力ボルト等にてボルト接合する形式や、柱の梁接合部に一対のT字状断面の接合金物(所謂スプリットティー)を接合した上で、該接合金物と梁の上下フランジの端部とを高力ボルト等によってボルト接合する形式などを適用することができる。
本発明に使用するボルトは、柱の内面側にナットやネジ孔加工された補強板等の溶接が不要なワンサイドボルトが好ましい。ワンサイドボルトのうち柱の内面側にボルトを突出させ該突出部にバルジを形成して締結する形式は、柱の肉厚が増すほど隣接するボルト相互の干渉の問題が生じやすくなる。このような場合、柱のボルト孔にネジを切って螺合する形式のボルトとするのが好ましい。また、高強度で締結トルク管理の容易なトルシア型の高力ボルトが好ましい。このようなボルトとしては、実公平5−575号公報に開示された特殊高力ボルトがある。
(第1実施例)
次に、本発明の第1実施例を、図を用いて具体的に説明する。本実施例は、3階建て鉄骨ラーメン構造の工業化住宅における柱と梁との接合部構造の例である。図1は本実施例の架構の平面的グリッド構成を示す図である。図2は本実施例の架構の全体構成を示す図である。図3は本実施例の柱と梁との接合部構造を示す図である。図4は本実施例に使用される柱を示す図である。図5は本実施例にかかる階高(天井高)を変更した架構の側面図である。
本住宅は、図1、2に示す複数の平面グリッドを有する総3階の建築物であり、図2に示すように、基本架構は、1層から3層まで連続した通し柱形式の複数の柱1と、各階層において隣接する柱1どうしを連結する複数の大梁2とからなり、桁行き方向が3スパン、妻方向が2スパンで、合計6つの平面グリッドにより構成され、格子状に連続した基礎3の上部に構築されている。なお、柱脚部は特開平01−203522号公報に開示された露出型固定柱脚工法にて基礎に接合されている。
この基本架構を構築したのち、相対する大梁2の間に小梁を適宜架け渡した上でALC(軽量気泡コンクリート)からなる床パネルを梁の上フランジに載置して床が構成され、外周部の大梁2にALCからなる壁パネルを取り付けることによって外壁が構成されて躯体が完成する。
図3に示すように、柱1に接合される大梁2はH形鋼からなり、全ての階層における全ての大梁2は梁成が250mm、上下フランジの幅が125mm、上下フランジの厚みが9mm、ウェブの厚みが6mmに統一されている。大梁2の柱1との接合部は、大梁2の両端部に溶接された接合プレート2aによって構成されている。接合プレート2aには、横方向には中心から左右対称に2列、縦方向には等間隔に4段、同一径の孔2bが計8箇所穿たれている。孔2bのうち上部2段と最下段の孔計6個が柱1との接合に使用するボルト4を挿通する為の孔である。なお、下から2段目の孔2個は接合作業の際「シノ」を挿し込んで位置合わせを行う為の孔であり、柱と梁との接合には使用しない。上記構成は寸法も含め全ての階層の全ての大梁2に共通している。
図4に示すように、柱1は、外形寸法が150mm角の角形鋼管からなる通し柱となっている。柱脚プレート1aの接合部から中途部分に形成された柱・柱接合部1bまでの下層部(下部柱1cとする)は、22mm肉厚を有する継目無の角形鋼管(即ち鋼管の横断面内に溶接による継目が存在しないシームレスパイプ)で長さ方向について接合部を有することなく構成されている。これより上部の上層部(上部柱1dとする)は、外形寸法は下部柱1cと同一ではあるが下部柱1cよりも薄い4.5mm乃至6.0mmの肉厚を有する角形鋼管で構成されている。従って、下部柱1cの肉厚は大梁2のフランジの厚みの約2.44倍に設定されていることになる。一般に柱として使用される150mm角の鋼管の肉厚は4.5mmから12mmの範囲であり、下部柱1cはかなり厚肉の構成となっている。
柱1は、各階層の標準的な階高(大梁上端面間の離間寸法)が3000mm程度となるように大梁2の基準接合レベルが設定されている。柱1の全ての面には各階大梁2の基準接合レベルに合わせて、フランジ面の所定高さに大梁2の接合プレート2aの孔2bに対応するようにネジが切られたボルト接合用の孔1hが穿たれて大梁2との梁接合部(第1の梁接合部)1e1、1f1、1g1が形成されている。なお、大梁2の孔2bと同様に上部2段と最下段の孔計6個が大梁2と接合するボルト4を螺入する孔であり、下から2段目の2個の孔は位置合わせ用の孔である。
更に、2階の基準接合レベルから下方向1000mmの位置と上方向1000mmの位置には、基準接合レベルの第1の梁接合部1e1と同様の構成で第2の梁接合部1e2と第3の梁接合部1e3が形成されている。
また、3階においては基準接合レベルから下方向1000mmの位置と上方向1000mmの位置には、基準接合レベルの第1の梁接合部1f1と同様の構成で第2の梁接合部1f2と第3の梁接合部1f3が形成されている。
柱・柱接合部1bは、特開平6−180026号公報や特開平8−60740号公報(コラムカプラーの特許)等に記載された公知の接合構造によって、3階の第1の梁接合部1f1とR階の梁接合部1g1とのほぼ中間に形成されている。つまり、柱・柱接合部1bは、下部柱1cの最上の梁接合部1f3から所定の距離をとった位置に形成されている。
下部柱1cを構成する角形鋼管の肉厚は、前述したように大梁2の端部に最も大きな曲げモーメントが作用し、ボルトに最も大きな引抜力が作用する接合レベルにおいて下記手順により構造安全性の確認がなされている。
(1) 所定の材料強度と断面寸法を有する大梁2に対して保有耐力接合(柱との接合部の崩壊が大梁の崩壊に先行しないような接合)を満足するボルト4の引抜力を求める。(即ち、梁の崩壊がはじまる時点での、最も大きな引抜力の作用する上端および下端のボルト4の引抜力を求める。)
(2) 求めたボルト4の引抜力に基づいて柱の断面を仮定する。
(3) 3階大梁接合部の第3の梁接合部1f3に3階大梁2を接合した状態を想定して応力を計算し、部材応力が許容値以下であることを確認する。
大梁2と柱1とは図3に示すように実公平5−575号公報に開示された高力ボルト4によりボルト接合されている。
大梁2は、基本的に第1の梁接合部1e1、1f1、1g1を使用して柱1に接合され、基準接合レベルに設定されている。しかし、躯体を構成するグリッドGのうち図1において斜線で示したグリッドG1については、1階の階高を大きくとる為に2階レベルにおいて第3の梁接合部1e3を用いて大梁2を接合し接合レベルを基準接合レベルよりも上げている。
また、基準階高のグリッドGと階高を変更したグリッドG1との境界部については、図示しないALCパネルからなる床を適宜小梁を架設した上で夫々のレベルに合わせて構成する。このため、夫々の接合レベルに大梁2が接合されており、第1の梁接合部1e1を使用して接合された大梁2と第3の梁接合部1e3を使用して接合された大梁2とが並存するように構成されている。
このように、梁接合部を所定の階層につき長さ方向に複数設けた構成とすることによって1階の階高(天井高)を部分的に高くとることができ、更に窓もより高い位置に配置することも可能となり、採光が確保しにくい1階部分を明るく開放的な空間とすることができる。また、階高の低くなった2階部分は収納空間として活用することで室内空間を無駄なく活用することができる。
上記実施例では1階の階高(天井高)を部分的に高くしたが、同一の部材を用いて、図5(a)に示すように、2階大梁2を第2の梁接合部1e2を用いて接合することにより部分的に2階の階高を大きくとることも可能である。この場合、2階の階高を大きくとった領域をリビングルームとして、階高の小さくなった1階部分を大きな階高を必要としないピロティ−車庫や収納空間として利用することで、室内空間を無駄なく活用することができる。
また、図5(b)に示すように、2階大梁2の接合レベルは、基準接合レベルとして3階大梁2の接合を第2の梁接合部1f2を用いて行うことにより3階大梁2の接合レベルを下げ、3階の階高を大きくとることも可能である。
上記実施例は一部グリッドの大梁2の接合レベルを変更した例であるが、全てのグリッドについて大梁2の接合レベルを変更することも無論可能である。
(効果)
上記したとおり、柱1の柱脚プレート1aの接合部から3階の梁接合部1f1までの範囲を、横断面内に継目のない均一の肉厚を有する厚肉の角形鋼管によって長さ方向についても継目のない下部柱1cで構成した。これにより、大きな曲げモーメントが発生する2階及び3階大梁が接合する梁接合部付近には加熱による欠陥が生じる虞のある溶接箇所が存在せず、梁接合部の構造安全性を高めることができる。
また、下部柱1cは厚肉の角形鋼管で構成されているので、大梁2の剛性に対して下部柱1cの剛性が大きくなって、建築物は2階大梁2や3階大梁2にヒンジが発生する崩壊メカニズムとなり、下部柱1cが2階大梁2や3階大梁2に先行して崩壊することがない。従って、建築物の安全性を高めることができる。
また、柱1は、柱脚プレート1a、下部柱1c、上部柱1d、下部柱1cと上部柱1dとを接合する柱・柱接合部1bのみで構成されている為、部材の接合箇所が少なく、梁接合部1e、1fもボルト接合用の孔を穿つという簡易な加工作業のみで形成が可能である。従って、柱1の製造工程も大幅に簡略化することができ、当初の柱1の構成部材が持つ寸法精度を保ちやすいので寸法的な品質管理も容易となる。
また、柱1には所定の階層における大梁2との梁接合部1e1〜1f3が高さ方向に予め複数形成されており、複数の梁接合部1e1〜1f3の中から選択して大梁2を接合するので、設定される大梁2の接合レベルに応じて特殊な加工を施したり特殊な部材を付加することなく、同一の部材構成で容易に階高を変更することがでる。
(第2実施例)
次に第2実施例について図6を用いて説明する。第1実施例では、柱1側の各層の梁接合部1e、1fは離隔した位置に設定されてひとつの梁接合部につき8個の孔1hが形成されていたが、孔1hの径は同一であるので、図6に示すように、孔1hを縦方向について等間隔で5段以上連続して形成することによって、大梁2の接合レベルを縦方向の孔1hのピッチの整数倍のピッチで変更することができる。従って、大梁2の接合レベルをより細かく設定すると共に同一の柱1に接合される大梁2どうしの接合レベルを縦方向について互いにラップするようにわずかにずらすことが可能となる。例えば、孔1hの縦方向のピッチを50mmに設定しておき。60mm程度の厚みを有する畳敷きの床の領域において大梁2の接合レベルを1ピッチ分下方にずらすことにより床レベルを50mm下げることができ、畳よりも薄い層構成の洋室の床と段差なく仕上げることが容易に行える。
本発明は、鉄骨造建築物に限らず、柱・梁をボルトにて剛接合する鋼構造物全般に広く適用することができる。
第1実施例にかかる架構の平面的グリッド構成を示す図である。 第1実施例の架構の全体構成を示す図である。 第1実施例に使用される大梁と柱の柱と梁との梁接合部を示す図である。 第1実施例に使用される柱を示す図である。 第1実施例にかかる階高(天井高)変更した架構の側面図である。 第2実施例にかかる柱と梁との柱と梁との梁接合部の構成図である。
G、G1 …グリッド
1…柱
1a…柱脚プレート
1b…柱・柱接合部
1c…下部柱
1d、1d1…上部柱
1e〜1g…梁接合部
1h…孔
2…大梁
2a…接合プレート
2b…孔
3…基礎
4…ボルト

Claims (5)

  1. 中低層の鉄骨造建築物の架構を構成する柱と梁との接合部構造であって、前記柱は、フランジ面の所定高さにボルト接合用の孔を穿った梁接合部を備えるとともに、少なくとも柱脚プレートの接合部から3階梁接合部までの範囲を、横断面内に溶接による継目のない均一の肉厚を有し、且つ前記梁のフランジの厚さよりも厚肉の角形鋼管によって長さ方向についても継目なく構成され、前記梁とボルト接合されたことを特徴とする柱と梁の接合部構造。
  2. 前記柱の肉厚が、前記梁のフランジの厚さの2乃至3倍であることを特徴とする請求項1に記載した柱と梁との接合部構造。
  3. 前記梁の端部には接合プレートが接合されており、当該接合プレートが前記柱の梁接合部に当接されてボルト接合されたことを特徴とする請求項1または2に記載した柱と梁との接合部構造。
  4. 前記梁の端部にはT字状断面の接合金物が接合されており、当該接合金物が前記柱の梁接合部に当接されてボルト接合されたことを特徴とする請求項1または2に記載した柱と梁との接合部構造。
  5. 前記柱の梁接合部におけるボルト接合用の孔が上下方向に複数穿たれており、前記柱の梁接合部が、中間の階層において当該ボルト接合用の孔の間隔に対応した間隔で上下方向に複数箇所形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載した柱と梁との接合部構造。
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