JP5581407B2 - シート接合体 - Google Patents
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Description
従来、遮水シート等の溶着には、接合すべき2枚のシートの端部を重ね、熱ゴテ、熱風ゴテ、熱風等の熱源により接合面を加熱溶融させ、接合することにより行われてきた(特許文献1、2)。
一方、接合すべき2枚のシートの端部を重ね、重ねた部分全体を加熱板で一度に挟んで加熱溶着する方法が提案されている(特許文献3)。
また、接合すべき2枚のシートの端部を重ね、重ねた部分が一対の加熱体の間を通過するように走行させる熱板式連続溶着装置も提案されている(特許文献4)。
(1)段差部分のせん断引張破断強度は、母材シートの材質や厚さにもよるが、母材自体のせん断引張破断強度の30〜70%程度に低下してしまう。
(2)段差部分により、水の流れを阻害してしまう。
(3)再度別のシートを溶接する場合、重ね代をナイフで削り取る等、平滑化処理が必要である。
(4)ロール状に巻き回すことが困難となる。
また、接合面のみを溶融させての接合のため、溶接幅を大きくとったり、エアによるチェックが可能なように二重線で溶接したりすることが必要である。そのため、重ね代の幅を大きくとらねばならず、通常50〜100mmの重ね代が必要であった。したがって、接合によるシートのロスが大きくコスト的にも不利であった。
しかしながら、特許文献3では、重ねた部分全体を加熱板で一度に挟まなければならず、シートを走行させて連続的に処理をすることができない。そのため、長尺のシートの広幅加工等に利用することはできなかった。
すなわち、厚手のシートを特許文献4の装置で接合すると、溶融したシート材料が脇に押しやられることにより、重ね代を開く方向(2枚のシートを両側に遠ざける方向)に力が働く。シートを走行させるにつれ、溶融したシート材料が後ろに滞留するため、重ね代を開く力はより大きくなる。そのため、シートを走行させるにつれて重ね代が開いてシートが斜め方向に走行し、正常な接合ができないものであった。
[1]2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
以下の条件を満たすシート接合体。
<条件>
(1)前記重ねた部分の幅の中央の位置を点cとする。
(2)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅と等しい距離離れた位置2か所をそれぞれ点b及び点dとする。
(3)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅の2倍の距離離れた位置2か所をそれぞれ点a及び点eとする。
(4)前記点a〜eは、点a、点b、点c、点d、点eの順に一直線上に並んでおり、隣り合う2つの点における厚みのうち、薄い方の厚みに対する厚い方の厚みの増加率が26.2%以下である。
(5)前記点a〜eそれぞれにおける厚みのうち、最大であるのは、点aおよび点e以外の点における厚みである。
[2]2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
以下の条件を満たすシート接合体。
<条件>
(1)前記重ねた部分の幅の中央の位置を点cとする。
(2)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅の1/2の距離離れた位置2か所をそれぞれ点b及び点dとする。
(3)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅と等しい距離離れた位置2か所をそれぞれ点a及び点eとする。
(4)前記点a〜eは、点a、点b、点c、点d、点eの順に一直線上に並んでおり、隣り合う2つの点における厚みのうち、薄い方の厚みに対する厚い方の厚みの増加率が30.1%以下である。
(5)前記点a〜eそれぞれにおける厚みのうち、最大であるのは、点aおよび点e以外の点における厚みである。
[3]接合された部分の最大厚さが前記熱可塑性樹脂シートの厚さの1.05〜1.60倍である[1]または[2]に記載のシート接合体。
[4]2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
接合された部分の最大厚さが前記熱可塑性樹脂シートの厚さの1.05〜1.60倍であり、
前記接合された部分のうち、前記熱可塑性樹脂シートの厚さより大きい部分の幅が、前記重ねられた部分の幅の2.0倍以上であるシート接合体。
[5]前記接合された部分のうち、前記熱可塑性樹脂シートの厚さより大きい部分の幅が、前記重ねられた部分の幅の4.0倍以下である[4]に記載のシート接合体。
[6]前記2枚の熱可塑性樹脂シートは、前記重ねた部分全体を加熱溶融及び転圧することにより溶着されている[1]から[5]のいずれか一項に記載のシート接合体。
[7]前記重ねた部分の幅が、2〜20mmである[1]から[6]のいずれか一項に記載のシート接合体。
接合の対象となる熱可塑性樹脂シート(母材)としては、たとえば防水シート、遮水シート等などに使われるポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリ4弗化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどの各種の熱可塑性樹脂のシートが挙げられる。
熱可塑性樹脂シートの厚さに制限はないが、本発明の効果を顕著に奏する点から、厚手の熱可塑性樹脂シートであることが好ましい。具体的には、0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることがより好ましい。また、樹脂シートとして一般に良く使用されるシート厚さの実績から、2.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。2枚の熱可塑性樹脂シートの厚さは、互いに略同一であることが好ましく、同一であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂シートの長さや幅に制限はないが、本発明の効果を顕著に奏する点から、長尺のシートであることが好ましい。
仮接合工程は、2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた状態を維持するように仮留めして仮接合体を得る工程である。
本発明によれば、次工程である加熱溶着工程において、2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ねた部分(重ね代)全体を加熱溶融させて溶着するため、重ね代の幅を狭くすることができる。
重ね代の幅は、小さすぎると確実な接合が困難となる。しかしながら、重ね代の幅が大きすぎると、加熱溶着工程において溶融したシート材料が加圧によって重ね代からはみ出す量が過剰となり、重ね代の開きを招いたり、平坦化の妨げになったりするので好ましくない。そのため、重ね代の幅は2〜20mmであることが好ましく、4〜10mmであることがより好ましい。
重ね代の接合面近傍のみを溶融して接着する方法としては、熱ゴテ、熱風ゴテ、熱風などにより、接合面を加熱熔融させて、その後両面から加圧する方法が挙げられる。
また、重ね代を面方向において部分溶着する方法としては、超音波溶着機、高周波溶着機等によりドット状に部分溶着する方法が挙げられる。
縫製による場合は、縫製用の糸として、スーパーアラミド繊維(東レ・デュポン社製ケブラーミシン糸等)などの耐熱性繊維糸を用いることが好ましい。
加熱溶着工程は、重ね代全体を加熱溶融及び転圧して溶着する工程である。本発明では重ね代全体を加熱溶融して溶着することにより、溶融した重ね代のシート材料の一部を重ね代の両側に押し出すことができる。そのため、重ね代の厚さをそれ以外の部分の厚さとほぼ同等とすることが可能であり平坦化が達成できる。また、重ね代の幅が狭くても確実な接合が可能となる。
加熱溶着工程では、重ね代のシート材料を重ね代の両側に押し出すことにより、重ね代を開く方向(2枚のシートを遠ざける方向)の力が働く。しかし、本発明では、仮留めが施されていることにより、重ね代を維持し、2枚のシートの位置関係を保ったまま接合することが可能である。
加熱体の幅は、重ね代全体を溶融させるため、少なくとも重ね代の幅以上とする。また、重ね代の幅の2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。重ね代の両側も含めて加熱すれば、溶融した重ね代のシート材料の一部を、重ね代の両側の母材に密着させることができるので好ましい。
一方、加熱体の幅は、重ね代の幅の20倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。加熱体の幅が広すぎると、重ね代近傍の強度が不足し、仮接合体全体を走行させることが困難となるからである。また、余剰の加熱エネルギーを消費することになり好ましくないからである。
冷却体の幅は、溶融させた部分を冷却するため、少なくとも加熱体の幅以上とする。また、加熱体の幅の1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましい。加熱体の幅より広くすれば、加熱体により暖まった部分が総て冷却され、結果として冷却効率が向上するため好ましい。
一方、冷却体の幅は、加熱体の幅の2倍以下であることが好ましく、1.6倍以下であることがより好ましい。冷却体の幅が広すぎると、機械全体の幅が広くなってしまうからである。また、余剰の冷却エネルギーを消費することになり好ましくないからである。
この場合、転圧ロールの幅は、重ね代全体を転圧するため、少なくとも重ね代の幅以上とする。また、重ね代の幅の2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。重ね代の両側も含めて転圧すれば、溶融した重ね代のシート材料の一部を、重ね代の両側の母材に密着させて平坦化できるので好ましい。
一方、転圧ロールの幅は、重ね代の幅の20倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。転圧ロールの幅が広すぎると、機械全体の幅が広くなってしまうからである。
なお、仮接合体は一対の回転するローラー群によって走行させることも可能である。
加圧時の圧力は、接合された部分の最大厚さが、母材である熱可塑性シートの厚さの1.05倍以上となるように調整することが好ましい。1.05倍未満にすると、重ね代部分の溶融した樹脂を両側に押し出すだけでなく、進行方向にも押し出さなければならない。そのため、徐々に転圧ロールの部分に溶融樹脂が貯まり、溶着作業を阻害しやすい。最大厚さは1.1倍以上とすることがより好ましく、1.2倍以上とすることがさらに好ましい。
一方、接合された部分の最大厚さは、平坦性を高める観点から1.0倍に近い方が好ましい。そのため、接合された部分の最大厚さは、1.60倍以下であることが好ましく、1.45倍以下であることがより好ましい。
具体的な加熱温度、加熱時間、冷却温度、冷却時間、圧力、加圧時間等の溶着条件は、熱可塑性樹脂シートの材質、厚さ等により適宜設定される。また、熱可塑性樹脂シートの材質、厚さ等が同じでも、これらの条件は相互に関連するので、一義的には決まらない。例えば、加熱温度が高ければ、加圧時間を短く(仮接合体の走行速度を速く)すべき傾向にある。また、加熱温度が高ければ、加圧時の圧力を低くすべき傾向がある。
例えば、特許第4036100号に記載れた遮水シートのように、熱可塑性樹脂シートに、不織布よりなる緩衝シートが積層されている場合、重ね代に重なる部分の緩衝シートを捲り、緩衝シートが、加熱体、転圧ロール、及び冷却体の間に挟まれないようにして加熱溶着工程を行う。
この溶着装置は、図1に示すように、機台1に無端帯状体2Aが複数のロール3A…を介して取り付けられており、無端帯状体2Aには矢符X方向に水平走行する往動走行部21Aと矢符X方向とは反対方向に走行する復動走行部22Aとが形成されるようになっている。また、機台1に支軸4を介して取り付けられた取付枠5に無端帯状体2Bが複数のロール3B…を介して取り付けられており、無端帯状体2Bには矢符X方向に水平走行する往動走行部21Bと矢符X方向とは反対方向に走行する復動走行部22Bとが形成されるようになっている。取付枠5は支軸4を中心として図1に実線で示した水平姿勢と仮想線で示した傾斜姿勢との間で上下に揺動可能であり、装置運転時には水平姿勢となされる。そして、取付枠5が水平姿勢になされている状態においては、下側に配設された無端帯状体2Aの往動走行部21Aとこれに相対向する上側に配設された無端帯状体2Bの往動走行部21Bとの相互間に仮接合体Sの送り経路6が形成される。
なお、91は仮接合体Sの送込み用ガイドローラ、92,93は仮接合体Sの繰出し用ガイドローラを示す。
本発明によれば、厚手のシートであっても、溶着の距離が長くても、確実にきれいに接合されたシート接合体が得られる。
本発明によって得られたシート接合体の品質管理としては、穴(ピンホール)がないこと、母材より著しく薄くなってしまった部分がないことを確認することが好ましい。
具体的な検査方法としては、高電圧のピンホールテスターを用いる方法、背面から強力な光を当て、透過光を角にする方法、超音波厚さ測定器で重ね代近傍の厚さを連続的に測定する方法等が採用できる。
平均厚さ0.82mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体製シート(シーアイ化成社製「NATMトンネル用止水シート」、以下、EVAシートという。)の2枚の端部を5mmの重ね代幅で重ね、ライスター社製トリアック型手動熱風式溶着機にて、350℃の熱風を当て50mm長さの溶着部を20mmピッチで溶着を施すことにより仮接合体を得た。
加熱ユニット71A,71Bは、幅20mm、長さ400mm。
加熱ユニット72A,72Bは、幅30mm、長さ400mm。
冷却ユニット73A,73Bは、幅40mm、長さ400mm。
転圧ロール8A,8Bは、合成ゴム製であり、幅40mm。
無端帯状体2A,2Bは、ポリテトラフルオロエチレン製であり、幅40mm。
表1に示すように、溶着部は、歪みも無く、最大厚さ1.15mm(ブランクの1.4倍)で接合されていた。ブランクの引張強さに対する実施例1のサンプルの引張強さの比(残率)は88%、同様にブランクの伸びに対する実施例1のサンプルの伸びの比(残率)は96%であった。
重ね代の幅を10mmとした他は、実施例1と同様にして仮接合体を得た。次に、加熱ユニット71A,72A,71B,72Bの温度を200℃、冷却ユニット73A,73Bの温度を5℃、転圧ロールの押圧を0.6MPa、ラインスピードを2.5m/minとした以外は実施例1と同様にしてシート接合体を得た。
得られた3つのサンプルについて、実施例1と同様にして図2に示すa〜eの5カ所の厚さを測定した。また、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、溶着部は、歪みも無く、最大厚さ1.08mm(ブランクの1.32倍)で接合されていた。ブランクの引張強さに対する実施例2のサンプルの引張強さの比(残率)は93%、同様にブランクの伸びに対する実施例1のサンプルの伸びの比(残率)は97%であった。
仮接合体を作成しないで、直接、重ね代を5mmとして、前記クインライト電子精工社製オープンアーム型熱板式連続溶着機にて加熱溶着したこと以外は実施例1と同様にして、シート接合体を得た。
溶着部は、最大厚み1.05mmで接合されていたが、溶着した方向に向かって溶着部が広がり、シート接合体は、溶着部で曲がった形状となっていた。
実施例1で使用したEVAシートの端部を重ね代幅140mmで重ねた。この重ね代に対して、ライスター社製ツイニーT型の自走式熱風コテ式溶着機にて、400℃の熱風温度で、15mm幅2本の溶着(中央の未溶着部幅15mm)を施し、シート接合体を得た。溶着部は、図3のように接合されていた。
得られた3つのサンプルについて、図3に示すように、幅方向に沿ってa〜eの5カ所の厚さを測定した。cは重ね代の中央、b、dはcから5mmの位置、a、eはcから10mmの位置である。また、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、ブランクの引張強さに対する比較例2のサンプルの引張強さの比(残率)は40%、同様にブランクの伸びに対する比較例2のサンプルの伸びの比(残率)は50%であった。
これは、厚みの急激な変換点が2ヶ所あり、そのどちらかで応力が集中して切断されるので、低い値となっているものと推測される。
平均厚さ1.53mmのポリ塩化ビニル製シート(シーアイ化成社製「ビノン土木用シート」、以下、PVCシートという。)の2枚の端部を5mmの重ね代幅で重ね、実施例1と同様にして仮接合体を得た。
次に、加熱ユニット71A,72A,71B,72Bの温度を270℃、冷却ユニット73A,73Bの温度を5℃、転圧ロールの押圧を0.6MPa、ラインスピードを3.3m/minとした以外は実施例1と同様にしてシート接合体を得た。
得られた3つのサンプルについて、実施例1と同様にして図2に示すa〜eの5カ所の厚さを測定した。また、得られた3つのサンプルおよびブランクとして接合していないPVCシートについて、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、溶着部は、歪みも無く、最大厚さ1.9mm(ブランクの1.27倍)で接合されていた。ブランクの引張強さに対する実施例3のサンプルの引張強さの比(残率)は88%、同様にブランクの伸びに対する実施例3のサンプルの伸びの比(残率)は89%であった。
実施例3で使用したPVCシートの端部を重ね代幅140mmで重ねた。この重ね代に対して、ライスター社製ツイニーT型の自走式熱風コテ式溶着機にて、460℃の熱風温度で、15mm幅2本の溶着(中央の未溶着部幅15mm)を施し、シート接合体を得た。溶着部は、図3のように接合されていた。
得られた3つのサンプルについて、比較例2と同様に、図3に示すa〜eの5カ所の厚さを測定した。また、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、ブランクの引張強さに対する比較例3のサンプルの引張強さの比(残率)は59%、同様にブランクの伸びに対する比較例3のサンプルの伸びの比(残率)は51%であった。
これは、厚みの急激な変換点が2ヶ所あり、そのどちらかで応力が集中して切断されるので、低い値となっているものと推測される。
平均厚さ1.55mmの直鎖状低密度ポリエチレン製シート(シーアイ化成社製「メタロバリアー」、以下、LLDPEシートという。)の2枚の端部を5mmの重ね、実施例1と同様にして仮接合体を得た。
次に、加熱ユニット71A,72A,71B,72Bの温度を250℃、冷却ユニット73A,73Bの温度を5℃、転圧ロールの押圧を0.6MPa、ラインスピードを2.0m/minとした以外は実施例1と同様にしてシート接合体を得た。
得られた3つのサンプルについて、実施例1と同様にしてa〜eの5カ所の厚さを測定した。また、得られた3つのサンプルおよびブランクとして接合していないLLDPEシートについて、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表3に示す。
表3に示すように、溶着部は、歪みも無く、最大厚さ1.75mm(ブランクの1.13倍)で接合されていた。ブランクの引張強さに対する実施例3のサンプルの引張強さの比(残率)は83%、同様にブランクの伸びに対する実施例3のサンプルの伸びの比(残率)は99%であった。
実施例4で使用したLLDPEシートの端部を重ね代幅140mmとし、ライスター社製ツイニーT型の自走式熱風コテ式溶着機にて、500℃の熱風温度で、15mm幅2本の溶着(中央の未溶着部幅15mm)を施し、シート接合体を得た。溶着部は、図3のように接合されていた。
得られた3つのサンプルについて、比較例2と同様に、図3に示すa〜eの5カ所の厚さを測定した。また、実施例1と同様にして引張試験を行った。結果を表3に示す。
表3に示すように、ブランクの引張強さに対する比較例4のサンプルの引張強さの比(残率)は34%、同様にブランクの伸びに対する比較例4のサンプルの伸びの比(残率)は49%であった。
これは、厚みの急激な変換点が2ヶ所あり、そのどちらかで応力が集中して切断されるので、低い値となっているものと推測される。
(付記1)
2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分全体を溶融することなく、該重ねた状態を維持するように仮留めして仮接合体を得る仮接合工程と、
前記重ねた部分全体を加熱溶融及び転圧して溶着する加熱溶着工程を備えるシート接合体の製造方法。
(付記2)
前記仮接合体を得る工程が、前記重ねた部分の接合面近傍のみを溶融して接着する工程である付記1に記載のシート接合体の製造方法。
(付記3)
前記仮接合工程が、前記重ねた部分を、面方向において部分溶着する工程である付記1または2に記載のシート接合体の製造方法。
(付記4)
前記加熱溶着工程は、前記重ねた部分が、一対の加熱体の間を通過するように前記仮接合体を一定方向に走行させる工程である付記1から3の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記5)
前記加熱溶着工程は、前記重ねた部分が、一対の加熱体及び一対の冷却体の間を、順次通過するように前記仮接合体を一定方向に走行させる工程である付記1から3の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記6)
前記加熱溶着工程は、前記重ねた部分が、一対の加熱体、一対の転圧ロール及び一対の冷却体の間を、順次通過するように前記仮接合体を一定方向に走行させる工程である付記1から3の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記7)
前記仮接合体を、一対の無端帯状体の対向する走行部間に送り込むことにより走行させる付記4から6の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記8)
前記重ねた部分の幅が、2〜20mmである付記1から7の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記9)
前記加熱溶着工程において、接合された部分の最大厚さが、前記熱可塑性樹脂シートの厚さの1.05〜1.60倍となるように溶着する付記1から8の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
(付記10)
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5mm以上である付記1から9の何れかに記載のシート接合体の製造方法。
X シートの送り方向を示す矢符
6 送り経路
2A,2B 無端帯状体
8A,8B 転圧ロール
21A,21B 往動走行部
71A,72A,71B,72B 加熱ユニット
73A,73B 冷却ユニット
Claims (7)
- 2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
以下の条件を満たすシート接合体。
<条件>
(1)前記重ねた部分の幅の中央の位置を点cとする。
(2)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅と等しい距離離れた位置2か所をそれぞれ点b及び点dとする。
(3)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅の2倍の距離離れた位置2か所をそれぞれ点a及び点eとする。
(4)前記点a〜eは、点a、点b、点c、点d、点eの順に一直線上に並んでおり、隣り合う2つの点における厚みのうち、薄い方の厚みに対する厚い方の厚みの増加率が26.2%以下である。
(5)前記点a〜eそれぞれにおける厚みのうち、最大であるのは、点aおよび点e以外の点における厚みである。 - 2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
以下の条件を満たすシート接合体。
<条件>
(1)前記重ねた部分の幅の中央の位置を点cとする。
(2)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅の1/2の距離離れた位置2か所をそれぞれ点b及び点dとする。
(3)幅方向に沿って、前記点cから、前記重ねた部分の幅と等しい距離離れた位置2か所をそれぞれ点a及び点eとする。
(4)前記点a〜eは、点a、点b、点c、点d、点eの順に一直線上に並んでおり、隣り合う2つの点における厚みのうち、薄い方の厚みに対する厚い方の厚みの増加率が30.1%以下である。
(5)前記点a〜eそれぞれにおける厚みのうち、最大であるのは、点aおよび点e以外の点における厚みである。 - 接合された部分の最大厚さが前記熱可塑性樹脂シートの厚さの1.05〜1.60倍である請求項1または2に記載のシート接合体。
- 2枚の熱可塑性樹脂シートの各々の端部を重ね、該重ねた部分を溶着して前記2枚の熱可塑性樹脂シートを接合したシート接合体であって、
前記熱可塑性樹脂シートの厚さが0.5〜2.0mmであり、
接合された部分の最大厚さが前記熱可塑性樹脂シートの厚さの1.05〜1.60倍であり、
前記接合された部分のうち、前記熱可塑性樹脂シートの厚さより大きい部分の幅が、前記重ねられた部分の幅の2.0倍以上であるシート接合体。 - 前記接合された部分のうち、前記熱可塑性樹脂シートの厚さより大きい部分の幅が、前記重ねられた部分の幅の4.0倍以下である請求項4に記載のシート接合体。
- 前記2枚の熱可塑性樹脂シートは、前記重ねた部分全体を加熱溶融及び転圧することにより溶着されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート接合体。
- 前記重ねた部分の幅が、2〜20mmである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート接合体。
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