JP5580096B2 - アクチュエータを有するカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は医療用途に使用されるカテーテルに関し、さらに詳しくは末梢血管成形、冠状動脈成形及び弁膜成形等を実施する際の経皮的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty,PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)等において使用されるアクチュエータを有するカテーテルに関するものである。
従来より、経皮的血管形成術は血管内腔の狭窄部や閉塞部などを拡張治療し、冠動脈や末梢血管などの血流の回復または改善を目的として広く用いられている。
バルーンカテーテルを用いたPTCAの一般的な術例は以下のとおりである。まず、ガイディングカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿通し大動脈を経由させて冠状動脈の入口にその先端を配置する。次にバルーンカテーテルのガイドワイヤルーメンに挿通したガイドワイヤを冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させ、このガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入してバルーンを狭窄部に一致させる。次いで、インデフレータ等のデバイスを用いてインフレーションルーメンを経由して圧力流体を前記バルーンに供給し、前記バルーンを膨張させることで当該狭窄部を拡張治療する。当該狭窄部を拡張治療した後は、バルーンを減圧収縮させて体外へ抜去することでPTCAを終了する。
ところが、狭窄度が非常に高い病変や慢性完全閉塞病変等に対しては、狭窄部位を越えてガイドワイヤを前進させることができず治療が行えない場合がある。このような場合にはマイクロカテーテル、穿通カテーテルが使用され、狭窄部位を越えてのガイドワイヤの前進が実現される。
また、PTCAに際して、狭窄部位への治療物質の局所投与が必要となる場合がある。血栓溶解剤を局所投与して血栓を溶解させる治療等が一例として挙げられる。このような場合には治療物質を局所投与する注入カテーテルが使用される。
医療用拡張カテーテルを使用した治療対象のうちでも特に冠動脈血管における慢性完全閉塞(CTO)病変に対する拡張治療や分岐角度のきつい難病変、分岐部入口の病変等は特殊であり、拡張前に行うガイドワイヤを病変部へ通過させる操作は困難を極める。
上記のような特殊な病変に対しては、ガイドワイヤを挿入させるためにカテーテル先端を能動的に屈曲させる工夫が必要になってくる。
先行文献1には、カテーテルの先端方向を異なる2方向に屈曲させることが可能なアクチュエータを有するカテーテルが開示されている。しかしながら、操作ワイヤ(移動部材)により先端部を屈曲させるため、屈曲の激しい抹消血管に挿入した場合の操作では、カテーテルが変形し、操作ワイヤの摩擦抵抗が大きくなる。このため、手元での操作に対して、湾曲管部が思うように操作できない場合がある。また、シャフト寸法は、操作ワイヤを設置しパッケージングする必要があることから、太くなる。
そのため、操作ワイヤ以外の方法でカテーテルの先端を能動的に駆動させる方法が各種検討されている。
特許文献2には、圧力流体で駆動可能な円筒状のカテーテルであって、カテーテル長軸方向への力を利用しながら、駆動部内部に配置されたチューブの開口部を屈曲操作できる技術が開示されている。しかし、複数の方向に屈曲可能とするためには複数の圧力流体のラインを設ける必要があり、カテーテルが太くなるという問題がある。これに対し、屈曲方向を1方向のみに限定することでカテーテルを細く形成することも考えられるが、この場合はその1方向が曲げたい血管分岐部等の方向と異なる場合などに、術者が手元でカテーテルをねじり、これによってカテーテルの先端を回転させる必要があるが、特に屈曲した血管に挿入した状態で、手元で与えたねじりによってカテーテル先端を回転させることができず、有効な機能を発揮できないという問題があった。
また、特許文献3には、バルーンとバルーンのカテーテル短軸方向への膨張を拘束する拘束部材とを有する流体駆動型アクチュエータであって、該流体駆動型アクチュエータのカテーテル短軸断面で、バルーンと比較してカテーテル長軸方向に伸縮しないチューブが拘束部材の一側に偏心して設けられているカテーテルが開示されている。
特開平7−67966号公報 米国特許第3773034号公報 国際公開第2009/054491号
本発明は従来技術が有する上記課題に鑑みてなされたものであって、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能なアクチュエータを有するカテーテルを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アクチュエータとアウターチューブを有するカテーテルであって、該アウターチューブが外層と補強層を有し、該アウターチューブの一部に、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有することを特徴とする、アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能となる。その上、このカテーテルでは、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能な配置が、更に前記外層と前記補強層との間に空隙を有する配置であるので、補強層に与えられたトルクを、より伝達ロスを少なく伝達することが可能となる。
また、前記外層と前記補強層が、その重なった部分の両端付近で固定されている前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、手元で与えたトルクを、より効率的に先端に伝えることが可能となる。
また、アクチュエータとアウターチューブとを有するカテーテルであって、該アウターチューブが外層と補強層とを有し、該アウターチューブの一部に、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有することを特徴とする、アクチュエータを有し、前記外層と前記補強層とが、その重なった部分の両端付近で固定されているアクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能となるだけでなく、手元で与えたトルクを、より効率的に先端に伝えることが可能となる。
また前記外層と前記補強層の相対的な位置を変えることが可能な配置が、更に前記外層と前記補強層とが接触している配置である前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、該カテーテルの外径を、より小さくすることが可能となる。
また、前記外層と前記補強層とが、同心状、或いは偏心状に配置されている前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した
また、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能な配置が、カテーテルの軸を中心に回転して相対的な位置を変えることが可能な配置である前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した
また、アウターチューブのルーメン内にインナーチューブを有する前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、ガイドワイヤによる誘導や、薬液等の輸送が可能となる。
また、前記外層を構成する材料のショア硬度が35D以上、72D以下であるアクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、耐圧を維持しつつ、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能となる。
また、前記補強層が多条巻きコイル構造、多層多条巻きコイル構造、或いは編組構造であるアクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、回転力をより大きくすることが可能となる。
また、前記インナーチューブが補強層を含む多層構造を有している前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、回転力をより大きくすることが可能で、更にインナーチューブの耐キンク性を向上することが可能となる。
また、先端角度を変更することが可能な前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、術者の手技をより容易にすることが可能となる。
また、流体駆動で作動する前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、屈曲した血管でも先端の操作が可能となる。
また、単一方向にのみ屈曲する前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。これによれば、アクチュエータを有するカテーテルをより細くすることができ、更にその際に必要となるねじり操作が上記構成により可能となるため好ましい。
また、バルーンを有する前記アクチュエータを有するカテーテルを提供した。
本発明によれば、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能なアクチュエータを有するカテーテルを提供することが可能となり、術者の手技時間の大幅な短縮が可能となる。更には、今まで困難であった抹消病変においても、容易に手技が可能となる。
本発明の一つの実施形態であって実施例1に係るカテーテルについての長軸方向断面模式図である。 カテーテルを用いて2重巻きループを形成したときの図である。 本発明の一つの実施形態に係るカテーテルについての長軸方向断面模式図である。 本発明の一つの実施形態に係るカテーテルについての長軸方向断面模式図である。 本発明の一つの実施形態に係るカテーテルについての長軸方向断面模式図である。 本発明の一つの実施形態に係るカテーテルのアクチュエータについての模式図である。
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一つの実施形態におけるカテーテルについての長軸方向断面模式図である。
本発明は、アウターチューブ11が外層12と補強層13を有し、該アウターチューブ11の一部に外層12と補強層13が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有することを特徴とする、アクチュエータ2を有するカテーテル1に関するものである。これによれば、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することができ、その結果、意図した方向にアクチュエータを屈曲させることが可能となる。
即ち、本発明のアウターチューブ11は、アウターチューブ11の一部に外層12と補強層13が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有している。例えば、図2の様にカテーテル1を用いて2重巻きループを形成した場合、従来のアクチュエータを有するカテーテルでは、ハブ4を持ってカテーテルの軸を中心に回転させようとしても(ねじっても)、カテーテル1の先端をなかなか回転させることはできなかった。特にアクチュエータには、一般に意図した方向に屈曲させることが要求されることから、アクチュエータの屈曲可能な方向を、屈曲させたい任意の方向に合わせる為に、手元の回転でアクチュエータの先端を回転可能とする能力は非常に重要である。加えて、アクチュエータは、その作動機構を設ける必要からカテーテルが特殊な構造となり、剛性が高くなりやすく、その先端を回転することが、特に難しくなる。また、アクチュエータを有するカテーテルの中でも、単一方向にのみ屈曲するタイプは、カテーテルを細く形成することが容易となるメリットがあるものの、アクチュエータの屈曲可能な方向を、屈曲させたい任意に方向に合わせる為の回転量が大きくなる為、特に先端を回転可能に形成することは重要である。これに対し、本発明では、上述の様にアウターチューブ11の一部に外層12と補強層13が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有していることにより、驚くべきことにこの問題を改善することが可能となる(本発明者の推測によれば、従来のアクチュエータを有するカテーテルにおいては、補強層で強化されたアウターチューブは剛性が高い上にその構造から外層と補強層が一体で挙動し、ねじられたカテーテルが屈曲した血管中でいちど引っ掛かった場合に、その状態を解くことができなくなるところ、本願発明のアクチュエータを有するカテーテルでは、アウターチューブの一部に外層と補強層が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有していることから、加えられたねじりが外層と補強層に個別に、更に時間差をおいて伝わることや、各所で外層と補強層が相対的な位置を変える様に変形して所々で応力を緩和することで、屈曲した血管においても、ねじりを先端に伝えることが可能になるのではないかと考えている。)。
以下、アクチュエータを有するカテーテルにおいて、そのアウターチューブの一部に外層と補強層が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を設ける態様について説明する。通常、外層のルーメン内に補強層を同心状、或いは偏心状に配置して形成される。同心状に配置した場合、カテーテルが非対称になることを防止しやすく、一方で意図的に一方に曲がりやすくする目的で偏心状に配置することも可能である。
また、ここで外層と補強層が相対的な位置を変えるとは、例えば、外層と補強層がカテーテルの軸を中心に回転して相対的な位置を変えることが可能、カテーテルの軸に対して外層と補強層がその中心軸を異にする様に相対的に位置を変えることが可能、外層と補強層がカテーテルの軸方向にずれて相対的な位置を変えることが可能などが挙げられるが、この中でも、外層と補強層がカテーテルの軸を中心に回転して相対的な位置を変えることが可能であることが好ましい。
なお、外層12と補強層13が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分において、外層12と補強層13の間に空隙15を有していることが好ましい。これによれば、補強層13に与えられたトルクを、より伝達ロスを少なく伝達することが可能となる。
一方、図3に示すように外層12と補強層13が相対的な位置を変えることが可能に配置された部分において、外層と補強層が接触していることも好ましい。これによれば、該カテーテルの外径を、より小さくすることが可能となる。従って、外層12と補強層13の間に空隙15を設けるか、或いは接触する様に設けるかは、用途に応じ選択することができる。
なお、外層と補強層は、相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有していれば、互いの固定関係に特に制限はないが、術者が手元で与えた力がより効率的に先端に伝達される為に、一方で外層と補強層の間に固定関係(直接的な固定でも、間接的な固定でも構わない)を持たせることが好ましい。その為、外層と補強層の間に、相対的な位置を変えることが可能に配置された部分と、固定関係を持たせる固定部を有していることが好ましい。特に、図1に示すようにアウターチューブ11における外層12と補強層13は、その重なった部分の両端付近で固定(図1では、固定部14として示した)されていることが好ましい。これは、術者の力をより効率的に伝達するために、手元側の固定部14はより手元側に配置していることが好ましく、また、補強層13から外層12への力の伝達がより効率的に先端に伝わりやすいように、先端側の固定部14はより先端側に配置した方が好ましい為である。なお、ここで両端付近とは、両端から100mm以内のことである。
一方、図4に示すように、両端付近でのみ固定するのではなく、更に間に複数の固定部14を設けて固定することも可能である。また、手元で与えたねじりの伝播がカテーテルの周を時間差を有して伝わることを促進する目的から、図4とは異なり、カテーテルの一部に、カテーテルの軸方向に垂直な断面中に複数の固定部14が配置されない様に固定部14の位置を選択する(例えば、らせん上のとびとびの位置に配置することが考えられる。)ことも可能である。
また、アウターチューブ11はより低侵襲で、更に他のデバイスとの併用を容易とする為に、より細く形成していることが好ましい。その点から、アウターチューブ11の外径は、6Fr.以下、更には3.2Fr.以下が好ましい。また、血管内にカテーテル1をデリバリーする為の血管内追従性、押し込み性を少なくとも有し、その上でより柔軟に形成されていることが好ましい。
また、本発明のアクチュエータ2を有するカテーテル1における外層12の硬度は35D以上、72D以下であることが好ましい。これによれば、アウターシャフト11を柔軟にすることができ、アウターシャフト11をループ状に形成しても、従来のカテーテルのように外層が硬すぎて、回転できないことを防止可能である。さらに、アクチュエータ2を駆動させるために流体に加圧する際に、耐圧性に優れる。
外層12は、各種材質で形成可能であるが、特にその加工の容易さや独特の柔軟性から樹脂製であることが好ましい。好適なものとして、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
また、外層12は、耐薬品性、抗血栓性が良好になる材料、例えば、フッ素系樹脂、高密度ポリエチレン等から成型されても構わない。また、外層12に例えば抗血栓性等、滑り性等、要求される特性が付与されていない材料を使用する場合には、コーティングを施すことにより、外層12に要求される特性を付与しても構わない。
また、外層12の少なくとも一部を多層構造としても構わない。さらには、アクチュエータ2と容易に接続可能な材料から構成することも好ましい。
外層12の厚みは30mm以上、200mm以下であることが、柔軟性および細径化と耐圧性を両立させる点から好ましい。
一方、補強層13としては、各種構造のものが使用可能であるが、回転(ねじり)を伝えることが容易な構造が好ましく、更に柔軟に形成可能な構造であることが好ましい。その様な構造として、例えばコイル構造、多条巻きコイル構造、多層多条巻きコイル構造、編組構造が挙げられる。特に、多条巻きコイル構造では、外径を小さくでき、かつ、屈曲性を有するため細い血管内にも到達可能であることから好ましい。さらに、耐キンク性が向上することから好ましい。次に、多層多条巻きコイル構造、編組構造は左右両方の回転に対して伝達ロスが少なくなる点で好ましい。さらには、耐キンク性が向上することから好ましい。
補強層13を構成する材質に関しては、ステンレスは強度が強く、製造が容易なため好ましい。また、X線不透過部材または、X線不透過部材を付与した材料の場合、カテーテルの体内での位置をX線透視下から判断できるため好ましい。また、補強層を形成する素線は、平線、丸線等様々な形状を用いることが可能である。さらには、先端部が多条巻きコイル構造で、手元部が多層多条巻きコイル構造であった場合、先端の外径を小さくできるため、好ましい。
また、本願発明では、アウターチューブのルーメン内にインナーチューブ3を配置することも可能である。インナーチューブ3は、カテーテル1の全長にわたって配置されても構わないが(オーバーザワイヤー型)、インナーチューブ3の後端側開口部をアウターチューブ11の途中に備えることも可能である(迅速交換型)。インナーチューブ3は、単一部材であることが製造の容易さの面で好ましいが、例えば、インナーチューブ3により剛性の変化をつけなければいけない場合は、カテーテル1の途中で複数の部材を継いでも構わない。一般に、インナーチューブ3はガイドワイヤ、薬液等が通過することが可能に形成される。インナーチューブ3は単一の内径であることが製造の容易さの面で好ましいが、例えばCTO病変への通過性をさらに向上させるために、カテーテル1の先端側に向けて、外径を小さくすると同時に内径を小さくしても構わない。
インナーチューブ3は、各種材質で形成可能であるが、特にその加工の容易さから樹脂製であることが好ましい。好適なものとして、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
また、インナーチューブ3は、耐薬品性、抗血栓性およびガイドワイヤの摺動性が良好になる材料、例えば、フッ素系樹脂、高密度ポリエチレン等が好ましい。また、例えば抗血栓性等、内層に要求される特性が付与されていない材料を使用する場合には、コーティングを施すことにより、内層に要求される特性を付与しても構わない。
インナーチューブ3を多層構造として、最内層をPTFE、高密度ポリエチレン等の樹脂材料で形成し、最外層をポリアミド、ポリウレタン、SIBS等の最内層に対し柔軟性を有する樹脂材料とすることが好ましい。さらには、アクチュエータを構成する際に使用することのあるバルーン2の材質と溶融して混合(相溶、或いは分散)可能な材料から最外層を構成することが好ましい。
また、インナーチューブ3を補強層を有する多層構造とすることも可能である。図5は、この様な例を示したもので、インナーチューブ3がその一部に多層構造を有するチューブで形成され、最内層と最外層の中間にインナーチューブ補強層5を含んだ構造である。インナーチューブ補強層5を含むことで回転力のさらなる付与ができる上に、前記アウターチューブ11の補強層13と同様にアウターチューブ11の外層12に対して相対的な位置関係を変えることが可能な配置となることから、アウターチューブ11の補強層13の補助構成として有効である。また、カテーテル1のキンク性を向上させる点でも好ましい。
一方、本発明のアクチュエータを有するカテーテルは、アウターチューブ11の後端には、ハブ4を備えることも可能である。ハブ4を構成する材質としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリアリレート、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリオレフィン等の樹脂が好適に使用できる。ハブ4とアウターシャフト11の接合方法は特に限定されず、各種技術を利用することが可能である。例を挙げると、接着剤による接着、融着可能な材質から構成される場合は融着等の方法が使用可能である。また、接着剤を使用する場合、接着剤の組成及び化学構造、硬化形式は限定されない。例えば、組成及び化学構造の点からは、ウレタン型、シリコン型、エポキシ型、シアノアクリレート型棟の接着剤が好適に使用され、硬化形式の点からは、2液混合型、UV硬化型、吸水硬化型、加熱硬化型等の接着剤が好適に使用される。接着剤を使用する場合、接合部位の剛性が、該接合部位の前後で不連続に変化しない程度の硬化後の硬度を有する接着剤を使用することが好ましく、接合部位の材質、寸法、剛性等を考慮して接着剤を選択することが可能である。また、該接合部位の細径化を実現するために接合部を加熱処理しても良く、ポリオレフィン等の難接着性の材質の場合は、接合部位を酸素ガス等でプラズマ処理し接着性を向上させた上で接着しても良い。
アクチュエータ2は、遠隔操作により作動する機構を有するものであれば、特に制限を受けないが、先端角度を変更することが可能な様に、屈曲機構を備えた場合、分岐した血管にガイドワイヤや薬液等を送達することが容易になる点で好ましい。さらには、CTO病変にガイドワイヤを通過させる際、ガイドワイヤの角度を絶妙に変更することが可能となる点で好ましい。
術者の操作が容易になる点で、屈曲機構を有するアクチュエータ2は複数の方向に屈曲することが可能であることが好ましい。一方、アクチュエータを、単一方向のみに屈曲する様に構成することも可能である(この場合、アクチュエータを有するカテーテルを、細く形成することが容易である。一方、屈曲させたい任意に方向に合わせる為の回転量が一般に大きくなるが、本発明によれば、屈曲した血管内に於いても容易に先端を回転することが可能となり、細さと方向選択性を両立したアクチュエータを有するカテーテルを提供することが可能である。)。
アクチュエータ2の駆動方式に特に制限はないが、流体により駆動するアクチュエータ2を搭載した場合、生体内で安全であるため好ましい。さらには、流体により駆動するアクチュエータ2として、バルーンを有した構造とした場合、外径を小さくすることが可能な点、製造が容易になる点から好ましい。ここでいうバルーンとは、伸縮、膨張、拡張する材料のことであり、上記の特性を満たすものであれば、材質、膜厚等の制限は受けない。また、バルーンを有した構造としては、作動性を向上する目的で、バルーンの径方向(短軸方向)への膨張を拘束する拘束部材を配置したり、更にはバルーンと比較して長軸方向に伸縮しないチューブを該拘束部材に対して一側に偏心して配置することなどが可能である(拘束部材としてコイルを使用した例を図6に示した。)。
以下に本発明に係る具体的な実施例について詳説するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下、実施例としてのチューブの構造を明確にするために、便宜上、各要素の名称、および各要素に付された符号(例えばチューブ1、2等)は、それぞれ、上述の実施形態で説明した各図中の、各要素の名称、および同一の符号で示される要素に対応するものとして説明する。
(カテーテルの製造方法)
(実施例1)
多条巻きコイルの補強層13にポリアミドエラストマーの1種であるPEABAX55D相当の外層12を被せ、外層12と補強層13を両端の固定部14において固定し、アウターチューブ11とした。該アウターチューブ11内にインナーチューブ3を配置し、アクチュエータ2とハブ4を介してアウターチューブ11とインナーチューブ3を固定し、カテーテル1とした。
(実施例2)
編組の補強層13にポリアミドエラストマーの1種であるPEABAX55D相当の外層12を被せ、外層12と補強層13を両端の固定部14において固定し、アウターチューブ11とした。該アウターチューブ11内にインナーチューブ3を配置し、アクチュエータ2とハブ4を介してアウターチューブ11とインナーチューブ3を固定し、カテーテル1とした。
(実施例3)
多条巻きコイルの補強層13にポリアミドエラストマーの1種であるPEABAX72D相当の外層12を被せ、外層12と補強層13を両端の固定部14において固定し、アウターチューブ11とした。該アウターチューブ11内にインナーチューブ3を配置し、アクチュエータ2とハブ4を介してアウターチューブ11とインナーチューブ3を固定し、カテーテル1とした。
(比較例1)
多条巻きコイルの補強層13にポリアミドエラストマーの1種であるPEABAX55D相当の外層12を被せ、補強層12の全長にわたって圧着固定し、アウターチューブ11とした。該アウターチューブ11内にインナーチューブ3を配置し、アクチュエータ2とハブ4を介してアウターチューブ11とインナーチューブ3を固定し、カテーテル1とした。
(比較例2)
PEBAX55D相当の外層12のみからなるアウターチューブ11内に、インナーチューブ3を配置し、アクチュエータ2とハブ4を介してアウターチューブ11とインナーチューブ3を固定し、カテーテル1とした。
(評価)
実施例1、2、3および、比較例1、2のカテーテル1を用いて直径15cmの2重巻きループを作製した。カテーテル1のハブ4を持って径方向に1080°回転させた際、カテーテル1の先端が回転すれば合格とした。
実施例1、2、3ではカテーテル1の先端が1、2、3の順でより感度よく回転したが、比較例1、2は回転しなかった。
1.カテーテル
2.アクチュエータ
3.インナーチューブ
4.ハブ
5.インナーチューブ補強層
6.バルーン
11.アウターチューブ
12.外層
13.補強層
14.固定部
15.隙間

Claims (16)

  1. アクチュエータとアウターチューブを有するカテーテルであって、
    該アウターチューブが外層と補強層を有し、該アウターチューブの一部に、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有することを特徴とする、アクチュエータを有し、
    前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能な配置が、更に前記外層と前記補強層との間に空隙を有する配置であることを特徴とするカテーテル。
  2. 前記外層と前記補強層とが、その重なった部分の両端付近で固定されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  3. アクチュエータとアウターチューブとを有するカテーテルであって、
    該アウターチューブが外層と補強層とを有し、該アウターチューブの一部に、前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能に配置された部分を有することを特徴とする、アクチュエータを有し、
    前記外層と前記補強層とが、その重なった部分の両端付近で固定されていることを特徴とするアクチュエータを有するカテーテル。
  4. 前記外層と前記補強層の相対的な位置を変えることが可能な配置が、更に前記外層と前記補強層とが接触している配置であることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  5. 前記外層と前記補強層とが、同心状、或いは偏心状に配置されていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  6. 前記外層と前記補強層との相対的な位置を変えることが可能な配置が、カテーテルの軸を中心に回転して相対的な位置を変えることが可能な配置であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  7. 前記アウターチューブのルーメン内にインナーチューブを有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  8. 前記外層を構成する材料のショア硬度が35D以上、72D以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  9. 前記補強層が、多条巻きコイル構造を有していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  10. 前記補強層が、多層多条巻きコイル構造を有していることを特徴とする請求項9に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  11. 前記補強層が、編組構造を有していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  12. 前記インナーチューブが補強層を含む多層構造を有していることを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  13. 先端角度を変更することが可能なことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  14. 流体駆動で作動することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  15. 単一方向にのみ屈曲することを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
  16. バルーンを有することを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のアクチュエータを有するカテーテル。
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