JP5579574B2 - 欠陥検査方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は試料表面に存在する微小な欠陥を検査し、欠陥の種類および欠陥寸法を判定して出力する欠陥検査方法およびその装置に関する。
半導体基板や薄膜基板等の製造ラインにおいて、製品の歩留まりを維持・向上するために、半導体基板や薄膜基板等の表面に存在する欠陥の検査が行われている。欠陥検査の従来技術としては特開平9−304289号公報(特許文献1)、特開2006−201179号公報(特許文献2)、米国特許出願公開第2006/0256325号明細書(特許文献3)などが知られている。これらは、微小な欠陥を検出するために試料表面上に数十μmの寸法に照明光を集光して照射し、欠陥からの散乱光を集光・検出し、数十nmから数μm以上の寸法の欠陥を検査する技術である。試料(検査対象物)を保持するステージを回転移動および並進移動させることにより、照明スポットが試料表面上をらせん状に走査し、試料全面が検査される。
また、特許文献1および特許文献2では、欠陥からの散乱光の高角度に出射する成分と低角度に出射する成分を検出しその比によって欠陥の種類を分類する技術が述べられている。
また、特許文献2では、欠陥からの散乱光の強度に基づいて、検出した欠陥の寸法を算出する技術が述べられている。
また、特許文献3では、試料に与える熱ダメージを低減するため、検査対象面を検査中に照明光のパワー、あるいは照明スポットの走査速度、あるいは照明スポットの寸法を制御することが述べられている。より具体的には、試料に与える熱ダメージは照射する照明パワー密度と照射時間との積によって決まると仮定し、これが一定値を越えないように、走査中の試料上の半径位置に応じて照明光のパワー、あるいは照明スポットの走査速度、あるいは照明スポットの寸法を変化させることが述べられている。
また、一方向に長いガウスビームで試料上の広い範囲を照明し、CCDなどの複数画素の検出器を用いて照明領域を一括に検出することで、短い時間で試料全面を検査する技術として、米国特許第6608676号明細書(特許文献4)が知られている。
また、特開2007−85958号公報(特許文献5)では、短波長レーザ照明において、高出力レーザではパルス発光レーザが多く、この瞬間的な発光による試料の急激な温度上昇による、試料の熱ダメージを低減させるため、光路を分割、その光路長の違いを利用してパルスを分割することで試料のダメージを低減する手法が述べられている。
また、米国特許第7397557号明細書(特許文献6)では、AO偏光器を用いてレーザスポットを走査させながら、多方向から散乱光を検出して検査する技術が知られている。
特開平9−304289号公報 特開2006−201179号公報 米国特許出願公開第2006/0256325号明細書 米国特許第6608676号明細書 特開2007−85958号公報 米国特許第7397557号明細書
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査には、微小な欠陥を検出すること、検出した欠陥の寸法を高精度に計測すること、試料を非破壊で(あるいは試料を変質させること無く)検査すること、同一の試料を検査した場合に常に一定の検査結果(検出欠陥の個数、位置、寸法、欠陥種)が得られること、一定時間内に多数の試料を検査することなどが求められる。
前記特許文献1、特許文献2、特許文献4に述べられた技術では、特に寸法20nm以下の微小な欠陥については、欠陥から発生する散乱光が極微弱となり、試料表面で発生する散乱光によるノイズ、検出器のノイズ、あるいは検出回路のノイズに欠陥信号が埋もれるため検出不可能となる。あるいは、これを避けるために照明パワーをあげた場合、照明光による試料の温度上昇が大きくなり、試料への熱ダメージが発生する。あるいは、これを避けるために試料の走査速度を低下させた場合、一定時間内に検査できる試料の面積あるいは試料の数が減少する。以上より、熱ダメージを避けつつ微小な欠陥を高速に検出することが困難であった。
一方、特許文献3に述べられた技術は、試料上の半径位置に比例して照明パワーを変えることにより、前記従来技術と比較して試料中心付近での熱ダメージを低減すること、あるいは試料中心付近での熱ダメージを従来技術と同等に抑えつつ試料外周部での欠陥検出感度を向上させることを狙うものであった。この技術は熱ダメージが照射パワー密度と照射時間との積に比例すると仮定したため、以下の問題があった。
第一に、熱ダメージの見積りにおいて照明スポットからの熱拡散の影響を考慮していないため、特に照射時間の長い試料中心部における熱ダメージが現実より過大に見積られる。このため、試料中心部において必要以上に照明パワーを低下させることになり、欠陥検出感度が低下した。
第二に、試料全面において熱ダメージを生じさせないためには、熱ダメージが最大となる試料中心部においてダメージが生じないことを基準として投入する照明パワーを規定する必要がある。しかし、回転走査では試料中心部において走査速度(線速度)が0であるため、計算上の照射時間が無限大に発散し、前記仮定では熱ダメージを定量的に見積ることができず、照明パワーを規定することが出来なかった。逆に、中心部で熱ダメージが起きないことを保証するためには、照明パワーを0にする必要があり、中心部の検査が不可能であった。
第三に、パルスレーザの場合には、パルスの時間長さはおよそ15ps程度であることが多く、試料を回転させながら検査する方式において、試料を例えば直径が300mmのウェハを1000rpm程度で回転させた場合、この15psの間に試料が移動する距離はウェハの外周で0.23nm程度であり、光学分解能に対してはるかに小さい距離しか移動できない。このため、1回のパルス発光において照射される領域は、照明が照射されている位置の移動速度ではなく、ビームスポットの領域によってほぼ決定される。このため、瞬間的な温度上昇による試料に対するダメージは、試料の半径位置によって、ほとんど変化しない。
第四に、回転する試料の最外周においても熱ダメージが発生する照明パワーになった場合、それ以上の照明パワーを投入することができない。
特許文献5に記載されている発明は、光路を偏光ビームスプリッタによって複数に分割、この光をそれぞれ異なる光路長の光路に導き、この光路を通過する際の時間差によって再度この光を偏光ビームスプリッタに導いて光路を統合する際のパルスの到着するタイミングをずらすことでパルスを分割していた。しかし、この方式では、ビームスポットを小さくすることが困難であった。それぞれ異なる光路を通った光が同一の場所を照明しなければ、それぞれの光路の照明が小さいビームスポットを形成したとしても、全体的に見れば大きなビームスポットとなってしまう。分割した光路を同一の光路に戻すためには、多数のミラーを必要とし、これを偏光ビームスプリッタで同一の光路に戻す際にビームの光軸の角度ずれが一般に発生する。このため、それぞれの光路を通った光は別の位置を照明し、結果として小ビームスポットを得ることができない。欠陥から得られる光量は単位面積あたりの光量で決定されるため、ビームスポットの拡大は欠陥検出性能を低下させてしまう。
特許文献6に記載されている発明は、熱ダメージを考慮して発明された技術ではないものの、本技術を適用することによって、ビームスポットを高速に偏向させることで面積あたりの照明パワーを低減し、熱ダメージを低減させることができるが、特許文献3と同じ理由により、パルスレーザの場合には熱ダメージを低減することができない。更に連続発振レーザの場合であっても、試料の最外周において、熱ダメージによる投入照明パワーの不足により十分な感度の検査が実現できない場合には、ビームスポットを試料の移動スピードよりも高速に移動させたとしても、欠陥より十分な量の散乱光を検出できるわけではないため、高感度な検査は実現できない。
本発明の目的は、試料全面を短時間で走査し、試料に熱ダメージを与えることなく微小な欠陥を検出することができる欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置を、試料を載置して回転可能なテーブル手段と、パルスレーザを発射するレーザ光源と、このレーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを長さの異なる複数の光路に分岐した後に再び共通の光路を進ませることにより複数のパルスに時分割してテーブル手段に載置した試料に照射する照明光学系手段と、この照明光学系手段により1パルスを複数のパルスに時分割されたパルスレーザが照射された試料からの反射光を検出する検出光学系手段と、この検出光学系手段で検出した反射光の強度信号をサブパルスの照射光路が同一なもの毎に分離した後、前記試料上の近接した箇所で得られた照明光路が異なる照明で得た反射光強度を内挿補して試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、この信号処理手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段とを備えて構成し、照明光学系手段は、パルスレーザの1パルスを複数に時分割したそれぞれの分割パルスレーザを試料上の異なる位置に照射するように構成した。
また、上記した課題を解決するために、本発明では、試料を回転可能なテーブルに載置して回転させ、この回転している試料にレーザ光源から発射されたパルスレーザを照射し、このパルスレーザが照射された試料からの反射光を検出し、この検出した試料からの反射光を検出し、この検出した反射光の強度信号をサブパルスの照射光路が同一なもの毎に分離した後、前記試料上の近接した箇所で得られた照明光路が異なる照明で得た反射光強度を内挿補して試料上の欠陥を検出する欠陥検査方法において、回転している試料にレーザ光源から発射されたパルスレーザを照射することを、このレーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを長さの異なる複数の光路に分岐した後に再び共通の光路を進ませることにより複数のパルスに時分割し、この時分割したそれぞれの分割パルスレーザを試料上の異なる位置に照射することにより行うようにした。
本発明によれば、試料全面を短時間で走査し、試料に熱ダメージを与えることなく、微小な欠陥を検出することができる。
本発明の実施例に係る欠陥検査装置の全体概略構成を示すブロック図である。 アッテネータの構成を示すブロック図である。 信号処理部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る検出部の配置および検出方向を示す検出部のブロック図である。 パルス分割部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る試料上の照明パターンを示す試料の平面図である。 本発明の実施例に係る分割したパルス状のビームをθ方向にずらして照明する場合の時間と共に照明されるθ位置の変化を示すグラフである。 本発明の実施例に係る分割したパルス状のビームを半径(R)方向にずらし照明する場合の時間と共に照明されるR位置の変化を示すグラフである。 本発明の実施例に係る欠陥検査装置の全体概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る欠陥検査装置の全体概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る位置の補正係数の算出の説明図である。 本発明の実施例に係るミラーの角度と光束拡大部への入力ばらつきの関係の説明図である。 本発明の実施例に係る検出部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係るアナログ処理部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る分割したパルスを統合して処理する方式のデジタル処理部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る分割したパルスを独立に処理する方式のデジタル処理部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る分割したパルスを統合して処理する方式のデジタル処理部の構成を示すブロック図である。 (a)は試料上をらせん状に検査する状態を示す試料の平面図、(b)はメモリ部と演算部の関係を示すブロック図、(c)はTVカメラで観察される輝点の画像である。 本発明の実施例に係るミラーの角度のマニュアル設定を可能にするGUIを示す表示画面の正面図である。
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
本発明の第1の実施形態の概略構成を図1で説明する。照明部101、検出部102、試料Wを載置して回転して回転中心軸に直角な方向に可能なステージ103、信号処理部105、制御部53、表示部54、入力部55を備える。
照明部101はレーザ光源2、アッテネータ3、出射光調整部4、パルス分割部8、光束拡大部5、偏光制御部6、照明集光制御部7を備える。レーザ光源2はパルス発振あるいは擬似連続発振レーザであり、典型的には発光時間は15ps以下であり、10ns毎の間隔でパルス状の光が出力される。また、レーザ光源2からはコリメートされたレーザ光が照射される。発射される光がコリメートされた光でないレーザ光源の場合、別途コリメータレンズを設け、照明をコリメートする。
レーザ光源2から射出されたレーザ光ビームは、アッテネータ3で所望のビーム強度に
調整され、出射光調整部4のミラー41と42とで所望のビーム位置、ビーム進行方向に
調整され、パルス分割部8でパルス状のレーザ光の1つのパルスを時分割された複数のパ
ルスに分割する。この光束は、光束拡大部5の凹レンズ501と凸レンズ502とで光束
を拡大するとともにパルス分割部で分割された各パルスの光束の方位ばらつきを低減し、
偏光制御部6で1/2波長板61と1/4波長板62とで所望の偏光状態に調整され、照明集光制御部7で所望の強度分布に調整され、試料Wに対して斜め方向から入射して検査対象領域を照明する(斜入射照明)。
本発明の特徴であるパルス分割部8で、各時分割されたパルス光の光軸の角度方向のばらつきは照明集光制御部7での集光性能を低下させ、試料w上に微小なスポットを形成することが困難である。そこで、パルス分割部は分割されたパルスがそれぞれ角度の差をもつように調整する。典型的には試料の半径方向にビームスポットが分割されて照明するようにし、またこれを回転方向に分割して照明しても良い。さらにビームスポットは分離してもせずに、ビームプロファイルが重なりあうように配置しても良い。この分割されたビームのプロファイルについては、後で説明する。
試料上の照明形状は、熱に対するダメージを最小にするにはアスペクト比の高い矩形形状にすることが一般的である。このため、照明集光制御部7としては典型的には2組のアナモフィックプリズム71及び72で照明光束を整形したのち、集光レンズ73で照明する。また、集光レンズ73の代わりに回折光学素子を用いても良い。
照明部101の光路中には多数の反射ミラー91〜97が設置されているが、そのうち反射ミラー95の位置と角度により試料表面に対する照明光の入射角(試料表面の法線方向に対する傾き角)が決められる。照明光の入射角は微小な欠陥の検出に適した角度に設定される。照明入射角が大きいほど、すなわち照明の仰角(試料表面と照明光軸との成す角)が小さいほど、試料表面上の微小異物からの散乱光に対してノイズとなる試料表面の微小凹凸からの散乱光(ヘイズと呼ばれる)が弱まるため、微小な欠陥の検出に適する。このため、試料表面の微小凹凸らの散乱光が微小欠陥検出の妨げとなる場合には、反射ミラー95を調整して照明光の入射角は75度以上(仰角15度以下)に設定される。
一方、斜入射照明において照明入射角が小さいほど微小異物からの散乱光の絶対量が大きくなるため、欠陥からの散乱光量の不足が微小欠陥検出の妨げとなる場合には、照明光の入射角は60度以上75度以下(仰角15度以上30度以下)に設定される。また、斜入射照明を行う場合、照明部101の偏光制御部6における偏光制御により、照明の偏光をP偏光とすることで、その他の偏光と比べて試料表面上の欠陥からの散乱光量を増加させることができる。
図示していないミラー93の駆動手段でミラー93を駆動して照明部101の光路中にミラー93を挿入することにより(図1Aに示した状態)、照明光路が変更され、ミラー96,97で光路を切替えた後に照明集光制御部7vを透過させて試料Wの表面に垂直な方向から照明光が照射される(垂直照明)。このとき、試料面上の照明強度分布は照明集光制御部7vにより、斜入射照明と同様に制御される。試料面の凹み状の欠陥(研磨キズや結晶材料における結晶欠陥)からの散乱光を得るには、試料表面に実質的に垂直に入射する垂直照明が適する。
レーザ光源2としては、試料表面近傍の微小な欠陥を検出するには、試料内部に浸透しづらい波長として、短波長(波長355nm以下)の紫外または真空紫外のレーザビームを発振し、かつ出力2W以上の高出力のものが用いられる。出射ビーム径は1mm程度である。試料内部の欠陥を検出するには、試料内部に浸透しやすい波長として、可視あるいは赤外のレーザビームを発振するものが用いられる。
図1Bに示すように、アッテネータ3は、第一の偏光板31と、照明光の光軸周りに回転可能な1/2波長板32と、第二の偏光板33とを備える。アッテネータ3に入射した光は、第一の偏光板31により直線偏光に変換され、1/2波長板32の遅相軸方位角に応じて偏光方向が任意の方向に回転され、第二の偏光板33を通過する。1/2波長板32の方位角を制御することで、光強度が任意の比率で減光される。アッテネータ3に入射する光の直線偏光度が十分高い場合は第一の偏光板31は必ずしも必要ない。アッテネータ3は入力信号と減光率との関係が事前に較正されたものを用いる。アッテネータ3として、グラデーション濃度分布を持つNDフィルタを用いることも可能である。
出射光調整部4は複数枚の反射ミラーを備える。ここでは二枚の反射ミラー41と42とで構成した場合の実施例を説明する。ここで、三次元の直交座標系(XYZ座標)を仮に定義し、反射ミラー41への入射光が+X方向に偏向しているものと仮定する。第一の反射ミラー41は入射光を+Y方向に偏向するよう設置され(XY面内での入射・反射)、第二の反射ミラー42は第一の反射ミラー41で反射した光を+Z方向に偏向するよう設置される(YZ面内での入射・反射)。各々の反射ミラー41と42とは平行移動とあおり角調整により、出射調整部4から出射する光の位置、進行方向(角度)が調整される。前記のように、第一の反射ミラー41の入射・反射面(XY面)と第二の反射ミラー42の入射・反射面(YZ面)が直交するような配置とすることで、出射調整部4から出射する光(+Z方向に進行)のXZ面内の位置、角度調整と、YZ面内の位置、角度調整とを独立に行うことができる。
出射光調整部4から出射した光の状態は、出射光の光路に対して図示していない駆動手段で駆動される出し入れ可能なミラー91で反射されてモニタ22により観察される。
検出部102は、照明領域20から発する複数の方向の散乱光を検出するよう、複数配置される。検出部102の試料Wおよび照明領域20に対する配置を図8を用いて説明する。
図8(a)に検出部102の配置の側面図を示す。照明領域20は図8(a)の紙面に対して垂直な方向に長い形状を有している。試料Wの法線方向に対して、検出部102による検出方向(検出開口の中心方向:図8(a)の各矢印の方向)のなす角を、検出天頂角と定義する。検出部102は、検出天頂角が45度以下の高角検出部102hと、検出天頂角が45度以上の低角検出部102lからなる。高角検出部102h、低角検出部102l各々は、各々の検出天頂角において多方位に散乱する散乱光をカバーするよう、複数の検出部からなる。
図8(b)に、低角検出部102lの配置の平面図を示す。照明領域20は矢印で示した斜入射照明進行方向に沿って長い形状をしている。試料Wの表面と平行な平面内において、斜入射照明の進行方向と検出方向とのなす角を検出方位角と定義する。低角検出部102lは、低角前方検出部102lf、低角側方検出部102ls、低角後方検出部102lb、およびそれらと照明入射面に関して対称な位置にある低角前方検出部102lf’、低角側方検出部102ls’、低角後方検出部102lb’を備える。低角前方検出部102lfと102lf’とは検出方位角が0度以上60度以下、低角側方検出部102lsと102ls’とは検出方位角が60度以上120度以下、低角後方検出部102lbと102lb’とは検出方位角が120度以上180度以下に設置される。
図8(c)に、高角検出部102hの配置の平面図を示す。高角検出部102hは、高角前方検出部102hf、高角側方検出部102hs、高角後方検出部102hb、および高角側方検出部102sと照明入射面に関して対称な位置にある高角側方検出部102hs’を備える。高角前方検出部102hfは検出方位角が0度以上45度以下、高角側方検出部102hsは検出方位角が45度以上135度以下、高角後方検出部102hbは検出方位角が135度以上180度以下に設置される。
検出部102の具体的な構成を図2に示す。図2(a)はポイントセンサ204を用いた場合の実施例、図2(b)はラインセンサ208を用いた実施例である。
照明領域20(紙面に垂直な方向に長い形状をしている)から発生する散乱光を対物レンズ201によって集光し、偏光フィルタ202通過させた後、結像レンズ203によってセンサ204の受光面に導かれ、検出される。図2(a) に示した204はポイントセンサ、図2(b)に示した208は複数画素センサである。散乱光を効率良く検出するため、対物レンズ201の検出NAは0.3以上である。
低角度検出部102lの場合、対物レンズ201の下端が試料面Wに干渉しないよう、必要に応じて対物レンズの下端を切り欠く。偏光フィルタ202は偏光板あるいは偏光ビームスプリッタからなり、任意の方向の直線偏光成分をカットするよう設置される。偏光板として、透過率80%以上のワイヤグリッド偏光板などが用いられる。楕円偏光を含む任意の偏光成分をカットする場合は、偏光フィルタ202を波長板と偏光板とを組み合わせて構成すればよい(図示せず)。
ポイントセンサ204、及び複数画素センサ208は高感度検出を行うため、量子効率が高く(30%以上の)、光電変換後の電子を電気的に増幅可能なもの、また、高速化のため、複数がその信号を並列して読み出し可能なもの、また、検出ダイナミックレンジ確保のため、検出感度(電気的な増幅のゲイン)が電気的手段などにより短時間で容易に変更可能であるものが望ましい。
ポイントセンサ204は光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードを用い、複数の画素センサより構成される複数画素センサ208としてはマルチアノード光電子増倍管、アバランシェフォトダイオードアレイ、信号の並列読み出しが可能なリニアEMCCD(Electron Multiplying CCD)、信号の並列読み出しが可能なリニアEBCCD(Electron Bombardment CCD)を用いる。
対物レンズ201および結像レンズ203によって、試料Wの表面(試料面)の像が試料面共役面205に結像される。試料面に対して傾斜した結像する。このため、走査方向S1に関して、像高の大きい位置にある物体はデフォーカスにより複数画素センサ208の受光面に像を結ばずにボケるが、走査方向S1は照明領域20の寸法が短いため、像高の大きい位置にある物体は検出に影響を与えない。
図2(b)に、センサとして複数画素センサ208を用いた場合の構成を示す。照明領域20から発生する散乱光を対物レンズ201によって集光し、偏光フィルタ202通過させた後、結像レンズ203によって、試料面と共役な面205に設置された回折格子206上に試料面の像(中間像)が結像される。回折格子206上に形成された試料面の像は、結像系207によって複数画素センサ208の受光面上に投影され、検出される。
複数画素センサ208は、一方向に長い照明領域20の形状に合せ、画素の配列方向が照明領域20の像の長手方向(図面に垂直な方向)に一致するよう、試料面に共役な面内に設置される。
回折格子206は、結像レンズ203によって導かれ中間像を形成する光を回折格子206の表面の法線方向に回折させるため、結像レンズ203によって導かれ中間像を形成する光の光軸211に沿った入射光のN次回折光が回折格子206の表面の法線方向212に向かうよう、回折格子形状が形成されたものを用いる。回折効率を高めるため、ブレーズ回折格子が用いられる。なお、検出方位角90度の低角および高角の側方検出部102ls、102ls’及び102hs、102hs’(図8(b)及び(c)参照)に関しては像高が小さく抑えられるため、回折格子206、結像系207を省いて回折格子206の位置に208の複数画素センサを配置しても良い。
以上の構成をとり試料面に共役な面に複数画素センサ208を設置することで、試料面上のS1方向についてもピントのずれを抑えて広い範囲で有効視野を確保することができ、かつ光量ロスを少なく散乱光を検出することができる。
パルス分割部8の構成及び作用を、図3を用いて説明する。パルス分割部8は密閉構造容器81に収められて、不活性ガスで充填しておくのが良い。300は出射光調整部4から出射された照明光であり、コリメート光である。入射窓部811から密閉構造容器81の内部に入射した照明光300は、1/4波長板301により、円偏光となり、偏光ビームスプリッタ302によって、偏光ビームスプリッタ302を透過する偏光成分と偏光ビームスプリッタ302で反射される偏光成分とに光が2分岐される。分岐した一方の偏光ビームスプリッタ302で反射されてミラー304と305を介して偏光ビームスプリッタ303に入射して1/4波長板306の方向に反射される光と、分岐した他方の偏光ビームスプリッタ302を透過して直接偏光ビームスプリッタ303に入射し偏光ビームスプリッタ303を透過して1/4波長板306の方向に向かう光とで光路差が発生し、パルスが分割される。
1/4波長板306はそれぞれの光路を進んできた偏光光を再び円偏光にする。この円偏光光は偏光ビームスプリッタ307に入射して偏光ビームスプリッタ307を透過する偏光成分と反射される偏光成分との2つの光路に分岐される。分岐した一方の偏光ビームスプリッタ302で反射され、ミラー309、310を介して偏光ビームスプリッタ308に入射して1/4波長板306の方向に反射される光と、分岐した他方の偏光ビームスプリッタ307を透過して直接偏光ビームスプリッタ308に入射し偏光ビームスプリッタ308を透過する光とで光路差が発生し、ここで更にパルスが分割される。典型的には、ミラー304、305を経由することによってできる偏光ビームスプリッタ302を透過した光との光路差は、ミラー309、310を経由することにより発生する偏光ビームスプリッタ307を透過した光との光路差の2倍に設定する。
偏光ビームスプリッタ308を透過又は反射された偏光光は1/4波長板311に入射して円偏光となって出射する。この1/4波長板311で円偏光にされた光は偏光ビームスプリッタ312に入射し、P偏光成分が透過してS変更成分は反射されディフューザ319に入射してパルス分割部8から出射する光から取り除かれる。
偏光ビームスプリッタ303から出射される光はミラー304と305を経由した光と、偏光ビームスプリッタ302から直接入射した光で一定の角度差をもつように設定する。また、同様に偏光ビームスプリッタ308から出射される光はミラー309、310を介した光と偏光ビームスプリッタ307から直接308に入射する光で一定の角度差ができるように設定する。典型的には、偏光ビームスプリッタ308から出射される光の角度差は、偏光ビームスプリッタ303から出射される光の角度差の0.5倍になるように設定する。照明集光制御部7では、各パルスの偏光ビームスプリッタ308を出射する際の光の角度差に比例して照明される。314〜317はそれぞれミラー304、305、309、310の角度を制御するために用いられる位置制御機構であり、制御部53より制御できるようにする。
318はミラー304、305、309、310のアライメント状態を観察するためのTVカメラであり、図示していない駆動機構で駆動されるミラー321を光路中に入れて偏光ビームスプリッタ321を透過したP偏光光の光路をTVカメラ318の方向に折り曲げることによりTVカメラ318でミラー304、305、309、310のアライメント状態を観察することができる。
TVカメラ318によるミラー304、305、309、310のアライメント状態を観察を終えると図示していない駆動機構でミラー321を駆動して、ミラー321を偏光ビームスプリッタ321を透過したP偏光光の光路から退避させて、P偏光光は出射窓812を透過してパルス分割部8から出射して光束拡大部5に入射する。
図4Aに分割されて照明される照明の例を示す。図4Aの(a)〜(d)はポイントビームに適用した例であり、試料のr方向(半径方向)に微小位置をずらした照明パターンである。ミラー304、305、309、310は経時的な時間変化によって調整状態がずれ、期待していないθ方向に照明位置がずれる場合があり、この場合、(a)の401に示すようにポイントビームがθ方向に拡大してしまうという課題があった。高感度に検査を行うには試料が回転するθ方向に照明が絞られている必要がある。
試料の回転する方向のr方向に微小位置をずらすと、(b)のポイントビーム402に示すように、多少、試料のθ方向に照明位置がずれても、試料上ではθ方向に絞られることになり高感度な検査が実現できる。また、照度が最大の箇所が拡大、R方向の裾野が狭くなるため、(a)のポイントビーム401よりも照明強度を大きくすることが可能であり、高感度化ができる。なお、パルスは時間的に分割されているため、任意の時間において、1つのスポットしか照明されていない。この性質は後述する信号処理部における高感度化において重要である。
(c)のポイントビーム403は更に照明をr方向にずらした場合の照明の実施例である。このようにスポットの位置を大きくずらすと、熱が試料上近傍に拡がりやすくなるため、平均温度上昇が抑制され、さらに照明強度を大きくすることが可能になる。また、(d)のポイントビーム404に示すようにθ方向にずらすことでも、瞬間的な温度上昇を抑制することができる。θ方向にずらす場合は平均的な温度上昇に対しては不利になるが、特に図2の(b)に示した結像検出系を用いた場合にはR方向には大きくは位置をずらすことができないため、効果的に用いることができる。
光束拡大部5は二群以上のレンズ群を有し、入射する平行光束の直径を拡大する機能を持つ。図1Aには、凹レンズ501と凸レンズ502の組合せを備えるガリレオ型のビームエキスパンダの例を示す。光束拡大部5は二軸以上の並進ステージ(図示せず)上に設置され、所定のビーム位置と中心が一致するように位置調整が可能なように構成されている。また、光束拡大部5の光軸とパルス分割部8から偏向制御部6に至るビーム光軸が一致するように光束拡大部5全体のあおり角調整機能機構(図示せず)が備えられる。凹レンズ501と凸レンズ502の間隔を調整することにより、光束直径の拡大率を制御することが可能である(ズーム機構)。
TVカメラ318は制御部53と接続しておき、この輝点が期待する位置からずれていた場合にはパルス分割部8の314から317のミラー位置制御機構を用いて自動調整する。この例ではビームスポット間隔はミラー位置制御機構316、317を用いて自動調整され、ビームスポット間隔はミラー位置制御機構314と315を用いて調整される。画像処理で輝点の重心位置を出力しながら、ミラー位置制御機構314、315、316及び317を用いて4つのミラー304、305、309および310の角度を変化させ、もっとも輝点の重心位置が期待する位置に近いところでミラーを固定する。
TVカメラ318を用いたミラー304及び305の調整の方法の一例を図7に示す。ミラー304、305において傾き角度がΔθ1、Δθ2だけ設計位置からずれていた場合、光線のずれ量は、それぞれ、ミラー304から305において2Δθ1x1、ミラー304からビームスプリッタ302までで2(Δθ1+Δθ2)y1、さらに、302からTVカメラ318に光を導くミラーまでの間に2(Δθ1+Δθ2)x2だけ設計位置からずれ、平行光がTVカメラのCCDで集光するように設定すると、この角度のずれがTVカメラ318の位置として検出されるため、ミラーの角度のずれを求めることが可能である。図13に調整用GUI1300を示す。1301はTVカメラ318で撮像した分割したパルスの各光路の角度差を顕在化させる画面であり,1302は光束拡大部5の後段に配置したビームモニタ23で撮像したビームエキスパンダ直後のビームの像である。ビームの像1302は一点に集光されていることが望ましい。ビームモニタ23は、光束拡大部5から出射した光の光軸に対して図示していない駆動手段により出し入れ可能なミラー92で反射されたビームの像を撮像する。
1303は各ミラーの角度を示しており、GUI1300上で数値を入力すると制御部53でミラー位置制御機構314、315、316及び317を制御してミラー304、305、309および310の角度が変えられる。1304のボタンをクリックすると、1301および1302のデジタル画像がセーブできるようになっており、装置間の感度差や、感度の経時変化を解析できるようにしておく。自動調整ボタン1305をクリックすると、制御部53でミラー位置制御機構314、315、316及び317を制御してミラー304、305、309および310の角度を変化させ、もっとも設計値と一致する角度になるように自動調整する。
光束拡大部5によるビーム径の拡大倍率は10倍から20倍であり、光源2から出射した径1mmのビームが10mmから20mm程度に拡大される。このとき、パルス分割部8で1つのパルスを時分割したことによって発生する各分割したパルスの光軸の傾きは逆に1/10から1/20に減少する。たとえばパルス分割部8から出射した各分割したパルスの光軸の傾きのばらつきが100μrad程度とすると、光束拡大部5から出射する各分割したパルス光のばらつきは5〜10μradになる。
偏光制御部6は、1/2波長板61、1/4波長板62を備えて構成され、照明光の偏光状態を任意の偏光状態に制御する。
信号処理部105は、図1Cに示すように、アナログ処理部51とデジタル処理部52とを備えている。アナログ処理部51について図9を用いて説明する。ここでは簡単のため複数の検出部102のうち図8の102lsに相当するものを検出部102a、図8の102hsに相当するものを102bとし、この二系統備えた場合のアナログ処理部51の構成について説明する。検出部102a、102b各々に備えられた検出器(図8の102ls及び102hs)から出力された信号電流500a、500bは、プリアンプ部501a、501bにより各々電圧に変換されて増幅される。この増幅されたアナログ信号は、さらにローパスフィルタ511a、511bによりエイリアシングを発生させる高周波成分を除いた後、ローパスフィルタ511a、511bのカットオフ周波数より高いサンプリングレートを備えたアナログ−デジタル変換部(A/D変換部)502a、502bで、デジタル信号に変換されて出力される。
次に、信号処理部105を構成するデジタル処理部52について図10Aおよび図10Bを用いて説明する。本実施例では、パルス分割部8で分割したパルスによる照明を分離して処理することに特徴がある。ここでは、図3に示したパルス分割部によって、パルスを4分割した場合について説明する。図10Aは、分割したパルスを統合して処理する方式に対応するデジタル処理部52の構成を示し、図10Bは分割したパルスを独立に処理する方式に対応するデジタル処理部52’の構成を示す。
先ず、図10Aに示したデジタル処理部52における処理について説明する。アナログ処理部51からの各々の出力信号は、デジタル処理部52において、ハイパスフィルタ604a、604bの各々により欠陥信号603a、603bの各々が抽出され、欠陥判一次判定部605に入力される。欠陥は照野20によりS1方向に走査されるため、欠陥信号の波形は照野20(図8参照)のS1方向(図2参照)の照度分布プロファイルを拡大縮小したものとなる。従って、ハイパスフィルタ604a、604bの各々により、欠陥信号波形の含まれる周波数帯域を通し、ノイズが相対的に多く含まれる周波数帯域および直流成分をカットすることで、欠陥信号603a、603bのS/Nが向上する。各ハイパスフィルタ604a、604bとしては、特定のカットオフ周波数を持ちその周波数以上の成分を遮断するよう設計されたハイパスフィルタ、あるいはバンドパスフィルタ、あるいは照明領域20の形状が反映された欠陥信号の波形と相似形を成すフィルタを用いる。
欠陥判定部605は、ハイパスフィルタ604a、604bの各々から出力された欠陥波形を含む信号の入力に対してしきい値処理を行い、欠陥の有無を判定する。即ち、欠陥判定部605には、複数の検出光学系からの検出信号にもとづく欠陥信号が入力されるので、欠陥判定部605は、複数の欠陥信号の和や加重平均に対してしきい値処理を行うか、または複数の欠陥信号に対してしきい値処理により抽出された欠陥群についてウェハの表面に設定された同一座標系でORやANDを取ることなどにより、単一の欠陥信号に基づく欠陥検出と比較して高感度の欠陥検査を行うことが可能となる。
更に、欠陥判定部605は、欠陥が存在すると判定された箇所について、その欠陥波形と感度情報信号に基づいて算出されるウェハ内の欠陥位置を示す欠陥座標および欠陥寸法の推定値を、欠陥情報として制御部53に提供して表示部54などに出力する。欠陥座標は欠陥波形の重心を基準として算出される。欠陥寸法は欠陥波形の積分値あるいは最大値を元に算出される。
アナログ処理部51からの各々の出力信号は、デジタル処理部52を構成するハイパスフィルタ604a、604bに加えて、ローパスフィルタ601a、601bの各々に入力され、ローパスフィルタ601a、601bの各々において、ウェハ上の照明領域20における微小ラフネスからの散乱光量(ヘイズ)に対応する周波数の低い成分および直流成分が出力される。このようにローパスフィルタ601a、601bの各々からの出力はヘイズ処理部606に入力されてヘイズ情報の処理が行われる。即ち、ヘイズ処理部606は、ローパスフィルタ601a、601bの各々から得られる入力信号の大きさからウェハ上の場所ごとのヘイズの大小に対応する信号をヘイズ信号として出力する。また、微小ラフネスの空間周波数分布に応じてラフネスからの散乱光量の角度分布が変わるため、図8に示したように、互いに異なる方位、角度に設置された複数の検出部102の各検出器からのヘイズ信号をヘイズ処理部606への入力とすることで、ヘイズ処理部606からはそれらの強度比などから微小ラフネスの空間周波数分布に関する情報を得ることができる。
次に、図10Bに示したデジタル処理部52’における処理について説明する。
図10Bの実施例においては、パルス分割部8から出力した、レーザ光源2の発振パルスより高い周波数のパルスによる照明によって検出した信号を分離、独立して検出することで更に高感度化を図ることができる。ここでは、パルス分割部8で発生したパルスをサブパルスと呼ぶ。一般に、ノイズ成分は試料の表面ラフネスがセンサで検出されることにより発生するセンサのショットノイズである。各サブパルスは、試料上の異なる位置を照明するため、欠陥の信号はすべてのサブパルスで検出できるわけではない。よって、サブパルスを時分割で欠陥を検出することにより、欠陥信号に対するノイズ成分の割合を減らした状態で欠陥検出を行うことが可能である。
56および57はマルチプレクサである。パルス照明毎に照明される位置が変化するため、同一の位置毎に処理ができるようにデジタルデータを格納するためのバッファを切り替える。例えばレーザ2の発振周波数が80MHzであり、パルス分割部8において等間隔に分割した場合、この4倍の320MHz毎にバッファを切り替えて処理を行う。610から613はバッファであり、それぞれ、検出器102aにおいて、パルス分割部で異なる光路を経由して照明されるパルスに対応するバッファであり、614から617は検出器102bに対応する同様のバッファである。バッファ610から617に蓄えられた検出信号は各々ハイパスフィルタ618から625の介して、欠陥判定部634から637に送られる。ここで、欠陥判定部634ではハイパスフィルタ618と622の出力が加算され、同一のパルスで得られた異なる検出器からの出力は統合されて欠陥判定を行われる。
欠陥判定部634から637の内部処理は図10Aで説明した欠陥判定部605と同様である。欠陥判定部634と同様の欠陥判定が欠陥判定部635〜637でも行われる。626から633はローパスフィルタであり、638から641はヘイズ処理部であり、図10Aで説明したヘイズ処理部606と同様の処理を行う。ヘイズ処理部も欠陥判定部と同様に、同一のタイミング毎に得られた異なる検出器で検出された結果を統合して判定する。図4Aの(d)のように分割したパルスをθ方向にずらして照明する場合には、パルス分割によるθ方向のビームの移動と試料自体の移動との両方の和によって照明位置が決定されるため、同一箇所をビームが複数回θ方向に走査することになる。時間とともに照明されるθ位置の変化を図4Bの405に示す。図中、小さな丸印がビーム照射位置を表している。
このときのデジタル処理部52”の構成を図11に示す。図11において、図10Bと同じ番号の構成部品については、図10Bで説明したので、ここでは説明を省略する。650から657はFIFOである。それぞれのFIFOは、試料がθ方向に回転して、別パルスの照明箇所まで試料が移動するまでの時間のデータを保持する。この結果、マルチプレクサ58、59を通ってハイパスフィルタ658、660およびローパスフィルタ659、661に転送されるデータは、連続的に試料を走査した検出器からのデータとなる。なお、ハイパスフィルタ658から661のフィルタリング処理の前に、異なるFIFOから出力されたデータで同一の位置のデータが存在するように設計した場合には、フィルタリング処理の前に加算処理をするのが良い。
実施例1ではパルスレーザにおける、瞬間的な温度上昇への対応としてパルス分割を行うことと、この分割パルスをあらかじめR方向に微小位置ずらしを行う方法について述べた。しかし、レーザの発振周波数は試料上を照明が移動するのに要する時間よりも極めて高速であるため、同一箇所に多数回パルスが照射される現象が起こり、温度上昇を十分に抑制できない場合が発生する。そこで、本実施例においては、パルス分割と同時に偏向器により照射位置を移動させることにより更に試料の熱ダメージを抑制するようにした。本実施例による欠陥検査装置の構成を図5Aに示す。図1Aで説明した構成と同じ番号が付されているものは、図1で説明したものと同じ構成及び作用をする。
図5Aは実施例1で説明した図1の構成とほとんど同じであるが、照明部501の照明集光制御部7の手前に偏向器701を配置する点で異なる。図1の構成と同じ番号を付した部品は同じ構成であるので、説明を省略する。偏向器701としてはAO偏向器やDMD(Digital Micromirror Device)等、高速に角度を変更できるものを利用する。回転させた試料に対して一定位置に集光照明をした場合、試料の移動速度は試料の中心からの距離rと回転スピードsθの積rsθによって決定され、例えばr=75mm、回転スピードが4000rpmであった場合、照明ビームのθ方向の典型的な幅10umを通過するのに要する時間は、640ns程度である。パルスを分割した後に試料に照明される際にパルスの周波数はおよそ320MHzであるため、10um通過する間にパルス状の照明200回程度のパルスが照射されることになる。
そこで、701の偏向器で照明位置を移動させながら試料からの反射あるいは散乱光を検出し、単位面積あたりの照明強度を低減する。図4Cの波形406は図4A(b)のビーム402をr方向に偏向したときのr位置の時間変化を示している。多数のパルスが一箇所にあたることによる温度上昇を例えば1/4に抑えるには、ビーム402のパターンで照明するには、4つのパルス全体の照明領域の総和の4倍程度の領域でビームを偏向させればよく、4A(c)のビーム403のパターンの場合には1つのパルスの照明の4倍程度の範囲を移動させればよい。また、r方向の変わりにθ方向に移動させても良い。
照明のθ方向の線幅に対して、2回程度以上検出することが望ましいため、図4Cに記したΔtは320ns以下とするのが良い。すなわち、偏向器701の繰り返し周波数は3MHz以上とするのが良い。このときの信号処理部105は図10Bに示したデジタル処理部52’、あるいは図11に示したデジタル処理部52”の構成の並列数をよりあげることにより対応することができる。この場合には、図10Bに設けた610〜617のバッファに追加し、新たにパルスの分割数以外に偏向器による位置の変化にも対応してバッファを設け、それぞれの位置毎に欠陥判定処理を行えるようにする。
また、図11の場合も同様である。偏向器701を設けない場合に対して、4倍程度の範囲を偏向器701で走査するには、バッファを図10Bの構成の4倍程度の16個程度を設け、54、および55のマルチプレクサが、同一のr位置で取得したセンサデータが同一のバッファに格納するように制御する。
この例ではr方向に偏向器701で試料100上の照明を走査する例について述べたが、θ方向に走査した場合についても図11と同様の構成の処理部によって欠陥を判定することが可能である。また、バッファ数は一般性を失うことなく、数を増加させて対応することが可能である。
また、センサとして208のように複数画素センサを用いた場合には、図10A、図10Bおよび図11の回路を、複数画素センサの画素数分並列に構成することで対応する。
図10Bで説明した欠陥判定部634〜637は、更に高精度な判定を行うために、R方向に隣接するデータの内挿演算を行うことも可能である。図12を用いて説明する。(a)の1201は試料であり、照明部501で4分割のパルス分割を行って図4Aの(c)に示したビーム403に示すパターンで照明、時分割で検出すると、4本の螺旋状のレーザの照射が行われることになり、各ライン1211〜1214で欠陥判定を行うことになる。この場合、欠陥のしきい値処理を実施する前に、 図12(b)に示すような図10Bの欠陥判定部634〜637に設けたメモリ部1204と1205にr方向に隣接する、例えば1202、1203の位置で検出したデータを入力し、演算器1206を用いてこの2点間の任意の位置に存在すると想定される欠陥からの検出光を内挿により算出し、これに対して欠陥判定部634〜637でしきい値処理を行い、欠陥の有無を判定する。
この処理を行う場合に、試料1201上の位置1202、1203間の距離を正確に求める必要がある。ところが、パルス分割部8のミラー304、305、309および310の調整がずれると、各分割パルスの軌跡が等しい間隔でなくなってしまい、補間処理が正確に行えなくなる。ミラー304、305、309および310の調整にはTVカメラ318の状態で確認、自動補正を行う。TVカメラ318上でビームは集光されるようにしておくため、図4Aの(c)に示したビーム403に示すパターンで照明する場合にはTVカメラ318上で等しい間隔で輝点が図12(c)の像1207のように表れる必要がある。
TVカメラ318は制御部553と接続しておき、この輝点が期待する位置からずれていた場合にはパルス分割部8の314から317のミラー位置制御機構を用いて自動調整する。この例ではビームスポット間隔1208はミラー位置制御機構316、317を用いて自動調整され、ビームスポット間隔1209はミラー位置制御機構314と315を用いて調整される。画像処理で輝点の重心位置を出力しながら、ミラー位置制御機構314、315、316及び317を用いて4つのミラー304、305、309および310の角度を変化させ、もっとも輝点の重心位置が期待する位置に近いところでミラーを固定する。
TVカメラ318を用いたミラー304及び305の調整の方法の一例を図7に示す。ミラー304、305において傾き角度がΔθ1、Δθ2だけ設計位置からずれていた場合、このミラーの角度の和だけ光線は設計位置からずれ、平行光がTVカメラのCCDで集光するように設定すると、この角度のずれがTVカメラ318の位置として検出されるため、ミラーの角度のずれを求めることが可能である。図13に調整用GUI1300を示す。1301はTVカメラ318で撮像した分割したパルスの各光路の角度差を顕在化させる画面であり,1302は光束拡大部5の後段に配置したビームモニタ23で撮像したビームエキスパンダ直後のビームの像である。ビームの像1302は一点に集光されていることが望ましい。
ビームモニタ23は、光束拡大部5から出射した光の光軸に対して図示していない駆動手段により出し入れ可能なミラー92で反射されたビームの像を撮像する。1303は各ミラーの角度を示しており、GUI1300上で数値を入力すると制御部53でミラー位置制御機構314、315、316及び317を制御してミラー304、305、309および310の角度が変えられる。1304のボタンをクリックすると、1301および1302のデジタル画像がセーブできるようになっており、装置間の感度差や、感度の経時変化を解析できるようにしておく。自動調整ボタン1305をクリックすると、制御部53でミラー位置制御機構314、315、316及び317を制御してミラー304、305、309および310の角度を変化させ、もっとも設計値と一致する角度になるように自動調整する。
さらに、検査する試料を保持するホルダーにPSL等の標準粒子を複数散布した標準調整ジグをとりつけておく。r方向のピッチを細かく設定してこの標準粒子を本発明の照明および検出系を用いて欠陥判定部634から637によりこの標準粒子を検出すると、欠陥判定部毎に任意の欠陥判定部の検出した標準粒子の位置を基準にとったばらつきは図6のグラフ6001に示すようにばらつく。この標準粒子の位置のばらつき6002から6005の平均座標位置をとることにより、分割後の各パルスの位置のずれを求めることができる。この各パルスのずれをもとに、図12の各螺旋1211〜1214のr方向の距離を求め、また、欠陥判定部634〜637において、異なる欠陥判定部のデータ間の対応付けを行う際に、このθ方向のずれ量を補正した後に行う。同様の処理は図11の構成でも実施する。すなわち、FIFO650から653における遅延量は、図6のように各パルスで検出したθ方向のずれ量をもとに補正する。
ここまでは、擬似連続発振のレーザ光源を用いる場合について述べ、瞬間的な温度上昇を抑制するパルス分割光路を前提に述べた。いま、レーザ光源が連続発振であった場合には、このパルス分割光路8は不要となるが、偏向器701によって、試料上で照明を走査することにより、熱ダメージを低減することができる。このときの構成例を図5Bに示す。図5Bの構成であっても、r方向に照明を走査したい場合は図10Bで説明したデジタル処理部を用い、θ方向に走査する場合には図11で説明したデジタル処理部により対応することができる。偏向器701への入力制御電圧と偏向量の関係は予め図6に示す標準粒子を散布した標準調整ジグで求めておき、パルス分割を行った場合と同様に欠陥判定部634〜647のθ方向対応付けおよびR方向内挿補間における補間係数の設定を行う、あるいはFIFO650から657の各バッファの遅延量設定を行う。
2・・・光源 3・・・アッテネータ 4・・・出射光調整部 5・・・光束拡大部 6・・・偏光制御部 7・・・照明集光制御部 7v・・・照明集光制御部 22・・・ビームモニタ 23・・・ビームモニタ
53・・・制御部 54・・・表示部 55・・・入力部 101・・・照明部 102・・・検出部 103・・・ステージ部 105・・・信号処理部 120・・・照明光軸。

Claims (14)

  1. 試料を載置して回転可能なテーブル手段と、
    パルスレーザを発射するレーザ光源と、
    該レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを一旦長さの異なる複数の光路に分岐した後に再び共通の光路を進ませることにより複数のパルスに時分割して前記テーブル手段に載置した試料に照射する照明光学系手段と
    該照明光学系手段により1パルスを複数のパルスに時分割されたパルスレーザが照射照明された前記試料からの反射光を検出する検出光学系手段と、
    前記検出光学系手段で検出した反射光の強度信号をサブパルスの照射光路が同一なもの毎に分離した後、前記試料上の近接した箇所で得られた照明光路が異なる照明で得た反射光強度を内挿補して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、
    該信号処理手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段と
    を備えた欠陥検査装置であって、
    前記照明光学系手段は、前記パルスレーザの1パルスを複数に時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを特徴とする欠陥検査装置。
  2. 前記照明光学系手段は、前記パルスレーザの1パルスを複数に時分割したそれぞれの分割パルスレーザを、前記テーブル手段により回転する前記試料上の回転中心方向に異なる複数の位置に照射することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
  3. 前記照明光学系手段は、前記パルスレーザの1パルスを複数に時分割したそれぞれの分割パルスレーザを、前記テーブル手段により回転する前記試料上の回転方向に異なる複数の位置に照射することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
  4. 前記照明光学系手段は、前記パルスレーザの1パルスを複数のパルスに時分割するための光路長が異なるパルス分割光路を複数備え、該複数のパルス分割光路は、それぞれのパルス分割光路を通って分割されたそれぞれのパルスレーザの光軸をずらして前記試料上の異なる位置に照射することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査装置。
  5. 前記照明光学系手段は、前記パルスレーザの1パルスを複数のパルスに時分割するための光路長が異なる複数のパルス分割光路部と、該複数のパルス分割光路部を通って分割されたそれぞれのパルスレーザの光軸を該分割されたそれぞれのパルスレーザごとにずらすビーム駆動部とを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査装置。
  6. 前記ビーム駆動部は、音響光学素子よりなる偏向器であることを特徴とする請求項5記載の欠陥検査装置。
  7. 前記照明光学系手段は、前記1パルスを複数のパルスに時分割したそれぞれの分割パルスレーザをモニタするモニタ部を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の欠陥検査装置。
  8. 試料を回転可能なテーブルに載置して回転させ、
    該回転している試料にレーザ光源から発射されたパルスレーザを照射し、
    該パルスレーザが照射された前記試料からの反射光を検出し、
    該検出した前記試料からの反射光を検出し、
    該検出した反射光の強度信号をサブパルスの照射光路が同一なもの毎に分離した後、前記試料上の近接した箇所で得られた照明光路が異なる照明で得た反射光強度を内挿補して前記試料上の欠陥を検出する
    欠陥検査方法であって、
    前記回転している試料に前記レーザ光源から発射されたパルスレーザを照射することを、該レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを一旦長さの異なる複数の光路に分岐した後に再び共通の光路を進ませることにより複数のパルスに時分割し、該時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを特徴とする欠陥検査方法。
  9. 前記時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを、前記テーブルに載置されて回転している前記試料上の回転中心方向に異なる複数の位置に照射することを特徴とする請求項8記載の欠陥検査方法。
  10. 前記時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを、前記テーブルに載置されて回転している前記試料上の回転方向に異なる複数の位置に照射することを特徴とする請求項8記載の欠陥検査方法。
  11. 前記レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを複数のパルスに時分割することを、前記レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスのレーザを光路長が異なる複数パルス分割光路に入射させることにより行い、前記時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを、前記複数のパルス分割光路を通すことによりそれぞれのパルスレーザの光軸をずらして前記試料上の異なる位置に照射することにより行うことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の欠陥検査方法。
  12. 前記レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスを複数のパルスに時分割することを、前記レーザ光源から発射されたパルスレーザの1パルスのレーザを光路長が異なる複数パルス分割光路に入射させることにより行い、前記時分割したそれぞれの分割パルスレーザを前記試料上の異なる位置に照射することを、前記複数のパルス分割光路を通って時分割したそれぞれのパルスレーザの光軸をそれぞれのパルスレーザごとに走査することにより行うことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の欠陥検査方法。
  13. 前記複数のパルス分割光路を通って時分割したそれぞれのパルスレーザの光軸をそれぞれのパルスレーザごとに走査することを、音響光学素子よりなる偏向器で行うことを特徴とする請求項12記載の欠陥検査方法。
  14. 前記1パルスを複数のパルスに時分割したそれぞれの分割パルスレーザを、TVカメラで撮像してモニタすることを特徴とする請求項8乃至13の何れかに記載の欠陥検査方法。
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