JP5578792B2 - 液面検出装置および気体発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電解槽内の液面を検出する液面検出装置およびそれを備えた気体発生装置に関する。
従来、半導体の製造工程等において、材料の洗浄および表面改質等の種々の用途でフッ素ガスが用いられている。その場合、フッ素ガス自体を用いる場合もあるが、フッ素ガスを基に合成されたNF(三フッ化窒素)ガス、NeF(フッ化ネオン)ガス、およびArF(フッ化アルゴン)ガス等の種々のフッ素系ガスを用いる場合もある。
このような現場において、フッ素ガスを安定に供給するために、例えばHF(フッ化水素)を電気分解してフッ素ガスを発生するフッ素ガス発生装置が用いられる。
特許文献1に示されるフッ素ガス発生装置は、電解槽を備える。電解槽内は、隔壁により陰極室および陽極室に区画されている。電解槽内にはKF−HF系混合溶融塩からなる電解浴が形成されている。陰極室内に陰極が設けられ、陽極室内に陽極が設けられている。HF供給ラインを通して電解槽内の電解浴にHFが供給され、HFの電気分解が行われる。それにより、電解槽の陰極から水素ガスが発生し、陽極からフッ素ガスが発生する。
陰極室の上部には、水素ガスの出口が設けられている。陰極室内で発生した水素ガスは、出口から陰極側の水素ガスラインを通して排出される。水素ガスラインには、自動弁およびHF吸着塔が介挿されている。
陽極室の上部には、フッ素ガスの出口が設けられている。陽極室内で発生したフッ素ガスは、出口からフッ素ガスラインを通して排出される。フッ素ガスラインには、HF吸着塔および自動弁が介挿されている。
陰極室には、電解浴の液面高さを検出する第1の液面検知手段が設けられ、陽極室には、電解浴の液面高さを検出する第2の液面検知手段が設けられている。第1の液面検出手段は複数のプローブおよび対極により構成され、第2の液面検知手段も複数のプローブおよび対極から構成される。第1の液面検知手段の複数のプローブは、陰極室内にそれらの下端が異なる高さに位置するように配置される。同様に、第2の液面検知手段の複数のプローブは、陽極室内にそれらの下端が異なる高さに位置するように配置される。対極は、その下端が電解槽内の電解浴中に位置するように配置される。
第1の液面検知手段の複数のプローブと対極との間に電圧が印加される。また、第2の液面検知手段の複数のプローブとの間に電圧が印加される。電解槽内の液面がいずれかのプローブに接触すると、そのプローブと対極との間に電流が流れる。各プローブと対極との間に流れる電流を検出することにより陰極室内および陰極室内の液面高さを検出することができる。
特開2004−52105号公報
上記のようなフッ素ガス発生装置では、第1および第2の液面検知手段による液面高さの検出結果に基づいてHFの供給および停止が制御される。それにより、電解槽内の液面の高さが許容範囲内に保たれる。
しかしながら、第1および第2の液面検知手段においては、プローブが消耗することにより液面の検出精度が低下する。そのため、プローブを交換しなければ、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが困難となる。
本発明の目的は、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能な液面検出装置およびそれを備えた気体発生装置を提供することである。
[A]本発明
(1)第1の発明に係る液面検出装置は、電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽内の液面を検出する液面検出装置であって、電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、電解液中に電位差が存在する場合に第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分を除去するように、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路中に直列に挿入されるコンデンサと、電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えるものである。
その液面検出装置においては、電解槽内に配置される第1および第2の電極に交流電源回路により交流電圧が印加される。電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の少なくとも一方に接触していない場合には、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に電流は流れない。一方、電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の両方に接触すると、第1の電極と第2の電極との間が電解液を通して導通状態となる。それにより、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に交流電流が流れる。この電流径路に流れる電流が電流検出回路により検出される。したがって、電流検出回路の検出結果に基づいて電解槽内の電解液の液面の高さが検出される。
ここで、電流径路に直列にコンデンサが挿入されているので、電解液中に電位差が存在する場合でも、電解液に接触する第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分がコンデンサにより除去される。それにより、第1および第2の電極に交流成分のみが流れる。したがって、ガスの発生による第1および第2の電極の急速な消耗が防止される。その結果、第1および第2の電極を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能となる。
(2)液面検出装置は、電流径路中にコンデンサと直列に設けられる抵抗をさらに備えてもよい。
この場合、コンデンサおよび抵抗の合成インピーダンスにより交流電流が制限される。したがって、交流電流に高調波が含まれる場合でも、電流検出回路の検出精度が変化しない。その結果、安定かつ正確な液面検出が可能となる。
(3)交流電源回路による交流電圧の周波数は50Hz以上10kHz以下であってもよい。
この場合、交流電圧の周波数が50Hz以上であることにより、第1および第2の電極の付近からのガスの発生が確実に防止される。また、交流電圧の周波数が10kHz以下であることにより、電流検出回路の正常な動作が確保される。
(4)第1および第2の電極はニッケルにより形成されてもよい。この場合、コンデンサにより直流成分が除去されることにより、第1および第2の電極のニッケルの消耗が防止される。
(5)第2の発明に係る気体発生装置は、電気分解により第1の気体および第2の気体を発生させる気体発生装置であって、第1の気体が発生される第1室および第2の気体が発生される第2室に区画され、電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽と、第1室内の液面を検出する第1の液面検出装置と、第2室内の液面を検出する第2の液面検出装置と、第1の液面検出装置の検出結果および第2の液面検出装置の検出結果に基づいて第1室内の液面の高さおよび第2室内の液面の高さを制御する液面制御手段とを備え、第1および第2の液面検出装置の各々は、電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、電解液中に電位差が存在する場合に第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分を除去するように、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路中に直列に挿入されるコンデンサと、電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えるものである。
その気体発生装置においては、電解槽に収容される電解液中の化合物が電気分解されることにより、第1室において第1の気体が発生され、第2室において第2の気体が発生される。第1の液面検出装置により第1室内の液面が検出され、第2の液面検出装置により第2室内の液面が検出される。第1の液面検出装置の検出結果および第2の液面検出装置の検出結果に基づいて液面制御手段により第1室内の液面の高さおよび第2室内の液面の高さが制御される。
第1および第2の液面検出装置の各々においては、電解槽内に配置される第1および第2の電極に交流電源回路により交流電圧が印加される。電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の少なくとも一方に接触していない場合には、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に電流は流れない。一方、電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の両方に接触すると、第1の電極と第2の電極との間が電解液を通して導通状態となる。それにより、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に交流電流が流れる。この電流径路に流れる電流が電流検出回路により検出される。したがって、電流検出回路の検出結果に基づいて電解槽内の電解液の液面の高さが検出される。
ここで、電流径路に直列にコンデンサが挿入されているので、電解液中に電位差が存在する場合でも、電解液に接触する第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分がコンデンサにより除去される。それにより、第1および第2の電極に交流成分のみが流れる。したがって、ガスの発生による第1および第2の電極の急速な消耗が防止される。その結果、第1および第2の電極を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能となる。したがって、気体発生装置の長期にわたる安定した動作が確保される。
(6)第1および第2の気体の一方は水素であり、第1および第2の気体の他方はフッ素であってもよい。
この場合、長期にわたって水素およびフッ素を安定して発生させることが可能となる。
[B]参考形態
(1)第1の参考形態に係る液面検出装置は、電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽内の液面を検出する液面検出装置であって、電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路中に挿入されるコンデンサと、電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えるものである。
その液面検出装置においては、電解槽内に配置される第1および第2の電極に交流電源回路により交流電圧が印加される。電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の少なくとも一方に接触していない場合には、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に電流は流れない。一方、電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の両方に接触すると、第1の電極と第2の電極との間が電解液を通して導通状態となる。それにより、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に交流電流が流れる。この電流径路に流れる電流が電流検出回路により検出される。したがって、電流検出回路の検出結果に基づいて電解槽内の電解液の液面の高さが検出される。
ここで、電流径路に直列にコンデンサが挿入されているので、電解液中に電位差が存在する場合でも、電解液に接触する第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分がコンデンサにより除去される。それにより、第1および第2の電極に交流成分のみが流れる。したがって、ガスの発生による第1および第2の電極の急速な消耗が防止される。その結果、第1および第2の電極を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能となる。
(2)液面検出装置は、電流径路中にコンデンサと直列に設けられる抵抗をさらに備えてもよい。
この場合、コンデンサおよび抵抗の合成インピーダンスにより交流電流が制限される。したがって、交流電流に高調波が含まれる場合でも、電流検出回路の検出精度が変化しない。その結果、安定かつ正確な液面検出が可能となる。
(3)交流電源回路による交流電圧の周波数は50Hz以上10kHz以下であってもよい。
この場合、交流電圧の周波数が50Hz以上であることにより、第1および第2の電極の付近からのガスの発生が確実に防止される。また、交流電圧の周波数が10kHz以下であることにより、電流検出回路の正常な動作が確保される。
(4)第1および第2の電極はニッケルにより形成されてもよい。この場合、コンデンサにより直流成分が除去されることにより、第1および第2の電極のニッケルの消耗が防止される。
(5)第2の参考形態に係る気体発生装置は、電気分解により第1の気体および第2の気体を発生させる気体発生装置であって、第1の気体が発生される第1室および第2の気体が発生される第2室に区画され、電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽と、第1室内の液面を検出する第1の液面検出装置と、第2室内の液面を検出する第2の液面検出装置と、第1の液面検出装置の検出結果および第2の液面検出装置の検出結果に基づいて第1室内の液面の高さおよび第2室内の液面の高さを制御する液面制御手段とを備え、第1および第2の液面検出装置の各々は、電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路中に挿入されるコンデンサと、電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えるものである。
その気体発生装置においては、電解槽に収容される電解液中の化合物が電気分解されることにより、第1室において第1の気体が発生され、第2室において第2の気体が発生される。第1の液面検出装置により第1室内の液面が検出され、第2の液面検出装置により第2室内の液面が検出される。第1の液面検出装置の検出結果および第2の液面検出装置の検出結果に基づいて液面制御手段により第1室内の液面の高さおよび第2室内の液面の高さが制御される。
第1および第2の液面検出装置の各々においては、電解槽内に配置される第1および第2の電極に交流電源回路により交流電圧が印加される。電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の少なくとも一方に接触していない場合には、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に電流は流れない。一方、電解槽内の電解液の液面が第1および第2の電極の両方に接触すると、第1の電極と第2の電極との間が電解液を通して導通状態となる。それにより、第1の電極、交流電源回路および第2の電極により構成される電流径路に交流電流が流れる。この電流径路に流れる電流が電流検出回路により検出される。したがって、電流検出回路の検出結果に基づいて電解槽内の電解液の液面の高さが検出される。
ここで、電流径路に直列にコンデンサが挿入されているので、電解液中に電位差が存在する場合でも、電解液に接触する第1の電極と第2の電極との間に発生する直流成分がコンデンサにより除去される。それにより、第1および第2の電極に交流成分のみが流れる。したがって、ガスの発生による第1および第2の電極の急速な消耗が防止される。その結果、第1および第2の電極を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能となる。したがって、気体発生装置の長期にわたる安定した動作が確保される。
(6)第1および第2の気体の一方は水素であり、第1および第2の気体の他方はフッ素であってもよい。
この場合、長期にわたって水素およびフッ素を安定して発生させることが可能となる。
本発明よれば、第1および第2の電極を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽内の液面を安定して検出することが可能となる。
フッ素ガス発生装置の構成を示す模式図である。 第1の液面検出装置の構成を示す回路図である。 図2の第1の液面検出装置における1つの電流検出回路およびその関連部分を示す回路図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る気体発生装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態においては、気体発生装置の一例としてフッ素ガスを発生するフッ素ガス発生装置について説明する。
(1)フッ素ガス発生装置の全体の構成
図1は本実施の形態に係るフッ素ガス発生装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、フッ素ガス発生装置は、電解槽1を備える。電解槽1は、例えばNi(ニッケル)、モネル、純鉄もしくはステンレス鋼等の金属または合金により形成されている。電解槽1内は、隔壁2により陰極室3および陽極室4に区画されている。隔壁2は、例えばNiまたはモネルからなる。
電解槽1内にはKF−HF系混合溶融塩からなる電解浴30が形成されている。陰極室3内に例えばNi(ニッケル)からなる陰極5が設けられ、陽極室4内に例えば低分極性炭素からなる陽極6が設けられている。HF供給管20を通して電解槽1内の電解浴30にHFが供給され、HFの電気分解が行われる。それにより、電解槽1の陰極5から主として水素ガスが発生し、陽極6から主としてフッ素ガスが発生する。
陰極室3の上部には、陰極出口7aが設けられている。陰極室3内で発生した水素ガスは、陰極出口7aから水素ガス排出管7を通して排出される。水素ガス排出管7には、HF吸着塔9、流量調整弁10および自動弁11が介挿されている。水素ガス排出管7の先端には減圧器12が接続されている。HF吸着塔9には、NaF等が充填される。このHF吸着塔9は、陰極室3から排出された水素ガスおよびHFの混合ガス中からHFを吸着する。
陽極室4の上部には、陽極出口8aが設けられている。陽極室4内で発生したフッ素ガスは、陽極出口8aからフッ素ガス排出管8を通して排出される。フッ素ガス排出管8には、HF吸着塔13、流量調整弁14および自動弁15が介挿されている。本実施の形態では、フッ素ガス排出管8の先端に減圧器16が接続されている。HF吸着塔13には、NaF等が充填される。このHF吸着塔13は、陽極室4から排出されたフッ素ガスおよびHFの混合ガス中からHFを吸着する。
陰極室3において発生される水素ガスをガスボンベに貯蔵する場合または工場の製造ライン等に供給する場合には、減圧器12として加圧ポンプを用いる。また、減圧器12としてバキュームジェネレータを用いてもよい。陰極室3において発生される水素ガスを大気中に廃棄する場合には、減圧器12の代わりに水素ガス廃棄装置を用いる。それにより、自動弁11が開かれると、水素ガス廃棄装置において希釈用Nガスで水素ガスが希釈され、大気中に廃棄される。
陽極室4において発生されるフッ素ガスをガスボンベに貯蔵する場合または工場の製造ライン等に供給する場合には、減圧器16として加圧ポンプを用いる。また、自動弁15の下流のフッ素ガス排出管8に容器(バッファタンク)および開閉弁を介して加圧ポンプを接続してもよい。この場合、自動弁15が開かれると、容器内にフッ素ガスが貯留される。さらに、減圧器16としてバキュームジェネレータを用いてもよい。
陰極室3には、陰極室3内の圧力を測定する圧力計25が設けられ、陽極室4には、陽極室4内の圧力を測定する圧力計26が設けられている。
HF供給管20には、自動弁21およびオリフィス22が介挿されている。電解浴30がHF供給管20に吸い込まれることを防止するために、オリフィス22の下流のHF供給管20と水素ガス排出管7との間にバイパス弁23が接続されている。HF供給管20には圧力計27が設けられている。
また、陰極室3には、電解浴30の液面高さを検出する第1の液面検出装置SEAが設けられ、陽極室4には、電解浴30の液面高さを検出する第2の液面検出装置SEBが設けられている。
第1の液面検出装置SEAは、5本の測定プローブ(電極)S1〜S5、対極S0および検出回路部50Aを有する。第2の液面検出装置SEBは、5本の測定プローブ(電極)S11〜S15、対極S10および検出回路部50Bを有する。測定プローブS1〜S5,S11〜S15および対極S0,S10はNi(ニッケル)からなる。
測定プローブおよび対極を形成する材料としては、Niが好適ではあるが、他にもニッケル合金(例えばインコネル(登録商標))、モネル、ステンレス等を用いることもできる。測定プローブおよび対極の表面に、電解浴またはフッ素ガスとの反応によってフッ化物からなる絶縁皮膜が形成されたとしても、当該絶縁皮膜はコンデンサの誘電体と同様に機能するため、第1および第2の液面検出装置SEA,SEBにおける液面の検出を問題なく行うことができる。
電解槽1には、基準液面高さが予め設定され、基準液面高さを中心として上下に一定の上部許容範囲AHおよび下部許容範囲ALが設定され、上部許容範囲AHの上に上部制御範囲CHが設定され、下部許容範囲ALの下に下部制御範囲CLが設定されている。
測定プローブS3,S13は、それらの下端が電解槽1内の基準液面高さに位置するように配置される。測定プローブS2,S12は、それらの下端が電解槽1内の下部許容範囲ALの下限高さに位置にするように配置される。測定プローブS4,S14は、それらの下端が電解槽1内の上部許容範囲AHの上限高さに位置にするように配置される。測定プローブS1,S11は、それらの下端が電解槽1内の下部制御範囲CLの下限高さに位置にするように配置される。測定プローブS5,S15は、それらの下端が電解槽1内の上部制御範囲CHの上限高さに位置にするように配置される。対極S0,S10は、それらの下端が電解槽1内の下部制御範囲CLの下限高さよりも下方に位置するように配置される。
制御装置100は、陰極5と陽極6との間に電気分解のための直流電圧を印加する。また、圧力計25,26,27の出力信号、第1の液面検出装置SEAの検出信号および第2の液面検出装置SEBの検出信号は、制御装置100に与えられる。制御装置100は、圧力計25,26,27の出力信号、第1の液面検出装置SEAの検出信号および第2の液面検出装置SEBの検出信号に基づいて、流量調整弁10,14による流量および自動弁11,15,21およびバイパス弁23の開閉を制御する。
陰極室3内の液面および陽極室4内の液面の両方が下部許容範囲ALにある場合には、自動弁21が開かれることにより、HF供給管20を通して電解槽1内にHFが供給される。陰極室3内の液面および陽極室4内の液面の少なくとも一方が上部許容範囲AHにある場合には、自動弁21が閉じられることにより、電解槽1内へのHFの供給が停止される。
陰極室3内の液面および陽極室4内の液面の少なくとも一方が上部制御範囲CHまたは下部制御範囲CLにある場合には、自動弁11,15,21の開閉により陰極室3内の液面および陽極室4内の液面の高さが制御される。陰極室3内の液面および陽極室4内の液面の少なくとも一方が上部制御範囲CHよりも上昇した場合または下部制御範囲CLよりも低下した場合には、陰極5および陽極6への直流電圧の印加が停止され、フッ素ガス発生装置の運転(電気分解)が停止される。
本実施の形態では、Niからなる陰極5と炭素からなる陽極6との間に電位差があるため、陰極5および陽極6を電解浴30中に並存させた場合に陰極5のNiが電解浴30中に溶出する。そこで、電気分解停止後に電解浴30中に陰極5が溶出することを防止するために、電気分解停止中に上記の電位差分以上の電圧(1.8V程度)を陰極5と陽極6との間に印加する。
なお、流量調整弁10,14の代わりにオリフィスまたはマスフローコントローラ(MFC:質量流量制御装置)を用いてもよい。
(2)第1および第2の液面検出装置
次に、図1のフッ素ガス発生装置の第1および第2の液面検出装置SEA,SEBの構成および動作について説明する。第2の液面検出装置SEBの構成および動作は第1の液面検出装置SEAの構成と同様であるので、ここでは、第1の液面検出装置SEAの構成および動作について説明する。図2は第1の液面検出装置SEAの構成を示す回路図である。
図2に示すように、第1の液面検出装置SEAは、測定プローブS1〜S5、対極S0、検出回路部50Aおよび交流電源回路510により構成される。検出回路部50Aは、抵抗500および5つの電流検出回路51〜55を含む。電流検出回路51〜55の各々は、コンデンサ501、抵抗502,503およびフォトカプラ504を含む。フォトカプラ504は発光ダイオード505およびフォトトランジスタ506を含む。
電流検出回路51〜55のノードN1は交流電源回路510の一方の出力端子O1に共通に接続される。各電流検出回路51〜55のノードN1とノードN2との間に抵抗503が接続される。各ノードN2には、抵抗502およびコンデンサ501が直列に接続される。測定プローブS1〜S5は、それぞれ電流検出回路51〜55のコンデンサ501に接続される。対極S0は、抵抗500を介して交流電源回路510の他方の出力端子O2に接続される。
交流電源回路510の出力端子O1,O2から出力される交流電圧の周波数は、後述するように、50Hz以上10kHz以下に設定されることが好ましい。本実施の形態では、交流電源回路510の出力端子O1,O2から出力される交流電圧の周波数は、例えば50Hzまたは60Hzに設定される。
各電流検出回路51〜55のノードN1,N2はフォトカプラ504の発光ダイオード505の両端に接続される。フォトカプラ504のフォトトランジスタ506のコレクタは直流電圧を受ける電源端子に接続される。電流検出回路51〜55のフォトトランジスタ506のエミッタの電位は検出信号D1〜D5として制御装置100に与えられる。
図1の第2の液面検出装置SEBの検出回路部50Bは図2の第1の液面検出装置SEAの検出回路部50Aと同様の構成を有する。交流電源回路510は、第1および第2の液面検出装置SEA,SEBに共通に用いられる。図1の測定プローブS11〜S15は、第2の液面検出装置SEBにおける5つの電流検出回路にそれぞれ接続される。また、図1の対極S10は抵抗を介して交流電源回路510の出力端子O2に接続される。
図3は図2の第1の液面検出装置SEAにおける1つの電流検出回路51およびその関連部分を示す回路図である。
図3において、交流電源回路510は、トランス511および交流電源512により構成される。トランス511の一次巻線T1の両端は交流電源512に接続される。トランス511の一次巻線T1の一端は接地される。トランス511の二次巻線T2の両端はそれぞれ出力端子O1,O2に接続される。
図3に示すように、測定プローブS1は、コンデンサ501、抵抗502,503およびトランス511の二次巻線T2からなる直列回路を介して対極S0に接続されている。対極S0、測定プローブS1、コンデンサ501、抵抗502,503およびトランス511の二次巻線T2により構成される回路は接地電位に対してフローティング状態となっている。
交流電源512によりトランス511の一次巻線T1に交流電流が流れると、二次巻線T2に交流電圧が誘起される。図3に示すように、対極S0および測定プローブS1が電解浴30に接触している場合には、対極S0と測定プローブS1とが電解浴30を通して導通状態となる。それにより、二次巻線T2に誘起される交流電圧により対極S0、電解浴30、測定プローブS1、コンデンサ501および抵抗502,503からなる電流径路に交流電流が流れる。
それにより、フォトカプラ504の発光ダイオード505(図2参照)が発光し、フォトトランジスタ506(図2参照)がオンする。それより、検出信号D1(フォトトランジスタ506のエミッタ電位)がハイレベルになる。制御装置100は、フォトカプラ504から出力される検出信号D1に基づいて電解浴30の液面高さが測定プローブS1の下端よりも高い位置にあるか否かを判定することができる。
同様にして、制御装置100は、図2の電流検出回路52〜55の出力信号D2〜D5に基づいて電解浴30の液面高さが測定プローブS2〜S5の下端よりも高い位置にあるか否かを判定することができる。
交流電源回路510の出力端子O1,O2間の交流電圧の実効値は例えば10Vであり、抵抗502,503の抵抗値は例えば約2kΩである。コンデンサ501の容量値は、交流電流の周波数に対して十分に低いインピーダンスを有するように設定される。本実施の形態では、コンデンサ501と抵抗502,503との合成インピーダンスが50Hzに対して例えば2025Ωとなり、60Hzに対して例えば2017Ωとなるようにコンデンサ501の容量値を設定する。
コンデンサ501のみのインピーダンスにより交流電流を制限する構成では、コンデンサ501に流れる交流電流に高調波が含まれる場合にインピーダンスの低下が起こる。例えば、交流電流の3次の高調波に対するコンデンサ501のインピーダンスは基本周波数に対するコンデンサ501のインピーダンスの1/3となる。そのため、交流電流に高調波が含まれる場合には、電流検出回路51〜55の検出精度が変化する。したがって、安定かつ正確な液面検出のためには、本実施の形態のように、コンデンサ501および抵抗502,503の合成インピーダンスにより交流電流を制限することが好ましい。
また、コンデンサ501による容量成分と線路等によるインダクタンス成分とによるLC共振周波数が交流電流の周波数に一致すると、交流電流の制限が行われないことになる。したがって、コンデンサ501の容量値は、LC共振周波数が交流電流の周波数に一致しないように設定する。
本実施の形態では、抵抗502,503が電流制限抵抗として用いられるとともに抵抗502,503に直列にコンデンサ501が挿入されている。それにより、電解浴30中に電位差が存在する場合でも、対極S0と測定プローブS1〜S5との間に発生する直流成分がコンデンサ501により除去される。したがって、対極S0および測定プローブS1〜S5には交流成分のみが流れる。その結果、ガスの発生による対極S0および測定プローブS1〜S5の急速な消耗が防止される。詳細については後述する。
第2の液面検出装置SEBも第1の液面検出装置SEAと同様の構成を有するので、対極S10および測定プローブS11〜S15には交流成分のみが流れる。その結果、ガスの発生による対極S10および測定プローブS11〜S15の急速な消耗が防止される。
これに対して、抵抗502,503に直列にコンデンサ501を挿入しない場合には、電解浴30中の電位差により対極と測定プローブとの間に直流成分が発生する。それにより、正電位側の対極または測定プローブにガスの発生による急速な消耗が起こる。
(3)交流電流の周波数
ここで、交流電源回路510による交流電流の周波数の最適な範囲を実験および電気化学的考察により求めた。
Niからなる対極および測定プローブを電解液に接触させた状態で対極と測定プローブとの間に交流電圧を印加した場合、対極および測定プローブに流れる交流電流の周波数に依存してガスの発生が起こる領域とガスの発生が起こらない領域とが存在する。
交流電流の周波数が50Hzよりも低い領域では、対極および測定プローブの付近で電解液中のイオン種の供給(物質輸送)が支配的となるため(拡散律速)、ガスの発生が起こる。これに対して、交流電流の周波数が50Hz以上の領域では、対極および測定プローブの表面での電子の授受(電荷移動)が支配的となるため(電荷移動律速)、ガスの発生は起こらない。一方、交流電流の周波数が10kHzよりも高い領域では、電解液中で電流が流れにくくなる。そのため、電流検出回路51〜55のフォトカプラ504が動作しにくくなる。
実験において、拡散律速の領域である0.01Hzでは、ガスの発生が起こったのに対して、電荷移動律速の領域である特性周波数(50.119Hz)では、ガスの発生が起こらなかった。
上記の実験および考察の結果、対極と各測定プローブとの間に印加する交流電圧の周波数は50Hz以上10kHz以下に設定することが好ましい。
(4)本実施の形態の効果
本実施の形態に係るフッ素ガス発生装置に用いられる第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBにおいては、電流制限抵抗として用いられる抵抗502,503に直列にコンデンサ501が挿入されている。それにより、電解浴30中に電位差が存在する場合でも、電解浴30中の対極S0,S10と測定プローブS1〜S5,S11〜S15との間に発生する直流成分がコンデンサ501により除去される。この場合、対極S0,S10および測定プローブS1〜S5,S11〜S15には交流成分のみが流れる。したがって、ガスの発生による対極S0,S10および測定プローブS1〜S5,S11〜S15の急速な消耗が防止される。その結果、対極S0,S10および測定プローブS1〜S5,S11〜S15を頻繁に交換することなく、長期にわたって電解槽1内の液面を安定して検出することが可能となる。したがって、フッ素ガス発生装置の長期にわたる安定した動作が確保される。
特に、第1の液面検出装置SEAの対極S0と測定プローブS1〜S5との間に50Hz以上10kHz以下の交流電圧が印加され、第2の液面検出装置SEBの対極S10と測定プローブS11〜S15との間に50Hz以上10kHz以下の交流電圧が印加される場合には、対極S0,S10および測定プローブS1〜S5,S11〜S15の付近からのガスの発生を防止するとともに、検出回路部50A,50Bの正常な動作を確保することができる。
(5)他の実施の形態
上記実施の形態では、第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBがそれぞれ5本の測定プローブS1〜S5,S11〜S15を有するが、測定プローブの本数は5本に限定されない。例えば、第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBがそれぞれ3本の測定プローブを有してもよく、2本、4本または6本以上の測定プローブを有してもよい。
また、上記実施の形態では、第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBの電流検出回路51〜55が電流制限抵抗として抵抗502,503を含むが、交流電流が高調波を含まない場合には、抵抗502,503を設けずにコンデンサ501のインピーダンスにより電流が制限されるようにコンデンサ501の容量値を設定してもよい。
さらに、上記実施の形態では、気体発生装置の例としてフッ素ガス発生装置について説明したが、本発明は酸素ガス等の他の気体を発生する気体発生装置にも同様に適用することができる。
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBの一方が液面検出装置または第1の液面検出装置の例であり、第1の液面検出装置SEAおよび第2の液面検出装置SEBの他方が液面検出装置または第2の液面検出装置の例であり、電解槽1が電解槽の例であり、対極S0,S10が第1の電極の例であり、測定プローブS1〜S5,S10〜S15が第2の電極の例であり、交流電源回路510が交流電源回路の例であり、コンデンサ501がコンデンサの例であり、フォトカプラ504が電流検出回路の例であり、抵抗502,503が抵抗の例である。
また、陰極室3および陽極室4の一方が第1室の例であり、陰極室3および陽極室4の他方が第2室の例であり、制御装置100および自動弁11,15,21が液面制御手段の例である。
さらに、水素ガスおよびフッ素ガスの一方が第1の気体の例であり、水素ガスおよびフッ素ガスの他方が第2の気体の例である。
本発明は、電解槽内の液面を検出するため等に利用することができる。
1 電解槽
2 隔壁
3 陰極室
4 陽極室
5 陰極
6 陽極
7 水素ガス排出管
8 フッ素ガス排出管
7a 陰極出口
8a 陽極出口
9 HF吸着塔
10,14 流量調整弁
11,15,21 自動弁
12 減圧器
13 HF吸着塔
16 減圧器
20 HF供給管
22 オリフィス
23 バイパス弁
25,26,27 圧力計
30 電解浴
50A,50B 検出回路部
51,52,53,54,55 電流検出回路
100 制御装置
SEA 第1の液面検出装置
SEB 第2の液面検出装置
S0,S10 対極
S1〜S5,S11〜S15 測定プローブ
500,502,503 抵抗
501 コンデンサ
504 フォトカプラ
505 発光ダイオード
506 フォトトランジスタ
D1〜D5 検出信号

Claims (6)

  1. 電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽内の液面を検出する液面検出装置であって、
    前記電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、
    前記電解液中に電位差が存在する場合に前記第1の電極と前記第2の電極との間に発生する直流成分を除去するように、前記第1の電極、前記交流電源回路および前記第2の電極により構成される電流径路中に直列に挿入されるコンデンサと、
    前記電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えることを特徴とする液面検出装置。
  2. 前記電流径路中に前記コンデンサと直列に設けられる抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の液面検出装置。
  3. 前記交流電源回路による交流電圧の周波数は50Hz以上10kHz以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液面検出装置。
  4. 前記第1および第2の電極はニッケルにより形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液面検出装置。
  5. 電気分解により第1の気体および第2の気体を発生させる気体発生装置であって、
    前記第1の気体が発生される第1室および前記第2の気体が発生される第2室に区画され、電気分解される化合物を含む電解液を収容する電解槽と、
    前記第1室内の液面を検出する第1の液面検出装置と、
    前記第2室内の液面を検出する第2の液面検出装置と、
    前記第1の液面検出装置の検出結果および前記第2の液面検出装置の検出結果に基づいて前記第1室内の液面の高さおよび前記第2室内の液面の高さを制御する液面制御手段とを備え、
    前記第1および第2の液面検出装置の各々は、
    前記電解槽内に互いに離間するように配置される第1および第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に交流電圧を印加する交流電源回路と、
    前記電解液中に電位差が存在する場合に前記第1の電極と前記第2の電極との間に発生する直流成分を除去するように、前記第1の電極、前記交流電源回路および前記第2の電極により構成される電流径路中に直列に挿入されるコンデンサと、
    前記電流径路に流れる電流の有無を検出する電流検出回路とを備えることを特徴とする気体発生装置。
  6. 前記第1および第2の気体の一方は水素であり、前記第1および第2の気体の他方はフッ素であることを特徴とする請求項5記載の気体発生装置。
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