以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。本発明の一実施形態によれば、電子カード(クレジットカード、ポイントカード等)、電子ペーパー、リモコン、時計、携帯電話機、携帯情報端末、電卓等の様々な電子機器を実現することができる。
図1に示すように、この電子機器は、EPD(electrophoretic display)パネル(電気泳動表示パネル)等の電気光学パネル10と、CPU(中央演算装置)を内蔵すると共に電気光学パネル10を駆動する表示ドライバーの機能を有するMCU(マイクロコントローラーユニット)としての集積回路装置(以下、「ホストドライバー」ともいう)20と、ホストドライバー20と組み合わされて電気光学パネル10を駆動する拡張用の表示ドライバー(以下、「セグメントドライバー」ともいう)30と、ユーザーが各種の情報を入力するために用いる操作部40と、各種の情報を格納する格納部50と、外部機器との通信を行う通信部60と、電子機器の各部に電源電圧を供給する電源部70とを含んでいる。
ここで、ホストドライバー20〜電源部70は、バスラインによって互いに接続されている。なお、図1においては1つのセグメントドライバーが示されているが、複数のセグメントドライバーを用いるようにしても良い。また、上記の構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加して、様々な変形が可能である。
EPDパネルは、例えば、透明なトッププレーン電極が形成された透明シートと、複数のセグメント電極が形成されたモジュール基板と、透明シートとモジュール基板との間に設けられた電気泳動層(電気泳動シート)とを含んでいる。電気泳動層は、電気泳動物質を有する多数のマイクロカプセルを含んでいる。各々のマイクロカプセルは、例えば、正に帯電した黒色の正帯電粒子(電気泳動粒子)と、負に帯電した白色の負帯電粒子(電気泳動粒子)とを分散液中に分散させ、この分散液を微小なカプセルに封入することによって作製される。
トッププレーン電極は、全ての画素に共通に形成され、複数のセグメント電極は、個々の画素に対応して形成される。セグメント電極とトッププレーン電極との間に電圧を印加すると、マイクロカプセルに封入された黒色の正帯電粒子及び白色の負帯電粒子に、その帯電の正負に応じた方向に静電気力が作用する。例えば、セグメント電極がトッププレーン電極よりも高電位である場合には、トッププレーン電極側に黒色の正帯電粒子が移動するので、その画素は黒表示となる。一方、セグメント電極がトッププレーン電極よりも低電位である場合には、トッププレーン電極側に白色の負帯電粒子が移動するので、その画素は白表示となる。
EPDパネルにおいては、トッププレーン電極の電位を固定してセグメント電極の電位を変化させても良いし、セグメント電極の電位とトッププレーン電極の電位との両方を変化させても良いが、以下においては、後者の場合について説明する。なお、モジュール基板において、セグメント電極が形成されていない領域(背景領域)に、バックプレーン電極を形成するようにしても良い。バックプレーン電極をセグメント電極と同様に駆動することにより、背景領域の色を変化させることができる。
電気光学パネル10としては、EPDパネルの他に、ECD(electrochromic display)パネル(電界により変色する素子を用いた表示パネル)を用いても良い。ECDパネルは、セグメント電極とトッププレーン電極との間に電圧を印加すると、酸化還元反応によって物質に色がついたり、光透過率が変化したりする現象を利用して表示を行うパネルである。
ホストドライバー20及びセグメントドライバー30は、電源部70から第1の電源電位VDD(例えば、1.8V〜5.5V)及び第2の電源電位VSS(本実施形態においては、接地電位とする)が供給されて動作する。
ホストドライバー20は、クロック信号生成回路21と、表示コントローラー22と、駆動信号出力部23と、昇圧回路24と、複数の昇圧電源端子(パッド)P1及びP2と、昇圧制御回路25と、CPU26と、シリアルインターフェース(I/F)27とを含んでいる。
クロック信号生成回路21は、発振回路及び分周回路を有し、各種のクロック信号を生成する。表示コントローラー22は、CPU26から順次供給される表示データを格納すると共に、クロック信号生成回路21から供給されるクロック信号に同期して、表示状態が変化する際に電気光学パネル10の第1群のセグメント電極及びトッププレーン電極にそれぞれ供給される複数の駆動波形をそれぞれ表す複数の駆動波形信号を生成する。
駆動信号出力部23は、複数チャンネルの回路を有しており、表示コントローラー22から供給される表示データ及び複数の駆動波形信号に基づいて、電気光学パネル10の第1群のセグメント電極及びトッププレーン電極にそれぞれ供給される複数の駆動信号を生成して出力する。ただし、駆動信号出力部23の回路のチャンネル数と電気光学パネル10のサイズとの関係により、駆動信号出力部23における全てのチャンネルの回路が電気光学パネル10を駆動するために使用されるとは限らない。また、セグメントドライバー30がトッププレーン電極に駆動信号を供給する場合には、ホストドライバー20はトッププレーン電極に駆動信号を供給しなくても良い。なお、図1には、駆動信号出力部23における1チャンネル分の回路(模式図)のみが示されている。
昇圧回路24は、少なくとも1つの外付けのコンデンサーC1を用いて昇圧動作を行うことにより、外部から供給される電源電位VDDを昇圧して、駆動信号出力部23において使用される複数の昇圧電源電位V1及びV2を生成する。複数の昇圧電源端子P1及びP2は、昇圧回路24によって生成された複数の昇圧電源電位V1及びV2をそれぞれ出力し、又は、少なくとも1つのセグメントドライバー30の昇圧動作によって生成された複数の昇圧電源電位V3及びV4をそれぞれ入力する。
昇圧制御回路25は、昇圧回路24の昇圧動作をオン/オフする。CPU26は、電子機器の各部を制御する制御部であり、昇圧回路24の昇圧動作をオン/オフするように昇圧制御回路25を制御すると共に、シリアルインターフェース27を介して接続された少なくとも1つのセグメントドライバー30の昇圧動作をオン/オフ制御することができる。シリアルインターフェース27は、CPU26から出力される各種の制御信号や設定値等を、シリアル信号としてセグメントドライバー30に伝送する。
セグメントドライバー30は、表示コントローラー32と、駆動信号出力部33と、昇圧回路34と、複数の昇圧電源端子(パッド)P3及びP4と、昇圧制御回路35と、デコーダーインターフェース(I/F)37とを含んでいる。
表示コントローラー32は、CPU26からシリアルインターフェース27及びデコーダーインターフェース37を介して順次供給される表示データを格納すると共に、クロック信号生成回路21から供給されるクロック信号に同期して、表示状態が変化する際に電気光学パネル10の第2群のセグメント電極及びトッププレーン電極にそれぞれ供給される複数の駆動波形をそれぞれ表す複数の駆動波形信号を生成する。
駆動信号出力部33は、複数チャンネルの回路を有しており、表示コントローラー32から供給される表示データ及び複数の駆動波形信号に基づいて、電気光学パネル10の第2群のセグメント電極及びトッププレーン電極にそれぞれ供給される複数の駆動信号を生成する。ただし、駆動信号出力部33の回路のチャンネル数と電気光学パネル10のサイズとの関係により、駆動信号出力部33における全てのチャンネルの回路が電気光学パネル10を駆動するために使用されるとは限らない。また、ホストドライバー20がトッププレーン電極に駆動信号を供給する場合には、セグメントドライバー30がトッププレーン電極に駆動信号を供給しなくても良い。なお、図1には、駆動信号出力部33における1チャンネル分の回路(模式図)のみが示されている。
昇圧回路34は、少なくとも1つの外付けのコンデンサーC2を用いて昇圧動作を行うことにより、外部から供給される電源電位VDDを昇圧して、駆動信号出力部33において使用される複数の昇圧電源電位V3及びV4を生成する。なお、セグメントドライバー30は表示専用の集積回路装置であるので、昇圧回路34の電力容量が、ホストドライバー20の昇圧回路24の電力容量よりも大きく設定されている。複数の昇圧電源端子P3及びP4は、昇圧回路34によって生成された複数の昇圧電源電位V3及びV4をそれぞれ出力し、又は、ホストドライバー20の昇圧動作によって生成された複数の昇圧電源電位V1及びV2をそれぞれ入力する。
昇圧制御回路35は、昇圧回路34の昇圧動作をオン/オフする。デコーダーインターフェース(I/F)37は、ホストドライバー20のシリアルインターフェース(I/F)27から伝送されたシリアル信号をデコードして得られた各種の制御信号や設定値等を、セグメントドライバー30の各部に供給する。
大きさの異なる電気光学パネル10に対応するために、ホストドライバー20は、単独で、又は、少なくとも1つのセグメントドライバー30と組み合わせて使用することが可能である。セグメントドライバー30も、単独で、又は、ホストドライバー20と組み合わせて使用することが可能である。ただし、セグメントドライバー30は表示専用の集積回路装置であるので、セグメントドライバー30を単独で使用する場合には、汎用のMCUが別途必要になる。
例えば、ホストドライバー20が64個のセグメント電極に駆動信号を供給するための回路を有している場合には、64セグメント以下のサイズの電気光学パネルを駆動するためには、ホストドライバー20のみが用いられ、それよりも大きいサイズの電気光学パネルを駆動するためには、ホストドライバー20とセグメントドライバー30とが組み合わされて用いられる。
ホストドライバー20とセグメントドライバー30とを組み合わせて用いる場合には、ホストドライバー20が、表示開始タイミングやパネル駆動用の昇圧電源電位等を生成して、それらをセグメントドライバー30に受け渡すことが考えられる。特に、パネル駆動用の昇圧電源電位については、ホストドライバー20とセグメントドライバー30とにおいて個別に昇圧電源電位を生成すると、それらの昇圧電源電位の間に差が生じた場合に、ホストドライバー20によって駆動される表示領域とセグメントドライバー30によって駆動される表示領域との間に輝度差が発生してしまう。
しかしながら、一般に、MCUに搭載される昇圧回路は電力容量が小さいので、ホストドライバー20がセグメントドライバー30にパネル駆動用の昇圧電源電位を供給すると、駆動できる電気光学パネル10の大きさがホストドライバー20の昇圧回路の能力によって制限されてしまう。そこで、本実施形態においては、電気光学パネル10の負荷(消費電力)や電子機器の使用状態等に応じて、パネル駆動用の昇圧電源電位を生成する昇圧回路を選択可能としている。
例えば、比較的小さいサイズの電気光学パネル(例えば、128セグメント)を駆動する場合には、ホストドライバー20の昇圧回路24のみが用いられる。その場合には、セグメントドライバー30の昇圧回路34に外付けされるコンデンサーC2は不要となる。一方、比較的大きいサイズの電気光学パネル(例えば、256セグメント)を駆動する場合には、セグメントドライバー30の昇圧回路34のみが用いられる。その場合には、ホストドライバー20の昇圧回路24に外付けされるコンデンサーC1は不要となる。
また、さらに大きいサイズの電気光学パネル(例えば、320セグメント)を駆動する場合には、ホストドライバー20の昇圧回路24とセグメントドライバー30の昇圧回路34との両方が用いられる。このように、使用される昇圧回路が予め決定されている場合には、集積回路装置の1つの端子をハイレベルに接続するかローレベルに接続するかによって、その集積回路装置の昇圧回路を使用するか否かを設定するようにしても良い。あるいは、外付けコンデンサーの有無を検出して検出信号を生成する検出回路を集積回路装置に設け、検出回路から出力される検出信号に基づいて、その集積回路装置の昇圧回路を使用するか否かを決定するようにしても良い。
以下においては、ホストドライバー20のCPU26が、格納部50等に格納されている設定情報(ICコマンド設定)や、電子機器の使用状態(スリープモード/通常動作モード)等に基づいて、使用する昇圧回路を選択する場合について説明する。
ホストドライバー20の昇圧回路24のみが用いられる場合には、CPU26は、昇圧回路24の昇圧動作をオンするように昇圧制御回路25を制御すると共に、昇圧回路34の昇圧動作をオフするようにセグメントドライバー3の昇圧制御回路35を制御する。その場合には、ホストドライバー20の昇圧電源端子P1及びP2からセグメントドライバー30の昇圧電源端子P3及びP4にそれぞれ入力された昇圧電源電位V1及びV2が、駆動信号出力部33に供給される。
一方、セグメントドライバー30の昇圧回路34のみが用いられる場合には、CPU26は、昇圧回路24の昇圧動作をオフするように昇圧制御回路25を制御すると共に、昇圧回路34の昇圧動作をオンするようにセグメントドライバー3の昇圧制御回路35を制御する。その場合には、セグメントドライバー30の昇圧電源端子P3及びP4からホストドライバー20の昇圧電源端子P1及びP2にそれぞれ入力された昇圧電源電位V3及びV4が、駆動信号出力部23に供給される。
また、ホストドライバー20の昇圧回路24とセグメントドライバー30の昇圧回路34との両方が用いられる場合には、CPU26は、昇圧回路24の昇圧動作をオンするように昇圧制御回路25を制御すると共に、昇圧回路34の昇圧動作をオンするようにセグメントドライバー30の昇圧制御回路35を制御する。その場合には、昇圧回路24から供給される電力と昇圧回路34から供給される電力との両方が、電気光学パネル10を駆動するために用いられる。
図2は、図1に示すホストドライバーの構成の一部を詳細に示す図である。以下においては、ホストドライバーの構成要素について詳しく説明するが、それらの説明は、セグメントドライバーの対応する構成要素にも適用される。図2に示すように、表示コントローラー22は、表示データ格納部221と、駆動波形生成部222と、タイミング制御部223とを含んでいる。
表示データ格納部221は、例えば、複数のフリップフロップ等を含むレジスター、又は、SRAM等のメモリーによって構成される。表示データ格納部221は、CPU26から供給される第1の表示データ(前回表示データ)DLを格納する前回表示データ格納部221aと、CPU26から第1の表示データの次に供給される第2の表示データ(今回表示データ)DPを格納する今回表示データ格納部221bとを含んでおり、CPU26から供給される一連の表示データを順次格納することにより、第1及び第2の表示データDL及びDPを更新する。
例えば、ホストドライバー20が64個のセグメント電極に64個の駆動信号を出力する場合には、64個のセグメントデータを含む表示データが今回表示データ格納部221bに入力されて保持(ラッチ)される。今回表示データ格納部221bに格納された64個のセグメントデータは、クロック信号生成回路21から供給されるクロック信号CK1に同期して、駆動信号出力部23におけるそれぞれのチャンネルの回路にパラレルに供給される。その表示データに基づく表示が終了すると、今回表示データ格納部221bに保持されていた64個のセグメントデータを含む表示データは、前回表示データ格納部221aに転送されて保持(ラッチ)される。
駆動波形生成部222は、CPU26から供給される波形情報に基づいて、駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(N、N)及びTPを出力する。ここで、Nは、表示データの階調数を表しており、2以上の整数である。以下においては、例として、N=2の場合について説明する。
電気光学パネルにおいては、1つのセグメント電極における表示状態(階調)が、第1の表示データ(セグメントデータ)DLに対応する第1の表示状態から第2の表示データ(セグメントデータ)DPに対応する第2の表示状態に変化する際に、全てのセグメント電極とトッププレーン電極との間に印加される電圧を所定の規則に従って変化させることにより、表示状態を安定化させることが行われている。駆動波形信号は、そのための駆動波形を表している。
例えば、表示データの階調数が2である場合には、第1の表示タイミングにおける第1の表示状態として黒表示と白表示という2つの状態があり、第1の表示タイミングの次の第2の表示タイミングにおける第2の表示状態として黒表示と白表示という2つの状態がある。
そこで、駆動波形信号SWV(1、1)は、第1及び第2の表示状態が共に黒表示である場合に、セグメント電極に供給される駆動波形を表している。駆動波形信号SWV(1、2)は、第1の表示状態が黒表示であり、第2の表示状態が白表示である場合に、セグメント電極に供給される駆動波形を表している。駆動波形信号SWV(2、1)は、第1の表示状態が白表示であり、第2の表示状態が黒表示である場合に、セグメント電極に供給される駆動波形を表している。駆動波形信号SWV(2、2)は、第1及び第2の表示状態が共に白表示である場合に、セグメント電極に供給される駆動波形を表している。また、駆動波形信号TPは、第1の表示状態と第2の表示状態との間に、トッププレーン電極に供給される駆動波形を表している。
駆動波形生成部222は、複数のレジスターRT1〜RTMと(Mは、2以上の整数)、レジスター選択回路RSELとを含んでいる。レジスターRT1〜RTMは、期間T1〜TMのそれぞれにおける駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTPの信号レベルを特定するレジスター値を格納する。例えば、レジスターRT1は、期間T1における駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTPの信号レベルを特定する1組のレジスター値を格納し、レジスターRT2は、期間T2における駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTPの信号レベルを特定する1組のレジスター値を格納する。レジスターRT3〜RTMも同様である。これらのレジスター値は、CPU26から供給される。
レジスター選択回路RSELは、タイミング制御部223が生成する選択信号SRSELに従って、レジスターRT1〜RTMに格納されている複数組のレジスター値の内から1組のレジスター値を選択する。例えば、タイミング制御部223は、クロック信号生成回路21から供給されるクロック信号CK2に含まれているパルスの数をカウントしてカウント値を生成し、カウント値が所定の値と等しくなったときに選択信号SRSELの値を1つずつインクリメントして、カウント値をゼロにリセットする。レジスター選択回路RSELは、期間T1においてレジスターRT1の1組のレジスター値を選択し、期間T2においてレジスターRT2の1組のレジスター値を選択する。期間T3〜TMにおいても同様である。
これにより、駆動波形生成部222は、期間T1〜TMにおいてレジスターRT1〜RTMのレジスター値をそれぞれ出力する。なお、レジスターRT1〜RTMには、駆動信号出力部23の出力端子をハイインピーダンス状態に設定するためのレジスター値を、駆動波形信号の一部として格納しても良い。例えば、第k番目の期間Tk(1≦k≦M)において駆動信号出力部23の出力端子をハイインピーダンス状態に設定する場合には、第k番目のレジスターRTkにおけるハイインピーダンス状態設定ビットを「1」に設定する。これにより、期間Tkにおいて、ハイインピーダンス状態設定信号SHZがアクティブになる。
また、レジスターRT1〜RTMには、駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTPの信号レベルを特定するレジスター値以外にも、期間T1〜TMの長さを設定するための期間長レジスター値を格納しても良い。例えば、レジスターRTkは、期間Tkにおける駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTPの信号レベルを特定する1組のレジスター値の他に、期間Tkの長さを設定するための期間長レジスター値STkを格納する。その場合に、タイミング制御部223は、レジスターRTkから読み出された期間長レジスター値STkに基づいて、期間Tkの長さを設定する。
駆動信号出力部23は、表示データ格納部221から供給される第1及び第2の表示データDL及びDP、及び、駆動波形生成部222から供給される駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)及びTP等に基づいて、電気光学パネルの第1群のセグメント電極に供給される複数の駆動信号VDm、及び、トッププレーン電極に供給される駆動信号VDTを生成して出力する。
駆動信号出力部23は、1つのセグメント電極を駆動するための1チャンネル分の回路において、第1のセレクター231と、第2のセレクター232と、バッファー233と、第1のレベルシフター234と、第2のレベルシフター235と、トライステートバッファー236とを含んでいる。一方、トッププレーン電極を駆動するための1チャンネル分の回路においては、第1のセレクター231が不要となる。以下においては、1つのセグメント電極を駆動するための1チャンネル分の回路について説明する。
セレクター231は、表示データ格納部221から供給される第1及び第2の表示データDL及びDPに基づいて、駆動波形生成部222から供給される駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の内から1つの駆動波形信号SWQを選択し、選択された駆動波形信号SWQをセレクター232に出力する。
セレクター232は、CPU26から供給されるダイレクトモード選択信号SDIRに従って、シーケンシャルモードとダイレクトモードとの切換を行う。セレクター232は、シーケンシャルモードにおいて、駆動波形生成部222によって生成され、セレクター231によって選択された駆動波形信号SWQを駆動信号として選択し、ダイレクトモードにおいて、今回表示データ格納部221bに格納されている表示データを駆動信号として選択する。従って、ダイレクトモードにおいては、CPU26が、駆動波形信号を生成して今回表示データ格納部221bに格納する必要がある。
セレクター232から出力される駆動信号は、バッファー233を介して、レベルシフター234及び235に順次入力される。レベルシフター234は、駆動信号のハイレベルの電位を、外部から供給される電源電位VDDによって規定される値から第1の昇圧電源電位V1によって規定される値にシフトする。さらに、レベルシフター235は、駆動信号のハイレベルの電位を、昇圧電源電位V1によって規定される値から第2の昇圧電源電位V2によって規定される値にシフトする。ここでは、2段のレベルシフターを用いる場合について説明したが、レベルシフターの段数は3段以上でも良い。
レベルシフター235から出力された駆動信号は、トライステートバッファー236に供給される。トライステートバッファー236は、昇圧電源電位V2及び電源電位VSSが供給されて動作し、ハイインピーダンス状態設定信号SHZがノンアクティブであるときに、レベルシフター235から入力される駆動信号を反転して、出力端子から駆動信号VDmを出力し、ハイインピーダンス状態設定信号SHZがアクティブであるときに、出力端子をハイインピーダンス状態とする。これにより、複数のセグメント電極及びトッププレート電極の駆動のオン/オフ制御が可能となる。このような駆動のオン/オフ制御機能を持たせているのは、電気光学パネルの種類によっては、駆動シーケンスの過程において、特定の信号レベルのみならずハイインピーダンス状態が必要になる場合もあるからである。
図3は、図2に示す昇圧回路の構成例を示す図である。昇圧回路24は、第1の電圧レギュレーター241と、1次昇圧回路242と、第2の電圧レギュレーター243と、2次昇圧回路244とを含んでおり、外部から供給される電源電圧(VDD−VSS)に基づいて、電気光学パネルの駆動に必要な電源電圧を生成する。
例えば、電気光学パネルに対して0V/15Vの2値駆動を行う場合には、電源電位VDD(例えば、1.8V〜5.5V)及び電源電位VSS(0V)が供給される第1の電圧レギュレーター241が、基準電位VREF1に基づいて安定化電源電位VDC1を生成し、1次昇圧回路242が、安定化電源電位VDC1を電源電位VSSに対して昇圧して昇圧電源電位V1(例えば、5V〜6V)を生成する。
さらに、昇圧電源電位V1及び電源電位VSSが供給される第2の電圧レギュレーター243が、基準電位VREF2に基づいて安定化電源電位VDC2を生成し、2次昇圧回路244が、安定化電源電位VDC2を電源電位VSSに対して昇圧して昇圧電源電位V2(15V)を生成する。
図2に示す駆動信号出力部23は、電源電位VSS(0V)と、昇圧電源電位V1(例えば、5V〜6V)と、昇圧電源電位V2(15V)とを用いて、駆動信号VDmを生成する。駆動信号出力部23におけるレベルシフターの段数が3段以上である場合には、昇圧回路24において、レベルシフターの段数に応じた数の電圧レギュレーター及び昇圧段が設けられ、図1に示すホストドライバー20及びセグメントドライバー30の各々には、レベルシフターの段数に応じた数の昇圧電源端子が設けられる。
図4は、図3に示す1次昇圧回路又は2次昇圧回路の構成例を昇圧制御回路と共に示す図である。図4に示す昇圧回路は、3倍の昇圧率を実現することが可能であり、図3に示す1次昇圧回路242としても、2次昇圧回路244としても用いることができる。
図4に示すように、この昇圧回路は、第1のインバーターを構成するPチャネルMOSトランジスターQP11及びNチャネルMOSトランジスターQN11と、第2のインバーターを構成するPチャネルMOSトランジスターQP12及びNチャネルMOSトランジスターQN12と、チャージポンプ動作を行うPチャネルMOSトランジスターQP21〜QP23と、これらのトランジスターに接続された外付けのコンデンサーC11及びC12と、トランジスターQP21〜QP23にゲート電圧G1〜G3をそれぞれ供給するためのレベルシフター1〜3とを含んでいる。
この昇圧回路は、クロック信号生成回路21(図1)からクロック信号CL1及びCL2が供給されてチャージポンプ動作を行うことにより、電源電位VDCを昇圧して昇圧電源電位VOUTを生成する。ここでは、説明を簡単にするために、電源電位VDCがVボルトであり、昇圧電源電位VOUTが3×Vボルトになるものとする。
第1及び第2のインバーターの反転動作と、トランジスターQP21〜QP23のスイッチング動作とによって、コンデンサーC11及びC12の充放電が繰り返され、それに伴って電荷が移動してチャージポンプ動作が行われる。その結果、昇圧電源端子PXにおける昇圧電源電位VOUTが次第に立ち上がり、定常状態において電源電位VDC(Vボルト)の約3倍(3×Vボルト)に達する。
図5は、図4に示す昇圧回路における各部の電圧波形を示す波形図である。図5においては、定常状態に達した後の電圧波形が示されている。クロック信号CL1及びCL2は、互いに逆相の信号であり、0ボルトとVボルトとの間で変移する。レベルシフター1〜3によって、クロック信号CL1及びCL2のハイレベルをシフトすることにより、0ボルトと3×Vボルトとの間で偏移するゲート電圧G1〜G3が得られる。これらのゲート電圧G1〜G3が、トランジスターQP21〜QP23のゲートにそれぞれ印加されて、トランジスターQP21〜QP23がスイッチング動作を行う。これにより、コンデンサーC11の両端電位P1及びM1と、コンデンサーC12の両端電位P2及びM2とが、図5に示すように変化する。
再び図4を参照すると、セレクター回路SL1及びSL2は、昇圧制御回路25(図1)の一部を構成している。セレクター回路SL1は、CPU26(図1)から供給される制御信号COに従って、クロック信号CL1と電源電位VDCとの内の一方を選択してレベルシフター2に入力する。また、セレクター回路SL2は、制御信号COに従って、クロック信号CL2と電源電位VDCとの内の一方を選択してレベルシフター1及び3に入力する。
図1に示すCPU26は、ホストドライバー20の昇圧回路24を動作させるときに、セレクター回路SL1及びSL2がクロック信号CL1及びCL2をそれぞれ選択するように、制御信号COをアクティブにする。一方、CPU26は、ホストドライバー20の昇圧回路24を停止させてセグメントドライバー30の昇圧回路34を動作させるときに、セレクター回路SL1及びSL2が電源電位VDCを選択するように、制御信号COをインアクティブにする。これにより、トランジスターQP21〜QP23がカットオフして、昇圧回路24が昇圧動作を停止する。その際に、セグメントドライバー30の昇圧回路34から昇圧電源端子PXに昇圧電源電位が印加されるが、トランジスターQP21はカットオフ状態を保つので、図4に示す昇圧回路において無駄な電力が消費されることがない。
また、CPU26は、ホストドライバー20の昇圧回路24とセグメントドライバー30の昇圧回路34との両方を動作させるときにも、セレクター回路SL1及びSL2がクロック信号CL1及びCL2をそれぞれ選択するように、制御信号COをアクティブにする。その際に、ホストドライバー20の昇圧電源端子PXと、セグメントドライバー30の昇圧電源端子PXとが配線により接続されているので、両者の昇圧電源電圧を等しくすることができる。
次に、図6〜図9を参照しながら、図2に示すホストドライバーにおける駆動波形の生成手法の具体例について説明する。電気光学パネルにおいては、セグメント電極とトッププレーン電極との間に印加される駆動バイアスの極性により、黒表示又は白表示が行われる。なお、カラーフィルターを挿入して、白表示に特定の色を持たせることも可能であり、その場合には、白表示の白は、カラーフィルターの色に置き換えることができる。
電気光学パネルの表示品質を高品位に維持するためには、単に黒表示又は白表示に必要な駆動極性のバイアスを電気光学パネルに印加するだけでは十分でない。例えば、電気光学パネルの表示状態を変化させる際に、表示状態が変化するセグメントに対して、黒表示から白表示、又は、白表示から黒表示となるために必要なバイアスを印加するだけでなく、表示状態が変化しないセグメントを含む全セグメントに対して、正極性バイアスと負極性バイアスとを混在させたシーケンシャルな駆動バイアスパターン(駆動波形)を印加することが望ましい。
図6は、図2に示すホストドライバーにおいて用いられる駆動波形の例を示す波形図である。図6において、「TP」は、全セグメントに共通なトッププレーン電極に印加される駆動波形を表している。また、「BB」、「BW」、「WB」、「WW」は、セグメント電極に印加される駆動波形を表しており、それぞれ、黒表示から黒表示に移行する場合の駆動波形信号SWV(1、1)、黒表示から白表示に移行する場合の駆動波形信号SWV(1、2)、白表示から黒表示に移行する場合の駆動波形信号SWV(2、1)、白表示から白表示に移行する場合の駆動波形信号SWV(2、2)に対応している。なお、「0」は0Vの信号レベルを表しており、「1」は15Vの信号レベルを表している。
図6を参照しながら、駆動波形BBについて説明する。第1の表示データに従う表示が行われた後、第1の表示状態に対応するアイドル状態A0においては、トッププレーン電極及びセグメント電極がハイインピーダンス状態に設定されている。次に、電荷抜き期間A1においては、TP=0、BB=0であるので、トッププレーン電極及びセグメント電極がノンバイアス状態となって電荷抜きが行われ、黒表示が維持される(Hold)。全白表示期間A2においては、TP=1、BB=0であるので、セグメント電極に対してトッププレーン電極が正極性バイアス状態となり、黒表示から白表示に変化する(Write)。全黒表示期間A3においては、TP=0、BB=1であるので、セグメント電極に対してトッププレーン電極が負極性バイアス状態となり、白表示から黒表示に変化する(Write)。
全白表示期間A4においては、TP=1、BB=0であるので、セグメント電極に対してトッププレーン電極が正極性バイアス状態となり、黒表示から白表示に変化する(Write)。メモリー内容表示期間A5においては、TP=0、BB=1であるので、セグメント電極に対してトッププレーン電極が負極性バイアス状態となり、白表示から黒表示に変化する(Write)。これにより、第2の表示データに従う表示が行われる。電荷抜き期間A6において、TP=0、BB=0となって電荷抜きが行われ(Hold)、その後、第2の表示状態に対応するアイドル状態A7に移行する。
同様に、駆動波形BWについても、アイドル状態B0、電荷抜き期間B1、全白表示期間B2、全黒表示期間B3、全白表示期間B4が設定され、メモリー内容表示期間B5において、TP=0、BW=0であるので、トッププレーン電極及びセグメント電極がノンバイアス状態となって電荷抜きが行われ、白表示が維持される(Hold)。これにより、第2の表示データに従う表示が行われる。電荷抜き期間B6において、TP=0、BW=0が維持され(Hold)、その後、第2の表示状態に対応するアイドル状態B7に移行する。
また、図2に示すレジスターRT1〜RTMから読み出された期間長レジスター値に基づいて各期間の長さを設定する場合には、図6に示すように、期間長レジスター値SK1〜SK6に基づいて期間T1〜T6の長さが設定される(タイミングセット)。この場合には、信号レベルを変化させるタイミングが、レジスターから読み出された期間長レジスター値に基づいて設定される。
図6に示すように、メモリー内容の表示を行う前に、所定の長さに設定された複数の期間において黒表示や白表示を繰り返し行うことによって、電気光学パネルの高品位な表示品質を実現することができる。即ち、液晶表示パネルとは異なり、電気光学パネルにおいては、第1の表示データに対応する第1の表示状態から第2の表示データに対応する第2の表示状態に移行する際に、複数の期間に亘って信号レベルをシーケンシャルに変化させることによって、表示品質を向上させることが可能である。
図7は、図2に示す駆動波形生成部における駆動波形生成用のレジスター値の設定例を示す図である。図7の(A)は、駆動波形を設定するためにレジスターRT1〜RTMに格納されるレジスター値の例を示しており、図7の(B)は、駆動期間の長さ(ウエイト時間)を設定するための期間長レジスター値と実際の時間との関係を示している。
図7の(A)において、アドレスの欄には、図2に示す駆動波形生成部222のレジスターにおけるアドレスが表示されており、期間の欄には、期間T1〜T12及び対応するレジスターRT1〜RT12が表示されている。各レジスターには、16ビット幅のレジスター値が格納される。レジスター値の第12〜8ビットは、それぞれの期間における駆動波形TP、BB、BW、WB、WWの信号レベルを表しており、レジスター値の第7〜0ビットは、それぞれの期間の長さを表している。レジスター値の第15ビットは、EOWビットであり、駆動波形の終了を表している。図7の(A)においては、期間T6に対応するレジスターRT6に格納されているレジスター値のEOWビットが、駆動波形の終了を表す「1」に設定されている。従って、この例によれば、期間T6で駆動波形が終了する。
図7の(A)において、期間T1に対応するレジスターRT1に格納されているレジスター値の第12〜8ビットは、全て「0」に設定されている。従って、図6に示すように、期間T1において、TP=BB=BW=WB=WW=0となり、電荷抜きが行われる。また、期間T1の長さ(ウエイト時間)を表すレジスターRT1の第7〜0ビットは、「00000101」に設定されている。従って、図7の(B)に示すように、期間T1の長さが4.88msに設定される。
また、期間T2に対応するレジスターRT2に格納されているレジスター値の第12〜8ビットは、「10011」に設定されている。従って、図6に示すように、期間T2において、TP=1、BB=0、BW=0、WB=1、WW=1となり、全白表示が行われる。また、期間T2の長さ(ウエイト時間)を表すレジスターRT2の第7〜0ビットは、「10000011」に設定されている。従って、図7の(B)に示すように、期間T2の長さが127.93msに設定される。
以上説明した駆動波形は一例であり、電子光学パネル10の種類や動作環境に応じ、レジスターに格納されるレジスター値やクロック信号の周波数を選択することによって、駆動波形を任意に変更することができる。図8に、図2に示すホストドライバーにおいて用いられる駆動波形の他の例を示し、図9に、図8に示す駆動波形に対応するレジスター値の設定例を示す。
本実施形態によれば、図1に示すCPU26が、格納部50等に格納されている設定情報や電子機器の使用状態等に基づいて、ホストドライバー20の昇圧回路24とセグメントドライバー30の昇圧回路34との内の一方又は両方を選択することにより、電子光学パネル10の負荷に適した昇圧電力を得ることができるので、昇圧回路における無駄な消費電力が低減される。また、ホストドライバー20の駆動信号出力部23に供給される昇圧電源電位とセグメントドライバー30の駆動信号出力部33に供給される昇圧電源電位とを等しくすることができるので、ホストドライバー20とセグメントドライバー30とを組み合わせて1つの電気光学パネル10を駆動する場合の輝度差が解消される。
また、図2に示すように、第1及び第2の表示データDL及びDPに基づいて、複数の駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の内から駆動波形信号SWQが選択され、選択された駆動波形信号SWQに基づいて、電子光学パネル10に供給される複数の駆動信号VDmが生成される。従って、第1の表示データDLに対応する第1の表示状態から第2の表示データDPに対応する第2の表示状態に移行する際に、シーケンシャルに変化する複数の駆動信号VDmによって電子光学パネル10の複数のセグメント電極を駆動することができる。その結果、高品質な表示特性を実現すると共に、CPU26の処理負荷を軽減することが可能である。