JP5577801B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍装置に関する。
従来より、冷凍装置には、圧縮機を駆動させるためのインバータ制御装置(駆動装置)が備えられている。また、例えば、特許文献1(特開2006−42529号公報)に示すように、インバータ制御装置にはパワー半導体素子が含まれている。パワー半導体素子は、インバータ制御装置の駆動に伴ってチップが発熱し高温になる。高温になったパワー半導体素子は、ヒートシンクに接続されて冷却される。これにより、パワー半導体素子のジャンクション温度が規定値(例えば、約125度)を超えないような構成がとられている。
ところで、冷凍装置の出力が大きくなると、チップの発熱量も大きくなる。その結果、パワー半導体素子のジャンクション温度が規定値を超えてしまう場合がある。チップの発熱量を抑制するために、出力能力の高いチップを用いることも想定しうるが、出力能力の高いチップは高価であるため、チップを多数利用することを考慮すると好ましくない。
本発明の課題は、チップの発熱量を効果的に抑制する冷凍装置を提供することにある。
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、パワー半導体素子と、圧縮機とを備える。パワー半導体素子は、第1の冷却方式および第2の冷却方式のいずれか一方の冷却方式に基づいてサイズが選定されたチップを含む。第1の冷却方式は、ヒートシンクを用いて空冷する。第2の冷却方式では、冷媒を流す冷却部品を介して冷却する。圧縮機は、パワー半導体素子を含む駆動装置によって駆動される。チップは、冷却方式に応じた所定の電流密度を有する。また、チップは、圧縮機を駆動させる駆動装置であるインバータのキャリア周波数に応じたサイズである。
これにより、チップの発熱量を効果的に抑制することができる。また、冷凍装置の大きさに関わらず、適切に熱抵抗を抑えることができる。
本発明の第観点に係る冷凍装置は、第1観点に係る冷凍装置であって、パワー半導体素子は、ヒートスプレッダを有する。ヒートスプレッダは、チップに連結してチップの熱を発散させる。また、ヒートスプレッダは、チップのサイズに応じた厚みを有する。
これにより、パワー半導体素子の小型化を図ることができる。
本発明の第観点に係る冷凍装置は、第観点に係る冷凍装置であって、ヒートスプレッダは、チップのサイズが所定値以下の場合に、チップのサイズに応じた厚みを有する。
これにより、熱抵抗を効果的に抑えることができる。
本発明の第1観点に係る冷凍装置では、チップの発熱量を効果的に抑制することができる。また、冷凍装置の大きさに関わらず、適切に熱抵抗を抑えることができる。
本発明の第観点に係る冷凍装置では、パワー半導体素子の小型化を図ることができる。
本発明の第観点に係る冷凍装置では、熱抵抗を効果的に抑えることができる。
空気調和機の概略構成を示す図である。 空冷機構を示す図である。 冷媒冷却機構を示す図である。 空冷機構を採用した場合の各部温度と冷媒冷却機構を採用した場合の各部温度とを比較する図である。 チップサイズに対する最大電流を示す図である。 トランスファーモールドパッケージのパワー半導体素子の例を示す図である。 チップサイズと熱抵抗との関係を示す図である。 図7に関する各種値を示す図である。 チップサイズと熱抵抗との関係を示す図である。 チップサイズに適したスプレッダ(銅ブロック)の厚みを示す図である。 スプレッダ(銅ブロック)の厚みと熱抵抗との関係を示す図である。 図11に関する各種値を示す図である。 連続パルス負荷時のジャンクション−ケース間温度の変化を示す図である。 連続パルス負荷時のジャンクション−ケース間温度の変化を示す図である。 キャリア周波数に対するジャンクション温度の変化を示す図である。 キャリア周波数に対するジャンクション−ケース間温度の変化を示す図である。 キャリア周波数に対する熱抵抗比率を示す図である。 キャリア周波数に対するチップサイズを示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を図1〜12に基づいて詳細に説明する。
(1)空気調和機10の全体構成
図1に、空気調和機10の概略構成を示す。空気調和機10は、主として、室内ユニット20と、室外ユニット30とを備える。室内ユニット20および室外ユニット30に含まれる各構成は、冷媒配管62によって接続され、冷媒回路を構成する。
室内ユニット20は、主として、室内熱交換器21と、室内ファン22とを含む。室内熱交換器21は、冷媒を流す伝熱管と、伝熱管が挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。室内ファン22は、室内の空気を室内ユニット20内に吸い込ませるとともに、室内熱交換器21との間で熱交換を行った空気を室内に吹き出させる。
室外ユニット30は、主として、圧縮機31と、室外熱交換器32と、室外ファン33と、四路切換弁34と、膨張弁35と、閉鎖弁36,36と、冷却機構37とを含む。圧縮機31は、インバータ装置によって能力調整が可能な機械であり、低圧のガス冷媒を吸い込み、吸い込んだガス冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒にして吐出する。室外熱交換器32は、冷媒を流す伝熱管と、伝熱管が挿入される複数のフィンとからなり、内部を流れる冷媒と、室外ファン33により室外ユニット30内に吸い込まれた外気との間で熱交換を行わせる。室外熱交換器32は、その一端に四路切換弁34が接続され、他端には膨張弁35が接続されている。四路切換弁34は、冷房/暖房モードに基づき、冷媒回路を切り換える。室外熱交換器32内を流れる冷媒は、冷房モードの運転時(四路切換弁34が実線の状態にある場合)には放熱し、暖房モードの運転時(四路切換弁34が破線の状態にある場合)には吸熱する。膨張弁35は、弁の開度を変動させて室外熱交換器32に流れる冷媒の量を制御する。閉鎖弁36,36は、冷媒回路の開閉を行う。冷却機構37は、インバータ装置を構成するパワー半導体素子40を冷却する機構である。
本実施形態で用いるパワー半導体素子40は、SiCなどのワイドバンドギャップデバイスを実装する。パワー半導体素子40は、図2および図3に示すように、主として、発熱体であるチップ41と、スプレッダ42と、樹脂カバー43とを含む。チップ41およびスプレッダ42は、樹脂カバー43によって部分的に覆われている。チップ41は、図示しないリードの一端と接続されている。リードの他端は、パターンが形成された基板と接続されている。
スプレッダ42は、平板状の金属部材である。スプレッダ42は、第1の面を有し、第1の面をチップ41と接触させる。スプレッダ42は、第1の面からチップ41の熱を受け取り、第1の面の全体に熱を拡散させる。スプレッダ42は、樹脂カバー43によって覆われていない第2の面を有し、第2の面をヒートシンク50または冷却ジャケット60に接触させる。チップ41からスプレッダ42に伝えられた熱は、スプレッダ42の第2の面からヒートシンク50または冷却ジャケット60に伝えられる。これにより、パワー半導体素子40は冷却される。
本実施形態に係る空気調和機10では、採用する冷却機構37の種類に応じて、パワー半導体素子40に含まれるチップ41の面積(チップサイズ)が選定される。以下、空気調和機10に採用しうる冷却機構37の態様、冷却機構37に応じたチップサイズ、および、チップサイズに応じたヒートスプレッダ42の厚みについて詳細に説明する。
(2)冷却機構
冷却機構37は、パワー半導体素子40のジャンクション温度Tが規定値(一般的には、約125[℃])を超えないように、パワー半導体素子40を冷却する機構である。
パワー半導体素子40の冷却機構37には、空冷機構37aと冷媒冷却機構37bとが含まれる。
(2−1)空冷機構
空冷機構37aは、ヒートシンク50を用いてパワー半導体素子40を冷却する機構である。図2に、空冷機構37aの一の態様を示す。空冷機構37aでは、スプレッダ42とヒートシンク50とを接触させることにより、チップ41からスプレッダ42に伝えられた熱を、ヒートシンク50に伝えてパワー半導体素子40を冷却する。
スプレッダ42は、第1の面をチップ41に接触させ、第1の面に対向する第2の面をヒートシンク50に接触させる。チップ41から発せられる熱は、スプレッダ42を介してヒートシンク50に伝えられる。ヒートシンク50に伝わった熱は、空気中に放出される。
(2−2)冷媒冷却機構
冷媒冷却機構37bは、冷却ジャケット60を用いてパワー半導体素子40を冷却する機構である。図3に、冷媒冷却機構37bの一の態様を示す。冷却ジャケット60は、アルミ製のベース板61を含む。冷媒冷却機構37bでは、ベース板61と冷媒配管62とを接触させ、さらに、ベース板61とパワー半導体素子40とを接触させることで、パワー半導体素子40を冷却する。ベース板61と接触させる冷媒配管62には、中間圧の冷媒が流れる。
図3では、冷媒配管62をベース板61に貫通させて冷媒配管62とベース冷却ジャケット60が用いられている。スプレッダ42は、第1の面をチップ41と接触させ、第1の面に対向する第2の面を冷却ジャケット60と接触させる。チップ41から発せられる熱は、スプレッダ42を介して冷却ジャケット60に伝えられる。
なお、冷媒冷却機構37bには、図3に示す態様の他、ベース板61の第1面に冷媒配管62を接触させ、ベース板61の第2面にパワー半導体素子40を接触させ、パワー半導体素子40を冷却する態様等も含まれる。
(2−3)冷却機構の違いによるパワー半導体素子の温度の違い
図4に、ジャンクション温度Tを一定にした場合の、冷却機構37の違いによるケース温度Tと、周囲温度Tとの違いを示す(図2および3参照)。ここで、ジャンクション温度(またはチャネル温度)Tは、チップ41の動作接合部温度である。ケース温度Tは、スプレッダ42の露出面の温度である。周囲温度Tは、空冷機構37aの場合はヒートシンク50のフィン先端部分の温度、冷媒冷却機構37bの場合は冷媒配管62の外側の温度である。
図4に示すように、冷媒冷却機構37bは、空冷機構37aに比べて、ジャンクション温度Tとケース温度Tとの差が大きい。すなわち、冷媒冷却機構37bは、空冷機構37aよりも放熱効率が良く、ケース温度Tを効率よく低減させる。
(3)冷却機構の種類に応じたチップサイズ
上述したように、冷媒冷却機構37bは、空冷機構37aよりもケース温度Tを効率よく低減させるため、空気調和機10に冷媒冷却機構37bを採用する場合には、空冷機構37aを採用する場合と比較して、ジャンクション温度Tとケース温度Tとの差(ジャンクション−ケース間温度ΔTj−c)を大きく設定することが可能である。
そこで、本実施形態では、下記式(1)に基づいて、冷却機構37の種類に応じたチップサイズScを選定する。
Figure 0005577801
(K1は熱抵抗率、Ronはオン抵抗率[Ω・cm]、ΔTj−cはジャンクション−ケース間温度[℃]、Imaxは最大電流[A]。)
式(1)は、下記式(2)〜(4)によって導出される。
Figure 0005577801
(Pは損失[W]、Rj−cはジャンクション−ケース間のオン抵抗[Ω・cm]、Vdsは飽和電圧[V]。)
なお、上記式(2)は、下記に示す、ジャンクション温度Tの推定式(5)に基づいて得られる。
Figure 0005577801
ここで、損失Pは、下記式(6)
Figure 0005577801

によって導出され、熱抵抗Rj−cは、下記式(7)
Figure 0005577801
によって導出される。
また、飽和電圧Vdsは、オン抵抗Rに比例して増加し(飽和電圧Vds[V]=オン抵抗R×電流I[A]・・・(8))、オン抵抗Rは、チップサイズScに略反比例して低下する(オン抵抗R=オン抵抗率Ron[Ω・cm]/チップサイズSc[cm]・・・(9))。
上記式(6)から(9)により上記式(3)が導出され、最終的に式(4)が得られる。
以下、各冷却機構37に応じたチップサイズについて説明する。
(3−1)空冷機構を用いる場合のチップサイズ
まず、空冷機構37aを用いてパワー半導体素子40を冷却する場合のチップサイズについて説明する。例えば、熱抵抗率K1を0.18[℃/W・cm2]、オン抵抗率Ronを3[mΩ・cm]、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを35[℃]とする。上記式(1)に熱抵抗率K1、オン抵抗率Ron、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを代入すると、式(10)に示すようにチップサイズScが求められる。ここで、得られるチップサイズScが空冷機構37aに適したチップサイズである。
Figure 0005577801
ここで、上記式(10)に基づき、チップ41の電流密度を求めると、チップ41の電流密度は、250[A/cm]以上(電流密度≧250[A/cm])となる。すなわち、空冷機構37aを採用する場合、チップ41の電流密度が250[A/cm]以上になるようなチップサイズを選定する。
(3−2)冷媒冷却機構を用いる場合のチップサイズ
次に、冷媒冷却機構37bを用いてパワー半導体素子40を冷却する場合のチップサイズについて説明する。例えば、熱抵抗率K1を0.18[℃/W・cm2]、オン抵抗率Ronを3[mΩ・cm]、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを75[℃]とする。上述したように、冷媒冷却機構37bの場合、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cは、空冷機構37aよりも大きな値を設定可能であるため、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cは75[℃]としている。上記式(1)に熱抵抗率K1、オン抵抗率Ron、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを代入すると、式(11)に示すようにチップサイズScが求められる。ここで、得られるチップサイズScが冷媒冷却機構37bに適したチップサイズである。
Figure 0005577801
ここで、上記式(11)に基づき、チップ41の電流密度を求めると、チップ41の電流密度は、370[A/cm]以上(電流密度≧370[A/cm])となる。すなわち、冷媒冷却機構37bを採用する場合、チップ41の電流密度が370[A/cm]以上になるようなチップサイズを選定する。
(3−3)チップサイズと最大電流との関係
図5に、チップサイズと最大電流との関係を示す。具体的に、図5は、従来技術により選定されたチップサイズとそのチップの最大電流との関係と、本実施形態において選定されたチップサイズとその最大電流との関係とを示す。より具体的には、符号501に示す直線は、従来技術によって選定されたチップサイズScと、その最大電流Imax[A]との関係を示し、符号502で示す一点破線は、本実施形態に係る空冷機構に適したチップサイズScとその最大電流Imax[A]との関係を示し、さらに、符号503で示す二点破線は、本実施形態に係る冷媒冷却機構に適したチップサイズScとその最大電流Imax[A]との関係を示す。
なお、従来技術では、パワー半導体素子40の熱設計を行う場合、製品化された状態で最大電流Imaxを通電させて測定したジャンクション温度Tjの実測値、もしくは、ジャンクション温度Tの推定値が、保証値T_Imax(通常、125℃)を超えないように、チップサイズを選定しており、ジャンクション温度Tの推定値は、式(5)
Figure 0005577801
に基づいて算出される。したがって、ケース温度Tが90℃であれば(ケース温度T=90[℃])、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを35℃以下に抑える必要があるため、チップサイズは、下記式(12)を満たすように選定される。
Figure 0005577801
これにより、チップサイズScは、下記式(13)
Figure 0005577801
に基づいて導出される。
ここで、デバイスの飽和電圧Vdsを1.8[V]、熱抵抗率K1を0.18[℃/W・cm]とすると、チップサイズScは、下記式(14)
Figure 0005577801
を満たしていた。
図5に示すように、本実施形態に係る空気調和機10に用いるパワー半導体素子40は、空冷機構37aおよび冷媒冷却機構37bのいずれで用いるチップサイズScについても、従来技術よりも小さいチップサイズScで、従来技術よりも大きい最大電流を通すことができる。
(4)ヒートスプレッダの厚み
本実施形態に係る空気調和機10では、チップサイズScに応じてヒートスプレッダ(銅ブロック)42の厚みdを選定する。これにより、パワー半導体素子40の小型化と放熱設計の効率化を図る。
トランスファーモールドパッケージのパワー半導体素子40では、図6に示すように、チップ41は、フレーム電極と一体になった銅ブロック42上に、はんだで接合され、銅ブロック42と樹脂絶縁膜とをモールド樹脂で一体成型している。ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−c[℃/W]は、材質によって決まる熱伝導率γ[W/cm・℃]と、広がり面積Sh[cm]とに反比例し、厚みd[cm]に比例するので、チップ41の直下に、チップサイズScよりも大きい銅ブロック42を配置して、拡がり面積を大きくしている。拡がり面積は一般的に約45度の角度で拡がっていく(矢印Y,Y参照)。また、樹脂カバー(絶縁層)43が外側に配置されている。樹脂カバー43は、できる限り薄いシート状の樹脂を用いる構造となっている。
また、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cは、下記式(15)によって求められる。
j−c=絶縁層熱抵抗Rep+銅ブロック熱抵抗Rsp+チップ41熱抵抗Rch・・・(15)
ここで、フレーム電極とはんだとの熱抵抗は小さいものとして、ここでは無視している。
絶縁層熱抵抗Repは、式(16)
絶縁層熱抵抗Rep=絶縁層熱抵抗率1/γep*絶縁層幅dep/絶縁層面積Sep・・・(16)
によって求められ、銅ブロック熱抵抗Rspは、式(17)
銅ブロック熱抵抗Rsp=銅ブロック熱抵抗率1/γsp*銅ブロック幅dsp/銅ブロック面積Ssp・・・(17)
によって求められ、チップ41熱抵抗Rchは、式(18)
チップ41熱抵抗Rch=チップ41熱抵抗率1/γch*チップ41幅dch/チップ41面積Sch・・・(18)
によって求められる。
チップサイズScの小型化を図ると、従来のスプレッダ42の厚み(1〜2mm程度)では、熱の広がりが不十分となり、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cが急激に増加する。
スプレッダ(銅ブロック)42の厚みdを一定(ここでは、1mm)とし、チップサイズScを変更した場合の、チップサイズScに対するジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cを比較する(図7参照)。図7には、横軸にチップサイズSc[mm]、縦軸にジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−c[K/W]をとったグラフを示す。グラフの左側の軸は、チップサイズScが4.0[mm]の場合の熱抵抗Rj−c[K/W]を示し、右側の軸は、チップサイズScが1.0[mm]の場合の熱抵抗Rj−c[K/W]を示す。また、図7に示す熱抵抗Rj−cは、絶縁層熱抵抗Repと、銅ブロック熱抵抗Rspと、チップ41熱抵抗Rchとからなる(Rj−c=絶縁層熱抵抗Rep+銅ブロック熱抵抗Rsp+チップ41熱抵抗Rch・・・(15))。
図8に、図7における各軸についての詳細値を示す。図8は、チップサイズScを4.0[mm]、銅ブロック42の厚みをd=1[mm]とした場合、および、チップサイズScを1.0[mm]、銅ブロック42の厚みをd=1[mm]とした場合の、絶縁層43、銅ブロック42、およびチップ41の、長さX[mm]、幅d[mm]、熱伝導率γ[W/m・k]、および熱抵抗Rth[K/W]をそれぞれ示す。ここで、長さXは、図6において水平方向の長さを指し、幅dは、図6において垂直方向の長さを指す。例えば、チップ41の長さXは、図6に示す符号Xの部分であり、チップ41の幅dは、図6に示す符号dの部分である。
図8に示す結果では、チップサイズScを4.0[mm]にした場合、全体の熱抵抗Rj−cは、6.6[K/W]となり、チップサイズScを1.0[mm]にした場合、全体の熱抵抗Rj−cは、12.3[K/W]となった。
図9に、チップサイズScと、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cとの関係を示す。銅ブロックの厚みdを一定にした場合のジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cは、チップサイズScが2[mm]以下の場合に急増する。そこで、上記式(1)によるチップサイズScの選定によって、チップサイズScを2[mm]以下に小型化する場合、下記式(19)に基づいてチップサイズScに応じて銅ブロックの厚みdを選定することとする。
d[mm]≧1.75Sc−0.38・・・(19)
式(19)によって得られるグラフを図10に示す。これにより、チップサイズScの小型化を実現し、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cの増加を抑制する。なお、同じパワー半導体素子40内に、複数個のチップ41を実装する場合には、隣接するチップ41との間隔を2d[mm]以上の間隔とすることが好ましい。これにより、他のチップ41による熱の影響を低減させる。
上記式(19)に基づいて銅ブロック42の厚みを、上述の1mmから、2mmに変更した場合の、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cの変化を図11に示す。図11には、横軸に銅ブロックの厚みd[mm]、縦軸にジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−c[K/W]をとったグラフを示す。グラフの左側の軸は、銅ブロック42の厚みdが1[mm]の場合のジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−c[K/W]を示し、右側の軸は、銅ブロック42の厚みdが2[mm]の場合のジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−c[K/W]を示す。図11に示すジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cもまた、図7と同様、絶縁層熱抵抗Repと、銅ブロック熱抵抗Rspと、チップ41熱抵抗Rchとからなる(Rj−c=絶縁層熱抵抗Rep+銅ブロック熱抵抗Rsp+チップ41熱抵抗Rch・・・(15))。
図12に、図11における各軸についての詳細値を示す。図12は、チップサイズScを1.0[mm]、銅ブロックの厚みをd=1[mm]とした場合、および、チップサイズScを1.0[mm]、銅ブロックの厚みをd=2[mm]とした場合の、絶縁層43、銅ブロック42、およびチップ41の、長さX[mm]、幅d[mm]、熱伝導率γ[W/m・k]、および熱抵抗Rth[K/W]をそれぞれ示す。
図12に示す結果では、チップサイズScが1.0[mm]であり、かつ、銅ブロック42の厚みdが1[mm]の場合には、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cは12.3[K/W]となり、チップサイズScが1.0[mm]であり、かつ、銅ブロックの厚みdが2[mm]の場合には、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cは5.1[K/W]となった。
なお、パワー半導体素子40には、図6に示す態様の他、絶縁基板上の金属パターンの上にチップ41が直接搭載され、絶縁基板の下に外部冷却機構を配置し、効率良く熱を放熱するために、絶縁基板および外部冷却の間に銅ブロック42を配置する態様等も含まれる。
(5)特徴
(5−1)
上記実施形態に係る空気調和機10は、パワー半導体素子40の冷却機構37を有する。また、空気調和機10が有する冷却機構37に応じてパワー半導体素子40のチップサイズScを選定する。これにより、チップ41gが冷却機構37に応じた電流密度を有するため、結果として、チップ41の発熱量を効果的に抑制することができる。
(5−2)
また、上記実施形態に係る空気調和機10では、冷却機構37に応じたパワー半導体素子40のチップサイズScを採用し、さらに、チップサイズScに応じた厚みdを有するスプレッダ(銅ブロック)42を採用している。これにより、ジャンクション−ケース間熱抵抗Rj−cの増加を効果的に抑えることができると共に、チップサイズScの小型化を実現することができる。
(6)変形例
(6−1)変形例A
上記実施形態で説明したチップサイズScの選定時に、キャリア周波数をさらに考慮してもよい。
ジャンクション温度Tの温度変化は、キャリア周波数fcが高いと小さくなり(図13A参照)、キャリア周波数fcが低いと大きくなる(図13B参照)。
また、連続パルスのデュティ比(t/t)が50%の場合、低周波化することにより、ジャンクション温度Tは2倍となる。
次に、図14Aおよび図14Bに損失Pが5[W],ジャンクション−ケース間熱抵抗Rthj−cが5℃/Wの時のキャリア周波数に対する温度変化を示す。具体的に、図14Aは、ジャンクション温度Tの変化を示し、図14Bは、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cの変化を示す。
ここで、連続パルス負荷時のジャンクション−ケース間温度ΔTj−cは、下記式(20)で求められる。
Figure 0005577801
また、損失Pは、下記式(21)に基づいて求められる。
Figure 0005577801
さらに、下記式(22)に基づいてチップサイズScが得られる。
Figure 0005577801
図15の符号151は、式(23)で表される、キャリア周波数fcに対する熱抵抗比率kを示す。
Figure 0005577801
(6−1−1)空冷機構を用いる場合のチップサイズ
空冷機構37aを用いてパワー半導体素子40を冷却し、さらにキャリア周波数fcを考慮した場合のチップサイズScについて説明する。例えば、熱抵抗率K1を0.18[℃/W・cm2]、オン抵抗率Ronを3[mΩ・cm]、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを35[℃]とする。上記式(22)に熱抵抗率K1、オン抵抗率Ron、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを代入すると、下記式(24)に示すようにチップサイズScが求められる。ここで、得られるチップサイズScが、キャリア周波数fcを考慮した上で空冷機構37aに適したチップサイズである。
Figure 0005577801
空冷機構37aを採用した場合のキャリア周波数fcに対するチップサイズScは、図16の符号161である。
(3−2)冷媒冷却機構37bを用いる場合のチップサイズ
冷媒冷却機構37bを用いてパワー半導体素子40を冷却し、さらにキャリア周波数fcを考慮した場合のチップサイズについて説明する。例えば、熱抵抗率K1を0.18[℃/W・cm2]、オン抵抗率Ronを3[mΩ・cm]、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを75[℃]とする。上述したように、冷媒冷却機構37bの場合、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cは、空冷機構37aよりも大きな値を設定可能であるため、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cは75[℃]としている。上記式(22)に熱抵抗率K1、オン抵抗率Ron、ジャンクション−ケース間温度ΔTj−cを代入すると、下記式(25)に示すようにチップサイズScが求められる。ここで、得られるチップサイズScが、キャリア周波数fcを考慮した上で冷媒冷却機構37bに適したチップサイズである。
Figure 0005577801
冷媒冷却機構37bを採用した場合のキャリア周波数fcに対するチップサイズScは、図16の符号162である。
これにより、ジャンクションの最大温度を抑えることができる。また、パワー半導体素子40の小型化と放熱設計の効率化が図れる。
10 空気調和機
20 室内ユニット
30 室外ユニット
37 冷却機構
40 パワー半導体素子
41 チップ
42 スプレッダ(銅ブロック)
43 樹脂カバー(絶縁層)
特開2006−42529号公報

Claims (3)

  1. ヒートシンク(50)を用いて空冷する第1の冷却方式および冷媒を流す冷却部品を介して冷却する第2の冷却方式のいずれか一方の冷却方式に基づいてサイズが選定されたチップ(41)を含むパワー半導体素子(40)と、
    前記パワー半導体素子を含む駆動装置によって駆動される圧縮機(31)と、
    を備え、
    前記チップは
    前記冷却方式に応じた所定の電流密度を有し、
    前記圧縮機を駆動させる前記駆動装置であるインバータのキャリア周波数に応じたサイズである、
    冷凍装置。
  2. 前記パワー半導体素子は、前記チップに連結して前記チップの熱を発散させ、前記チップのサイズに応じた厚みを有するヒートスプレッダ(42)を有する、
    請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記ヒートスプレッダは、前記チップのサイズが所定値以下の場合に、前記チップのサイズに応じた厚みを有する、請求項に記載の冷凍装置。
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