JP5576856B2 - 強化挿入物を処理するための接着剤配合物及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビスフェノールAエポキシノボラックを含む、強化ポリマー製品を製造するために与えられる強化挿入物の処理のための新規な接着剤配合物に関する。
強化挿入物は、例えば繊維、ヤーン、コード、織布、又は編成布の形態で用いられる。
繊維強化ラバー製品又は繊維強化熱可塑性ラバーで形成される製品の製造においては、編織布強化挿入物とラバーとの間の接着を向上させるために接着剤を用いると好ましいことが分かっている。かかる接着剤の使用は、特に強化繊維を有するタイヤコード及び他の高負荷複合体材料の分野において重要である。特にこの用途分野のためには、合成繊維をラバー製品に結合させるためにレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス系(RFL)を用いることが最新技術から公知である。
1工程プロセス又は2工程プロセスのいずれかを用いることができる。実際には、特に非活性化ポリエステル繊維の場合においては実質的に2工程プロセスのみが満足できる結果を導くことが示されている。2工程プロセスの場合においては、繊維の活性化は、まずこれらをエポキシド及び/又はイソシアネートで被覆するような第1工程において行われる。一般に、これは、イソシアネート及び/又はエポキシドが特定の固形分含量を有する水性分散液中に含まれている水性分散液を用いて行う。この第1工程の後、次に第2工程において、レゾルシノールホルムアルデヒドラテックス系による被覆が行われる。第1工程において、エポキシド及び/又はイソシアネートによる被覆によって繊維の表面上に活性官能基を形成するようにして繊維の完全な活性化を行い、これにより次に第2の工程によってラテックスによる処理を行うことができるようにすることが、この2工程プロセスを用いることで確保される。同様に、RFLによる処理は水性分散液を用いて行う。
しかしながら、2工程プロセスは処理技術の観点からは複雑であり、また、2つの別々の分散液の製造及びそれらの取り扱いが困難である。
したがって、1工程プロセスの形態で処理を行う試みが多く存在する。1工程系は、例えばUS−2002/0122938及びUS−3,419,450に記載されている。
1工程系、則ちRFL並びにエポキシド及びイソシアネートを含む水性分散液の適用は、実際には未だ行うことができていない。例えば米国特許2002/0122938においても記載されているこのタイプの1工程系の場合における欠点としては、分散液が例えば沈降又は凝集のために数時間後に不均一になり、これにより組成の変化ももたらすことを言及しなければならない。したがって、接着係数の低下、まだらな強化挿入物、真空吸引リップの閉塞、又はコンベヤーローラー上への強化挿入物の被覆の形成がもたらされ、このため、これらの1工程系は不適切なポットライフしか有しない。ポットライフという用語は、接着剤配合物が均一状態を維持し、良好な接着が達成され、したがって困難性なしに且つ向上した生産性で用いることができる期間を意味する。
バッチサイズの被覆ユニットによれば、少なくとも6〜12時間のポットライフがユーザーによって求められている。
US−2002/0122938 US−3,419,450
したがって本発明の目的は、ここから始まり、1工程系の形態で適用することができ、少なくとも6時間のポットライフを有することを意図する接着剤配合物を提案することである。更に、接着剤配合物は、活性化であっても又は非活性化であってもよい強化挿入物、好ましくはポリエステル強化挿入物、特にPET強化挿入物に対する良好な湿潤性及び良好な接着性を有することを意図する。本発明の更なる目的は、強化ポリマー製品を製造するための強化挿入物、特にタイヤコード、コンベヤーコード、又はVベルトコードを処理する方法を示すことである。強化ポリマー製品は、強化挿入物と、マトリクス、例えばラバー又は熱可塑性ラバー又は熱可塑性エラストマーとの間の良好な接着性を有する。
この目的は、接着剤配合物に関しては請求項1の特徴によって、方法に関しては請求項11の特徴によって達成される。
本発明によれば、イソシアネート及びレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)に加えて、エポキシドとして選択されたエポキシド、則ち固体の形態のビスフェノールAエポキシノボラックが配合物中に含まれている、強化ポリマー製品を製造するための強化挿入物の処理のための1工程系のための接着剤分散液が提案される。
本出願人は、このように具体的に選択される配合物を用いると、ポットライフを少なくとも6時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは少なくとも48時間、非常に特に好ましくは少なくとも70時間、特に少なくとも100時間に伸ばすことができることを示すことができた。驚くべきことに、良好な接着性の値はこのように伸びたポットライフと共にであっても達成されることが証明された。
本発明による接着剤配合物の更なる有利性は、それらに沈降及び凝集が起こらないこと、均一な被覆厚さ、まだら状模様のない強化挿入物、及び強化挿入物のコンベヤーローラー上への被覆の形成がないことである。本発明による接着剤配合物を用いると、更に「遅延コード浸透(RCP)」、則ち強化挿入物中への接着剤配合物の遅延した浸透(これにより、接着剤配合物の損失の減少及びより柔軟な強化挿入物がもたらされる)が達成される。
本発明による接着剤配合物は、強化挿入物に対して2〜8重量%の被覆量を適用するのに好適である。実際、単一の被覆工程でこの量を適用することが可能である。2重量%よりも低い量では、被覆が薄いので割れ目を有しない被覆がもはや確保されない。これに対して、8重量%よりも高い量では、被覆の大きな厚さのためにその均一性に変動が生じる。
好ましくは、活性化であっても非活性化であってもよいコード、特に好ましくはポリエステルコード、非常に特に好ましくはPETコードを被覆する。
したがって本発明の必須要素は、指示された重量量のビスフェノールAエポキシノボラックの形態の特定のエポキシドを選択することである。ノボラックは、酸の触媒作用によってホルムアルデヒド及びフェノールから、則ち現在においてはホルムアルデヒド及びビスフェノールAから製造される重縮合生成物である。エポキシ基の導入はエピクロロヒドリンとの反応によって行う。
190〜240g/eq、特に好ましくは195〜230g/eqのエポキシド当量、3〜10、特に好ましくは8のエポキシド官能価、及び70〜90℃、特に好ましくは80℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシノボラックが好ましく用いられる。
エポキシド当量はDIN−EN−ISO−3001にしたがって測定する。軟化点の測定は、Koflerベンチ上で、或いはDIN53462にしたがってビカット軟化温度を求めることによって行う。
ビスフェノールAエポキシノボラックの選択に加えて、これを100重量%の固形分に対して1〜20重量%の量で用いることが本発明に関して必須である。驚くべきことに、本出願人は、ビスフェノールAエポキシノボラックを100重量%の固形分に対して4〜19重量%の量、特に好ましくは12.5〜18重量%の量で用いると、非常に良好な結果、則ち少なくとも6時間のポットライフも達成されることを示すことができた。分散液中に固形分として同様に存在するイソシアネートは、100重量%の固形分に対して0〜20重量%、好ましくは4〜19重量%、特に好ましくは12.5〜18重量%の量で用いる。レゾルシノールホルムアルデヒドラテックスは、100重量%の固形分に対して60〜92重量%、好ましくは62〜92重量%、特に好ましくは64〜75重量%の量の固形分に寄与するように用いる。
本発明による接着剤配合物の好ましい態様においては、成分(a)のビスフェノールAエポキシノボラックと成分(b)のイソシアネートとの重量比は、60:40〜40:60の範囲である。この重量比は特に好ましくは50:50である。
本発明による接着剤配合物は、10〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜30重量%、非常に特に好ましくは18〜27重量%の固形分含量を有する。分散液中に存在する粒子の平均粒径は<5μmである。
更に、接着剤配合物においては、イソシアネートとして4,4−ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)、及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI)、及び/又はナフチルイソシアネート(NDI)を用いることが有利であることが分かった。しかしながら、本発明は、勿論、このタイプの接着剤配合物のために用いることのできる全ての他の公知のイソシアネートを包含する。この点に関しては、例えばUS2002/0122938−A1及びそこに記載されているジイソシアネートを参照されたい。
イソシアネートの場合においては、特にラクタムでブロックされているイソシアネートが本発明においてこのましいブロック剤であることが分かった。これらの例は、ε−カプロラクタム、d−バレロラクタムである。しかしながら、本発明は、勿論、他の公知のブロック剤も包含する。これらは、オキシム、例えばメチルエチルケトオキシム(ブタノンオキシム)、メチルアミルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム、モノフェノール、例えばフェノール、レゾルシノール、クレゾール、トリメチルフェノール、tert−ブチルフェノール、第1級、第2級、及び第3級アルコール、グリコールエーテル、容易にエノールを形成する化合物、例えばアセト酢酸エステル、アセチルアセトン、マロン酸誘導体、第2級芳香族アミン、イミド、メルカプタン、トリアゾールである。
本発明による接着剤配合物の場合における反応速度の更なる向上は、金属化合物の形態の触媒を加えることでも達成することができる。触媒としては、金属ナトリウム、カリウム、セシウム、ストロンチウム、銀、カドミウム、バリウム、セリウム、ウラン、チタン、クロム、スズ、アンチモン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カルシウム、及び/又はジルコニウムの金属化合物が好適である。金属化合物の場合には、亜鉛のものが好ましい。好適な化合物は、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛、及び/又は塩化亜鉛である。酢酸亜鉛が特に好ましい。
触媒は溶解形態で分散液中に存在させ、濃度は配合物の0.0001〜0.1モル/kgである。
本発明にしたがって用いるレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス系(RFL)は、それ自体最新技術から公知である。
更に、本発明は、強化ポリマー製品を製造するための強化挿入物の処理方法に関する(請求項12)。本発明に従う方法の場合においては、上記に記載の接着剤配合物を用いる。接着剤配合物は、個々の成分を混合することによって与えられた適用の直前に製造することができる。しかしながら、成分(a)のビスフェノールAエポキシノボラックと(b)のイソシアネートは、適用の長時間前に前もって混合することもできる。
しかしながら、接着剤配合物を1工程系の形態で適用する、則ち強化挿入物の被覆の前に全ての成分を単一の水性分散液中に存在させなければならないことが、本発明において必須である。
本出願人は、更に、本発明による接着剤配合物が、非活性化ポリエステルコード、特に非活性化PETコードで形成される強化挿入物の被覆のために特に好適であることを示すことができた。少なくとも6時間のポットライフ、及び同時に、比較しうる系から現時点まで知られているものを大きく超える非常に優れた反応速度を達成することができた。
以下に、実施例及び比較例を参照して本発明をより詳細に説明する。
以下の材料を用いた:
クレゾールエポキシノボラック:Cibaという企業によるECN-1400。
210g/eqのエポキシド当量、8の官能価、及び80℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシノボラック。
ブロックトイソシアネート:EMS-PRIMIDという企業によるGrilbond IL-6。
RFL:
脱イオン水434部;
スチレンブタジエンビニルピリジンラテックス(固形分の割合:41重量%)483部;
レゾルシノール22部;
ホルムアルデヒド(37重量%)32部;
水酸化ナトリウム0.6部;
水酸化アンモニウム(25重量%)25部。
脱イオン水を第1の容器内に配置し、次に撹拌しながら、水酸化ナトリウム、レゾルシノール、及びホルムアルデヒドを加えた。この混合物を25℃において6時間撹拌した。
スチレンブタジエンビニルピリジンラテックスを第2の容器内に配置し、水酸化アンモニウムと混合し、第1の容器からの混合物に加えた。1日中及び更に17時間、撹拌を行った。約23重量%の固形分を有するRFLが得られた。
(1)比較例
以下の組成の固形分の割合を有する分散液を調製した。
14.5重量%のECN-1400;
14.5重量%のGrilbond IL-6;
71重量%のRFL。
この目的のために、121部の脱イオン水を容器内に配置し、続いて805部のRFL、及び37部のECN-1400、及び37部のIL-6を撹拌しながら加え、次に25℃において更に15分間撹拌した。
(2)本発明にしたがう実施例:
以下の組成の固形分の割合を有する分散液を調製した。
14.5重量%のビスフェノールAエポキシノボラック;
14.5重量%のGrilbond IL-6;
71重量%のRFL。
この目的のために、121部の脱イオン水を容器内に配置し、続いて805部のRFL、及び37部のビスフェノールAエポキシノボラック、及び37部のIL-6を撹拌しながら加え、次に25℃において更に15分間撹拌した。
非活性化コードPerformance Fibers HMLSポリエステル:1,100×1×2dtex、ZS470、1×50を、実験室用浸漬ユニット上において、1工程プロセスで配合物(1)及び(2)で被覆した。接着結果を表1(比較例)及び2(本発明にしたがう実施例)において再現する。
試験結果が示すように、比較例にしたがう、則ちクレゾールエポキシノボラックを用いる1工程浸漬は、5時間の浸漬時間の後に接着性の激しい低下で示される非常に劣ったポットライフを示した(表1)。更に、被覆浴中での基材被覆が5時間後に既に示される。
表1において示される相対剥離値は、ASTM−D4393にしたがい、試験ラバーとしてContinental B458を用いて測定した。
しかしながら、ビスフェノールAエポキシノボラック自体を用いる本発明にしたがう1工程浸漬は、70時間のポットライフの後に、且つ100時間後においても優れた接着性を有する。この点に関しては、これも表1と同様にASTM−D4393にしたがい試験ラバーとしてContinental B458ラバーを用いて測定した相対剥離値を示す表2を参照されたい。70時間後においても、また101時間後においても被覆浴における基材被覆は認められなかった。

Claims (23)

  1. 接着剤配合物に対して10〜40重量%の固形分含量を有する水性分散液の形態で、固形分の100重量%が、
    (a)1〜20重量%のビスフェノールAエポキシノボラック;
    (b)〜20重量%の完全か又は部分的にブロックされているイソシアネート;
    (c)60〜92重量%のレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL);
    を含む、強化ポリマー製品を製造するための強化挿入物を処理するための接着剤配合物であって、該強化挿入物が繊維、ヤーン、コード、織布および編成布よりなる群から選択される、上記の接着剤配合物
  2. 固形分含量が、10〜30重量%である、請求項1に記載の接着剤配合物。
  3. 固形分含量が、15〜30重量%である、請求項1に記載の接着剤配合物。
  4. 固形分含量が、18〜27重量%である、請求項1に記載の接着剤配合物。
  5. ビスフェノールAエポキシノボラック(a)の固形分の割合が4〜19重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤配合物。
  6. ビスフェノールAエポキシノボラック(a)の固形分の割合が12.5〜18重量%である、請求項に記載の接着剤配合物。
  7. 配合物が、触媒として、0.0001〜0.1モル/kgの、金属亜鉛、ストロンチウム、カドミウム、ナトリウム、セシウム、カリウム、銀、バリウム、チタン、クロム、スズ、アンチモン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、ウラン、銅、カルシウム、亜鉛、鉛、及びジルコニウムから選択される金属化合物を含む、請求項1〜のいずれかに記載の接着剤配合物。
  8. イソシアネートがラクタムでブロックされている、請求項1〜のいずれかに記載の接着剤配合物。
  9. イソシアネートが、4,4−ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)、及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI)、及び/又はナフチルジイソシアネート(NDI)から選択される、請求項1〜のいずれかに記載の接着剤配合物。
  10. 更に接着剤及び/又は分散剤を含む、請求項1〜のいずれかに記載の接着剤配合物。
  11. ブロックされているか又は部分的にブロックされているイソシアネート(b)の固形分の割合が4〜19重量%である、請求項1〜0のいずれかに記載の接着剤配合物。
  12. RFL(c)の固形分の割合が62〜92重量%である、請求項1〜11のいずれかに記載の接着剤配合物。
  13. 接着剤配合物のポットライフが、少なくとも6時間である、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤配合物。
  14. 接着剤配合物のポットライフが、少なくとも24時間である、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤配合物。
  15. 接着剤配合物のポットライフが、少なくとも48時間である、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤配合物。
  16. 接着剤配合物のポットライフが、少なくとも70時間である、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤配合物。
  17. 接着剤配合物のポットライフが、少なくとも100時間である、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤配合物。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の接着剤配合物を用いて行う、強化ポリマー製品を製造するための強化挿入物を処理する方法。
  19. 強化挿入物がタイヤコード、コンベヤーコード、及び/又はVベルトコードである、請求項18に記載の方法。
  20. 個々の成分を混合することによって、処理の直前に接着剤配合物を製造する、請求項18または19に記載の方法。
  21. 成分(a)及び(b)を有する混合物として既に存在している配合物中に成分(c)(RFL)を混合することによって、適用の直前に接着剤配合物を製造する、請求項18または19に記載の方法。
  22. ポリエステル製の非活性化強化挿入物を処理する、請求項1821のいずれかに記載の方法。
  23. 成分(a)のビスフェノールAエポキシノボラックと成分(b)のイソシアネートとの重量比は、60:40〜40:60の範囲である、請求項1に記載の接着剤配合物。
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