JP5576614B2 - 薄膜状インサート成形品の製造方法、および薄膜状インサート成形品 - Google Patents

薄膜状インサート成形品の製造方法、および薄膜状インサート成形品 Download PDF

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本発明は、薄膜状のインサート成形品の製造方法と、前記方法により得られる薄膜状インサート成形品に関する。薄膜状のインサート成形品は、プラスチックシート製の扁平な埋設体と、埋設体の外面を覆う薄膜状のシール体とで構成してあり、携帯電話機、デジタルカメラ、ビデオカメラなどの、選択スイッチや制御スイッチなどのスイッチ操作部材として適用される。
例えば、携帯電話機に適用されるスイッチ構造においては、防水機能を備えたスイッチ操作部材を使用することがあり、そこでは、プラスチック製の扁平なスイッチボタンの外面をシール体(防水皮膜)で覆ってスイッチ操作部材を構成している。この種のシール体は、ゴムや熱可塑性エラストマーを素材とする射出成形品で形成することができ、必要があればシール体を成形する過程でスイッチボタンをインサート固定して両者を一体化できる。
本発明に関して、金型に装填した埋設体を、ピンの押圧力と真空吸着力とで固定することが特許文献1に公知である。そこでは、一群の半導体素子が縦横等間隔おきに固定された基板を埋設体にして、半導体素子の外面を樹脂封止する。基板の全体は半導体素子が実装された側へ向かって突弧状に湾曲している。この湾曲形状を矯正するために、下型に装填した基板(埋設体)をプッシュピンで押さえて、湾曲した基板を金型に密着させている。さらに、下型に密着した基板を真空圧で吸着保持している。
特開2001−246640号公報(段落番号0037〜0038、図1)
小型化や薄型化が強く要求される携帯電話機やデジタルカメラにおいては、スイッチ操作部材でさえも当然に薄型化することが求められる。しかし、ゴムや熱可塑性エラストマーを素材にして薄膜状のシール体を確実に成形することは難しい。シール体の厚みが薄くなると、成形空間における樹脂の流動性が極端に低下して充填不良に陥るからである。射出圧力を高くして充填不良を防ぐことは可能であるが、それにも限界があり、シール体の膜厚が約0.5mm未満になると、やはり充填不良に陥ってしまう。また、射出圧力が高くなるほど、不必要な部分や隙間にまで溶融樹脂が入り込んで成形不良やバリを生じる不利もある。
シール体の成形時に埋設体をインサート固定すると、単独で成形したシール体に埋設体を接着するなどの手間を省くことができる。しかし、埋設体の形成素材によっては、高温で高圧の溶融樹脂によって埋設体の一部が溶けたり、変形したりする。また、埋設体とシール体の接着性も問題となり、両者の接着強度が小さいと、シール体がスイッチボタンの表面から浮き離れて耐久性が損なわれてしまう。
特許文献1の樹脂封止基板においては、金型に装填した基板を、ピンの押し付け力と真空吸着力とで固定して基板を金型に密着させる。しかし、基板の周縁をプッシュピンで押さえたのち、湾曲する基板の板面を真空吸着するので、基板の全体を樹脂封止する程度に粗く位置決めしているに過ぎない。これは、基板の周縁をプッシュピンで押さえる際と、湾曲する基板の板面を真空吸着する際とに、それぞれ基板がずれ動く余地があり、基板を成形空間に対して精密に位置決めできないからである。また、流動特性が低いエラストマー樹脂を素材にする限り、薄膜状のシール体を成形することはできない。
本発明の目的は、成形困難な薄膜状のシール体を確実に成形でき、しかも埋設体をシール体の成形時に的確にインサート固定して、薄膜状インサート成形品の薄型化を実現でき、同時に耐久性を向上できる薄膜状インサート成形品の製造方法と、薄膜状インサート成形品を提供することにある。
本発明に係る製造方法においては、可動金型12の装填部19・20に装填した埋設体2を、真空圧で装填部19・20に吸着固定する準備過程と、可動金型12を固定金型11に接合して、埋設体2を固定金型11に設けた押えピン14・15で装填部19・20に押し付けて密着固定する型閉じ過程と、埋設体2に臨んで形成される成形空間13に液状のシリコーンゴムを射出したのち、シリコーンゴムを所定温度に加熱硬化させて、薄膜状のシール体1を形成する成形過程とを含む。成形過程において、液状のシリコーンゴムを成形空間13に充満させ、同時にシリコーンゴムの一部を装填部19・20と埋設体2の周側面との間の隙間に浸入させる。以て、埋設体2の装填部19・20との接合面を除く外表面がシール体1で覆われる状態で、埋設体2をシール体1にインサート固定する。
上記の準備過程において、位置決め治具で予め位置決め保持された複数個の埋設体2A・2Bを装填部19・20に装填して、各埋設体2A・2Bを真空圧で吸着固定する。さらに、型閉じ過程において、各埋設体2A・2Bを専用の押えピン14・15で装填部19・20に押し付け固定する。
本発明に係る薄膜状インサート成形品は、液状のシリコーンゴムを素材にして射出成形される薄膜状のシール体1と、シール体1の下面側にインサート固定される、上下面と周側面を有する扁平状の埋設体2とを備えている。前記シール体1は、埋設体2の上面を覆うインサート部3と、インサート部3の周囲に広がる面状のシール壁4と、該インサート部3の下面側に形成された周回壁とを一体に備えている。以て、埋設体2が、その上面がインサート部3で覆われるとともに、その周側面が周回壁に覆われた状態で、シール体1にインサート固定されており、かかるインサート固定状態において、該埋設体2の下面がシール体1に覆われずに露出していることを特徴とする。
シール体1は、易接着性の液状のシリコーンゴムを素材にして形成する。埋設体2は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、FRPのいずれかひとつを素材にして扁平に形成する。
埋設体2は、環状の第1操作体2Aと、第1操作体2Aの中央穴に配置される第2操作体2Bとで構成する。第1操作体2Aの内周面を覆う周回壁6と、第2操作体2Bの外周面を覆う周回壁7との外端どうしを、インサート部3に形成されるヒンジ壁9を介して連続させる。
本発明の製造方法においては、薄膜状のシール体1に、扁平な埋設体2をインサート固定して薄膜状インサート成形品を得る。成形に際しては、シール体1の成形素材として流動性に優れた液状のシリコーンゴムを用いることにより、成形空間13への成形材の充填を確実化して、薄膜状のシール体1を的確に成形する。しかし、液状のシリコーンゴムを用いた射出成形では、新たな問題を生じる。流動性が高い液状のシリコーンゴムはごく小さな隙間であっても浸入し皮膜やバリが形成されてしまう。
本発明では、必要な部分へはシリコーンゴムを浸入させながら、上記のような不必要なシリコーンゴムの浸入を避けて成形を行なう。詳しくは、成形過程において、成形空間に充填されたシリコーンゴムの一部を、装填部19・20と埋設体2の周側面との間の隙間に浸入させて、埋設体2をシール体1と強固に一体化する。その一方で、準備過程において装填部19・20に装填した埋設体2を真空圧で吸着固定し、さらに、型閉じ過程において先の埋設体2を押えピン14・15で装填部19・20に押し付けて密着固定する。このように、埋設体2を押えピン14・15で押圧固定すると、扁平な埋設体2の面壁の微少な反り変形を矯正して、埋設体2を装填部19・20の内底に隙間のない状態で密着させることができる。したがって、シリコーンゴムが埋設体2と装填部19・20の内底との間に浸入するのを確実に防止して、不要な皮膜やバリが形成されるのを解消できる。以上のように本発明の製造方法によれば、成形困難な薄膜状のシール体1を確実に成形できるのはもちろん、埋設体2をシール体1の成形時に的確にインサート固定して、薄膜状インサート成形品の薄型化を実現できることとなる。
埋設体2が複数個の埋設体2A・2Bで構成してある場合には、複数個の埋設体2A・2Bを装填部19・20に装填して、各埋設体2A・2Bを真空圧で吸着固定する。このとき、複数個の埋設体2A・2Bを位置決め治具で予め位置決め保持しておくことにより、装填部19・20に対する埋設体2A・2Bの装填を正確に行なえる。さらに、型閉じ過程において、各埋設体2A・2Bを専用の押えピン14・15で装填部19・20に押し付け固定することにより、シリコーンゴムの浸入を各埋設体2A・2Bごとに確実に阻止できる。したがって、成形過程においては、複数個の埋設体2A・2Bの必要な部分のみを成形膜で覆ってシール体1と一体に固定でき、複数個の埋設体2A・2Bを備えた薄膜状インサート成形品を常に安定した状態で的確に製造できる。
本発明の薄膜状インサート成形品においては、シール体1を構成するインサート部3と、インサート部3の面に形成される周回壁とが埋設体2を覆う状態で、埋設体2を薄膜状のシール体1にインサート固定するので、インサート成形品の全体厚みを小さくできる。具体的には、インサート成形品の全体の厚みを、薄膜状のシール体1の厚み寸法と、扁平な埋設体2の厚み寸法の合計値として薄型化を実現でき、例えば薄型化が強く要求される携帯電話機に適用するのに好適な、薄膜状インサート成形品が得られる。また、埋設体2の外面を覆うインサート部3と、その面に形成される周回壁とで埋設体2を覆うので、シール体1と埋設体2との接触面積を大きくでき、その分だけ埋設体2をシール体に対してより強固な構造でインサート固定して耐久性を向上できる。なお、インサート部3の周囲に広がる面状のシール壁4は、シール機能を発揮して液滴の浸入や塵埃の侵入を防止する。
インサート部3と周回壁5・6・7で埋設体2を覆うようにすると、扁平な埋設体2の片面を除く表面をインサート部3と周回壁5・6・7とで覆うことができる。したがって、両者2・3の接触面積をさらに大きくして、埋設体2のインサート強度を向上できる。周回壁5・6・7で埋設体2の周側面を受け止めることにより、埋設体2がシール体1に対してずれ動くのを規制できる利点もある。
易接着性の液状のシリコーンゴムを素材にしてシール体1を形成すると、とくに埋設体2がポリカーボネート、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、FRPのいずれかで形成してある場合に、シール体1と埋設体2とを成形の過程で接着させて、さらに強固に一体化できる。また、埋設体2の扁平面において、シール体1のインサート部3を接着し一体化できるので、長期使用時にインサート部3が埋設体2から分離するのを阻止して、薄膜状インサート成形品の耐久性をさらに向上できる。
環状の第1操作体2A周回壁6と、第2操作体2B周回壁7の外端どうしをヒンジ壁9を介して連続させると、各操作体2A・2Bの厚み方向の動きをヒンジ壁9で吸収して、両操作体2A・2Bを明確に個別に操作することができる。したがって、スイッチ操作部材として使用するのに好適な薄膜状インサート成形品が得られれる。
型閉じ過程における埋設体の固定状態を示す成形用金型の縦断面図である。 薄膜状インサート成形品の斜視図である。 薄膜状インサート成形品を反転した状態の斜視図である。 図2におけるA−A線断面図である。 可動金型の斜視図である。 準備過程における埋設体の装填状態を示す成形用金型の縦断面図である。 成形過程における樹脂流動状態を示す成形用金型の縦断面図である。 薄膜状インサート成形品の別の実施例を示す断面図である。
(実施例) 図1ないし図7は本発明に係る薄膜状インサート成形品の実施例を示す。図2および図3において薄膜状インサート成形品は、シリコーンゴムを素材にして射出成形される薄膜状のシール体1と、シール体1の内面にインサート固定される扁平状の埋設体2とで構成する。シール体1は、埋設体2の上外面を覆うインサート部3と、インサート部3の周囲に広がる面状のシール壁4とを一体に備えた長方形状の薄膜からなり、その厚み寸法は0.15mmである。シール体1の前後寸法は30mm、左右寸法は45mmである。インサート部3の下面側には、リング状の周回壁(成形膜)5・6・7が、インサート部3と一体に形成される。図4に示すように、最も内側の周回壁7と、この内周壁7に隣接する内周壁6とは僅かな隙間8を介して内外に対向しており、両周回壁6・7の上端(外端)どうしはヒンジ壁9を介して繋がっている。ヒンジ壁9は、インサート部3の壁面の一部を占めている。
埋設体2は、ドーナツ状(無端環状)の扁平な第1操作体(埋設体)2Aと、第1操作体(埋設体)2Aの中央穴に配置される扁平な第2操作体2Bとで構成する(図5参照)。両操作体2A・2Bは、厚みが0.2mmのプラスチックシートを打ち抜いて形成してあり、第1操作体2Aの外直径寸法は21mm、第2操作体2Bの直径寸法は6mmである。プラスチックシートは、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、FRP(ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック)を素材にして形成することができ、この実施例ではポリカーボネート製のシートで両操作体2A・2Bを形成した。なお、必要があれば、ステンレス鋼、アルミニウム、鋼板などの金属薄板を打ち抜いて、あるいは薄板ガラスを用いて両操作体2A・2Bを形成することができる。その場合には、両操作体2A・2Bの表面をプライマー処理して、シール体1の両操作体2A・2Bに対する接着性を向上することができる。また、易接着性を備えていないシリコーンゴムでシール体1を成形する場合にも、埋設体2の表面を予めプライマー処理しておくことにより、同様にシール体1の接着性を向上することができる。
上記のシール体1は射出成形法によって形成され、成形の過程で埋設体2をインサート固定する。図1および図6に示すように成形用の金型は、上側の固定金型11と、下側の可動金型12とで構成する。固定金型11の下面には成形空間13が凹み形成してあり、固定金型11の内部には埋設体2を固定する押えピン14・15が、成形空間13に突出する状態で設けてある。各押えピン14・15は、それぞればね16で押し下げ付勢してある。押えピン14・15は、第1操作体2Aおよび第2操作体2Bに対応して設けてあり、第1操作体2Aは、その周縁寄りの4箇所が4個の押えピン14で固定される。また、第2操作体2Bは、その中央が1個の押えピン15で固定される。
可動金型12の上面には、第1操作体2Aと第2操作体2Bを収容する装填部19・20が凹み形成してあり、両装填部19・20はリング状の区分壁21で区分してある。可動金型12の内部には、図示していない真空源と通路を介して連通するチャンバー22と、チャンバー22と各装填部19・20とを連通する吸引口23とが形成してある。図5に示すように、第1操作体2Aを収容する装填部19の内底には、8個の吸引口23が投間隔おきに開口してあり、第2操作体2Bを収容する装填部20の内底の中央には1個の吸引口23が開口してある。
前者装填部19の内径および外径は、第1操作体2Aの内径および外径よりごく僅かに小さく形成してあり、同様に後者装填部20の直径は、第2操作体2Bの直径よりごく僅かに小さく形成してある。具体的には、各操作体2A・2Bと各装填部19・20との寸法差は0.3mmに設定してある。各図においては、理解を容易にするために、先の寸法差に相当する隙間を誇張して表現している。
シール体1は準備過程と、型閉じ過程と、成形過程と、型開き過程を経て成形され、成形素材として、流動性に富み、低圧成形が可能で、埋設体2に対して易接着性を備えているシリコーンゴムを使用する点に特徴がある。
準備過程では、図示していない位置決め治具に、第1操作体2Aと第2操作体2Bを装填して、両操作体2A・2Bを位置決めする。この状態の、位置決め治具を自動装填装置で可動金型12にあてがって、位置決めされた両操作体2A・2Bを対応する装填部19・20に嵌め込む。図6に示すように、各装填部19・20に装填された操作体2A・2Bは、それぞれチャンバー22および吸引口23を介して各装填部19・20に作用する真空圧で吸着固定される。
型閉じ過程では、可動金型12を固定金型11に接合して成形空間13を封止するが、その途中に押えピン14・15が両操作体2A・2Bに接当して、図1に示すように両操作体2A・2Bを装填部19・20に押し付け固定する。押えピン14・15で押圧された各操作体2A・2Bは、その面壁の微少な反り変形等が矯正されて、装填部19・20の内底に隙間のない状態で密着する。
成形過程では、温度が25〜30℃の液状のシリコーンゴムを射出して成形空間13に充満させる。液状のシリコーンゴムは高度の流動性を備えており、したがって、成形空間の厚みが0.15mmとごく小さいにもかかわらず、低い射出圧でシリコーンゴムを成形空間13を確実に充満できる。さらにシリコーンゴムの一部は、図7に示すように装填部19・20と両操作体2A・2Bの周側面との間の隙間に浸入する。このとき、シリコーンゴムが装填部19・20の内底と各操作体2A・2Bとの間に浸入するのを防ぐために、型閉じ過程において各操作体2A・2Bを押えピン14・15で各装填部19・20に密着固定している。因みに、液状のシリコーンゴムは3μm前後の隙間に浸入できるので、両操作体2A・2Bの周縁と各装填部19・20との密着部分に隙間が生じるのを避ける必要があり、最悪の場合でも、先の隙間を3μm未満にしなければならない。
リコーンゴムの充填後に、固定金型11および可動金型12を、図示していないヒーターで120〜150℃に加熱して、その状態を所定時間保持することによりシリコーンゴムを硬化させる。
型開き過程では、可動金型12を固定金型11から分離して、インサート成形品を成形空間13から取り出す。得られたインサート成形品は、埋設体2がシール体1の下面側にインサート固定されて、各操作体2A・2Bの装填部19・20との接合面を除く外表面がシール体1で覆われている。具体的には、両操作体2A・2Bの外端面がインサート部3で覆われ、両操作体2A・2Bの周側面がインサート部3に連続する周回壁5・6・7で覆われている。各周回壁5・6・7は、先に説明した装填部19・20と両操作体2A・2Bの周側面との間の隙間に浸入したシリコーンゴムで形成されている。
得られた薄膜状インサート成形品は、図2に示すようにそのインサート部3に、押えピン14の抜き跡が4個と、押えピン15の抜き跡が1個形成されている。薄膜状インサート成形品はスイッチ操作部材として使用され、両操作体2A・2Bを押圧操作することにより接点端子をオン操作する。例えば、中央の第2操作体2Bのみを押圧操作して、対応する接点端子をオン操作できる。このとき、ヒンジ壁9が第2操作体2Bの押圧動作を吸収するので、第1操作体2A側の接点端子がオン状態に切り換わることはない。また、リング状の第1操作体2Aの前端、後端、右側端、左側端のいずれかひとつの部分を押圧操作して、対応する接点端子をオン操作できる。その場合にも、ヒンジ壁9およびシール壁4が第1操作体2Aの押圧動作を吸収するので、操作部位以外の接点端子がオン状態に切り換わることはない。
図8は、本発明に係る薄膜状インサート成形品の別の実施例を示す。そこでは、区分壁21を省略して、1個の装填部19に両操作体2A・2Bを同心状に装填してインサート固定した。そのため、両操作体2A・2Bはリング状の周回壁6を間にして内外に隣接する。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記の実施例では、埋設体2が第1操作体2Aと第2操作体2Bで構成してある場合について説明したが、埋設体2は1個の操作体で構成することができる。さらに2以上の操作体で埋設体2を構成することができる。シール体1を透明なシリコーンゴムで成形する場合には、上面に印刷表示を施した埋設体2をシール体1の内面にインサート固定してもよい。埋設体2の外形形状は、三角形、四角形、楕円形など任意形状に形成でき、周回壁5・6・7の形状も埋設体2の外形の変化に対応して任意形状に形成できる。
埋設体2はその周側面の全体を無端状の周回壁5・6・7で覆うのが好ましいが、必要があれば周方向へ断続する周回壁(成形膜)で覆ってもよい。その場合の、周回壁(成形膜)の厚み寸法は、埋設体2の機能を損なわない限り、任意の値に設定することができる。
1 シール体
2 埋設体
2A 第1操作体
2B 第2操作体
3 インサート部
4 シール壁
11 固定金型
12 可動金型
13 成形空間
14・15 押えピン
19・20 装填部

Claims (5)

  1. 可動金型の装填部に装填した埋設体を、真空圧で前記装填部に吸着固定する準備過程と、
    可動金型を固定金型に接合して、前記埋設体を前記固定金型に設けた押えピンで前記装填部に押し付けて密着固定する型閉じ過程と、
    前記埋設体に臨んで形成される成形空間に液状のシリコーンゴムを射出したのち、シリコーンゴムを所定温度に加熱硬化させて、薄膜状のシール体を形成する成形過程とを含む薄膜状インサート成形品の製造方法であって、
    前記成形過程において、液状のシリコーンゴムを前記成形空間に充満させ、同時にシリコーンゴムの一部を前記装填部と前記埋設体の周側面との間の隙間に浸入させて、
    前記埋設体の前記装填部との接合面を除く外表面が前記シール体で覆われる状態で、前記埋設体を前記シール体にインサート固定することを特徴とする薄膜状インサート成形品の製造方法。
  2. 準備過程において、位置決め治具で予め位置決め保持された複数個の埋設体を前記装填部に装填して、前記各埋設体を真空圧で吸着固定し、
    型閉じ過程において、前記各埋設体を専用の押えピンで前記装填部に押し付け固定する請求項1に記載の薄膜状インサート成形品の製造方法。
  3. 液状のシリコーンゴムを素材にして射出成形される薄膜状のシール体と、前記シール体の下面側にインサート固定される、上下面と周側面を有する扁平状の埋設体とを備えており、
    前記シール体は、前記埋設体の上面を覆うインサート部と、前記インサート部の周囲に広がる面状のシール壁と、該インサート部の下面側に形成された周回壁とを一体に備えており、
    前記埋設体が、その上面が前記インサート部で覆われるとともに、その周側面が前記周回壁に覆われた状態で、前記シール体にインサート固定されており、かかるインサート固定状態において、該埋設体の下面が前記シール体に覆われずに露出していることを特徴とする薄膜状インサート成形品。
  4. 前記シール体が、易接着性の液状のシリコーンゴムを素材にして形成されており、
    前記埋設体が、ポリカーボネート、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、FRPのいずれかひとつを素材にして扁平に形成してある請求項3に記載の薄膜状インサート成形品。
  5. 前記埋設体が、環状の第1操作体と、前記第1操作体の中央穴に配置される第2操作体とで構成されており、
    前記第1操作体の内周面を覆う前記周回壁と、第2操作体の外周面を覆う前記周回壁との外端どうしが、前記インサート部に形成されるヒンジ壁を介して連続している請求項3または4に記載の薄膜状インサート成形品
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