JP5576140B2 - コンクリート壁の表面粗さ評価方法及び評価装置 - Google Patents
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この粗面に処理する主な方法として、以下の方法が知られている。
1.超高圧水(100〜300MPa)によりコンクリート表面を斫る方法。
2.研磨機(ディスクサンダー、ベルトサンダー など)によりコンクリート表面を研磨する方法。
3.コンクリート型枠の打設面側に凝結遅延剤を塗布し、コンクリートの表面の凝結を遅らせ、コンクリート表面を粗面にする方法。
コンクリート壁と仕上げ用建材との接着力を検査する方法は、仕上げ用建材を施工し終わった後または建築構造物の使用時に定期的に、例えば非特許文献1に示されるような試験機を用いて接着力を試験することが多い。
また、試験機による接着力試験は、非特許文献2によると前記コンクリート表面の粗さと接着力に相関性がほとんどないことが報告されている。
その一例として、特許文献1に示されるような光沢度を測る方法がある。
また、他の例として、表面粗さ計を用いて測る方法や、マイクロスコープを用いて画像解析により表面の粗さを測定する方法もある。
また、本発明は、壁面の摩擦抵抗から目粗しの程度を評価する方法であるが、路面などのタイヤの摩擦抵抗を試験する場合はたとえば非特許文献3に示されるような試験機を用いて摩擦係数を試験する方法がある。
また、特許文献1に示されるような金属箔を用いて光沢度を測定する方法は、金属箔の種類や金属箔をあてる測定者によってバラつきが大きいことが問題となる。
また、表面粗さ計を用いて測定する方法には、触針法、光線反射法があるが、いずれの方法も評価する面積が小さく、微小な凹凸を対象としているため、本発明の意図している仕上げ用建材の接着力強化を目的とした目粗しの評価には適さない。
また、マイクロスコープを用いる方法は画像解析を行うのに高度な技術が必要なため、簡便に評価することができない。
また、非特許文献3による試験機は、舗装面のすべり抵抗を測定するために開発されたため、通常は水平に試験機を設置して測定を行なうこの試験機は振り子の原理を応用しているため本発明が目的にしている垂直の壁には適さない。
本実施の形態において、コンクリート壁8の表面は鉛直方向に延在している。
評価装置10は、摩擦抵抗体12、支持手段14、荷重付与手段16、直線移動手段18、計測手段20、フレーム22を含んで構成されている。
例えば、摩擦抵抗体12にゴムを用いた場合、ゴムの種類は天然ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴムなどが用いられ、硬度10〜40(ショアA)が好ましい。ゴムは耐圧縮永久ひずみ性、耐引裂き性、耐摩耗性に優れたものが良い。
このような摩擦抵抗体12として、クロロプレンゴムシート「CB245N(クレハエラストマー株式会社製)」厚さ1mmなどの市販品が使用できる。
なお、目粗しの程度によって摩擦抵抗の差が表れるよう適度の柔らかさが求められるため、目粗しの程度に応じて、プラスチック、紙、繊維、ガラス、陶磁器、金属などの素材も選択しうる。
摩擦抵抗体12は、コンクリート壁8に接する略平面12aを有する形状を呈している。その平面12aは均一の表面粗さを有する。
摩擦抵抗体12は、例えば、図1に示すように板状を呈しており、その厚さは荷重を掛けたときに亀裂や破れ等が発生しないように、1〜50mmであることが望ましい。
摩擦抵抗体12は、コンクリート壁8に接する略平面12aの反対面12bが支持手段14に支持されている。
また、摩擦抵抗体12は、評価を繰り返すことにより亀裂、破れ、摩耗が生じることが予想されるため、消耗品として簡単に交換できることが望ましく、したがって、支持手段14による摩擦抵抗体12の支持は交換可能であることが望ましい。
また、支持手段14は、摩擦抵抗体12を加圧するため剛性の高い素材として金属製部材(ブロック)が好ましいが、軽量化を図るために剛性の高いプラスチック製部材(ブロック)でも構わない。プラスチックとしてはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)やポリカーボネートなどがある。
荷重付与手段16は、弾性手段1602、支持手段14に対向する基板1604、ガイド部材1606、ローラ1608とから構成される。
ここで、評価装置10のフレーム22は、コンクリート壁8に取着して固定されるものであり、コンクリート壁8に着脱可能に取着される複数の脚部22bと、脚部22bに支持されコンクリート壁8に平行に対向する板部22aとから構成されている。そして、板部22aには直線状に延在するレール22cが設けられている。
フレーム22は、レール22cが水平方向に延在するようにコンクリート壁8に取着される。
ローラ1608はレール22cに係合されて、レール22cに沿って直線移動される。
なお、脚部22bのコンクリート壁8への取着は、従来公知の様々な方法が採用可能である。
また、支持手段14、フレーム22として、例えば、JIS G4051機械構造用炭素鋼S40Cを採用できる。
なお、コンクリート壁8の表面に対して垂直方向への荷重は、後述するように摩擦抵抗体12をコンクリート壁8の表面に対し水平方向に直線移動させた際にも、掛かっている荷重が変化したり、偏重してはならない構造とし、この場合、垂直方向に掛かっている荷重を荷重変換器(ロードセル)を用いて計測して制御してもよい。
直線移動手段18は、線状材1802と、リール1804と、レール22cと、ローラ1608とを含んで構成される。
リール1804は、フレーム22の脚部22bに回転可能に支持されている。
レール22cは、ローラ1608を介して支持手段14および摩擦抵抗体12を水平方向に直線移動可能に案内する。
したがって、リール1804を回転させ線状材1802を巻き取ることで、レール22cに係合したローラ1608が回転し、支持手段14および摩擦抵抗体12はコンクリート壁8の表面に沿って直線移動がなされる。
なお、摩擦抵抗体12の直線移動は、一定の速度で行われなければならないため、リール1804の回転を一定にする。
直線移動の速度を一定にするために、変位計を用いて単位時間あたりの移動距離を計測して移動速度を制御することも可能であるが、より簡便である方法としてはリール1804の回転数で制御する方が好ましい。
なお、摩擦抵抗体12が水平に一定方向に一定速度で移動されれば他の方法でもよく、例えば油圧シリンダーや電気モータを用いて摩擦抵抗体12を移動させてもよい。
計測手段20は、荷重を計測できるものであればよく、従来公知の様々な計測装置が採用可能である。
なお、コンクリート壁8の表面の目粗しにより設けられた突起に摩擦抵抗体12が引っかかったり、外れたりすることで抵抗荷重が変わる。したがって計測手段20により抵抗荷重を測定することによってコンクリート壁8の表面の目粗し程度がわかる。
まず、支持手段14がフレーム22の端に寄せられた状態の評価装置10を計測対象のコンクリート壁8に配置し固定する(S1)。このコンクリート壁8への固定により摩擦抵抗体12には弾性手段1602から一定の荷重がかかる。
次に計測手段20の零点を確認する(S2)。
その後、リール1804の一定速度での回転を開始する(S3)。リール1804の回転により、摩擦抵抗体12及び支持手段14が、コンクリート壁8の表面上を水平方向に一定速度で直線移動することとなる。
この直線移動している間、線状材1802にかかる抵抗荷重を計測手段20で測定する(S4)。
そして、支持手段14がフレーム22の端に到達した時点でリール1804の回転を停止し測定を終了する(S5、S6)。
次に得られた抵抗荷重の変動によりコンクリート壁の目粗しの程度を算出し、評価する(S6、S7)。
図8に示すように、抵抗荷重の変動を示す曲線の傾きの極性が変わる間隔、抵抗荷重の相対値などから、コンクリート壁の表面の粗さを評価することができる。
具体的には、曲線の傾きの極性が変わる間隔が広い場合には、コンクリート壁の表面に設けられた突起の間隔が大きいことが認識できる。
また、曲線の傾きの極性が変わる間隔が一様である場合は、目粗しが均一であることが認識できる。
また、傾きの極性が変わるまでの抵抗荷重の相対値が大きい場合には、突起の高さが高いことが認識できる。
コンクリート壁8の表面は鉛直方向に延在している。
評価装置30は、摩擦抵抗体12、支持手段14、荷重付与手段16、回転手段32、計測手段、フレーム22を含んで構成されている。
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なって、摩擦抵抗体12を直線移動ではなく回転移動させている。
そして、図7に示すように、摩擦抵抗体12および支持手段14はコンクリート壁8の表面から見て扇形状を呈し、板部22aは円形を呈し、レール22cは環状を呈している。
荷重付与手段16は、弾性手段1602、基板1604、ガイド部材1606、ローラ1608とから構成される。
回転手段32は、回転軸3202と、レール22cと、ローラ1608とから構成される。
回転軸3202は、支持手段14に固定されて基板1604を移動可能に貫通しフレーム22の板部22aで回転可能に支持されている。
この回転軸3202は、回転動作の軸になり、ガイド部材1606とともに、支持手段14および摩擦抵抗体12が基板1604を介してコンクリート壁8の表面に垂直な方向に移動可能に支持されることになり、ブレを防止しつつ摩擦抵抗体12にコンクリート壁8の表面に対して一様な荷重を付与することができる。
計測手段は、治具3204に備えられており、回転軸3202を回転させる力を付与するときの抵抗荷重、すなわちトルクを計測することができる。
計測手段は、荷重(トルク)を計測できるものであればよく、従来公知の様々な計測装置が採用可能である。
したがって治具3204に取り付けられた計測手段によりトルクを測定することにより、第1の実施の形態と同様に、荷重(トルク)の変動によりコンクリート壁の目粗しの程度を算出し、評価することが可能となる。
なお、第2の実施の形態では、摩擦抵抗体12を回転移動させるので、連続して複数回の測定が可能であり、より正確な測定が可能となる。
また、荷重付与手段16として、弾性手段1602を利用する形態について説明したが、摩擦抵抗体12に、コンクリート壁8の表面に垂直方向に一定の荷重が掛かれば他の方法でもよく、例えば油圧シリンダーを用いて加圧させたり、螺子で締め付けたりする方法を採用してもよい。
8……コンクリート壁
12……摩擦抵抗体
14……支持手段
16……荷重付与手段
18……直線移動手段
20……計測手段
22……フレーム
32……回転手段
Claims (9)
- 鉛直方向に延在するコンクリート壁の表面に目粗し加工を施した目粗し処理量を評価するコンクリート壁の表面粗さ評価方法であって、
板状の摩擦抵抗体を前記コンクリート壁の表面に配置するステップと、
前記摩擦抵抗体に前記コンクリート壁の表面に対して垂直方向に一定の荷重を掛けた状態で、前記摩擦抵抗体を前記コンクリート壁の表面上を一定の速度で移動させる移動ステップと、
前記移動ステップにおいて、前記摩擦抵抗体が移動する時の抵抗荷重を測定する測定ステップと、
前記測定した抵抗荷重より目粗しの程度を算出し、評価する評価ステップと、を有し、
前記移動ステップでは、前記垂直方向に掛かる荷重を荷重変換器で測定して制御することにより、前記一定の荷重を保つ、
ことを特徴とするコンクリート壁の表面粗さ評価方法。 - 前記移動ステップにおける前記摩擦抵抗体の移動は、水平方向に向けた直線移動であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート壁の表面粗さ評価方法。
- 前記移動ステップにおける前記摩擦抵抗体の移動は、回転移動であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート壁の表面粗さ評価方法。
- 前記摩擦抵抗体は、ゴム、スポンジ、不織布の何れかであり、厚さが1〜50mmの板状を呈することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート壁の表面粗さ評価方法。
- 鉛直方向に延在するコンクリート壁の表面に目粗し加工を施した目粗し処理量を評価するコンクリート壁の表面粗さ評価装置であって、
前記コンクリート壁の表面に配置される板状の摩擦抵抗体と、
前記摩擦抵抗体を支持する支持手段と、
前記摩擦抵抗体が前記コンクリート壁の表面に対して垂直方向に一定の力で押し付けられるように前記支持手段に荷重を掛ける荷重付与手段と、
前記コンクリート壁の表面に対して前記垂直方向に掛かる荷重を測定する荷重変換器と、
前記摩擦抵抗体を前記コンクリート壁の表面に接しつつ前記支持手段を前記コンクリート壁の表面に沿って直線移動させる直線移動手段と、
前記摩擦抵抗体が移動する時の抵抗荷重を測定する計測手段と、を有し、
前記荷重付与手段は、前記荷重変換器による測定結果を用いて前記垂直方向への荷重を一定に保つ、
ことを特徴とするコンクリート壁の表面粗さ評価装置。 - 前記コンクリート壁の表面に対向する板部を有し前記コンクリート壁に取着されるフレームをさらに備え、
前記荷重付与手段は、前記垂直方向に移動可能に前記支持手段に結合されたガイド部材と、前記支持手段に対向し前記ガイド部材を保持する基板と、前記支持手段と前記基板との間に掛装されそれらを離す方向に付勢する弾性手段とを備え、
前記直線移動手段は、前記板部に取着された直線状に延在するレールと、前記レールに直線移動可能に係合し前記基板に回転可能に支持されたローラと、一端が前記支持手段に連結された線状材と、前記フレームに回転可能に支持され前記線状材の他端が巻回されたリールとを有し、
前記直線移動は、前記リールを回転させて線状材を巻き取ることで行なわれることを特徴とする請求項5に記載のコンクリート壁の表面粗さ評価装置。 - 鉛直方向に延在するコンクリート壁の表面に目粗し加工を施した目粗し処理量を評価するコンクリート壁の表面粗さ評価装置であって、
前記コンクリート壁の表面に配置される板状の摩擦抵抗体と、
前記摩擦抵抗体を支持する支持手段と、
前記摩擦抵抗体が前記コンクリート壁の表面に対して垂直方向に一定の力で押し付けられるように前記支持手段に荷重を掛ける荷重付与手段と、
前記コンクリート壁の表面に対して前記垂直方向に掛かる荷重を測定する荷重変換器と、
前記摩擦抵抗体を前記コンクリート壁の表面に接しつつ前記支持手段を前記コンクリート壁の表面に沿って回転移動させる回転手段と、
前記摩擦抵抗体が回転移動する時の抵抗荷重を測定する計測手段と、を有し、
前記荷重付与手段は、前記荷重変換器による測定結果を用いて前記垂直方向への荷重を一定に保つ、
ことを特徴とするコンクリート壁の表面粗さ評価装置。 - 前記コンクリート壁の表面に対向する板部を有し前記コンクリート壁に取着されるフレームをさらに備え、
前記荷重付与手段は、前記垂直方向に移動可能に前記支持手段に結合されたガイド部材と、前記支持手段に対向し前記ガイド部材を保持する基板と、前記支持手段と前記基板との間に掛装されそれらを離す方向に付勢する弾性手段とを備え、
前記回転手段は、前記板部に取着された円弧状に延在するレールと、前記レールに移動可能に係合し前記基板に回転可能に支持されたローラと、前記円弧状に延在するレールの中心位置で前記垂直方向に延在し前記支持手段に固定されて前記基板を貫通し前記板部で回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸を回転させる治具とを有し、
前記回転移動は、前記治具により前記回転軸を回転させることで行なわれることを特徴とする請求項7に記載のコンクリート壁の表面粗さ評価装置。 - 前記摩擦抵抗体は、交換可能であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁の表面粗さ評価装置。
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