JP5575679B2 - アキュムレータ - Google Patents
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Description
上記したように本発明のアキュムレータではベローズキャップにピストンが相対変位可能に保持されるとともにピストンおよびステー間の径方向間隙をシールする径方向シールが設けられているが、アキュムレータの定常作動時、径方向シールはピストンおよびステー間の径方向間隙をシールしていないので、液体室は閉塞されていない。したがって圧力配管からオイルポートを介して液体室へそのときどきの圧力を備える液体が随時導入されるので、ベローズキャップがピストンとともに液体圧および気体圧が均衡するように随時移動する。
機器の運転が停止する等して圧力配管の圧力が極端に低下し気体室の圧力を下回る状態になると、液体室内の液体がオイルポートから徐々に排出され、ベローズキャップがステーに近付く方向へ移動する。ベローズキャップがステーに近付く方向へ移動すると、ピストンがステーの内周空間に挿入され、次いで径方向シールがピストンおよびステー間の径方向間隙をシールして液体室を閉塞する。したがって閉塞された液体室に一部の液体が閉じ込められ、この閉じ込められた液体の圧力と気体室に封入された気体の圧力とが均衡するので、ベローズに過大な応力が作用せずよってベローズに塑性変形が発生するのが抑制される。
液体室が閉塞された状態で雰囲気温度の上昇等によって液体室に閉じ込められた液体が熱膨張すると、この熱膨張による圧力の増大を受けてピストンがベローズキャップから離れる方向に相対変位し、液体室の容積が拡大し、液体室の圧力が低下する。径方向シールは端面シールではなく往復動シールであるので、ピストンがベローズキャップに対し相対変位してもピストンおよびステー間の径方向間隙をシールし続け、液体室を閉塞し続ける。したがってベローズ内外の液体圧および気体圧が均衡し続けて大きな差圧が発生しないので、ベローズに過大な応力が作用せずよってベローズに塑性変形が発生するのが抑制される。またこのとき、ピストンはステーの内周空間に深く進入するので、従来デッドスペースであったステーの内周空間が有効活用される。ピストンにはこれを復帰動させるためのバネ手段を組み付けるようにしても良い。
上記(3)のように本発明における液体室圧力調整機構は、液体室に閉じ込められた液体が熱膨張するときに対応作動するが、ピストンが往復動するものであることを利用して、液体室に閉じ込められた液体が熱収縮するときにも対応作動させることが考えられる。すなわち、液体室が閉塞された状態で雰囲気温度の下降等によって液体室に閉じ込められた液体が熱収縮すると、この熱収縮による圧力の低下を受けてピストンがベローズキャップに近付く方向に相対変位し、液体室の容積が縮小し、液体室の圧力が増大する。径方向シールは端面シールではなく往復動シールであるので、ピストンがベローズキャップに対し相対変位してもピストンおよびステー間の径方向間隙をシールし続け、液体室を閉塞し続ける。したがってベローズ内外の液体圧および気体圧が均衡し続けて大きな差圧が発生しないので、ベローズに過大な応力が作用せずよってベローズに塑性変形が発生するのが抑制される。ピストンにはこれを復帰動させるためのバネ手段を組み付けるようにしても良い。尚、当該機構の初期設定として、ピストンをベローズキャップに対する相対変位ストロークの中間位置に停止させておくと、ピストンは上記(3)熱膨張時にも(4)熱収縮時にも直ちに対応作動することが可能である。この場合には、ピストンのストローク方向両側にそれぞれバネ手段を組み付けるのが好ましい。
(1)
(1−1)本発明は、金属ベローズ型アキュムレータに関する。本発明は金属ベローズ型アキュムレータを使用する分野全般で用いられる。
(1−2)本発明は、外ガスタイプまたは内ガスタイプのアキュムレータにおいて、ゼロダウン時に液体室に閉じ込められた液体と封入ガスが温度変化によって膨張もしくは収縮したときに生じる圧力差を吸収させる手段を提案する。
(1−3)本発明は、気体室と液体室の圧力が均衡し続けるよう、ベローズキャップの液体室側に設けられたピストンを変位させることによって、液体室の容積を増減させて圧力差を吸収する。
(1−4)具体的には以下の構成とする。
(1−4−1)シェルと、前記シェル内に配置され、一端がオイルポートに固着され、他端がベローズキャップにより塞がれることにより前記シェルの内部を気体室と液体室とに分離している金属材製ベローズと、前記ベローズキャップの液体室側に設けられたロッドと、前記ロッドに抱くように設置され、前記ロッドによって動きを制限されるピストンと、前記液体室に液体を導入する導入孔を取り囲むように配置され、前記金属材製ベローズの収縮限度を規定するステーと、前記ステーに配置され、前記液体室と前記導入孔との間をシールするシール手段とよりなる金属ベローズ式アキュムレータであって、ゼロダウン時は、前記ベローズキャップと前記ステーが当接し、同時に前記ピストンが前記シール手段に挿入されることによって前記液体室が閉塞されることを特徴とするアキュムレータ。
(1−4−2)ゼロダウン時において、前記液体室に閉じ込められた液体が膨張または収縮することによって、前記ピストンが液体圧およびガス圧が均衡する方向へ変位することを特徴とする前記(1−4−1)項記載のアキュムレータ。
(1−4−3)前記ピストンが液体圧およびガス圧が均衡する方向へ移動したときでも、前記ピストンの挿入状態が維持され、前記シール手段によって前記液体室が閉塞されることを特徴とする前記(1−4−1)項または(1−4−2)項記載のアキュムレータ。
(1−4−4)前記ピストンを前記ベローズキャップに近付ける方向に弾性付勢する第一バネ手段と、前記ピストンを前記ベローズキャップから遠ざける方向に弾性付勢する第二バネ手段とを有し、前記ピストンは前記第一バネ手段の弾性に抗して前記ベローズキャップから離れる方向へ変位するとともに前記第一バネ手段の弾性によって前記ベローズキャップに近付く方向へ復帰動する構造と、前記ピストンは前記第二バネ手段の弾性に抗して前記ベローズキャップに近付く方向へ変位するとともに前記第二バネ手段の弾性によって前記ベローズキャップから離れる方向へ復帰動する構造を特徴とする前記(1−4−1)項、(1−4−2)項または(1−4−3)項記載のアキュムレータ。
(2−1)本発明は、金属ベローズ型アキュムレータに関する。本発明は金属ベローズ型アキュムレータを使用する分野全般で用いられる。
(2−2)本発明は、外ガスタイプまたは内ガスタイプのアキュムレータにおいて、ゼロダウン時に液体室に閉じ込められた液体と封入ガスが温度変化によって膨張もしくは収縮したときに生じる圧力差を吸収させる手段を提案する。
(2−3)本発明は、気体室と液体室の圧力が均衡し続けるよう、ベローズキャップの液体室側に設けられたピストンを変位させることによって、液体室の容積を増減させて圧力差を吸収する。
(2−4)具体的には以下の構成とする。
(2−4−1)シェルと、前記シェル内に配置され、一端がオイルポートに固着され、他端がベローズキャップにより塞がれることにより前記シェル内部を気体室と液体室とに分離している金属ベローズと、前記ベローズキャップの液体室側に設けられたロッドと、前記ロッドに抱くように設置され、前記ロッドによって動きを制限されるピストンと、前記液体室に液体を導入する導入孔を取り囲むように配置され、前記金属ベローズの収縮限度を規定するステーと、前記ピストンに配置され、前記液体室と前記導入孔との間をシールするシール手段とよりなる金属ベローズ式アキュムレータであって、前記ベローズキャップと前記ステーが当接するゼロダウン時に、前記シール手段が前記ステーの内周側に挿入されることによって前記液体室が閉塞されることを特徴とするアキュムレータ。
(2−4−2)ゼロダウン時において、前記液体室に閉じ込められた液体が膨張または収縮することによって、前記ピストンが液体圧およびガス圧が均衡する方向へ変位することを特徴とする前記(2−4−1)項記載のアキュムレータ。
(2−4−3)ゼロダウン時において、前記ピストンが液体圧およびガス圧が均衡する方向へ変位したとき、前記シール手段の挿入状態が終始維持され、前記液体室が閉塞され続けることを特徴とする前記(2−4−1)項または(2−4−2)項記載のアキュムレータ。
(2−4−4)前記ピストンを前記ベローズキャップに近付ける方向に弾性付勢する第一バネ手段と、前記ピストンを前記ベローズキャップから遠ざける方向に弾性付勢する第二バネ手段とを有し、前記ピストンは前記第一バネ手段の弾性に抗して前記ベローズキャップから離れる方向へ変位するとともに前記第一バネ手段の弾性によって前記ベローズキャップに近付く方向へ復帰動する構造と、前記ピストンは前記第二バネ手段の弾性に抗して前記ベローズキャップに近付く方向へ変位するとともに前記第二バネ手段の弾性によって前記ベローズキャップから離れる方向へ復帰動する構造を特徴とする前記(2−4−1)項、(2−4−2)項または(2−4−3)項記載のアキュムレータ。
(2−5)シール手段を外周シールにすることにより、部品数を減らすことができる、シール溝部の加工(部品加工)と寸法検査が容易になる、等の利点がある。
図1は、本発明の第一実施例に係るアキュムレータ1の全体断面を示している。図2ないし図4は同アキュムレータ1の要部拡大断面を示している。各図における作動の状態として、図1および図2は定常作動時、図3は圧力配管の圧力低下時(所謂ゼロダウン時)、図4は液体室7に閉じ込められた液体および気体室8に封入された気体がそれぞれ熱膨張した時の状態をそれぞれ示している。
上記したように図2はアキュムレータ1の定常作動時の状態を示している。オイルポート4は図示しない機器の圧力配管に接続されている。この定常作動時において、ピストン17はステー14の内周空間14gに挿入されておらず、リップパッキン15はピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールしていないので、液体室7は閉塞されていない。したがって圧力配管からオイルポート4のポート穴4aを介して液体室7へそのときどきの圧力を備える液体が随時導入されるので、ベローズキャップ6がピストン17とともに液体圧および気体圧が均衡するように随時移動する。
上記(1)の状態から機器の運転が停止する等して圧力配管の圧力が極端に低下し気体室8の圧力を下回る状態になると、液体室7内の液体がオイルポート4のポート穴4aから徐々に排出され、ベローズキャップ6がステー14に近付く方向(下方向)へ移動し、図3に示すようにステー14の先端面14eに直接当接して停止する。ベローズキャップ6がステー14に対して近付く方向へ移動すると、ピストン17がステー14の内周空間14gに挿入され、次いでリップパッキン15のシールリップ15bがピストン17の外周面に摺動自在に密接してピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールし、液体室7を閉塞する。したがって閉塞された液体室7に一部の液体が閉じ込められ、この閉じ込められた液体の圧力と気体室8に封入された気体の圧力とが均衡するので、ベローズ5に過大な応力が作用せず、よってベローズ5に破損や異常変形などの塑性変形が発生するのが抑制される。
上記(2)の状態すなわちリップパッキン15によって液体室7が閉塞された状態で、雰囲気温度の上昇等によって液体室7に閉じ込められた液体および気体室8に封入された気体が熱膨張すると、液体のほうが熱膨張量が大きいので、この熱膨張による高圧を受けて図4に示すようにピストン17がベローズキャップ6から離れる方向(下方向)へ相対変位し、液体室7の容積が拡大し、液体室7の圧力が低下する。リップパッキン15は往復動シールであるので、ピストン17がベローズキャップ6に対し相対変位してもピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールし続け、液体室7を閉塞し続ける。したがってベローズ5内外の液体圧および気体圧が均衡し続けて大きな差圧が発生しないので、ベローズ5に過大な応力が作用せず、よってベローズ5に塑性変形が発生するのが抑制される。このとき、ピストン17はステー14の内周空間14gに深く進入するので、ステー14の内周空間14gが有効活用される。尚、このとき、ベローズキャップ6はステー14の先端面14eに当接したままで移動せず、よってベローズ5も伸縮しない。
上記(2)の状態が解消されてオイルポート4のポート穴4aから液体が流入すると、この液体の圧力がピストン17に作用してピストン17をベローズキャップ6に近付く方向(上方向)へ相対変位(復帰動)させ、引きつづきピストン17と共にベローズキャップ6をステー14の先端面14eから離れる方向(上方向)へ移動させる。したがってピストン17がリップパッキン15から離れて上記(1)の状態に復することになる。
上記第一実施例では、径方向シールとしてのリップパッキン15がステー14の内周面14aに保持されてそのシールリップ15bがピストン17の外周面に摺動可能に密接する構造とされているが、これに代えて、径方向シールとしてのリップパッキン15がピストン17の外周面に保持されてそのシールリップ15bがステー14の内周面14aに摺動可能に密接する構造とする。このため図5ないし図7に示す第二実施例では、ピストン17の筒状部17aの外周面に装着溝17iが設けられ、この装着溝17iにリップパッキン15が装着され、そのシールリップ15bがステー14の内周面14aに摺動可能に密接する構造とされている。尚、上記第一実施例における図2ないし図4に対応して、図5が定常作動時、図6が圧力配管の圧力低下時(所謂ゼロダウン時)、図7が液体室7に閉じ込められた液体が熱膨張した時の状態をそれぞれ示している。
上記第一および第二実施例では、ベローズキャップ6から離れる方向へ相対変位したピストン17が、オイルポート4のポート穴4aから流入する液体の圧力を受けてベローズキャップ6に近付く方向へ復帰動する構造とされているが、これに代えて、ピストン17を復帰動させる復帰バネとしてのバネ手段を組み込むことによりピストン17を復帰動させる構造とする。このため図8に示す第三実施例では上記第一実施例の構成に加えて、ロッド16側の係合部16aとピストン17側の係合部17cとの間にバネ手段としてのウェーブ状のスプリング19が介装される構造とされ、また図9に示す第四実施例では上記第二実施例の構成に加えて、ロッド16側の係合部16aとピストン17側の係合部17cとの間にバネ手段としてのウェーブ状のスプリング19が介装される構造とされている。いずれの場合もスプリング19はピストン17をベローズキャップ6に近付ける方向に弾性付勢するものであって、ピストン17はスプリング19の弾性に抗してベローズキャップ6から離れる方向へ変位し、スプリング19の弾性によってベローズキャップ6に近付く方向へ復帰動する。尚、この場合には、上記第一実施例におけるピストン17のロッド16に対する摩擦抵抗力の設定は不要となる。
上記第一ないし第四実施例では、液体室圧力調整機構18は、液体室7に閉じ込められた液体が熱膨張するときに対応作動する構造とされているが、ピストン17が往復動するものであることを利用して、液体室7に閉じ込められた液体が熱収縮するときにも対応作動させることが考えられる。このため図10ないし図13に示す第五実施例では、ベローズキャップ6ないしロッド16に対するピストン17の相対変位の初動位置がその相対変位ストロークの上端限位置ではなく図10に示すように相対変位ストロークの中間位置とされ、ピストン17がこのストローク中間の初動位置から、ベローズキャップ6から離れる方向(下方向)およびベローズキャップ6に近付く方向(上方向)の双方いずれにも相対変位することが可能とされている。またこの第五実施例では、上記したようにピストン17が双方いずれにも相対変位可能とされているので、ピストン17がベローズキャップ6から離れる方向へ相対変位したときにこれを復帰動させるための第一バネ手段と、ピストン17がベローズキャップ6に近付く方向へ相対変位したときにこれを復帰動させるための第二バネ手段とがそれぞれ組み付けられており、具体的には、ロッド16側の係合部16aとピストン17側の係合部17cとの間に第一バネ手段としてのウェーブ状の第一スプリング19が介装されるとともに、ピストン17側の係合部17cとベローズキャップ6との間に第二バネ手段としてのウェーブ状の第二スプリング20が介装されている。この場合、作動は以下のようになる。
図10は、アキュムレータ1の定常作動時の状態を示している。オイルポート4は図示しない機器の圧力配管に接続されている。この定常作動時において、ピストン17はステー14の内周空間14gに挿入されておらず、リップパッキン15はピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールしていないので、液体室7は閉塞されていない。したがって圧力配管からオイルポート4のポート穴4aを介して液体室7へそのときどきの圧力を備える液体が随時導入されるので、ベローズキャップ6がピストン17とともに液体圧および気体圧が均衡するように随時移動する。
上記(1)の状態から機器の運転が停止する等して圧力配管の圧力が極端に低下し気体室8の圧力を下回る状態になると、液体室7内の液体がオイルポート4のポート穴4aから徐々に排出され、ベローズキャップ6がステー14に近付く方向(下方向)へ移動し、図11に示すようにステー14の先端面14eに直接当接して停止する。ベローズキャップ6がステー14に対して近付く方向へ移動すると、ピストン17がステー14の内周空間14gに挿入され、次いでリップパッキン15のシールリップ15bがピストン17の外周面に摺動自在に密接してピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールし、液体室7を閉塞する。したがって閉塞された液体室7に一部の液体が閉じ込められ、この閉じ込められた液体の圧力と気体室8に封入された気体の圧力とが均衡するので、ベローズ5に過大な応力が作用せず、よってベローズ5に破損や異常変形などの塑性変形が発生するのが抑制される。
上記(2)の状態すなわちリップパッキン15によって液体室7が閉塞された状態で、雰囲気温度の上昇等によって液体室7に閉じ込められた液体および気体室8に封入された気体が熱膨張すると、液体のほうが熱膨張量が大きいので、この熱膨張による圧力の増大を受けて図12に示すようにピストン17が第一スプリング19を圧縮しながらベローズキャップ6から離れる方向(下方向)へ相対変位し、液体室7の容積が拡大し、液体室7の圧力が低下する。リップパッキン15は往復動シールであるので、ピストン17がベローズキャップ6に対し相対変位してもピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールし続け、液体室7を閉塞し続ける。したがってベローズ5内外の液体圧および気体圧が均衡し続けて大きな差圧が発生しないので、ベローズ5に過大な応力が作用せず、よってベローズ5に塑性変形が発生するのが抑制される。このとき、ピストン17はステー14の内周空間14gに深く進入するので、ステー14の内周空間14gが有効活用される。尚、このとき、ベローズキャップ6はステー14の先端面14eに当接したままで移動せず、よってベローズ5も伸縮しない。
また、上記(2)の状態すなわちリップパッキン15によって液体室7が閉塞された状態で、雰囲気温度の下降等によって液体室7に閉じ込められた液体および気体室8に封入された気体が熱収縮すると、液体のほうが熱収縮量が大きいので、この熱収縮による圧力の低下を受けて図13に示すようにピストン17が第二スプリング20を圧縮しながらベローズキャップ6に近付く方向(上方向)へ相対変位し、液体室7の容積が縮小し、液体室7の圧力が増大する。リップパッキン15は往復動シールであるので、ピストン17がベローズキャップ6に対し相対変位してもピストン17およびステー14間の径方向間隙cをシールし続け、液体室7を閉塞し続ける。したがってベローズ5内外の液体圧および気体圧が均衡し続けて大きな差圧が発生しないので、ベローズ5に過大な応力が作用せず、よってベローズ5に塑性変形が発生するのが抑制される。このとき、ピストン17はステー14の内周空間14gに深く進入するので、ステー14の内周空間14gが有効活用される。尚、このとき、ベローズキャップ6はステー14の先端面14eに当接したままで移動せず、よってベローズ5も伸縮しない。
上記(2)の状態が解消されてオイルポート4のポート穴4aから液体が流入すると、この液体の圧力がピストン17に作用し、ピストン17とともにベローズキャップ6をステー14の先端面14eから離れる方向(上方向)へ移動させる。したがってピストン17がリップパッキン15から離れて上記(1)の状態に復することになる。
また、上記第五実施例では、径方向シールとしてのリップパッキン15がステー14の内周面14aに保持されてそのシールリップ15bがピストン17の外周面に摺動可能に密接する構造とされているが、これに代えて、径方向シールとしてのリップパッキン15がピストン17の外周面に保持されてそのシールリップ15bがステー14の内周面14aに摺動可能に密接する構造とする。このため図14ないし図17に示す第六実施例では、ピストン17の筒状部17aの外周面に装着溝17iが設けられ、この装着溝17iにリップパッキン15が装着され、その外周側のシールリップ15bがステー14の内周面14aに摺動可能に密接する構造とされている。尚、上記第五実施例における図10ないし図13に対応して、図14が定常作動時、図15が圧力配管の圧力低下時(所謂ゼロダウン時)、図16が液体室7に閉じ込められた液体が熱膨張した時、図17が液体室7に閉じ込められた液体が熱収縮した時の状態をそれぞれ示している。
また、上記各実施例では、アキュムレータ1は、ベローズ5の外周側に気体室8を設定するとともにベローズ5の内周側に液体室7を設定する外ガスタイプのアキュムレータとされているが、これに代えて、アキュムレータ1は、ベローズ5の内周側に気体室8を設定するとともにベローズ5の外周側に液体室7を設定する内ガスタイプのアキュムレータであっても良い。
2 ハウジング
3 シェル
4 オイルポート
4a ポート穴
5 ベローズ
6 ベローズキャップ
7 液体室
7a ステー外周側空間
7b ステー内周側空間
8 気体室
9 注入口
10 プラグ
11 六角ナット付ピン
12 制振リング
13 プロテクションリング
14 ステー
14a 筒状内周面
14b,17i 装着溝
14c,14d,17g,17h 分割体
14e 先端面
14f,16b,17f 流路
14g 内周空間
15 リップパッキン(径方向シール)
15a 取付部
15b シールリップ
16 ロッド
16a,17c 係合部
17 ピストン
17a 筒状部
17b 底面部
17d 端面
17e 内部空間
18 液体室圧力調整機構
19,20 スプリング(バネ手段)
c 径方向間隙
Claims (5)
- 機器の圧力配管に接続されるオイルポートを備えるアキュムレータハウジングと、前記ハウジングの内部に組み込まれて前記ハウジングの内部空間を前記オイルポートに連通する液体室および高圧ガスを封入する気体室に仕切るベローズおよびベローズキャップと、前記ハウジングの内部で前記オイルポート上に設けられた筒状内周面を備えるステーと、前記ベローズキャップによってそのストローク方向に相対変位可能に保持されるとともに前記ベローズキャップが前記ステーに近付く方向へ移動したときに前記ステーの内周空間に挿入されるピストンと、前記ピストンが前記ステーの内周空間に挿入されたときに前記ピストンおよび前記ステー間の径方向間隙をシールして前記液体室を閉塞する径方向シールとを有し、
前記圧力配管の圧力が前記気体室の圧力よりも低下した状態では、前記ベローズキャップが前記ステーに近付く方向へ移動し、前記ピストンが前記ステーの内周空間に挿入され、前記径方向シールが前記径方向間隙をシールして前記液体室を閉塞し、前記径方向シールによって閉塞された前記液体室の圧力が熱膨張により高まったときに前記ピストンが前記ベローズキャップから離れる方向へ相対変位することにより前記液体室の容積を拡大して前記圧力を低下させる液体室圧力調整機構が設けられていることを特徴とするアキュムレータ。 - 請求項1記載のアキュムレータにおいて、
前記液体室圧力調整機構は、前記径方向シールによって閉塞された前記液体室の圧力が熱収縮により低められたときに前記ピストンが前記ベローズキャップに近付く方向へ相対変位することにより前記液体室の容積を縮小して前記圧力を増大させる機能を併せ持つことを特徴とするアキュムレータ。 - 請求項1または2記載のアキュムレータにおいて、
前記ピストンには、当該ピストンを復帰動させるためのバネ手段が組み付けられていることを特徴とするアキュムレータ。 - 請求項1、2または3記載のアキュムレータにおいて、
前記ベローズキャップが前記ステーに近付く方向へのストローク限は、前記ベローズキャップが前記ステーに直接当接することによって規定される構造を有することを特徴とするアキュムレータ。 - 請求項1、2、3または4記載のアキュムレータにおいて、
前記径方向シールは、前記ステーの内周面または前記ピストンの外周面に保持されるリップパッキンを備え、前記リップパッキンのシールリップが前記ピストンの外周面または前記ステーの内周面に摺動可能に密接する構造を有することを特徴とするアキュムレータ。
Priority Applications (1)
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