JP5574947B2 - 中空構造形成方法及び中空構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、中空構造形成方法及び中空構造体に係り、例えば半導体産業や自動車産業等における部品の中空構造を形成する方法及びこの方法を用いて得られる中空構造体に関する。
半導体産業や自動車産業等を含む各種産業界では、中空構造を有する部品が様々な目的で使用されている。例えば、半導体産業では、発熱体である半導体素子を冷却したり、スパッタリング装置のターゲット材を冷却したりする目的で、冷却水が流れる中空部(水路)を有する冷却板が用いられている。また、自動車産業では、ブレーキシステム等の空気弁用の空気圧が流れる中空部を有する空気制御ユニットの空路板が用いられている。
従来、このような中空構造体を製造するには、機械加工によって形成された溝を有する溝付き板に溶接又は接着により蓋を固定する手法が採られていた。
例えば、特許文献1には、冷却板本体に冷媒の通路となる溝を機械加工により形成した後、この冷却板本体の溝を覆うように蓋を取り付けることで冷却板を製造する方法が記載されている。
一方、中空構造体の製造とは無関係であるが、接合方法の一種として摩擦攪拌接合という技術が知られている(例えば、特許文献2)。摩擦攪拌接合とは、接合対象物(母材)間に工具の先端を押し込んだ状態で工具を高速回転させながら接合線に沿って移動させることで、摩擦熱によって母材を軟化させるとともに、接合線周辺の軟化した母材を塑性流動させて接合を行うものである。摩擦攪拌接合に用いられる工具は、母材に押し込まれる小径のプローブ(ピン又は突起とも言う。)と、該プローブの付け根のフラットな部分であるショルダーとを有する。
特開2002−248584号公報 特開2003−311441号公報
しかしながら、特許文献1に記載の冷却板製造方法では、部品点数が多いため、コストが嵩む。また、隣接する溝(冷却通路)間において冷却板本体と蓋との接合が行われるため、隣接する溝間を狭くすることができず、冷却板のコンパクト化に制限がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、部品点数が少なく、隣接する中空部の間のスペースを小さくしうる中空構造形成方法及び中空構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る中空構造形成方法は、被加工物に押し込まれるプローブと、該プローブの付け根に設けられ前記被加工物の表面を押さえ付けるショルダーとを有する工具を用いて、前記被加工物に中空構造を形成する中空構造形成方法であって、前記工具を回転させながら前記被加工物に押し付けて摩擦熱によって前記被加工物を軟化させ、前記ショルダーが前記被加工物に接触するまで前記プローブを前記被加工物に押し込むプローブ挿入工程と、前記プローブが前記被加工物に押し込まれた状態で、前記工具を回転させながら、中空部形成予定線に沿って前記工具を前記被加工物に対して相対移動させて、前記プローブによって前記被加工物の軟化した材料を押しのけて中空部を形成する中空部形成工程とを備えることを特徴とする。
この中空構造形成方法は、接合方法の一種である摩擦攪拌接合の基本原理を中空構造の形成に応用したものであるが、被加工物の軟化した材料をプローブによって押しのけて中空部を形成する点において摩擦攪拌接合とは全く異なる。摩擦攪拌接合では、接合対象物(母材)の軟化した材料を塑性流動によって一体化させることで、ボイドのない接合部を実現するようになっている。一方、上記中空構造形成方法では、プローブによって軟化した被加工物の材料を押しのけて、あえてその部分に中空部を形成する。すなわち、上記中空構造形成方法は、ショルダー及びプローブを有する工具を用いて、この工具を回転させながら被加工物に押し付け、摩擦熱によって被加工物を軟化させて被加工物にプローブを押し込み、工具を被加工物に対して相対移動させる点で摩擦攪拌接合と類似するが、プローブによって軟化した被加工物の材料を押しのけて中空部を形成する点において摩擦攪拌接合と異なる。
上記中空構造形成方法によれば、蓋を用いることなく、被加工物のみから中空構造体を製造することができるので、部品点数が減り、コストを削減できる。また、機械加工によって形成された溝を有する溝付き板に溶接又は接着により蓋を固定する場合とは異なり、蓋の溶接又は接着のための大きなスペースを隣接する中空部の間に設ける必要がない。よって、隣接する中空部の間のスペースを小さくすることができ、中空構造体をコンパクト化できる。
上記中空構造形成方法は、前記プローブ挿入工程の前に、前記中空部形成予定線に沿って前記被加工物に溝部を形成する溝部形成工程をさらに備えてもよい。
このように中空部形成予定線に沿って被加工物に溝部を予め形成することで、プローブによって押しのけられた軟化材料を被加工物の溝部で受け入れて、大きな中空部を形成することができる。また、プローブによって押しのけられた軟化材料を溝部によって受け入れることで、被加工物の表面近傍における過剰な軟化材料によって被加工物の表面にバリが発生することを抑制できる。
また、被加工物の軟化した材料を受け入れる溝部を被加工物自体に設けることで、プローブによって押しのけられた軟化材料が被加工物の表面から突出しないので、中空部形成後の研削加工が不要である。
この場合、前記プローブの表面には、前記プローブの周辺の軟化した前記被加工物の材料を前記プローブの根元側に向けて塑性流動させる凹凸が形成されていることが好ましい。例えば、前記凹凸は、前記工具の回転方向と同一方向のねじであってもよい。ここでいう「工具の回転方向と同一方向のねじ」とは、工具を時計回り(右回り)に回転させる場合には右ねじを意味し、工具を反時計回り(左回り)に回転させる場合には左ねじを意味する。
このようにプローブの表面に凹凸を設けることで、軟化した材料の塑性流動をプローブの凹凸によってプローブ根元側の被加工物の溝部に指向させることができる。これにより、軟化した材料の受け入れ先としての被加工物の溝部を有効活用し、大きな中空部を形成するとともに、バリの発生を抑制できる。
上記中空構造形成方法は、前記プローブ挿入工程の前に、前記被加工物の軟化した材料を受け入れる溝部が形成された裏当て部材を前記被加工物の裏面側に配置する裏当て部材配置工程をさらに備え、前記裏当て部材の溝部は、前記中空部形成予定線に沿って設けられていてもよい。
このように軟化した被加工物の材料を受け入れる溝部を有する裏当て部材(例えば、バッキング板)を被加工物の裏面側に配置することで、プローブによって押しのけられた軟化材料を裏当て部材の溝部で受け入れて、大きな中空部を形成することができる。また、プローブによって押しのけられた軟化材料を溝部によって受け入れることで、被加工物の表面近傍における過剰な軟化材料によって被加工物の表面にバリが発生することを抑制できる。
また、プローブによって押しのけられた軟化材料を受け入れる溝部を裏当て部材に設けることで、溝部を形成するための被加工物自体の機械加工が不要となり、コストを削減できる。なお、裏当て部材は、繰り返し使用してもよい。
この場合、前記プローブの表面には、前記プローブの周辺の軟化した前記被加工物の材料を前記プローブの先端側に向けて塑性流動させる凹凸が形成されていることが好ましい。例えば、前記凹凸は、前記工具の回転方向と逆方向のねじであってもよい。ここでいう「工具の回転方向と逆方向のねじ」とは、工具を時計回り(右回り)に回転させる場合には左ねじを意味し、工具を反時計回り(左回り)に回転させる場合には右ねじを意味する。
このようにプローブの表面に凹凸を設けることで、軟化した材料の塑性流動をプローブの凹凸によってプローブ先端側の裏当て部材の溝部に指向させることができる。これにより、軟化した材料の受け入れ先としての裏当て部材の溝部を有効活用し、大きな中空部を形成するとともに、バリの発生を抑制できる。
本発明に係る中空構造体は、上述の中空構造形成方法により形成された中空部を有する。
この中空構造体によれば、中空部が上述の中空構造形成方法により形成されているので、被加工物のみから中空構造体を製造することができ、部品点数が減り、コストを削減できる。また、蓋の溶接又は接着のための大きなスペースを隣接する中空部の間に設ける必要がないから、隣接する中空部の間のスペースを小さくすることができ、中空構造体をコンパクト化できる。
本発明によれば、ショルダー及びプローブを有する工具を回転させながら被加工物に対して相対移動させて、プローブによって被加工物の軟化した材料を押しのけて中空部を形成するようにしたので、被加工物のみから中空構造体を製造することができ、部品点数が減り、コストを削減できる。
また、機械加工によって形成された溝を有する溝付き板に溶接又は接着により蓋を固定する場合とは異なり、蓋の溶接又は接着のための大きなスペースを隣接する中空部の間に設ける必要がないから、隣接する中空部の間のスペースを小さくすることができ、中空構造体をコンパクト化できる。
第1実施形態の中空構造形成方法によって中空構造を形成する様子を示す斜視図である。 被加工物の表面に形成される溝部の一例を示す斜視図である。 第2実施形態の中空構造形成方法によって中空部を形成する手順を示す図である。 溝部の断面積と、プローブが押しのけた部分の断面積との関係を示す図である。 第3実施形態の中空構造形成方法によって中空部を形成する手順を示す図である。 溝部の断面積と、プローブの先端側の凹凸が設けられた範囲の断面積との関係を示す図である。 先端が溝部内に到達する長さを有するプローブの構成例を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る中空構造形成方法について説明する。図1は、第1実施形態の中空構造形成方法によって中空構造を形成する様子を示す斜視図である。
本実施形態では、小径の突起部であるプローブ14と、該プローブ14の付け根のフラット(略平坦)な部分であるショルダー12とを有する工具10を用いて、被加工物1に中空部2を形成する。なお、工具10の材料は、例えば、高速度工具鋼、合金工具鋼、超硬合金、セラミックス等の高硬度材料を用いることができる。
被加工物1への中空部2の形成は、以下の手順で行う。
まず、工具10を回転させながら、被加工物1の表面4に押し付けて摩擦熱によって被加工物1を軟化させ、プローブ14を被加工物1に挿入する。このとき、ショルダー12が被加工物1の表面4に接触するまで、プローブ14が被加工物1に押し込まれる。
この後、ショルダー12が被加工物1の表面4に接触し、プローブ14が被加工物1に挿入された状態で、図1に示すように、中空部形成予定線の方向Aに沿って工具10を被加工物1に対して相対移動させる。これにより、ショルダー12及びプローブ14による摩擦熱によって軟化した被加工物1の材料が塑性流動し、プローブ14の軌跡から押しのけられる。よって、プローブ14の軌跡(すなわち、中空部形成予定線)に沿って、プローブ14に対応する形状の中空部2が被加工物1に形成される。
工具10を用いた中空部2の加工条件は、被加工物1及び工具10の材種や寸法、並びに中空部2の寸法等によって異なるが、例えば、工具10の回転速度が1000〜2000rpm、工具10の被加工物1への押付け圧が10〜20MPa、工具10の中空部形成予定線に沿った移動速度が500〜1000mm/minであってもよい。
また、プローブ14の形状は、所望の中空部2の形状が得られるように適宜調節されることが好ましい。例えば、断面形状が矩形の中空部2を得たい場合には、工具軸心方向に沿った断面形状が矩形(例えば、円筒状)のプローブ14を用いる。また、断面形状が円または楕円の中空部2を得たい場合には、工具軸心方向に沿った断面形状が円または楕円(例えば、球又は楕円体状)のプローブ14を用いる。
なお、プローブ14の軌跡(すなわち、中空部形成予定線)は、直線状に限られず、曲線状や折れ線状を含む任意の形状であってもよい。プローブ4の軌跡を任意に設定することで、被加工物1内における中空部2の形状を自由に変更できる。
被加工物1の材料は、摩擦熱によって軟化して塑性流動しうる材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウムとその合金、マグネシウムとその合金、チタンとその合金、プラスチック(熱可塑性樹脂)等を用いることができる。なお、被加工物1は、図1に示す平板状のものに限られず、任意の形状であってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、ショルダー12及びプローブ14を有する工具10を用いて、この工具10を回転させながら被加工物1に押し付け、摩擦熱によって被加工物1を軟化させて被加工物1にプローブ14を押し込み、工具10を被加工物1に対して相対移動させることで、プローブ14によって軟化した被加工物1の材料を押しのけて中空部2を形成する。
したがって、被加工物1のみから中空構造体を製造することができるので、部品点数が減り、コストを削減できる。また、機械加工によって形成された溝を有する溝付き板に溶接又は接着により蓋を固定する場合とは異なり、蓋の溶接又は接着のための大きなスペースを隣接する中空部2の間に設ける必要がない。よって、隣接する中空部2の間のスペースを小さくすることができ、中空構造体をコンパクト化できる。
また、機械加工によって形成された溝を有する溝付き板に溶接又は接着により蓋を固定する場合に比べて、製造工程を簡略化できる。さらに、被加工物1が薄い平板であっても、中空部2を容易に形成できる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る中空構造形成方法について説明する。本実施形態に係る中空構造形成方法では、被加工物1の表面4に溝部を予め設ける点を除けば、第1実施形態の中空構造形成方法と同様である。したがって、ここでは第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図2は、被加工物1の表面4に形成される溝部の一例を示す斜視図である。図3は、本実施形態の中空構造形成方法によって中空部を形成する手順を示す図である。なお、図2及び3では、図1と共通の構成要素については、同一の符号を付し、ここではその説明を省略する。
図2に示すように、機械加工によって、被加工物1の表面4に溝部6を予め形成する。溝部6は、プローブ14の軌跡(すなわち、中空部形成予定線)に沿って形成される。
この後、図3(a)に示すように、工具10を回転させながら被加工物1の溝部6の底面に押し付けて、摩擦熱によって被加工物1を軟化させて、プローブ14を被加工物1に押し込む。プローブ14の被加工物1への押し込みは、図3(b)に示すように、ショルダー12が被加工物1の表面4に接触するまで行う。なお、プローブ14の被加工物1への押込み時、被加工物1の軟化した材料はプローブ14の周囲に押しのけられ、その一部が溝部6を埋める。続いて、プローブ14を被加工物1に押し込んだ状態で、中空部形成予定線に沿って(すなわち、溝部6に沿って)、工具10を被加工物1に対して相対移動させ、軟化した被加工物1の材料をプローブ14によって押しのけて、図3(c)に示すように中空部2を形成する。
このように中空部形成予定線に沿って被加工物1に溝部6を予め形成することで、プローブ14によって押しのけられた軟化材料を被加工物1の溝部6で受け入れて、大きな中空部2を形成することができる。また、プローブ14によって押しのけられた軟化材料を溝部6によって受け入れることで、被加工物1の表面4近傍における過剰な軟化材料によって被加工物1の表面4にバリが発生することを抑制できる。
また、被加工物1の軟化した材料を受け入れる溝部6を被加工物1に設けることで、プローブ14によって押しのけられた軟化材料が被加工物1の表面4から突き出さないので、中空部2の形成後の研削加工が不要である。
また、プローブ14の表面には、図3(a)及び(b)に示すように、プローブ14の周辺の軟化した被加工物1の材料をプローブ14の根元側(図中、上方向)に向けて塑性流動させる凹凸16が形成されていることが好ましい。例えば、凹凸16は、工具10の回転方向と同一方向のねじであってもよい。なお、図3(a)及び(b)には、凹凸16が、工具10の反時計回り(左回り)と同一方向の左ねじである例を示した。
このようにプローブ14の表面に凹凸16を設けることで、軟化した材料の塑性流動をプローブ14の凹凸16によってプローブ14の根元側にある溝部6に指向させることができる。これにより、軟化した材料の受け入れ先としての被加工物1の溝部6を有効活用し、大きな中空部2を形成するとともに、被加工物1の表面4のバリ発生を抑制できる。
また、プローブ14の根元側には凹凸16を設けないで、プローブ14の先端側のみに凹凸16を形成してもよい。これにより、凹凸16が設けられたプローブ14の先端側の周辺における被加工物1の軟化した材料が選択的にプローブ14の根元側に向けて塑性流動するので、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた位置に中空部2が形成される。よって、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた範囲(図3(b)に示す長さL)により、中空部2の高さH(図3(c)参照)を調節することができる。
また、プローブ14の根元側には凹凸16が設けられていないから、被加工物1の表面4近傍では軟化した材料の塑性流動が凹凸16によってプローブ14の根元側に指向されることはない。よって、被加工物1の表面4近傍の軟化材料をショルダー12で押さえつけて、被加工物1の表面4におけるバリの発生を防止することが容易になる。
また、溝部6の断面積は、プローブ14が押しのけた部分の断面積と同じ又はそれ以上であることが好ましい。このことについて、図4を用いて詳述する。
図4は、溝部6の断面積と、プローブ14が押しのけた部分の断面積との関係を示す図である。同図に示すように、被加工物1の表面4に予め設けた溝部6の断面積をAgr1とし、プローブ14が押しのけた部分の断面積をApr1としたとき、Agr1≧Apr1の関係が成立することが好ましい。なお、ここでの「プローブ14が押しのけた部分の断面積Apr1」とは、プローブ14が被加工物1に押し込まれた状態(図3(b)参照)における、溝部6の底面よりも下側のプローブ14の断面積をいう。
これにより、プローブ14で押しのけた部分の断面積Apr1に相当する体積の軟化材料を全て溝部6で受け入れることができるから、中空部2のサイズ(断面積)は少なくとも断面積Apr1を下らない。よって、プローブ14の先端側の形状(断面積)の変更により、プローブ14で押しのけた部分の断面積Aprを適宜調節することで、中空部2のサイズを所望の範囲に設定できる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る中空構造形成方法について説明する。本実施形態に係る中空構造形成方法では、被加工物1の裏面側に裏当て部材を配置して中空部2の加工を行う点を除けば、第1実施形態の中空構造形成方法と同様である。したがって、ここでは第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図5は、本実施形態の中空構造形成方法によって中空部を形成する手順を示す図である。なお、図5では、図1と共通の構成要素については、同一の符号を付し、ここではその説明を省略する。
まず、図5(a)に示すように、被加工物1の軟化した材料を受け入れる溝部22が形成された裏当て部材(バッキング板)20を配置する。なお、裏当て部材20の溝部22は、中空部形成予定線に沿って設けられている。
そして、工具10を回転させながら被加工物1の表面4に押し付けて、摩擦熱によって被加工物1を軟化させて、プローブ14を被加工物1に押し込む。プローブ14の被加工物1への押し込みは、図5(b)に示すように、ショルダー12が被加工物1の表面4に接触するまで行う。なお、プローブ14の被加工物1への押込み時、被加工物1の軟化した材料はプローブ14の周囲に押しのけられ、その一部が溝部22を埋める。
プローブ14を被加工物1に押し込んだ状態で、中空部形成予定線に沿って(すなわち、溝部22に沿って)、工具10を被加工物1に対して相対移動させて、軟化した被加工物1の材料をプローブ14によって押しのけて、図5(c)に示すように中空部2を形成する。なお、裏当て部材20の溝部22の反転形状の突出部24は、後で研削加工によって除去してもよい。
このように軟化した被加工物1の材料を受け入れる溝部22を有する裏当て部材20を被加工物1の裏面側に配置することで、プローブ14によって押しのけられた軟化材料を裏当て部材20の溝部22で受け入れて、大きな中空部2を形成することができる。また、プローブ14によって押しのけられた軟化材料を溝部22によって受け入れることで、被加工物1の表面4近傍における過剰な軟化材料によって被加工物1の表面4にバリが発生することを抑制できる。
また、プローブ14によって押しのけられた軟化材料を受け入れる溝部22を裏当て部材20に設けることで、溝部22を形成するための被加工物1自体の機械加工が不要となり、コストを削減できる。なお、裏当て部材20は、繰り返し使用してもよい。
また、プローブ14の表面には、図5(a)及び(b)に示すように、プローブ14の周辺の軟化した被加工物1の材料をプローブ14の先端側に向けて塑性流動させる凹凸16が形成されていることが好ましい。例えば、凹凸16は、工具10の回転方向と逆方向のねじであってもよい。なお、図5(a)及び(b)には、凹凸16が、工具10の反時計回り(左回り)と逆方向の右ねじである例を示した。
このようにプローブ14の表面に凹凸16を設けることで、軟化した材料の塑性流動をプローブ14の凹凸16によってプローブ14の先端側の裏当て部材20の溝部22に指向させることができる。これにより、軟化した材料の受け入れ先としての裏当て部材20の溝部22を有効活用し、大きな中空部2を形成するとともに、被加工物1の表面4のバリの発生をより一層抑制できる。
また、プローブ14の根元側には凹凸16を設けないで、プローブ14の先端側のみに凹凸16を形成してもよい。これにより、凹凸16が設けられたプローブ14の先端側の周辺における被加工物1の軟化した材料が選択的にプローブ14の先端側に向けて塑性流動するので、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた位置に中空部2が形成される。よって、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた範囲(図5(b)に示す長さL)により、中空部2の高さH(図5(c)参照)を調節することができる。
また、プローブ14の根元側に凹凸16が設けられていないことから、被加工物1の表面4近傍では軟化した材料の塑性流動が凹凸16によってプローブ14の先端側に指向されることはない。よって、被加工物1の表面4近傍の軟化材料はその場に滞留し、中空部2の上壁が確実に形成される。
また、溝部22の断面積は、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた範囲の断面積と同じ又はそれ以上であることが好ましい。このことについて、図6を用いて詳述する。
図6は、溝部22の断面積と、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた範囲の断面積との関係を示す図である。同図に示すように、裏当て部材20の溝部22の断面積をAgr2とし、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた範囲(図5(b)に示す長さL)の断面積をApr2としたとき、Agr2≧Apr2の関係が成立することが好ましい。これにより、プローブ14が押しのけた軟化材料のうち、凹凸16によってプローブ14の先端側に向かって塑性流動する軟化材料を全て溝部22で受け入れることができる。よって、プローブ14の先端側の凹凸16が設けられた部分の断面積に対応するサイズの中空部2を確実に形成できる。
また、プローブ14によって押しのけられた軟化材料の溝部22に向かう塑性流動を促進するために、先端が溝部22内に到達する長さを有するプローブ14を用いてもよい。
図7は、先端が溝部22内に到達する長さを有するプローブ14の構成例を示す図である。同図に示すプローブ14は、その全長L2がt<L2<(t+d)の関係を満たす。ここで、tは被加工物1の厚さであり、dは溝部22の深さである。このように先端が溝部22内に到達する長さを有するプローブ14を用いることで、溝部22周辺を含む広範囲の被加工物1の材料が軟化するので、プローブ14によって押しのけられた軟化材料の溝部22に向かう塑性流動が促進される。
なお、本実施形態では、被加工物1の裏面側に溝部22を有する裏当て部材20を配置して中空部2の加工を行う例について説明したが、溝部22を裏当て部材20に設けるのではなく、被加工物1の裏面側に設けてもよい。すなわち、被加工物1の裏面側に溝部22を機械加工によって予め形成しておく一方で、裏当て部材20は溝部のない平坦なものを使用する。この場合にも、プローブ14によって押しのけられた被加工物1の軟化した材料が塑性流動して被加工物1の溝部22に受け入れられることによって、大きな中空部2を形成できる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
1 被加工物
2 中空部
4 表面
6 溝部
10 工具
12 ショルダー
14 プローブ
16 凹凸
20 裏当て部材
22 溝部
24 突出部

Claims (8)

  1. 被加工物に押し込まれるプローブと、該プローブの付け根に設けられ前記被加工物の表面を押さえ付けるショルダーとを有する工具を用いて、前記被加工物に中空構造を形成する中空構造形成方法であって、
    前記工具を回転させながら前記被加工物に押し付けて摩擦熱によって前記被加工物を軟化させ、前記ショルダーが前記被加工物に接触するまで前記プローブを前記被加工物に押し込むプローブ挿入工程と、
    前記プローブが前記被加工物に押し込まれた状態で、前記工具を回転させながら、中空部形成予定線に沿って前記工具を前記被加工物に対して相対移動させて、前記プローブによって前記被加工物の軟化した材料を押しのけて中空部を形成する中空部形成工程とを備え
    前記中空部形成工程では、前記プローブによって前記軟化した材料を前記被加工物の裏面側に押しのけることを特徴とする中空構造形成方法。
  2. 被加工物に押し込まれるプローブと、該プローブの付け根に設けられ前記被加工物の表面を押さえ付けるショルダーとを有する工具を用いて、前記被加工物に中空構造を形成する中空構造形成方法であって、
    前記工具を回転させながら前記被加工物に押し付けて摩擦熱によって前記被加工物を軟化させ、前記ショルダーが前記被加工物に接触するまで前記プローブを前記被加工物に押し込むプローブ挿入工程と、
    前記プローブが前記被加工物に押し込まれた状態で、前記工具を回転させながら、中空部形成予定線に沿って前記工具を前記被加工物に対して相対移動させて、前記プローブによって前記被加工物の軟化した材料を押しのけて中空部を形成する中空部形成工程とを備え、
    前記プローブ挿入工程の前に、前記中空部形成予定線に沿って前記被加工物に溝部を形成する溝部形成工程をさらに備えることを特徴とする中空構造形成方法。
  3. 前記プローブの表面には、前記プローブの周辺の軟化した前記被加工物の材料を前記プローブの根元側に向けて塑性流動させる凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の中空構造形成方法。
  4. 前記凹凸は、前記工具の回転方向と同一方向のねじであることを特徴とする請求項3に記載の中空構造形成方法。
  5. 前記プローブ挿入工程の前に、前記被加工物の軟化した材料を受け入れる溝部が形成された裏当て部材を前記被加工物の裏面側に配置する裏当て部材配置工程をさらに備え、
    前記裏当て部材の溝部は、前記中空部形成予定線に沿って設けられており、
    前記中空部形成工程では、前記プローブによって前記被加工物の裏面側に押しのけられた前記軟化した材料を前記裏当て部材の前記溝部に受け入れることを特徴とする請求項1に記載の中空構造形成方法
  6. 前記プローブの表面には、前記プローブの周辺の軟化した前記被加工物の材料を前記プローブの先端側に向けて塑性流動させる凹凸が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の中空構造形成方法。
  7. 前記凹凸は、前記工具の回転方向と逆方向のねじであることを特徴とする請求項6に記載の中空構造形成方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の中空構造形成方法により形成された中空部を有する中空構造体。
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