JP2012086267A - 摩擦攪拌接合用の回転接合ツール、ならびに、これを用いた摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合用の回転接合ツール、ならびに、これを用いた摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】板厚が異なる被接合部材の摩擦攪拌接合において、制御が容易でコストも比較的廉価な回転接合ツールと、操作が容易な摩擦攪拌接合方法を提供する。
【解決手段】接合面に段差のある被接合金属部材の突合わせ部を摩擦攪拌接合するための回転接合ツールであって、略円柱状の基部と、基部の被接合部材側に設けられたショルダー部と、ショルダー部の表面から基部と同心に垂下したプローブとを有し、ショルダー部の表面が突合わせ部に向けて凸曲面を成し、凸曲面において、その外周から中心に至り、かつ、回転接合ツールの回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝が形成され、プローブが突合わせ部の突合わせ面に対して平行に押し込まれると共に基部が被接合部材に接しない状態で回転しつつ突合わせ部に沿って移動する摩擦攪拌接合用の回転接合ツール、ならびに、これを用いた摩擦攪拌接合方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、各種車両、建材などにおいて、突合わせた2つの金属部材を摩擦攪拌接合により接合するための摩擦攪拌接合用の回転接合ツール、ならびに、これを用いる摩擦攪拌接合方法に関する。
現在、地球温暖化、化石燃料の枯渇等の観点から、自動車の排出する二酸化炭素抑制、燃費の向上が望まれている。これらを達成するための最も有効な方法として、自動車の軽量化が挙げられる。自動車のボディや部品を構成する材料を、鋼板からアルミニウム合金など軽金属へ転換することが検討されている。アルミニウム合金は鋼板に対して比強度が大きいため、剛性を落とさずに軽量化を図ることできる。
他方で、鋼板の分野では成形時に屑が発生することを抑制するため、部材の適材適所が図られている。例えば、厚さの異なる板を適材適所に配置して接合し、プレス成形に供するテーラードブランクの考え方がある。鋼板の分野では、このようなテーラードブランク材を製造する場合、板同士をレーザー溶接やマッシュシーム溶接によって接合することが一般的である。
ところが、アルミニウム合金にレーザー溶接を適用する場合には、レーザー光の反射率が高いためアルミニウム合金の表面状態によるバラツキが大きくなる。その結果、ポロシティ(空孔)が発生し易い等の問題が生じ、安定して良好な接合継ぎ手を得ることが困難となる。マッシュシーム溶接を適用する場合には、アルミニウム合金の熱伝導率が大きいため、熱が拡散し易く局部的な溶融しかできない。その結果、プレス成形に耐え得るような滑らかな表面を有する接合部を形成することが困難となる。
例えば特許文献1に開示されるように、近年になって、入熱が小さく接合による軟化や歪みが小さい接合方法として摩擦攪拌接合が提案されている。この方法は、図12に示すように、アルミニウム合金板等の軽金属板からなる被接合部材1、1同士を鋼板等の硬質な裏当て板2の上に載置して突き合わせ、その突合わせ部に硬質な円柱状の回転接合ツール3を高速で回転させながら押し込み、突合わせ部分に沿って移動させることにより接合する方法である。通常、接合方向に対して回転接合ツールは後方に0〜5°程度傾斜させて接合は行なわれる。一般的に前進角(lead angle)と呼ばれる。図13に示すように、回転接合ツール3は先端にプローブ31を有しており、このプローブが被接合材の突合わせ部に押し込まれる。この方法は接合部の最高到達温度が融点に達しない固相接合であり、通常の溶融溶接に比べて入熱が小さいことが特徴である。そこで、この摩擦攪拌接合をテーラードブランクに適用することが提案されている。
板厚が異なるアルミニウム合金板同士を摩擦攪拌接合によって接合する方法としては、例えば特許文献2に記載されている。図14に示すように、厚板被接合部材11と薄板被接合部材12を裏当て板2上で突合わせ、回転接合ツール3を薄板被接合部材12側に傾斜させ、かつ、回転接合ツール3の移動方向と反対側に傾斜させて、突合わせ部に押し込む。この状態で回転接合ツールを回転しつつ移動させることにより、両接合部材11、12を接合するものである。
しかしながら、特許文献2に記載の摩擦攪拌接合では、接合装置は5軸の制御が必要となって高価になる。また、突合わせ部が曲線状となる場合には、回転接合ツールの傾斜姿勢を変化させる必要があるため、その制御が難しいものとなる。更に、回転接合ツールには姿勢変更時に大きな曲げモーメントが加わるため、高強度が必要となる。高強度とするためには、材質の変更などコスト高となってしまう。また、接合条件のパラメータとして薄板被接合部材側への傾斜角度が加わると共に傾斜角に合わせてプローブの長さについても変化させる必要があり、パラメータが多くなることで操作が煩雑になる。
接合面が平坦ではなく凹曲面の被接合部材を摩擦攪拌接合するために用いる摩擦攪拌ツールが、特許文献3に記載されている。この摩擦攪拌ツールのショルダー部表面は、被接合部材の凹曲面に整合した凸曲面となっており、裏当材を被接合部材の外面に整合する凹曲面とすることで、凹曲面を有する被接合部材を接合可能にしている。しかしながら、接合裏面が平坦で板厚が異なる被接合部材の接合には、適用することはできない。
特許第2712838号公報 特許第3452018号公報 特開2005−205496号公報
本発明は、上記先行技術の問題に鑑みてなされたものであり、板厚が異なる被接合部材の摩擦攪拌接合において、制御が容易でコストも比較的廉価であり良好な接合強度を与える回転接合ツールと、操作が容易で良好な接合強度が得られる摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。
本発明は請求項1において、接合面に段差のある金属板からなる被接合部材の突合わせ部を摩擦攪拌接合するのに用いられる回転接合ツールであって、略円柱状の基部と、当該基部の被接合部材側に設けられたショルダー部と、当該ショルダー部の表面から前記基部と同心に垂下したプローブとを有し、前記ショルダー部の表面が突合わせ部に向けて凸曲面を成し、当該凸曲面において、その外周から中心に至り、かつ、当該回転接合ツールの回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝が形成され、前記プローブが突合わせ部の突合わせ面に対して平行に押し込まれると共に前記基部が被接合部材に接しない状態で回転しつつ突合わせ部に沿って移動することを特徴とする摩擦攪拌接合用の回転接合ツールとした。
本発明は請求項2において、前記凸曲面の曲率半径R(mm)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、前記基部の直径D(mm)が下記式(2)の関係を満たす回転接合ツールとした。
[{f+1.57t}/2f]≦R≦[{(g+f)+9(t+g)}/2(g+f)] (1)
D≧2{(2R−g−f)(g+f)}1/2 (2)
ここで、f:薄板接合部材におけるショルダー部の押込み量(mm)、t:薄板接合部材の厚さ(mm)、g:接合面の段差(mm)である。
本発明は請求項3において、前記基部が径大の本体部をショルダー部とは反対側に備える回転接合ツールとした。
本発明は請求項4において、接合面に段差のある金属板からなる被接合部材を突合わせ、回転接合ツールを回転させつつ突合わせ部に沿って移動させて被接合部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記回転接合ツールが、略円柱状の基部と、当該基部の被接合部材側に設けられたショルダー部と、当該ショルダー部の表面から前記基部と同心に垂下したプローブとを有し、前記ショルダー部の表面が突合わせ部に向けて凸曲面を成し、当該凸曲面において、その外周から中心に至り、かつ、当該回転接合ツールの回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝が形成され、前記プローブを突合わせ部の突合わせ面に対して平行に押し込むと共に前記基部を被接合部材に接しない状態で回転させつつ突合わせ部に沿って移動させることを特徴とする摩擦攪拌接合方法とした。
本発明は請求項5において、前記凸曲面の曲率半径R(mm)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、前記基部の直径D(mm)が下記式(2)の関係を満たす摩擦攪拌接合方法とした。
[{f+1.57t}/2f]≦R≦[{(g+f)+9(t+g)}/2(g+f)] (1)
D≧2{(2R−g−f)(g+f)}1/2 (2)
ここで、f:薄板接合部材におけるショルダー部の押込み量(mm)、t:薄板接合部材の厚さ(mm)、g:接合面の段差(mm)である。
本発明は請求項6において、前記基部が径大の本体部をショルダー部とは反対側に備える摩擦攪拌接合方法とした。
本発明に係る回転接合ツールは、板厚が異なる被接合部材の摩擦攪拌接合に用いられ、制御が容易でコストも比較的廉価であり良好な接合強度を与える。また、この回転接合ツールを用いる摩擦攪拌接合方法では、容易な操作を可能とし良好な接合強度が得られる。
本発明に係る回転接合ツールを表わす正面図である。 本発明に係る回転接合ツールのショルダー部表面の平面図である。 回転接合ツールを突合わせ部に挿入した状態を表わす説明図である。 厚板中に押し込まれるショルダー部の体積を求めるための説明図である。 厚板と薄板を突き合わせた状態を表わす斜視図である。 回転接合ツールを回転させながら下降させる状態を表わす斜視図である。 回転接合ツールを突合わせ部に挿入した状態を表わす斜視図である。 挿入した回転接合ツールを移動させて接合を実施している状態を表わす斜視図である。 回転接合ツールを回転させながら突合わせ部から抜き取っている状態を表わす斜視図である。 本発明に係る摩擦攪拌接合方法によって接合された接合部材の外観を表わす平面写真である。 本発明に係る摩擦攪拌接合方法によって接合された接合部材の断面を表わす顕微鏡写真である。 従来の摩擦攪拌接合方法を説明する斜視図である。 従来の摩擦攪拌接合方法に用いられる回転接合ツールの正面図である。 従来の摩擦攪拌接合方法を説明する斜視図である。
A.被接合部材
本発明に係る摩擦攪拌接合に適用できる被接合部材としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金などの板材が挙げられる。また、一方の被接合部材と他方の被接合部材が、同一組成の金属材料であっても、異なる組成の金属材料であってもよい。なお、アルミニウム合金としては、
1000系合金、2000系合金、3000系合金、5000系合金、6000系合金、7000系合金などが好適に用いられる。被接合部材の形状や寸法は特に制限されるものではないが、本発明は、板厚の異なる被接合部材同士の接合に関する。ただし、被接合部材の板厚は0.7mm以上が望ましい。0.7mm未満の板厚では、接合中の接合部周囲の材料の強度が不足し、接合中に接合周囲の材料が変形または破断してしまい、正常に撹拌できないためである。
B.回転接合ツール
図1(A)に示すように、本発明に係る回転接合ツール3は、略円柱状の基部33と、基部33の被接合部材側に設けられたショルダー部32と、ショルダー部32の表面から基部33と同心に垂下したプローブ31とを有する。ショルダー部32の表面は突合わせ部に向けて凸曲面を成し、その曲率半径(R)は、上記式(1)を満たす。ショルダー部32の直径は先端側ほど短くなり、基部33と接する部分で最大直径となる。このショルダー部32の最大直径は、基部33の直径に等しい。基部の直径(D)は、上記式(2)の関係を満たす。
本発明に係る回転接合ツール3を、図1(B)に示す形状としてもよい。この回転接合ツール3では、基部33が径大の本体部330をショルダー部32とは反対側に備えるものである。基部33とショルダー部32を一体の成形体とし、螺合等により本体部に取り外し可能とするものである。取り外し可能なので、ショルダー部32の洗浄やプローブ31の取り付けや取り外しが容易となるので、この形態の回転接合ツール3が好ましい。以下においては、図1(B)に示す回転接合ツール3を用いた場合について説明する。
プローブ31は、略円柱状を成す。ショルダー部32の表面から垂下するプローブ31の長さは、被接合部材の板厚よりも短い。プローブ31の直径は、被接合部材の板厚と等しいのが好ましい。プローブ31の外周面に、可塑化した金属の流動がより活発になるように攪拌翼としてネジ溝を設けても良い。但し、被接合部材の板厚が薄い場合には、ネジ溝を設ける必要性に乏しい。可塑化した金属の流動をより活発にするには、このようなネジ溝に代えて、プローブ31の側面を3面程度面取りした多平面としてもよい。ショルダー部32及びプローブ31は、接合される被接合部材よりも硬い金属材料、例えば、工具鋼などから形成されている。
図2(A)に示すように、ショルダー部32の表面にはその外周から中心に至り、かつ、回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝34、35が設けられる。図2(A)に示す例では、2つの渦状溝34、35が設けられている。回転接合ツール3を反時計回りで回転させて使用する場合、渦状溝34、35は時計回りに形成される。一方、回転接合ツール3を時計回りで回転させて使用する場合、渦状溝34、35は反時計回りに形成される。
図3に示すように、接合される二つの被接合部材として、板厚Tの厚板被接合部材11(以下、単に「厚板11」と記す)と板厚tの薄板被接合部材12(以下、単に「薄板12」と記す)が用いられる。厚板11の側面11aと薄板12の側面12aを突合わせ面として、11aと12aが密着するように突合わせて突合わせ部Jを形成する。回転接合ツール3は突合わせ面11a、12aに対して平行に押込まれる。これにより、直線での接合の場合には5軸の制御を不要とし、プローブの長さを傾斜角に合せて変化させる必要もなく、回転接合ツールの設計が簡便となる。
また、回転接合ツールの基部33は、厚板11及び薄板12に接触しておらず、ショルダー部32には1つ以上の溝が形成されております。これにより、ショルダー部32により押込まれた厚板11側において可塑化した金属がショルダー部32に設けられた溝34、35の内部に流入し、バリとして外部に排出されることを防止することができる。更に、ショルダー部32は、その一定面積において薄板12に接すると共に、厚板11ともその一定面積又は全面を接する。これにより、被接合材である厚板11と薄板12に対して、適切な入熱量をそれぞれ加えることができる。このように、ショルダー部32に設けた溝、ならびに、ショルダー部32が厚板11及び薄板12と所定面積で接触することにより、接合部においてトンネル欠陥等の接合不良を防止すると共に、接合部表面は、断面で見た時に厚板11と薄板12の表面が滑らかな曲線で繋ながれた表面となり、良好な接合材を得ることができる。
回転接合ツール3の構造は、上記式(1)及び(2)を満たすのが好ましい。式(1)を満たすことにより、図3に示すように、ショルダー部32が薄板12側に一定面積接すると共に、厚板11側においてもショルダー部32の一定面積又は全面が接触し、回転接合ツール3の基部33が厚板11及び薄板12に接触することなく押込まれる。また、両部材11、12に対して適切な入熱量を与えるための凸曲面の曲率半径Rを決定することができる。
また、基部33の直径Dを上記式(2)から決定すれば、図3に示すようにショルダー部32と厚板11の接触面の投影面の半径rが、1.25T≦r≦3Tの範囲になる。また、ショルダー部32と薄板12の接触面の投影面の半径rが1.25t≦r≦3tの範囲になる。ここで、T(mm)は厚板(接合部材)の厚さであり、t(mm)は薄板(接合部材)の厚さである。接合面の段差をg(mm)とすると、T=t+gとなる。これらの条件は、本発明者が研究及び実験に基づき得られたもので、健全な接合が可能となるショルダー部接触面積の範囲である。但し、押込み量fは薄板12の板厚tの1/10以下になるように設定することが望ましい。これを超える押込み量は、バリの量を増加させる。
C.式(1)、(2)の解析
以下に式(1)、(2)の詳細な説明を示す。図3よりrとRの関係は以下のようになる。
Rcosθ=R−(g+f)、Rsinθ=r
ここで、sinθ+cosθ=1であることから、
(1/R)(R−g−f)+(r /R)=1
−2R(g+f)+(g+f)+r =R
R=[{(g+f)+r }/2(g+f)] (3)
また、rとRの関係は以下のようになる。
Rcosψ=R−f、Rsinψ=r
先と同様に、以下の式が導かれる。
R=(f+r )/2f (4)
ここで、rとrは、上述のようにT、tとの関係で実験的に得られるものであり、1.25T≦r≦3T、1.25t≦r≦3tであるから、上記式(3)、(4)から下記式が得られる。
[{(g+f)+1.57T}/2(g+f)]≦R≦[{(g+f)+9T}/2(g+f)]
{(f+1.57t)/2f}≦R≦{(f+9t)/2f}
ここで、薄板12と厚板11の関係はT=t+gであり、0<g<4.85t、0<f<1であるとすると、上記式(1)が導かれる。
以上の範囲からRを決定すると、図3から分かるように、ショルダー部の直径はrの2倍であることから、以下の式(2)になる。
(1/R)(R−g−f)+(r /R)=1
=R−(R−g−f)
=(2R−g−f)(g+f)
2r=2{(2R−g−f)(g+f)}1/2
よって、押込み量fの時に両板11、12に対して共にショルダー部の凸曲面のみで接触するためには、基部33の直径をDとして以下のようになる。
D≧2{(2R−g−f)(g+f)}1/2 (2)
D.ショルダー部端面に形成される溝
また、図2(A)に示すように、厚板11及び薄板12の可塑化した金属がショルダー部32に設けられた溝34、35の内部に流入し、バリとして外部に排出されることが抑制される。すなわち、厚板及び薄板の金属は、接合中にショルダー部32との摩擦により可塑化し、ショルダー部32が押し込まれることにより溝34、35内に流入し、溝内に適宜保持されて接合部位に留まる。溝としては、図示のような渦状溝に限定されるものではなく、非渦状溝であっても良い。また、渦状溝としては、図示するようなアルキメデスの螺旋曲線を2つ組み合わせたものに限られるものではなく、フェルマーの螺旋、インボリュート曲線のように、中心から外方へ緩やかな曲線状に旋回しているものであればよい。また、同様の効果が得られるヘリングボーン溝を設けても良い。この溝の断面形状は、加工する工具により、角型、U字型、半円型等が可能であるが、これらに限定されるものではない。前述のような溝を1つ以上組み合わせることによって、接合中に可塑化した厚板金属を効果的にショルダー部内に留めることができる。
次に、上記溝について具体的な事例を示す。前述のように、溝34、35を設ける目的は、ショルダー部が被接合部材の突合わせ部に押し込まれるによって厚板11から押し出される可塑化した金属をバリとして排出させないためである。
ます、ショルダー部32が厚板11中に押し込まれる体積Vを、図4に基づいて求める。不図示の微小体積dVは、次式で表される。
dV=(1/2)π{R−(R−r)}dr=(1/2)πr(2Rr−r)dr
これを積分して、
=∫dV=(1/2)∫πr(2R−r)dr=(1/2)g{R−(g/3)}が得られる。この式で、第2番目の∫では0からgまで積分する。なお、g=T−tで表される。ここで、渦状溝の体積がこのVよりも大きければ、バリ発生を防止することができる。
D−1.アルキメデスの螺旋曲線による渦状溝
以下では、渦状溝の具体例として、アルキメデスの螺旋曲線を2本用いた場合について示す。なお、本発明はこの具体例に限定されるものではない。図2(A)、(B)に示す螺旋状溝34、35は、図3に基づき下記式により表すことができる。
(渦状溝34)
=r+{(r−r)/2Nπ}θ・・・渦状溝34内縁曲線
'=r+h+{(r−r)/2Nπ}θ・・・渦状溝34外縁曲線
(渦状溝35)
=−[r+{(r−r)/2Nπ}θ]・・・渦状溝35内縁曲線、
'=−[r+h+{(r−r)/2Nπ}θ]・・・渦状溝35外縁曲線
ここで、r'、r、r'については、図示していない。また、N:渦周回数、h:溝幅、r:ショルダー部径、r:プローブ径である。
また、図2(A)に示す渦状溝34と35の間隔δは、下記式で表される。
δ=r+{(r−r)/2Nπ}2Nπ−r−h−{(r−r)/2Nπ}(2n−1)π={(r−r)/2N}−h
−r=2N(δ+h)
N={(r−r)/2(δ+h)} (5)
ここで、渦状溝34と35は同一形状なので、両渦状溝の微小面積dSは以下となる。
dS=2×(1/2)(r'dθ−r dθ)={(r+h)−r }dθ=h(2r+h)dθ
ここで、渦状溝の深さをdとすると、溝の体積Vは以下となる。
V=d∫ds=d∫h(2r+h)dθ=dh∫[2r+{(r−r)/Nπ}θ+h]dθ=dh[2rθ+hθ+{(r−r)/2Nπ}θ]=2dhNπ(2r+h+r−r)=2dhNπ(r+r+h)、この式で、全て積分範囲は0から2Nπまでである。
そこで、回転ツールが1回転するときに渦状溝に巻き込まれる体積VがVよりも大きくなるように、V>Vとすると、
≧{g(3R−g)}/{12hN(r+r+h)} (6)
となり、式(5)、(6)を用いて、実際の加工が可能となるような溝を選択することができる。実際の加工では溝の幅と間隔はコスト等を考慮すると、h≧0.5mm、δ≧0.5mmであり、式(5)から周回数Nが1以上になるように、h、δ、Nを決定し、式(6)から溝の深さdを決定する。
但し、この時のdも実際の加工におけるコスト等の制限があり、その範囲を満たすようなdとなるように式(5)を満たす範囲でh、δ、Nを決定する。図2に示す渦状溝34、35は時計回りであるが、溝の寸法を決定する上では反時計回りでも構わない。
D−2.フェルマーの螺旋曲線による渦状溝
次に、フェルマーの螺旋についても検討する。フェルマーの螺旋曲線は下記式で表される。
(渦状溝34)
=(r θ/2Nπ)1/2・・・渦状溝34内縁曲線
'=(r θ/2Nπ)1/2+h・・・渦状溝34外縁曲線
(渦状溝35)
=−(r θ/2Nπ)1/2・・・渦状溝35内縁曲線
'=−(r θ/2Nπ)1/2−h・・・渦状溝35外縁曲線
ここで、r、r'、r、r'、N、h、rは、上記アルキメデスの螺旋曲線についてのものと同じである。
また、渦状溝1と2の間隔δは、下記式で表される。
δ=(r (n+π)/2Nπ)1/2−(r n/2Nπ)1/2−h
ここで、nは任意の整数であり、0<n≦Nである。これらの渦状溝では、渦状溝34と35の間隔δは一定でなく外側に進むにつれ狭まっていくことから、n+π=2Nπの時にδ>0となるため、
h≦(r /2Nπ)1/2{(2Nπ)1/2−(2(N−1)π)1/2} (7)
となる。さらに、上記アルキメデスの螺旋の場合と同じように、渦状溝の微小面積dSは下記式で表される。
dS=2×(1/2)(r'dθ−r dθ)={(r+h)−r }dθ=h(2r+h)dθ
同様に、渦状溝の深さをdとすると溝の体積Vは以下となる。
V=d∫ds=d∫h(2r+h)dθ=dh∫{(r θ/Nπ)1/2+h}dθ=dh[{(2r /Nπ)1/2}{(2/3)θ3/2}+hθ]=dh{(8/3)Nπr+2Nπh}=(2/3)dhNπ(4r+3h)、この式で、全て積分範囲は0から2Nπまでである。
そこで、回転工具が1回転するときに渦状溝に巻き込まれる体積VがVよりも大きくなるように、V>Vとすると、
≧{g(3R−g)}/{2hN(4r+3h)} (8)
となり、式(7)、(8)を用いて、実際の加工が可能となるような溝を選択することができる。実際の加工では溝の幅はコスト等を考慮すると、h≧0.5mm、δ≧0.5mmであり、式(7)から周回数Nが1以上になるように、h、δ、Nを決定し、式(8)から溝の深さdを決定する。
但し、この時のdも実際の加工におけるコスト等の制限があり、その範囲を満たすようなdとなるように式(7)を満たす範囲でh、δ、Nを決定する。図2に示す渦状溝34、35は時計回りであるが、溝の寸法を決定する上では反時計回りでも構わない。
E.摩擦攪拌接合方法
次に、本発明に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。ここでは、板厚が異なる板状部材を直線状に接合し繋ぎ合せる場合について説明する。
図5に示すように、接合される二つの被接合部材として、厚板11薄板12を用意する。突合わせ面11a、12aが密着するように突合わせて突合わせ部Jを形成する。薄板12を回転接合ツール3の回転方向と接合方向が一致する側(後述する前進側)に、厚板11をその反対側(後述する後退側)になるようにして、両板材を裏当て板材2の上に載置した。厚板11と薄板12の裏面は、平坦な面一にする。次いで、厚板11と薄板12とを、不図示のクランプなどによって裏当て板材2に対して固定する。
図6に示すように、回転接合ツール3を図中矢印の方向に回転させながら図中矢印の方向に下降させ、図7に示すように、厚板11と薄板12の突合わせ部Jにプローブ(不図示)を挿入し、ショルダー部32を突合わせ部Jの厚板11と薄板12厚板に押し付ける。この際、プローブは、突合わせ面11aと12aと平行に挿入される。
その後、図8に示すように、回転接合ツール3を図中の矢印で示す接合方向に移動させる。ショルダー部32は回転した状態で、厚板11と薄板12に接触する。これにより、厚板11と薄板12は加熱され塑性化して流動する。塑性化流動した金属は、ショルダー部32の凸曲面と渦状溝34、35によって上から押さえられ外部への飛散が防止される。また、プローブ(不図示)は、回転した状態で厚板11と薄板12と接触することで両板材を塑性化流動させると共に、両板材を攪拌する役割を担う。このようにして、厚板11と薄板12の突合わせ部Jが摩擦攪拌接合される。次に、図9に示すように、接合長全長に渡って摩擦攪拌接合した後、回転接合ツール3を厚板11と薄板12の突合わせ部Jから引き抜いて摩擦攪拌接合工程を終了させる。なお、図5〜9に示す回転接合ツール3は、図1(A)のものである。
なお、回転接合ツール3の回転速度は、回転接合ツール3の寸法・形状、厚板11と薄板12の材質や板厚に応じて設定されるものであるが、多くの場合、1000rpm〜3000rpmの範囲で設定される。
本発明に係る摩擦攪拌接合によれば、厚板11を後退側に、薄板12を前進側に配置し、回転接合ツール3を薄板12側へ傾斜させることなく、板厚が異なる厚板11と薄板12を摩擦攪拌接合することが可能となり、良好な差厚接合部材を簡便な方法で得ることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、回転接合ツールを薄板12側へ傾斜させることなく、接合方向に対して後方側へ1〜3°程傾斜させてもよい。また、厚板11を前進側に、薄板12を後退側に配置してもよい。但し、この場合は発生するバリの量が大きくなることがある。
また、上記実施形態では被接合部材として板材を用いたが、突合わせ部において表面が面一でなく段差がある押出材同士を接合することも可能である。この場合においても、本発明に係る摩擦攪拌用の回転接合ツールを用い、本発明に係る摩擦攪拌接合方法を実施することができる。
図14に示すような従来の方法に比べて、本発明に係る摩擦攪拌接合方法では、回転接合ツールを薄板側に傾斜させる必要がない。接合条件のパラメータは通常の摩擦攪拌接合と同じであるので、直線の接合であれば、5軸の制御は不要である。さらに、プローブの長さについても傾斜角に合せて変化させる必要がないため、回転接合ツールの設計も簡便である。
また、回転接合ツールの凸曲面が厚板側及び薄板側の板材それぞれに対して任意の面積にて接触させることができる。その結果、厚板及び薄板のそれぞれに対して適切な入熱量を加えることが可能となり、従来方法のように回転接合ツールを薄板側に傾斜させることなく良好な接合を可能とする。
本発明に係る摩擦攪拌接合方法によって接合されるテーラードブランク板材は、様々な金属からなる厚板と薄板が突合わせ面に沿って空孔などのトンネル欠陥等がない健全で良好な接合部により強固に接合される。従って、自動車のテーラードブランク板材として用いることにより、十分な剛性を確保しつつ軽量化することができ、さらに成形時に屑が発生することが有効に抑制される。
以下において、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜6
被接合部材の厚板として厚さ2.0mmのアルミニウム合金A6022−T4板材と、薄板として厚さ1.0mmのアルミニウム合金A6022−T4板材を用いた。これら板材を摩擦攪拌接合方法によって差厚接合した。母材として使用したA6022−T4板材の引張強度はJIS Z 2241に従って測定したところ236MPa(母材1)であった。
先ず、板厚2.0mmと1.0mmの組合せにおいて、ショルダー部表面の曲率半径R
の範囲を上記式(1)から求める。
ここで、厚板側の板厚T=2.0mm、板厚差g=1.0mmであり、押込み量fは薄板側の板厚の1/10になるようf=0.1mmとすると、Rの範囲は式(1)より、7.9≦R≦16.9となる。
実施例では、上記範囲内にある3種類の曲率半径R=8.0、10.0、16.0mmのショルダー部凸曲面を有する回転接合ツールを使用した。それぞれの曲率半径Rにおける基部の直径Dを上記式(2)から計算すると、それぞれ基部直径D≧8.1、9.1、11.7mmとなることから、D=8.2、9.2、12.0mmとした。
ショルダー部に設けられる溝には、上記アルキメデスの曲線を用いた。プローブ径は薄板側の板厚と同じr=1.0mmとした。アルキメデスの曲線からなる渦状溝を2本設けた。それぞれの渦形状について計算する。
R=8.0mmの場合、溝幅hをh=0.5、1.0mmの2条件、それぞれの渦の周回数Nを1.5、1.0とする。r=D/2としてこれら条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上であり、実際の加工に問題がないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.31、0.46mmとなり、両方共d=0.5mmとした。
R=10.0mmの場合、溝幅hをh=1.0、0.5mmの2条件、それぞれの溝の周回数Nを1.0、2.0とする。r=D/2としてこれら条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上となり、実際の加工に問題ないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.37、0.40mmとなり、両方ともd=0.5mmとした。
次にR=16.0mmの場合、溝幅hをh=1.0、0.7mmの2条件、それぞれの溝の周回数Nを1.5.2.0とする。r=D/2としてこの条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上となり、実際の加工に問題ないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.33、0.36mmとなり、両方ともd=0.5mmとした。以上の回転接合ツール1〜6のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径、ショルダー部の渦状溝の周回数、溝幅と溝深さを表1にまとめた。
Figure 2012086267
プローブ径(半径)を1.0mmとしたので、プローブの直径は2.0mmである。押込み量fをf=0.1mmとしたことから、プローブの長さを0.8mmと決定した。また、プローブの長さ及び直径が小さいことから、プローブの外周面にネジを切らず、その側面の3箇所120°毎を0.2mm切削し平面とした。
接合する厚板と薄板は、幅150mm、長さ400mmにそれぞれ切断し、長辺同士を突合わせ接合して、突合わせ後の形状が幅300mm、長さ400mmとなるようにした。
上記6種類の回転接合ツール(1)〜(6)を用いて、回転速度:2500rpm、接合速度:1000mm/分の条件で、厚板と薄板を摩擦攪拌接合した。接合中、回転接合ツールは両板材のいずれの側にも傾けることなく、接合方向に対して後方に0.5°傾けた。また、回転接合ツールは半時計回りに回転させ、回転接合ツールの回転方向と接合方向が一致する側に薄板を、回転接合ツールと接合方向が反対になる側に厚板を配置した。
このようにして摩擦攪拌接合された接合材の継手強度を測定するために、各接合材からJIS 5号型の試験片を切り出して試料とした。この試料は、母材同士の接合線が試験片の中心において、後述する引張試験における引張方向に対して接合線が垂直となるように切り出されたものである。各試験片について、常温で、JIS Z 2241に従って引張試験を行なって引張強度を測定した。この引張強度を継手強度とした。また、母材強度に対する引張強度の比を継手効率とした。継手強度と継手効率を表2に示す。
Figure 2012086267
比較例1〜4
実施例1〜6で用いたのと同じ厚板と薄板を被接合部材として用い、実施例1〜6とは異なる下記の4種類の回転接合ツールを用いて摩擦攪拌接合試験を行なった。
用いた回転接合ツールは、ショルダー部の凸曲面の曲率半径R=7.0mmでショルダー部直径D=8.0mm、渦状溝の幅h=1.0mm、渦の周回数をN=1.0、溝深さd=0.5mmである回転接合ツール7と、曲率半径R=20.0mmでショルダー部直径D=14.0mm、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=2.0、溝深さd=0.5mmである回転接合ツール8と、曲率半径R=8.0mmでショルダー部直径D=8.0mm、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=1.0、溝深さd=0.5mmである回転接合ツール9と,曲率半径R=16.0mmでショルダー部直径D=10.0mm、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=1.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール10である。回転接合ツール(7)〜(10)のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径とを、表1にまとめた。なお、それぞれのプローブの形状は回転接合ツール(1)〜(6)と同じである。
実施例1〜6と同じ条件で、摩擦攪拌接合試験を行なった。得られた接合材についても実施例1〜6と同様にして、継手強度を測定し継手効率を求めた。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜6では、継手強度が母材強度と同じで何れも薄板側で破断し、継手効率が100%となり高強度の接合材が得られた。なお、図10は、実施例3において接合した接合材の外観のマクロ写真であるが、厚板11と薄板12が、表面において接合部4により良好に接合されていることが分かる。なお、図10の左側のスケールの最小目盛りは1mmである。また、図11は、実施例3において接合した接合材の断面を表わすミクロ写真であるが、厚板11と薄板12が、断面においても接合部4により良好に接合されていることが分かる。このように、本発明において規定されるショルダー部構造を有する回転接合ツールを用いて接合されたアルミニウム接合材は、良好な継手特性を有することが明確になった。
一方、比較例1〜4では何れも継手効率が95%以下であり、薄板側の母材又は接合部にて破断し、高強度の接合材は得られなかった。
具体的には、比較例1では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが小さ過ぎたため、薄板材への入熱が不十分になったため内部欠陥が発生し、継手強度が劣った。
比較例2では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが大き過ぎたため、両材料への入熱が大きくなり、熱影響が大きくなり継手強度が劣った。
比較例3、4では、基部直径が小さ過ぎたため、厚板側に基部が接触し、バリが多く発生し、接合部への材料の流動が不十分となり接合部の板厚が減少したため、継手強度が劣った。
実施例7〜12
被接合部材の厚板として厚さ2.0mmのアルミニウム合金A5182−O板材と、薄板として厚さ0.9mmのアルミニウム合金A5182−O板材を用いた。これら板材を摩擦攪拌接合方法によって差厚接合した。母材として使用したA5182−O板材の引張強度はJIS Z 2241に従って測定したところ272MPa(母材2)であった。
先ず、板厚2.0mmと0.9mmの組合せにおいて、ショルダー部表面の曲率半径Rの範囲を上記式(1)から求める。
ここで、厚板側の板厚T=2.0mm、板厚差g=1.1mmであり、押込み量fは薄板側の板厚の1/10になるようf=0.1mmとすると、Rの範囲は式(1)より、6.4≦R≦15.6となる。
実施例では、上記範囲内にある3種類の曲率半径R=7.0、11.0、15.0mmのショルダー部凸曲面を有する回転接合ツールを使用した。それぞれの曲率半径Rにおける基部の直径Dを上記式(2)から計算すると、それぞれ基部直径D≧7.8、10、11.8mmとなることから、D=8.0、10.0、12.0mmとした。
ショルダー部に設けられる溝には、上記アルキメデスの曲線を用いた。プローブ径は薄板側の板厚に近い値のr=1.0mmとした。アルキメデスの曲線からなる渦状溝を2本設け、それぞれの渦形状について計算する。
R=7.0mmの場合、溝幅hをh=1.0、0.5mmの2条件、それぞれの渦の周回数Nを1.0、1.5とする。r=D/2としてこれら条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上であり、実際の加工に問題がないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.28、0.40mmとなり、ぞれぞれd=0.3、0.5mmとした。
R=11.0mmの場合、溝幅hをh=1.0、0.5mmの2条件、それぞれの渦の周回数Nを1.0、2.0とする。r=D/2としてこれら条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上であり、実際の加工に問題がないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.38、0.41mmとなり、両方ともd=0.5mmとした。
次にR=15.0mmの場合、溝幅hをh=1.0、0.7mmの2条件、それぞれの渦の周回数Nを1.5、2.0とする。これら条件における溝間隔δを式(5)から計算すると全て0.5mm以上であり、実際の加工に問題がないことが確認できた。また、それぞれの溝深さdを式(6)から計算すると、d≧0.31、0.34mmとなり、両方ともd=0.4mmとした。以上の回転接合ツール11〜16のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径、ショルダー部の渦状溝の周回数、溝幅と溝深さを表1にまとめた。
プローブの直径は2.0mmであり、押込み量fをf=0.1mmとしたことから、プローブの長さは0.7mmと決定した。また、プローブの長さ及び直径が小さいことから、プローブの外周面にネジを切らず、その側面の3箇所120°毎を0.2mm切削し平面とした。
接合する厚板と薄板は、幅150mm、長さ400mmにそれぞれ切断し、長辺同士を突合わせ接合して、突合わせ後の形状が幅300mm、長さ400mmとなるようにした。
上記6種類の回転接合ツール(11)〜(16)を用いて、回転速度:2500rpm、接合速度:1000mm/分の条件で、厚板と薄板を摩擦攪拌接合した。接合中、回転接合ツールは両板材のいずれの側にも傾けることなく、接合方向に対して後方に0.5°傾けた。また、回転接合ツールは半時計回りに回転させ、回転接合ツールの回転方向と接合方向が一致する側に薄板を、回転接合ツールと接合方向が反対になる側に厚板を配置した。
このようにして摩擦攪拌接合された接合材の継手強度を測定するために、各接合材からJIS 5号型の試験片を切り出して試料とした。この試料は、母材同士の接合線が試験片の中心において、後述する引張試験における引張方向に対して接合線が垂直となるように切り出されたものである。各試験片について、常温で、JIS Z 2241に従って引張試験を行なって引張強度を測定した。この引張強度を継手強度とした。また、母材強度に対する引張強度の比を継手効率とした。継手強度と継手効率を表2に示す。
比較例5〜8
実施例7〜12で用いたのと同じ厚板と薄板を被接合部材として用い、実施例7〜12とは異なる下記の4種類の回転接合ツールを用いて摩擦攪拌接合試験を行なった。
用いた回転接合ツールは、ショルダー部の凸曲面の曲率半径R=5.0mmでショルダー部直径D=7.0mm、渦状溝の幅h=0.7mm、渦の周回数をN=1.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール17と、曲率半径R=34.0mmでショルダー部直径D=25.0mm、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=3.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール18と、曲率半径R=16.0mmでショルダー部直径D=15.0mm、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=1.5、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール19と,曲率半径R=33.0mmでショルダー部直径D=22.0mmで、渦状溝の幅1.0mm、渦の周回数をN=3.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール20である。回転接合ツール17〜20のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径とを、表1にまとめた。なお、それぞれのプローブの形状は実施例と同じである。
実施例7〜12と同じ条件で、摩擦攪拌接合試験を行なった。得られた接合材についても実施例7〜12と同様にして、継手強度を測定し継手効率を求めた。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例7〜12では、継手強度が母材強度と同じで何れも薄板側で破断し、継手効率が100%となり高強度の接合材が得られた。このように、本発明において規定されるショルダー部構造を有する回転接合ツールを用いて接合されたアルミニウム接合材は、良好な継手特性を有することが明確になった。
一方、比較例5〜8では何れも継手効率が93%以下であり、薄板側の母材又は接合部にて破断し、高強度の接合材は得られなかった。
具体的には、比較例5では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが小さ過ぎたため、薄板材への入熱が不十分になったため内部欠陥が発生し、継手強度が劣った。
比較例6では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが大き過ぎたため、両材料への入熱が大きくなり、熱影響が大きくなり継手強度が劣った。
比較例7、8では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが大きすぎる上、基部直径が小さかったため、厚板側に基部が接触し、バリが多く発生し、接合部への材料の流動が不十分となり接合部の板厚が減少したため、継手強度が劣った。
実施例13〜15
被接合部材の厚板として厚さ4.0mmのアルミニウム合金A6061−T4板材と、薄板として厚さ1.0mmのアルミニウム合金A6061−T4板材を用いた。これら板材を摩擦攪拌接合方法によって差厚接合した。母材として使用したA6061−T4板材の引張強度はJIS Z 2241に従って測定したところ241MPa(母材3)であった。
先ず、板厚4.0mmと1.0mmの組合せにおいて、ショルダー部表面の曲率半径Rの範囲を上記式(1)から求める。
ここで、厚板側の板厚T=4.0mm、板厚差g=3.0mmであり、押込み量fは薄板側の板厚の1/10になるようf=0.1mmとすると、Rの範囲は式(1)より、7.9≦R≦24.8となる。
実施例では、上記範囲内にある3種類の曲率半径R=8.0、16.0、24.0mmのショルダー部凸曲面を有する回転接合ツールを使用した。それぞれの曲率半径Rにおける基部の直径Dを上記式(2)から計算すると、それぞれ基部直径D≧12.6、18.9、23.6mmとなることから、D=14.0、20.0、24.0mmとした。
ショルダー部に設けられる溝には、上記アルキメデスの曲線を用いた。プローブ径は薄板側の板厚と同じr=1.0mmとした。アルキメデスの曲線からなる渦状溝を2本設け、R=8.0、16.0、24.0mmにおいて、それぞれの渦の周回数Nを、N=2.0、3.0、2.0とした。上記式(5)において、r=D/2、r=1.0mmとし、溝幅それぞれ、h=1.0、1.0、2.0mmとして、溝間隔δを計算するとR=8.0mmではδ=0.5mm、R=16.0mmではδ=0.5m、R=24.0mmではδ=0.75mmを得る。また、上記式(6)から、R=8.0mmではd≧0.88mm、R=16.0mmではd≧0.94mmとなり、R=24.0mmではd≧0.86mmとなる。よって全てd=1.0mmと決定した。以上の回転接合ツール21〜23のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径とを、表1にまとめた。
プローブの直径は2.0mmであり、押込み量fをf=0.1mmとしたことから、プローブの長さは0.8mmと決定した。また、プローブの長さ及び直径が小さいことから、プローブの外周面にネジを切らず、その側面の3箇所120°毎を0.2mm切削し平面とした。
接合する厚板と薄板は、幅150mm、長さ400mmにそれぞれ切断し、長辺同士を突合わせ接合して、突合わせ後の形状が幅300mm、長さ400mmとなるようにした。
上記3種類の回転接合ツール(21)〜(23)を用いて、回転速度:2500rpm、接合速度:1000mm/分の条件で、厚板と薄板を摩擦攪拌接合した。接合中、回転接合ツールは両板材のいずれの側にも傾けることなく、接合方向に対して後方に0.5°傾けた。また、回転接合ツールは半時計回りに回転させ、回転接合ツールの回転方向と接合方向が一致する側に薄板を、回転接合ツールと接合方向が反対になる側に厚板を配置した。
このようにして摩擦攪拌接合された接合材の継手強度を測定するために、各接合材からJIS 5号型の試験片を切り出して試料とした。この試料は、母材同士の接合線が試験片の中心において、後述する引張試験における引張方向に対して接合線が垂直となるように切り出されたものである。各試験片について、常温で、JIS Z 2241に従って引張試験を行なって引張強度を測定した。この引張強度を継手強度とした。また、母材強度に対する引張強度の比を継手効率とした。継手強度と継手効率を表2に示す。
比較例9〜12
実施例13〜15で用いたのと同じ厚板と薄板を被接合部材として用い、実施例13〜15とは異なる下記の4種類の回転接合ツールを用いて摩擦攪拌接合試験を行なった。
用いた回転接合ツールは、ショルダー部の凸曲面の曲率半径R=6.0mmでショルダー部直径D=12.0mm、渦状溝の幅h=2.0mm、渦の周回数をN=1.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール24と、曲率半径R=26.0mmでショルダー部直径D=26.0mm、渦状溝の幅h=2.0mm、渦の周回数をN=2.0、溝深さd=1.0mmである回転接合ツール25と、曲率半径R=8.0mmでショルダー部直径D=12.0mm、渦状溝の幅h=1.0mm、渦の周回数をN=1.5、溝深さd=1.5mmである回転接合ツール26と、曲率半径R=24.0mmでショルダー部直径D=20.0mmで、渦状溝の幅h=1.0mm、渦の周回数をN=2.0、溝深さd=2.5mmである回転接合ツール27である。回転接合ツール24〜27のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径とを、表1にまとめた。なお、それぞれのプローブの形状は実施例13〜15と同じである。
実施例13〜15と同じ条件で、摩擦攪拌接合試験を行なった。得られた接合材についても実施例13〜15と同様にして、継手強度を測定し継手効率を求めた。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例13〜15では、継手強度が母材強度と同じで何れも薄板側で破断し、継手効率が100%となり高強度の接合材が得られた。このように、本発明において規定されるショルダー部構造を有する回転接合ツールを用いて接合されたアルミニウム接合材は、良好な継手特性を有することが明確になった。
一方、比較例9〜12では何れも継手効率が91%以下であり、薄板側の母材又は接合部にて破断し、高強度の接合材は得られなかった。
具体的には、比較例9では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが小さ過ぎたため、薄板材への入熱が不十分になったため内部欠陥が発生し、継手強度が劣った。
比較例10では、ショルダー部の凸曲面の曲率半径Rが大き過ぎたため、両材料への入熱が大きくなり、熱影響が大きくなり継手強度が劣った。
比較例11、12では、基部直径が小さ過ぎたため、厚板側に基部が接触し、バリが多く発生し、接合部への材料の流動が不十分となり接合部の板厚が減少したため、継手強度が劣った。
実施例21〜23
被接合部材の厚板として厚さ2.0mmのアルミニウム合金A6022−T4板材と、薄板として厚さ0.9mmのアルミニウム合金A5182−O板材を用いた。これら板材を摩擦攪拌接合方法によって差厚接合した。母材として使用したA6022−T4板材とA5182−O板材の引張強度はJIS Z 2241に従って測定したところそれぞれ、236MPa(母材1)、272MPa(母材2)であった。
先ず、板厚2.0mmと0.9mmの組合せにおいて、ショルダー部表面の曲率半径Rの範囲を上記式(1)から求める。
ここで、厚板側の板厚T=2.0mm、板厚差g=1.1mmであり、押込み量fは薄板側の板厚の約1/10になるようf=0.1mmとすると、Rの範囲は式(1)より、6.4≦R≦15.6となる。
実施例では、上記範囲内にある3種類の曲率半径R=8.0、12.0、15.0mmのショルダー部凸曲面を有する回転接合ツールを使用した。それぞれの曲率半径Rにおける基部の直径Dを上記式(2)から計算すると、それぞれ基部直径D≧8.4、10.5、11.8mmとなることから、D=9.0、12.0、14.0mmとした。
ショルダー部に設けられる溝には、上記アルキメデスの曲線を用いた。プローブ径は薄板側の板厚とほぼ等しいr=1.0mmとした。アルキメデスの曲線からなる渦状溝を2本設け、それぞれの渦形状について計算する。
R=8.0mmの場合、溝幅hを1.0mm、溝の周回数Nを1.0とする。r=D/2として溝間隔δを式(5)から計算するとδ=0.75mmとなり、0.5mm以上なので実際の加工に問題ないことが確認できた。また、dを式(6)から計算するとd≧0.36mmとなり、d=1.0mmと決定した。
R=12.0mmの場合、溝幅hを1.0mm、溝の周回数Nを1.5とする。r=D/2として溝間隔δを式(5)から計算するとδ=0.67mmとなり、0.5mm以上なので実際の加工に問題ないことが確認できた。また、dを式(6)から計算するとd≧0.28mmとなり、d=1.0mmと決定した。
R=15.0mmの場合、溝幅hを1.0mm、溝の周回数Nを2.0とする。r=D/2として溝間隔δを式(5)から計算するとδ=0.50mmとなり実際の加工に問題ないことが確認できた。また、dを式(6)から計算するとd≧0.47mmとなり、d=1.0mmと決定した。以上の回転接合ツール28〜30のショルダー部凸曲面の曲率半径と基部の直径、ショルダー部の渦状溝の周回数、溝幅と溝深さを表1にまとめた。
プローブの直径は2.0mmであり、押込み量fをf=0.1mmとしたことから、プローブの長さは0.8mmと決定した。また、プローブの長さ及び直径が小さいことから、プローブの外周面にネジを切らず、その側面の3箇所120°毎を0.2mm切削し平面とした。
接合する厚板と薄板は、幅150mm、長さ400mmにそれぞれ切断し、長辺同士を突合わせ接合して、突合わせ後の形状が幅300mm、長さ400mmとなるようにした。
上記3種類の回転接合ツール(28)〜(30)を用いて、回転速度:2500rpm、接合速度:1000mm/分の条件で、厚板と薄板を摩擦攪拌接合した。接合中、回転接合ツールは両板材のいずれの側にも傾けることなく、接合方向に対して後方に0.5°傾けた。また、回転接合ツールは半時計回りに回転させ、回転接合ツールの回転方向と接合方向が一致する側に薄板を、回転接合ツールと接合方向が反対になる側に厚板を配置した。
このようにして摩擦攪拌接合された接合材の継手強度を測定するために、各接合材からJIS 5号型の試験片を切り出して試料とした。この試料は、母材同士の接合線が試験片の中心において、後述する引張試験における引張方向に対して接合線が垂直となるように切り出されたものである。各試験片について、常温で、JIS Z 2241に従って引張試験を行なって引張強度を測定した。この引張強度を継手強度とした。また、母材強度に対する引張強度の比を継手効率とした。継手強度と継手効率を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例16〜18では、継手強度が薄板母材強度(母材2)と同じで何れも薄板側で破断し、継手効率が100%となり高強度の接合材が得られた。このように、本発明において規定されるショルダー部構造を有する回転接合ツールを用いて接合されたアルミニウム接合材は、良好な継手特性を有することが明確になった。
本発明により、板厚が異なる被接合部材の摩擦攪拌接合において、制御が容易でコストも比較的廉価であり良好な接合強度を与える回転接合ツールが得られ、それを用いて操作が容易で良好な接合強度が得られる摩擦攪拌接合方法が達成される。
1・・・被接合部材
11・・・厚板被接合部材(厚板)
12・・・薄板被接合部材(薄板)
11a・・・厚板被接合部材の突合わせ面
12a・・・薄板被接合部材の突合わせ面
2・・・裏当て板
3・・・回転接合ツール
31・・・プローブ
32・・・ショルダー部
33・・・基部
330・・・本体部
34、35・・・(渦状)溝
4・・・接合材の接合部
・・・渦状溝の深さ
D・・・基部の直径
f・・・薄板接合部材におけるショルダー部の押込み量(mm)
g・・・接合面の段差
h・・・溝幅
J・・・突合わせ部
N・・・渦周回数
・・・ショルダー部と厚板の接触面の投影面の半径
・・・プローブ径
・・・ショルダー部と薄板の接触面の投影面の半径
R・・・凸曲面の曲率半径
t・・・薄板接合部材の厚さ
T・・・厚板接合部材の厚さ
V・・・(渦状)溝の体積
・・・厚板中に押し込まれるショルダー部の体積
δ・・・渦状溝の間隔
θ・・・図3において、回転接合ツールを押込量f押込んだ際に、ショルダー表面と厚板表面の接点とショルダーの曲面の中心を結んだ線分と突合わせ面がなす角度
ψ・・・図3において、回転接合ツールを押込量f押込んだ際に、ショルダー表面と薄板表面の接点とショルダーの曲面の中心を結んだ線分と突合わせ面がなす角度

Claims (6)

  1. 接合面に段差のある金属板からなる被接合部材の突合わせ部を摩擦攪拌接合するのに用いられる回転接合ツールであって、略円柱状の基部と、当該基部の被接合部材側に設けられたショルダー部と、当該ショルダー部の表面から前記基部と同心に垂下したプローブとを有し、前記ショルダー部の表面が突合わせ部に向けて凸曲面を成し、当該凸曲面において、その外周から中心に至り、かつ、当該回転接合ツールの回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝が形成され、前記プローブが突合わせ部の突合わせ面に対して平行に押し込まれると共に前記基部が被接合部材に接しない状態で回転しつつ突合わせ部に沿って移動することを特徴とする摩擦攪拌接合用の回転接合ツール。
  2. 前記凸曲面の曲率半径R(mm)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、前記基部の直径D(mm)が下記式(2)の関係を満たす、請求項1に記載の摩擦攪拌接合用の回転接合ツール。
    [{f+1.57t}/2f]≦R≦[{(g+f)+9(t+g)}/2(g+f)] (1)
    D≧2{(2R−g−f)(g+f)}1/2 (2)
    ここで、f:薄板接合部材におけるショルダー部の押込み量(mm)、t:薄板接合部材の厚さ(mm)、g:接合面の段差(mm)である。
  3. 前記基部が径大の本体部をショルダー部とは反対側に備える、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合用の回転接合ツール。
  4. 接合面に段差のある金属板からなる被接合部材を突合わせ、回転接合ツールを回転させつつ突合わせ部に沿って移動させて被接合部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記回転接合ツールが、略円柱状の基部と、当該基部の被接合部材側に設けられたショルダー部と、当該ショルダー部の表面から前記基部と同心に垂下したプローブとを有し、前記ショルダー部の表面が突合わせ部に向けて凸曲面を成し、当該凸曲面において、その外周から中心に至り、かつ、当該回転接合ツールの回転によって可塑化した被接合部材が内部に流入するように設けられた1つ以上の溝が形成され、前記プローブを突合わせ部の突合わせ面に対して平行に押し込むと共に前記基部を被接合部材に接しない状態で回転させつつ突合わせ部に沿って移動させることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  5. 前記凸曲面の曲率半径R(mm)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、前記基部の直径D(mm)が下記式(2)の関係を満たす、請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法。
    [{f+1.57t}/2f]≦R≦[{(g+f)+9(t+g)}/2(g+f)] (1)
    D≧2{(2R−g−f)(g+f)}1/2 (2)
    ここで、f:薄板接合部材におけるショルダー部の押込み量(mm)、t:薄板接合部材の厚さ(mm)、g:接合面の段差(mm)である。
  6. 前記基部が径大の本体部をショルダー部とは反対側に備える、請求項4又は5に記載の摩擦攪拌接合方法。
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