JP5574478B2 - 基板用シールドコネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、プリント基板に取り付けられる基板用シールドコネクタに関するものである。
プリント基板に取り付けられて、プリント配線(信号配線パターンおよび接地配線パターン)に対する信号の伝搬に用いられる基板コネクタとして、例えば特許文献1に示すものがある。この基板コネクタ1は、図7に示すように、プリント基板2に取り付けられる。このプリント基板2には、導電性のプリント配線12が印刷あるいはメッキ等により形成され、その表面に絶縁性の保護フィルム12fが被着されて、電子部品やIC(集積回路)等が実装されることで回路が形成されている。このプリント基板2端縁の所定の部位には、基板コネクタ1のハウジング14が嵌入されるハウジング用切り欠き16が形成されている。
このハウジング用切り欠き16の周辺には、基板コネクタ1の内導体端子(インナー端子)18が接続される信号配線パターン12sと、外導体端子(アウター端子)20が接続される接地配線パターン12gとが形成されている。ハウジング用切り欠き16の後方側には、内導体端子18における後述の接続端子部18Aの基板接続片(半田付け部)18aや外導体端子20の基板接続片20aを接続するために保護フィルム12fが部分的に取り除かれて信号配線パターン12sと接地配線パターン12gが露呈した接続タブ22s,22gが形成されている。さらに、このハウジング用切り欠き16の両側には、プリント基板2の表側から裏側に向けて貫通する貫通孔24が形成されている。
図7に示した基板コネクタ1は、内導体端子18と、この内導体端子18の外周を覆ってシールドする外導体端子20と、この内導体端子18と外導体端子20との間に介設された誘電体とがハウジング14に収容されている。このハウジング14の両側面14a,14aには、ハウジング14を基板2に固定する固定部材(スナップフィット端子28)を保持する取り付け部30が突設されている。なお、この取り付け部30は、合成樹脂材料の射出成形などによりハウジング14と一体的に形成されている。
図7および図8に示すように、基板コネクタ1のハウジング両側面14a,14aに突設された取り付け部30には、取り付け部30の上面から下面まで貫通する圧入孔32が形成されている。この圧入孔32は、取リ付け部上面の入口側32aはスナップフィット端子28の本体部34の幅と略同じか若干狭い幅に形成されており、途中部位で幅が狭められて取り付け部下面の出口側32bはスナップフィット端子28の対からなる脚部36,36の外側面間と略同じ幅に形成されており、脚部36,36が丁度通り抜けられるようになっている。
この基板コネクタ1をプリント基板2に固定する固定部材は、略方形の本体部34の下辺両端からプリント基板2側に向けて弾性を有する棒状の脚部36が延設されたスナップフィット端子28である。このスナップフィット端子28は金属の板材をプレス加工により打ち抜いて屈曲させることにより形成される。この対からなる脚部36の先端には、脚部36が挿入されるプリント基板2の貫通孔24に対する挿入方向奥側の開口縁24aに引っ掛かって係止する係止部38が膨出形成されている。さらに、この脚部36の基端側には、貫通孔24の挿入方向手前側に位置して、脚部36先端側の係止部38を半田付けする際の半田の吸い上がりを防止する半田吸い上げ防止部40が脚部36から四方に突出して形成されている。
このようにしてスナップフィット端子28が取り付けられた基板コネクタ1を、プリント基板2のハウジング用切り欠き16に合わせて配置して、スナップフィット端子28の脚部36をプリント基板2の貫通孔24に挿入および圧入する。これにより、係止部38が貫通孔24の挿入方向奥側の開口縁24aに引っ掛かって係止部38が係止される。
そうすると、スナップフィット端子28が埋設された取り付け部30の下面がプリント基板2の表面に当接し、この取り付け部30を介してハウジング14がプリント基板2のハウジング用切り欠き16に固定されて基板コネクタ1がプリント基板2に仮固定される。これにより、内導体端子18の基板接続片18aや外導体端子20の基板接続片20aおよびスナップフィット端子28の脚部36先端をプリント基板2へ半田付けされる。
そこで、基板コネクタ1をプリント基板2に仮固定した後、内導体端子18の基板接続片18aをプリント基板2の信号配線パターン12sの接続タブ22sに、外導体端子20の基板接続片20aをプリント基板2の接地配線パターン12gの接続タブ22gに半田付けして接続する。更に、スナップフィット端子28の脚部36先端の半田付けを行う。
ところで、かかる構成の基板コネクタ1では、図9に示すように、ハウジング14の後方端から外導体端子20の後端部が所定長に亘って露出しており、更にこの外導体端子20の後方端から内導体端子18が所定長に亘って露出している。なお、これらの外導体端子20と内導体端子18との間には誘電体が介在されている。そして、内導体端子18の接続端子部18Aは、領域Bの延び代18bと領域Aの半田付け部(基板接続片)18aとを持つように、緩やかなS字状に折り曲げられている。また、半田付け部18aの下面はプリント基板2上の接続タブ22sに半田付けによって電気的、機械的に接続される。
かかる基板コネクタ1のハウジング14外に臨む内導体端子18の接続端子部18Aは、外導体端子20によって覆われるシールド領域Cでは高周波信号の輻射、吸収を避けることができ、また、半田付け部18aとなる領域Aでは接続タブ22sを介して信号配線パターン12sに接続されて、基板コネクタ1とこれに接続される相手側コネクタ(図示しない)や相手側同軸ケーブル(図示しない)との間の特性インピーダンスを整合させることができ、高周波信号の伝送への影響は少ない。
特開2008−123966号公報
しかしながら、上述した従来の基板コネクタ1は、解決すべき以下の問題を有している。即ち、延び代18bの領域B付近には電気的な遮蔽物がなく、空気に囲まれた領域であり、内導体端子18のうち外導体端子20から露出して半田付け部に至るこの領域Bでは、外導体端子20によるシールド作用が得られず、しかも絶縁体(誘電体)にも覆われない誘電率の低い領域(空気の誘電率ε≒1)となっている。このため、基板コネクタ1とこれに接続される相手側コネクタとの間でインピーダンスのズレ(不整合)が生じ、結果として高周波信号の反射による高周波信号の伝送効率の低下、高周波ノイズの浸入や輻射を招いてしまう。また、半田付け部18aの信号配線パターン12sに対する半田付けを確実にするためには、S字状に折り曲げたり傾斜させる必要がある。従って、この半田付け部18aとともに、前述のような特性インピーダンスのズレを招き得る延び代18bにある程度の長さが必要になるわけである。このため、この領域Bを通過する高周波信号に反射による損失を生じ、この基板用シールドコネクタの高周波性能が低下してしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングの外側でシールド端子によって十分に覆われずに露出している領域での特性インピーダンスを、相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに対し整合させることで、高周波信号の反射等による伝送効率の低下など、高周波性能の劣化を回避することができる基板用シールドコネクタを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る基板用シールドコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) プリント基板に取り付けられ、該プリント基板上の接地配線パターンおよび信号配線パターンにそれぞれ接続されるシールド端子およびインナー端子をハウジング内に収納する基板用シールドコネクタであって、
前記ハウジング外に延出された前記インナー端子は、前記信号配線パターンに接続される半田付け部と、前記半田付け部より広めの平板部を持った延び代と、を有し、
前記平板部の少なくとも前記シールド端子によって周囲を覆われていない面が、誘電体によって覆われている、
こと。
(2) 上記(1)の構成の基板用シールドコネクタにおいて、
前記誘電体は、前記インナー端子の前記平板部が延出する方向に前記ハウジングの側壁から突設された該ハウジングの一部である、
こと。
(3) 上記(1)の構成の基板用シールドコネクタにおいて、
前記誘電体は、前記インナー端子の前記平板部によって内部を貫通される環状の部材である、
こと。
上記(1)の構成の基板用シールドコネクタによれば、インナー端子が剥き出しで空気中に晒されている場合には空気の誘電率は略「1.0」であり、誘電体の誘電率は「1.0」より高い値であるため、誘電体により延び代を覆うことで、静電容量(キャパシタンス)C(C=ε0ε(S/D)、ε0は真空での誘電率、εは誘電体の誘電率、Sは面積、Dは距離)を大きくすることができる。これにより、インナー端子の延び代が誘電体で覆われる領域の特性インピーダンスZ=(L/C)1/2の増大を抑えて、相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに整合させることができる。これによりその延び代付近での高周波性能が向上する。
上記(2)の構成の基板用シールドコネクタによれば、誘電体がハウジングに一体に設けられるため、前記インナー端子の延び代に装着する誘電体を別途用意することなしに、この延び代付近における誘電率を高めることができる。
上記(3)の構成の基板用シールドコネクタによれば、誘電体をハウジングとは別の、延び代を覆う環状の部材によって形成したことにより、ハウジングの形状が複雑化することがない。
本発明によれば、ハウジングの外側でシールド端子によって十分に覆われずに露出している領域での特性インピーダンスを所定のレベルに低下させることで、相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに対し整合させるができる。この結果、高周波信号の反射等による伝送効率の低下を抑制し、高い伝送効率を適切に維持しながら、基板用シールドコネクタとして所期の高周波性能を維持することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の第1の実施形態にかかる基板用シールドコネクタを示す斜視図である。 図1の基板用シールドコネクタを見る方向を変えて示す斜視図である。 図1および図2におけるインナー端子の拡大斜視図である。 図1および図2に示した基板用シールドコネクタの要部の縦断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる基板用シールドコネクタの要部の縦断面図である。 図5におけるインナー端子の拡大斜視図である。 従来の基板コネクタを示す分解斜視図である。 図5における基板コネクタをプリント基板に仮固定した状態の側面図である。 従来のインナー端子とプリント基板との接続構造を示す要部の側面図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる基板用シールドコネクタを、図1乃至図4を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2に示すように、第1の実施形態にかかる基板用シールドコネクタAは、プリント基板41に取り付けられ、シールド端子42とインナー端子43を絶縁物を介してハウジング44内に収納した構成となっている。これらのシールド端子42およびインナー端子43は、この基板用シールドコネクタAのハウジング44に嵌合される相手側シールドコネクタのシールド端子(図示しない)およびインナー端子(図示しない)にそれぞれ接続可能な形状、サイズをなす。なお、以下の説明では、このハウジング44の相手側シールドコネクタの接続側を前方(前部)といい、その反対側を後方(後部)という。
シールド端子42は、ハウジング内において横長の半円筒状をなし、その半円筒状部の一端における二つの円弧端付近からハウジング44の後方へ板状の端子接続部45、46が分岐するように延設されている。これらのうち端子接続部45はハウジング44の後部壁44aを貫通する垂直片45aと、この垂直片45aの後部下端に水平方向に折り曲げて形成された水平片(半田付け部)45bとからなる。垂直片45aは、後述するようにインナー端子43の側方を所定距離をおいて略十分に覆うことができる広めのサイズ(面積)、形状をなす。
もう一方の端子接続部46は、ハウジング44の後部壁44aを貫通する垂直片46aと、この垂直片46aの後部下端に水平方向に折り曲げて形成された水平片(半田付け部)46bと、垂直片46aの後部上端に連設された容量調整片としての水平片46cとからなる。垂直片46aはインナー端子43のもう一方の側方を、所定距離をおいて略十分に覆うことができる広めのサイズ、形状をなす。そして、これらの端子接続部45、46はインナー端子43の一部を介在するように所定間隔をおいて対向配置されている。
インナー端子43は、図3に示す形状をなし、ハウジング44内に先端部のコンタクト(接触子)43aを残してハウジング44の一部に埋設される端子棒43bと、この端子棒43bに連続する端子接続部48とからなる。この端子接続部48は他の部分より広めの平板部43cを持った延び代43dと、この延び代43dに連続する半田付け部(水平片)43eとを有する。延び代43dは平板部43cに対し水平に連続する水平片Pと、この水平片Pに連続し、半田付け部43eに向かって下方に傾斜する傾斜片Qとからなる。
これらのうち平板部43cは、ハウジング44の後部壁44aを貫通して後方に延出されており、シールド端子42の端子接続部45の垂直片45aと端子接続部46の垂直片46aとの略中間に、これらと略等距離を保つように水平配置されている。従って、この平板部43cは、垂直片45a、46aおよびプリント基板41上の接地配線パターン41aのそれぞれに対して電気的に所定値の対地静電容量(キャパシタンス)を持つ。
この対地静電容量は、平板部43cと各垂直片45a、46aおよび接地配線パターン41aとの対向面積および対向距離によって決まり、本実施形態ではこの領域の特性インピーダンスが相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに整合する静電容量が得られるように、前記平板部43cのサイズ(面積)や形状が設計および加工される。なお、前記領域の特性インピーダンスの設定または調整に当たっては、平板部43cに連設された容量調整片としての突片43fの長さを調整することにより行える。また、必要に応じ水平片46cの長さを調整することで、前記静電容量を調整することもできる。
端子接続部45、46の水平片45b、46bおよびインナー端子43の水平片43eの各下面は同一レベルにあり、従って、それぞれがプリント基板41上面の接地配線パターン41aおよび信号配線パターン41bに均等に接触されて、半田付けされる。
また、延び代43dは、左右方向(図2の奥−手前方向)がシールド端子42の端子接続部45、46によって覆われているものの、上下方向(図2の上下方向)はシールド端子42によって覆われていない。延び代43dは、特に平板部43cが、このシールド端子によって覆われていない上下方向を塞ぐように、絶縁物(誘電体)47によって上下方向が覆われている。この絶縁物47はインナー端子43およびシールド端子42の金型によるインサート成形時にハウジング44とともに一体に形成される。このため、絶縁物47は、図4に示すように、インナー端子43の一部が延出する方向にハウジング44の側壁から突設されるように形成されている。尚、図4に示すような領域Hは、インサート成形上の都合により、つまり、成形樹脂材料が各型内から外へ流れ出さないようにするために、上型および下型によって挟圧される領域である。インサート成形によってシールド端子42およびインナー端子43がハウジング44内部に収容された基板用シールドコネクタを製造するのではなく、例えば、成形済みのハウジング44にシールド端子42およびインナー端子43を圧入することによって基板用シールドコネクタを製造するのであれば、この領域Hは必ずしも必要でない。
この様な構成の基板用シールドコネクタAは、ハウジング44の前部に相手側シ−ルドコネクタ(図示しない)が装着されることで、インナー端子43およびシールド端子42のそれぞれに相手側のインナー端子およびシールド端子が接続され、基板用シールドコネクタAおよび相手側シールドコネクタを通じてプリント基板41への高周波信号の伝搬が可能になる。この高周波信号の伝搬においては、ハウジング44外に臨むシールド端子42の端子接続部45、46がインナー端子43の平板部43cを持つ延び代43dを左右から覆うことで、インナー端子43に対するシールド作用が得られる。また、この平板部43cが他の部位に比べて面積が広めに加工されている。従って、インナー端子43の端子接続部48の、端子接続部45、46に対する対地静電容量C1およびプリント基板41上の接地配線パターン41aに対する対地静電容量C2を、大きく稼ぐことができる。なお、この延び代43dにおける総合の対地静電容量Cは、C=C1+C2となり、必要に応じて前記突片43fや水平片46cの長さを調整することで、その静電容量C1を微調整することができる。
このように前記対地静電容量Cを平板部43cやこれに連続する突片43fの設置によって増大させることができ、この平板部43cの設置領域における誘導インダクタンスを記号Lとした場合に、得られる特性インピーダンスZは、Z=(L/C)1/2であるところから、この特性インピーダンスを適正値に抑えることができる。従って、平板部43cの設置領域における特性インピーダンスを相手側シールド端子や相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに整合させることができる。これにより前記設置領域を含む基板用シールドコネクタにおける高周波信号の反射による損失を効果的に抑制できる。
さらに、インナー端子43の平板部43cが絶縁物47によって覆われている。このため、この絶縁物の誘電率εの増加が前記静電容量Cの増加に寄与する(C=εε(S/D)。εは真空の誘電率、Sは延び代43dのシールド端子および接地配線パターンに対する対向面積、Dは延び代43dとシールド端子および接地配線パターンとの対向距離)。このため、この絶縁物47の設置よって静電容量Cが増大することとなり、前記特性インピーダンスの低下に寄与させることができ、絶縁物47で覆われた領域の特性インピーダンスを相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合させることができる。この結果、基板用シールドコネクタAを通してプリント基板上の回路や相手側シールドコネクタ、相手側同軸ケーブルに伝送される高周波信号の伝搬を損失なく、効率的に実施できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図5および図6を参照しながら説明する。第2の実施形態の基板用シールドコネクタBの構造は、第1の実施形態の基板用シールドコネクタAの構造と、ハウジング44から絶縁物47が突設されていない点が異なる。それ以外の構造は同一であるため説明を省略する。この第2の実施形態の基板用シールドコネクタBでは、第1の実施形態の絶縁物47が設けられていない代わりに、ハウジング44とは別に用意した環状の絶縁物47Aを用いている。この絶縁物47Aは全体として円筒状または角筒状をなす。この絶縁物47Aの材料はハウジング44のものと必ずしも同一である必要はなく、前述のように延び代43d付近の特性インピーダンスを目標値の例えば50Ωに設定可能な誘電性および絶縁性が得られるものであれば良い。従って、硬質な材料ではなく、ある程度柔軟性、弾力性、可撓性などを備えるものを用いることも可能である。
この環状の絶縁物47Aは、基板用シールドコネクタBがプリント基板41に取り付けられる前に、この絶縁物47Aの筒孔Rを半田付け部43eの後端から平板部43cを持つ延び代43dに挿通させることによって、取り付けられる。この絶縁物47Aの取り付け状態においては、この絶縁物47Aの前端面をハウジング44の後部壁面に密接するように突き当てることが望ましい。このため絶縁物47Aに前記柔軟性、弾力性、可撓性などを備える材料を用いることがより好ましい。一方、柔軟性や弾力性を備える材料からなる絶縁物47Aは、前記半田付け部43eを除いて前記水平片Pや傾斜片Qを延び代43dとともに覆うことが可能に変形するため、その水平片Pや傾斜片Qを覆う部分における前記誘電率をより高めることができる。
このような環状の絶縁物47Aは延び代43dの略全体を覆うため、絶縁物47Aである誘電体の誘電率が高まり、従って、前記対地静電容量の増加に寄与する。また、この対地静電容量の増加は、前述のように延び代43d付近における特性インピーダンスを低下させる。従って、従来のように、延び代部43dが空気中に露出した場合における特性インピーダンスの上昇を効果的に抑えることができる。従って、相手側シールドオネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスとの整合がとり易くなる。
なお、インナー端子43を構成する延び代43dに連続する突片43fは、絶縁物47Aの延び代43dに対する挿通を容易にするために、必要に応じ図6に示すように省くことが望ましい。この場合には、突片43fによる前述の対地静電容量の低下を招くので、その対地静電容量の低下分を平板部の面積を広げるなどの方法で補うことが望ましい。
以上、本発明の基板用シールドコネクタによれば、延び代43dの平板部43cと、シールド端子42および信号配線パターン41bとの間に対地静電容量(キャパシタンス)を発生させることができる。これらの対地静電容量は、平板部43cの面積や形状を選ぶことで任意の目標値に設定することができる。一方、この対地静電容量は、延び代43d付近における誘導インダクタンスとともに、この領域の特性インピーダンスを決定付けるものである。従って、シールド端子42の端子接続部45、46によって十分に覆われずに、高インピーダンスとなっている領域では、延び代43dの平板部43cの面積を増大することで対地静電容量を大きくし、この領域の特性インピーダンスZを、相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに整合させることができる。この結果、高周波信号の基板用シールドコネクタAにおける損失を抑え、伝送効率を高めることができる。
さらに、延び代43dを、シールド端子42およびインナー端子43間に介在された絶縁物47によって覆うことで、インナー端子43が剥き出しで空気中に晒されている場合に比べて絶縁物47の誘電率が高いため、この領域での静電容量を更に増加することができる。これにより、インナー端子43の延び代43dが絶縁物47で十分に覆われない領域での特性インピーダンスを低減し、相手側シールドコネクタや相手側同軸ケーブルの特性インピーダンスに整合させることができ、基板用シールドコネクタAの高周波性能を良好に維持することができる。
特に、絶縁物47をハウジング44とともに一体に成形することにより、インナー端子43の延び代43dに装着する絶縁物を別途用意することなしに、この延び代43d付近における誘電率を高めることができるとともに、インナー端子43とシールド端子42との絶縁をより確実にすることができる。
一方、絶縁物47Aをハウジングとは別に構成し、インナー端子43の端子接続部48のうちの延び代43dを覆うように環状に形成したことにより、ハウジング44を成形する金型の構成を単純化でき、この金型のコストを下げることができるとともに、絶縁物47の誘電率を容易に調整することができる。この結果、延び代43d付近の対地静電容量を更に高め、従って、この延び代43d付近の特性インピーダンスを容易に下げることができる。
41 プリント基板
41a 接地配線パターン
41b 信号配線パターン
42 シールド端子
43 インナー端子
43a コンタクト(接触子)
43b 端子棒
43c 平板部
43d 延び代
43e 水平片(半田付け部)
43f 突片(容量調整片)
44 ハウジング
44a 後部壁
45 端子接続部
45a 垂直片
45b 水平片(半田付け部)
46 端子接続部
46a 垂直片
46b 水平片
46c 水平片
47 絶縁物
47A 絶縁物
48 端子接続部
A、B 基板用シールドコネクタ
P 水平片
Q 傾斜片

Claims (3)

  1. プリント基板に取り付けられ、該プリント基板上の接地配線パターンおよび信号配線パターンにそれぞれ接続されるシールド端子およびインナー端子をハウジング内に収納する基板用シールドコネクタであって、
    前記ハウジング外に延出された前記インナー端子は、前記信号配線パターンに接続される半田付け部と、前記半田付け部より広めの平板部を持った延び代と、を有し、
    前記平板部の少なくとも前記シールド端子によって周囲を覆われていない面が、誘電体によって覆われている、
    ことを特徴とする基板用シールドコネクタ。
  2. 前記誘電体は、前記インナー端子の前記平板部が延出する方向に前記ハウジングの側壁から突設された該ハウジングの一部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の基板用シールドコネクタ。
  3. 前記誘電体は、前記インナー端子の前記平板部によって内部を貫通される環状の部材である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の基板用シールドコネクタ。
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