JP5574387B2 - 炭化水素の脱水素化用触媒 - Google Patents

炭化水素の脱水素化用触媒 Download PDF

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Description

低級オレフィンを生成する気相脱水素化に特に有用な、炭化水素の静止床及び/又は流動床脱水素化工程用触媒について記載する。この触媒の製造方法についても記載する。この触媒の一実施例は、少なくとも酸化クロム、酸化ナトリウム、及び酸化カリウムを伴うアルミナ担体を含む。得られた触媒は、触媒が古くなった後も、より高い変換率と選択性、及び高オレフィン収率を示し、従来の触媒に比較して、活性化率が低く、水熱安定性が高い。
担持金属酸化物触媒は様々な工業用化学反応に使用され、通常は、実質的に化学的不活性である担体の上あるいは中に活性金属部位を有する、ペレット、あるいはその他の形状の製品あるいは粉体の形で存在する。多くの触媒工程においては、ガス流に含まれる化学反応体が、触媒を含む床の上あるいは床の中を通過する。この反応体が、触媒の活性部位に接触して化学変換が生じ、一またはそれ以上の生成物が発生し、これらの生成物は触媒の活性部位から放出される。商業運転用には、このガス流は、ほぼ一定でかつ急速に、触媒床の上を通過することが好ましい。
触媒脱水素反応によるオレフィン及びジオレフィンの製造においては、脱水素反応ゾーンを触媒するべき物質が一回通過する間に、高い変換率と選択性を持って所望のオレフィンまたはジオレフィンの可能な限り高い収率を得ることが好ましい。また、脱水素化反応プロセスの間、副生成物とコークの生成量を可能な限り小さくすることが重要である。更に、触媒の長寿命と低い非活性化率が重要である。
選択性は、オレフィンの製造において重要な役割をしている。触媒脱水素反応によるオレフィン(イソブチレン、プロピレン、及びブタジエンなど)の年間生産量は少なくとも三百万トンであり、触媒の選択性の百分率ポイントの一部ほどの比較的小さな増加ですらも、オレフィン製造者にとっては財政上非常に有益なものになりうる。
脱水素反応の最も重要なことの一つは、フードリーのパラフィン脱水素反応プロセスであり、これは、サイクル反応モードで行われる。循環プロセスは、浅い触媒床を含むパラレル反応器を用いる。供給材料は、反応器中の触媒を通過する前に、固定ヒータを通って予め温められる。この加熱した生成物は、次いで冷却され、圧縮されて、生成物分別及び復帰ステーションへ送られる。連続動作を容易にするために、パラレル反応器は、指定時間に交互に動作するサイクルで動作する。それぞれの完全なサイクルは、脱水素、再生、還元及びパージ部分からなる。更に、より好ましい平衡状態を提供するために、脱水素反応サイクル中は反応器は、通常大気圧より低い圧力で操作される。500℃乃至700℃の範囲で動作する再生サイクルが、次の脱水素サイクル用の熱を提供する。このような高温のため、脱水素化触媒の有効期間は、一般的に、2乃至3年より長くない。ライン上のこのような時間が経過した後は、変換レベルと選択性レベルが低下するため、触媒の交換が必要である。例えば、2乃至3年稼働したのちは、触媒の変換率は一般的に5乃至15%低下し、選択性は5乃至20%落ちる。従って、この2乃至3年のサイクルが終わる少し前に触媒の変換率と選択性を改善することで、全体のプロセス効率を大きく改善することができる。
初期の変換率と選択性に基づいて触媒のパフォーマンスを最適化することは一般的であるが、触媒が古くなった後にその変換率と選択性に基づいて触媒のパフォーマンスを最適化することも重要である。
パラフィン系及びオレフィン系炭化水素の変換にクロミア−アルミナ触媒を用いるプロセスは良く知られており、1940年代に始まる技術文献や様々な特許に記載されている。パラフィンとオレフィンの脱水素反応に使用される触媒の典型的な組成の一つは、酸化アルミニウム担体の表面上に酸化クロムを含有するものである。クロミア−アルミナ触媒は、比較的高い脱水素反応を有しているが、脱水素反応中に、しばしば、急速にコークが形成される。この結果、頻繁に高温の再生サイクルが必要である。これらの再生サイクルが頻繁なため、クロミア−アルミナ触媒は触媒の寿命を延ばすために高度の水熱安定性を有することが要求される。
別のタイプの脱水素化触媒は、アルミナ担体を含む様々な担体上にプラチナ、パラジウム、あるいはその他の貴金属を含む。しかしながら、プラチナベース及びクロムベースの脱水素化触媒の双方とも商業的に使用されているが、これらの二つの触媒タイプの性質と挙動は全く異なる。
例えば、再生後、プラチナベースの脱水素化触媒の表面上の小さなプラチナ粒子は塊になって、反応に有意なロスを引き起こす。これらの触媒を活性状態に戻すためには、プラチナ粒子を塩化物で処理して、続いて再分散させる。これに対して、クロムベースの脱水素化触媒はこのような塩化物の処理を必要としない。実際、クロムベースの脱水素化触媒にとって塩化物は劇毒であり、従って、供給物中にHClの形で1.0ppmwを超えないように制限する必要がある。
一方、硫黄は、プラチナベースの脱水素化触媒に対しては劇毒であるが、クロムベースの脱水素化触媒は、性能にほとんどあるいはまったく影響することなく、100ppmwまで硫黄レベルを許容することができる。
これらの二つのタイプの脱水素化触媒は、組成という観点からも全く異なる。プラチナベースの脱水素化触媒の場合は、活性脱水素反応成分(プラチナ)は、通常、1重量%より少ない量で存在する。更に、これらのプラチナベースの触媒は、プロモータとしてIV族の元素を必要とする。これらの触媒は、通常、相当量のハロゲン(最大1重量%)を含んでいる。これに対して、クロムベースの脱水素化触媒は、活性脱水素化成分(Cr)を通常10−30重量%という高いパーセンテージレベルで含んでおり、IV族の元素を必要とせず、ハロゲンは毒なので、これを含んでいてはならない。
これらの二つのタイプの脱水素化触媒は、作用という観点からも全く異なる。プラチナベースの脱水素化触媒は、水素で希釈するために炭化水素の供給及び/又はストリームが必要であり、クロムベースの脱水素化触媒は供給物を伴う水素希釈は不要であり、水は触媒にとって毒である。
従って、性能を改善するプラチナベースの脱水素化触媒の組成物の変更が必然的に、クロムベースの脱水素化触媒に同様の性能改善を起こすことは当業者には自明ではない。
しばしば、追加成分を脱水素化触媒に加えて、その反応性又は選択性を強化し、あるいは、担体の動作特性を強化することがある。一の共通する添加物は、単一アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属である。多数の特許が、脱水素化触媒へアルカリ金属を追加することを記載しており、ここで、アルカリ金属の選択には、一般的に、リチウムからセシウムまでのいずれかのアルカリ金属が含まれる。ナトリウム化合物またはカリウム化合物は、コストが安く、使用が簡単であるため、しばしば使用される。一般的には、アルカリ金属促進剤の選択に関係なく、触媒の性能には差がないと考えられていたが、いくつかの文献はその他のアルカリ金属より一のアルカリ金属を推奨している。
クロムベースの脱水素化触媒に用いられるアルカリ金属の組み合わせについてのいくつかの開示がある。例えば、米国特許第7,012,038号は、酸化リチウムと酸化ナトリウムの両方を酸化クロム/アルミナ触媒に加える必要がある、脱水素化触媒を開示している。
更に、プラチナ−アルミナ脱水素化触媒にリチウムとカリウムを使用することが、米国特許第4,677,237号に開示されている。
従来技術にかかわらず、変換率と選択性を強化して更に改良したクロミア/アルミナ触媒が、特に触媒が古くなるにつれて求められている。
本発明の一実施例は、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方で促進される、アルミナ担体上に分散されたクロミアを含む有用な脱水素化触媒に関する。酸化ナトリウムと酸化カリウムを促進剤として共に使用することによって、この現象が主に時間が経った後に生じた場合でも、従来の脱水素化触媒を超えて強化された性能をこれらの触媒に提供する。ここにおける変換率と選択性の改善は、特記すべきである。
本発明の別の実施例は、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方で促進される、アルミナ担体の上に付着させたクロミアを含む改良された脱水素化触媒を提供する有用なプロセスに関する。
本発明の別の実施例は、炭化水素、特に低級パラフィンを、特に触媒が古くなった後に、脱水素反応させる改良されたプロセスに関する。このプロセスでは、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方で促進される、アルミナ担体の上に付着させたクロミア含む改良された脱水素化触媒が使用されている。
本発明の一実施例は、少なくとも一の担体と、酸化クロムと、酸化ナトリウムと、酸化カリウムを含む静止床または流動床脱水素化触媒を開示している。本発明の別の実施例は脱水素化触媒を提供するプロセスを開示しており、ここでは担体を提供して、スプレー乾燥またはペレット化し、乾燥させ、か焼させ、ナトリウム及びカリウムの促進剤を含むCrO溶液を含浸させる。本発明の別の実施例は、アルミナをカリウム、ナトリウム及びクロム合成物と混合して、最終生成物をか焼するステップを具える、脱水素化触媒を提供する代替のプロセスを開示している。結果物である脱水素化触媒は、主に古くなった後でも、従来の触媒より高い選択性と変換率を示す。本発明の更なる別の実施例は、炭化水素を、少なくともアルミナ担体を伴う酸化クロム、酸化ナトリウム、及び酸化カリウムを含む脱水素化触媒と接触させることによって脱水素可能な炭化水素を脱水素反応させるプロセスを更に具える。この触媒は、特に、古くなった後に、従来の触媒を超える改善された性能を示す。
A.触媒
触媒は、例えばC−Cの脱水素可能な炭化水素をオレフィン及び/又はジオレフィンに変換する静止床及び/又は流動床脱水素反応プロセスに使用するためのものである。脱水素反応は、通常、最適収率を上げる最も高い実用スループットで行われる。収率は、触媒の変換率と選択性に依存する。これらの特性は、プロセスの効率を決定する。触媒の選択性は、例えば、生成したプロピレン、イソブチレン、あるいは分子量がより高いオレフィンなどの所望の製品のモル数を変換したパラフィンのモル数の比として規定される。活性あるいは変換率は、所望の生成物と副産物に変換される原料部分を意味する。プロセスの効率を上げるためには、新しい触媒を用いたときの高い初期収率と、触媒が古くなったときの触媒の高い活性と選択性の双方があることが重要である。この開示の目的のためには、触媒がストリーム上で7−8ヶ月間使用した後、「老化した」と考えられる。代替的に、触媒は、後述する態様で「人工的に老化させた」後、「老化した」と考えられる。これらの両基準(初期収率及び「老化した」後の収率)を用いて、触媒全体の効率を決定する。
脱水素化触媒は、流動床反応器と、静止床反応器のいずれにも使用することができる。
この分野で知られているように、支持されている金属酸化物触媒は、一般的に、担体あるいは支持体の上に分散された、あるいは担体あるいは支持体に配合された一またはそれ以上の活性金属酸化物を有する。いくつかある特徴の中で特に、支持体は触媒の表面積を広くするという意味をもつ。この脱水素化触媒に推奨される担体には、酸化アルミニウム、ガンマ、イータ、またはシータアルミナなどのアルミナ、およびこれらの同類のものまたはそれらの混合物、アルミナ水和物、バイヤライト、ノルドストランダイト、ギブサイト、又はこれらの混合物などの水酸化アルミニウム、アルミナ−シリカ、遷移アルミナ、シリカ、シリケート、ゼオライト、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。一の実施例では、この担体は、ガンマー、イータ、またはシータアルミナ及び同類のものでできている。この担体は、粉体として形成されていても良く、あるいは、限定するものではないが、リング状、球状、筒状、ペレット状、タブレット状、星状、三つ葉状、成型品、及び同類のものを含む様々な形状であってもよい。このようなタイプの商業的担体は、この業界では良く知られている。
一のタイプの脱水素化触媒として、パラフィン脱水素反応における効率のために、活性床としてクロム化合物が一般的に使用されている。当業者には、クロムベースの脱水素化触媒は、上述した理由により、プラチナ及び/又はパラジウムベースの脱水素化触媒と比較できるとは考えられない。従って、一の実施例では、この触媒はプラチナ及び/又はパラジウムは含んでいない。
ここで述べた脱水素化触媒の実施例の多くにおいて、クロム化合物は、Crの形である。このクロムはCrO、あるいは、クロム酸アンモニウム、ジクロム酸、窒化クロム、あるいはその他のクロム塩などの無機クロム塩、またはこれらの混合物から抽出できる。このクロム化合物は、一またはそれ以上の加熱プロセスの間に酸化クロムに変換される。一の実施例における触媒は、Crを含む触媒の総重量につきCrの形のクロムを約10重量%乃至約30重量%含んでいる。別の実施例では、この触媒は、約15重量%乃至約28重量%のクロムを含んでおり、更に別の実施例では、クロムの量が重量で、約17重量%乃至約24重量%である。
支持材料中へのまたは支持材料上へのクロム化合物の導入は、この分野で公知のいずれかのプロセスによって行うことができる。一般的な例には、限定するものではないが、アルミニウム塩とクロム塩を含む水溶液からの酸化アルミニウムと酸化クロムの同時投入、担体上への同時含浸、アルミナ支持体のクロム酸溶液での処理、及び、酸化クロムと水酸化アルミニウム又は酸化アルミニウムとの混合、が挙げられる。
クロミア/アルミナ触媒の性能が、酸化ナトリウムと酸化カリウムの組み合わせを加えることによって大きく向上することは、驚くべき発見であった。更に、酸化ナトリウムと酸化カリウムの選択された特定の比率が、触媒の性能を高めることは驚くべき発見であった。
更に、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方の組み合わせを含むクロミア/アルミナ脱水素化触媒が、特に古くなった後に、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方ではなくいずれか一方を含むクロミア/アルミナ触媒、及び、別のアルカリ金属の組み合わせを含むクロミア/アルミナ触媒より、実質的に性能がより優れていることも驚くべき発見であった。特に、酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方を加えたクロミア/アルミナ脱水素化触媒の性能が、特に古くなった後に、米国特許第7,012,038号に教示されているような酸化ナトリウムと酸化リチウムを含むクロミア/アルミナ触媒より性能が優れていることは、驚くべき発見であった。従って、一の実施例では、クロミア/アルミナ脱水素化触媒に加えたアルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウムと酸化カルシウムのみからなる。更に、酸化ナトリウム及び酸化カリウムのみを含むクロミア/アルミナ脱水素化触媒が、特に、古くなった後は、酸化リチウムなどの追加のアルカリ金属酸化物を加えた同様の組成の触媒より性能が良いことは、驚くべき発見であった。このように、一の組成物においては、クロムベースの脱水素化触媒に加えたアルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウムと酸化カリウムのみである。
一の実施例では、触媒中の酸化ナトリウムの量は、NaOを含む触媒の総重量につき約0.1乃至約2重量%であり、別の実施例では0.1乃至1重量%である。更に別の実施例では、触媒中の酸化ナトリウムは0.1乃至0.3重量%である。
一の実施例では、酸化カリウムの量は、酸化カリウムを含む触媒の総重量につき約0.1乃至約5重量%であり、別の実施例では0.1乃至2重量%である。
一の実施例では、触媒中の酸化カリウムと酸化ナトリウムの重量比が、触媒の総重量につき0.1:1乃至約10:1であり、別の実施例では酸化カリウムと酸化ナトリウムの重量比が0.1:1乃至3:1である。
流動床で触媒を使用する場合、一の実施例の触媒の粒子サイズが約20μm乃至約150μmである。担体は、この分野で知られている様々な技術によって作成することができる。別の実施例では、吹きつけ乾燥、又は、ペレット化して約500℃乃至約1100℃の温度で担体をか焼する。
クロミアを含む脱水素化触媒は、触媒の選択された特性を改善し、触媒の活性及び/又は選択性を変えるために加える、一またはそれ以上のアルカリ金属酸化物以外の追加の促進剤を含むことがある。一の実施例では、この追加の促進剤としてジルコニウムを触媒に加えている。ジルコニウム陽イオンは、様々な形で存在し、ZrO、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、あるいは同様のジルコニウム含有化合物、あるいはこれらの混合物などの異なるジルコニウム源から得られる。ZrOとして算出したジルコニウム化合物の量は、ZrOを含む触媒の総重量につき、約0.1重量%乃至約15重量%である。別の実施例では、この触媒は、約0.1重量%乃至約5重量%のジルコニウム化合物を含んでおり、更に別の実施例では、ジルコニウム化合物の量が約0.5重量%乃至1.5重量%である。このジルコニウム化合物は、この分野で知られている様々な方法で触媒に加えることができる。一の実施例では、クロムとジルコニウムを共含浸させている。
更なる促進剤として、マグネシウムをこの触媒に加えても良い。酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物は、酸化マグネシウムを含む触媒の総重量につき約0.1乃至約15重量%含まれている。別の実施例では、触媒は、約0.1乃至2重量%のマグネシウム化合物を含み、更なる別の実施例では、マグネシウム化合物の量は、約0.5乃至約1重量%である。このマグネシウム化合物は、この分野で知られている様々な方法で触媒に加えることができる。一の実施例では、マグネシウムをクロムと共含浸させる。
上述したような脱水素反応プロセスに使用する触媒の一例は、担体と;酸化クロムを含む触媒総重量につき酸化クロム濃度が10重量%乃至30重量%の酸化クロムと;酸化ナトリウムを含む触媒総重量につき酸化ナトリウム濃度が0.1重量%乃至2重量%の促進剤としての酸化ナトリウムと;酸化カリウムを含む触媒総重量につき酸化カリウム濃度が0.1重量%乃至5重量%の促進剤としての酸化カリウムと;触媒総重量につき0.1乃至15重量%の酸化ジルコニウムと;を含む。
脱水素反応プロセスに使用する触媒の別の一例は、担体と;酸化クロムを含む触媒総重量につき酸化クロム濃度が10重量%乃至30重量%の酸化クロムと;酸化ナトリウムを含む触媒総重量つき酸化ナトリウム濃度が0.1重量%乃至2重量%の促進剤としての酸化ナトリウムと;酸化カリウムを含む触媒総重量につき酸化カリウム濃度が0.1重量%乃至5重量%の促進剤としての酸化カリウムと;触媒総重量につき0.1乃至15重量%の酸化ジルコニウムと;触媒総重量につき0.1乃至15重量%の酸化マグネシウムと;を含む。
脱水素反応プロセスに使用する触媒の更に別の一例は、担体と;酸化クロムを含む触媒総重量につき酸化クロム濃度が10重量%乃至30重量%の酸化クロムと;酸化ナトリウムを含む触媒総重量につき酸化ナトリウム濃度が0.1重量%乃至2重量%の促進剤としての酸化ナトリウムから実質的になるアルカリ金属と;酸化カリウムを含む触媒総重量につき酸化カリウム濃度が0.1重量%乃至5重量%の促進剤としての酸化カリウムと;を含む。
脱水素反応プロセスに使用する触媒の更なる一例は、担体と;酸化クロムを含む触媒総重量につき酸化クロム濃度が10重量%乃至30重量%の酸化クロムと;酸化ナトリウムを含む触媒総重量につき酸化ナトリウム濃度が0.1重量%乃至2重量%の促進剤としての酸化ナトリウムから実質的になるアルカリ金属と;酸化カリウムを含む触媒総重量につき酸化カリウム濃度が0.1重量%乃至5重量%の促進剤としての酸化カリウムと;酸化ジルコニウムを含む触媒総重量につき0.1乃至15重量%の、促進剤としての酸化ジルコニウムと;を含む。
B.触媒の製造プロセス
このような触媒製造プロセスの一つにおいて、バイヤライト、ギブサイト、ノルドストランドダイト、又はこれらの混合物などの水酸化アルミニウム、あるいはその他のアルミナ水和物と含水硝酸から、アルミナペレットを作成する。か焼アルミナ担体は、ガンマ−アルミナ、シータ−アルミナ、あるいはイータ−アルミナ、及びこれに類するもの、あるいはこれらの混合物の形であっても良い。また、一の実施例では、この材料が混合時間の間に予め混合され、アルミナと酸化窒素の反応が完了している。次いで、この混合物を適宜の形態で中間前駆物質に形成し、所望の形に成形する。例えば、この混合物をダイプレートを通して押し出して、ひも状にし、切断してペレットにするようにしても良い。代替的に、アルミナを、限定するものではないが、球形、タブレット形、筒形、星形、三つ葉形、これらの類似する形を含むその他の形状にすることもできる。
このようにして形成したペレットは、使用にあたっては、乾燥させて、約15乃至約350m/gの表面積を耐摩擦構造とするのに十分な期間適切な温度で加熱処理を行う。次いで、表面領域に調整を行った、あるいは行わない、これらのペレットをナトリウム化合物とカリウム化合物と、所望の場合は、炭酸ジルコニウムなどのジルコニウム化合物と酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物とを溶解させた酸化クロムに含浸させる。これらの追加組成物は、担体上で促進剤が良好に配分されるような条件下で追加する。次いで、含浸させたペレットを約90℃乃至180℃の温度で乾燥させ、約500℃乃至約1100℃の温度でか焼して、蒸気及び空気中で調整処理を行うことで、触媒構造と初期活性を固定する。
代替の実施例では、脱水素化触媒は、アルミナと、カリウム、ナトリウム、及びクロム化合物、そして所望の場合はその他の促進剤を混合して、最終生成物を形成し、約500℃乃至約1100℃の温度で加熱処理を行い、次いで、必要に応じて更に処理を行い触媒構造と活性を固定する。
上述した脱水素化触媒を製造するプロセスの一例は、アルミナ化合物を混合して成形し、成形した担体を形成するステップと;この成形した担体を、クロム化合物と、本質的にナトリウム化合物とカリウム化合物からなるアルカリ金属化合物とを含む化合物と組み合わせて前駆体材料を形成するステップと;この前駆体材料を加熱して、脱水素化触媒を形成するステップと;を具える。
C.産業上の利用可能性
この触媒は、静止床及び流動床脱水素化プロセスに使用することを意図している。この触媒は、脱水素化触媒として有効であり、特に、プロパン、イソブタン、n−ブタン、及びイソペンタンの脱水素化を促進して、関連するオレフィンまたはジオレフィンを生成するのに有効である。この触媒の組成物と処理条件は、本発明の様々な実施例の範囲を超えることなく、変更することができる。
パラフィン脱水素化反応の熱力学的に有益な条件は、400−700℃であり、別の実施例では、540−640℃、及び、例えば0.2−0.5気圧(20,265−50,662パスカル)といった大気圧より低い圧力である。反応物含有ガスと触媒の接触時間は、液空間速度(LHSV:liquid−hourly−space velocity)という用語で表わされ、これは、時間当たりの触媒体積当たりの液体炭化水素反応物の体積として規定される。反応物のLHSVは、0.1時間−1と約5時間−1の間で変化する。
時間が経過した触媒の安定性を予測するには、この分野で知られているように、触媒を老化させるのに適した方法を用いることができる。この例は、典型的な商業的操作条件で、あるいは、次いで市販の反応器に装填したバスケット中でサンプルを置き換えた小型断熱反応器における長期試験である。代替的に、触媒の老化を促進する方法が開発されており、これは、“A New Houdry Catalyst for the‘Third Wave’Propane Dehydrogenation”,M.A.Urbancic,V.Fridman,A.Rokicki North American Catalysis Society Meeting,Philadelphia,2005,Paper O−266に開示されている。
性能テスト以外に触媒の安定性を評価するには、老化した触媒のα−(Cr,Al)相含有量などの物理−化学特性と、表面積を測定する。表面積の低減と、触媒中のα−(Cr,Al)の発現は老化の結果生じるので、これらを触媒安定性の間接的な指標として用いることができる。このように、老化した触媒のα−(Cr,Al)含有量が低いこと及び/又は表面積がより大きいことは、この触媒の安定性がより高いことを表わす。
D.実施例
以下の例は、本発明の様々な実施例を説明するものであるが、いかなる関連においても、実施例を限定するものと解するべきではない。部分及びパーセントは、特に記載がない限り、重量による。
比較例1
19.7重量%のCrと0.65重量%のNaOの組成物であり、残余部分がアルミナを含む脱水素化触媒を以下の通り調整する。
水酸化アルミニウムと含水硝酸から硬質アルミナペレットを作成する。この原料は事前に完全に混合されており、混合時間が、硝酸とアルミナの反応を完全にする時間を提供する。次いで、この混合物を、直径1/8インチ(0.3175cm)のペレットに成形する。これらのペレットを乾燥させる。担体を、空気雰囲気中で371℃で加熱処理して、空気中で616℃で熱処理を行う。
次いで、酸化アルミニウムペレットを42重量%の酸化クロムと、1.1%の酸化ナトリウムの溶液に含浸させて、上記に挙げた成分の重量パーセントとする。含浸させた酸化アルミニウムを10時間、121℃で乾燥させ、20モルパーセントの蒸気中で760℃でか焼する。
発明例2
例1のプロセスによって、硬質アルミナペレットから触媒を作成する。硬質アルミナペレットを、42重量%の酸化クロム溶液、0.4重量%の酸化ナトリウム、及び1.1重量%の酸化カリウムに、含浸させ、以下に挙げた成分の重量パーセントとする。含浸させたアルミナペレットを、121℃で10時間乾燥させ、例1のプロセスに従って、760℃でか焼する。この触媒の最終処方は、19.7重量%のCrと0.21重量%のNaOと0.52重量%のKOの組成であり、残余部分がAlを含む。
比較例3
例1のプロセスによって、硬質アルミナペレットから触媒を作成する。硬質アルミナペレットを、42重量%の酸化クロム、1.8重量%の酸化カリウムの溶液に含浸させ、以下に挙げた成分の重量パーセントとする。含浸させたアルミナペレットを、121℃で数時間乾燥させ、例1のプロセスに従って、760℃でか焼する。この触媒の最終組成は、19.7重量%のCrと0.93重量%のKOであり、残余部分がAlを含む。
比較例4
例1のプロセスによって、硬質アルミナペレットから触媒を作成する。硬質アルミナペレットを、42重量%の酸化クロム、0.95重量%の酸化ナトリウム、及び0.55重量%の酸化リチウムの溶液に含浸させ、以下に挙げた成分の重量パーセントとする。含浸させたアルミナペレットを、121℃で乾燥させ、例1のプロセスに従って、760℃でか焼する。この触媒の最終処方は、19.5重量%のCrと0.5重量%のNaOと0.3重量%のLiOであり、残余部分がAlを含む。
比較例5
例1のプロセスによって、硬質アルミナペレットから触媒を作成する。硬質アルミナペレットを、42重量%の酸化クロム、0.75重量%の酸化ナトリウム、及び0.25重量%の酸化リチウム、及び0.44%の酸化カリウムの溶液に含浸させ、以下に挙げた成分の重量%とする。含浸させたアルミナペレットを、121℃で乾燥させ、例1のプロセスに従って、760℃でか焼する。この触媒の最終処方は、19.8重量%のCrと0.45重量%のNaOと0.21重量%のKOと、0.11重量%のLiOの組成であり、残余部分がAlを含む。
比較例1、3、4、5及び発明例2の触媒は上述の条件で人工的に老化させたものである。次いで、新しいサンプルと老化したサンプルをストリーム上で7−8ヶ月たった同等物に老化させた後、触媒性能を評価して、その安定性を測定する。
イソブタンの脱水素化性能についての試験を、内径1インチ(2.54cm)の外側を加熱した筒型反応器中で行う。イソブタンを、ある温度範囲で、制御したスループットと圧力(LHSV=1.0、圧力=0.33atm.(33437パスカル))で触媒に導入する。脱水素化製品を分析して、イソブタンの変換率とイソブテンの選択性を調べる。「老化後」の触媒の性能を試験するために、上述の“A New Houdry Catalyst for the Third Wave”に開示されている手順を用いて触媒を人工的に老化させた。
表1は、本発明の様々な実施例による触媒の性能について、促進剤として酸化カリウムと酸化ナトリウムを両方加えた場合の効果を示す。
Figure 0005574387
表1に示すように、老化後は、発明例2の触媒の変換率と選択性が共に、比較例の触媒より強化されたイソブタン変換率とイソブチレン選択性を示した。これは、発明例2に存在するアルカリ金属の量が、各比較例に存在するアルカリ金属の量と同等であるか、あるいはこれより少ないので、驚くべき結果である。更に、発明例2の触媒の性能は、米国特許第7,012,038号に開示されている比較例4の性能に比べて特に驚くべきものである。興味深いことには、触媒の性能が強化されておらず、実際にはすでにNaOとKOを含んでいる触媒に、追加的にLiOを加えた場合、この性能は低減した。これは、特に驚くべき結果であった。

Claims (10)

  1. 脱水素化プロセスに使用する触媒において:
    担体としてのアルミナと;
    触媒総重量につき10重量%乃至30重量%の酸化クロム濃度の酸化クロムと;
    触媒総重量につき0.1重量%乃至2重量%の酸化ナトリウム濃度の促進剤としての酸化ナトリウムと;
    触媒総重量につき0.1重量%乃至5重量%の酸化カリウム濃度の促進剤としての酸化カリウムと;
    を含み、前記酸化カリウムと前記酸化ナトリウムとの比が、重量ベースで0.1:1乃至10:1であり、前記触媒が酸化リチウムを含まないことを特徴とする触媒。
  2. 脱水素化プロセスに使用する触媒において:
    担体としてのアルミナと;
    触媒総重量につき10重量%乃至30重量%の酸化クロム濃度の酸化クロムと;
    触媒総重量につき0.1重量%乃至2重量%の酸化ナトリウム濃度の促進剤としての酸化ナトリウムと;
    触媒総重量につき0.1重量%乃至5重量%の酸化カリウム濃度の促進剤としての酸化カリウムと;
    を含み、前記酸化カリウムと前記酸化ナトリウムとの比が、重量ベースで0.1:1乃至3:1であり、前記触媒が酸化リチウムを含まないことを特徴とする触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の触媒において、前記酸化クロムが、触媒総重量につき15重量%乃至28重量%の濃度で存在することを特徴とする触媒。
  4. 請求項1又は2に記載の触媒において、前記酸化ナトリウムが、触媒総重量につき0.1重量%乃至1重量%の濃度で存在することを特徴とする触媒。
  5. 請求項1又は2に記載の触媒において、前記酸化ナトリウムが、触媒総重量につき0.1重量%乃至0.3重量%の濃度で存在することを特徴とする触媒。
  6. 請求項1又は2に記載の触媒において、前記酸化カリウムが、触媒総重量につき0.1重量%乃至2重量%の濃度で存在することを特徴とする触媒。
  7. 請求項1又は2に記載の触媒が更に、ジルコニウムとマグネシウムの化合物及びこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも一の追加の促進剤を含むことを特徴とする触媒。
  8. 酸化リチウムを含まない脱水素化反応触媒を製造するプロセスにおいて:
    42重量%のクロム化合物と、0.4重量%のナトリウム化合物と、1.1重量%のカリウム化合物を準備するステップと;
    アルミナを、前記クロム化合物と、前記ナトリウム化合物及び前記カリウム化合物からなるアルカリ金属化合物とを含む化合物と混合して、前駆体材料を形成するステップと;
    当該前駆体材料を熱処理して、前記脱水素化触媒を形成するステップと;
    を具えることを特徴とするプロセス。
  9. 請求項に記載のプロセスにおいて、前記クロム化合物が、前記アルミナの担体の上に含浸させたCrO3溶液の形で追加されることを特徴とするプロセス。
  10. 請求項1又は2に記載の触媒において、前記酸化ナトリウム及び前記酸化カリウムの促進剤が、前記担体上に、前記酸化クロムと、共含浸されていることを特徴とする触媒。
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