JP5573715B2 - 黒色メタリック色調成形樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明の黒色メタリック色調成形樹脂組成物を構成する樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂である。結晶性樹脂は、溶融成形後の結晶化により透明性を低下し、黒色メタリック色調の発現が妨げられるからである。黒色着色剤の配合による蓄熱性が増大しても、自動車部品等の変形につながるガラス転移温度(Tg)への到達が避けられるように、Tgが、80℃以上、好ましくは90℃以上のものが用いられる。成形性をも考慮して、本発明で用いるに適した非晶性樹脂の例としては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ASA(アクリロニトリルースチレンーアクリレート共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン共重合体)、ブタジエン−(メタ)アクリレート共重合体、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
上記非晶性樹脂に対して、光輝材を配合して、メタリック色調の基本樹脂組成物を形成する。光輝材としては、アルミニウム粉、マイカ粉等が用いられ、特に本発明の目的とする「ガンメタ(リック)色」を表現するためには、アルミニウム粉が好ましく用いられる。光輝性付与効果、分散性、得られる組成物の成形性の観点から、非晶性樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部、特に0.8〜3重量部の割合で配合することが好ましい。同様な理由により、光輝材は、顕微鏡観察による平均粒子径が5〜120μm、特に5〜20μmの粉粒体であることが好ましい。
カーボンブラックとしては、樹脂着色に適した顕微鏡観察による算術平均粒径が10〜100nmのものが好ましく用いられる。市販品の例としては、Columbian Carbon社製「Raven7000,3200,850,500、410」、Cabot社製「Monaech800,700、Elftex12、Sterling R(NS)」等がある。カーボンブラックは、本発明のメタリック色調成形樹脂組成物に要求される黒色度、すなわち明度(L*)が60未満、に対して、明度(L*)≧60程度まで、明度(L*)を低下させる量で用い、望まれるより低い明度(L*)を後述する有機黒色着色剤の添加で実現するように組成設計することが好ましい。これにより、太陽光等の照射による蓄熱熱効果により成形部品が非晶性樹脂のTgに到達するのを防止しつつ、所望の黒色メタリック色調を容易に実現することが可能になる。このカーボンブラック量は、添加される光輝材の量および粒径により異なる(具体的には、光輝材の量が多くなるに従い、また粒径が小さくなるに従い、同一明度(L*)を得るためにより多量のカーボンブラックが必要となる傾向がある)が、一般に、非晶性樹脂100重量部に対して、0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部程度である。
有機黒色着色剤は、一般にR,GおよびBの有機顔料あるいは染料の減法混色により得られるものであり、市販品の例としては、R:クラリアントジャパン社製PV Fast Red B、BASF社製パリオゲンレッド、G:大日本インキ化学社製ファストゲングリーン、B:BASF社製へリオゲンブルー、大日精化工業社製シアニンブルー等がある。有機黒色着色剤は、上述したカーボンブラックに加えて補助着色剤として所望の黒色度(明度(L*)として60未満、必要に応じて更に、55未満、50未満、45未満あるいは40未満)を与えるために添加されるものであり、光輝材添加量およびカーボンブラック添加量との兼ね合いでその添加量が決定されるが、一般に、非晶性樹脂100重量部に対して、0.01〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部程度である。
本発明の黒色メタリック色調成形樹脂組成物は、上述した非晶性樹脂、光輝材、カーボンブラックおよび有機黒色着色剤を必須成分として含むものであるが、有機黒色着色剤の光照射下での変・退色を防止するために、非晶性樹脂100重量部当たり0.25〜1.0重量部の光安定剤(その好ましい例としては特願2010−134156号明細書に開示される低分子量型あるいは高分子量型のNH型ピペリジン環を有するヒンダードアミン化合物が挙げられる)を添加することも好ましい。その他、本発明の樹脂組成物には、ステアリン酸亜鉛等の滑剤あるいは潤滑剤、その他成形用樹脂への慣用添加物を必要に応じて添加することも可能である。
本発明の黒色メタリック色調成形樹脂組成物は、上記各成分を乾式混合あるいは溶融混合することにより得られ、例えば230〜270℃での射出成形、押出成形等により各種内外装品の成形に用いられる。
原料非晶性樹脂としてPMMA(ポリメチルメタクリレート;Tg(ガラス転移点):90〜95℃;(株)クラレ製「パラペットGF」)およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;Tg:110℃;ダイセルポリマー(株)製「セビアン300SF」)の2種、ならびに光輝材として、平均粒子径がそれぞれ5μm、8μmおよび20μmのAl(アルミニウム)粉(いずれも東洋アルミ社製ペーストPAタイプ)3種を用い、下記表1のように配合して5種のAl粉配合基本樹脂を得た。
上記試験片を、その長手方向両端を約40mm離間した2個のレンガブロックに差し渡して床面から30mmの高さに支承した。次いで、この試験片の非支承部長約40mmの中央部の30mm上の位置に、その下端部(光輝部の先端部)が来るように250Wハロゲンランプ(ウシオライティング株式会社製「JT120V250WG」)を配置し、照射を開始し、照射開始後7分(照射継続中)の時点で試験片の表面温度を、Reytek社製赤外線温度計で測定して、蓄熱温度(℃)とした。
上記試験片について分光測定器(コニカミノルタホールディングス(株)製「CM−508d」)により、明度(L*)を測定した。(JIS Z8701、JIS Z8716、JIS Z8720、JIS Z8722,JIS Z8723、JIS Z8729,JIS Z8730に準拠。)
次いで、上記表2および図1に示す参考例の結果をもとに、各Al粉配合基本樹脂について上記の過酷な照射条件において樹脂のTgに近接する蓄熱温度85℃に相当する明度(L*)60を与えるカーボンブラック添加量レベルにおいて、より低い明度(L*)(大なる黒色度)を有機黒色顔料により実現するという思想のもとに、上記有機黒色顔料を0〜5%の範囲で異なる量で添加して、得られた組成物について、上記と同様な試験片の作成、蓄熱温度(℃)および明度(L*)の測定を行なった。測定結果をAl粉配合基本樹脂ごとに次表3〜7および図2〜6に示す。
Claims (7)
- ガラス繊維を配合しない80℃以上のガラス転移温度を有する非晶性樹脂に、光輝材を配合し、更にカーボンブラックおよび有機黒色着色剤を併用添加することにより、明度(L*)値を60未満とした材料樹脂着色による黒色メタリック色調成形樹脂組成物。
- カーボンブラックが、有機黒色着色剤なしで、60以上の明度(L*)値を与える量で含まれ、更に有機黒色着色剤がカーボンブラックとの併用により60未満の明度(L*)を与える量で含まれる請求項1に記載の樹脂組成物。
- 光輝材が平均粒径5〜20μmのアルミニウム粉であり、非晶性樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部の割合で添加される請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 非晶性樹脂が85℃以上のガラス転移温度を有する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 非晶性樹脂が、ポリメチルメタクリレートまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 有機黒色着色剤がR,GおよびBの減法混色による有機黒色顔料である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 更に非晶性樹脂100重量部に対して0.25〜1.0重量部の光安定剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
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