JP5573642B2 - 構造用高張力耐火鋼 - Google Patents

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本発明は、建築物、橋梁、船舶、タンクおよび圧力容器などに用いられる、引張強度が420MPa以上で、700℃以上での高温強度に優れ、かつ優れた靭性を有する構造用高張力耐火鋼に関する。
建築物、橋梁、船舶などの構造物での大規模地震や火災を想定した場合、高温ではこれら構造物に使用されている鋼材の強度が低下し、建築物などが崩壊する恐れがあることから、耐火性に優れた鋼材が求められており、短時間での高温強度を高めた耐火鋼が多く提案されている。
例えば特許文献1には、低C−低Mn鋼に質量比でMo:0.4〜0.7%およびNb:0.005〜0.04%を複合含有し、600℃での高温耐力が常温耐力の2/3以上である耐火鋼の製造技術が記載されている。この技術では、比較的大きなフェライト主体組織とし、NbとMoを複合含有させることで耐火性を確保している。
また、構造用鋼材としては耐火性に加えて、一般的な要求特性としての靭性も同時に満足する必要があり、そのために不純物元素の規制や焼入れ性の確保についても種々検討されている。例えば、特許文献2には、C:0.004質量%以下、N:0.004質量%以下と極低C、N化し、Mo、Nb、Bを含有させてベイナイト単相組織にするとともに固溶Mo、Nb、Bを確保することで、従来の耐火鋼では強度低下の著しい700℃以上での強度低下を防止し、750℃でも常温強度の2/3以上の降伏強度を実現した耐火鋼が開示されている。さらに、Tiを含有させてNをTi窒化物として固定し、Mn量も制限することで、溶接部の靭性低下を防止できるとしている。
しかし、引用文献1、2に記載された耐火鋼は高温強度を得るためにMoを含有させる必要があり、しかも要求耐火温度の上昇に伴い、Moの必要含有量も増加するが、Moは非常に高価な金属であり、また、靭性に悪影響を及ぼすという問題もある。
そこで最近では、高価なMoを含有させずに耐火鋼を得ることのできる技術も提案されている。特許文献3では、低C鋼にNbやVを含有させ、またミクロ組織中のベイナイト相およびマルテンサイト相を体積分率で20%以上とすることで、Moの含有なしに主としてV炭窒化物による析出強化によって所望の室温強度を確保し、700℃までの温度範囲で優れた高温強度が得られ、かつ、母材靭性および溶接熱影響部靭性も良好であるとしている。
特許文献4でも同様に、Moを無添加とし、適正なVの含有量バランスの下で、Vを主体とした合金炭化物および合金炭窒化物を形成し、さらに微細硫化物による析出強化等を適宜組み合わせることにより、所要の高温強度および常温での機械的性質を有する耐火性に優れた鋼材が開示されている。
また特許文献5には、Moを添加することなく、微量のB、Nbの含有により焼入れ性を高め、固溶Nbのドラッグ効果によって高温強度を高め、更に、固溶Nを固定するZrあるいはREMの含有によって耐再熱脆化特性も確保した耐再熱脆化特性に優れた耐火H形鋼及びその製造方法が開示されている。
特開平02−077523号公報 特開2006−249467号公報 特開2007−211278号公報 特開2007−224415号公報 特開2008−179881号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術は前述したように、非常に高価なMoの含有を必要とする点で課題を残している。
一方、特許文献3〜4に記載の技術は、Moを無添加として、Nb、Vなどの炭化物や炭窒化物を用いて高温での強度を確保するものであるが、析出強化による手法では、700℃以上、特に750℃以上の温度域での強度を確保することは非常に困難である。また、特許文献5に記載された技術もMoを無添加として、Nbのドラッグ効果によって高温強度を高めるものであるが、同様に700℃以上、特に750℃以上の温度域での強度を確保することは非常に困難である。
本発明はこのような従来技術に鑑みてなされたもので、引張強度が420MPa以上、700℃での降伏強度(降伏強度が測定困難な場合は0.2%耐力)が室温(常温ともいう)での降伏強度の50%以上であり、かつ−40℃での母材シャルピー吸収エネルギーが300J以上である、高温強度と靭性に優れる構造用高張力耐火鋼を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討を行い、以下のような知見を得た。
従来、600℃近傍での高温強度と低温靭性を満足させるためには低炭素鋼にMoおよびNbを微量含有させて析出強化機構を利用するのが通常であり、また、要求される耐火温度が高くなるに従ってMoの含有量を増加させていた。しかし高価な金属元素を多量に用いる従来の耐火鋼の成分設計手法は今後継続することが困難になってきている。そこで、高価なMoを添加せずに、Nb、Ti、V等を含有して炭窒化物形成による高温強度の発現を狙う手法も提案されているが、この手法は650℃程度までは有効であるものの、700℃を超えるような高温域になると炭窒化物が急激に粗大化してしまい、高温域での急激な組織回復を防止することは難しく、所定の高温強度は得られない。
一方、炭化物が析出しないγ域での再結晶や炭素を極端に低減した極低炭素鋼のフェライト再結晶に対して、Nb、Ti、Mo等の固溶元素が再結晶を遅延させることが知られており、これは、これらの元素の結晶粒界への偏析によるSD(Solute Drag)効果によるものと推定されている。いずれの場合であっても、このような効果を発現するのはNb、Ti、Mo等が固溶状態で存在する場合であり、従って、フェライト域での高温強度を得るには炭素がフリーであることが望ましい。
そこで、あらためてNbの効果を最大限に引き出すための検討を実施した結果、炭素含有量を大幅に低減するとともに、BおよびCr等の含有量を最適化することにより、焼き入れ性を高め、高温域での固溶Nb量を十分に確保することができ、その結果、高温強度の安定確保が可能となることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたもので、その要旨は次の通りである。
[1]質量%で、C:0.003%以下、Si:0.02〜0.05%、Al:0.10%以下、Mn:0.01〜1.00%、P:0.010%以下、S:0.003%以下、Cr:0.60〜1.50%、Nb:0.10〜0.25%、Ti:0.005〜0.02%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.004%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする構造用高張力耐火鋼。
なお、本明細書において、鋼組成の単位:%は質量%を示す。
本発明によれば、高価なMoを添加する必要がないため、原料コストを大幅に抑制することができる。また、700℃以上の高温域であっても、炭化物や硼化物が形成されないので、有効な固溶元素が減少する懸念がなく、安定して高温強度を得ることができる。さらに、結晶粒界にNbが偏析して粒界の強度を高めることから、良好な靭性が得られるとともに、施工性にも優れる。
Nb含有量と高温強度の関係を示す図である。 結晶粒界におけるNb偏析を示す図である。
1)まず、この発明の根拠となる実験事実について述べる。
本発明においては、高温強度確保のために従来用いられてきたMoに代わってNbを含有させる。発明者等が鋭意検討した結果、鋼中におけるNbの適正存在形態として、固溶状態であることが重要であることがわかった。この場合、NbはMoに較べて炭化物形成能が高く、従って低炭素鋼では固溶状態にあるNbの確保が難しいため、極低炭素鋼であることが必要である。
図1は、C:0.0015%、Si:0.01%、Al:0.1%、Mn:0.01%、P:0.008%、S:0.002%、Cr:1.0%、Ti:0.020%、N:0.003%、B:0.0020%、さらに残部はFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を基本組成とし、Nb含有量を0〜0.4%の範囲で変化させた鋼の、高温強度特性のNb含有量依存性を調査したものである。特性評価のための試験片は15mm厚の熱延板L方向から採取し、室温の引張り試験には径6mmで標点距離25mmの丸棒引張り試験片を用い、高温の引張り試験はJIS G0567鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張り試験法に準拠し、径6mmで標点距離30mmの丸棒引張り試験片を用いて実施した。高温強度は700℃および750℃における降伏強度YSを室温時の値との比YS(HT)/YS(RT)(HT:700℃,750℃、RT:室温)で示している。図1から次のことがわかる。温度が700℃および750℃いずれの場合においても、Nb含有量が増加するに従って高温強度特性(室温降伏強度に対する高温降伏強度の比YS(HT)/YS(RT))が急激に上昇し、0.10%で50%に達する。Nb含有量をさらに増やしても温度700℃の高温強度特性は殆ど変化しないが、温度750℃の高温強度特性はNb含有量が0.25%を超えると急激に低下する。これは750℃という高温域では、過剰なNbは硼化物を形成して急激に高温強度特性を低下させるためと考えられる。すなわち、Nb含有量が0.10〜0.25%の範囲であれば、700℃は勿論、750℃であっても優れた高温強度が得られるのである。
固溶Nbを一定量確保することで高温強度が確保できる理由については、母相が微細なベイニティックフェライト組織となること、またその組織内の各種境界(主として結晶粒界)上にNbが偏析し、高温熱活性化過程で起こりえる界面移動速度を著しく低下させること、が主要因と考えられる。またこの結晶粒界へのNb偏析は靭性向上にも大きく寄与すると推定される。ここで母相となるベイニティックフェライトは、低炭素鋼において知られているセメンタイトを含有するベイナイト相とは異なり、炭化物をほとんど含有していない。極低炭素鋼において、多量の固溶Nbの存在により連続冷却過程におけるγ→α変態が著しく抑制された結果、低温変態相として現れるものである。本発明鋼においては、ベイニティックフェライト相を得るための特殊な処理は必要なく、熱間圧延後の空冷で容易に得ることができる。
図2は、上記と同じ成分(但し、Nb:0.20%)の試験片の結晶粒界部分から電子顕微鏡観察用試料を作製し、0.5nm未満の電子プローブを用いたSTEM/EDS分析を実施した結果を示すものである。図2から、結晶粒界にNbが偏析していることが確認できた。Nbを結晶粒界のような境界に偏析させるには、特殊な製造条件を必要としない。注意する点は、熱間圧延中もしくは冷却過程において固溶Nbが炭化物等として析出しないこと、また変態後の各種境界上にNbが偏析する時間を確保することである。前者については、炭素含有量を制限することにより達成される。後者については、圧延後の極端な急速冷却、あるいは冷却過程において650℃以上での等温保持を行わなければ良く、通常の熱間圧延工程によりNbが結晶粒界に偏析したベイニティックフェライト相組織を得ることができる。
2)次に本発明における鋼の化学成分の限定理由について述べる。
C:0.003%以下
Cは含有量が0.003%を超えるとNbCを形成して高温強度に有効な固溶Nbが少なくなるため、上限を0.003%とした。本発明においては、Cは必ずしも含有させねばならない元素ではないが、通常の製鋼技術では安定的に0.001%未満とすることは容易でなく、また、コスト増につながることから、0.001%以上とするのが好ましい。
Si:0.02〜0.05%
Siは脱酸元素として鋼中の溶存酸素低下に必須の元素であるため、溶存酸素が十分低下するのに必要な量で十分である。このためには0.02%以上の含有量とする必要あり、この下限を外れると脱酸が不十分となる。また過剰な含有は溶接熱影響部の靭性が劣化するため、上限を0.05%とした。
Al:0.10%以下
AlもSiと同様に脱酸元素として鋼中の溶存酸素低下に有効な元素であるため、溶存酸素が十分低下するのに必要な量の含有で十分である。この目的はSiで代替することができるため、特に下限は設けない。但し、過剰な含有は溶接熱影響部の靭性が劣化するため上限を0.10%とした。
Mn: 0.01〜1.00%
Mnも脱酸元素、固溶強化元素としてよく用いられるが、オーステナイト安定化元素であり、変態点降下によって焼き入れ性も高めることができる。本発明においては不純物元素であるSを固定する効果が得られる量0.01%を下限とする。Mnは高温強度安定確保にも効果があるが、過剰に含有すると靭性に不利な粗大介在物形成を招くことから、その上限を1.00%とする。
P: 0.010%以下
Pはしばしば母相強度レベル調整に積極的に活用される固溶強化元素であるが、粒界偏析によって靭性を著しく低下させる元素である。このため、できるだけ低減することが望ましい。好ましくは0.005%以下であるが、ここでは精錬コスト上の観点から上限を0.010%とした。
S: 0.003%以下
Sは熱延時の割れ発生や、表面疵要因となるため、その含有量は少ない方が望ましい。但し、Mn含有鋼ではMnSの形成によって実質的に鋼中に固定することは可能であるが、溶接熱影響部における固溶を考慮して、上限を0.003%とする。
Cr: 0.60〜1.50%
Crは、焼き入れ性確保の観点から重要な元素である。但し、過剰な含有はコスト上問題であるばかりか、靭性に悪影響を及ぼす不純物レベルの増大につながることから、1.50%を上限とした。一方、含有量が少ないと焼き入れ性が十分確保できないため、下限を0.60%とする。
Nb: 0.10〜0.25%
Nbは前述のように、本発明において極めて重要な元素の一つである。Nbはオーステナイト域での再結晶を著しく抑制し、結晶粒微細化による母相強度上昇に寄与する。また、オーステナイト粒界および変態後の各種境界上に偏析して、高温域における組織回復を著しく遅延させる効果がある。その効果は、Moのそれに較べて圧倒的に強い。十分な効果を発揮するには、0.10%以上の含有量が必須である。一方、過剰な含有はコスト上昇につながるだけでなく、スラブ段階での炭化物や硼化物形成が促進され、有効な固溶Nb量の低下を招く。また、耐火性能が発揮されるべき高温域での炭化物粗大化やFe-Nb-B系析出物の形成も懸念されるため、上限を0.25%とした。
Ti:0.005〜0.02%
TiはここではN固定に必要な含有量とした。Nはしばしば固溶状態で靭性を劣化せるため、これを完全に固定する量として、N含有量に応じて0.005〜0.02%の範囲とした。
B:0.0005〜0.0020%
Bは一般的には焼き入れ性の向上やN固定などの目的で含くまれることが多いが、Tiを含有している本発明鋼においては、その目的は焼き入れ性向上のみである。これらの効果を発揮するには0.0005%以上の含有量が必要であるが、過剰に含有させると、素材溶製時の粗大硼化物形成を招くばかりか、高温域におけるNbの硼化物形成も促進するため、その上限を0.0020%とした。
N:0.004%以下
上述のように本発明では、固溶窒素は完全に固定する必要がある。0.004%を上限として、実質的にTiNとして完全に固定する。
3)次に本発明鋼の組織について述べる。
前述したように、高温強度を得るためには母相を微細なベイニティックフェライト組織とする必要がある。本発明鋼ではC含有量を0.003%以下とした上で、上述したように多量の固溶Nbを確保するようにしているので、通常の製造条件で製造すれば、ベイニティックフェライト相が得られる。このようにして生成したベイニティックフェライト組織は、700℃さらには750℃での高温強度を確保するためには単相とすることが好ましいが、フェライト相を面積率で10%までは許容できる。
なお、ベイニティックフェライトの面積率は例えば以下のようにして求めることができる。鋼板のL断面(圧延方向に平行な断面)の板厚の表層10%を除く部分について、5%ナイタールによる腐食現出組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で1000倍に拡大して撮影する。0.1μm以上の粒界に垂直方向に凹凸があるか、あるいは粒内に(転位に起因する)腐食痕の残るかのいずれかの特徴を有する結晶粒をベイニティックフェライトと定義した。
あるいは本発明鋼のような炭素レベルでは、実質的に存在する相はベイニティックフェライトもしくはフェライトであり、これらを結晶方位コントラストに敏感なSEMの反射電子像によって識別することもできる。すなわち、フェライトは変態歪をほとんど有していないため、粒内の歪起因のコントラスト変調がほとんどないのに対し、ベイニティックフェライトでは、連続する粒界で囲まれる領域内でコントラスト変調が必ず存在する。このため、フェライト率を評価することで、主相ベイニティックフェライト面積率を算出可能である。
4)次に、本発明鋼の好ましい製造方法の一例について説明する。
前述した成分を含有する鋼を溶製して、連続鋳造によりスラブとなし、該スラブをオーステナイト単相域に加熱した後、熱間圧延や鍛造等の熱間加工により所定の大きさに成型し、冷却する。本発明鋼はC含有量が少ないため、スラブ製造時にNb炭化物が多量に形成されることはなく、スラブ加熱温度は熱間加工がオーステナイト温度域で終了するように設定すればよい。具体的には1050〜1200℃で30〜60分保持する条件で加熱すれば良い。熱間加工については、二相域での加工にならなければよいが、極低炭素鋼の場合、変態点が高いため、950℃以上1000℃以下で仕上げることが好ましい。熱間加工後の冷却については、加速冷却してもよいし、空冷してもよい。但し、650℃以上の温度域では、微量に残存する炭素や硼素とNbが積極的に反応して析出物を形成するので、この温度域での長時間滞留は避けるべきであり、60秒以下とするのが好ましい。
表1に示す種々の成分組成に調整した鋳片を1200℃に加熱後、熱間圧延を行い、仕上げ温度950℃で圧延を完了し、板厚15mmの鋼板を製造した。圧延後の冷却は空冷とした。得られた各鋼板について、室温における引張り試験YS(RT)、750℃における引張試験YS(750℃)および−40℃でのシャルピー試験を行い、その機械的性質を調べた。
室温の引張り試験には径6mmで標点距離25mmの丸棒引張り試験片を用い、高温の引張り試験はJIS G0567鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張り試験法に準拠し、径6mmで標点距離30mmの丸棒引張り試験片を用いて行った。また母材のシャルピー衝撃試験には、2mmVノッチシャルピー試験片で厚み10mmのものを使用し、各試料試験片本数を3本として、−40℃での平均の吸収エネルギーを評価した。
これらの評価結果も併せて表1に示した。発明鋼においては、室温強度に対する750℃降伏強度が50%以上の高い値を示しており、また母材の−40℃での吸収エネルギーも300J以上と強靱性を有している。鋼No.5では、炭素含有量が発明範囲上限を超えており、固溶Nbの低下により高温強度が低下している。鋼No.6は、Cr含有量が発明範囲下限未満となっているため、焼き入れ性が確保できず、結果として高温強度特性が低下している。鋼No.9は、Cr含有量が逆に発明範囲上限を超えており、母材靱性が低下している。鋼No.10では、重要元素であるNb含有量が発明範囲下限未満となったため、高温強度および靱性ともに低下が認められる。鋼No.13,14では、Nb含有量が適正レベルを超えており、有効固溶Nb量が低下し、やはり高温強度および靱性ともに低下している。
本発明による鋼材は、非常に高価なMoを使用することなく、かつ700℃以上においても炭化物生成、硼化物形成に伴う急激な強度低下のない、高温強度に優れかつ、靭性に優れた鋼材として有望である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.003%以下、Si:0.02〜0.05%、Al:0.10%以下、Mn:0.01〜1.00%、P:0.010%以下、S:0.003%以下、Cr:0.60〜1.50%、Nb:0.10〜0.25%、Ti:0.005〜0.02%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.004%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする構造用高張力耐火鋼。
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