(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、カメラ10、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、無線通信機15、地図データ取得部16、および制御回路17(土地勘地図表示制御装置の一例に相当する)を有している。
カメラ10は、車両の前方を撮影し、撮影の結果得た撮影画像を制御回路17に出力する。カメラ10は、ドライブレコーダ用のカメラのように、車両の走行中常時定期的に(例えば、0.1秒間隔で)撮影および撮影画像の出力を行うようになっていてもよいし、あるいは、制御回路17から指令があったタイミングで撮影および撮影画像の出力を行うようになっていてもよい。
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザーに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等、ユーザーの直接操作を受け付ける入力装置から成り、ユーザーによる入力装置の操作に応じた信号を制御回路17に出力する。
無線通信機15は、無線通信を行うための周知の回路であり、車両の外部の施設等に取り付けられた無線中継装置(基地局、無線LANアクセス)を介して、ネットワーク上の通信装置と通信可能なようになっている。制御回路17は、この無線通信機15を用いて車外の上記通信装置(例えば、各種サーバ)と通信してデータのやりとりを行うことができる。
地図データ取得部16は、HDD等の書き込み可能な不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび可能ならば書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、地図データ等を記憶している。
以下、本実施形態の地図データの構成について説明する。本実施形態の地図データは、地図描画に用いるデータとして、道路データおよび周知の背景データを含み、また、経路計算用のデータとして、周知の道路ネットワークデータを含んでおり、POIとなる地点のアイコン描画用のデータとして、地点データを含んでいる。
本実施形態の道路データは、2種類の道路データに分かれている。1つは、通常表示用道路データであり、もう1つは、土地勘地図用の道路データである。
通常表示用道路データは、周知の道路データのデータ構成を有している。すなわち、通常表示用道路データは、パーセル(地理区画)毎に区分けされて管理され、各パーセルにおいては、当該パーセル内のすべてのリンク列(連続するリンクの集合)のリンク列データレコードが記録されている。
図2に示すように、あるリンク列に対応するリンク列データレコードは、リンク列形状情報およびノード・リンク接続情報を含んでいる。リンク列形状情報は、当該リンク列に含まれるリンク毎にリンク形状データを有している。
あるリンクに対応するリンク形状データは、当該リンクのリンクID、および、当該リンク中の形状点(ノードおよび形状補完点)の位置座標(相対座標でも絶対座標でもよい)を表すデータを含んでいる。また、ノード・リンク接続情報は、複数のリンク形状データ中のどのノードとどのノードが同じものであるかを示すデータを含んでいる。
あるパーセル内のリンクに対応する道路は、そのパーセル内のリンク形状データの形状点の位置座標に基づいて描画することができる。
土地勘地図用の道路データは、データ構造としては通常表示用道路データと同じであり、通常表示用道路データと同様、パーセル毎に区分けされて管理されるが、車両用ナビゲーション装置1の出荷当初は、リンク列データレコードを1つも含んでいない。しかし、後述するように、通常表示用道路データのリンク列データレコードの一部が段階的に土地勘地図用のリンク形状データとしてコピーされることで、通常表示用道路データのデータ量が増えていく。土地勘地図用の道路データに含まれたリンク形状データは、土地勘地図の表示時における描画対象の道路のデータである。
また、地図データ取得部16は、土地勘地図用の地点登録データを記録できるようになっている。土地勘地図用の地点登録データは、登録された地点の位置座標と、当該地点のアイコンのデータを含むことができる。この土地勘地図用の地点登録データは、土地勘地図用の道路データと同様、車両用ナビゲーション装置1の出荷当初は、登録地点の位置座標およびアイコンのデータを1つも含んでいないが、後述するように、段階的に登録地点の位置座標およびアイコンのデータが増えていく。土地勘地図用の道路データに含まれる登録地点のデータは、土地勘地図の表示時における描画対象の地点のデータである。
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび可能であれば地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、および交通情報受信機15と信号の授受を行う。
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、表示制御処理17a、ルート算出処理、経路案内処理、登録処理17b等がある。
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
表示制御処理17aは、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置12に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。本実施形態では、通常表示用道路データを用いて通常の地図の表示を行う場合と、土地勘地図用の道路データおよび土地勘地図用の地点登録データを用いて土地勘地図の表示を行う場合とがある。表示制御処理17aの詳細については後述する。
ルート算出処理は、操作部13からユーザーによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適なルートを、地図データの道路ネットワークデータを用いて(例えばダイクストラ法で)算出する処理である。
経路案内処理は、ルート算出処理によって算出された最適なルートに沿った走行を案内する処理であり、当該ルートと自車位置との位置関係を逐次監視し、当該ルート上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ14に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置12に表示させることで、当該ルートに沿った車両の運転を案内する処理である。
登録処理17bは、上述の土地勘地図用の地点登録データに地点を登録し、また土地勘地図用の道路データに道路を登録するための処理である。以下、登録処理17bについて説明する。図3に、登録処理17bのフローチャートを示す。制御回路17は、この登録処理17bを、ユーザーが操作部13に対して所定の登録開始操作を行ったときに開始する。ユーザーは、自分が車両でよく訪れて土地勘を有していると判断した地点を登録したいとき、操作部13に対してこの所定の登録開始操作を行う。
登録処理17bは、上述の土地勘地図用の地点登録データに地点を登録するための処理である。以下、登録処理17bについて説明する。図3に、登録処理17bのフローチャートを示す。制御回路17は、この登録処理17bを、ユーザーが操作部13に対して所定の登録開始操作を行ったときに開始する。ユーザーは、自分がよく車両で訪れて土地勘を充分有していると判断した地点を登録したいとき、操作部13に対してこの所定の登録開始操作を行う。
登録処理17bにおいて制御回路17は、まずステップ110で、ユーザーが操作部13に対して登録したい地点の指定操作を行うまで待つ。ユーザーは、操作部13を操作して、登録したい地点を指定する。
この指定方法は、通常の目的地設定時における目的地の指定方法と同じでよい。例えば、当該地点の住所(土地地番)を入力する方法でもよいし、当該地点の位置座標を入力する方法でもよいし、通常の地図表示を利用した入力方法でもよい。あるいは、車両が現在所在する地点を登録したい場合は、現在位置登録の操作を行う方法でもよい。
当該指定操作が行われると、制御回路17は、指定された地点を、新たな描画対象の地点として、土地勘地図用の地点登録データに登録する。具体的には、指定された地点の位置座標および当該地点のアイコンを、互いに関連付けて土地勘地図用の地点登録データに追加記録する。
続いてステップ120では、描画対象の地点のデータとして既に土地勘地図用の地点登録データに登録されている1つまたは複数の地点のそれぞれを相手として、新たな描画対象の地点と当該相手の地点との間を繋ぐ追加ルートを取得し、続いてステップ130に進む。追加ルートは、リンクIDのリスト等を含んだデータとして取得する。ただし、既に描画対象として登録されている地点がない場合、すなわち、直前のステップ110の地点の登録が初めての地点登録であった場合、直ちにステップ130に進む。
なお、ステップ120の追加ルートは、上述のルート算出処理と同様、新たな描画対象の地点から相手の地点までの最適なルートを、道路ネットワークデータを用いて(例えばダイクストラ法で)算出し、この最適なルートを追加ルートとして取得してもよい。
あるいは、無線通信機15を用いてサーバと接続し、当該新たな描画対象の地点と相手の地点の位置座標を当該サーバに送信し、当該サーバから当該新たな描画対象の地点から相手の地点までの推奨ルートを受信し、この推奨ルートを追加ルートとして取得してもよい。なお、サーバは、複数のプローブカーから移動経路の情報を取得し、取得した移動経路の統計情報に基づいて、当該新たな描画対象の地点から相手の地点までの推奨ルートを算出するようになっていてもよい。
ステップ130では、取得した追加ルート中の道路のうち、未だ描画対象となっていない道路(土地勘地図用の道路データに登録されていない道路。以下、未描画道路という。)があるか否かを判定する。具体的には、追加ルートのリンクIDのリストと、土地勘地図用の道路データ中のリンク形状データに含まれるリンクIDとを比較し、追加ルートにしか含まれないリンクID(すなわち、未描画道路のリンクID)があれば、未描画道路があると判定する。そのようなリンクIDがなければ、未描画道路はないと判定し、土地勘地図用の道路データにデータを追加することなく、登録処理17bの処理を終了する。
未描画道路があると判定した場合は、続いてステップ140に進み、未描画道路を新たな描画対象の道路として土地勘地図用の道路データに追加登録するため、未描画道路追加処理を実行する。
図4に、この未描画道路追加処理のフローチャートを示す。制御回路17はこの未描画道路追加処理において、まずステップ142で、未描画道路のデータを通常表示用道路データから抽出する。抽出する未描画道路のデータは、未描画道路のリンクIDを含むリンク形状データである。
続いてステップ144では、抽出した未描画道路のデータを土地勘地図用の道路データに追加する。具体的には、ステップ142で抽出したリンク形状データを、土地勘地図用の道路データに含める。
この際、通常表示用道路データにおいて当該リンク形状データを含んでいたリンク列データレコードが、既に土地勘地図用の道路データ内にあれば、当該リンク列データレコード中のリンク列形状情報に、当該リンク形状データを追加記録する。
しかし、通常表示用道路データにおいて当該リンク形状データを含んでいたリンク列データレコードが未だ土地勘地図用の道路データ内にない場合は、当該リンク列データレコード全体を通常表示用道路データから読み出し、読み出したリンク列データレコードから、当該リンク形状データ以外のリンク形状データを削除し、その結果得たリンク列データレコードを土地勘地図用の道路データに追加記録する。
このような未描画道路追加処理によって、新たな描画対象の地点から既に描画対象として登録されている複数の地点のそれぞれへのルートを描画するためのデータが、土地勘地図用の道路データに含まれることになる。ステップ144の後、図4の未描画道路追加処理が終了し、図3の登録処理17bも終了する。
次に、表示制御処理17aの処理内容について説明する。表示制御処理17aは、場合に応じて、通常地図表示モードと土地勘地図表示モードのいずれかで作動するようになっている。例えば、操作部13に対するユーザーの切り替え操作に応じて、通常地図表示モードから土地勘地図表示モードにモードを切り替え、あるいは、土地勘地図表示モードから通常地図表示モードにモードを切り替える。
通常地図表示モードにおいて制御回路17は、背景データ、地点データ、および通常表示用の道路データを用いて、周知の方法で画像表示装置12に地図を表示させる。図19に、通常地図表示モードにおいて表示される地図を例示する。
土地勘地図表示モードにおいて制御回路17は、図5に示すように、土地勘地図用の道路データ、土地勘地図用の地点登録データを用いて、画像表示装置12に地図を表示させる。この際、背景データは使用してもよいし、使用しなくてもよい。
土地勘地図用の道路データの使用方法は、通常表示用道路データと同じである。すなわち、車両の現在位置等に基づいて、画像表示装置12に表示すべき地理範囲を特定し、特定した地理範囲内のパーセルを特定し、特定したパーセル内のリンク形状データの形状点の位置座標に従って、道路を土地勘地図中に描画し、その土地勘地図を画像表示装置12に表示させる。
したがって、通常地図表示モードにおいても、土地勘地図表示モードにおいても、道路を画像表示装置12に表示させるための処理内容自体は同じで、使用するデータが前者は通常表示用道路データで後者は土地勘地図用の道路データのように異なるだけである。したがって、土地勘地図表示モード用に特別なアルゴリズムの地図表示処理を作成する手間が低減される。
土地勘地図用の地点登録データの使用方法は、車両の現在位置等を契機として、表示すべき地理範囲を特定し、特定した地理範囲内の位置座標を有する地点の情報(位置座標、アイコン)を土地勘地図用の地点登録データから読み出し、土地勘地図中の当該位置座標に当該アイコンを描画し、当該土地勘地図を画像表示装置12に表示させる。
この際、通常表示用道路データおよび地点データは使用しない。したがって、道路のうち、土地勘地図用の道路データに登録されている道路のみが表示され、地点のうち、土地勘地図用の地点登録データに登録されている地点のアイコンのみが表示されることになる。つまり、制御回路17は、土地勘地図用の道路データおよび土地勘地図用の地点登録データを用い、通常表示用道路データおよび地点データを用いずに地図表示制御を行うことで、描画対象として登録されている地点および道路を選んで、画像表示装置12に表示させる。
以下、上記のような表示制御処理17a、登録処理17bを実行したときの画像表示装置12の表示内容の変遷について例示する。
まず、土地勘地図用の地点登録データに地点が1つも登録されておらず、土地勘地図用の道路データに道路のデータ(具体的にはリンク形状データ)が1つも登録されていない状態を説明する。この場合制御回路17は、土地勘地図表示モードにおいて、図6に示すように、画像表示装置12の地図画面上に車両の現在位置を示す現在位置マーク21と、地点および道路以外の付加情報を示す付加情報画像22しか表示させない。すなわち、いわゆる白地図が表示される。
その後、ユーザーが所定の登録開始操作を行い、自宅に該当する地点を指定し、さらに、当該地点が自宅である旨の操作を操作部13に対して行ったとする。すると制御回路17は、図3のステップ110で、指定された地点を、新たな描画対象の地点として、土地勘地図用の地点登録データに登録するため、指定された地点の位置座標および当該地点のアイコンを、互いに関連付けて土地勘地図用の地点登録データに追加記録する。ただし、この際記録するアイコンは、当該地点が自宅である旨の操作があったことに基づき、あらかじめ地図データ取得部16の記憶媒体に記録されている自宅用のアイコンとする。
このとき制御回路17は、当該自宅地点が最初の登録地点なので、ステップ120ではルート計算は行わず、ステップ130では未描画道路がないと判定し、登録処理17bを終了する。
このような状態で表示制御処理17aを土地勘地図表示モードで実行すると、制御回路17は、図7に示すように、登録された自宅地点に自宅用のアイコン23を表示するようになる。このような表示によりユーザーは、土地勘のある自宅地点と車両の現在位置21の位置関係を把握することができる。
その後、ユーザーが所定の登録開始操作を行い、図8に示すように、ユーザーがよく利用する駅に該当する地点24を指定したとする。すると制御回路17は、図3のステップ110で、指定された地点24を、新たな描画対象の地点として、土地勘地図用の地点登録データに登録するため、指定された地点24の位置座標および当該地点のアイコンを、互いに関連付けて土地勘地図用の地点登録データに追加記録する。この場合、当該地点のアイコンは、地図データの地点データに含まれている駅の種別用のアイコンを読み出して用いてもよいし、汎用のアイコン(例えば単なる四角形)を用いてもよい。
続いて制御回路17は、ステップ120で、既に描画対象として登録されている自宅地点23を相手地点として、新たな描画対象の地点である駅24から相手地点(自宅)までの追加ルート25、26、27、28、29を取得する。
そして続いてステップ130では、取得した経路25、26、27、28、29のうち未描画道路があるか否かを判定するが、本例では、まだ道路は土地勘地図用の道路データに1つも登録されていないので、未描画道路25、26、27、28、29があると判定し、続いてステップ140で、未描画道路であるリンク25、26、27、28、29のデータ(リンク形状データ等)を土地勘地図用の道路データに追加記録する。
ただし、登録するリンク25とリンク26は交差点30で交差しているので、そのような交差点については、そのことを判りやすくするようにする。具体的には、未描画道路追加処理のステップ144に続いて、リンク25、26以外にも、交差点30から伸びる他のリンクの一部30a、30bを、新たな描画対象の道路として土地勘地図用の道路データに追加登録する。交差点31で交差するリンク28とリンク29についても同じである。このように描画対象とされるリンクを、交差点用付加リンクという。
土地勘地図用の道路データに登録された道路中でどこが交差点(ノード)であるか、および、当該交差点からどのリンクが伸びているかは、土地勘地図用の道路データに記録されたノード・リンク接続情報から特定することができる。また、登録する(または既に登録されている)2つのリンク25、26間の交差点30において、リンク25、26が直進する関係にあるか、交差(右左折)する関係にあるかは、交差点30の直前における当該リンク25、26の向き同士が成す角度(180°以下の角度部分)が、所定の角度(例えば45°)未満であるか否かで判定することができる。
したがって、交差点30から伸びるリンク25、26以外のリンクを、当該ノード・リンク接続情報から特定し、特定したリンクのリンク形状データを通常表示用道路データから読み出し、読み出したリンク形状データのうち、当該交差点30から所定長さ(例えば10メートル分)分の位置座標のデータのデータを抽出し、抽出した分のみを、交差点用付加リンク形状データとして、土地勘地図用の道路データに追加記録する。
ここで、当該交差点用付加リンク形状データには、当該リンクのリンクIDを含めない。このようにすることで、後に当該リンクが追加経路の一部となった場合も、当該リンクが未描画道路として特定され、当該リンクの完全なリンク形状データが土地勘地図用の道路データに追加される。
このような状態で表示制御処理17aを土地勘地図表示モードで実行すると、制御回路17は、図8に示すように、駅24のアイコンおよび駅24から自宅23までの経路25〜29を追加表示するようになる。追加された駅24は、ユーザーが土地勘のある地点であると考えられるので、ユーザーの自宅23から駅24までの経路25〜29も、ユーザーはよく知っていると考えられる。したがってこの段階では、ユーザーが新たな土地勘を獲得するわけではない。ただし、経路25〜29は、必ずしもユーザーが常用している経路とは限らないので、「経路25〜29を通ればよかったのか」と気付く可能性もある。
また、交差点30、31では、上記の交差点用付加リンク形状データに従って、道路30a、30b、31a、31bが表示されるので、そこが交差点であることを容易に把握でき、交差点30、31では十字路を曲がるのかT字路を曲がるのかが容易に把握できる。
その後、ユーザーが所定の登録開始操作を行い、図9に示すように、ユーザーがよく訪れるケーキ店に該当する地点32を指定したとする。すると制御回路17は、図3のステップ110で、指定された地点32を、新たな描画対象の地点として、土地勘地図用の地点登録データに登録する。
続いて制御回路17は、ステップ120で、既に描画対象として登録されている自宅地点23、駅24のそれぞれを相手地点として、新たな描画対象の地点であるケーキ店32から自宅地点23までの追加ルート33、34、26、25を取得し、また、ケーキ店32から駅24までの追加ルート35、28、29を取得する。
そして続いてステップ130では、取得した経路のうち未描画道路があるか否かを判定するが、本例では、上記の2つの追加ルートのうちリンク33、34、35が未描画道路であるので、未描画道路があると判定し、続いてステップ140で、未描画道路33、34、35のデータ(リンク形状データ等)を土地勘地図用の道路データに追加記録する。
また、新たに登録したリンク33、34、35(ただし、交差点用付加リンクは除く)同士が交差する交差点36、37、および、新たに登録したリンク33、34、35(ただし、交差点用付加リンクは除く)と既に登録しているリンク26、27、28(ただし、付加リンクは除く)が交差する交差点38、39については、上述の通り、当該交差点36〜39から他の方向に伸びるリンクの交差点用付加リンク形状データを、土地勘地図用の道路データに追加記録する。
このような状態で表示制御処理17aを土地勘地図表示モードで実行すると、制御回路17は、図9に示すように、ケーキ店32のアイコンおよびケーキ店32から自宅23までのルートのうち未描画だったリンク33、34を追加表示するようになると共に、ケーキ店32から駅24までのルートのうち未描画だったリンク35を追加表示するようになる。
追加されたケーキ店32は、ユーザーが土地勘のある地点であると考えられるので、ユーザーの自宅23から駅24までの経路25、26、34、33も、ユーザーはよく知っていると考えられる。したがってこのリンク33、34の追加表示では、ユーザーが新たな土地勘を獲得するわけではない。
しかし、ユーザーが駅24とケーキ店32との間の地理関係をまだ把握してなかった場合は、リンク35を表示することで、「リンク35を通れば駅24とケーキ店32はこんなに近かったのか」と気づく。この気づきにより、ユーザーが新たな土地勘を得ることになる。そしてユーザーは、それならば今後は駅24から自宅23に戻るときにケーキ店32に寄ってみようと考えるようになり、行動の範囲が広がる可能性がある。また、道に迷ったときも、駅24と自宅23との位置を把握していたおかげで、意図する道路に早く復帰することができる可能性がある。
その後、ユーザーが所定の登録開始操作を行い、図10に示すように、スーパー41、高校42、レンタル店43等の土地勘のある地点を、新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに順次登録していく。すると、制御回路17は、登録の度に、既に描画対象として登録されている複数の地点のそれぞれを相手として、当該新たな描画対象の地点と当該相手の地点との間を繋ぐ追加ルートを算出し、算出した追加ルートのうち、未描画の部分の道路44、45、46、47を、土地勘地図表示モードで画像表示装置12に表させる地図に順次追加表示するようになる。
このような方法で、ユーザーが認知した場所の登録を増やすことで、従来はユーザーの頭の中でしか表現されていなかった「土地勘」に相当する地図が次第に形成され、それら地点の相対位置関係と経路を知ることができる。また、結果的にそのユーザーの行動範囲や重要な道路なども客観的に知ることができる。
以上説明した通り、車両用ナビゲーション装置1の制御回路17は、地点を新たな描画対象の地点として登録すると、既に描画対象として登録されている複数の地点のそれぞれを相手として、新たな描画対象の地点と当該相手の地点との間を繋ぐ追加ルートを取得し、取得された追加ルート中の道路が、新たに表示されることになる。
したがって、例えば、埼玉県浦和市の自宅および渋谷駅前が描画対象として登録されているとき、新たに神宮外苑が描画対象として登録されると、自宅と神宮外苑との間のルートのみならず、神宮外苑と渋谷駅前との間のルートも新たに表示されることになる。
このような表示を見たユーザーは、神宮外苑から渋谷駅前までが案外近いことに気づき、それにより、それまでの土地勘(渋谷駅前までのルート、神宮外苑までのルート)をベースとして新たな土地勘を獲得することができる。
このように、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザーのそれまでの土地勘を利用して、ユーザーが新たな土地勘を獲得するよう支援することができる。また、周辺地理を把握する基点となる箇所を定義することができる。
また、制御回路17は、表示制御処理17aの土地勘地図表示モードにおいて、地点および道路のうち、描画対象として登録されている地点および道路のみを、画像表示装置12に表示させる。このように、土地勘の獲得には不要な表示を極力抑えることで、ユーザーの認知しているのとほぼ同期した情報量で地図表示することができるので、地図の読み取り易さを更に向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、新たな描画対象の道路を追加登録する先が、土地勘地図用の道路データではなく、アンマスクデータである点、および、表示制御処理17aは、土地勘地図表示モードにおいて、通常表示用道路データ、アンマスクデータ、土地勘地図用の地点登録データを用いて、画像表示装置12に地図を表示させ点である。
まず、アンマスクデータについて説明する。本実施形態の地図データ取得部16の記憶媒体には、土地勘地図用の道路データは記録されるようになっておらず、その代わりに、アンマスクデータが記録されるようになっている。
アンマスクデータは、土地勘地図表示モードにおける描画対象の道路(リンク、リンクの一部)を指定するためのデータであり、後述するように、描画対象のリンクのリンクIDが順次記録されるようになっている。
このようなアンマスクデータに描画対象の道路のデータを登録するため、制御回路17は、図3に示した登録処理17bのステップ140において、図4に示した処理に代えて、図11に示すような処理を実行する。
まずステップ146は、ステップ130にて未描画道路であると判定されたリンクのリンクIDを特定し、続いてステップ148で、特定したリンクIDをアンマスクデータに追加記録し、その後、未描画道路追加処理を終了する。
このような未描画道路追加処理によって、新たな描画対象の地点から既に描画対象として登録されている複数の地点のそれぞれへのルートを描画するための追加データとして、未描画道路のリンクIDの情報が、アンマスクデータに含まれることになる。
なお、本実施形態でも、図9の交差点30、31、36〜39のように、描画対象のリンク(ただし、後述する交差点用付加リンクは除く)が交差している交差点において、当該交差点から他のリンクが伸びている場合は、当該他のリンクの、当該交差点から所定長さの部分だけを、土地勘地図表示モードにおける描画対象とする。このように描画対象とされるリンクを、交差点用付加リンクという。
このような交差点用付加リンクを描画対象とするために、制御回路17は、図11のステップ148に続いて、当該交差点用付加リンクのリンクIDも、アンマスクデータに追加記録する。ただしこの場合は、当該交差点用付加リンクのリンクIDに加え、当該交差点用付加リンク中の描画対象となる部分の両端の位置座標を、当該リンクIDに関連付けて、アンマスクデータに追加記録する。
アンマスクデータ中のどのリンクとどのリンクが1つの交差点で繋がっているか、および、当該1つの交差点から他のどのリンクが伸びているかは、通常表示用道路データに記録されたノード・リンク接続情報から特定することができる。また、描画対象の2つのリンクが接続する交差点において、それら2つのリンクが直進する関係にあるか、交差(右左折)する関係にあるかは、通常表示用道路データの各リンクのリンク形状データに基づいて、当該交差点の直前における当該2つのリンクの向き同士が成す角度(180°以下の角度部分)が、所定の角度(例えば45°)未満であるか否かで判定することができる。
次に、土地勘地図表示モードにおける表示制御処理17aの処理内容について説明する。本実施形態の土地勘地図表示モードにおいて、制御回路17は、図12に示すように、通常表示用道路データを用い、車両の現在位置等に基づいて、画像表示装置12に表示すべき地理範囲を特定し、特定した地理範囲内のパーセルを特定し、特定したパーセル内のリンク形状データの形状点の位置座標に従って、土地勘地図中に道路を描画し、当該土地勘地図を画像表示装置12に表示させる。
ただし、制御回路17が通常表示用道路データから読み出して表示させるリンク形状データは、アンマスクデータに記録されているリンクIDを有するリンク形状データのみであり、その他のリンク形状データは表示させない。つまり、アンマスクデータを、フィルタとして用いる。更に例外として、アンマスクデータに記録されているリンクIDを有するリンク形状データでも、アンマスクデータの当該リンクIDに関連付けて2つの位置座標が記録されている場合は、それらの位置座標を両端とする範囲内のリンク形状データのみを読み出して表示させる。
このように、アンマスクデータを用いることで、第1実施形態と同様の表示を行うことができ、第1実施形態と同様、ユーザーのそれまでの土地勘を利用して、ユーザーが新たな土地勘を獲得するよう支援することができる。更に、このアンマスクデータは、交差点用付加リンクの位置座標以外は、リンクIDから成るので、土地勘地図用の道路データに比べ、データ量を少なくすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図3に示した登録処理17bにおける、ステップ110の地点登録の処理内容である。具体的には、第1実施形態では、ユーザーが手動で土地勘のある地点を登録するようになっていたが、本実施形態では、ユーザーが操作部13を操作することなく、車両の移動履歴または目的地設定履歴に基づいて自動的に、ユーザーが土地勘を有している可能性の高い地点を特定し、特定した地点を土地勘地図用の地点登録データに追加登録する。
土地勘というものは、ユーザーが「この場所の土地勘を獲得した」と明確に意識するようなものではなく、その場所を何度も通るうちに無意識にいつの間にか獲得しているものである。したがって、第1実施形態のようにユーザーが土地勘のある場所を意識的に登録するよりも、自動的に土地勘の獲得を判定して登録する方が、より迅速かつ漏れが少なく地点登録を実現することができる可能性が高い。
土地勘を形成する地点は、目的地となる地点と、それら目的地に行くときに分岐点となる交差点の2つに分類できる。本実施形態では、この2地点をそれぞれ別の方法で自動的に登録する。また、土地勘地図の情報量をユーザーの土地勘形成に同期した情報量にするため、頻度や重要度を自動登録の登録判定に利用する。
具体的には、地点毎に点数を累積し、ある地点の利用点数が登録閾値を超えた時点で、その地点を、新たな描画対象の地点として、土地勘地図用の地点登録データに登録する。
まず、目的地となる地点の登録について説明する。目的地となる地点を登録するために、制御回路17は、地点(例えば、縦横20メートル程度の所定の広がりを持った地点)毎に、目的地設定された回数の増大と共に増大し、かつ、ACC−OFFされた回数の増大と共に増大する利用点数を用いる。
具体的には、制御回路17は、図3のステップ110において、図13に示すような処理を実行する。まずステップ205で、車両のACC(主電源)がオフになるまで待ち、オフになると、続いてステップ210で、現在地が、目的地として設定されている地点か否か(ルート算出処理が最後に受け付けた目的地であるか否か)を判定する。
目的地として設定されていると判定すればステップ215で、現在地に相当する地点の利用点数に、1回の目的地設定分に応じた値Aを加算し、それを新たな利用点数とする。目的地として設定されていないと判定すれば、ステップ220で、当該利用点数に、1回のACCオフ分に応じた値Bを加算し、それを新たな利用点数とする。
このように、目的地設定された回数と、その地点周辺でACCオフされた回数を点数に換算してカウントする。点数換算は、目的地設定とACCオフでは、目的地設定の重みを重くする。つまり、値Aは値Bよりも大きい。このようにするのは、目的地設定はユーザーが明確に位置を認知しており、土地勘が形成される地点として重要度が高い場合が多く、また単なるACCオフ地点は逆に位置を明確に認知せず、目的地ではないがACCオフされる場合もあるので土地勘が形成される地点として重要度が低い場合が多いからである。
ステップ215または220に続いては、ステップ225で、加算後の上記利用点数が所定の登録閾値を超えたか否かを判定し、超えていると判定すれば、ステップ240で、当該現在位置に相当する地点を、土地勘地図用の地点登録データに登録し、図3のステップ140の地点登録処理を終了する。このように、点数の増大に基づいて自動的に描画対象の地点を登録することで、ユーザーの土地勘の形成に追従した自然な形で新たな土地勘獲得の支援を行うことができる。
なお、ステップ240における地点登録の方法は、第1実施形態と同じである。ただし、土地勘地図用の地点登録データに登録するアイコンについては、第1実施形態と同じでもよいが、本例では、当該地点が撮影された画像を用いる。
このために、制御回路17は、ステップ225で、利用点数が登録閾値を超えていないと判定した場合に、ステップ230に進み、点数が撮影閾値を超えたか否かを判定する。この撮影閾値は、登録閾値よりも少ない値であり、利用点数は登録閾値を超える前の段階で、まず撮影閾値を超えるようになっている。
撮影閾値を超えていないと判定した場合は、今回の登録処理17b自体を終了する。撮影閾値を超えたと判定した場合は、続いてステップ235で、現在地に相当する地点の位置情報を撮影待ち地点として地図データ取得部16の記憶媒体に記録する。制御回路17は、車両が次にこの撮影待ち地点に到達する(通る、または到着する)タイミングで、カメラ10が撮影した撮影画像を取得し、この撮影画像を当該地点のアイコンとして地図データ取得部16の記憶媒体に記録しておく。そして、次回以降の登録処理17bの実行機会において、ステップ240で当該地点を土地勘地図用の地点登録データに登録する際には、当該撮影画像を当該地点のアイコンとして土地勘地図用の地点登録データに登録する。このようにすることで、ユーザーの土地勘をより強く喚起するアイコン表示を行うことができる。
次に、目的地(設定された目的地、および、最終的にIGがオフされる地点)に向って走行するときに車両が直進または曲がって通過する交差点の登録について説明する。そのような交差点を登録するために、制御回路17は、車両が通過する交差点毎に、当該交差点を自車両が通過した回数の増大と共に増大する通過点数を用いる。
具体的には、制御回路17は、図3のステップ110で、車両が1つの交差点を通過するのを待ち、通過したと判定すると、当該通過交差点に対応する通過点数に所定の増大値を加算し、その加算結果を新たな通過点数とする。
増大値は、当該通過交差点の重要度に応じて変化させる。例えば、目的地に到達する前の最後の交差点が最も高く、2つ前、3つ前・・・と順に、増大値を下げていく。このようにすることで、例えば、自宅付近の交差点は、頻繁に通るけれども、目的地からは遠いということで、増大値が低くなる傾向になり、その結果、土地勘地図表示モードの描画対象として登録される可能性が低くなる。これにより、自宅付近の交差点が大量に登録されてしまう可能性を低減することができる。
また、ある交差点の通過点数は、その交差点への進入方向やその交差点からの脱出方向に関わらず、合算して増大するようになっている。したがって、複数の目的地に向うために通る交差点は、土地勘地図表示モードの表示対象として登録され易くなる。
そして、通過点数を増加させた後は、図13のステップ225と同様の処理を行う。すなわち、通過点数が登録閾値を超えたか否かを判定し(ステップ255)、通過点数が登録閾値を超えていないと判定した場合は、通過点数が撮影閾値を超えたか否かを判定し(ステップ230)、通過点数が撮影閾値を超えていないと判定した場合は、登録処理17bを終了する。
また、通過点数が撮影閾値を超えていると判定した場合は、当該交差点の位置情報を撮影待ち地点として地図データ取得部16の記憶媒体に記録する。制御回路17は、車両が次にこの撮影待ち地点に到達する(通る、または到着する)タイミングで、カメラ10が撮影した撮影画像を取得し、この撮影画像を当該地点のアイコンとして地図データ取得部16の記憶媒体に記録しておく。
また、通過点数が登録閾値を超えたと判定した場合は、ステップ240で、当該交差点を土地勘地図用の地点登録データに登録し、その際には、当該撮影画像を当該交差点のアイコンとして土地勘地図用の地点登録データに登録する。
なお、車両が交差点を通過した場合ではなく、当該交差点を通過すると予測した段階で、当該交差点の通過点数を上述のように加算するようになっていてもよい。このようにすることで、当該交差点を通過すると予測し、当該交差点の通過点数を増大させた結果、通過点数が撮影閾値を超えた場合、比較的早い時期に当該交差点を撮影できる。なぜなら、ある交差点を通過すると予測した後は、比較的早い時期に当該交差点を通過する可能性が高いからである。
交差点を通過すると予測する場合としては、例えば、設定した目的地までの最適なルートを算出し、その最適なルートが当該交差点を通過するようになっていると判定した場合であってもよいし、また例えば、車両の現在位置から当該交差点までの間に分岐点が存在しなくなったと判定した場合であってもよいし、また例えば、当該交差点に進入する道路において、当該交差点の手前の所定距離以内(例えば50メートル)に自車両がいると判定した場合であってもよい。
なお、交差点を通過したと判定した(または通過すると予測した)場合も、当該交差点を直進して通過する場合は、当該交差点の通過点数を増加させず、当該交差点を右折または左折して通過する場合は、当該交差点の通過点数を増加させるようになっていてもよい。このようにすることで、不必要なまでに多くの交差点を土地勘地図用の地点登録データに登録してしまう可能性を低減できる。直進通過の場合も通過点数を増加させれば、自宅近辺の細街路交差点も数多く登録され、本来の目的である土地勘に近い地図の形成に不要な登録となってしまう可能性がある。
しかし、土地勘の形成に道路格は関係なく、むしろ細街路交差点の方が覚えにくいのでそのような交差点も登録してほしい場合も多い。そこで、当該交差点を直進して通過する場合も、右折または左折して通過する場合も、当該交差点の通過点数を増加させるようにするが、直進通過の場合は、通過点数の増大値を(例えば0.5の係数を乗じることで)通常よりも少なくし、右左折通過の場合は通過点数の増大値を通常のままとするようになっていてもよい。車両が交差点を直進したか右左折したかは、車両のステアリングハンドルの操作角度を検出して判定してもよいし、地図データ中の道路形状や通過経路形状から判定するようになっていてもよいし、車両のウインカー利用有無を検出することで判定してもよいし、これらを複合的に用いて判定してもよい。
また、自宅として登録された地点から所定距離内の自宅周辺交差点に限り、その交差点を車両が通過する経路の道路格に応じて、その交差点を通過した(または通過すると予測した)場合に当該交差点の通過点数を増大させるか否かを切り替えるようになっていてもよい。例えば、その交差点を車両が通過する経路が細街路である場合には、当該交差点の通過点数を増大させず、それ以外の道路である場合には、当該交差点の通過点数を増大させることで、不要に増える交差点登録を防ぐことができる。道路格の情報は、地図データの道路ネットワークデータに含まれているものを用いる。
また、交差点の通過点数の増大可否の判定に目的地の属性を加味することで、よりユーザーに利益ある情報だけを登録することが可能になる。例えば、目的地の種別毎に種別係数を決めておき、この種別係数を上記の増大値に乗じた結果を、新たな増大値として通過点数に加算するようになっていてもよい。種別係数としては、病院や自動車ディーラーなど一般生活では利用頻度が低いが重要な種別は、他の種別よりも大きくする。
なお、交差点の登録は、当該交差点への進入方向別に行ってもよい。つまり、同じ交差点でも、車両が当該交差点に北方向から進入する場合と、東方向から進入する場合とで、別の交差点として土地勘地図用の地点登録データに記録するようになっていてもよい。またこの場合は、通過点数も、当該交差点への進入方向別に算出するようにする。またこの場合、ある交差点のある進入方向について通過点数が撮影閾値を超えた場合は、車両がその進入方向から当該交差点に進入する場合に、当該交差点の撮影画像を保存する。
このようにすることで、例えば、1つの交差点を複数の進入方向から見た撮影画像を保存した状態になる場合も発生する。このような場合には、それら複数のアングルの撮影画像を、経路案内する際の分岐拡大図表示に利用したり、土地勘地図表示モードでの地図表示の際に現在地と当該交差点との位置関係によって表示するアイコンをそれら複数の撮影画像間で切り替えたり、登録された交差点の詳細情報を画像表示装置12に表示させる際に、複数アングルの画像をすべて表示させたりすることで、情報量多く地点情報を提供することが可能になる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の目的である土地勘の獲得の支援は、ユーザーの認知上の周辺地理知識の補助でもあるので、ユーザーの知識を更に増やし発見を提供する機能は、より利便性を向上させられ行動範囲を広げる有益な機能である。そこで、本実施形態では、ユーザーの土地勘に応じたお勧め地点をユーザーに提供することで、ユーザーの知識を更に増やすようにする。
それを実現するための本実施形態の作動が第1〜3実施形態と異なるのは、制御回路17の登録処理17bにおいて、図2の処理ではなく、図14に示す処理を実行する点である。
図14のステップ110から140までの処理は、図3のステップ110から140までの処理と同じである。以下、この図14の処理について、図15〜図18を用いて説明する。
まず、図15に示すように、地点51〜55、およびリンク61〜68等が土地勘地図表示モードの新たな描画対象の地点および道路として登録されている状態であったとする。このとき、制御回路17が、図14のステップ110で、図16に示すように、ケーキ店56を土地勘地図表示モードの新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに登録し、ステップ120で追加ルートを取得し、続いてステップ130、140で、追加ルート中の未描画道路69、70等を土地勘地図表示モードの新たな描画対象の道路として、土地勘地図用の道路データまたはアンマスクデータに登録したとする。
このとき制御回路17は、続いてステップ150で、所定の条件に合致するお勧め地点があるか否かを判定する。所定の条件としては、以下の(1)〜(4)を採用する。
(1)ステップ110において新たな描画対象の地点として登録された地点56から所定距離以内の近傍にある有名地点(図17の斜線部参照)。
(2)ステップ110において新たな描画対象の道路として登録された地点56を含むN個(ただしNは3以上)の登録された地点に囲まれた(例えば、それら地点間を結ぶN角形の辺で囲まれた)領域内にある有名地点。
(3)ステップ110において新たな描画対象の道路として登録された道路69、70から所定距離以内の近傍にある有名地点。
(4)ステップ110において新たな描画対象の道路として登録された道路69、70の少なくとも1つを含むM個(ただしMは3以上)の登録された道路に囲まれた領域内にある有名地点(図17の斜線部参照)。
ある有名地点が条件(1)〜(4)のいずれかの条件に合えば、その有名地点は所定の条件に合致するお勧め地点であると判定する。なお、有名地点とは、あらかじめ有名地点として定められて地図データ取得部16の記憶媒体に位置情報、名称情報等が記録された特定の地点群のそれぞれをいう。有名地点は、あらかじめ複数個記録されている。有名地点としては、球技場、公園、アミューズメント施設、景観地等がある。
なお、有名地点は、車両用ナビゲーション装置1の使用開始時点から有名地点となっている静的な有名地点と、後から有名地点に加えられたり、特定の期間だけ有名地点に加えられたりする動的な地点がある。
動的な地点の例としては、遠隔地の有名地点収集センタから受信することにより、制御回路17が有名地点として追加記録する地点がある。なお、遠隔地の有名地点収集センタは、プローブ機能により、複数の他の車両のそれぞれに搭載された車両用ナビゲーション装置(車両用ナビゲーション装置1と同じ機能を有する)から複数の土地勘地図用の地点登録データを受信し、それら受信した土地勘地図用の地点登録データに登録された地点を、有名地点に加えるようになっている。
また、動的な地点の例としては、桜が有名な公園のように、特定の有効期間のみ有名地点となる地点がある。このような地点は、有効期間の情報と共にあらかじめ地図データ取得部16の記憶媒体に記録され、制御回路17は、これら有効期間と共に記録された地点のうち、現在有効期間中である地点のみを、有名地点として用いる。
ステップ150で、条件に合致するお勧め地点があると判定した場合は、続いてステップ160に進み、条件に合致するお勧め地点がないと判定した場合は、今回の登録処理17bを終了する。
ステップ160では、条件に合致するお勧め地点を、新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに登録する。これにより、表示制御処理17aの土地勘地図表示モードにおいては、図18に示すように、新たな描画対象の地点として登録されたお勧め地点である公園57が、土地勘地図中に表示されるようになる。
このように、土地勘が形成されている地点または道路の近傍に、または、土地勘が形成されている地点または道路に囲まれた領域内に、特定の地点(例えば観光名所等の有名な地点)が表示されると、ユーザーは、「よく知っている場所に囲まれたこんな所にこんな場所があったのか」という風に、関心度の高い新たな知見を得ることができる。このような、土地勘が形成されている地点に囲まれた領域内に新たな地点を見つけた場合は、それ以外の場所に新たな地点を見つける場合よりも、ユーザーの関心が高くなることが期待できるからである。
つまり、このようなお勧め地点は、ユーザーが既に知っている道路や場所の近傍またはそれらに囲まれた地点であるため、知らない場所よりは行く機会に恵まれている可能性が高く、既に行ったことがある場所なので行くことに対して抵抗感が少ないといえる。したがって、ユーザーが行きやすい場所であると考えられる。
なお、このように登録されたお勧め地点については、図14のステップ130、140の処理を行うことで、このお勧め地点から、既に描画対象として土地勘地図用の地点登録データに登録された他の地点までの追加ルートを取得し、取得した追加ルートのうち未描画道路を、土地勘地図表示モード用の新たな描画対象の道路として登録するようになっていてもよい。そして、新たな描画対象の道路として登録するタイミングは、そのように登録を行う旨の操作をユーザーが操作部13に対して行ったタイミングであってもよい。
また、図14のステップ150、160の処理は、土地勘地図用の地点登録データにおける地点の登録個数が所定の基準個数(例えば5個)以下の場合は実行せず、基準個数を超えた場合に実行するようになっていてもよい。このようにすることで、最初は土地勘地図の意味をユーザーに十分植え付けることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記実施形態では、車両用ナビゲーション装置1において作成された土地勘地図用の地点登録データを、その車両用ナビゲーション装置1のみで使用するようになっていた。しかし、複数の車両のそれぞれに上記実施形態のような車両用ナビゲーション装置1が搭載されており、それら複数の車両用ナビゲーション装置1が、無線通信機15を用いて、情報収集センタに土地勘地図用の地点登録データを送信するようになっていてもよい。
そして、情報収集センタは、それら土地勘地図用の地点登録データを受信して記憶媒体に記録し、人または情報収集センタが、記録された土地勘地図用の地点登録データの集合体から、「どの地域に住む人がどの地区に移動しているか」についての統計情報を作成するようになっていてもよい。この統計情報は、必要な事業者に提供されてもよい。
この統計情報は、例えば、新規店舗出店場所の参考になる。その地域の地価や居住形態(一戸建て、アパートなど)から大体の所得やユーザー層が想定できるので、それら所得の人々の普段の生活の行動傾向が把握できるため、狙うユーザー層が頻繁に訪れる場所に出店する方が有利であることがわかる。
また、不動産業者にとっては、物件を説明する情報として利用することができる。物件がある地域の他の人がどの場所や地域に普段行っているかという情報があれば、実際の生活行動に近い情報で「スーパーまでクルマで5分」などと説明することができる。
(2)また、上記実施形態では、制御回路17は、表示制御処理17aにおいて、通常地図表示モードと土地勘地図表示モードとを切り替えるようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよく、例えば、通常地図表示モードの地図と土地勘地図表示モードの地図の両方を同時に画像表示装置12の1画面内に表示させるようになっていてもよい。
また、画像表示装置12において、通常地図表示モードの地図に重ねて、土地勘地図表示モードの地図を表示させ、土地勘地図表示モードの地図を通常地図表示モードの地図よりも強調するようになっていてもよい。
どちらの場合でも、描画対象として土地勘地図用の地点登録データに登録されている地点および道路を、他の地点および道路と区別して画像表示装置12に表示させることになるので、ユーザーが新たな土地勘を獲得できることに変わりはない。つまり、描画対象として登録されている地点および道路を、土地勘の獲得には不要な表示と区別した表示を行うことで、ユーザーの土地勘の向上が容易になる。
(3)また、図3、図14のステップ120で算出する追加ルートは、単純にダイクストラ法で計算されるようなルートでなくともよい。例えば、ユーザによっては、太い道だけを走りたいとか、狭くても気にしないとか、それぞれ運転の好み、クセ、特性というものがあるので、そのようのユーザー特性を追加ルートの計算に加味してもよい。ユーザー特性は、例えば、ユーザーの行動履歴(車両の移動履歴)や操作履歴を車両用ナビゲーション装置1または遠隔地のユーザー特性管理センタで収集および記録しておき、制御回路17は、それを読み出すかあるいは受信するようになっていてもよい。そして、ユーザー特性に応じてリンクやノードのコスト重みを変えるようになっていてもよい。またプローブによる情報収集では、ユーザーの好みと似た好みの他車情報のみ収集するようになっていてもよい。
(4)また、上記第3実施形態では、目的地を自動的に新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに記録するようになっているが、経由地としてユーザーに指定された地点も、目的地と同様の方法で、新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに記録するようになっていてもよい。
その際、例えば、経由地(または交差点)Cと、経由地(または交差点)Dが登録されている場合に、これらが重要な経由地(または交差点)であり、かつユーザーがCからDへ直接行ったことがなく、かつ、CからDへ簡単に行けるルート(短時間で行けるルート、抜け道ルート)がある場合は、そのルート上の道路のうち、未描画道路を、新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに記録するようになっていてもよい。ユーザーがCからDへ直接行ったことがある場合も、より簡単に行けるルートがある場合には、そのルート上の道路のうち、未描画道路を、新たな描画対象の地点として土地勘地図用の地点登録データに記録するようになっていてもよい。なお、上記記載において、CまたはDは目的地であってもよい。
(5)また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
(6)また、土地勘地図データ、アンマスクデータ等の記録が必要なデータは、地図データ取得部16の記憶媒体に限らず、他の、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM、HDD)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、地図データ取得部16の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
(7)また、本発明の土地勘地図表示制御装置は、必ずしも車載用のものでなくともよい。例えば、ナビゲーション装置は、ユーザーが携帯するタイプのものであってもよい。