以下、本発明の冷凍装置について、図面を用いて説明する。
(1)構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転が可能となるように構成された冷媒回路2を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う装置である。
空気調和装置1の冷媒回路2は、主として、圧縮機構3、油分離機構21,22,25,26、高圧配管p1、中圧配管p2、低圧配管p3、熱源側熱交換器4、膨張機構5、利用側熱交換器6、中間冷却器7、及び調整弁8を備える。
(1−1)圧縮機構
圧縮機構3は、本実施形態において、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機(圧縮部に相当)31,32が2機並列接続されることで構成されている。圧縮機31,32は、それぞれ1つのドーム31a,32a内に、圧縮機駆動モータ31b,32bと、駆動軸31c,32c(回転軸に相当)と、2つの圧縮要素31d,31e,32d,32eとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ31b,32bは、それぞれ駆動軸31c,32cに連結されている。そして、各駆動軸31c,32cは、ドーム31a内の2つの圧縮要素31d,31e、ドーム32a内の2つの圧縮要素32d,32eそれぞれに連結されている。すなわち、駆動軸31cは、ドーム31a内の2つの圧縮要素31d,31eにおいて共通な軸であり、圧縮機31は、この2つの圧縮要素31d,31eがともに圧縮機駆動モータ31bによって回転駆動されることで圧縮仕事を行う、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。同様に、ドーム32a内の2つの圧縮要素32d,32eは単一の駆動軸32cに連結されており、圧縮機32は、この2つの圧縮要素32d,32eがともに圧縮機駆動モータ32bによって回転駆動されることで圧縮仕事を行う、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素31d,31e,32d,32eは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。具体的には、圧縮要素31d,31e,32d,32eは、冷媒の圧力を高める低圧圧縮要素31e,32e、及び低圧圧縮要素31e,32eよりも更に冷媒の圧力を高める高圧圧縮要素31d,32dで構成される。
そして、圧縮機31は、後述する低圧配管p3から分岐された低圧吸入管p31aの一端に低圧圧縮要素31eの吸入口を接続し、高圧配管p1から分岐された高圧吐出管p11aの一端に圧縮機31の吐出口を接続している。また、圧縮機31は、中圧配管p2の吐出側中圧母管p23に合流する吐出側中圧枝管p21の一端に低圧圧縮要素31eの吐出口を接続し、中圧配管p2の吸入側中圧母管p24から分岐する吸入側中圧枝管p25の一端に高圧圧縮要素31dの吸入口を接続している。同様に、圧縮機32は、低圧配管p3から分岐された低圧吸入管p32aの一端に低圧圧縮要素32eの吸入口を接続し、高圧配管p1から分岐された高圧吐出管p12aの一端に圧縮機32の吐出口を接続している。また、圧縮機32は、吐出側中圧母管p23に合流する吐出側中圧枝管p22の一端に低圧圧縮要素32eの吐出口を接続し、吸入側中圧母管p24から分岐する吸入側中圧枝管p26の一端に高圧圧縮要素32dの吸入口を接続している。
上述した構成により、低圧の冷媒は、低圧配管p3から各低圧吸入管p31a,p32aを介して各圧縮機31,32の低圧圧縮要素31e,32eに分けて吸入される。そして、低圧の冷媒は、各低圧圧縮要素31e,32eにて圧縮された後更に各高圧圧縮要素31d,32dで圧縮されることで高圧の状態となる。その後、高圧の冷媒は、各高圧吐出管p11a,p12aから吐出され、高圧配管p1にて合流する。圧縮機構3は、冷媒を低圧配管p3から吸入して高圧配管p1から吐出する過程で、各低圧吸入管p31a,p32aから吸入した低圧の冷媒を各低圧圧縮要素31e,32eで圧縮していったん中圧の状態にした後、当該冷媒を各低圧圧縮要素31e,32eの吐出口から一つの中圧配管p2に吐出し、その後各高圧圧縮要素31d,32dの吸入口から吸入する。
このように、圧縮機構3は、本実施形態において、4つの圧縮要素31d,31e,32d,32eを有しており、低圧圧縮要素31e及び高圧圧縮要素31dは直列に接続され、低圧圧縮要素32e及び高圧圧縮要素32dは直列に接続されている。更に、高圧圧縮要素31d,32dは互いに並列に接続され、低圧圧縮要素31e,32eは互いに並列に接続されている。そして、圧縮機構3は、これらの圧縮要素31d,31e,32d,32eのうちの前段側の圧縮要素である低圧圧縮要素31e,32eそれぞれにて中圧に圧縮された冷媒を、後段側の圧縮要素である各高圧圧縮要素31d,31eでさらに高い圧力に順次圧縮するように構成されている。
また、圧縮機31の駆動時、圧縮機31に含まれる2段の圧縮要素31d,31eのうち、前段となる低圧圧縮要素31eから吐出される中圧の冷媒は、該要素31eを有する圧縮機31のドーム31a外に中圧配管p2(具体的には、吐出側中圧枝管p21)を介して吐出される。従って、低圧圧縮要素31eは、外部吐出圧縮要素に相当する。そして、圧縮機31の駆動時、後段となる高圧圧縮要素31dから吐出される高圧の冷媒は、圧縮機31のドーム31a内にいったん吐出され、その後ドーム31aに直結した高圧吐出管p11aを介してドーム31aの外、具体的には油分離機構21側に吐出されるようになる。従って、高圧圧縮要素31dは、内部吐出圧縮要素に相当する。同様にして、圧縮機32の駆動時、圧縮機32に含まれる2段の圧縮要素32d,32eのうち、前段となる低圧圧縮要素32eから吐出される中圧の冷媒は、該要素32eを有する圧縮機32のドーム32a外に中圧配管p2(具体的には、吐出側中圧枝管p22)を介して吐出される。従って、低圧圧縮要素32eは、外部吐出圧縮要素に相当する。そして、圧縮機32の駆動時、後段となる高圧圧縮要素32dから吐出される高圧の冷媒は、圧縮機32のドーム32a内にいったん吐出され、その後ドーム32aに直結した高圧吐出管p12aを介してドーム32aの外、具体的には油分離機構22側に吐出されるようになる。従って、高圧圧縮要素32eは、内部吐出圧縮要素に相当する。つまり、本実施形態に係る各圧縮機31,32は、内部吐出圧縮要素及び外部吐出圧縮要素を1つずつ有していると言える。更に、本実施形態では、低圧圧縮要素31e,32eが吐出した冷媒を、高圧圧縮要素31d,32dが吸入する構成となっているため、内部吐出圧縮要素が外部吐出圧縮要素(第2外部吐出圧縮要素に相当)の後段に位置している場合を表している。
以上より、本実施形態に係る圧縮機31,32は、駆動時にはそれぞれのドーム31a,32a内に高圧の冷媒が溜まる、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であると言える。
(1−2)油分離機構
油分離機構21,22,25,26は、冷媒に同伴する冷凍機油を分離するための機構である。本実施形態において、油分離機構21,22,25,26は、各圧縮機31,32が有する低圧圧縮要素31e,32e及び高圧圧縮要素31d,32dそれぞれに対応して、各圧縮要素31d,32d,31e,32eの吐出側に4つ設けられている。
油分離機構21,22(第1油分離機構に相当)は、それぞれ油分離器21a,22a(第1油分離部に相当)、油戻し管21c,22c(第1油戻し管に相当)及び減圧機構21b,22bを有している。各油分離器21a,22aは、各圧縮機31,32の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素31d,32dそれぞれから吐出される高圧の冷媒から、この冷媒に同伴する冷凍機油を分離する。各油戻し管21c,22cは、一端が各油分離器21a,22aに接続されており、該油分離器21a,22aそれぞれによって分離された冷凍機油を、内部吐出圧縮要素、即ち各高圧圧縮要素31d,32dの吸入側に戻す。特に、本実施形態に係る油戻し管21cは、油分離器21aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dを有する圧縮機31ではなく、別の圧縮機32の高圧圧縮要素32d(つまり、圧縮機32の内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。そのため、油戻し管21cの他端は、中圧配管p2の吸入側中圧枝管p26に接続されている。同様にして、本実施形態に係る油戻し管22cは、油分離器22aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dを有する圧縮機32ではなく、別の圧縮機31の高圧圧縮要素31d(つまり、圧縮機31の内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。そのため、油戻し管22cの他端は、中圧配管p2の吸入側中圧枝管p25に接続されている。つまり、本実施形態に係る各油戻し管21c,22cと中圧配管p2における吸入側中圧枝管p26,p25とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。減圧機構21b,22bは、各油戻し管21c,22cを流れる冷凍機油を減圧する。減圧機構21b,22bは、油戻し管21c,22c上に設けられており、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。
このように、本実施形態においては、吸入側中圧枝管p25,p26と高圧吐出管p11a,p12aとが、油分離機構21,22によってたすき掛けの状態に接続されている。そのため、高圧圧縮要素31d内に溜まった冷凍機油の量と高圧圧縮要素32d内に溜まった冷凍機油の量との間に生じた偏りに起因して、高圧圧縮要素31dから吐出される高圧の冷媒中の冷凍機油の量と高圧圧縮要素32dから吐出される高圧の冷媒中の冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、高圧圧縮要素31d,32dのうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、高圧圧縮要素31d,32d内に溜まった冷凍機油の量の偏りが解消されるようになっている。
油分離機構25,26(第2油分離機構に相当)は、それぞれ油分離器25a,26a(第2油分離部に相当)、油戻し管25c,26c(第2油戻し管に相当)及び減圧機構25b,26bを有している。各油分離器25a,26aは、中圧配管p2上に設けられており、各圧縮機31,32の外部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31e,32eそれぞれから吐出される中圧の冷媒から、この冷媒に同伴する冷凍機油を分離する。各油戻し管25c,26cは、一端が油分離器25a,26aに接続されており、該油分離器25a,26aそれぞれによって分離された冷凍機油を、内部吐出圧縮要素、即ち各高圧圧縮要素31d,32dの吸入側に戻す。具体的には、油戻し管25cは、油戻し管21cとは異なり、油分離器25aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eを有する圧縮機31自身の吸入側であって、かつ該圧縮機31の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素31dの吸入側に戻す。そのため、油戻し管25cの他端は、中圧配管p2の吸入側中圧枝管p25に接続されている。同様にして、油戻し管26cは、油戻し管22cとは異なり、油分離器26aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eを有する圧縮機32自身の吸入側であって、かつ該圧縮機32の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素32dの吸入側に戻す。そのため、油戻し管26cの他端は、中圧配管p2の吸入側中圧枝管p26に接続されている。つまり、各油戻し管25c,26cと中圧配管p2における吸入側中圧枝管p25,p26とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管25c,26cが対応する圧縮機31,32自身における内部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。減圧機構25b,26bは、油戻し管25c,26cを流れる冷凍機油を減圧する。減圧機構25b,26bは、油戻し管25c,26c上に設けられており、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。
(1−3)各種配管
高圧配管p1は、一端が各油分離機構21,22の吐出口側に接続された吐出枝管p11b,p12bの合流点に接続され、他端が熱源側熱交換器4に接続されている。高圧配管p1は、2つの圧縮機31,32の各高圧圧縮要素31d,32dから吐出された高圧の冷媒が流れる。即ち、高圧配管p1には、各圧縮機31,32のドーム31a,32a内に吐出され、かつ冷凍機油が分離された状態の高圧冷媒が、合流して流れる。そして、この高圧冷媒は、高圧配管p1によって熱源側熱交換器4に送られる。
中圧配管p2は、各圧縮機31,32における各高圧圧縮要素31d,32dと各低圧圧縮要素31e,32eとを繋いでいる。具体的には、中圧配管p2は、その一端側において、低圧圧縮要素31eの吐出口に一端を接続している吐出側中圧枝管p21の他端が、油分離機構25と閉止弁83(後述)を介して吐出側中圧母管p23の一端側に接続される。また、中圧配管p2は、その一端側において、低圧圧縮要素32eの吐出口に一端を接続している吐出側中圧枝管p22の他端が、油分離機構26と閉止弁84(後述)を介して吐出側中圧母管p23の一端側に接続される。一方、中圧配管p2は、その他端側において、高圧圧縮要素31dの吸入口に他端を接続している吸入側中圧枝管p25の一端が吸入側中圧母管p24の他端側に接続されるとともに、高圧圧縮要素32dの吸入口に他端を接続している吸入側中圧枝管p26の一端が吸入側中圧母管p24の他端側に接続される。そして、吸入側中圧枝間p25,p26には、同じ圧力の冷媒として、中圧の冷媒が流れる。
低圧配管p3の一端は、利用側熱交換器6の他端に接続され、低圧配管p3の他端は、各圧縮機31,32の低圧吸入管p31a,p32aの合流点に接続されている。低圧配管p3は、圧縮機31,32の低圧圧縮要素31e,32eそれぞれに吸入する低圧の冷媒が流れる。つまり、低圧の冷媒は、利用側熱交換器6から低圧配管p3に流れると低圧吸入管p31a,p32aそれぞれに分かれて流れ、各低圧圧縮要素31e,32eの吸入口から低圧圧縮要素31e,32eの内部に流入する。
(1−4)熱源側熱交換器
熱源側熱交換器4は、冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4の一端は、高圧配管p1を介して圧縮機構3の配管p11b,p11aと接続されており、その他端は膨張機構5の一端に接続されている。尚、ここでは図示しないが、熱源側熱交換器4には、熱源側熱交換器4を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源としての水や空気が供給されるようになっている。
(1−5)膨張機構
膨張機構5は、冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。膨張機構5の一端は、熱源側熱交換器4に接続され、その他端は利用側熱交換器6に接続されている。また、本実施形態において、膨張機構5は、放熱器として機能する熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を、蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送る前に減圧する。
(1−6)利用側熱交換器
利用側熱交換器6は、冷媒の加熱器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6の一端は、膨張機構5の他端に接続されており、利用側熱交換器6の他端は、低圧配管p3を介して圧縮機構3の吸入側に接続されている。尚、ここでは図示しないが、利用側熱交換器6には、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源としての水や空気が供給されるようになっている。
(1−7)中間冷却器
中間冷却器7は、中圧配管p2上に設けられている。具体的には、中間冷却器7の一端は吐出側中圧母管p23の他端に接続され、中間冷却器7の他端は、吸入側中圧母管p24の一端に接続されている。中間冷却器7は、前段側の圧縮要素である低圧圧縮要素31e,32eから吐出されて後段の圧縮要素である高圧圧縮要素31d,32dに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。尚、ここでは図示しないが、中間冷却器7には、中間冷却器7を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源としての水や空気が供給されるようになっている。このように、中間冷却器7は、冷媒回路2を循環する冷媒を用いたものではないという意味で、外部熱源を用いた冷却器ということができる。
(1−8)調整弁
調整弁8は、2つの圧縮機31,32のうちいずれか一方の圧縮機(以下、停止圧縮機という)が駆動を停止し、他方の圧縮機が駆動している場合に、停止圧縮機と各配管p1,p2,p3との連通状態を調整するための弁である。具体的には、調整弁8は、例えば圧縮機32が停止圧縮機であるとした場合、停止圧縮部機32において、高圧配管p1、中圧配管p2及び低圧配管p3のいずれか1つとのみ冷媒の流れを許容し、他の配管p1,p2,p3との間では冷媒の流れが生じないようにする。
ここで、停止圧縮機32は、低圧圧縮要素32eから吐出された中圧の冷媒がドーム32a内に充満した状態で、駆動を停止する場合について説明する。この場合、調整弁8は、高圧側逆止弁81,82、中圧側逆止弁83,84及び低圧側逆止弁85,86を有する。つまり、本実施形態においては、停止圧縮機のドームが中圧の冷媒で満たされ駆動を停止する場合には、1つの圧縮機32(または圧縮機31)に対し、3つの逆止弁82,84,86(または逆止弁81,83,85)が、調整弁8として設けられている。
高圧側逆止弁81,82は、各油分離器21a,22aの吐出口と高圧配管p1との間であって、各吐出枝管p11b,p12b上に設けられている。高圧側逆止弁81,82は、圧縮機31,32、特に停止圧縮機32の吐出口から高圧配管p1に向かう冷媒の流れを許容し、逆に高圧配管p1から圧縮機31,32、特に停止圧縮機32の吐出口に向かう冷媒の流れを遮断する。
中圧側逆止弁83,84は、それぞれ中圧配管p2上に設けられている。より具体的には、中圧側逆止弁83,84は、油分離器25a,26aの吐出口と吐出側中圧母管p23との間に接続され、各低圧圧縮要素31e,32e、特に停止圧縮機32の低圧圧縮要素32eの吐出口から各高圧圧縮要素31d,32dに向かう冷媒の流れを許容し、逆に各高圧圧縮要素31d,32dから各低圧圧縮要素31e,32e、特に停止圧縮機32の低圧圧縮要素32eの吐出口に向かう冷媒の流れを遮断する。
低圧側逆止弁85,86は、各低圧吸入管p31a,p32a上に設けられている。低圧側逆止弁85,86は、低圧配管p3から圧縮機31,32、特に停止圧縮機32に向かう冷媒の流れのみを許容し、逆に圧縮機31,32、特に停止圧縮機32から低圧配管p3に向かう冷媒の流れを遮断する。
一般的に、低圧圧縮要素31e,32eによって圧縮された中圧の冷媒がドーム32a内に充満した状態で停止圧縮機32が駆動を停止する場合、停止圧縮機32が駆動停止した直後においては、該圧縮機32のドーム32a内の圧力の高低等によっては、停止圧縮機32のドーム32a内部と中圧配管p2や高圧配管p1内との圧力差が生じることがある。すると、従来のように、中圧側逆止弁83,84及び高圧側逆止弁81,82が設けられていないとなると、停止圧縮機32からこれらの配管p1,p2側へと冷媒及びこれに伴う冷凍機油が流出してしまう恐れがある。特に、高圧配管p1内には高圧の冷媒が流入しているため、ドーム32a内部よりも高圧配管p1側の方が圧力は低く、よって高圧側逆止弁81,82が設けられていないとなると、高圧配管p1側からドーム32a内部へ冷媒が流れてしまう恐れがある。しかし、上述した中圧側逆止弁83,84によって、高圧圧縮要素31d,32dから中圧配管p2を介して低圧圧縮要素31e,32eに向かう冷媒の流れは遮断され、高圧側逆止弁81,82(特に、高圧側逆止弁82)によって、高圧配管p1から停止圧縮機32側に向かう冷媒の流れは遮断される。これにより、駆動停止時にドーム32a内が中圧となる停止圧縮機32において、停止圧縮機32の低圧圧縮要素32eの吐出側から中圧配管p2、高圧圧縮要素32dの吐出側から高圧配管p1側へと冷媒及びこれに伴う冷凍機油が流出するということが生じなくなる。従って、停止圧縮機32を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。
また、上述した低圧側逆止弁85,86が設けられているため、低圧圧縮要素31e,32eによって圧縮された中圧の冷媒がドーム32a内に充満した状態で停止圧縮機32が駆動を停止し、かつ低圧配管p3に低圧の冷媒が流入しているとしても、停止圧縮機32から低圧配管p3側に向かう冷媒の流れは遮断される。これにより、停止圧縮機32から吸入口を介して低圧配管p3側へと冷媒及びこれに伴う冷凍機油が流出するということが生じなくなる。従って、停止圧縮機32を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。
特に、駆動停止時にドーム32a内が中圧状態となる停止圧縮機32においては、調整弁8を逆止弁81〜86のみで構成することができる。従って、簡単な構成にて冷媒の流れを調整することができ、かつ調整弁8が電磁弁等で構成される場合に比してコストは抑えられる。
尚、圧縮機31,32間に運転の優先順位を設けている場合(例えば、圧縮機31を優先的に運転する圧縮機とする場合)には、上記停止圧縮機は圧縮機32に限られることになる。このような場合には、圧縮機31に対応する逆止弁81,83,85は設けずに、停止圧縮機32に対応する逆止弁82,84,86のみを設けるようにしてもよい。
さらに、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構2、膨張機構5等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有している。
(2)動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図2は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図3は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。なお、以下の冷房運転における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図2,図3の点D、D’、Eにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図2、図3の点A、Fにおける圧力)を意味し、「中圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図2、図3の点B、Cにおける圧力)を意味している。
−冷房運転−
冷房運転時においては、膨張機構5が開度調節される。この冷媒回路2の状態において、低圧の冷媒(図1〜図3の点A参照)は、低圧配管p3及び低圧吸入管p31a,p32aから圧縮機構3の各圧縮機31,32内に吸入される。そして、低圧の冷媒は、まず、各低圧圧縮要素31e,32eによって中圧まで圧縮された後に、中圧配管p2に吐出される(図1〜図3の点B参照)。そして、各圧縮機31,32から中圧配管p2に吐出された中圧の冷媒は、各油分離機構25,26を構成する油分離器25a,26aそれぞれに流入され、冷媒中の冷凍機油が分離される。また、各油分離器25a,26aにおいて中圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構25,26を構成する油戻し管25c,26cそれぞれに流入し、各減圧機構25b,26bで減圧された後に中圧配管p2の吸入側中圧枝管p25,p26それぞれに戻されて、再び、各圧縮機31,32の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素31d,32dに吸入される。
前段となる各低圧圧縮要素31e,32eから吐出された中圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図1〜図3の点C参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、次に、各低圧圧縮要素31e,32eの後段である高圧圧縮要素31d,32dそれぞれに吸入されて更に圧縮され、各圧縮機31,32から高圧吐出管p11a,p12aそれぞれに吐出される(図1〜図3の点D参照)。ここで、各圧縮機31,32から吐出された高圧の冷媒は、4つの圧縮要素31e,32e,31d,32dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図2に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この高圧の冷媒は、油分離機構21,22を構成する油分離器21a,22aそれぞれに流入し、冷媒中の冷凍機油が分離される。また、油分離器21a,22aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構21,22を構成する油戻し管21c,22cそれぞれに流入し、減圧機構21b,22bで減圧された後、中圧配管p2の吸入側中圧枝管p26,p25それぞれに戻されて、再び、各圧縮機31,32の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素31d,32dに吸入される。
次に、油分離機構21,22において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、吐出枝管p11b,p12b及び高圧配管p1を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図1〜図3の点E参照)。熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1〜図3の点F参照)。利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器6において、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1〜図3の点A参照)。そして、利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、再び、各圧縮機31,32の低圧吸入口から吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、空気調和装置1では、各低圧圧縮要素31e,32eから吐出された冷媒を各高圧圧縮要素31d,32dに吸入させるための中圧配管p2に中間冷却器7が設けられていることにより、中間冷却器7を冷却器として機能する状態にしている。そのため、中間冷却器7を設けなかった場合(この場合には、図2,図3において、点A→点B→点D’→点E→点Fの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、低圧圧縮要素31e,32eの後段である高圧圧縮要素31d,32dに吸入される冷媒の温度が低下し(図3の点B、C参照)、高圧圧縮要素31d,32dから吐出される冷媒の温度も低下することになる(図3の点D、D’参照)。このため、この空気調和装置1では、高圧の冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4において、中間冷却器7を設けなかった場合に比べて、冷却源としての水や空気と冷媒との温度差を小さくすることが可能になり、放熱ロスを小さくできることから、運転効率を向上させることができる。
(3)特徴
(3−1)
この空気調和装置1によると各圧縮機31,32の内部吐出圧縮要素である高圧圧縮要素31d,32dによってドーム31a,32a内に吐出された冷媒の冷凍機油は、この冷媒を吐出した高圧圧縮要素31d,32dを有する圧縮機31,32自身ではなく、他の圧縮機31,32の高圧圧縮要素31d,32d(つまり、内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻される。これにより、各高圧圧縮要素31d,32d内に溜まった冷凍機油の間に偏りが生じているとしても、各高圧圧縮要素31d,32dのうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになるため、内部吐出圧縮要素である各高圧圧縮要素31d,32d内に溜まった冷凍機油の量の偏りが解消される。
そして、圧縮機31,32の外部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31e,32eによってドーム31a,32a外に吐出された冷媒の冷凍機油は、この冷媒を吐出した低圧圧縮要素31e,32eを有する圧縮機31,32自身の高圧圧縮要素31d,32dの吸入側に戻される。つまり、内部吐出圧縮要素によって圧縮される前の冷媒を吐出した低圧圧縮要素31e,32e(つまり、外部吐出圧縮要素)の冷凍機油は、高圧圧縮要素31d,32dの吸入側に戻される。一方、各高圧圧縮要素31d,32d内の冷凍機油は、この冷凍機油にかかる冷媒を吐出した高圧圧縮要素31d,32dを有する圧縮機31,32自身ではなく、他の圧縮機31,32の高圧圧縮要素31d,32d(つまり、内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻される。従って、均油管を用いずにドーム31a,32a内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(3−2)
また、この空気調和装置1では、圧縮機31,32内に含まれる高圧圧縮要素31d及び低圧圧縮要素31eの駆動軸31bは共通となっており、圧縮機32内に含まれる高圧圧縮要素32d及び低圧圧縮要素32eの駆動軸32bは共通となっている。このため、圧縮機31に対し、1つの駆動力によって高圧圧縮要素31dの駆動軸及び低圧圧縮要素31eの駆動軸との両方を駆動することが可能となる。同様にして、圧縮機32に対し、1つの駆動力によって高圧圧縮要素32dの駆動軸及び低圧圧縮要素32eの駆動軸との両方を駆動することが可能となる。
(3−3)
また、この空気調和装置1では、低圧圧縮要素31e,32eと高圧圧縮要素31d,32dとの間に、中間冷却器7が備えられている。これにより、低圧圧縮要素31e,32eから吐出された冷媒は、中間冷却器7によって冷却された後、高圧圧縮要素31d,32dそれぞれ吸入されるようになる。
(3−4)
特に、本実施形態に係る圧縮機31,32それぞれは、2段式の圧縮機で構成されており、高圧圧縮要素31d,32dが内部吐出圧縮要素である。この場合、例えば圧縮機31の高圧圧縮要素31dから吐出された冷媒の冷凍機油は、自身の圧縮機31ではなく他の圧縮機32の高圧圧縮要素32dの吸入側に戻されるため、他の圧縮部32のドーム32a内に吐出される。そして、低圧圧縮要素31e,32eそれぞれから吐出された冷媒は、この低圧圧縮要素31e,32eを有する圧縮機31,32自身の高圧圧縮要素31e,32eの吸入側に戻されるため、いち早く自身の圧縮機31,32のドーム31a,32a内に吐出されるようになる。
(4)変形例
(4−1)変形例A
上述の実施形態では、駆動時の各圧縮機31,32が高圧ドーム型の圧縮機である場合について説明した。ここでは、圧縮機31,32が、駆動時、低圧圧縮要素31e,32eから吐出された中圧の冷媒が各ドーム31a,32a内に充満する、いわゆる中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図4は、変形例Aに係る空気調和装置1Aの構成概略図である。空気調和装置1Aは、図1の空気調和装置1と油分離機構21,22,25,26における各油戻し管21c,22c,25c,26cの接続先が異なっていると共に、圧縮機31,32内における各吐出管p11a,p12a,p21,p22の接続のされ方が異なっている。以下の説明においては、変形例Aに係る油分離機構21,22,25,26及び各油戻し管の参照符号の末尾に“A”を付すこととする。また、図4では、図面及び以下の説明を簡単にするため、圧縮機31内の各圧縮要素31d,31eに共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸、ならびに圧縮機32内の各圧縮要素32d,32eに共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸は省略されている。
空気調和装置1Aに係る圧縮機31,32においては、低圧圧縮要素31e,32eそれぞれから吐出された中圧の冷媒は、いったん各ドーム31a,32a内に吐出される。つまり、低圧圧縮要素31e,32eは内部吐出圧縮要素と言え、各ドーム31a,32a内は中圧の冷媒で満たされる。この各ドーム31a,32a内に吐出された冷媒は、各ドーム31a,32aに直結された吐出側中圧枝管p21,p22それぞれから、圧縮機31,32の外へと吐出される。一方、高圧圧縮要素31d,32dそれぞれから吐出された冷媒は、該圧縮要素31d,32dと直結されている高圧吐出管p11a,p12aから各ドーム31a,32a外に吐出される。つまり、高圧圧縮要素31d,32は、外部吐出圧縮要素と言える。即ち、変形例Aでは、低圧圧縮要素31e,32eが吐出した冷媒を、高圧圧縮要素31d,32dが吸入する構成となっているため、内部吐出圧縮要素が外部吐出圧縮要素(第1外部吐出圧縮要素に相当)の前段に位置している場合を表している。
従って、各高圧圧縮要素31d,32dから吐出される高圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構21A,22A(第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。逆に、各低圧圧縮要素31e,32eから吐出される中圧の冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25A,26A(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒に対し冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構21Aの油戻し管21cA(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aに接続されており、他端は低圧配管p3から分岐した低圧吸入管p31aに接続されている。油分離機構22Aの油戻し管22cA(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aに接続されており、他端は低圧配管p3から分岐した低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、各油戻し管21cA,22cAは、該油分離器21a,22aそれぞれによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31d,32dを有する圧縮機31,32自身の、低圧圧縮機構31e,32eの吸入側(即ち、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。
油分離機構25Aの油戻し管25cA(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aに接続されており、他端は低圧配管p3から分岐した低圧吸入管p32aに接続されている。油分離機構26Aの油戻し管26cA(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aに接続されており、他端は低圧配管p3から分岐した低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管25cAは、油分離器25aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eを有する圧縮機31ではなく、別の圧縮機32の低圧圧縮要素32e(即ち、圧縮機32の内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。同様にして、油戻し管26cAは、油分離器26aによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eを有する圧縮機32ではなく、別の圧縮機31の低圧圧縮要素31e(即ち、圧縮機31の内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管25cA,26cAと低圧配管p3から分岐した低圧吸入管p32a,p31aとは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
これにより、低圧圧縮要素31e内に溜まった冷凍機油の量と低圧圧縮要素32e内に溜まった冷凍機油の量との間に生じた偏りに起因して、低圧圧縮要素31eから吐出される中圧の冷媒中の冷凍機油の量と低圧圧縮要素32eから吐出される中圧の冷媒中の冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、低圧圧縮要素31e,32eのうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、低圧圧縮要素31e,32e内に溜まった冷凍機油の量の偏りが解消されるようになっている。
尚、空気調和装置1Aは、上述した油分離機構21A,22A,25A,26A以外の構成については、図1に係る空気調和装置1と同様であるため、説明を省略する。
(4−2)変形例B
上述の実施形態及び変形例Aでは、各圧縮機31,32が低圧圧縮要素31e,32e及び高圧圧縮要素31d,32dを有する2段式圧縮機である場合について説明した。ここでは、圧縮機が3つの圧縮要素を有する3段式圧縮機である場合について説明する。
図5は、変形例Bに係る空気調和装置1Bの構成のうち、主として圧縮機構3B、油分離機構21B,22B,23B,24B,25B,26B、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図5では、図面及び以下の説明を簡単にするため、圧縮機31B内の各圧縮要素に共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸、圧縮機32B内の各圧縮要素に共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸、ならびに調整弁を省略している。
図5において、圧縮機構3Bは、2つの圧縮機31B,32Bが並列接続されることで構成されている。圧縮機31B,32Bは、それぞれ1つのドーム31aB,32aB内に、低圧圧縮要素31eB,32eB、中圧圧縮要素31fB,32fB及び高圧圧縮要素31dB,32dBを有している。各中圧圧縮要素31fB,32fBは、各低圧圧縮要素31eB,32eBよりも更に冷媒の圧力を高め、各高圧圧縮要素31dB,32dBは、各中圧圧縮要素31fB,32fBよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31B内に含まれる3段の圧縮要素31eB,31fB,31dBは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32B内に含まれる3段の圧縮要素32eB,32fB,32dBは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図5では、各高圧圧縮要素31dB,32dBが、圧縮した高圧の冷媒を自身の圧縮機31B,32Bのドーム31aB,32aB内にいったん吐出する構成となっている。従って、各高圧圧縮要素31dB,32dBは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31B,32Bは、駆動時、ドーム31aB,32aB内には高圧圧縮要素31dB,32dBから吐出された高圧の冷媒が充満する、高圧ドーム型の圧縮機であると言える。各ドーム31aB,32aBには、高圧配管p1から分岐された高圧吐出管p11a,p12aそれぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aB,32aB内に高圧圧縮要素31dB,32dBによっていったん吐出された高圧の冷媒は、各高圧吐出管p11a,p12aによって各圧縮機31B,32Bのドーム31aB,32aBの外部に吐出される。低圧圧縮要素31eB,32eB及び中圧圧縮要素31fB,32fBそれぞれは、各吐出管p21,p22,p41,p42と接続されており、各圧縮要素31eB,32eB,31fB,32fBにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p21,p22,p41,p42それぞれを介して自身の圧縮機31B,32Bのドーム31aB,32aB外に吐出される構成となっている。従って、高圧圧縮要素31dB,32dB以外の他の圧縮要素31eB,32eB,31fB,32fBは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Bでは、各高圧圧縮要素31dB,32dBは、各中圧圧縮要素31fB、32fB(第2外部吐出圧縮要素に相当)から吐出された冷媒を吸入し、各中圧圧縮要素31fB,32fBは、各低圧圧縮要素31eB、32eB(第4外部吐出圧縮要素に相当)から吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そのため、変形例Bでは、内部吐出圧縮要素が2つの外部吐出圧縮要素の後段に位置している場合を表している。
従って、各高圧圧縮要素31dB,32dBから吐出される高圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構21B,22B(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各中圧圧縮要素31fB,32fBから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構23B,24B、及び各低圧圧縮要素31eB,32eBから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25B,26B(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構21Bの油戻し管21cB(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aBに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第2中圧枝管p28に接続されている。即ち、油戻し管21cBは、油分離器21aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dBを有する圧縮機31Bではなく、別の圧縮機32Bの高圧圧縮要素32dB(即ち、圧縮機32Bの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構22Bの油戻し管22cB(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aBに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第2中圧枝管p27に接続されている。即ち、油戻し管22cBは、油分離器22aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dBを有する圧縮機32Bではなく、別の圧縮機31Bの高圧圧縮要素31dB(即ち、圧縮機31Bの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管21cB,22cBと吸入側第2中圧枝管p28,p27とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構23Bの油戻し管23cB(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aBに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p27に接続されている。即ち、油戻し管23cBは、油分離器23aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素31fBを有する圧縮機31B自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である中圧圧縮要素31fBよりも一段後段となる高圧圧縮要素31dBの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構24Bの油戻し管24cB(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aBに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p28に接続されている。即ち、油戻し管24cBは、油分離器24aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素32fBを有する圧縮機32B自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である中圧圧縮要素32fBよりも一段後段となる高圧圧縮要素32dBの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管23cB,24cBと吸入側第2中圧枝管p27,p28とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管23cB,24cBが対応する圧縮機31B,32B自身における内部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
油分離機構25Bの油戻し管25cB(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aBに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管25cBは、油分離器25aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eBを有する圧縮機31B自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eBよりも一段後段となる中圧圧縮要素31fBの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構26Bの油戻し管26cB(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aBに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管26cBは、油分離器26aBによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eBを有する圧縮機32B自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eBよりも一段後段となる中圧圧縮要素32fBの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管25cB,26cBと吸入側第1中圧枝管p25,p26とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管25cB,26cBが対応する圧縮機31B,32B自身における一段後段の外部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
ここで、吸入側第2中圧枝管p27,p28は、吸入側中圧母管p24から分岐され各高圧圧縮要素31dB、32dBの吸入口に接続されている。吸入側第1中圧枝管p25,p26は、吸入側中圧母管p24から分岐され各中圧圧縮要素31fB、32fBの吸入口に接続されている。各吐出配管p41,p42,p21,p22は、それぞれ一端が各中圧圧縮要素31fB,32fB及び各低圧圧縮要素31eB,32eBの吐出口に接続され、他端が吐出側中圧母管p23に接続されている。これらの配管p21〜p28,p41〜p42は、中圧配管p2を構成している。
また、各油分離機構21B〜26Bは、上述の実施形態と同様、油分離部21aB〜26aB及び油戻し管21cB〜26cB以外に、冷凍機油を減圧するための減圧機構を有している。図5では、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
尚、各油分離機構23B〜26Bから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Bによると、各圧縮機31B,32Bが圧縮要素31dB,31fB,31eB,32dB,32fB,32eBを3つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31B,32Bのドーム31aB,32aB内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31B,32Bの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aB,32aB内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−3)変形例C
次に、圧縮機が3つの圧縮要素を有する3段式圧縮機であって、かつ中圧圧縮要素31fC,32fC(後述)から吐出される中圧の冷媒でドーム31aC,32aC内が充満する、中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図6は、変形例Cに係る空気調和装置1Cの構成のうち、主として圧縮機構3C、油分離機構21C,22C,23C,24C,25C,26C、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図6では、図5と同様、圧縮機駆動モータ及び駆動軸、調整弁を省略している。
図6に係る圧縮機構3Cは、変形例Bの圧縮機3Bと同様、2つの圧縮機31C,32Cが並列接続されることで構成されている。圧縮機31C,32Cは、それぞれ1つのドーム31aC,32aCに、低圧圧縮要素31eC,32eC、中圧圧縮要素31fC,32fC及び高圧圧縮要素31dC,32dCを有している。各中圧圧縮要素31fC,32fCは、各低圧圧縮要素31eC,32eCよりも更に冷媒の圧力を高め、各高圧圧縮要素31dC,32dCは、各中圧圧縮要素31fC,32fCよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31C内に含まれる3段の圧縮要素31eC,31fC,31dCは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32C内に含まれる3段の圧縮要素32eC,32fC,32dCは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図6では、各中圧圧縮要素31fC,32fCが、圧縮した中圧の冷媒を自身の圧縮機31C,32Cのドーム31aC,32aC内にいったん吐出する構成となっている。従って、各中圧圧縮要素31fC,32fCは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31C,32Cは、駆動時、ドーム31aC,32aC内には中圧圧縮要素31fC,32fCから吐出された中圧の冷媒が充満する、中圧ドーム型の圧縮機であると言える。各ドーム31aC,32aCには、各中圧圧縮要素31fC,32fCに対応する吐出管p41,p42それぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aC,32aC内に中圧圧縮要素31fC,32fCによっていったん吐出された中圧の冷媒は、各吐出管p41,p42によって各圧縮機31C,32Cのドーム31aC,32aCの外部に吐出される。低圧圧縮要素31eC,32eC及び高圧圧縮要素31dC,32dCそれぞれは、各吐出管p21,p22,p11a,p12aと接続されており、各圧縮要素31eC,32eC,31dC,32dCにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p21,p22,p11a,p12aそれぞれを介して自身の圧縮機31C,32Cのドーム31aC,32aC外に吐出される構成となっている。従って、中圧圧縮要素31fC,32fC以外の他の圧縮要素31eC,32eC,31dC,31dCは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Cでは、各中圧圧縮要素31fC,32fCは、各低圧圧縮要素31dC、32dC(第2外部吐出圧縮要素に相当)から吐出された冷媒を吸入し、各高圧圧縮要素31dC,32dC(第1外部吐出圧縮要素に相当)は、各中圧圧縮要素31fC,32fCから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そのため、変形例Cでは、内部吐出圧縮要素が2つの外部吐出圧縮要素の間に位置している場合を表している。
従って、各中圧圧縮要素31fC,32fCから吐出される中圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構23C,24C(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各高圧圧縮要素31dC,32dCから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構21C,22C、及び各低圧圧縮要素31eC,32eCから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25C,26C(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構23Cの油戻し管23cC(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aCに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管23cCは、油分離器23aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素31fCを有する圧縮機31Cではなく、別の圧縮機32Cの中圧圧縮要素32fC(即ち、圧縮機32Cの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構24Cの油戻し管24cC(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aCに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管24cCは、油分離器24aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素32fCを有する圧縮機32Cではなく、別の圧縮機31Cの中圧圧縮要素31fC(即ち、圧縮機31Cの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管23cC,24cCと吸入側第1中圧枝管p26,p25とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構21Cの油戻し管21cC(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aCに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管21cCは、油分離器21aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dCを有する圧縮機31C自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Cの内部吐出圧縮要素である中圧圧縮要素31fCの吸入側に戻す。また、油分離機構22Cの油戻し管22cC(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aCに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管22cCは、油分離器22aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dCを有する圧縮機32C自身の吸入側であって、かつ圧縮機32の内部吐出圧縮要素である中圧圧縮要素32fCの吸入側に戻す。
油分離機構25Cの油戻し管25cC(第2油戻し管に相当)は、変形例Bと同様、一端が油分離器25aCに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管25cCは、油分離器25aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eCを有する圧縮機31C自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eCよりも一段後段となる中圧圧縮要素31fCの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構26Cの油戻し管26cC(第2油戻し管に相当)は、変形例Bと同様、一端が油分離器26aCに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管26cCは、油分離器26aCによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eCを有する圧縮機32C自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eCよりも一段後段となる中圧圧縮要素32fCの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管25cC,26cCと吸入側第1中圧枝管p25,p26とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管25cC,26cCが対応する圧縮機31C,32C自身における一段後段の圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
尚、図6では、変形例Bと同様、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
また、各油分離機構23C〜26Cから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Cによると、各圧縮機31C,32Cが圧縮要素31dC,31fC,31eC,32dC,32fC,32eCを3つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31C,32Cのドーム31aC,32aC内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31C,32Cの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aC,32aC内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−4)変形例D
次に、圧縮機が3つの圧縮要素を有する3段式圧縮機であって、かつ低圧圧縮要素31eD,32eD(後述)から吐出される中圧の冷媒でドーム31aD,32aD内が充満する、中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図7は、変形例Dに係る空気調和装置1Dの構成のうち、主として圧縮機構3D、油分離機構21D,22D,23D,24D,25D,26D、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図7では、図5,6と同様、圧縮機駆動モータ及び駆動軸、調整弁を省略している。
図7に係る圧縮機構3Dは、変形例B,Cの圧縮機3B,3Cと同様、2つの圧縮機31D,32Dが並列接続されることで構成されている。圧縮機31D,32Dは、それぞれ1つのドーム31aD,32aDに、低圧圧縮要素31eD,32eD、中圧圧縮要素31fD,32fD及び高圧圧縮要素31dD,32dDを有している。各中圧圧縮要素31fD,32fDは、各低圧圧縮要素31eD,32eDよりも更に冷媒の圧力を高め、各高圧圧縮要素31dD,32dDは、各中圧圧縮要素31fD,32fDよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31D内に含まれる3段の圧縮要素31eD,31fD,31dDは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32D内に含まれる3段の圧縮要素32eD,32fD,32dDは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図7では、各低圧圧縮要素31eD,32eDが、圧縮した中圧の冷媒を自身の圧縮機31D,32Dのドーム31aD,32aD内にいったん吐出する構成となっている。従って、各中圧圧縮要素31fD,32fDは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31D,32Dは、駆動時、ドーム31aD,32aD内には低圧圧縮要素31eD,32eDから吐出された中圧の冷媒が充満する、中圧ドーム型の圧縮機であると言える。尚、ここでは、変形例Cと同様、単に「中圧の冷媒」と記載しているが、厳密には、変形例Dに係るドーム31aD,32aD内の冷媒の圧力は、変形例Cに係るドーム31aC,32aC内よりも低い。また、各ドーム31aD,32aDには、各中圧圧縮要素31fD,32fDに対応する吐出管p41,p42それぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aD,32aD内に低圧圧縮要素31eD,32eDによっていったん吐出された中圧の冷媒は、各吐出管p21,p22によって各圧縮機31D,32Dのドーム31aD,32aDの外部に吐出される。中圧圧縮要素31fD,32fD及び高圧圧縮要素31dD,32dDそれぞれは、各吐出管p41,p42,p11a,p12aと接続されており、各圧縮要素31fD,32fD,31dD,32dDにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p41,p42,p11a,p12aそれぞれを介して自身の圧縮機31D,32Dのドーム31aD,32aD外に吐出される構成となっている。従って、低圧圧縮要素31eD,32eD以外の他の圧縮要素31fD,32fD,31dD,32dDは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Dでは、各中圧圧縮要素31fD,32fD(第1外部吐出圧縮要素に相当)は、内部吐出圧縮要素である各低圧圧縮要素31eD、32eDから吐出された冷媒を吸入し、各高圧圧縮要素31dD,32dD(第3外部吐出圧縮要素に相当)は、各中圧圧縮要素31fD,32fDから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そのため、変形例Dでは、内部吐出圧縮要素の後段には、2つの外部吐出圧縮要素が位置している場合を表している。
従って、各低圧圧縮要素31eD,32eDから吐出される中圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構25D,26D(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各高圧圧縮要素31dD,32dDから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構21D,22D、及び各中圧圧縮要素31fD,32fDから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構23C,24C(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構25Dの油戻し管25cD(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aDに接続されており、他端は低圧配管p3の低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管25cDは、油分離器25aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eDを有する圧縮機31Dではなく、別の圧縮機32Dの低圧圧縮要素32eD(即ち、圧縮機32Dの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構26Dの油戻し管26cD(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aDに接続されており、他端は低圧配管p3の低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管26cDは、油分離器26aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eDを有する圧縮機32Dではなく、別の圧縮機31Dの低圧圧縮要素31eD(即ち、圧縮機31Dの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管25cD,26cDと低圧吸入管p32a,p31aとは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構21Dの油戻し管21cD(第2油戻し管に相当)は、変形例Cと同様、一端が油分離器21aDに接続されており、他端は低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管21cDは、油分離器21aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dDを有する圧縮機31D自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Dの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31eDの吸入側に戻す。また、油分離機構22Dの油戻し管22cD(第2油戻し管に相当)は、変形例Cと同様、一端が油分離器22aDに接続されており、他端は低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管22cDは、油分離器22aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32dDを有する圧縮機32D自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Dの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素32eDの吸入側に戻す。
油分離機構23Dの油戻し管23cD(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aDに接続されており、他端は低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管23cDは、油分離器23aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素31fDを有する圧縮機31D自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Dの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31eDの吸入側に戻す。また、油分離機構24Dの油戻し管24cD(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aDに接続されており、他端は低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管24cDは、油分離器24aDによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である中圧圧縮要素32fDを有する圧縮機32D自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Dの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素32eDの吸入側に戻す。
尚、図7では、変形例B,Cと同様、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
また、各油分離機構23D〜26Dから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Dによると、各圧縮機31D,32Dが圧縮要素31dD,31fD,31eD,32dD,32fD,32eDを3つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31D,32Dのドーム31aD,32aD内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31D,32Dの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aD,32aD内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−5)変形例E
上述の実施形態及び変形例A〜Dでは、各圧縮機が2段式圧縮機及び3段式圧縮機である場合について説明した。ここでは、圧縮機が4つの圧縮要素を有する4段式圧縮機である場合について説明する。
図8は、変形例Eに係る空気調和装置1Eの構成のうち、主として圧縮機構3E、油分離機構21E,22E,23E,24E,25E,26E,27E,28E、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図8では、図面及び以下の説明を簡単にするため、圧縮機31E内の各圧縮要素に共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸、圧縮機32E内の各圧縮要素に共通している圧縮機駆動モータ及び駆動軸、ならびに調整弁を省略している。
図8において、圧縮機構3Eは、2つの圧縮機31E,32Eが並列接続されることで構成されている。圧縮機31E,32Eは、それぞれ1つのドーム31aE,32aE内に、低圧圧縮要素31eE,32eE、第1中圧圧縮要素31gE,32gE、第2中圧圧縮要素31fE,32fE及び高圧圧縮要素31dE,32dEを有している。各第1中圧圧縮要素31gE,32gEは、各低圧圧縮要素31eE,32eEよりも更に冷媒の圧力を高め、各第2中圧圧縮要素31fE,32fEは、各第1中圧圧縮要素31gE,32gEよりも更に冷媒の圧力を高める。各高圧圧縮要素31dE,32dEは、各第2中圧圧縮要素31fE,32fEよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31E内に含まれる4段の圧縮要素31eE,31gE,31fE,31dEは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32E内に含まれる4段の圧縮要素32eE,31gE,32fE,32dEは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図8では、各高圧圧縮要素31dE,32dEが、圧縮した高圧の冷媒を自身の圧縮機31E,32Eのドーム31aE,32aE内にいったん吐出する構成となっている。従って、各高圧圧縮要素31dE,32dEは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31E,32Eは、駆動時、ドーム31aE,32aE内には高圧圧縮要素31dE,32dEから吐出された高圧の冷媒が充満する、高圧ドーム型の圧縮機であると言える。各ドーム31aE,32aEには、高圧配管p1から分岐された高圧吐出管p11a,p12aそれぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aE,32aE内に高圧圧縮要素31dE,32dEによっていったん吐出された高圧の冷媒は、各高圧吐出管p11a,p12aによって各圧縮機31E,32Eのドーム31aE,32aEの外部に吐出される。低圧圧縮要素31eE,32eE、第1中圧圧縮要素31gE,32gE及び第2中圧圧縮要素31fE,32fEそれぞれは、各吐出管p21,p22,p41,p42,p61,p62と接続されており、各圧縮要素31eE,32eE,31gE,32gE,31fE,32fEにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p21,p22,p41,p42,p61,p62それぞれを介して自身の圧縮機31E,32Eのドーム31aE,32aE外に吐出される構成となっている。従って、高圧圧縮要素31dE,32dE以外の他の圧縮要素31eE,32eE,31gE,32gE,31fE,32fEは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Eでは、各高圧圧縮要素31dE,32dEは、各第2中圧圧縮要素31fE、32fE(第2外部吐出圧縮要素に相当)から吐出された冷媒を吸入し、各第2中圧圧縮要素31fE,32fEは、各第1中圧圧縮要素31gE,32gE(第4外部吐出圧縮要素に相当)から吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そして、各第1中圧圧縮要素31gE,32gEは、各低圧圧縮要素31eE,32eEから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そのため、変形例Eでは、内部吐出圧縮要素が3つの外部吐出圧縮要素の後段に位置している場合を表している。
従って、各高圧圧縮要素31dE,32dEから吐出される高圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構21E,22E(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各第2中圧圧縮要素31fE,32fEから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構27E,28E、各第1中圧圧縮要素31gE,32gEから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構23E,24E、及び各低圧圧縮要素31eE,32eEから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25E,26E(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構21Eの油戻し管21cE(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aEに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第3中圧枝管p28に接続されている。即ち、油戻し管21cEは、油分離器21aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dEを有する圧縮機31Eではなく、別の圧縮機32Eの高圧圧縮要素32dE(即ち、圧縮機32Eの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構22Eの油戻し管22cE(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aEに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第3中圧枝管p27に接続されている。即ち、油戻し管22cEは、油分離器22aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dEを有する圧縮機32Eではなく、別の圧縮機31Eの高圧圧縮要素31dE(即ち、圧縮機31Eの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管21cE,22cEと吸入側第3中圧枝管p28,p27とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構27Eの油戻し管27cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器27aEに接続されており、他端は吸入側第3中圧枝管p27に接続されている。即ち、油戻し管27cEは、油分離器27aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素31fEを有する圧縮機31E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素31fEよりも一段後段となる高圧圧縮要素31dEの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構28Eの油戻し管28cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器28aEに接続されており、他端は吸入側第3中圧枝管p28に接続されている。即ち、油戻し管28cEは、油分離器28aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素32fEを有する圧縮機32E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素32fEよりも一段後段となる高圧圧縮要素32dEの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管27cE,28cEと吸入側第3中圧枝管p27,p28とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管27cE,28cEが対応する圧縮機31E,32E自身における内部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
油分離機構23Eの油戻し管23cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aEに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p29に接続されている。即ち、油戻し管23cEは、油分離器23aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gEを有する圧縮機31E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gEよりも一段後段となる第2中圧圧縮要素31fEの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構24Eの油戻し管24cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aEに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p30に接続されている。即ち、油戻し管24cEは、油分離器24aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gEを有する圧縮機32E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gEよりも一段後段となる第2中圧圧縮要素32fEの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管23cE,24cEと吸入側第2中圧枝管p29,p30とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管23cE,24cEが対応する圧縮機31E,32E自身における一段後段の外部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
油分離機構25Eの油戻し管25cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aEに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管25cEは、油分離器25aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eEを有する圧縮機31E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eEよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素31gEの吸入側(つまり、第4外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構26Eの油戻し管26cE(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aEに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管26cEは、油分離器26aEによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eEを有する圧縮機32E自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eEよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素32gEの吸入側(つまり、第4外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。つまり、各油戻し管25cE,26cEと吸入側第1中圧枝管p25,p26とは、いわゆるたすき掛け状態ではなく、各油戻し管25cE,26cEが対応する圧縮機31E,32E自身における一段後段の外部吐出圧縮要素の吸入側に冷凍機油が戻るようにして接続されている。
ここで、吸入側第3中圧枝管p27,p28は、吸入側中圧母管p24から分岐され各高圧圧縮要素31dE、32dEの吸入口に接続されている。吸入側第2中圧枝管p29,p30は、吸入側中圧母管p24から分岐され各第2中圧圧縮要素31fE、32fEの吸入口に接続されている。吸入側第1中圧枝管p25,p26は、吸入側中圧母管p24から分岐され各第1中圧圧縮要素31gE、32gEの吸入口に接続されている。各吐出配管p61,p62,p41,p42,p21,p22は、それぞれ一端が各第2中圧圧縮要素31fE,32fE、各第1中圧圧縮要素31gE,32gE、各低圧圧縮要素31eE,32eEの吐出口に接続され、他端が吐出側中圧母管p23に接続されている。これらの配管p21〜p30,p41〜p42,p61〜p62は、中圧配管p2を構成している。
また、各油分離機構21E〜28Eは、上述の実施形態と同様、油分離部21aE〜28aE及び油戻し管21cE〜28cE以外に、冷凍機油を減圧するための減圧機構を有している。図8では、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
尚、各油分離機構23E〜28Eから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Eによると、各圧縮機31E,32Eが圧縮要素31dE,31fE,31gE,31eE,32dE,32fE,32gE,32eEを4つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31E,32Eのドーム31aE,32aE内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31E,32Eの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aE,32aE内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−6)変形例F
次に、圧縮機が4つの圧縮要素を有する4段式圧縮機であって、かつ第2中圧圧縮要素31fF,32fF(後述)から吐出される中圧の冷媒でドーム31aF,32aF内が充満する、中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図9は、変形例Fに係る空気調和装置1Fの構成のうち、主として圧縮機構3F、油分離機構21F,22F,23F,24F,25F,26F,27F,28F、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図9では、図8等と同様、圧縮機駆動モータ及び駆動軸、調整弁を省略している。
図8に係る圧縮機構3Fは、変形例Eと同様、2つの圧縮機31F,32Fが並列接続されることで構成されている。圧縮機31F,32Fは、それぞれ1つのドーム31aF,32aF内に、低圧圧縮要素31eF,32eF、第1中圧圧縮要素31gF,32gF、第2中圧圧縮要素31fF,32fF及び高圧圧縮要素31dF,32dFを有している。各第1中圧圧縮要素31gF,32gFは、各低圧圧縮要素31eF,32eFよりも更に冷媒の圧力を高め、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFは、各第1中圧圧縮要素31gF,32gFよりも更に冷媒の圧力を高める。各高圧圧縮要素31dF,32dFは、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31F内に含まれる4段の圧縮要素31eF,31gF,31fF,31dFは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32F内に含まれる4段の圧縮要素32eF,31gF,32fF,32dFは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図9では、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFが、圧縮した中圧の冷媒を自身の圧縮機31F,32Fのドーム31aF,32aF内にいったん吐出する構成となっている。従って、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31F,32Fは、駆動時、ドーム31aF,32aF内には第2中圧圧縮要素31fF,32fFから吐出された中圧の冷媒が充満する、中圧ドーム型の圧縮機であると言える。各ドーム31aF,32aFには、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFに対応する吐出管p61,p62それぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aF,32aF内に第2中圧圧縮要素31fF,32fFによっていったん吐出された中圧の冷媒は、各吐出管p61,p62によって各圧縮機31F,32Fのドーム31aF,32aFの外部に吐出される。低圧圧縮要素31eF,32eF、第1中圧圧縮要素31gF,32gF及び高圧圧縮要素31dF,32dFそれぞれは、各吐出管p21,p22,p41,p42,p11a,p12aと接続されており、各圧縮要素31eF,32eF,31gF,32gF,31dF,32dFにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p21,p22,p41,p42,p11a,p12aそれぞれを介して自身の圧縮機31F,32Fのドーム31aF,32aF外に吐出される構成となっている。従って、第2中圧圧縮要素31fF,32fF以外の他の圧縮要素31eF,32eF,31gF,32gF,31dF,32dFは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Fでは、各高圧圧縮要素31dF,32dF(第1外部吐出圧縮要素に相当)は、内部吐出圧縮要素である各第2中圧圧縮要素31fF,32fFから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。各1中圧圧縮要素31gF,32gF(第2外部吐出圧縮要素に相当)は、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFが吸入する冷媒を吐出し、各低圧圧縮要素31eF,32eF(第4外部吐出圧縮要素に相当)は、各第1中圧圧縮要素31gF、32gFが吸入する冷媒を吐出する構成となっている。そのため、変形例Fでは、内部吐出圧縮要素の後段には1つの外部吐出圧縮要素、かつ内部吐出圧縮要素の前段には2つの外部吐出圧縮要素が位置している場合を表している。
従って、各第2中圧圧縮要素31fF,32fFから吐出される中圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構27F,28F(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各高圧圧縮要素31dF,32dFから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構21F,22F、各第1中圧圧縮要素31gF,32gFから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構23F,24F、及び各低圧圧縮要素31eF,32eFから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25F,26F(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構27Fの油戻し管27cF(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器27aFに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第2中圧枝管p30に接続されている。即ち、油戻し管27cFは、油分離器27aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素31fFを有する圧縮機31Fではなく、別の圧縮機32Fの第2中圧圧縮要素32fF(即ち、圧縮機32Fの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構28Fの油戻し管28cF(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器28aFに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第2中圧枝管p29に接続されている。即ち、油戻し管28cFは、油分離器28aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素32fFを有する圧縮機32Fではなく、別の圧縮機31Fの第2中圧圧縮要素31fF(即ち、圧縮機31Fの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管27cF,28cFと吸入側第2中圧枝管p30,p29とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構21Fの油戻し管21cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aFに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p29に接続されている。即ち、油戻し管21cFは、油分離器21aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dFを有する圧縮機31F自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Fの内部吐出圧縮要素である第2中圧圧縮要素31fFの吸入側に戻す。また、油分離機構22Fの油戻し管22cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aFに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p30に接続されている。即ち、油戻し管22cFは、油分離器22aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dFを有する圧縮機32F自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Fの内部吐出圧縮要素である第2中圧圧縮要素32fFの吸入側に戻す。
油分離機構23Fの油戻し管23cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aFに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p29に接続されている。即ち、油戻し管23cFは、油分離器23aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gFを有する圧縮機31F自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gFよりも一段後段に位置する第2中圧圧縮要素31fFの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構24Fの油戻し管24cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aFに接続されており、他端は吸入側第2中圧枝管p30に接続されている。即ち、油戻し管24cFは、油分離器24aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gFを有する圧縮機32F自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gfよりも一段後段となる第2中圧圧縮要素32fFの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。
油分離機構25Fの油戻し管25cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aFに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管25cFは、油分離器25aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eFを有する圧縮機31F自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eFよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素31gFの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構26Fの油戻し管26cF(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aFに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管26cFは、油分離器26aFによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eFを有する圧縮機32F自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eFよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素32gFの吸入側(つまり、第2外部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。
尚、図9では、変形例E等と同様、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
また、各油分離機構23F〜28Fから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Fによると、各圧縮機31F,32Fが圧縮要素31dF,31fF,31gF,31eF,32dF,32fF,32gF,32eFを4つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31F,32Fのドーム31aF,32aF内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31F,32Fの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aF,32aF内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−7)変形例G
次に、圧縮機が4つの圧縮要素を有する4段式圧縮機であって、かつ第1中圧圧縮要素31gG,32gG(後述)から吐出される中圧の冷媒でドーム31aG,32aG内が充満する、中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図10は、変形例Gに係る空気調和装置1Gの構成のうち、主として圧縮機構3G、油分離機構21G,22G,23G,24G,25G,26G,27G,28G、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図10では、図8,9等と同様、圧縮機駆動モータ及び駆動軸、調整弁を省略している。
図10に係る圧縮機構3Gは、変形例E,Fと同様、2つの圧縮機31G,32Gが並列接続されることで構成されている。圧縮機31G,32Gは、それぞれ1つのドーム31aG,32aG内に、低圧圧縮要素31eG,32eG、第1中圧圧縮要素31gG,32gG、第2中圧圧縮要素31fG,32fG及び高圧圧縮要素31dG,32dGを有している。各第1中圧圧縮要素31gG,32gGは、各低圧圧縮要素31eG,32eGよりも更に冷媒の圧力を高め、各第2中圧圧縮要素31fG,32fGは、各第1中圧圧縮要素31gG,32gGよりも更に冷媒の圧力を高める。各高圧圧縮要素31dG,32dGは、各第2中圧圧縮要素31fG,32fGよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31G内に含まれる4段の圧縮要素31eG,31gG,31fG,31dGは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32G内に含まれる4段の圧縮要素32eG,31gG,32fG,32dGは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図10では、各第1中圧圧縮要素31gG,32gGが、圧縮した中圧の冷媒を自身の圧縮機31G,32Gのドーム31aG,32aG内にいったん吐出する構成となっている。従って、各第1中圧圧縮要素31gG,32gGは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31G,32Gは、駆動時、ドーム31aG,32aG内には第1中圧圧縮要素31gG,32gGから吐出された中圧の冷媒が充満する、中圧ドーム型の圧縮機であると言える。尚、ここでは、変形例Fと同様、単に「中圧の冷媒」と記載しているが、厳密には、変形例Gに係るドーム31aG,32aG内の冷媒の圧力は、変形例Fに係るドーム31aF,32aF内よりも低い。また、各ドーム31aG,32aGには、各第1中圧圧縮要素31gG,32gGに対応する吐出管p41,p42それぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aG,32aG内に第1中圧圧縮要素31gG,32gGによっていったん吐出された中圧の冷媒は、各吐出管p41,p42によって各圧縮機31G,32Gのドーム31aG,32aGの外部に吐出される。低圧圧縮要素31eG,32eG、第2中圧圧縮要素31fG,32fG及び高圧圧縮要素31dG,32dGそれぞれは、各吐出管p21,p22,p61,p62,p11a,p12aと接続されており、各圧縮要素31eG,32eG,31fG,32fG,31dG,32dGにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p21,p22,p61,p62,p11a,p12aそれぞれを介して自身の圧縮機31G,32Gのドーム31aG,32aG外に吐出される構成となっている。従って、第1中圧圧縮要素31gG,32gG以外の他の圧縮要素31eG,32eG,31fG,32fG,31dG,32dGは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Gでは、各第2中圧圧縮要素31fG,32fG(第1外部吐出圧縮要素に相当)は、内部吐出圧縮要素である各第1中圧圧縮要素31gG,32gGから吐出された冷媒を吸入し、各高圧圧縮要素31dG,32dG(第3外部吐出圧縮要素に相当)は、各第2中圧圧縮要素31fG,32fGから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。各低圧圧縮要素31eG,32eG(第2外部吐出圧縮要素に相当)は、各第1中圧圧縮要素31gG、32gGが吸入する冷媒を吐出する構成となっている。そのため、変形例Gでは、内部吐出圧縮要素の後段には2つの外部吐出圧縮要素、かつ内部吐出圧縮要素の前段には1つの外部吐出圧縮要素が位置している場合を表している。
従って、各第1中圧圧縮要素31gG,32gGから吐出される中圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構23G,24G(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各高圧圧縮要素31dG,32dGから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構21G,22G、各第2中圧圧縮要素31fG,32fGから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構27G,28G、及び各低圧圧縮要素31eG,32eGから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構25G,26G(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構23Gの油戻し管23cG(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aGに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管23cGは、油分離器23aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gGを有する圧縮機31Gではなく、別の圧縮機32Gの第1中圧圧縮要素32gG(即ち、圧縮機32Gの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構24Gの油戻し管24cG(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aGに接続されており、他端は中圧配管p2の吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管24cGは、油分離器24aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gGを有する圧縮機32Gではなく、別の圧縮機31Gの第1中圧圧縮要素31gG(即ち、圧縮機31Gの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管23cG,24cGと吸入側第1中圧枝管p26,p25とは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構21Gの油戻し管21cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管21cGは、油分離器21aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dGを有する圧縮機31G自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Gの内部吐出圧縮要素である第1中圧圧縮要素31gGの吸入側に戻す。また、油分離機構22Gの油戻し管22cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管22cGは、油分離器22aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dGを有する圧縮機32G自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Gの内部吐出圧縮要素である第1中圧圧縮要素32gGの吸入側に戻す。
油分離機構27Gの油戻し管27cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器27aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管27cGは、油分離器27aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素31fGを有する圧縮機31G自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Gの内部吐出圧縮要素である第1中圧圧縮要素31gGの吸入側に戻す。また、油分離機構28Gの油戻し管28cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器28aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管28cGは、油分離器28aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素32fGを有する圧縮機32G自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Gの内部吐出圧縮要素である第1中圧圧縮要素32gGの吸入側に戻す。
油分離機構25Gの油戻し管25cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p25に接続されている。即ち、油戻し管25cGは、油分離器25aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eGを有する圧縮機31G自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eGよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素31gGの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。また、油分離機構26Gの油戻し管26cG(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aGに接続されており、他端は吸入側第1中圧枝管p26に接続されている。即ち、油戻し管26cGは、油分離器26aGによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eGを有する圧縮機32G自身の吸入側であって、かつ冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eGよりも一段後段となる第1中圧圧縮要素32gGの吸入側(つまり、内部吐出圧縮要素の吸入側)に戻す。
尚、図10では、変形例E,F等と同様、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
また、各油分離機構23G〜28Gから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Gによると、各圧縮機31G,32Gが圧縮要素31dG,31fG,31gG,31eG,32dG,32fG,32gG,32eGを4つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31G,32Gのドーム31aG,32aG内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31G,32Gの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aG,32aG内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−8)変形例H
次に、圧縮機が4つの圧縮要素を有する4段式圧縮機であって、かつ低圧圧縮要素31eH,32eH(後述)から吐出される中圧の冷媒でドーム31aH,32aH内が充満する、中圧ドーム型の圧縮機である場合について説明する。
図11は、変形例Hに係る空気調和装置1Hの構成のうち、主として圧縮機構3H、油分離機構21H,22H,23H,24H,25H,26H,27H,28H、及び中間冷却器7を抜き出して示している。また、図11では、図8〜10等と同様、圧縮機駆動モータ及び駆動軸、調整弁を省略している。
図11に係る圧縮機構3Hは、変形例E,F,Gと同様、2つの圧縮機31H,32Hが並列接続されることで構成されている。圧縮機31H,32Hは、それぞれ1つのドーム31aH,32aH内に、低圧圧縮要素31eH,32eH、第1中圧圧縮要素31gH,32gH、第2中圧圧縮要素31fH,32fH及び高圧圧縮要素31dH,32dHを有している。各第1中圧圧縮要素31gH,32gHは、各低圧圧縮要素31eH,32eHよりも更に冷媒の圧力を高め、各第2中圧圧縮要素31fH,32fHは、各第1中圧圧縮要素31gH,32gHよりも更に冷媒の圧力を高める。各高圧圧縮要素31dH,32dHは、各第2中圧圧縮要素31fH,32fHよりも更に冷媒の能力を高める。圧縮機31H内に含まれる4段の圧縮要素31eH,31gH,31fH,31dHは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。同様にして、圧縮機32H内に含まれる4段の圧縮要素32eH,31gH,32fH,32dHは、それぞれ直列接続されており、冷媒の圧力を順次高めていく。
また、図11では、各低圧圧縮要素31eH,32eHが、圧縮した中圧の冷媒を自身の圧縮機31H,32Hのドーム31aH,32aH内にいったん吐出する構成となっている。従って、各低圧圧縮要素31eH,32eHは、内部吐出圧縮機であると言え、圧縮機31H,32Hは、駆動時、ドーム31aH,32aH内には低圧圧縮要素31eH,32eHから吐出された中圧の冷媒が充満する、中圧ドーム型の圧縮機であると言える。尚、ここでは、変形例Fや変形例Gと同様、単に「中圧の冷媒」と記載しているが、厳密には、変形例Hに係るドーム31aH,32aH内の冷媒の圧力は、変形例Gに係るドーム31aH,32aH内よりも低い。また、各ドーム31aH,32aHには、各低圧圧縮要素31eH,32eHに対応する吐出管p21,p22それぞれが直結されている。この構成により、各ドーム31aH,32aH内に低圧圧縮要素31eH,32eHによっていったん吐出された中圧の冷媒は、各吐出管p21,p22によって各圧縮機31H,32Hのドーム31aH,32aHの外部に吐出される。第1中圧圧縮要素31gH,32gH、第2中圧圧縮要素31fH,32fH及び高圧圧縮要素31dH,32dHそれぞれは、各吐出管p41,p42,p61,p62,p11a,p12aと接続されており、各圧縮要素31gH,32gH,31fH,32fH,31dH,32dHにて吐出された冷媒は、対応する吐出管p41,p42,p61,p62,p11a,p12aそれぞれを介して自身の圧縮機31H,32Hのドーム31aH,32aH外に吐出される構成となっている。従って、低圧圧縮要素31eH,32eH以外の他の圧縮要素31gH,32gH,31fH,32fH,31dH,32dHは、外部吐出圧縮要素であると言える。
特に、変形例Hでは、各第1中圧圧縮要素31gH,32gH(第1外部吐出圧縮要素に相当)は、内部吐出圧縮要素である各低圧圧縮要素31eH,32eHから吐出された冷媒を吸入し、各第2中圧圧縮要素31fH,32fH(第3外部吐出圧縮要素に相当)は、各第1中圧圧縮要素31gH,32gHから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。各高圧圧縮要素は、各第2中圧圧縮要素31fH、32fHから吐出された冷媒を吸入する構成となっている。そのため、変形例Hでは、内部吐出圧縮要素の後段には3つの外部吐出圧縮要素が位置している場合を表している。
従って、各低圧圧縮要素31eH,32eHから吐出される中圧の冷媒に対して冷凍機油の分離を行う油分離機構25H,26H(第1油分離機構に相当)は、内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。各高圧圧縮要素31dH,32dHから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構21H,22H、各第2中圧圧縮要素31fH,32fHから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構27H,28H、及び各第1中圧圧縮要素31gH,32gHから吐出される冷媒に対し冷凍機油の分離を行う油分離機構23H,24H(いずれも第2油分離機構に相当)は、外部吐出圧縮要素から吐出される冷媒から冷凍機油を分離することとなる。
油分離機構25Hの油戻し管25cH(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器25aHに接続されており、他端は低圧配管p1から分岐された低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管25cHは、油分離器25aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素31eHを有する圧縮機31Hではなく、別の圧縮機32Hの低圧圧縮要素32eH(即ち、圧縮機32Hの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。また、油分離機構26Hの油戻し管26cH(第1油戻し管に相当)は、一端が油分離器26aHに接続されており、他端は低圧配管p3から分岐された低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管26cHは、油分離器26aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である低圧圧縮要素32eHを有する圧縮機32Hではなく、別の圧縮機31Hの低圧圧縮要素31eH(即ち、圧縮機31Hの内部吐出圧縮要素)の吸入側に戻す。つまり、各油戻し管25cH,26cHと低圧吸入管p32a,p31aとは、いわゆるたすき掛け状態に接続されている。
油分離機構21Hの油戻し管21cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器21aHに接続されており、他端は低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管21cHは、油分離器21aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素31dHを有する圧縮機31H自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31eHの吸入側に戻す。また、油分離機構22Hの油戻し管22cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器22aHに接続されており、他端は低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管22cHは、油分離器22aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である高圧圧縮要素32dHを有する圧縮機32H自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素32eHの吸入側に戻す。
油分離機構27Hの油戻し管27cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器27aHに接続されており、他端は低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管27cHは、油分離器27aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素31fHを有する圧縮機31H自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31eHの吸入側に戻す。また、油分離機構28Hの油戻し管28cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器28aHに接続されており、他端は低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管28cHは、油分離器28aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第2中圧圧縮要素32fHを有する圧縮機32H自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素32eHの吸入側に戻す。
油分離機構23Hの油戻し管23cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器23aHに接続されており、他端は低圧吸入管p31aに接続されている。即ち、油戻し管23cHは、油分離器25aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素31gHを有する圧縮機31H自身の吸入側であって、かつ圧縮機31Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素31eHの吸入側に戻す。また、油分離機構24Hの油戻し管24cH(第2油戻し管に相当)は、一端が油分離器24aHに接続されており、他端は低圧吸入管p32aに接続されている。即ち、油戻し管24cHは、油分離器24aHによって分離された冷凍機油を、該冷凍機油が同伴していた冷媒の流出元である第1中圧圧縮要素32gHを有する圧縮機32H自身の吸入側であって、かつ圧縮機32Hの内部吐出圧縮要素である低圧圧縮要素32eHの吸入側に戻す。
尚、図11では、変形例E,F,G等と同様、図面を簡単にするため、減圧機構は省略されている。
また、各油分離機構23H〜28Hから吐出された冷媒は、中間冷却器7にて冷却され、その後、該冷媒を吐出した圧縮要素よりも後段となる圧縮要素に吸入される。
上述した構成を有する空気調和装置1Hによると、各圧縮機31H,32Hが圧縮要素31dH,31fH,31gh,31eH,32dH,32fH,32gH,32eHを4つずつ有している場合においても、各外部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、なるべく早く自身の圧縮機31H,32Hのドーム31aH,32aH内に戻されるようになる。また、内部吐出圧縮要素内の冷凍機油は、別の圧縮機31H,32Hの吸入側に戻される。従って、内部吐出圧縮要素内に溜まった冷凍機油の量の偏りを解消しつつ、均油管を用いずに各ドーム31aH,32aH内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(4−9)変形例I
上述の実施形態においては、二段圧縮式冷凍サイクルを用いて冷房運転が可能な空気調和装置について説明したが、空気調和装置は、図1の構成に加えて、冷房運転と暖房運転を切り換える切換機構を設けることにより、冷房運転と暖房運転とを切換可能に構成することができる。
図12は、変形例Iに係る空気調和装置1Iの概略構成図である。空気調和装置1Iは、図12に示されるように、上述の実施形態の冷媒回路2(図1参照)の構成に冷房運転と暖房運転とを切換可能にするための切換機構9a,9b、レシーバ10、エコノマイザ熱交換器12、ブリッジ回路13、及び過冷却熱交換器16が主として加わり、膨張機構5に代えて第1膨張機構5a及び2つの第2膨張機構5cが設けられた冷媒回路2Iを備えて構成される。また、図1の利用側熱交換器6に代えて、2つの利用側熱交換器6aが並列接続されている。
切換機構9a,9bは、冷媒回路2I内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。切換機構9aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構3から吐出される冷媒の放熱器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構3の高圧配管p1と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機構3の低圧配管p3と各利用側熱交換器6aの他端とを接続する(図4の切換機構9aの実線を参照、以下、この切換機構9aの状態を「冷却運転状態」という)。一方、暖房運転時には、切換機構9aは、利用側熱交換器6を圧縮機構3から吐出される冷媒の放熱器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構3の高圧配管p1と各利用側熱交換器6aの他端とを接続するとともに圧縮機構3の低圧配管p3と熱源側熱交換器4の一端とを接続する(図4の切換機構9aの破線を参照。即ち、加熱運転状態)。切換機構9bは、冷房運転時には、各低圧圧縮要素31e,32eから吐出された冷媒を、中間冷却器7を通過後に各高圧圧縮要素31d,32dに吸入させ、暖房運転時は、各低圧圧縮要素31e、32eから吐出された冷媒を、中間冷却器7を通過させずに各高圧圧縮要素31d、32dに吸入させる。このように、暖房運転においては、各低圧圧縮要素31e,32eから吐出された冷媒を中間冷却器7を介さずに各高圧圧縮要素31d、32dに吸入させているため、冷房運転と同様に暖房運転においても中間冷却器7を用いる場合に比べて、圧縮機構3から吐出される冷媒の温度の低下が抑えられる。従って、この空気調和装置1Iでは、外部への放熱を抑え、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6aに供給される冷媒の温度の低下を抑えることが可能になり、運転効率の低下を防ぐことができる。
なお、切換機構9a,9bは、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
レシーバ10は、冷房運転と暖房運転との間で冷媒回路2Iにおける冷媒の循環量が異なる等の運転状態に応じて発生する余剰冷媒を溜めることができるように、第1膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めるために設けられた容器である。そのため、レシーバ10の入口がレシーバ入口管10aに接続されており、その出口がレシーバ出口管10bに接続されている。また、レシーバ10には、レシーバ10内から冷媒を抜き出して圧縮機構3の吸入側(すなわち、各圧縮機31,32の低圧圧縮要素31e,32eの吸入口)に戻すことが可能な吸入戻し管30が接続されている。この吸入戻し管30には、電動弁からなる吸入戻し開閉弁30aが設けられている。
エコノマイザ熱交換器12は、熱源側熱交換器4と各利用側熱交換器6aとの間を流れる冷媒とインジェクション管11を流れる冷媒(より具体的には、インジェクション開閉弁11aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、エコノマイザ熱交換器12は、レシーバ入口管10aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構9aを冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間)を流れる冷媒とインジェクション管11を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられており、また、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。このエコノマイザ熱交換器12により、熱源側熱交換器4と各利用側熱交換器6aとの間を流れる冷媒は、レシーバ入口管10aにおいて、エコノマイザ熱交換器12にて熱交換される前にインジェクション管11に分岐され、その後に、エコノマイザ熱交換器12において、インジェクション管11を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
ここで、インジェクション管11は、熱源側熱交換器4と各利用側熱交換器6aとの間を流れる冷媒を分岐して各高圧圧縮要素31d,32dに戻す機能を有している。また、このインジェクション管11には、開度制御が可能なインジェクション開閉弁11aが設けられている。インジェクション開閉弁11aは、電動膨張弁で構成される。
ブリッジ回路13は、熱源側熱交換器4と各利用側熱交換器6aとの間に設けられており、レシーバ10のレシーバ入口管10a及びレシーバ出口管10bに接続されている。ブリッジ回路13は、本変形例において、3つの逆止弁13a,13c,13dと1つの膨張弁13bを有している。そして、入口逆止弁13aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管10aへの冷媒の流通のみを許容し、入口膨張弁13bは、レシーバ出口管10bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通を開閉する。出口逆止弁13cは、レシーバ出口管10bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容し、出口逆止弁13dは、レシーバ出口管10b側からレシーバ入口管10aへの冷媒の流通のみを許容する。
過冷却熱交換器16は、レシーバ10から各第2膨張機構5cに送られる冷媒を冷却する熱交換器である。より具体的には、過冷却熱交換器16は、冷房運転時に、レシーバ10から各第2膨張機構5cに送られる冷媒の一部を分岐して各圧縮機31,32の吸入側(具体的には、各低圧圧縮要素31e,32eの吸入側)に戻す吸入戻し管16aを流れる冷媒との熱交換を行う熱交換器であり、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。ここで、吸入戻し管16aは、放熱器としての熱源側熱交換器4から各第2膨張機構5cに送られる冷媒を分岐して圧縮機構3の吸入側(すなわち、低圧配管p3)に戻す冷媒管である。この吸入戻し管16aには、開度制御が可能な吸入戻し弁16bが設けられており、過冷却熱交換器16において、レシーバ10から各第2膨張機構5cに送られる冷媒と吸入戻し弁16bにおいて低圧付近まで減圧された後の吸入戻し管16aを流れる冷媒との熱交換を行うようになっている。吸入戻し弁16bは、本変形例において、電動膨張弁である。
尚、第1膨張機構5aは、レシーバ入口管10aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。また、本変形例において、第1膨張機構5aは、冷房運転時には、レシーバ10を介して各利用側熱交換器6aに送る前に、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を冷媒の飽和圧力付近まで減圧する。第1膨張機構5aは、暖房運転時には、レシーバ10を介して熱源側熱交換器4に送る前に、各利用側熱交換器6aにおいて冷却された高圧の冷媒を冷媒の飽和圧力付近まで減圧する。
第2膨張機構5cは、それぞれ過冷却熱交換器16及び各利用側熱交換器6aの間に設けられている。第2膨張機構5cは、過冷却熱交換器16から流出した冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。
また、空気調和装置1Iは、上記以外に、中間冷却器7の下流側に設けられた逆止弁7a、切換機構9bと中圧配管p2である吸入側中圧枝管p25,p26との間に設けられた逆止弁9cを備えている。逆止弁7aは、中間冷却器7から各高圧圧縮要素31d,32dへと向かう冷媒の流れのみを許容し、逆止弁9cは、切換機構9bから各高圧圧縮要素31d,32dへと向かう冷媒の流れのみを許容する。更に、空気調和装置1Iは、中圧配管p2である吐出側中圧母管p23と低圧配管p3との間を開閉する電磁弁19a、及び高圧配管p1と中圧配管p2である各吸入側中圧枝管p25,p26との間を開閉する電磁弁19bを備えている。各電磁弁19a,19bは、いずれか一方の圧縮機が停止している状態において、停止圧縮機内の均圧をより確実に保つためのものである。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(a)
上述の実施形態及び変形例では、二酸化炭素が冷媒として使用され、超臨界域で作動する二段圧縮式冷凍サイクルが行われる場合について説明した。しかし、本発明の冷凍装置は、超臨界域で作動せずともよく、従って冷媒は、二酸化炭素以外であってもよい。二酸化炭素以外の冷媒としては、R1234等が挙げられる。
(b)
上述の実施形態では、各圧縮機31,32において、低圧圧縮要素31e,32e及び高圧圧縮要素31d,32dの駆動軸が共通となっていると説明した。しかし、いずれか一方の圧縮機31,32において、低圧圧縮要素及び高圧圧縮要素の駆動軸が共通となっていてもよい。
また、圧縮機が3つ以上並列接続されている場合においても、少なくとも1つの圧縮機において駆動軸が共通となっていてもよい。
(c)
上述の実施形態及び変形例では、一例として、圧縮機構3が2台の圧縮機31,32の並列接続によって構成されると説明した。しかし、圧縮機の台数は複数であればよく、従って3台以上の圧縮機が並列接続されることで圧縮機構が構成されていてもよい。
この場合、各圧縮機の内部吐出圧縮要素から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油は、冷媒の吐出元である内部吐出圧縮要素を有する圧縮機自身ではなく、別の圧縮機の内部吐出圧縮要素の吸入側に戻される。
(d)
上述の実施形態及び変形例A〜Iでは、各圧縮機が2段、3段及び4段の圧縮要素を有している場合について説明した。しかし、圧縮機は、圧縮要素を4段以上有していてもよい。
このように、圧縮要素を4段以上有している圧縮機が複数並列接続された場合においても、上記実施形態及び変形例A〜Iと同様、各圧縮要素から吐出された冷媒に同伴する冷凍機油は、以下の条件1〜3を満たすようにして油戻し管によって戻される。
ここで、1つのドーム内にN段(N≧2)の圧縮要素が直列接続されたN段式の圧縮機が複数並列接続されているとする。そして、下からM段目(但し、1≦M≦N)の圧縮要素は、ドーム内に冷媒を吐出する内部吐出圧縮要素であって、他の段の圧縮要素は、外部吐出圧縮要素であるとする。下からK段目(但し、1≦K≦N)の圧縮要素から吐出された冷媒の冷凍機油は、
(条件1)K<Mの場合、冷媒の吐出元であるK段目の圧縮要素を含む圧縮機自身の、K+1段目の圧縮要素の吸入側に戻される(つまり、同じ圧縮機内におけるK段目の圧縮要素の一段上、即ち、一段後段となる圧縮要素の吸入側に戻される)。
(条件2)K=Mの場合、冷媒の吐出元であるK段目の圧縮要素を含む圧縮機ではなく、別の圧縮機のM段目の圧縮要素の吸入側に戻される(つまり、別の圧縮機の内部吐出圧縮要素内に戻される)。
(条件3)K>Mの場合、冷媒の吐出元であるK段目の圧縮要素を含む圧縮機自身における、M段目の圧縮要素の吸入側に戻される(つまり、同じ圧縮機内における内部吐出圧縮要素の吸入側に戻される)。
上記3つの条件に基づいて冷凍機油が圧縮機の吸入側に戻されることにより、各圧縮機内のドーム内の油面の偏りを防ぐことができ、油面の均一化を図ることができる。
(e)
上述の実施形態及び変形例A〜Hでは、空気調和装置1,1A〜1Hが冷房運転を行う装置である場合について説明した。つまり、熱源側熱交換器4が冷媒の冷却器、利用側熱交換器6が冷媒の加熱器として機能する場合について説明した。しかし、上記一実施形態及び変形例A〜Hの空気調和装置1,1A〜1Hは、冷房運転ではなく暖房運転のみを行う装置であってもよい。
(f)
上述の実施形態では、圧縮機(例えば、圧縮機32)は、低圧圧縮要素32eから吐出された中圧の冷媒がドーム32a内に充満した状態で、駆動を停止すると説明した。しかし、駆動を停止する際の圧縮機内部の圧力は、中圧に限定されない。圧縮機は、高圧圧縮要素から吐出された高圧の冷媒や、低圧配管から吸入された低圧の冷媒がドーム内に充満した状態で駆動を停止してもよい。