JP5572425B2 - カラーフィルター用着色組成物、その調製方法及びカラーフィルター - Google Patents
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Description
このような背景の中で、液晶表示素子に使用するカラーフィルターも高色純度が求められるようになってきている。
そして、カラーフィルターの黄色のフィルターアレイに黄色染料が用いられることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
有機顔料を用いたカラーフィルターの製造方法としては、例えば、有機顔料を感光性樹脂中に分散した組成物を露光し、現像することによってパターニングする工程を所要の回数繰り返し行う、フォトリソグラフィー法が知られている(例えば、特許文献3参照)。有機顔料を含有するインクを用いるオフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷方法などが挙げられる。
同様に、イエローフィルタ層、マゼンタフィルタ層、及びシアンフィルタ層からなるカラーフィルターにおいても、イエローフィルタ層に用いられるイエロー色素において更なる堅牢性の改良が望まれていた。
さらに本発明の目的は、上記カラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、透明性が高く、分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供することにある。
以下前記課題を解決するための具体的手段を以下に示す。
<1>
下記式(4)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物を少なくとも1種含有することを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
<2>
結晶形態のアゾ顔料がCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、25.6°、及び27.7°に特徴的なX線回折ピークを有する、前記式(4)で表されるアゾ顔料又はその互変異性体から選ばれる着色剤を含有することを特徴とする<1>に記載のカラーフィルター用着色組成物。
<3>
更に、重合性化合物及び溶剤を含むことを特徴とする<1>又は<2>に記載のカラーフィルター用着色組成物。
<4>
前記式(4)で表されるアゾ顔料を、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部含む<3>に記載のカラーフィルター用着色組成物。
<5>
重合性化合物が感光性化合物であることを特徴とする<3>又は<4>に記載のカラーフィルター用着色組成物。
<6>
さらに、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のカラーフィルター用着色組成物。
<7>
<1>〜<6>のいずれか1項に記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成されたことを特徴とするカラーフィルター。
<8>
フォトリソグラフィー法、又はインクジェット法によって形成されたことを特徴とする<7>に記載のカラーフィルター。
<9>
界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤及び、前記式(4)で表されるアゾ顔料を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、及び、該顔料分散体を重合性化合物及び残余の溶剤と混合する工程を含む、<6>に記載のカラーフィルター用着色組成物の調製方法。
本発明は、上記<1>〜<9>に関するものであるが、その他の事項(たとえば下記〔1〕〜〔17〕に記載した事項など)についても参考のために記載した。
一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物を少なくとも1種含有することを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
〔2〕
前記一般式(1)中のnが2であることを特徴とする〔1〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔3〕
前記一般式(1)中のX1が水素原子であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔4〕
前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2)で表されるアゾ顔料であることを特徴とする〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔5〕
前記W、W1及びW2が、それぞれ独立に総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基、総炭素数3以下のアルキルアミノ基であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔6〕
前記G、G1及びG2が、それぞれ独立に総炭素数3以下のアルキル基であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔7〕
前記Zが、6員含窒素ヘテロ環であることを特徴とする〔4〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔8〕
前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(3)で表されるアゾ顔料であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔9〕
前記一般式(1)、前記一般式(2)又は前記一般式(3)で表されるアゾ顔料が下記式(4)で表される、結晶形態のアゾ顔料であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔10〕
結晶形態のアゾ顔料がCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、25.6°、及び27.7°に特徴的なX線回折ピークを有する、前記式(4)で表されるアゾ顔料又はその互変異性体から選ばれる着色剤を含有することを特徴とする〔9〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔11〕
更に、重合性化合物及び溶剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔12〕
一般式(1)で表されるアゾ顔料を、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部含む〔11〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔13〕
重合性化合物が感光性化合物であることを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔14〕
更に、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔15〕
〔1〕〜〔14〕のいずれか1つに記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成されたことを特徴とするカラーフィルター。
〔16〕
フォトリソグラフィー法、又はインクジェット法によって形成されたことを特徴とする〔15〕に記載のカラーフィルター。
〔17〕
界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤及び、一般式(1)で表されるアゾ顔料を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、及び、該顔料分散体を重合性化合物及び残余の溶剤と混合する工程を含む、〔14〕に記載のカラーフィルターを形成するカラーフィルター用着色組成物の調製方法。
また、本発明によれば種々の用途におけるカラー液晶ディスプレーに要求される高コントラスト、優れた透明性を達成するカラーフィルターが得られる。
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物を少なくとも1種含有する。
本発明における脂肪族基において、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよい。また、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等を挙げることができる。更に脂肪族基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳細に記載されている。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)又は(2)、で表される顔料はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
顔料は、色素分子間の強力な相互作用による凝集エネルギーによって、分子同士がお互いに強固に結合しあっている状態のことである。この状態を作るには、分子間のファンデルワールス力、分子間水素結合が必要であることが、例えば、日本画像学会誌、43巻、10頁(2004年)等に記載されている。
分子間のファンデルワールス力を強めるには、分子への芳香族基、極性基及び/又はヘテロ原子の導入等が考えられる。また、分子間水素結合を形成させるには、分子へのヘテロ原子に結合した水素原子を含有する置換基の導入及び/又は電子供与性の置換基の導入等が考えられる。更に分子全体の極性が高い方が好ましいと考えられる。そのためには、例えば、アルキル基等鎖状の基は短い方が好ましく、分子量/アゾ基の値は小さい方が好ましいと考えられる。
これらの観点から、顔料分子は、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合、スルホン基、オキシカルボニル基、イミド基、カルバモイルアミノ基、ヘテロ環、ベンゼン環等を含有することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、その特異的な構造により色素分子の分子間相互作用を形成しやすく、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、アゾ顔料とすることができる。
顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、溶媒中に分子集合体等の固体粒子として微細に分散させて用いるものである。
また、下記一般式(1)で表される特定の構造を有することにより、着色力、色相等の色彩的特性において優れた特性を示し、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性にも優れた特性を示すことができる。
次に一般式(1)で表される顔料について説明する。
詳細には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
X1、X2の少なくとも一方を水素原子とすることで、カルボニル基の酸素原子とアゾ基の窒素原子及びX1又はX2の水素原子から構成される分子内交差水素結合を形成可能となり、色相、画像堅牢性が向上する点で好ましい。
R1、R2を総炭素数の小さい(1〜4)直鎖アルキル基又は分岐アルキル基にすることで、色素分子配列例が立体的に制御(一定の距離・角度で配列)しやすくなる。その結果、安定な分子内・分子間相互作用を有する顔料粒子が形成されやすく、色相、着色力、画像堅牢性向上の点から好ましい。
カラーフィルター用着色組成物に式(4)で表されるアゾ顔料を用いることにより、良好な色相と高い画像堅牢性を同時に付与することができる。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有し、かつ、それらの水素結合の少なくとも2個が分子内交叉水素結合を形成する置換基を有する場合が特に好ましい。
本発明の上記式(1)〜(3)で表される顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であっても良いが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
上記一般式(B)で表される化合物は、国際公開第06/082669号や特開2006−57076号公報に記載の方法、及び、それに準じた方法で製造することができる。
上式(A)で表されるヘテロ環アミン(ジアゾ成分)のジアゾニウム塩への調製及びジアゾニウム塩と上式(B)で表される化合物(カップリング成分)とのカップリング反応は、慣用法によって実施できる。
カップリング反応する工程は、酸性反応媒質中〜塩基性反応媒質中で実施することができるが、本発明のアゾ顔料は酸性〜中性反応媒質中で実施することが好ましく、特に酸性反応媒質中で実施することがジアゾニウム塩の分解を抑制し効率良くアゾ顔料に誘導することができる。
本発明は上記製造方法で製造されたアゾ顔料組成物にも関する。
本発明の製造方法においては、後処理を行う工程を含むことが好ましい。この後処理工程の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の色素をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6-35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げる事ができる。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルターを得ることができる。カラーフィルターの場合も本発明のアゾ顔料の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
Pig.−1の合成スキームを下記に示す。
シアノ酢酸メチル29.7g(0.3モル)にオルトギ酸トリメチル42.4g(0.4モル)、無水酢酸20.4g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸0.5gを加えて110℃(外温)に加熱し、反応系から生じる低沸点成分を留去しながら20時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(a)を14.1g(黄色粉末、収率30%)で得た。得られた中間体(a)のNMR測定結果は以下の通りである。1H-NMR(300MHz、CDCl3)7.96(s,1H), 4.15(s,3H), 3.81(s,3H)
メチルヒドラジン7.4mL(141ミリモル)にイソプロパノール150mLを加えて15℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(a)7.0g(49.6ミリモル)を徐々に添加した後、50℃に加熱して1時間40分攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(b)を10.5g(白色粉末、収率50%)で得た。得られた中間体(b)のNMR測定結果は以下の通りである。1H-NMR(300MHz、CDCl3)7.60(s,1H), 4.95(brs,2H), 3.80(s,3H), 3.60(s,3H)
ヒドラジン1水和物387mL(7.98モル)にメタノール298mLを加えて10℃(内温)に冷却し、この混合液に4,6−ジクロロピリミジン149g(1.00モル)を徐々に添加(内温20℃以下)した後、氷浴をはずし、室温まで昇温し、同温度にて30分攪拌した。その後更に加熱して内温60℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌した。反応終了後、水750mLを加えた後、氷冷して内温が8℃になるまで冷却し、析出した結晶をろ取、水でかけ洗いし、イソプロパノールでかけ洗いした。室温にて36時間乾燥を行い前記中間体(c)を119g(白色粉末、収率84.5%)で得た。得られた中間体(c)のNMR測定結果は以下の通りである。1H-NMR(300MHz、d-DMSO)7.80(s,1H), 7.52(s,2H), 5.98(s,1H), 4.13(s,4H)
中間体(c)50g(357ミリモル)に、水128mLを加えて室温で攪拌した。この懸濁液にピバロイルアセトニトリル98.2g(785ミリモル)を加え、同温度にて12M塩酸水をpH3になるように滴加した後、内温が50℃になるまで加熱し、同温度にて6時間攪拌した。反応終了後、8Nの水酸化カリウム水溶液を加えて中和し、pH6.4にした。氷冷し内温が10℃になるまで冷却し、析出した結晶をろ取、水でかけ洗いした。得られた結晶を減圧下60℃にて乾燥し、得られた粗精製物にトルエン30mLを加え、60℃に加熱して溶解させた。得られた溶液を室温にて12時間静置し、析出した結晶をろ取、冷却したトルエンでかけ洗いし、減圧下60℃にて乾燥し、前記中間体(d)を87.7g(白色粉末、収率69.3%)で得た。得られた中間体(d)のNMR測定結果は以下の通りである。1H-NMR(300MHz、d-DMSO)8.74(s,1H), 7.99(s,1H), 6.87(s,4H), 5.35(s,2H), 1.24(s,18H)
酢酸55mLとプロピオン酸37mLの混合液に室温にて中間体(b)9.2gを溶解させた。氷冷して内温を−3℃まで冷却し、内温が−3℃〜4℃でニトロシル硫酸の40質量%硫酸溶液を10分かけて滴下した。内温4℃にて1時間攪拌した後、尿素0.2gを加え、その後、内温を−3℃に冷却し、更に10分攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に中間体(d)10gをアセトン150mLに完溶させた後、内温を17℃に冷却し、上述のジアゾニウム塩溶液に内温−3℃〜3℃の範囲内で25分かけて添加した。添加完了後、3℃で30分攪拌した後、氷浴をはずし、30分かけて室温まで昇温させた。室温にて30分攪拌した後、得られた結晶を濾別し、アセトン150mLでかけ洗いし、更に水100mLでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥せずに水400mLに懸濁させ、8規定の水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを5.7にした。室温にて20分間攪拌した後、得られた結晶を濾別し、水で十分にかけ洗いしたのち、アセトン80mLをかけ洗いした。得られた結晶を室温にて、12時間乾燥させた。
得られたPig.−1を透過型顕微鏡(日本電子(株)製:JEM−1010電子顕微鏡)で目視にて観察したところ、1次粒子の長軸方向の長さは、約15μmであった。
Pig.−1のX線回折の測定を上記の条件により行ったところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、25.6°及び27.7°に特徴的なX線回折ピークを示した。CuKα特性X線回折図を図1に示す。
カラーフィルターの製造方法については、シリコンウエハーに熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素(着色剤)及び溶剤を含むポジ型レジスト組成物をスピンコートし、加熱により溶剤を蒸発させた後、マスクを通して露光を行い、キノンジアジド化合物を分解させた。必要により、加熱後、現像してモザイクパターンを得た。露光は日立製作所(株)製i線露光ステッパーHITACHI LD−5010−i(NA=0.40) により行った。又、現像液は住友化学工業(株)製SOPD又はSOPD−Bを用いた。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
m−クレゾール/p−クレゾール/ホルムアルデヒド(反応モル比=5/5/7.5)混合物から得られたクレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算質量平均分子量4300)3.4質量部、下式で示されるフェノール化合物を用いて製造されたo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均2個の水酸基がエステル化されている)1.8質量部、ヘキサメトキシメチロール化メラミン0.8質量部、乳酸エチル20質量部及び前に示すアゾ顔料(Pig.−1)1質量部を混合してポジ型レジスト組成物(カラーフィルター用着色組成物)を得た。
得られたポジ型レジスト組成物をシリコンウエハーにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。シリコンウエハーを露光後、100℃で加熱し、次いでアルカリ現像により露光部を除去して0.8μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃・15分加熱してイエローの補色系カラーフィルターを得た。
上記実施例で用いた本発明のアゾ顔料に変えて、住友化学工業(株)製オレオゾールイエロー2G1質量部を混合してポジ型レジスト組成物を得た。このポジ型レジスト組成物をシリコンウエハーにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。シリコンウエハーを露光後、アルカリ現像して1μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃、10分加熱してイエローカラーフィルターを得た。
得られたイエローカラーフィルターの透過スペクトルを測定し、色再現上重要なスペクトルの短波側、長波側の切れを相対評価した。○は良好、△は何とか許容できるレベル、×は許容できないレベルを表す。また、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000Lux)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を測定し、色素残存率として評価した。
上記実施例1で用いた本発明のアゾ顔料(Pig.−1)に変えて、アゾ顔料(Pig.−1)の0.4質量部及びC.I.ピグメント・グリーン36(東洋インキ製造(株)製リオノールグリーン6YK)の0.6質量部の計1質量部を混合してポジ型レジスト組成物を得た以外は実施例1と同様にしてグリーンカラーフィルターを得た。グリーンカラーフィルターの透過スペクトルを測定した結果、500nm〜600nm領域の吸光度特性に特徴を有し、グリーン色再現域を優れたスペクトル特性を実現できることが確認できた。
上記実施例1で用いたで用いた本発明のアゾ顔料(Pig.−1)1質量部に変えて、C.I.ピグメント・レッド254(チバジャパン(株)製イルガフフォアレッドB−CF)の0.64質量部、C.I.ピグメント・レッド177(チバジャパン(株)製クロモフタルレッドA2B)0.27質量部、アゾ顔料(Pig.−1)0.09質量部に変更した以外は実施例2と同様にしてレッドカラーフィルターを得た。レッドカラーフィルターの透過スペクトルを測定した結果、長波長領域の吸光度特性に特徴を有し、レッド色再現域を優れたスペクトル特性を実現できることが確認できた。
Claims (9)
- 結晶形態のアゾ顔料がCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、25.6°、及び27.7°に特徴的なX線回折ピークを有する、前記式(4)で表されるアゾ顔料又はその互変異性体から選ばれる着色剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 更に、重合性化合物及び溶剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 前記式(4)で表されるアゾ顔料を、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部含む請求項3に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 重合性化合物が感光性化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- さらに、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成されたことを特徴とするカラーフィルター。
- フォトリソグラフィー法、又はインクジェット法によって形成されたことを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルター。
- 界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤及び、前記式(4)で表されるアゾ顔料を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、及び、該顔料分散体を重合性化合物及び残余の溶剤と混合する工程を含む、請求項6に記載のカラーフィルター用着色組成物の調製方法。
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