JP5571875B2 - 高周波用電子部品材料 - Google Patents

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本発明は優れた難燃性と誘電特性とを合わせ持つ誘電性エラストマー組成物、および該組成物を成形してなる高周波用電子部品材料に関する。
近年、携帯電話、コードレスフォン、RFID等に用いるパッチアンテナ、電波望遠鏡やミリ波レーダ等のレンズアンテナ等の目覚しい普及、衛星通信機器の著しい発達に伴い、通信信号の周波数の高周波化および通信機器の一層の小型化が望まれている。通信機器は、通信機器内部に組み込まれたアンテナ材料の比誘電率が高くなると、より一層の高周波化および小型化が図れる。比誘電率は、誘電体内部の分極の程度を、誘電正接は誘電体内部の分極や導電性の付与によって生じるエネルギー損失を、それぞれ示すパラメータである。従って、比誘電率の高いアンテナ材料を使用できれば、高周波化ひいては回路の短縮化および通信機器の小型化が図れる。また、通信機器の使用態様が多様化するにつれ、アンテナ材料には、低温から高温まで電気的特性の変化が少ないこと、電気的特性の周波数依存性が少ないこと、難燃性に優れること等も求められている。
従来、低温から高温まで広い温度範囲にわたって、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有するアンテナを得るための材料として、エチレンプロピレンゴム等のエラストマーに、−40℃〜100℃の温度範囲において比誘電率の温度係数α(単位:1/℃)が(−200〜100)×10-6 の範囲にあるバリウム・ネオジム系セラミックス粉末等を配合した誘電性エラストマー組成物が知られている(特許文献1参照)。
一方、アンテナ材料等における難燃性向上策としては、従来、ポリブロモジフェニルエーテル(以下、PBDEと記す)やポリブロモビフェニル(以下、PBBと記す)等の臭素系あるいは塩素系のハロゲン系難燃剤を配合することが知られている。また、PBB、PBDE以外の臭素系難燃剤の場合、難燃性を高めるため通常は三酸化アンチモンを併用している。
また、一般的に、エラストマー系材料において難燃性を向上させるためには、上記ハロゲン系難燃剤の他、金属水酸化物、膨張化黒鉛などを配合することが知られている。金属水酸化物は、例えば電子写真装置の転写ベルト等を構成するエラストマー系材料等に配合することが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1の誘電性エラストマー組成物は、低温から高温まで電気的特性の変化が少なく優れた誘電特性を有するが、難燃剤を含んでおらず、難燃性が要求される用途には使用できないという問題がある。
このような誘電性エラストマー組成物の難燃性向上のために、難燃剤として上記ハロゲン系難燃剤を用いる場合では、廃棄時にハロゲン系難燃剤からダイオキシンが発生することが懸念され、環境上好ましくない。特に、PBB、PBDEについては、2003年1月制定の欧州連合(EU)のRoHS指令(電気・電子機器における特定有害物質の使用制限指令)により、これらを電機電子製品に使用することができない。
また、PBB、PBDE以外の臭素系難燃剤は使用禁止とされていないものの、上述したように三酸化アンチモンを併用しており、この三酸化アンチモンには不純物として鉛、水銀、六価クロム、カドミウム等を微量に含むので好ましくない。
特許文献2のように金属水酸化物を用いる場合では、多量に含有させないと難燃性効果が出にくく、多量に含有すると一般的には誘電正接が高くなるため、アンテナ材料のように低誘電正接が要求される用途においての使用は知られていない。また、金属水酸化物に、三酸化二鉄、酸化カルシウム、二酸化珪素などの不純物が多く含まれると誘電正接が高くなるので好ましくない。
また、アンテナ材料において膨張化黒鉛を配合する場合では、難燃性は向上するが、上記誘電特性が極端に悪化するので好ましくない。
特開2006−1989号公報 特開2005−97493号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、環境への影響を配慮しつつ優れた難燃性を有するとともに、高周波用電子部品材料として十分な誘電特性を有する誘電性エラストマー組成物、および該組成物を成形してなる高周波用電子部品材料の提供を目的とする。
本発明の誘電性エラストマー組成物は、エラストマーに三酸化二鉄(以下、Fe23 と記す)の含有量が 0.02 重量%以下の水酸化マグネシウム粉末を配合してなる誘電性エラストマー組成物であって、(1)周波数 400 MHz および 温度 30℃、(2)周波数 5 GHz および 温度 25℃ の少なくともいずれかの測定条件において、前記誘電性エラストマー組成物の比誘電率が 3 以上、誘電正接が 0.006 以下であることを特徴とする。
上記水酸化マグネシウム粉末は、酸化カルシウム(以下、CaOと記す)の含有量が 0.2 重量%以下であることを特徴とする。また、上記水酸化マグネシウム粉末は、二酸化珪素(以下、SiO2 と記す)の含有量が 0.2 重量%以下であることを特徴とする。
上記水酸化マグネシウム粉末は、表面処理を施したものであることを特徴とする。また、上記水酸化マグネシウム粉末は平均粒子径が 10μm 以下であることを特徴とする。
上記誘電性エラストマー組成物は、誘電性セラミックス粉末を配合してなることを特徴とする。また、上記誘電性エラストマー組成物は、PBDEおよびPBBを除く臭素系難燃剤を配合してなることを特徴とする。
上記エラストマーがスチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることを特徴とする。また、上記エラストマーがエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする。
本発明の高周波用電子部品材料は、周波数 100 MHz 以上の電気信号を取り扱うための高周波用電子部品材料であって、上記誘電性エラストマー組成物の成形体を用いてなることを特徴とする。
また、上記誘電性エラストマー成形体の表面に電極を張合わせ加工、または、上記成形体の内部に電極をインサート成形することにより得られることを特徴とする。
本発明の誘電性エラストマー組成物は、エラストマーにFe23 の含有量が 0.02 重量%以下の水酸化マグネシウム粉末を配合してなる誘電性エラストマー組成物であって、(1)周波数 400 MHz および 温度 30℃、(2)周波数 5 GHz および 温度 25℃ の少なくともいずれかの測定条件において、上記誘電性エラストマー組成物の比誘電率が 3 以上、誘電正接が 0.006 以下であるので、高周波用電子部品材料として十分な誘電特性を維持しながら、難燃性にも優れる。
水酸化マグネシウム粉末を配合することで、誘電材の難燃性が向上する。特に、水酸化マグネシウム粉末の不純物濃度として、Fe23 が 0.02 重量%以下のものを用いることで誘電正接を低くすることができる。また、CaOが 0.2 重量%以下のものを用いることで誘電正接を低くすることができる。また、SiO2 が 0.2 重量%以下のものを用いることで誘電正接を低くすることができる。
また、水酸化マグネシウム粉末に表面処理を施すので、水酸化マグネシウム粉末の吸水率が低下するとともに、誘電性エラストマー組成物における水酸化マグネシウム粉末の混練性が向上する。
また、水酸化マグネシウム粉末の平均粒子径が 10μm 以下であるので、誘電性エラストマー組成物における水酸化マグネシウムの分散性が向上する。
また、上記誘電性エラストマー組成物は、誘電性セラミックス粉末を配合するので、比誘電率を未配合の場合よりも高くできる。
また、水酸化マグネシウム粉末と臭素系難燃剤とを併用することで、PBDE、PBB以外の臭素系難燃剤を使用しながら、三酸化アンチモンを併用せずに優れた難燃性を確保でき、環境上好ましい。また、難燃剤が水酸化マグネシウム粉末のみの場合と比較して、水酸化マグネシウム粉末の配合量を少なくでき、成形性が悪化することや、誘電正接が高くなること等を抑制できる。
本発明の高周波用電子部品材料は、上記誘電性エラストマー組成物を成形してなるので、高い比誘電率と低い誘電正接とが両立する誘電特性を維持しながら難燃性にも優れる。
上述したように、難燃剤として水酸化マグネシウム粉末などの金属水酸化物を用いる場合では、多量に含有させないと難燃性効果が出にくく、多量に含有すると一般的には誘電正接が高くなるため、アンテナ材料等では金属水酸化物が使用されていなかった。
本発明者らは、難燃剤として使用する水酸化マグネシウム粉末について、誘電正接が高くなるのは、その不純物濃度による影響が大きいことに着目し、Fe23 などの不純物の濃度が一定値以下の水酸化マグネシウム粉末を使用することで、アンテナ材料として十分な誘電特性と難燃性とを両立した誘電性エラストマー組成物を得た。本発明は以上のような知見に基づくものである。
本発明に用いる水酸化マグネシウム粉末は、不純物濃度としてFe23 が 0.02 重量%以下であることを必須とする。0.02 重量%をこえる場合には、誘電正接が高くなり好ましくない。
また、不純物濃度としてCaOが 0.2 重量%以下であることが好ましい。CaOが 0.2 重量%をこえる場合には、誘電正接が高くなるので好ましくない。
また、不純物濃度としてSiO2 が 0.2 重量%以下であることが好ましい。SiO2 が 0.2 重量%をこえる場合には、誘電正接が高くなるので好ましくない。
本発明に用いる水酸化マグネシウムは、高熱下で吸熱脱水反応を起こすことにより、吸熱し、水分子を放出することで、温度を低下させ難燃性を付与できる。なお、水酸化マグネシウムの分解温度は、300〜350℃程度である。
また、上記水酸化マグネシウム粉末は、BET比表面積は 1〜20 m2/g 以下の範囲にあり、かつ平均粒子径が 0.1〜50μm の範囲であることが好ましい。特に、誘電性エラストマー組成物における水酸化マグネシウム粉末の分散性を向上させるため、平均粒子径は 10μm 以下であることが好ましい。
また、上記水酸化マグネシウム粉末は、分散性、加工性などを改良するため、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、エポキシ系表面処理剤、高級脂肪酸またはその塩、高級アルコール、界面活性剤等により表面処理を施すことが好ましい。
本発明において水酸化マグネシウムに施すシランカップリング剤を用いた表面処理方法としては、乾式法、湿式スラリー法を採用できる。また、上記のように予め表面処理を施す以外に、誘電性エラストマー組成物中にシランカップリング剤も添加して、混合しながら表面処理させることもできる。
また、水酸化マグネシウムについて、高級脂肪酸またはその塩で表面処理する場合は、高級脂肪酸またはその塩を溶かして噴霧し、ヘンシェルミキサー等により乾式法で表面処理する方法等を採用できる。高級脂肪酸およびその塩としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩等が用いられる。
本発明に使用できる水酸化マグネシウムの市販品としては、神島化学工業社製:N−6(平均粒子径 1.3μm、表面処理:飽和脂肪酸、不純物濃度:Fe23:0.001〜0.003 重量%、SiO2:0.03〜0.05 重量%、CaO:0.1〜0.15 重量%)、協和化学社製:キスマ5A(平均粒子径 0.85μm、表面処理:飽和脂肪酸、不純物濃度:Fe23:0.0001〜0.001 重量%、SiO2:0.01〜0.05 重量%、CaO:0.01〜0.15 重量%)および5B(平均粒子径 0.87μm、表面処理:不飽和脂肪酸、不純物濃度:Fe23:0.0001〜0.001 重量%、SiO2:0.01〜0.05 重量%、CaO:0.01〜0.15 重量%)、堺化学社製:MGZ−1(平均粒子径 0.8μm、表面処理:不飽和脂肪酸、不純物濃度:Fe23:0.0005〜0.02 重量%、SiO2:0.01〜0.2 重量%、CaO:0.01〜0.15 重量%)およびMGZ−3(平均粒子径 0.1μm、表面処理:不飽和脂肪酸、不純物濃度:Fe23:0.0005〜0.02 重量%、SiO2:0.01〜0.2 重量%、CaO:0.01〜0.15 重量%)等が挙げられる。
また、環境への負荷と難燃性の付与を考慮したうえで、水酸化マグネシウム粉末以外に、難燃効果の大きい臭素系などの難燃剤を必要最小量添加してもよい。
臭素系難燃剤としては、PBDEおよびPBBを除く臭素系難燃剤であれば任意のものを使用できる。例えば、エチレンビスペンタブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエーテル、TBA−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、ビス(3,5-ジブロモ-4-ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、トリアリルイソシアネート6臭化物、ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビステトラブロモフタルイミド、臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
これらの中で、融点が 300℃以上、臭素化率が 80 %以上と高いことから、エチレンビスペンタブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエーテルが好ましい。エチレンビスペンタブロモベンゼンの市販品としては、鈴裕化学社製:FCP801が、デカブロモジフェニルエーテルの市販品としては、鈴裕化学社製:FCP83Dがそれぞれ挙げられる。
本発明の誘電性エラストマー組成物における水酸化マグネシウム粉末の配合割合は、臭素系難燃剤を併用しない場合、エラストマー 100 重量部に対して 300〜600 重量部であることが好ましい。より好ましくは、300〜450 重量部である。
300 重量部未満であると、十分な難燃性(具体的には後述の実施例に記載する試験)を得ることができない。一方、600 重量部をこえると、誘電正接が温度によっては 0.006 をこえる等、高周波用電子部品材料として要求される誘電特性を満足できなくなる。
また、臭素系難燃剤を併用する場合では、エラストマー 100 重量部に対して 100〜600 重量部であることが好ましい。より好ましくは、150〜300 重量部である。水酸化マグネシウム粉末の配合割合が、100 重量部未満であると、難燃性確保のため臭素系難燃剤を 100 重量部をこえて配合する必要があり、成形性が悪化し、誘電正接が高くなるとともに、環境上好ましくない。水酸化マグネシウム粉末が 600 重量部をこえると成形性が悪化する、誘電正接が高くなる等の問題がある。
本発明の誘電性エラストマー組成物を構成するエラストマーとしては、天然ゴム系エラストマーおよび合成ゴム系エラストマーを使用できる。本発明に使用するエラストマーとしては、25 ℃において、比重が 0.8〜1.1 であるエラストマーが好ましい。比重が 0.8 未満であると、低分子量のため強度が弱く、成形体の空孔が多くなるので好ましくない。また、比重が 1.1 をこえると製品重量が重くなるので好ましくない。
天然ゴム系エラストマーとしては、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、環化ゴム、マレイン酸化ゴム、水素化ゴム、天然ゴムの二重結合にメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフトさせてなるグラフト変性ゴム、窒素気流中でモノマー存在下に天然ゴムを粗錬してなるブロックポリマー等を挙げることができる。これらは、天然ゴムを原料とするものの他、合成cis−1,4−ポリイソプレンを原料としたエラストマーを挙げることができる。
合成ゴム系エラストマーとしては、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)等のスチレン系エラストマー、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、ナイロン12、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。
これらのエラストマーは、1種類または2種類以上混合して用いることができる。また、エラストマーの持つ弾力性を損なわない範囲内で熱可塑性樹脂の1種類または2種類以上を配合して用いることができる。
本発明では上記エラストマーの中でも、電気特性に優れることから、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーを用いることが好ましい。特にエチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムは誘電正接が極めて低いので、アンテナ用部材などの高周波用電子部品材料として好ましく用いることができる。
本発明の誘電性エラストマー組成物は、その比誘電率を向上させるため、誘電性セラミックス粉末を配合することが好ましい。
本発明に使用できる誘電性セラミックス粉末は、IIa、IVa、IIIb、IVb族の酸化物、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、またはIIa、IVa、IIIb、IVb族を含む複合酸化物から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。具体的には、TiO2、CaTiO3、MgTiO3、Al23、BaTiO3、SrTiO3、Ca227、SiO2、Mg2 SiO4、Ca2 MgSi27 、あるいは比誘電率の温度依存性を改良するため、アルカリ土類金属と希土類酸化物を配合したBaO−TiO2−Nd23 系セラミックス等が挙げられる。また、特性改良のため、Al、Zr等の微量組成物を配合してもよい。
誘電性セラミックス粉末の平均粒子径は 0.01〜100μm 程度が好ましい。0.01μm より小さい場合、取り扱いが困難であり、結着性を阻害するため好ましくない。100μm より大きい場合、成形体内での誘電特性のばらつきを引き起こす恐れがあるので好ましくない。より実用的な範囲は、0.1〜20μm 程度である。
本発明の誘電性エラストマー組成物における誘電性セラミックス粉末の配合割合は、エラストマー 100 重量部に対して 50〜1000 重量部であることが好ましい。上記範囲で誘電性セラミックス粉末を配合することで、未配合時よりも比誘電率を 1〜20 程度向上させることができる。
本発明においては、本発明の効果を妨げない範囲で(1)エラストマーと、セラミックス粉末との界面の親和性や接合性を向上させ、機械的強度を改良するために、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコニアアルミネート系カップリング剤等のカップリング剤を、(2)電極形成のためのメッキ性を改良するために、タルク、ピロリン酸カルシウム等の微粒子性充填剤を、(3)熱安定性を一層改善するために酸化防止剤を、(4)耐光性を改良するために紫外線吸収剤等の光安定剤を、(5)耐衝撃性を改良するために耐衝撃性付与剤を、(6)着色するために染料、顔料などの着色剤を、(7)物性を調整するために可塑剤、硫黄やパーオキサイド等の架橋剤を、(8)加硫を進めるための加硫促進剤をそれぞれ配合できる。
また、本発明の誘電性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内でガラスファイバー、チタン酸カリウムウィスカ等のチタン酸アルカリ金属繊維、酸化チタン繊維、ホウ酸マグネシウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカ等のホウ酸金属塩系繊維、ケイ酸亜鉛ウィスカやケイ酸マグネシウムウィスカ等のケイ酸金属系繊維、カーボンファイバ、アルミナ繊維、アラミド繊維等の各種有機または無機の充填剤を併用できる。
本発明の誘電性エラストマー組成物の製造方法としては、特に制限がなく、各種の混合成形方法を用いることができる。例えば、上述した水酸化マグネシウム、誘電性セラミックス粉末、各種添加剤、加硫剤等をエラストマーに配合し、これをバンバリーミキサー、ローラー、2軸押し出し機等で混錬して製造する方法などが挙げられる。
得られた誘電性エラストマー組成物を、射出成形や押し出し成形、加熱圧縮成形等により成形して誘電性エラストマー組成物の成形体を得ることができる。
本発明の誘電性エラストマー組成物は、(1)周波数 400 MHz および 温度 30℃、(2)周波数 5 GHz および 温度 25℃ の少なくともいずれかの測定条件において、上記誘電性エラストマー組成物の比誘電率が 3 以上、誘電正接が 0.006 以下である。上記(1)(2)のいずれにおいても上記物性を満たす場合が、電気特性の周波数依存性が少なく好ましい。上記製造工程において、上述の水酸化マグネシウム粉末および臭素系難燃剤以外の誘電性セラミックス粉末等については、上記物性を満たす割合で配合する。
本発明の高周波用電子部品材料は、上述の誘電性エラストマー組成物の成形体の表面に電極を張合わせ加工、または、電極の両面に誘電性エラストマーを張合わせ加工、あるいは誘電性エラストマー成形体内部に電極をインサート成形することにより容易に得ることができる。
張合わせ加工に用いる接着手段として、例えば京セラケミカル社製:TFA−880CC、TFA−890EA、信越化学工業社製:E56、ニッカン工業社製:SAFV、SAFD、SAFW等の接着フィルムを利用することができる。その他、接着剤を塗布して張合わせることも可能である。
また、インサート成形については所定の位置に電極を装着した成形用金型に誘電性エラストマー組成物を充填し成形することができる。
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例4
エチレンプロピレンゴム(JSR社製:EP35)と、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製:N−6またはN−4 高級脂肪酸による表面処理有り)と、臭素系難燃剤(鈴裕化学社製:FCP801)と、誘電性セラミックス粉末(共立マテリアル社製:STNAS)と、カーボンブラック(東海カーボン社製:シーストS)と、プロセスオイル(出光興産社製:PW380)とをそれぞれ表1に示す配合割合で混合し、さらに加硫促進剤および加工助剤を加えて、加圧ニーダで混練り後、加熱圧縮成形にて、150 mm×150 mm×2.0 mm の成形体を得た。なお、加硫条件は、それぞれ 170℃×20分である。
各実施例および比較例にて得られた誘電性エラストマー組成物の成形体について、容量法および空洞共振器法による比誘電率および誘電正接の測定、成形性の評価および難燃性試験を以下の方法により行なった。なお、実施例2は容量法のみ、実施例7は空洞共振器法のみによる測定をそれぞれ実施した。結果を表1に併記する。
比較例5〜比較例7
水酸化マグネシウムに神島化学工業社製:N−6を用いて実施例1と同様に処理し、成形性の評価を以下の方法により行なった。結果を表1に併記する。
<容量法による比誘電率および誘電正接の測定>
得られた成形体から 20 mm×20 mm×1.5 mm の成形体試験片を切り出し容量法により 400 MHz の周波数帯において、30℃を基準とする比誘電率および誘電正接を測定した。容量法に用いた測定装置はインピーダンスアナライザー:E4991A(アジレント・テクノロジー社製)、電極は16453A(アジレント・テクノロジー社製)をそれぞれ用いた。
<空洞共振器法による比誘電率および誘電正接の測定>
得られた成形体から、1.5 mm×1.5 mm×80 mm の短冊状試験片を加工し、空洞共振器法(1998年7月、Electronic Monthly誌、16〜19頁)を用いて、1、3、5 GHz の周波数帯で 25℃における比誘電率および誘電正接を測定した。
<成形性の評価>
150 mm×150 mm×2.0 mm の成形体の四隅まで十分に流動し、端部まで充填できた場合、成形性に優れると評価して「○」を、四隅まで十分に流動せず、充填不足が生じた場合、成形性に劣ると評価して「×」を記録する。
<難燃性試験>
得られた成形体をASTM D635に準拠するUL94HB燃焼試験、またはASTM D3801に準拠するUL94V燃焼試験に供し、成形体の難燃性について、それぞれの試験法で規定する難燃性等級を得た。難燃性が認められないものはHB以下であることを示す表記として「×」を記録する。
Figure 0005571875
表1に示すように、実施例1〜実施例7は、難燃性に優れ、誘電正接も低い値であった。また、測定周波数の増加(1〜5 GHz)に伴う誘電正接の上昇はほとんど認められなかった。これに対して、比較例1〜比較例4は用いた水酸化マグネシウムの不純物が多いため誘電正接が高くなった。また、測定周波数の増加(1〜5 GHz)に伴う誘電正接の上昇が認められた。
表面処理を施さなかった水酸化マグネシウムを用いた比較例5は、エチレンプロピレンゴムと水酸化マグネシウム粉末の親和性が悪く混練時の撹拌抵抗が大きいため、成形性に劣る結果となった。比較例6は水酸化マグネシウム粉末の充填量が多いため、混練時の抵抗が大きく、良好な成形体を得ることができなかった。比較例7はセラミック粉末の充填量が多いため、混練時の抵抗が大きく、良好な成形体を得ることができなかった。
本発明の誘電性エラストマー組成物は、環境への負荷が少なく、優れた難燃性を有し、かつ誘電正接が低く、使用する周波数が増加しても誘電正接がほとんど上昇しないので、高周波用電子部品用材料として好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 誘電性エラストマー組成物の成形体からなり、周波数 100 MHz 以上の電気信号を取り扱うための高周波用電子部品材料であって、
    前記誘電性エラストマー組成物は、エラストマーに、三酸化二鉄の含有量が 0.02 重量%以下、酸化カルシウムの含有量が 0.2 重量%以下、および二酸化珪素の含有量が 0.2 重量%以下の水酸化マグネシウム粉末と、誘電性セラミックス粉末とを配合してなる誘電性エラストマー組成物であり、
    前記水酸化マグネシウム粉末は、表面処理を施したものであり、
    前記誘電性エラストマー組成物における前記水酸化マグネシウム粉末の配合割合は、前記誘電性エラストマー組成物が臭素系難燃剤を含有しない場合は、前記エラストマー 100 重量部に対して 300〜450 重量部であり、前記誘電性エラストマー組成物が臭素系難燃剤を含有する場合は、前記エラストマー 100 重量部に対して 150〜300 重量部であり、
    前記誘電性エラストマー組成物における前記誘電性セラミックス粉末の配合割合は、前記エラストマー 100 重量部に対して 50〜1000 重量部であり、
    (1)周波数 400 MHz および 温度 30℃、(2)周波数 5 GHz および 温度 25℃ の少なくともいずれかの測定条件において、前記誘電性エラストマー組成物の比誘電率が 3 以上、誘電正接が 0.006 以下であることを特徴とする高周波用電子部品材料。
  2. 前記水酸化マグネシウム粉末は、平均粒子径が 10μm 以下であることを特徴とする請求項1記載の高周波用電子部品材料。
  3. 前記誘電性エラストマー組成物は、ポリブロモジフェニルエーテルおよびポリブロモビフェニルを除く臭素系難燃剤を配合してなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高周波用電子部品材料。
  4. 前記エラストマーは、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項記載の高周波用電子部品材料。
  5. 前記エラストマーは、エチレンプロピレンゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項記載の高周波用電子部品材料。
  6. 前記誘電性エラストマーの成形体の表面に電極を張合わせ加工、または、前記成形体の内部に電極をインサート成形することにより得られることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項記載の高周波用電子部品材料。
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