JP5571047B2 - 電力増幅装置 - Google Patents

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Description

本発明は、通信衛星地球局などのマイクロ波帯の通信分野で用いられる固体化電力増幅器といった電力増幅装置に関する。
衛星地球局では、送信電力を増幅する電力増幅器が使用されているが、近年、電力増幅器の電力増幅部に真空管の一種である進行波管を用いる進行波管増幅器(TWTA; Traveling Wave Tube Amplifiers)に代わって、FET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)を使用する固体化電力増幅器(Solid State Power Amplifier; SSPA)が広まってきている。その背景には、電力増幅FETの高効率化・大電力化があり、特に窒化ガリウム系(以下GaN)の素材を用いたFET(GaN HEMT; 窒化ガリウム光電子移動度トランジスタ)の登場により、SSPAの送信出力が飛躍的に向上している。
特開平11−31987号公報
GaN HEMTはSSPAの大電力化に有効ではあるものの、ひずみ特性に課題があることが知られている。課題となるひずみ特性の1つに、FETのドレインないしゲートバイアスのメモリ効果による小信号抑圧の問題が挙げられる。
SNG(Satellite News Gathering)などの衛星通信の用途では、中継する映像素材である大電力のTV波と、中継車とテレビ局のスタジオ間の音声の連絡回線である小信号のOW波(Order Wire)を共通増幅させるシステムである。このため小信号抑圧が起こると、TV波のON/OFFによってOW波のレベルが下がり、場合によってはOW波の回線が切断されるため、小信号抑圧は極力発生を防ぐ必要がある。
また、広帯域化・多値変調の通信が進歩すると同様の問題が生じる。
本発明の目的は、大信号の変動に伴う小信号抑圧の発生を抑えることが可能で、ドレインバイアス回路を広帯域で低インピーダンスにすることを実現し得る電力増幅装置を提供することにある。
実施形態によれば、入力端子及び出力端子を有するパッケージ内に設けられ、入力端子から入力され、少なくとも第1の無線周波数帯の第1の信号と第2の無線周波数帯の第2の信号からなる入力信号を、第1の信号を第1の電力レベルとし、第2の信号を第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに電力増幅した伝送信号として出力端子に供給するFET(Field Effect Transistor)と、FETを駆動させるバイアス回路のインダクタ成分によって生じるインピーダンスを低減して出力する第1のデカップリング素子と、パッケージ内のFETに対し駆動電力を供給する電源回路と、電源回路に対し出力端子からの無線周波数帯成分をカットする第2のデカップリング素子と、第1のデカップリング素子と第2のデカップリング素子との間に並列に設けられ、第1のデカップリング素子及び第2のデカップリング素子との反共振を抑えながら広帯域にバイアス回路のインピーダンスを下げることにより第2の信号の抑圧の発生を抑える第3のデカップリング素子とを備える電力増幅装置を提供できる。
周知のSNGシステムを示す概略構成図。 CW波f_small(小信号)の出力信号の抑圧量を測定する方法を示す図。 大信号と小信号の2波を共通増幅するモデルにおけるCapture Effectの発生原理を示す図。 FETの動作特性図。 Vdsの微分変調の発生を示すFETの等価回路図。 RF信号の周波数特性図。 小信号抑圧の発生原理を説明するために示す図。 GaN HEMTの小信号抑圧ΔPの3次元プロット図。 シャントコンデンサを実装した場合のFETの等価回路図。 バイアス回路のエンベロープ周波数領域のインピーダンスを示す図。 バイアスの線路長によるインダクタ成分を抑え小信号抑圧を改善する例を示す図。 インターナルマッチングFETのパッケージ内部のウェハのドレイン端でシャントさせた場合の小信号抑圧を改善する例を示す図。 この第1の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 この第2の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 この第3の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 この第4の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 この第5の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 この第6の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図。 他の実施形態として、上記地上デジタルテレビジョン放送の放送送信所を示す概略構成図。 64QAM変調による空間ダイヤグラムを示す図。 他の実施形態として、64QAM変調後の信号の周波数特性を示す図。
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、本実施形態を説明するに先立ち、小信号抑圧の測定処理の原理について説明する。
図1は、一例としてSNGシステムを示す概略構成図であり、TSは親局、RSは子局をそれぞれ示している。
先ず親局TSは、図示しない放送素材送出処理部から出力された放送素材データを符号化回路11に入力している。符号化回路11は、入力された放送素材データを符号化し、この符号化データを変調回路12に出力する。変調回路12は、入力された符号化データを所定の変調方式により変調し、この変調信号を合成・分配器13を介して送受信部(T/R)14に供給する。
送受信部14は、上記変調信号をRF帯に周波数変換したのち所定の送信電力レベルに増幅し、この増幅された高周波(大信号)をアンテナ15から衛星回線により衛星SATに向け送信する。
また、送受信部14は、衛星SATから到来する高周波を受信し、この受信信号を合成・分配器13を介して復調回路16に供給する。復調回路16は、受信信号をデジタル復調してベースバンドの符号化データを復号回路17に出力する。復号回路17は、入力された符号化データを復号して元の放送素材データに戻す。
また、親局TSには、連絡回線のデータ送出用のデータ伝送アダプタ18と、モデム191〜19nとが設けられる。また、データ伝送アダプタ18には、ルータRT1及びLANを介して電話機TEL1及びサーバ装置SV1,SV2,SV3が接続される。電話機TEL及びサーバ装置SV1,SV2,SV3から発生したデータは、ルータRT1を介してデータ伝送アダプタ18にて符号化される。
データ伝送アダプタ18は、符号化された情報をモデム191〜19nを介して合成・分配器13に出力し、例えば連絡回線を使用した高周波の変調信号(小信号)を生成する。
合成・分配器13は、上記変調回路12から出力される大信号に、上記小信号を合成する。そして、この合成信号を上記送受信部14により送信させる。
ところで、上記小信号抑圧の測定処理方法として、次のような方法がある。
図2(a)に示すように、高周波の入力信号f_small(小信号)をf_large(大信号)から例えば-20dBの電力レベルに設定し、出力信号f_largeを停波させる。
図2(b)に示すように、出力信号f_largeの送信による出力信号f_smallの出力電力の抑圧量ΔPを、スペクトルアナライザを用いて測定する。
AM-AM特性に起因する小信号抑圧の問題は、AM-AM特性に課題のあるTWTAでも起きており、1990年代より『Capture Effect』の名称で知られている。AM-AM特性に起因する小信号抑圧の問題は、著書としては例えば、Gerard Maral他著 SATELLITE COMMUNICATIONS SYSTEMSのP.444〜445が挙げられる。
入出力線形性の悪いデバイスで、大信号と小信号の2波を共通増幅するモデルにおけるCapture Effectの発生原理を図3に示す。大信号と小信号の2波の動作点が、Pin-Pout特性の線形部分に乗っているときは、大信号の入力のON/OFFによって小信号の出力が下がることはない(図3(b))。
しかし、小信号の動作点が、Pin-Pout特性の線形に乗ってはいるものの、大信号の動作点がPin-Pout特性の非線形領域に差し掛かったところに乗っているときは、大信号の入力のON/OFFによって小信号の出力が下がる現象が発生し、これが小信号抑圧と呼ばれる現象である(図3(a))。
しかし、TWTAで知られていたCapture Effectと異なり、GaN HEMTはAM-AM特性以外に起因するひずみ特性による小信号抑圧ΔPが発生する問題がある。
FETの動作には、図4で示すようアイドル電流(Idset)の設定によって、高いIdsetからA級、AB級、B級、C級まで変化する。本実施形態で使用するAB級で動作するGaN HEMTは、出力電力Poutの増減に応じて、ドレイン電流Idsが増減する。このとき、図5で示すようにドレイン回路のインピーダンスZが有限であるとき、ZとPoutによって変動するIdsによりVdsが変動する。トランジスタのデバイスパラメータは、Vdsに依存するため、Vdsで変調を受け、これがメモリ効果を生じさせ、小信号抑圧ΔPを発生させていた。
このドレインバイアスの微分変調による小信号抑圧の発生メカニズムは以下の通りである。
周波数ω1とω2で示す2波の入力信号を(式1)のxで示し、増幅した出力信号yを(式2)で示す。
Figure 0005571047
この式から生成される要素(コンポーネント)は図6で示される。なお、a2x2及びa3x3はひずみ成分となる。
(式1)と(式2)から振幅の大きな信号f_large波FL と振幅の小さなf_small波FHは(式3)と(式4)で示される。
Figure 0005571047
(式3)と(式4)を分解すると以下の式になる。
Figure 0005571047
f_small波 FHに着目すると、f_smallの信号成分にf_largeの振幅成分A1が含まれる2次歪の項がある。この2次歪の項は、以下となる。
Figure 0005571047
このとき、f_large波とf_small波の信号レベルの差は大きく、A2<<A1であるため、信号レベルの小さなf_small波は信号レベルの大きなf_large波の振幅成分により抑圧が大きくなる。これらの式から、a2(非線形)とE(エンベロープ)の成分を制御することで、抑圧比を低減することが可能とわかる。
エンベロープ(E)に着目し、バイアス回路のf特性とΔPの因果関係を示す。振幅の大きな信号f_largeの波FL と振幅の小さなf_small波FH は、(式3-1)と(式4-1)で示されるが、この式を、基本波a1x、2次歪a2x/2、3次歪a3x/4の項に分解すると、下記のように示される。
Figure 0005571047
(式3-2)と(式4-2)は、(式1-1)で示される入力信号xが(式2)に入力された出力である。
Figure 0005571047
ここで、基本波とEのみを考慮すると、以下の式となる。
Figure 0005571047
ここで、f_small波FHが小信号側であり、 Eは複素数のみと仮定すると、以下の式となる。
Figure 0005571047
上記の式で変化させるとし、このf_small波FHのレベルをf_large波FLと同じまで上げていくと、以下の式となる。
Figure 0005571047
上式により、ΔPが殆どなくなる。つまり、f_large波FLとf_small波FHのレベル差がないときにΔPは発生せずし、f_large波FLとf_small波FHのレベル差があるときに小信号抑圧ΔPが発生する場合、エンベロープ(E)が要因となっており、バイアス回路の周波数特性を改善し、エンベロープ量を低減することで、小信号抑圧は改善されると分かる。図7は式5の条件で小信号抑圧の量をグラフにしたものである。
図8は、GaN HEMTを用いて、f_largeとf_smallを100MHz間隔で総当りに14.0GHz〜14.5GHzの最大500MHz差まで取得した小信号抑圧ΔPの3軸プロット図である。後述の図10で示すように、ドレインバイアス回路のエンベロープ周波数領域のインピーダンスが十分低くないことから、大きな小信号抑圧が発生している。
また、f_largeとf_smallの周波数位置によって小信号抑圧の量が変わっており、その周波数関係は、非対称である。この結果は、非線形ドレインバイアス回路のエンベロープ周波数領域のインピーダンスに依存するため、回路のインピーダンスによって、3軸プロット図の結果やその傾向は変わるが、AM-AM特性のみを原因とする小信号抑圧よりも大きな抑圧量が観測される。
前述の通り、トランジスタのデバイスパラメータは、Vdsに依存する。図5で示すようにドレイン回路のインピーダンスZをゼロに近づけることでエンベロープが低減されVdsの変動が低減する。これにより、ドレインバイアスの微分変調Vds(t)を抑えメモリ効果に低減することで、小信号抑圧ΔPの発生を抑える。
前述の数式より、2次歪のコンポーネント内に着目することで、エンベロープ(E)の要因が抽出されたことから、GaN HEMT素子のドレイン出力側に、f_largeとf_smallの差周波数のエンベロープ成分(E)を抑えるためのシャントコンデンサを実装する。これは、エンベロープ周波数領域からみたバイアス回路のインピーダンスを下げる効果があり、バイアス回路の周波数特性を改善する効果がある。図9に、概要となる回路図を、図10にバイアス回路のエンベロープ周波数領域のインピーダンスを示す。
図11で示すように、FETのドレイン端直後でシャントすることでバイアスの線路長によるインダクタ成分を抑え小信号抑圧を改善することができる。また、図12で示すように、インターナルマッチングFETのパッケージ内部のウェハのドレイン端でシャントさせると、更にインダクタ成分を抑え、小信号抑圧を改善することができる。
上記の原理に基づき、以下に本実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図13は、この第1の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。ここでは、上記図1の送受信部14に設けられるものとして説明する。
インターナルマッチFETのパッケージ100Aに入力されるRF信号は、入力端子101に供給され、LC回路102を介してFET103により電力増幅される。FET103のドレイン・ウェハ端からの出力信号は、抵抗、コイル及びコンデンサから成るデカップリング素子104に供給され、当該出力信号のインダクタ成分が低減される。デカップリング素子104の出力信号は、LC回路105を介して出力端子106から取り出され、後段のRF回路に供給される。
また、図13中の符号200は電源回路で、パッケージ100A内のFET103に対しドレインの駆動電力を供給するものである。また、電源回路200とパッケージ100Aとの間には、抵抗、コイル及びコンデンサから成るデカップリング素子300がデカップリング素子104に対し並列となるように接続されている。
デカップリング素子300は、電源回路200に対し出力端子106からのRF成分をカットするローパスフィルタの役割をしている。
ところで、本第1の実施形態では、FET103のドレイン・ウェハ端から例えばRF信号のλ/4波長以内の位置に、抵抗、コイル及びコンデンサから成るデカップリング素子400をデカップリング素子104,300に対し並列となるように接続している。このデカップリング素子400は、デカップリング素子104,300との反共振を抑えながら、広帯域にドレインバイアス回路のインピーダンスを下げる素子である。また、デカップリング素子400の容量値は、デカップリング素子104,300の間の容量である。最も容量値が大きい素子は、デカップリング素子300となる。
パッケージ100Aから出力されるRF信号は、シャントされず、RF信号のf_largeとf_smallの差周波数のエンベロープ成分は、シャントされる。従って、RF信号に影響を与えずに、エンベロープ周波数領域からみたバイアス回路のインピーダンスを下げる効果があり、バイアス回路の周波数特性を改善する効果がある。
以上のように上記第1の実施形態では、デカップリング素子104によりFET103のドレイン・ウェハ端直後のバイアスの線路長によるインダクタ成分を極力抑えた状態で、デカップリング素子104とデカップリング素子300との間にデカップリング素子400を並列接続しシャントして、ドレインバイアス回路のエンベロープ周波数領域を十分にショートするようにしている。
従って、デカップリング素子104,300,400を並列接続して、反共振を抑えながら広帯域にドレインバイアス回路のインピーダンスを下げることで、ドレインバイアスの微分変調を抑えてメモリ効果を低減し、f_large信号の送信に伴うf_small信号の抑圧の発生を抑えることができる。
(第2の実施形態)
図14は、この第2の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。図14において、上記図13と同一部分には同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
本第2の実施形態では、デカップリング素子104とデカップリング素子300との間に、デカップリング素子107を並列接続し、しかもデカップリング素子107をパッケージ100B内に実装したものである。
このような第2の実施形態であれば、上記第1の実施形態と同様な作用効果が得られるとともに、上記第1の実施形態に比してさらにバイアスの線路長によるインダクタ成分を抑え小信号の抑圧を改善することができる。
(第3の実施形態)
図15は、この第3の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。図15において、上記図13と同一部分には同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
本第3の実施形態では、デカップリング素子300と電源回路200もしくはパッケージ100Aとの間に、ダンピング抵抗素子500を介挿接続したものである。
上記第3の実施形態によれば、ダンピング抵抗素子500を介してデカップリング素子300を実装することで、例えば500MHzまでの低インピーダンスのドレインバイアス回路のデカップリング特性を実現できる。
(第4の実施形態)
図16は、この第4の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。図16において、上記図14と同一部分には同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
本第4の実施形態では、上記第3の実施形態と同様に、デカップリング素子300と電源回路200もしくはパッケージ100Bとの間に、ダンピング抵抗素子500を介挿接続したものである。
このような第4の実施形態であっても、上記第2及び第3の実施形態と同様な作用効果が得られる。
(第5の実施形態)
図17は、この第5の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。図17において、上記図13と同一部分には同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
本第5の実施形態では、デカップリング素子300に対しダンピング抵抗素子600を介して接地するようにしたものである。
上記第5の実施形態にあっても、デカップリング素子300に対しダンピング抵抗素子600を介して接地することで、上記第3の実施形態と同様に、例えば500MHzまでの低インピーダンスのドレインバイアス回路のデカップリング特性を実現できる。
(第6の実施形態)
図18は、この第6の実施形態に係る電力増幅装置の等価回路図である。図18において、上記図14と同一部分には同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
本第6の実施形態では、上記第5の実施形態と同様に、デカップリング素子300に対しダンピング抵抗素子600を介して接地するようにしたものである。
このような第6の実施形態であっても、上記第2及び上記第5の実施形態と同様な作用効果が得られる。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、入力信号を所定の周波数差とレベル差とを有するf_largeとf_smallとを含むRF信号に電力増幅する例について説明したが、所定の帯域幅とレベル差とを有する多値変調の入力信号をRF信号に電力増幅するものであってもよい。
現在、地上デジタルテレビジョン放送では、帯域を13セグメントに分割し、最大3階層での伝送が可能で、階層ごとに16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、256QAMなどの多値変調方式の設定が可能である。
図19は、一例として上記地上デジタルテレビジョン放送の放送送信所を示す概略構成図である。2は放送送信所を示している。放送送信所2において、再多重装置21は、MPEG2のTSパケットを入力し、例えば放送波の伝送パラメータで決定する多重フレームパターンに従って、各パケットが属する階層を定める共に、例えば3階層分のTSパケット(R1,R2,R3)を多重したTSを生成する。このTSは、変調装置22により64QAM等の多値変調を施されて例えば伝送帯域幅500MHzの信号に変換された後、送信部23でRF帯に周波数変換され、インターナルマッチFETのパッケージ100Aにて電力増幅されて、アンテナ24により送信される。
次に、上記64QAM変調信号の生成方法について、さらに具体的に説明する。
まず、変調装置22への各入力データR1,R2,R3は、図20に示すように、(0,0,0,0,0,0)…(1,1,1,1,1,1)の如く6ビットづつの組に分けられる(64通り)。始点は任意であるものとする。
そして、上記64通りの組み合わせは、(I,Q)の組み合わせに割り振られると、(000000)→(I,Q)=(7,7)……(111111)→(I,Q)=(−3,−3)となる。
入力データR1は、(001100)で変調が施されることで、I軸信号成分が1となり、Q軸信号成分が1となる。また、入力データR2は、(101000)で変調が施されることで、I軸信号成分が−1となり、Q軸信号成分が7となる。さらに、入力データR3は、(101111)で変調が施されることで、I軸信号成分が−3となり、Q軸信号成分が3となる。
変調装置22による変調後の信号は、図21に示すように、伝送帯域幅内に3階層分の信号(R1,R2,R3)が混在することになる。
ところで、上記地上デジタルテレビジョン放送においても、大信号(R2)の変動に伴い小信号(R1)の抑圧の発生が生じることも考えられる。
そこで、他の実施形態では、変調装置23の変調出力をRF帯に周波数変換したRF信号を、上記第1の実施形態のインターナルマッチFETのパッケージ100Aに入力するようにしている。
すると、パッケージ100Aから出力されるRF信号は、デカップリング素子300により、シャントされず、RF信号のR1信号成分とR2信号成分の差周波数のエンベロープ成分は、シャントされる。従って、RF信号に影響を与えずに、エンベロープ周波数領域からみたバイアス回路のインピーダンスを下げる効果があり、バイアス回路の周波数特性を改善する効果がある。
その他、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…符号化回路、12…変調回路、13…合成・分配器、14…送受信部(T/R)、15…アンテナ、16…復調回路、17…復号回路、18…データ伝送アダプタ、191〜19n…モデム、21…再多重装置、22…変調装置、23…送信部、RT1…ルータ、100A,100B…パッケージ、101…入力端子、102…LC回路、103…FET、104,107,300,400…デカップリング素子、106…出力端子、200…電源回路、500,600…ダンピング抵抗素子、TS…親局、RS…子局。

Claims (9)

  1. 入力端子及び出力端子を有するパッケージ内に設けられ、前記入力端子から入力され、少なくとも第1の無線周波数帯の第1の信号と第2の無線周波数帯の第2の信号からなる入力信号を、前記第1の信号を第1の電力レベルに電力増幅し、前記第2の信号を前記第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに電力増幅した伝送信号として前記出力端子に供給するFET(Field Effect Transistor)であって、前記第2の信号の入力レベルに応じて前記第2の電力レベルが線形に変化する状態で、前記第1の信号の入力レベルに応じて前記第1の電力レベルが非線形に変化するとき、前記第1の信号に応じて前記第2の信号の抑圧が発生する入出力特性を有する、前記FETと
    前記FETを駆動させるバイアス回路のインダクタ成分によって生じるインピーダンスを低減して出力する第1のデカップリング素子と、
    前記パッケージ内のFETに対し駆動電力を供給する電源回路と、
    前記電源回路に対し前記出力端子からの前記第1及び第2の無線周波数帯成分をカットする第2のデカップリング素子と、
    前記第1のデカップリング素子と前記第2のデカップリング素子との間に並列に設けられ、前記第1のデカップリング素子及び前記第2のデカップリング素子との反共振を抑えながら広帯域にバイアス回路のインピーダンスを下げることにより前記第2の信号の抑圧の発生を抑える第3のデカップリング素子とを具備することを特徴とする電力増幅装置。
  2. 前記FETの前記入力端子から入力される入力信号は、多値変調の信号であることを特徴とする請求項1記載の電力増幅装置。
  3. 前記第1乃至第3のデカップリング素子それぞれのキャパシタ値は、第2のデカップリング素子>第3のデカップリング素子>第1のデカップリング素子の関係であることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  4. 前記第1のデカップリング素子は、前記パッケージの内部に配置され、
    前記第2及び第3のデカップリング素子は、前記パッケージの外部に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  5. 前記第2のデカップリング素子は、前記パッケージの外部に配置され、
    前記第3のデカップリング素子は、前記パッケージの内部に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  6. 前記第3のデカップリング素子は、前記FETの出力端から前記伝送信号の1/4波長以内に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  7. 前記第2のデカップリング素子は、ダンピング抵抗素子を介して前記FETまたは前記電源回路に接続されることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  8. 前記第2のデカップリング素子は、ダンピング抵抗素子を介して接地されることを特徴とする請求項1または2記載の電力増幅装置。
  9. 前記第1、第2及び第3のデカップリング素子は、複数の素子で構成されることを特徴とする請求項1または2電力増幅装置。
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