JP5570707B2 - 離型剤コーティング方法 - Google Patents

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本発明は、グリーンタイヤ内側に挿入され、グリーンタイヤを加硫成型する際に使用されるブラダーの表面に離型剤をコーティングする離型剤コーティング方法に関するものである。
一般的に、空気入りタイヤを製造する場合には、初めにインナーライナー、サイドウォール、トレッドなどの各タイヤ構成部材を未加硫の状態で貼り合わせてグリーンタイヤを成型する。その後、グリーンタイヤの内側にゴム製のブラダーを挿入し、ブラダー内に高温・高圧の気体を充満させブラダーを膨張させることでグリーンタイヤを金型に押し付けて加硫成型する。加硫後にブラダーを収縮させて、加硫されたタイヤを金型から取り出してタイヤは完成する。この加硫成型の際には、タイヤの内側のインナーライナーとブラダーとの密着を防止するためにブラダー表面に離型剤をコーティングすることが一般的である。
しかし、ブラダー表面に離型剤を単に塗布しただけでは、ブラダー表面と離型剤の付着性が悪く、加硫成型する度に少しずつ離型剤がタイヤ内側に転写される。そのため、間欠的に離型剤をブラダー表面に塗布する必要があり、その間は加硫機を停止させることになり加硫効率の悪化を招いてしまう。また、回転するドラム上にストリップゴムを巻回して成形する工法、いわゆるストリップゴム工法によって成形されたグリーンタイヤを加硫する際には、ブラダー表面から転写された離型剤が隣り合うストリップゴム間に侵入し、ストリップゴム間の接着性が悪くなる可能性もある。
そのため、例えば下記特許文献1では、ブラダー表面と離型剤の付着性を上げる方法として、コロナ放電処理によってブラダー表面を活性化させ、離型剤との親和性を高める方法が開示されている。
特開平5−192930号公報
しかしながら、コロナ放電処理は、針状の電極に高電圧を付加し、電極の先端に生じるコロナ放電により生成される電子を処理対象に衝突させて表面を活性化させるものである。そのため、電極に近い部分に電子が集中し、処理対象であるブラダー表面の表面形状に凹凸があると、電極とブラダー表面との距離が近い場所では処理対象の表面を溶かしてしまうなどの問題がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ブラダー表面の表面形状に関係なく、ブラダー表面に離型剤を付着性よくコーティングすることができる離型剤コーティング方法を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る離型剤コーティング方法は、
グリーンタイヤ内側に挿入され、グリーンタイヤを加硫成型する際に使用されるブラダーの表面に離型剤をコーティングする離型剤コーティング方法であって、
前記ブラダーの表面にプラズマ放電処理を行なった後に前記離型剤を塗布することを特徴とする。
プラズマ放電処理は、高電圧アークプラズマ放電と大気エアーを利用し、大気中にプラズマ放電を発生させ、処理対象物の表面にプラズマ放電電子を照射することで、表面を活性化させ、濡れ性、接着性等を向上させることができる。また、コロナ放電処理のように、対向電極を必要としないので、処理対象の表面形状に関係なく処理が可能であり、ブラダー表面にグルーブ等の凹凸がある場合でも均一に処理することができる。したがって、ブラダー表面にプラズマ放電処理を行なうことにより、ブラダー表面の表面形状に関係なく、ブラダー表面に離型剤を付着性よくコーティングすることができる。その結果、ブラダー表面からの離型剤のタイヤ内側への転写が抑制され、離型剤の塗布頻度を減らすことができるので効率的に加硫を行なうことができる。
本発明に係る離型剤コーティング方法において、前記離型剤は、水系離型剤であることが好ましい。
離型剤は、揮発性有機化合物に該当する有機溶剤が使用されている溶剤系離型剤がこれまでは一般的であった。しかし、近年、環境への配慮から溶剤系離型剤から水系離型剤への転換が望まれるようになってきている。水系離型剤は溶剤系離型剤に比べるとブラダー表面への付着性が悪いが、プラズマ放電処理を行なうと、その処理面にはOH基が発生し、また微細な凹凸が形成されるので、これによって水系離型剤とブラダー表面との付着性を科学的または機械的に向上させることができる。
本発明に係る離型剤コーティング方法において、前記ブラダーの表面にプラズマ放電処理を行なう前に、ブラダーの表面の全部または一部に凹凸を形成することが好ましい。
ブラダーの表面の全部または一部に凹凸を予め形成することにより、ブラダーの表面積が増加する。ブラダーの表面積が増加することで、離型剤とブラダー表面との付着性を向上させることができる。また、ブラダーの表面積が増加することで、プラズマ放電処理される面積も増加し、プラズマ放電処理による離型剤とブラダー表面との付着性向上の効果をより高めることができる。
本発明に係る離型剤コーティング方法において、前記凹凸を、ブラダーの表面であって、グリーンタイヤを加硫成型する際にグリーンタイヤ内部と摺接されて離型剤が剥がれやすい部分に形成することが好ましい。
グリーンタイヤを加硫成型する際、ブラダーの表面はグリーンタイヤ内部と全面が摺接されるが、両者の摩擦が大きい部分では、コーティングされた離型剤がブラダーの表面から剥がれやすい。したがって、ブラダーの表面であって、グリーンタイヤを加硫成型する際にグリーンタイヤ内部と摺接されて離型剤が剥がれやすい部分に凹凸を形成することにより、ブラダーの表面積が増加し、離型剤とブラダー表面との付着性を向上させることができる。
<第1実施形態>
本発明に係る離型剤コーティング方法の好適な実施形態について図面を用いて説明する。図1は、離型剤をコーティングする設備の構成の一例を示す模式図である。図1に示す離型剤をコーティングする設備は、ブラダー1と、大気圧プラズマ処理装置2と、制御装置3と、ガス供給装置4と、駆動機構5と、離型剤塗布装置6とを備えている。
ブラダー1は、回転軸11の周りを回動可能に構成されていると共に、回転軸11の軸心方向に往復動可能に構成されている。かかるブラダー1の回動および往復動は、それぞれブラダー駆動装置12により駆動され、それらは制御装置3により制御される。
大気圧プラズマ処理装置は、ジェネレータ21と、トランス22と、プラズマノズル23とを備えている。プラズマノズル23は、チューブ状のケーシング24を有し、ケーシング24には、ガス供給装置4より作動ガスが供給される。ケーシング24の内部には電極が設けられており、高周波の電流がジェネレータ21よりトランス22を介して当該電極に供給されると、電気放電が生成される。この放電に係るアークが作動ガスの流れによりノズル軸方向(図1において左右方向)に沿って延び、プラズマノズル23の開口端より射出されてプラズマジェットとなる。
本実施形態では、プラズマノズル23はブラダー1の表面に対向するように配置されている。プラズマノズル23は、駆動機構5により移動され、プラズマノズル23の開口端がブラダー1に対して近接した位置と離間した位置との間で変位可能に構成されている。かかる駆動機構5の駆動は、制御装置3により制御される。
ケーシング24内の電極に供給される電源周波数は、公知の直流および交流のいずれを用いてもよく、一般に、直流電源、低周波(lf)電源、高周波(rf)電源、マイクロ波電源などが用いられるが、パルス電源を用いてもよい。また、生成されるプラズマジェットの形状やサイズは、特に限定されるものではない。
なお、雰囲気ガスは大気であり、プラズマノズル23に供給される作動ガスとしては空気が用いられるが、これに限られるものではなく、例えばアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスまたは窒素ガスを使用しても構わない。
次に、上記の設備を用いてブラダー1の表面に離型剤をコーティングする方法について説明する。まず、ブラダー1がブラダー駆動装置12に固定される。その後、ブラダー1にプラズマノズル23が近付けられ、その開口端とブラダー1の表面との間に所定の間隔が設けられる。かかる所定の間隔は、プラズマノズル23の開口端から射出されるプラズマジェットが、被照射面であるブラダー1の表面に到達するように設定される。プラズマノズル23の開口端から被照射面までの距離は好ましくは3〜40mmであり、より好ましくは5〜20mmである。
ブラダー1に近付けられたプラズマノズル23に作動ガスが供給されると共に、ケーシング24内の電極に高周波の電流が供給されると、プラズマノズル23の開口端よりプラズマが射出され、プラズマジェットが生成される。このとき、ブラダー1は、ブラダー駆動装置12によって回転軸11の周りを回転しており、ブラダー1の周方向に沿ってプラズマが照射される。
ブラダー1に対するプラズマ照射は周方向に沿って行われるが、このときブラダー1を回転軸11の軸心方向に移動させ、プラズマを周方向に沿ってらせん状に照射しても構わない。これにより、プラズマの照射面積が比較的小さい場合であっても、ブラダー1の表面全体に表面処理を施すことができる。また、同時にプラズマノズル23が駆動機構5により移動されることで、プラズマノズル23とブラダー1との距離を適切に保ちながらプラズマ照射を行なうことができる。
このようなプラズマ放電処理をブラダー1に行なった後に、ブラダー1の表面に離型剤塗布装置6により離型剤を塗布する。塗布の方法としては、スプレーによる塗布、刷毛塗りによる塗布等を用いることができる。本実施形態において、離型剤としては、水系離型剤が用いられる。水系離型剤としては、例えばシリコン系離型剤のエマルジョンタイプ等が用いられる。水系離型剤は従来使用されている溶剤系離型剤に比べるとブラダー1の表面への付着性が悪いが、プラズマ放電処理を行なうと、その処理面にはOH基が発生し、また微細な凹凸が形成されるので、これによって水系離型剤とブラダー1の表面との接着性を科学的または機械的に向上させることができる。
したがって、本発明によれば、ブラダー1の表面にプラズマ放電処理を行なうことにより、ブラダー1の表面の形状に関係なく、ブラダー1の表面に水系離型剤を付着性よくコーティングすることができる。その結果、ブラダー1の表面からの水系離型剤のタイヤ内側への転写が抑制され、水系離型剤の塗布頻度を減らすことができるので効率的に加硫を行なうことができる。また、大気圧プラズマ放電処理ではほとんどオゾンが発生しないので、コロナ放電処理のように局所排気を行なう必要がない。
なお、離型剤として溶剤系離型剤を使用する場合にも、ブラダー1の表面にプラズマ放電処理を行なうことにより、ブラダー1の表面に溶剤系離型剤を付着性よくコーティングすることができる。
<実験結果>
ここで、第1実施形態に係る離型剤コーティング方法を用いたブラダー1と離型剤との付着性を確認する実験を行なった。乗用車用タイヤとこれに対応するブラダー1を使用して実験を行なった。プラズマ照射は、プラズマノズル23の開口端からブラダー1の表面までの距離を10mm、プラズマの照射速度を6m/minとして行なった。
このプラズマ照射を行なったブラダー1に水系離型剤を塗布し、このブラダー1を用いて乗用車用タイヤを加硫温度200℃、加硫圧力16kg/cm、加硫時間10分の条件で加硫を行なった。初めに水系離型剤を塗布した後は再び塗布することなく、同条件による加硫を連続して行ない、加硫されたタイヤに傷が入る等の不具合が生じるまでの回数を調べた。その結果を図2に示す。
図2のように、プラズマ照射を行なっていない(プラズマ未照射)ブラダー1では、21回目の加硫において、加硫されたタイヤに傷が入る不具合を起こした。これに対し、プラズマ照射を行なった(プラズマ照射)ブラダー1では、141回目と155回目の加硫において初めて、水系離型剤が完全に剥離し、タイヤのインナーライナーとブラダー1が密着する不具合を起こした。
したがって、ブラダー1の表面にプラズマ放電処理を行なった後に水系離型剤を塗布することで、ブラダー1の表面と水系離型剤の密着性が向上し、プラズマ放電処理を行なわない場合と比べ、1回の塗布による加硫回数を約7倍に増加させることができた。これにより、加硫機を停止させて離型剤を塗布する頻度を減らすことができるので加硫効率を上げることができる。
<第2実施形態>
本発明に係る離型剤コーティング方法の別の好適な実施形態について図面を用いて説明する。離型剤をコーティングする設備の構成は、第1実施形態と同じである。この第2実施形態においては、ブラダー1の表面にプラズマ放電処理を行なう前に、ブラダー1の表面に凹凸を形成することを特徴とする。
ブラダー1の表面に凹凸を形成する方法について、図面を用いて説明する。ブラダー1の表面に凹凸を形成する方法としては、研磨処理やブラスト処理などが挙げられるが、ここでは、サンドペーパーによる研磨処理について説明を行なう。
研磨処理を行なうための研磨装置について、図3を用いて説明する。研磨装置7は、図3のように、グラインダー71の先端に軸付のフラップホイール72が取り付けられて構成される。グラインダー71としては、例えば、日本ニューマチック工業株式会社製のエアー式グラインダー(品番:RG−382)などを用いることができる。また、フラップホイール72としては、例えば、トラスコ中山株式会社製の軸付フラップホイール(品番:UF6030)などを用いることができる。
フラップホイール72は、回転軸72aと、回転軸72aの周囲に放射状に設けられた多数のフラップ72bとから構成される。フラップ72bは、サンドペーパーからなり、グラインダー71により回転軸72aを回転させることで、フラップ72bが回転して対象物を研磨する。すなわち、この研磨装置7によれば、ブラダー1の表面を研磨することができ、ブラダー1の表面に微小な凹凸を形成することができる。
ブラダー1の表面を研磨する場合、空気を充填した状態のブラダー1をブラダー駆動装置12により回動および往復動させながら研磨を行なう。この方法によれば、容易に、かつ均一にブラダー1の表面に凹凸を形成することができる。なお、ブラダー1の表面の研磨は、人間が研磨装置7を用いて行なってもよく、制御装置3により研磨装置7用の駆動機構(不図示)を制御し、ブラダー1の動きと連動させて行なってもよい。
ブラダー1の表面へ凹凸を形成するための研磨の向きは特に限定されない。例えば、ブラダー1の軸方向または周方向へ研磨して凹凸を形成してもよく、また、軸方向および周方向へクロスするように研磨して凹凸を形成してもよく、さらにはランダムに研磨して凹凸を形成してもよい。また、形成される凹凸の形状も、使用されるフラップホイール72のサンドペーパーの粗さによって適宜決定される。
なお、ブラダー1の表面への凹凸の形成は、ブラダー1の表面の全てについて行なってもよいが、表面の一部についてのみ行なってもよい。製造されるタイヤの形状によって、グリーンタイヤを加硫成型する際に、ブラダー1の表面にコーティングされた離型剤が剥がれやすい部分は異なっている。これは、グリーンタイヤを加硫成型する際、ブラダー1の表面とグリーンタイヤ内部とは全面が擦れるが、擦れるときの摩擦は場所によって異なっており、この両者の摩擦が大きい部分にコーティングされた離型剤が特に剥がれやすくなっているためである。そのため、ブラダー1の表面であって、グリーンタイヤを加硫成型する際にグリーンタイヤ内部と摺接されて離型剤が剥がれやすい部分に凹凸を形成することにより、離型剤とブラダー1の表面との付着性を向上させることができる。また、表面に凹凸を形成すると、ブラダー1のゴムの寿命低下に繋がる可能性があるので、この観点からもグリーンタイヤ内部と摺接されて離型剤が剥がれやすい部分にのみ凹凸を形成することは好ましい。
このような凹凸の形成をブラダー1に行なった後に、上記の第1実施形態と同じように、プラズマ放電処理をブラダー1に行ない、ブラダー1の表面に離型剤塗布装置6により離型剤を塗布する。
したがって、本発明によれば、ブラダー1の表面の全部または一部に凹凸を予め形成することにより、ブラダー1の表面積が増加するので、離型剤とブラダー表面との付着性を向上させることができる。また、ブラダー1の表面積が増加することで、プラズマ放電処理される面積も増加し、プラズマ放電処理による水系離型剤とブラダー表面との付着性向上の効果をより高めることができる。
<実験結果>
ここで、第2実施形態に係る離型剤コーティング方法を用いたブラダー1と離型剤との付着性を確認する実験を行なった。乗用車用タイヤとこれに対応するブラダー1を使用して実験を行なった。
実験に用いた乗用車用タイヤのサイズは、305/40R22(以下、タイヤAとする)と285/75R16(以下、タイヤBとする)である。ブラダー1は、タイヤAとタイヤBに対応する1種類のみを用いた。ところで、ブラダーは、タイヤの偏平率によって、グリーンタイヤを加硫成型する際、表面にコーティングされた離型剤が剥がれやすい部分が異なる。例えば、偏平率の低いタイヤAの場合には、タイヤのトレッド部に対応する、ブラダー表面の中央部1bの摩擦が大きく、この部分の離型剤が剥がれやすい。一方、偏平率の高いタイヤBの場合には、タイヤの上部ショルダー部に対応する、ブラダー表面の上部1aの摩擦が大きく、この部分の離型剤が剥がれやすくなっている(図4参照)。これらの離型剤が剥がれやすい部分は、表面に凹凸を形成していないブラダーに離型剤をコーティングし、このブラダーを用いてグリーンタイヤを連続して加硫成型することにより実際に確認することができる。
ブラダー1の表面に凹凸を形成する方法としては、上述したサンドペーパーによる研磨処理を用いた。ここで、研磨処理を行なう前後のブラダー1の表面粗さの一例を表1、表2に示す。
Figure 0005570707
Figure 0005570707
ブラダー1の表面に研磨処理を行なう前の表面粗さを表1、研磨処理を行なった後の表面粗さを表2に示す。なお、本実験では、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ計(品番:SJ−301)を使用し、表面粗さの測定を3回行ない、これらの平均値で評価した。表1および表2において、Raは算術平均高さ、Rzは十点平均粗さ、Rqは二乗平均平方根高さを示している。表1および表2に示すように、研磨処理を行なうことにより、ブラダー1の表面粗さは増大し、ブラダー1の表面には微小な凹凸が形成されている。
プラズマ照射は、第1実施形態と同様に、プラズマノズル23の開口端からブラダー1の表面までの距離を10mm、プラズマの照射速度を6m/minとして行なった。
このプラズマ照射を行なったブラダー1に水系離型剤を塗布し、このブラダー1を用いてタイヤAおよびBの加硫を行なった。タイヤAは、加硫温度200℃、加硫圧力16kg/cm、加硫時間15分の条件で加硫を行ない、タイヤBは、加硫温度200℃、加硫圧力16kg/cm、加硫時間20分の条件で加硫を行なった。初めに水系離型剤を塗布した後は再び塗布することなく、同条件による加硫を連続して行ない、加硫されたタイヤに傷が入る等の不具合が生じるまでの回数を調べた。その結果を表3に示す。
Figure 0005570707
比較例1はタイヤAであり、ブラダー表面の中央部1bの離型剤が剥がれやすく、比較例2はタイヤBであり、ブラダー表面の上部1aの離型剤が剥がれやすい。比較例1、比較例2ともに、ブラダー表面のいずれの場所にも凹凸を形成していない。
実施例1、実施例2は、いずれもタイヤAであるが、実施例1ではブラダー表面の全体(上部1a、中央部1b、下部1c)に凹凸を形成し、実施例2ではブラダー表面の中央部1bのみに凹凸を形成した。また、実施例3、実施例4は、いずれもタイヤBであるが、実施例3ではブラダー表面の全体(上部1a、中央部1b、下部1c)に凹凸を形成し、実施例4ではブラダー表面の上部1aのみに凹凸を形成した。
なお、比較例1,2、および実施例1〜4のいずれについても、上記の条件にてプラズマ照射を行なった。また、各条件についてそれぞれ2回ずつ加硫回数を調べ、その平均値を求めた。
結果として、表3に示すように、ブラダー表面に凹凸を形成した場合(実施例1〜実施例4)には、ブラダー表面に凹凸を形成しない場合(比較例1および比較例2)に比べ、平均の加硫回数が大きく増加した。
したがって、ブラダー表面に凹凸を予め形成することにより、ブラダーの表面積が増加し、離型剤とブラダー表面との付着性を向上させることができる。また、ブラダーの表面積が増加することで、プラズマ放電処理される面積も増加し、プラズマ放電処理による離型剤とブラダー表面との付着性向上の効果をより高めることができる。
ところで、タイヤAにおいて、離型剤の剥がれやすい部分(ブラダー表面の中央部1b)のみに凹凸を形成した場合(実施例2)と、離型剤の剥がれやすい部分(ブラダー表面の中央部1b)を含むブラダー表面の全体に凹凸を形成した場合(実施例1)とでは、加硫回数に大きな変化はない。また、タイヤBにおいても、離型剤の剥がれやすい部分(ブラダー表面の上部1a)のみに凹凸を形成した場合(実施例4)と、離型剤の剥がれやすい部分(ブラダー表面の上部1a)を含むブラダー表面の全体に凹凸を形成した場合(実施例3)とでは、加硫回数に大きな変化はない。
したがって、ブラダー表面には、グリーンタイヤを加硫成型する際にグリーンタイヤ内部と擦れて離型剤の剥がれやすい部分のみに凹凸を形成すればよいことが分かる。また、離型剤の剥がれやすい部分のみに凹凸を形成することで、ブラダーのゴムの寿命低下を防止することができる。
離型剤コーティング設備の構成の一例を示す模式図 第1実施形態に係る不良発生までの加硫回数を示すグラフ 研磨装置の外観構成図 ブラダーの正面図
符号の説明
1 ブラダー
2 大気圧プラズマ処理装置
3 制御装置
4 ガス供給装置
5 駆動機構
6 離型剤塗布装置
7 研磨装置
11 回転軸
12 ブラダー駆動装置
21 ジェネレータ
22 トランス
23 プラズマノズル
24 ケーシング

Claims (4)

  1. グリーンタイヤ内側に挿入され、グリーンタイヤを加硫成型する際に使用されるブラダーの表面に離型剤をコーティングする離型剤コーティング方法であって、
    前記ブラダーの表面にプラズマ放電処理を行なった後に前記離型剤を塗布する工程を備え、
    前記プラズマ放電処理は、高電圧アークプラズマ放電と大気エアーを利用し、大気中にプラズマ放電を発生させ、プラズマ放電電子を前記ブラダーの表面に照射するものであることを特徴とする離型剤コーティング方法。
  2. 前記離型剤は、水系離型剤であることを特徴とする請求項1に記載の離型剤コーティング方法。
  3. 前記ブラダーの表面にプラズマ放電処理を行なう前に、ブラダーの表面の全部または一部に凹凸を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の離型剤コーティング方法。
  4. 前記凹凸を、ブラダーの表面であって、グリーンタイヤを加硫成型する際にグリーンタイヤ内部と摺接されて離型剤が剥がれやすい部分に形成することを特徴とする請求項3に記載の離型剤コーティング方法。
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