JP2022021680A - タイヤの製造方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ内側に周方向に延在して設置されたシーラント材の表面の粘着性を低減させたタイヤを高い汎用性を有して効率的に製造できる方法および装置を提供する。【解決手段】タイヤ9の内側に設置されるシーラント材11と同種のテストサンプル11Tに対して、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施した際のテスト処理条件とテストサンプル11Tの表面での粘着性の低減具合との相関関係を予め把握し、この相関関係に基づいて決定されたシーラント材11に対する処理条件が制御部8に入力されていて、タイヤ9の内側に設置される前または設置された後のシーラント材11の所定領域11Aに対して、決定した処理条件で処理機2を用いていずれか1種類の表面処理が施される制御を行って所定領域11Aの表面の粘着性を許容範囲に低減させる。【選択図】図4
Description
本発明は、タイヤの製造方法および装置に関し、さらに詳しくは、表面の粘着性が低減されたシーラント材がタイヤの内側に設置されているタイヤを、高い汎用性を有して効率的に製造できるタイヤの製造方法および装置に関するものである。
タイヤのパンクを防止するためにタイヤ内側にシーラント材が設置されたタイヤが知られている。シーラント材は、タイヤを貫通した穴を塞いでパンクを防止する。このシーラント材は相当の粘着性を有しているため、タイヤがホイールに取付けられて使用されるまでの保管中、タイヤ内側で大気に露出しているシーラント材の表面には、埃など様々な異物が付着し易い。
このような異物がシーラント材の表面に付着することを防止するために、シーラント材の表面にUV照射を行って、表面の粘着性を低減させることが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、シーラント材の表面にUV照射を行っても粘着性を十分に低減させることが難しい。その理由として例えば、UV照射を行って粘着性を低減できるシーラント材の特性が非常に限定されている、または、照射するUVの仕様や照射条件が非常に限定的であることなどが考えられる。それ故、汎用的にシーラント材の表面の粘着性を大きく低減させるには改善の余地がある。
本発明の目的は、表面の粘着性が低減されたシーラント材がタイヤの内側に設置されているタイヤを、高い汎用性を有して効率的に製造できるタイヤの製造方法および装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のタイヤの製造方法は、シーラント材がタイヤの内側にタイヤ周方向に延在して設置されているタイヤの製造方法において、前記シーラント材と同種のテストサンプルに対してプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施した際のテスト処理条件と前記テストサンプルの表面での粘着性の低減具合との相関関係を予め把握しておき、前記相関関係に基づいて前記シーラント材に対する処理条件を決定し、前記タイヤの内側に設置される前または設置された後の前記シーラント材の所定領域に対して、決定した前記処理条件で前記所定領域に対していずれか1種類の前記表面処理を施して前記所定領域の表面の粘着性を許容範囲に低減させることを特徴とする。
本発明のタイヤの製造装置は、シーラント材がタイヤの内側にタイヤ周方向に延在して設置されているタイヤの製造装置において、前記タイヤの内面に設置する前または設置した後の前記シーラント材の所定領域に対して、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施す処理機と、前記処理機のヘッドを前記シーラント材に対して相対移動させる相対移動機構と、前記処理機および前記相対移動機構を制御する制御部とを備えて、予め把握されている前記シーラント材と同種のテストサンプルに対してプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施した際のテスト処理条件と前記テストサンプルの表面での粘着性の低減具合との相関関係に基づいて決定された前記シーラント材に対する処理条件が前記制御部に入力されていて、この決定された前記処理条件で前記所定領域に対して、いずれか1種類の前記表面処理が施される制御が行われて、前記所定領域の表面の粘着性が許容範囲に低減される構成にしたことを特徴とする。
本発明によれば、前記タイヤの内側に設置される前または設置された後の前記シーラント材の所定領域の表面に対して、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施すことで、様々なシーラント材の表面の粘着性を低減させることができる。そして、前記シーラント材と同種のテストサンプルに対して前記表面処理を施したテスト処理条件と前記テストサンプルの表面での粘着性の低減具合との相関関係を予め把握して、この相関関係に基づいて決定した処理条件で前記所定領域に対して前記表面処理を施すことで、過不足なく前記所定領域の表面の粘着性を許容範囲に低減させることができる。即ち、シーラント材のシール機能を損なうことなく、シーラント材の前記所定領域の表面に異物が付着することが防止できる。それ故、シーラント材の所定領域の表面の粘着性を低減させたタイヤを汎用的かつ効率的に製造することが可能になる。
本発明のタイヤの製造方法および装置を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
本発明によって図1、図2に例示する空気入りタイヤ9が製造される。このタイヤ9の内面10には、シーラント材11がタイヤ周方向全周に延在して層状に接合されている。この実施形態では、トレッド面全範囲に対応する内面10にシーラント材11が設置されているが、より幅広の範囲またはより幅狭の範囲にシーラント材11が設置されることもある。図中の一点鎖線CLはタイヤ9(シーラント材11)の幅方向中心を示している。
シーラント材11は、タイヤ9が釘を踏んだ場合などにタイヤ9を貫通する貫通穴からの空気の漏洩を防止するため、粘着性および若干の流動性を有している。この流動性とは、換言すると変形し易さである。公知の種々の仕様のシーラント材11を用いることができる。シーリング材11は、自身の粘着性によって内面10に接合される場合も、接着剤を介して接合される場合もある。
後述する表面処理Sが施されないシーリング材11は相当の粘着性を有していて、その表面には埃などの異物が付着し易い。そのため、このタイヤ9の内面10で大気に露出しているシーリング材11の所定領域11Aに対しては、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理Sが施されている。この実施形態では、シーリング材11の表面全体が所定領域11Aになっている。表面処理Sが施された所定領域11Aの表面は、表面処理Sが施される前よりも粘着性および流動性が低減されていて、その粘着性(粘着力)が許容範囲Arにされている。
一方で、シーリング材11のシール機能を損なわないように、シーリング材11の内部の大部分は本来の粘着性および流動性が維持されている。即ち、施された表面処理Sによってシーリング材11の粘着性が低減されているのは、所定領域11Aの実質的に表面近傍だけになっている。即ち、表面処理Sによって粘着性が低減されるのはシーリング材11の表面から深さtが例えば1mm以下、或いは0.5mm以下程度の範囲である。
図3~図5に例示する本発明のタイヤの製造装置1の実施形態は、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理Sを施す処理機2と、処理機2を構成する処理ヘッド4を任意の位置に自在に移動させるアーム6と、タイヤ9が横倒し状態で載置される載置台7と、制御部8とを備えている。制御部8は、処理機2、アーム6および載置台7を制御する。制御部8としてはコンピュータ等が用いられる。アーム6および載置台7が、処理ヘッド4をシーラント材11に対して相対移動させる相対移動機構になっている。
処理機2は、加硫済みのタイヤ9の内面10に設置される前または設置された後のシーラント材11の所定領域11Aに対して表面処理Sを施す。この実施形態では、タイヤ9の内面10に設置された後のシーラント材11の所定領域11Aに対して表面処理Sを施す場合を例にしている。
処理機2は、供給源3と処理ヘッド4とを有していて、処理ヘッド4は供給源3に接続されている。表面処理Sがプラズマ処理の場合は、プラズマを発生せる反応ガスが供給源3から処理ヘッド4に供給され、ノズル先端4aで電磁エネルギが付与されて、所定領域11Aに対してプラズマPが照射される。表面処理Sがコロナ処理の場合は、コロナ放電を発生させる電圧が供給源3から処理ヘッド4に印加され、ノズル先端4aと所定領域11Aとの間にコロナ放電を発生させる。表面処理Sがフレーム処理の場合は、燃焼させるガスと空気が供給源3から処理ヘッド4に供給され、ノズル先端4aから所定領域11Aに対して炎が照射される。これらの内、1種類の表面処理Sを施すことで所定領域11Aは改質(酸化)されて粘着性が低減される。これらの表面処理Sは、一般的に大気圧下で施される。
処理ヘッド4を保持するアーム6はアームベース5に回転自在に取り付けられている。アーム6は、複数のアーム部6a、6b、6cを回転自在に接続して構成されている。アーム6の先端部に処理ヘッド4が着脱自在に装着されている。アーム6の動きを制御部8によって制御することにより、処理ヘッド4を3次元に自在移動させることができ、ノズル先端4aを任意方向に向けることが可能になっている。
この実施形態では、載置台7が、載置されたタイヤ9のタイヤ軸TPを中心にして回転可能になっている。図中の一点鎖線TPがタイヤ軸を示している。載置台7は、タイヤ9を任意の回転方向へ任意の回転速度で任意の回転角度だけ移動させることができる。相対移動機構は、処理ヘッド4とシーラント材11(タイヤ9)とを相対移動させて、所定領域11Aを網羅するようにノズル先端4aを相対移動させることができればよい。したがって、この実施形態のように、処理ヘッド4およびシーラント材11(タイヤ9)を移動させる構成に限らず、例えば、シーラント材11(タイヤ9)は所定位置に固定した状態にして、このシーラント材11(タイヤ9)に対して処理ヘッド4を移動させる構成にすることもできる。或いは、処理ヘッド4は所定位置に固定した状態にして、この処理ヘッド4に対してシーラント材11(タイヤ9)を移動させる構成にすることもできる。尚、この実施形態ではタイヤ9を横置き状態にして表面処理Sを行っているが、タイヤ9は縦置き状態にしてもよく、任意の配置状態にすることができる。
制御部8には、シーラント材11に対して表面処理Sを施す際の処理条件が入力されている。この処理条件は次のように決定される。
図6に例示するように、シーラント材11と同種のテストサンプル11Tに対してプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理Sを施して、表面処理Sに起因するテストサンプル11Tの表面での粘着性の低減具合を確認する。これにより、表面処理Sを施した際のテスト処理条件とテストサンプル11Tの表面での粘着性の低減具合との相関関係RDを把握する。
粘着性の低減具合は例えば、シーラント材11の単位面積当たりの粘着力の大きさで評価し、この粘着力の低下率が大きい程、粘着性の低減具合が大きいと判断する。この粘着力は例えば、所定の押圧体を所定時間、所定圧力でテストサンプル11Tの表面に押圧した後、押圧体をテストサンプル11Tと直交する方向に離反させ、その際に押圧体に作用する離反方向と反対方向の抵抗力の最大値を、押圧体とテストサンプルの接触面積で除して算出する。この粘着力の測定には、市販の粘着力(タッキネス)測定装置を用いることができる。
尚、テストサンプル11Tを押圧する所定圧力は微力であり、同型の粘着力測定装置を使用するならば、押圧体とテストサンプル11Tの接触面積は概ね一定になる。この場合は、上述した抵抗力の最大値の大きさで粘着性の低減具合を評価することができ、この抵抗力の最大値の低下率が大きい程、粘着性の低減具合が大きいと判断する。粘着力の測定に用いる装置としては、株式会社東洋精機製作所製のタッキネスチェッカ(登録商標)型式HTC-1を例示できる。この測定装置を使用する場合は、所定の押圧体(接触子)としてアルミRリング型式AL-R1を用いて、所定時間を3秒、所定圧力を10Nにして粘着力を測定する。
図7には、処理強度を変化させたテスト処理条件で表面処理Sをシーラント材11(テストサンプル11T)に施した場合の表面での粘着性の低減具合のデータDが例示されている。縦軸の値hは、表面処理Sが施されていないオリジナル状態のシーラント材11(テストサンプル11T)の表面の粘着力を示し、縦軸の下端は粘着力がゼロであることを示している。縦軸には表面における粘着性の許容範囲Arも記載されていて、図7ではオリジナルの粘着力の0%超10%以下が許容範囲Arに設定されている。横軸の処理強度は、シーラント材11(テストサンプル11T)の表面が単位面積当たり、単位時間当たりに処理機2によって付与されたエネルギの大きさを意味する。
この処理強度(テスト処理条件)は、処理機2からシーラント材11に向かって出力されるエネルギの出力強さ(出力値)、ノズル先端4aとシーラント材11の表面とのすき間g、エネルギの照射(付与)時間であり、これらがパラメータになっている。出力強さを変化させるには供給源3からのエネルギ供給量を変化させ、すき間gを変化させるには処理ヘッド4と所定領域11Aの表面との相対位置を変化させ、エネルギの照射(付与)時間を変化させるには処理ヘッド4の所定領域11Aの表面に沿った移動速度を変化させる。
出力強さを大きくする程、粘着性の低減具合が大きくなる関係がある。すき間gを小さくする程、粘着性の低減具合が大きくなる関係がある。エネルギの照射(付与)時間が長くなる程、粘着性の低減具合が大きくなる関係がある。そこで、これらの関係を相対関係RDとして把握する。
そして、データDでの許容範囲Arに入る処理強度の範囲を把握して、この処理強度の範囲が得られるテスト処理条件が、シーラント材11に表面処理Sを施す際の処理条件として決定される。尚、処理強度が過大であると、シーラント材11の表面か焦げるなどの不適切な変質が生じるので、処理強度の許容上限値を設定しておき、この許容上限値を超えない処理条件にされる。
具体的には、粘着性を低減させるために必要な出力強さがあるので、その必要な出力強さの範囲内で出力強さが所定値に決定される。そして、この所定値の出力強さで、ノズル先端4aと所定領域11Aの表面とのすき間g、および、エネルギの照射(付与)時間の組み合わせを異ならせて、最適な組み合わせを見出して、その最適な組み合わせが処理条件として決定される。
許容範囲Arは、所定の試験による粘着力の測定値を用いて設定してもよい。また、許容範囲Arは、シーラント材11のオリジナル状態での粘着力の0%超10%以下に限らず、0%超15%以下など上限値を適宜変更することも、1%以上10%以下或いは2%以上15%以下など下限値を適宜変更することもできる。或いは、許容範囲Arをオリジナル状態での粘着力の10%以下、または15%以下、或いは20%以下などに設定して、実質的に粘着力がゼロの場合を含めることもできる。ただし、この場合は上述したように、シーラント材11の表面に不適切な変質が生じないように、処理強度の許容上限値を超えないようにする。上述したようにタッキネスチェッカ(登録商標)型式HTC-1を使用して粘着力の測定をする場合は、抵抗力の最大値が例えば2N以下、或いは1.5N以下を許容範囲Arとする。
制御部8は、予め把握された相関関係RDに基づいて決定された処理条件になるように、制御部8が処理機2、アーム6および載置台7を制御する。これにより、所定領域11Aに対して、選択された1種類の表面処理Sを施す。
次に、この製造装置1を用いてシーラント材11の所定領域11Aに対して所定の表面処理Sを施してタイヤ9を製造する手順の一例を説明する。
制御部8には、上述の決定された処理条件を入力しておく。そして、図3~図5に例示するように内面10にシーリング材11が設置されたタイヤ9を載置台7に載置する。次いで、決定された処理条件になるように、タイヤ9(シーリング材11)と処理ヘッド4との少なくとも一方を連続的または断続的に移動させつつ、大気圧下で所定領域11Aに対して選択された表面処理Sを施す。表面処理Sとしてプラズマ処理を施す場合には、ノズル先端4aからプラズマPを所定領域11Aに照射する。選択された表面処理Sの種類に応じてノズル先端4aを用いて、所定領域11Aに対して表面処理Sが行われる。
プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理の3種類の表面処理Sは、レーザ光を使用するレーザ処理に比して出力エネルギが低く安全性が高いので、レーザ処理のような危険防止のための大掛かりな施設が不要になる。これら3種類の表面処理Sの中では一般的にプラズマ処理の出力エネルギが最も高い。また、それぞれの表面処理Sに必要とされる原料、設備にも違いがあるので、これらの相違点、処理効率などを考慮して3種類の中から1種類の表面処理Sが選択される。
この実施形態では、図4、図5に例示するように、横倒し状態のタイヤ9をタイヤ軸心TPを中心にして連続的または断続的に回転させつつ、処理ヘッド4をタイヤ幅方向に連続的または断続的に移動させて表面処理Sを施す。尚、タイヤ9を縦置きした状態で表面処理Sを施してもよい。
ここで、処理ムラを抑えるためには、ノズル先端4aと所定領域11Aの表面とのすき間gを一定に維持するように、処理ヘッド4の動きを制御するとよい。このすき間gを一定に維持するには、すき間gを逐次検知するセンサ(接触型でも非接触型でも可能)を用いて、その検知データに基づいて処理ヘッド4の動きを制御することが好ましい。粘着性を許容範囲Arに低減させる深さtを一定にするには、所定領域11Aの表面に沿って処理ヘッド4を断続的または連続的に移動させる際の移動速度はなるべく一定にして所定領域11Aを網羅するように移動させるとよい。
この表面処理Sによって、図8に例示するように、シーラント材11の所定領域11Aの表面の粘着性を許容範囲Arに低減させる。図8では、シーラント材11の幅方向の主に右半分を示しているが左半分も同様である。図8では、粘着性を許容範囲Arに低減させた深さtがシーラント材11(タイヤ9)の幅方向で概ね一定になっている。粘着性を許容範囲Arに低減させた所は流動性も低減されている。
粘着性を許容範囲Arに低減させた深さtを、シーラント材11(タイヤ9)の幅方向で変化させることもできる。例えば、シーラント材11(タイヤ9)の幅方向中心CLに近づくに連れてこの深さtを大きくすることも、シーラント材11(タイヤ9)の幅方向端に近づくに連れてこの深さtを大きくすることもできる。この深さtを変化させるには、表面処理Sの処理条件のうち、例えば、所定領域11Aの表面に沿った処理ヘッド4の移動速度のみを変化させる、或いは、ノズル先端4aと所定領域11Aの表面とのすき間gのみを変化させる制御を行う。
このようにシーラント材11の所定領域11Aの表面に対して、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理Sを施すことで、様々な種類のシーラント材11の表面の粘着性を低減させることができる。対象となるシーラント材11の種類や処理条件に対する制約が少ないので、高い汎用性を有した方法になっている。
そして、上述した相関関係RDに基づいて決定された処理条件で、シーラント材11の所定領域11Aに対して表面処理Sを施すので、過不足なく所定領域11Aの表面の粘着性を許容範囲Arに低減させることができる。シーラント材11の表面を不適切に変質させることなく、また、表面から深い位置まで粘着性を低減させることがないので、シーラント材11のシール機能を損なうことを回避しつつ、表面処理Sを施した表面に異物が付着することが防止できる。それ故、シーラント材11の所定領域11Aの表面の粘着性を低減させたタイヤ9を汎用的かつ効率的に製造するには有利になる。
図8に例示するように粘着性を許容範囲Arに低減させた深さtを、タイヤ幅方向に均等にするのが一般的な仕様である。シーラント材11は若干の流動性を有しているため、この仕様の場合、タイヤ9が使用されて回転(高速回転)すると、タイヤ幅方向中央側が端部側よりもシーラント材11が厚くなる現象が生じる。そこで、粘着性を許容範囲Arに低減させた深さtをシーラント材11(タイヤ9)の幅方向中心CLに近づくに連れて大きくすると、タイヤ9の高速回転中にタイヤ幅方向中央側のシーラント材11が厚くなることを回避し易くなる。
一方、上述の深さtが大きくなると、シーラント材11はタイヤ9の変形に追従し難くなる。タイヤ9の使用中(車両走行中)などにタイヤ9が段差などを通過した際に凹状に変形した場合、この深さtが大きい程、タイヤ9の変形に起因してシーラント材11の表面には過度な引張負荷が作用する。そこで、粘着性を許容範囲Arに低減させた深さtをシーラント材11(タイヤ9)の幅方向で変化させておくと、深さtが小さい所ほど、過大な引張負荷が作用することを回避し易くなる。
図9、図10に例示するタイヤ9では、表面処理Sが施される所定領域11Aがシーラント材11の幅方向一部の範囲に設定されている。この実施形態のようにシーラント材11の幅方向中央部のみを所定領域11Aに設定することも、或いは、幅方向両端部のみを所定領域11Aに設定して表面処理Sを施すこともできる。表面に異物が付着し易い範囲がある場合や、異物が付着し難い範囲が明確な場合などは、このように表面処理Sを施す所定領域11Aを限定することもできる。
シーラント材11において表面処理Sを施されていない範囲は、施された所定領域11Aに比して粘着性、流動性が高いので、タイヤ9の変形に追従し易い。そのため、タイヤ9の使用中(車両走行中)などにタイヤ9が変形した場合、表面処理Sを施されていない範囲は、タイヤ9の変形に起因して過度な引張負荷が作用することを回避できるメリットがある。
図11、12に例示する製造装置1の実施形態は、タイヤ9の内面10に設置される前のシーラント材11の所定領域11Aに対して表面処理Sを施す場合に使用される。この実施形態の製造装置1は、先の実施形態とは載置台7が異なっていて、その他の構成は実質的に同様である。
この実施形態では、載置台7としてベルトコンベヤが使用されている。このベルトコンベヤ7に帯状のシーラント材11が載置される。そして、ベルトコンベヤ7を稼働させてシーラント材11を延在方向に移動させつつ、処理ヘッド4をシーラント材11の幅方向に移動させて所定領域11Aに対して、決定された処理条件で表面処理Sが施される。載置台7として平坦な単純な台を使用することもできる。この場合は載置台7に固定状態で載置されたシーラント材11に対して、処理ヘッド4をシーラント材11の延在方向および幅方向に移動させて所定領域11Aに対して表面処理Sが施される。
所定領域11Aに対していずれか1種類の表面処理Sを施すことにより、所定領域11Aの表面の粘着性を許容範囲Arに低減させる。次いで、表面処理Sが施された帯状のシーラント材11を、タイヤ9の内面10に周方向に延在させて設置、接合することでタイヤ9が製造される。
1 製造装置
2 処理機
3 供給源
4 処理ヘッド
4a ノズル先端
5 アームベース
6 アーム
6a、6b、6c アーム部
7 載置台
8 制御部
9 タイヤ
10 内面
11 シーラント材
11T テストサンプル
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4a ノズル先端
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9 タイヤ
10 内面
11 シーラント材
11T テストサンプル
11A 所定領域
Claims (5)
- シーラント材がタイヤの内側にタイヤ周方向に延在して設置されているタイヤの製造方法において、
前記シーラント材と同種のテストサンプルに対してプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施した際のテスト処理条件と前記テストサンプルの表面での粘着性の低減具合との相関関係を予め把握しておき、前記相関関係に基づいて前記シーラント材に対する処理条件を決定し、
前記タイヤの内側に設置される前または設置された後の前記シーラント材の所定領域に対して、決定した前記処理条件でいずれか1種類の前記表面処理を施して前記所定領域の表面の粘着性を許容範囲に低減させることを特徴とするタイヤの製造方法。 - 前記所定領域の表面の単位面積当たりの粘着力が、前記表面処理を施した後では、前記表面処理を施す前の0%超10%以下であることを、前記許容範囲として設定する請求項1に記載のタイヤの製造方法。
- 前記所定領域を前記シーラント材の延在方向全長かつ幅方向全幅にする請求項1または2に記載のタイヤの製造方法。
- 前記所定領域を前記シーラント材の延在方向全長かつ幅方向一部の範囲にする請求項1または2に記載のタイヤの製造方法。
- シーラント材がタイヤの内側にタイヤ周方向に延在して設置されているタイヤの製造装置において、
前記タイヤの内面に設置する前または設置した後の前記シーラント材の所定領域に対して、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施す処理機と、前記処理機のヘッドを前記シーラント材に対して相対移動させる相対移動機構と、前記処理機および前記相対移動機構を制御する制御部とを備えて、
予め把握されている前記シーラント材と同種のテストサンプルに対してプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理のいずれか1種類の表面処理を施した際のテスト処理条件と前記テストサンプルの表面での粘着性の低減具合との相関関係に基づいて決定された前記シーラント材に対する処理条件が前記制御部に入力されていて、
この決定された前記処理条件で前記所定領域に対して、いずれか1種類の前記表面処理が施される制御が行われて、前記所定領域の表面の粘着性が許容範囲に低減される構成にしたことを特徴とするタイヤの製造装置。
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JP2020125427A JP2022021680A (ja) | 2020-07-22 | 2020-07-22 | タイヤの製造方法および装置 |
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- 2020-07-22 JP JP2020125427A patent/JP2022021680A/ja active Pending
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