JP5570307B2 - 解析装置および解析方法 - Google Patents
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Description
解析装置1は、制御部3と、記憶装置5と、メディア入出力部6と、入力部7と、表示部9と、プリンタポート11と、を備え、これらの部材はバス13を介して互いに接続されている。
図2に示すように、SPMモータ31は回転子(移動子)であるロータ33と固定子であるステータ35を有している。ロータ33は鉄等の磁性体である円柱状のロータコア37を有し、ロータコア37の表面には永久磁石39が設けられている。ロータコア37の軸中心には棒状のロータシャフト41が設けられている。
解析装置1は、SPMモータ31の形状に関する情報や材料の特徴(材料定数など)を含む初期条件を取得し、記憶装置5に入力情報として記憶する。この初期条件は例えばメディア入出力部6を介してCD−ROM等の記録媒体から読み込んだものであってもよい。さらに、あらかじめ上記初期条件が入力情報として記憶されている場合は、ステップS202は不要である。
粒子モデル生成部60は、記憶装置5が記憶する初期条件からSPMモータ31の粒子モデルを生成する。粒子モデル生成部60は、初期条件に含まれる三次元構造の情報から、SPMモータ31をN個の粒子に分割し(Nは2以上の整数)、各粒子の位置ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。N個の粒子は粒子系Sを構成する。粒子は、原子、分子単位であってもよいし、粒子の位置ベクトルを重心とする多面体要素であってもよい。
図5は、コイル45の説明図である。図5(a)は、コイル45の拡大斜視図であり、図5(b)は、コイル45をローカル導体に分割した例を示す図である。図6は、直方体導体とローカル座標との関係を示す図である。図7は、円弧状柱状導体とローカル座標との関係を示す図である。
なお、ローカル導体が直方体導体45bの場合は、ローカル導体が直方体導体45aの場合と同様であるため、説明を省略する。
なお、ローカル導体が円弧状柱状導体45dの場合は、ローカル導体が円弧状柱状導体45cの場合と同様であるため、説明を省略する。
なお、粒子モデル生成部60は磁性体、導体の別なく同じように粒子を設定してもよい。
繰り込み部62は、特許文献2で説明されている繰り込み群分子動力学の手法を使用して粒子系Sを繰り込み処理し、繰り込まれた粒子系S’を生成する。以下では、第1の繰り込み因子をα、第2の繰り込み因子をγ=0、第3の繰り込み因子δ=2、空間の次元数d=3とする。特許文献2によると、粒子系Sのパラメータと繰り込まれた粒子系S’のパラメータとの間には、
相互作用演算部64は、繰り込まれた粒子系S’について、粒子間の相互作用による相互作用ポテンシャルエネルギφ’を演算する。相互作用ポテンシャルエネルギφ’の演算については特許文献2に詳しい。特に本実施の形態では、相互作用ポテンシャルエネルギφ’は弾性を考慮した形を有する。
磁場演算部66は、繰り込まれた粒子系S’について、各粒子に作用する磁場が満たすべき関係を粒子ごとに運動方程式の形式で記述した磁場の運動方程式を数値的に解くことにより各粒子に作用する磁場を演算する。詳細は後述する。
機構・弾性演算部68は、相互作用演算部64によって演算された相互作用ポテンシャルエネルギφ’と磁場演算部66によって演算された磁場とに基づき各粒子の運動を演算し、各粒子の位置、速度を更新する。詳細は後述する。
制御部3は、ユーザからの出力指示の有無を確認する。
(ステップS216)
制御部3は、ユーザからの出力指示がある場合(ステップS214のY)、繰り込まれた粒子系S’にステップS206に対応するリスケーリングを施す。
(ステップS218)
制御部3は、リスケーリングの結果得られる位置ベクトル、力ベクトル、磁場ベクトル、磁束密度ベクトル、磁化ベクトルなどをプリンタポート11を介してプリンタ12より出力する。
終了判定部72は、ユーザからの出力指示がない場合(ステップS214のN)、所定の終了条件(時間、移動量等)を満たしているかを判断する。終了判定部72は、終了条件が満たされている場合は(ステップS220のY)、解析を終了する。
制御部3は、終了条件が満たされていない場合は(ステップS220のN)、処理をステップS208に戻す。すなわち、制御部3は、更新された各粒子の位置、速度を使用して、再度相互作用ポテンシャルエネルギφ’や磁場を演算する。
図8は、図4のステップS210およびステップS212の詳細を示すフローチャートである。
磁場演算部66は、繰り込まれた粒子系S’におけるコイルの寸法および電流密度ベクトルを用いて、ビオ・サバールの法則を積分することにより得られる解析解により、通電されたコイルが磁性体に対応する粒子の位置ベクトル上に作る磁場ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。
ここで、粒子の位置ベクトルを(太字の)rg’、粒子の位置ベクトルを重心とする立方体要素の要素境界面の中点をq’点とし、粒子の位置ベクトルとq’点との中間点にp’点を定義する。
まず、ローカル導体が直方体導体45aの場合について説明する。
なお、ローカル導体が直方体導体45bの場合は、ローカル導体が直方体導体45aの場合と同様であるため、説明を省略する。
次に、任意の点であるP点の位置ベクトルをローカル座標系(xs’,ys’,zs)に変換する。
なお、ローカル導体が円弧状柱状導体45dの場合は、ローカル導体が円弧状柱状導体45cの場合と同様であるため、説明を省略する。
ローカル座標系(xc’,yc’,zc’)に変換後のP点の位置ベクトルを以下の式(5)に示すように円筒座標系(太字の)rpc’=(Rpc’、φpc’、Zpc’)に変換する。
通電された円弧状柱状導体45cがP点に作る磁場ベクトルは、以下の式(6)〜(11)で表される。
磁場演算部66は、繰り込まれた粒子系S’における、磁性体に対応するすべての粒子の位置ベクトルを重心とする立方体要素内部のp’点の位置ベクトルを読み込む。
これにより、通電された直方体導体45aが、p’点に作る磁場ベクトルが求められる。
次に、磁場演算部66は、計算された磁場ベクトルを直交座標系に変換し、さらにグローバル座標系(x’,y’,z’)に変換し記憶装置5に記憶する。
これにより、通電された円弧状柱状導体45cがp’点に作る磁場ベクトルが求められる。
磁場演算部66は、繰り込まれた粒子系S’において、永久磁石39が磁性体に対応する粒子の位置ベクトル上に作る磁場ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。
磁場演算部66は、ステップS102で計算した磁場ベクトルとステップS104で計算した磁場ベクトルとの和を計算する。
磁場演算部66は、繰り込まれた粒子系S’において、磁性体に対応する粒子の位置ベクトルと、繰り込まれた粒子系S’における立方体要素の形状により、磁性体に対応する粒子の磁場の運動方程式の係数を計算し記憶装置5に記憶する。
なお、ステップS212おいて粒子の位置ベクトルが更新され記憶装置5に記憶されている場合は、磁場演算部66はその値を読み込む。
式(16)の右辺第3項は外部からの印加磁場ベクトルが変化したときにすばやく追従させるための減衰項であり、γ’は減衰定数である。
拘束条件を考慮せずに蛙跳び法により式(16)を離散化すると以下の式(17)、式(18)、(19)になる。
添え字のnは任意の整数であり、nδt’における物理量、n−1/2は(n−1/2)δt’における物理量、n+1/2は(n+1/2)δt’における物理量、n+1は(n+1)δt’における物理量に対応している。
さらに、磁場演算部66は、既に計算され記憶装置5に記憶されている、磁性体に対応する粒子の要素境界面積、法線ベクトルおよび粒子の位置ベクトルを重心とする立方体要素境界面の頂点と粒子位置を頂点とする立方体要素体積を読み込む。
また、磁場演算部66はあらかじめ記憶装置5に記憶されている減衰定数、仮想質量、仮想時間刻みを読み込む。
なお、磁場演算部66は後述するステップS110において磁場ベクトル、磁場ベクトルの時間微分が更新されている場合は、その値を読み込む。
なお、磁化ベクトルは、初期条件に含まれる磁化曲線を表す関数と磁場ベクトルとを使用して計算される。
磁場演算部66は、ステップS108で計算し記憶装置5に記憶されている、磁性体に対応する粒子の位置ベクトルを重心とする立方体要素内のp’点の磁場ベクトルに拘束条件を加え、計算された磁場ベクトルを、記憶装置5に記憶する。
磁場演算部66は、あらかじめ記憶装置5に記憶されている仮想質量、仮想時間刻み、減衰定数を読み込む。
磁場演算部66は、磁性体に対応する粒子各々に対して式(20)、式(21)に基づく計算を行い、計算された磁場ベクトルを記憶装置5に記憶する。
次に、磁場演算部66はステップS110で求めた磁場ベクトルが拘束条件を満たしているかを判断し、満たしていれば次のステップに進み、満たしていなければステップS110に戻る。
erri’は磁性体に対応する粒子の内、i番目の粒子の拘束条件に対する誤差値である。
次に、磁場演算部66は、磁性体の磁化現象が定常状態に到達したかを判断し、条件を満たしていれば次のステップに進む。
磁性体に対応する粒子が定常状態に到達したかは、以下の式(24)により判断される。
さらに、添え字のnは任意の整数であり、nδt’における物理量、n―1は(n―1)δt’、n+1は(n+1)δt’おける物理量に対応している。
また、A2’は磁性体の磁場ベクトルが定常状態に到達したかを判断するための任意の誤差判定値である。
また、磁場演算部66は、ステップS110で計算され記憶装置5に記憶されている、磁性体に対応する粒子を重心とする立方体要素内のp’点の磁場ベクトルを読み込む。
ステップS210は、ステップS102,ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、ステップS114、を含む。
機構・弾性演算部68は、SPMモータ31に対応するすべての粒子の位置ベクトル上の磁場ベクトル、磁化ベクトル、磁束密度ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。すなわち、機構・弾性演算部68は、繰り込まれた粒子系S’において、磁性体に対応するすべての粒子の位置ベクトル上の磁場ベクトル、磁化ベクトル、磁束密度ベクトルと、コイル45に対応するすべての粒子の位置ベクトル上の磁場ベクトル、磁束密度ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。
磁性体に対応する粒子の位置ベクトル上の磁場ベクトルは以下の式(25)で表される。
太字のH’は磁場ベクトル、太字のn’は法線ベクトルであり、添え字iは磁性体に対応する粒子の内、i番目の粒子の位置ベクトル上での物理量を表し、添え字ip’は磁性体に対応する粒子の内、i番目の粒子の位置ベクトルを重心とする立方体要素内のp’点の物理量である。
磁性体に対応する粒子の磁化ベクトルは、磁場ベクトルと磁化曲線を表す関数とを使用して求めることができる。
なお、真空の透磁率はあらかじめ記憶装置5に記憶されているものを制御部3が読み込む。
コイル45に対応する粒子の位置ベクトル上の磁場ベクトルは式(27)、式(28)で記載される。
式(27)の右辺第二項は、コイル45に対応する粒子がコイル45に対応する粒子の位置ベクトル上に作る磁場ベクトルであり式(1)〜(12)で表される。
なお、ステップS120においてコイル45に対応する粒子の位置ベクトルが更新されている場合は、機構・弾性演算部68はその値を読み込む。
また、機構・弾性演算部68はこのステップで計算され記憶装置5に記憶されている、磁性体に対応する粒子の磁化ベクトルを読み込む。
さらに、機構・弾性演算部68は、繰り込まれた粒子系S’におけるコイル45の寸法および電流密度ベクトルを読み込む。
また、運動方程式を解くため、行列を扱わず、計算に必要なメモリ量は粒子数に比例する。
機構・弾性演算部68はSPMモータ31に対応する全ての粒子に働く力ベクトルを計算し、記憶装置5に記憶する。
正準変数を太字のri’、太字の傍点付きri’とし、式(13)のラグランジアンをラグランジュの運動方程式に代入する。
すると、磁性体に対応する粒子に働く力ベクトルは式(29)のように記載される。
また、φ’(ri’−rj’)はi番目の粒子とj番目の粒子の相互作用ポテンシャルエネルギであり、ステップS208において求められている。
コイル45に対応する粒子のうち、i番目の粒子の位置ベクトルを太字のri’、その位置ベクトルでの電流の単位ベクトルを太字のti’、磁束密度ベクトルを太字のBi’、電流の流れる方向のコイルの長さをLi’とすると、コイル45に対応する粒子の内、i番目の粒子に働く力ベクトルは以下の式(30)で記載される。
機構・弾性演算部68は、繰り込まれた粒子系S’における粒子の運動方程式を数値的に解くことにより、各粒子の位置ベクトル、速度ベクトルを更新する。この運動方程式で使用する力ベクトルとしては、ステップS118で求められた力ベクトルを使用する。
ステップS212は、ステップS116、ステップS118、ステップS120、を含む。
第1の繰り込み因子をα、第2の繰り込み因子をγ、第3の繰り込み因子をδ、空間の次元数をdとした場合、特許文献2によると、
N個の原子上にスピン(核磁気モーメント)μi(i=1、2、…、N)があるバルクを考える。バルク内部の核スピンμiが遠方に作る磁気誘導は、
Claims (6)
- 物体を複数の粒子からなる粒子系として記述した上で当該物体の振る舞いを解析する解析装置であって、
粒子間の相互作用による相互作用ポテンシャルエネルギを演算する相互作用演算部と、
各粒子に作用する磁場が満たすべき関係を粒子ごとに運動方程式の形式で記述した磁場の運動方程式を数値的に解くことにより各粒子に作用する磁場を演算する磁場演算部と、
前記相互作用演算部によって演算された相互作用ポテンシャルエネルギと前記磁場演算部によって演算された磁場とに基づき各粒子の運動を演算し、各粒子の位置を更新する機構・弾性演算部と、を備えることを特徴とする解析装置。 - 前記機構・弾性演算部は、前記相互作用演算部によって演算された相互作用ポテンシャルエネルギから導かれる粒子に働く第1の力と、前記磁場演算部によって演算された磁場から導かれる当該粒子に働く第2の力と、を足し合わせて当該粒子に働く合計の力とすることを特徴とする請求項1に記載の解析装置。
- 前記粒子系の外部から与えられる制御パラメータであって各粒子に作用する磁場に影響を及ぼす制御パラメータを更新する制御更新部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の解析装置。
- 前記粒子系は繰り込まれた粒子系であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の解析装置。
- 物体を複数の粒子からなる粒子系として記述した上で当該物体の振る舞いを解析する解析方法であって、
当該解析方法は、相互作用演算部と、磁場演算部と、機構・弾性演算部と、を備える解析装置において実行され、
前記相互作用演算部が、粒子間の相互作用による相互作用ポテンシャルエネルギを演算するステップと、
前記磁場演算部が、各粒子に作用する磁場が満たすべき関係を粒子ごとに運動方程式の形式で記述した磁場の運動方程式を数値的に解くことにより各粒子に作用する磁場を演算するステップと、
前記機構・弾性演算部が、演算された相互作用ポテンシャルエネルギと演算された磁場とに基づき各粒子の運動を演算し、各粒子の位置を更新するステップと、を含むことを特徴とする解析方法。 - 物体を複数の粒子からなる粒子系として記述した上で当該物体の振る舞いを解析する機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムであって、
粒子間の相互作用による相互作用ポテンシャルエネルギを演算する機能と、
各粒子に作用する磁場が満たすべき関係を粒子ごとに運動方程式の形式で記述した磁場の運動方程式を数値的に解くことにより各粒子に作用する磁場を演算する機能と、
演算された相互作用ポテンシャルエネルギと演算された磁場とに基づき各粒子の運動を演算し、各粒子の位置を更新する機能と、を前記コンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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