JP5241469B2 - シミュレーション方法及びプログラム - Google Patents

シミュレーション方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5241469B2
JP5241469B2 JP2008324091A JP2008324091A JP5241469B2 JP 5241469 B2 JP5241469 B2 JP 5241469B2 JP 2008324091 A JP2008324091 A JP 2008324091A JP 2008324091 A JP2008324091 A JP 2008324091A JP 5241469 B2 JP5241469 B2 JP 5241469B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle
particles
time
force
simulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008324091A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010146369A (ja
Inventor
大路 市嶋
良孝 大西
良太 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2008324091A priority Critical patent/JP5241469B2/ja
Publication of JP2010146369A publication Critical patent/JP2010146369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5241469B2 publication Critical patent/JP5241469B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

本発明は、シミュレーション方法及びプログラムに関する。特に、物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅で、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーション方法、及びそのシミュレーション方法をコンピュータで実行するプログラムに関する。
コンピュータを用いて物質科学全般の現象を探求する方法として、分子動力学法に基づく分子シミュレーションが知られている。分子シミュレーションによって、分子のポテンシャルエネルギや最安定構造等物質の特性を、分子レベルで解明することが可能である。
分子動力学法に基づく分子シミュレーションに関して、種々の研究がなされている。たとえば少ない計算量で分子動力学計算を実行するシミュレーション方法の発明が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
粒子シミュレーションの動解析を行う場合、摩擦力のモデル化が問題となる。
現在提案されている代表的な粒子法には、MPS(Moving Particle Semi-implicit)、SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)、DEM(Distinct Element Method)などがある。
これらの手法では、粒子の接触時にせん断力を決定し、その大きさが静止摩擦力を上回らないようにすることで摩擦力をモデル化している。また摩擦力は、接触粒子の運動を妨げる方向、すなわち接触時における粒子の相対速度の方向と反対方向に発生するとしている。
しかしながら粒子は、物体全体の重心運動に関わらず、常に高周波数で振動している。そのため上記の手法においては、粒子に働く摩擦力の方向は、物体全体の重心運動とは関係なく、原子の振動周期と同じオーダーで目まぐるしく変化することになる。ゆえに、これらの手法では、滑り摩擦時に要するエネルギを正しく計算できない可能性が高い。
図6(A)及び(B)を参照して、上述の内容を詳述する。
図6(A)に、物体全体の摺動の様子を示す。物体は摩擦力Fに逆らって、x軸正方向に距離Lだけ移動する。物体の重心は常にx軸正方向に移動している。この場合、物体には移動中、常に摩擦力Fがx軸負方向に作用しており、物体に作用する摩擦力の大きさの平均もFとなる。
図6(B)に物体の接触部粒子の挙動を示す。上述の粒子法によれば、摩擦力を受けるのは接触部の粒子のみであり、粒子の振動は物体の重心の運動方向と同じであるとは限らない。たとえば接触部の原子は、本図に示す軌跡を辿って、x軸正方向に距離Lを移動する場合がある。
本図に示す例においては、接触部の原子は最初の時間dtでx軸正方向に距離Lだけ移動する。続く時間dtではx軸負方向に距離Lだけ移動する。最後の時間dtではx軸正方向に距離Lだけ移動する。ここでL−L+L=Lを満たす。このとき距離Lを摺動する間に、接触部の原子に働く摩擦力の大きさは、最初の時間dtではx軸負方向にF、次の時間dtではx軸正方向にF、最後の時間dtではx軸負方向にFであるから、平均して働く摩擦力は、x軸負方向に、(F−F+F)/3=F/3 となり、図6(A)を参照して考察した結果とは異なってしまう。
このことは時間刻みdtを十分小さくしても、摺動距離を長くしても起こりうることであり、防止策としては、粒子の大きさを十分大きくとる、もしくは十分な時間的、空間的なアンサンブルをとることなどが考えられる。
しかしながら、粒子を大きくすると複雑な形状が再現できない、時間アンサンブルを十分とるとフィードバックが必要となり、計算に余分な時間がかかる、空間アンサンブルが十分とれない場合は用いることができない、などの問題点があり実用的ではない。
従来の粒子法における摩擦のモデルでは滑り摩擦によるエネルギ散逸が正しく評価できず、また、滑り摩擦と転がり摩擦とを区別して評価する必要がある。しかし現実の摩擦は、滑り摩擦と転がり摩擦とが混在して生じているため、そこに人為的な仮定を含むことは望ましくない。
特開2006−285866号公報
本発明の目的は、高精度なシミュレーションを実現するシミュレーション方法を提供することである。
また、高精度なシミュレーションを実現するシミュレーション方法を実行させるプログラムを提供することである。
本発明の一観点によれば、
物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅で、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの該物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーション方法であって、
(a)第1の物体を構成する第1の粒子と、第2の物体を構成する第2の粒子との、第1の時刻における相対速度に基づいて、前記第1の粒子と前記第2の粒子との相対運動で散逸されるエネルギが、前記第1の粒子と前記第2の粒子との摩擦によって散逸されるエネルギと等しいとして、前記第1の粒子及び前記第2の粒子に印加される摩擦力を算出する工程と、
(b)前記第1の粒子及び前記第2の粒子に働く力として、粒子間ポテンシャルに基づく力、外場から受ける力、及び前記工程(a)で算出された摩擦力を用いて、運動方程式を解くことにより、前記第1の時刻の次の第2の時刻における、前記第1の粒子、及び前記第2の粒子の位置を求める工程と
を有するシミュレーション方法が提供される。
本発明の他の観点によると、
物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅で、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの該物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーションを行うためにコンピュータを、
第1の物体を構成する第1の粒子、及び、第2の物体を構成する第2の粒子の初期状態を入力する手段、
前記第1の粒子と前記第2の粒子との、第1の時刻における相対速度に基づいて、前記
第1の粒子と前記第2の粒子との相対運動で散逸されるエネルギが、前記第1の粒子と前記第2の粒子との摩擦によって散逸されるエネルギと等しいとして、前記第1の粒子及び前記第2の粒子に印加される摩擦力を算出する手段、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子に働く力として、粒子間ポテンシャルに基づく力、外場から受ける力、及び前記摩擦力を用いて、運動方程式を解くことにより、前記第1の時刻の次の第2の時刻における、前記第1の粒子、及び前記第2の粒子の位置を求める手段、
前記第2の時刻における前記第1の粒子及び前記第2の粒子を表示する表示手段
として機能させるためのプログラムが提供される。
本発明によれば、高精度なシミュレーションを実現するシミュレーション方法を提供することができる。
また、高精度なシミュレーションを実現するシミュレーション方法を実行させるプログラムを提供することができる。
以下、物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅Δtで、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーション方法、及びそのシミュレーション方法をコンピュータで実行するプログラムの実施例について説明する。
質量mの粒子iと質量mの粒子jが摩擦した場合を考える。2つの粒子についての散逸方程式は、拡散係数γ(t)を用いて、下の式(1)及び(2)で表される。



・・(1)


・・(2)

ここでv、vは、それぞれ粒子i、jの速度を示す。
また、粒子jに対する粒子iの相対速度をv、粒子iと粒子jの重心の速度をvとすると、vとvは、それぞれ下の(3)、(4)式で表される。



・・(3)



・・(4)

(3)、(4)式を、v、vについて解くと、下の(5)、(6)式を得る。



・・(5)



・・(6)

式(3)、(5)を式(1)に代入して得られた式と、式(3)、(6)を式(2)に代入して得られた式とを連立することで、以下の式(7)及び(8)が導かれる。



・・(7)



・・(8)

ここで、



・・(9)

である。

式(8)を解くと、



・・(10)

が得られる。
式(7)、(10)より、散逸過程においては、重心の運動量は保存され、相対運動のエネルギが散逸されることがわかる。
以下、数値積分を実行する。式(8)を離散化すると、ある時刻nについて、



・・(11)

を得る。
式(11)を、v [n+1/2]及びv [n−1/2]についてまとめると、



・・(12)

となり、更にこれは、



・・(13)

と変形することができる。
一方、粒子iについての離散化された散逸方程式は、式(1)、(8)、(11)より、



・・(14)

と書ける。式(13)を式(14)に代入すると、



・・(15)

を得、これを整理すると、



・・(16)

となる。
ここで本願発明者らは、従来のように粒子に阻止力を加える摩擦モデルではなく、2粒子の相対運動で散逸されるエネルギを、摩擦によって散逸されるエネルギと関連づけて考える、たとえば両者を同等と考える摩擦モデルを導入することにした。
拡散係数γとクーロン摩擦力とを関係づけるために、2粒子の相対運動による散逸パワー(単位時間当たりの散逸エネルギ)と、摩擦による散逸パワーとを等しいとして、



・・(17)

すなわち、



・・(18)

という関係式を導入する。ここで、μは摩擦係数、Nは垂直抗力である。
式(16)に式(18)を代入し、代入した式の右辺に、粒子iに働く力のうち、粒子jとの間の摩擦力を除く力をfとして加えると、粒子iについての離散化された運動方程式(19)が得られる。



・・(19)

同様に、粒子jについても、粒子jに働く力のうち、粒子iとの間の摩擦力を除く力fを用いて、離散化された運動方程式(20)を得ることができる。



・・(20)

力f、fには、たとえば、重力、電磁力、原子間力等が含まれる。粒子i、jの運動は、運動方程式(19)、(20)を解くことによって把握される。式(19)、(20)から明らかなように、本願発明者らの提案する摩擦モデルによれば、粒子iが粒子jから受ける摩擦力Fは、



・・(21)

で表され、粒子jが粒子iから受ける摩擦力Fは、



・・(22)

で表される。
図1及び図2を参照して、実施例によるシミュレーション方法について説明する。
まず、シミュレーション方法全体の説明に先立って、図1を参照し、相互間に摩擦力を生じる粒子の決定方法について説明する。
たとえば物体Aを構成する粒子の1つである粒子pが、物体Bを構成する隣接粒子である粒子i、j、及びkの中心の張る平面において、粒子i、j、kの定める三角形(三角要素)に接触したとする。ここで隣接粒子とは、多数の粒子で構成される物体Bをボロノイ分割したときに、隣り合う粒子をいう。また、以下粒子の位置が問題となるときには、粒子の中心の位置を粒子の位置と考える。
粒子i、j、kの定める三角形の外心をC、外心Cから線分ijに下ろした垂線の足をHij、線分jkに下ろした垂線の足をHjk、線分kiに下ろした垂線の足をHkiとし、四角形iHijCHkiの周及び内部から、線分CHij及び線分CHkiを除いた領域を、粒子iの支配領域と定める。同様に、四角形jHjkCHijの周及び内部から、線分CHjk及び線分CHijを除いた領域を粒子jの支配領域、四角形kHkiCHjkの周及び内部から、線分CHki及び線分CHjkを除いた領域を粒子kの支配領域と定める。
また、線分CHij上の点は、粒子iの支配領域、粒子jの支配領域のいずれかに含める。同様に、線分CHjk上の点は、粒子j、kのいずれかの支配領域に含め、線分CHki上の点は、粒子k、iのいずれかの支配領域に含める。
そして粒子pが、粒子i、j、kのいずれの粒子の支配領域に存在するかを確認し、粒子pが存在する領域を支配する粒子との間に摩擦力が発生すると考える。たとえば粒子pが粒子iの支配領域に存在する場合、粒子pと粒子iとの間に、式(21)、(22)で表される摩擦力を導入する。そして両粒子p、iは、式(19)、(20)に則った相互作用をすると考える。また、粒子pが粒子iの支配領域に存在する場合、粒子pと粒子j、k間の摩擦力は0とする。
なお、上記摩擦力導入の考え方によれば、三角形ijkの周または内部に接触した粒子pは、粒子i、j、kのうち最も近い位置にある粒子との間に摩擦力を導入されることになる。
次に、図2に示すフローチャートを用いて、実施例によるシミュレーション方法を説明する。
実施例によるシミュレーション方法では、まずステップS101において、粒子の位置や速度など、シミュレーションを行うに当たっての初期状態を決定する。
次に、ステップS102において、粒子間のポテンシャル、及び外場が及ぼす力fを全ての粒子につき、粒子ごとに導出する。fは粒子によって異なりうる力である。
物体を構成する粒子同士は、互いに粒子間のポテンシャルにより結びついている。粒子間のポテンシャルは、たとえばバネやLennard−Jonesポテンシャルで表現される。どのようなポテンシャルを用いるかについては、ステップS101またはそれに先立って、シミュレーション実行者が任意に設定することができる。また、外場が及ぼす力とは、たとえば重力場や電磁場が各粒子に与える力を指す。外場の設定も、ステップS101またはそれに先立って、シミュレーション実行者が任意に行うことができる。
ステップS103では、たとえば物体Bを構成する任意の隣接粒子i、j、kの張る平面(粒子i、j、kの定める三角要素の周及び内部)に、物体Aを構成する任意の粒子pが接触しているか否かを判定する。
全ての粒子について接触していない場合には、物体A及びBを構成する粒子には、ポテンシャル場、及び外場からの力のみが作用するとして、摩擦力の導入は行わず、ステップS107に進み、物体A及びBを構成する全ての粒子につき、運動方程式を解いて、時間Δt後の粒子の位置を数値計算で求め、粒子を移動させる。
ステップS103において、粒子i、j、kの定める三角要素の周及び内部に、ある粒子pが接触している場合、ステップS104に進み、粒子pの接触点を含む領域を支配する粒子mを、粒子i、j、及びkのうちから決定する。決定方法は図1を参照し、前述した通りである。
ステップS105においては、ステップS104で決定された粒子mと、粒子pとの間に摩擦力を導入する。粒子pが粒子mから受ける摩擦力をf、粒子mが粒子pから受ける摩擦力をfとすると、f、fは、式(21)、(22)より、たとえば、



・・(23)



・・(24)

の両式を用いて計算される。
ステップS105における摩擦力の導入は、ステップS103で接触していると判定された全ての粒子、及び、ステップS104で決定された、それらの粒子の接触点を含む領域を支配する粒子について行われる。なお、摩擦力f、fは、粒子によって異なりうる力である。
ステップS106において、ステップS102で導出された力fに、ステップS105で導入された摩擦力を加える。これにより、摩擦関係の設定された粒子に働く力は、f+f、または、f+f(粒子によって異なりうる。)となる。また、他の粒子と摩擦関係にない粒子に働く力はf(粒子によって異なりうる。)となる。粒子ごとに働く力は、たとえば物体A及び物体Bを構成する全ての粒子につき決定される。
そしてステップS107において、物体A及びBを構成する全ての粒子につき、ステップS106で決定された力を用いて、運動方程式を解き、時間Δt後の各粒子の位置を数値計算で求め、各粒子を移動させる。
ステップS107で全ての粒子についての移動が終わったら、ステップS108にでシミュレーションを終了するか否かを決定する。終了を選択した場合は、ステップS109に進み、シミュレーションは完了する。終了しない場合は再びステップS102に戻り、ステップS102〜S108の工程を繰り返す。
実施例によるシミュレーション方法によれば、2粒子の相対運動で散逸されるエネルギを、摩擦によって散逸されるエネルギと関連づけて、たとえば両者を同等と考えて、摩擦モデルを導入することで、高精度のシミュレーションを実行することができる。
本願発明者らは、実施例によるシミュレーション方法の妥当性を、滑り摩擦を伴う運動、転がり摩擦を伴う運動の双方について検証した。
図3(A)及び(B)を参照して、滑り摩擦を伴う運動のシミュレーションの妥当性について説明する。
図3(A)に検証モデルを示す。大きな板の上に小さな板を載置し、小さな板の上面に10(N)の荷重を加えながら、側面を10(N)の力で引っ張る。上面への荷重は、小さな板の最表面を構成する粒子に均等に与えられ、側面を引く力は、当該側面の最表面を構成する粒子に均等に与えられるものとした。小さな板は、大きな板の上面を、引っ張り方向に等加速度直線運動を行う。
図3(B)に、摩擦係数を、0.0、0.1及び0.5としたときの加速度の理論値、及び、実施例によるシミュレーション方法を用いて行ったシミュレーションでの加速度値を示す。
摩擦係数が0.0の場合、加速度の理論値は、1.217×10(m/s)であり、実施例によるシミュレーションにおける加速度は、1.220×10(m/s)である。また、摩擦係数が0.1、0.5の場合、それぞれ加速度の理論値は、1.095×10(m/s)、6.083×10(m/s)であり、実施例によるシミュレーションにおける加速度は、1.098×10(m/s)、6.134×10(m/s)である。
実施例によるシミュレーション方法を用いて行ったシミュレーションでの加速度値と理論値との間の誤差は、すべての摩擦係数について1.0%未満である。このことから、実施例によるシミュレーション方法を用いて、高精度にシミュレーションを行えることがわかる。
次に、図4(A)及び(B)を参照して、転がり摩擦を伴う運動のシミュレーションの妥当性について説明する。転がり摩擦に関しては、円筒の側面を2枚の板で挟み、下側の板を固定し、上側の板を摺動する力学系を使って検証した。上側の板と円筒側面の固定点をマーカー(指標)とし、実施例によるシミュレーション方法でシミュレーションを行ったときのマーカーの動きを確認した。
図4(A)及び(B)に、シミュレーションにおけるマーカーの位置を示す。両図においては、矢印の方向に時間が進行している。また、図4(A)の右端写真に示される状態と、図4(B)の左端写真に示される状態との間にも、時間の経過がある。
時間の経過とともに、上側の板に付けられたマーカーと、円筒の側面に付けられたマーカーとが、前者は直線的に、後者は円周に沿って、ほぼ等しい距離だけ移動していることが認められる。実施例によるシミュレーション方法によれば、板の摺動に伴う円筒の転がり運動を適切にシミュレートすることが可能である。
このように、実施例によるシミュレーション方法を用いることによって、滑り摩擦、転がり摩擦を区別することなく、これらを伴う運動を自然に再現することができる。また、摩擦時に発生するエネルギを正しく評価することも可能である。このため、高精度のシミュレーションを行うことができる。
実施例によるシミュレーション方法は、プログラムにより、コンピュータで実行することができる。
図5は、実施例によるシミュレーション方法を用いてシミュレーションを行うシミュレーション装置のシステム構成図である。本図に構成を示したシミュレーション装置を使用して、図2にフローチャートで示したシミュレーション方法を実施することができる。
まず、キーボードなどの入力装置から、図2のS101に対応して、粒子位置や粒子の速度などの粒子の初期状態が入力される。また、これと同時に、またはこれに先立って、キーボードなどの入力装置から、粒子間のポテンシャルや外場を表現する関数を設定することができる。
中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、メインメモリ中の粒子の移動位置決定プログラムを実行する。
粒子の移動位置決定プログラムは、粒子間のポテンシャル及び外場から作用する力を、全ての粒子について導出する部分(図2のS102で示される部分)、物体Bを構成する隣接粒子i、j、及びkの定める三角要素の周及び内部に、物体Aを構成する粒子pが接触しているとき、粒子pの接触点を含む領域を支配する粒子(∈i、j、k)を決定する部分(図2のS103及びS104で示される部分)、粒子pと、粒子pの接触点を含む領域を支配する粒子(∈i、j、k)とが相互に及ぼし合う摩擦力を計算し、これを粒子間ポテンシャル及び外場が与える力に加算する部分(図2のS105及びS106で示される部分)、全ての粒子につき運動方程式を解いて移動位置を決定する部分(図2のS107で示される部分)に大別される。
図2を参照して説明したように、まず、入力装置から入力された情報に基づいて、全ての粒子について、粒子ポテンシャル場及び外場から受ける力が算出される。
次に、隣接粒子i、j、及びkの定める三角要素の周及び内部に、粒子pが接触しているか否かが判定され、接触している場合には、粒子pの接触点を含む領域を支配する粒子(∈i、j、k)が決定される。
そして粒子p、及び、粒子pの接触点を含む領域を支配する粒子(∈i、j、k)に作用する摩擦力が計算される。計算は、たとえば式(23)、(24)に基づいて行われる。摩擦力の算出は、物体Bを構成する任意の隣接3粒子の定める三角要素の周及び内部に接触している物体Aの全ての粒子、及びそれらの粒子の接触点を含む領域を支配する物体Bの粒子の全てについて行われる。
摩擦力は粒子間ポテンシャル場及び外場が与える力に加算され、各々の粒子について作用する力が求められる。
それから全ての粒子につき運動方程式を解いて、粒子の移動位置を決定する。
粒子の移動位置が決定されたら、たとえば2次元的、または3次元的に定められた座標系において、決定された移動位置に粒子を表示する。表示結果は、出力装置、たとえばディスプレイに表示される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
たとえば、実施例においては、図1を参照して支配領域を2次元的に説明したが、粒子の支配領域を3次元的に把握することも可能である。たとえば、粒子i、j、k等の支配領域を各粒子の含まれるボロノイ多面体の内部とし、物体Aの構成粒子pが、物体Bの構成粒子i、j、k等のいずれかの支配領域に属するようになったとき、粒子pと、粒子pが属するボロノイ多面体内の粒子との間に、式(21)、(22)で表される摩擦力を導入する。なお、ボロノイ面上の粒子pについては、当該ボロノイ面をはさむいずれの粒子の支配領域下においてもよい。
また、実施例においては、粒子pと、粒子i、j、kのいずれか1つの間に摩擦関係を導入した。粒子pと、複数粒子間に摩擦力を導入することもできる。この場合、粒子pと、各粒子との間に、重み付けをして摩擦力を設定することが可能である。
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
摩擦を伴う種々の現象のシミュレーション、特に機構や弾性の動解析に好適に利用することができる。機構や弾性の動解析における、摩擦によるロス、及び発熱エネルギの見積もりに応用することができる。
相互間に摩擦力を生じる粒子の決定方法について説明する図である。 実施例によるシミュレーション方法を説明するフローチャートである。 (A)及び(B)は、滑り摩擦を伴う運動のシミュレーションの妥当性について説明する図である。 (A)及び(B)は、転がり摩擦を伴う運動のシミュレーションの妥当性について説明する図である。 実施例によるシミュレーション方法を用いてシミュレーションを行うシミュレーション装置のシステム構成図である。 (A)及び(B)は、摩擦力を導入する従来モデルにおける問題点を説明するための図である。
符号の説明
S101〜S109 ステップ

Claims (6)

  1. 物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅で、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの該物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーション方法であって、
    (a)第1の物体を構成する第1の粒子と、第2の物体を構成する第2の粒子との、第1の時刻における相対速度に基づいて、前記第1の粒子と前記第2の粒子との相対運動で散逸されるエネルギが、前記第1の粒子と前記第2の粒子との摩擦によって散逸されるエネルギと等しいとして、前記第1の粒子及び前記第2の粒子に印加される摩擦力を算出する工程と、
    (b)前記第1の粒子及び前記第2の粒子に働く力として、粒子間ポテンシャルに基づく力、外場から受ける力、及び前記工程(a)で算出された摩擦力を用いて、運動方程式を解くことにより、前記第1の時刻の次の第2の時刻における、前記第1の粒子、及び前記第2の粒子の位置を求める工程と
    を有するシミュレーション方法。
  2. 前記第1の粒子が、前記第2の物体を構成する隣接する3つの粒子で形成される三角形の周または内部に接触し、前記第2の粒子が前記3つの粒子のうち、前記第1の粒子に最も近い粒子である請求項に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記第1の粒子が、前記第2の粒子が属するボロノイ多面体内にある請求項に記載のシミュレーション方法。
  4. 物体を粒子の集まりで表現し、ある時間刻み幅で、各粒子の挙動を数値計算することにより、時間軸上で離散的に分布する時刻ごとの該物体の状態を解析する粒子法におけるシミュレーションを行うためにコンピュータを、
    第1の物体を構成する第1の粒子、及び、第2の物体を構成する第2の粒子の初期状態を入力する手段、
    前記第1の粒子と前記第2の粒子との、第1の時刻における相対速度に基づいて、前記第1の粒子と前記第2の粒子との相対運動で散逸されるエネルギが、前記第1の粒子と前
    記第2の粒子との摩擦によって散逸されるエネルギと等しいとして、前記第1の粒子及び前記第2の粒子に印加される摩擦力を算出する手段、
    前記第1の粒子及び前記第2の粒子に働く力として、粒子間ポテンシャルに基づく力、外場から受ける力、及び前記摩擦力を用いて、運動方程式を解くことにより、前記第1の時刻の次の第2の時刻における、前記第1の粒子、及び前記第2の粒子の位置を求める手段、
    前記第2の時刻における前記第1の粒子及び前記第2の粒子を表示する表示手段
    として機能させるためのプログラム。
  5. 前記第1の粒子が、前記第2の物体を構成する隣接する3つの粒子で形成される三角形の周または内部に接触し、前記第2の粒子が前記3つの粒子のうち、前記第1の粒子に最も近い粒子である請求項に記載のプログラム。
  6. 前記第1の粒子が、前記第2の粒子が属するボロノイ多面体内にある請求項に記載のプログラム。
JP2008324091A 2008-12-19 2008-12-19 シミュレーション方法及びプログラム Active JP5241469B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008324091A JP5241469B2 (ja) 2008-12-19 2008-12-19 シミュレーション方法及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008324091A JP5241469B2 (ja) 2008-12-19 2008-12-19 シミュレーション方法及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010146369A JP2010146369A (ja) 2010-07-01
JP5241469B2 true JP5241469B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=42566735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008324091A Active JP5241469B2 (ja) 2008-12-19 2008-12-19 シミュレーション方法及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5241469B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5570307B2 (ja) * 2010-06-04 2014-08-13 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
JP5546439B2 (ja) * 2010-12-13 2014-07-09 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
JP5546440B2 (ja) * 2010-12-13 2014-07-09 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
JP6029457B2 (ja) * 2012-12-25 2016-11-24 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
JP6091402B2 (ja) * 2013-11-11 2017-03-08 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4666357B2 (ja) * 2005-04-04 2011-04-06 住友重機械工業株式会社 シミュレーション方法
JP4756920B2 (ja) * 2005-06-07 2011-08-24 キヤノン株式会社 粒子挙動解析装置、粒子挙動解析方法、プログラム及び記憶媒体
JP2006343936A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Brother Ind Ltd 粒子挙動シミュレーション方法、粒子挙動シミュレーション装置、プログラム、及び記録媒体。

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010146369A (ja) 2010-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5441422B2 (ja) シミュレーション方法及びプログラム
CN109643334B (zh) 反向模拟多根纤维
JP5241469B2 (ja) シミュレーション方法及びプログラム
Wang et al. Haptic simulation of organ deformation and hybrid contacts in dental operations
Magnenat-Thalmann et al. From Physics-based Simulation to the Touching of Textiles: The HAPTEX Project.
EP3751444A1 (en) Computer simulation of physical fluids on irregular spatial grids with stabilized explicit numerical diffusion
Quinn A new regularization of Coulomb friction
Teklemariam et al. A case study of phantom omni force feedback device for virtual product design
Röck Hardware in the loop simulation of production systems dynamics
Stanley et al. Deformable model-based methods for shape control of a haptic jamming surface
Fierz et al. Maintaining large time steps in explicit finite element simulations using shape matching
JP2011191848A (ja) 拡散現象解析方法、拡散現象解析装置およびプログラム
EP2808812A1 (en) Analysis device and simulation method
Masterjohn et al. Velocity level approximation of pressure field contact patches
JP6907016B2 (ja) 情報処理装置、その制御方法、プログラム
Li et al. Interactive elastic motion editing through space–time position constraints
Tian et al. A novel haptic stylus for mobile terminal
JP6091402B2 (ja) 解析装置および解析方法
Cao et al. An improved solution for deformation simulation of nonorthotropic geometric models
Greenwood et al. Method for Visualizing Radiation Data using Unreal Engine
Pavlik et al. Interacting with grasped objects in expanded haptic workspaces using the bubble technique
JP2010044710A (ja) シミュレーション方法及びプログラム
JP2004126925A (ja) 流体シミュレーションプログラム
Omar et al. Modeling of Soft Tissue Deformation Using Mass Spring Method with Nonlinear Volume Force
Yan et al. Force Feedback Rendering with Material Removal Rate in Virtual Clay Modeling

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121211

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130402

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5241469

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150