JP6618417B2 - 解析装置および解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子系を解析する解析装置および解析方法に関する。
近年、コンピュータの計算能力の向上に伴い、モータなどの電気機器の設計開発の現場では磁場解析を取り入れたシミュレーションがよく使用される。シミュレーションを使用すると、実際にプロトタイプを製作しなくてもある程度の評価が可能となるので、設計開発のスピードが向上しうる。
例えば特許文献1には、磁場解析を実行する演算処理装置を具えるモータ解析装置が記載されている。演算処理装置は、ユーザの操作に基づく外部指令に応じて、有限要素法による静磁場解析やマクスウェルの応力法によるトルク計算を実行する。有限要素法による静磁場解析のためにメッシュ分割が行われる。メッシュ分割は、コア領域及びハウジング領域、さらには外部空気層領域についても行われる。磁場解析の他の手法は差分法および磁気モーメント法を含む。
古典力学や量子力学等を基に計算機を用いて物質科学全般の現象を探るための方法として、分子動力学法をマクロスケールの系を扱えるように発展させた繰り込み群分子動力学法に基づくシミュレーションが知られている(例えば、特許文献2参照)。粒子法は静的な現象だけでなく流れなどの動的な現象をも取り扱えるので、主に静的な現象を解析対象とする上述の有限要素法などに代わるシミュレーション手法として注目されている。例えば、各粒子に磁気モーメントを付与し、各粒子の球対称性に基づく厳密解を利用して磁気的な物理量を演算することで、比較的精度の高いシミュレーション結果を高速に得ることのできる磁気ビーズ法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平11−146688号公報 特開2009−37334号公報 特開2015−111401号公報
Erik Bitzek他、「Structural Relaxation Made Simple」、Physical Review Letters、2006年10月27日、97 L.D.Landau、E.M.Lifshitz、L.P.Litaevskii著、「Electrodynamics of Continuous Media 2nd ed」、1984年1月1日、205ページ 桑原敏彦、武田毅著、「三次元ラプラス問題のための解析的積分を用いた境界要素法」、電気学会論文誌A 106巻11号、1986年、34ページ
上述の磁気ビーズ法では、対象物を複数個の要素に分割し、各要素を球形状の粒子とみなして球対称性に基づく厳密解を利用して演算している。このとき、対象物を複数の粒子で充填させようとすると粒子間に隙間が生じるため、その隙間や球形状の粒子に起因する誤差が生じうる。計算精度を高めるためには、対象物を立方体などのボクセルで隙間なく分割し、ボクセルの形状に応じた厳密解に基づく面積分を実行する必要があるが、面積分を高精度で計算しようとすると計算時間が膨大となる。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気ビーズ法による演算処理の精度向上および高速化を両立させた解析技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の解析装置は、仮想空間内に定義される粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する磁気モーメント付与部と、磁気モーメントが付与される基準粒子が作る磁場の数値解を基準粒子の周りに設定される複数の格子点ごとにあらかじめ算出し、基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と磁場の数値解のベクトル量との対応関係を複数の格子点ごとに保持する基準データ保持部と、基準データ保持部に保持される対応関係を用いて、磁気モーメント付与部によって磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場を演算する磁場演算部と、磁場演算部における演算結果を用いて、各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算する粒子状態演算部と、を備える。
本発明の別の態様は、解析方法である。この方法は、仮想空間内に定義される粒子系の粒子に磁気モーメントを付与し、磁気モーメントが付与される基準粒子が作る磁場の数値解を基準粒子の周りに設定される複数の格子点ごとにあらかじめ算出し、基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と磁場の数値解のベクトル量との対応関係を複数の格子点ごとに保持し、あらかじめ算出して保持される対応関係を用いて、磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場を演算し、各粒子が作る磁場の演算結果を用いて、各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算する。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、シミュレーションにおいて磁気的な現象を好適に扱うことができる。
実施の形態に係る解析装置の機能および構成を示すブロック図である。 図1の粒子データ保持部の一例を示すデータ構造図である。 図1の解析装置における一連の処理の一例を示すフローチャートである。 n=1次までの展開に対応する計算結果を示す図である。 n=2次までの展開に対応する計算結果を示す図である。 n=3次までの展開に対応する計算結果を示す図である。 n=4次までの展開に対応する計算結果を示す図である。 球面調和関数の次数と計算値との関係を示す図である。 ヒステリシスカーブを示す図である。 ビーズにより構成される導体球の解析モデルを示す図である。 導体球表面での時間変化する磁界の計算値を示すグラフである。 計算値の位相誤差と振幅誤差を示すグラフである。 導体球表面での磁界、電流および電磁力の計算値を示すグラフである。 基準粒子の周りに設定される近傍領域および遠方領域を模式的に示す図である。 近接する複数の格子点の磁場から観測点の磁場を算出する方法を模式的に示す図である。 近傍領域の任意の座標にて磁場を演算するために必要となる格子点を模式的に示す図である。 図17(a)、(b)、(c)は、立方体表面の面積分を実行する方法の一例を模式的に示す図である。 微小三角形の面積分を実行する方法を模式的に示す図である。 実施の形態に係る解析装置の機能および構成を示すブロック図である。 図20の解析装置における一連の処理の一例を示すフローチャートである。 図20のS36の処理の詳細を示すフローチャートである。 面積分による磁場の厳密解と双極子近似による磁場の数値解を比較したグラフである。 図23(a)、(b)は、本実施の形態に係る計算結果を示す図である。 本実施の形態に係る計算結果を示すグラフである。
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
(第1の実施の形態)
古典力学や量子力学等を基に計算機を用いて物質科学全般の現象を探るための方法として、分子動力学法(Molecular Dynamics Method、以下MD法と称す)や、量子分子動力学法(Quantum Molecular Dynamics Method)や、MD法をマクロスケールの系を扱えるように発展させた繰り込み群分子動力学法(Renormalized Molecular Dynamics、以下RMD法と称す)に基づくシミュレーションが知られている(例えば、特許文献2参照)。正確にはMD法やRMD法は運動論的手法(物理量の算出には統計力学を使う)であり、粒子法は、連続体を記述する微分方程式を離散化する手法であり、別ものであるが、ここではMD法やRMD法も粒子法と呼ぶ。
粒子法は静的な現象だけでなく流れなどの動的な現象をも取り扱えるので、主に静的な現象を解析対象とする上述の有限要素法などに代わるシミュレーション手法として注目されている。
粒子法には、連続体を粒子で離散化することにより解析対象の粒子系を得る、という微分的な見方がある。例えば、粒子法において流体を扱う場合、ナビエストークス(Navier-Stokes)方程式を粒子で離散化することが多い。
一方、粒子法の別の見方として、多くの粒子を集めて連続体を形成する、という積分的な見方もある。これは例えば、小さな鉄の粒を集めて固めて大きな鉄球を形成するという見方である。
一般に、多くの磁気モーメントが存在する空間内のある点の磁場を求める場合、重ね合わせの原理により、各磁気モーメントがその点に作る磁場を磁気モーメントに亘って足し合わせる。本発明者は、このような磁気モーメントの集まりから磁場を求める手法と、積分的な見方をした場合の粒子法と、の親和性を独自に見い出し、粒子法における粒子に磁気モーメントを付与することに想到した。これにより、対流や大変形の解析に強いという粒子法の利点を維持しつつ、粒子法の適用範囲を磁場解析にまで広げることが可能となる。
さらに、本発明者は、粒子法における各粒子に付与される磁気モーメント同士の相互作用項に加えて各粒子に誘起される誘導磁化を考慮に入れることで、粒子法の適用範囲を電磁誘導現象を含む動磁場解析にまで拡張できることに想到した。これにより、誘導モータにおける固定子と回転子の相互作用といった、大変形を伴うとともに電磁誘導の考慮が必要な物理現象に対して、粒子法による動磁場解析を実現することができる。
図1は、実施の形態に係る解析装置100の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
本実施の形態ではRMD法に倣って粒子系を解析する場合について説明するが、繰り込みを行わないMD法やDEM(Distinct Element Method)やSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)やMPS(Moving Particle Semi-implicit)などの他の粒子法に倣って粒子系を解析する場合にも、本実施の形態に係る技術的思想を適用できることは本明細書に触れた当業者には明らかである。
解析装置100は入力装置102およびディスプレイ104と接続される。入力装置102は、解析装置100で実行される処理に関係するユーザの入力を受けるためのキーボード、マウスなどであってもよい。入力装置102は、インターネットなどのネットワークやCD、DVDなどの記録媒体から入力を受けるよう構成されていてもよい。
解析装置100は、粒子系取得部108と、磁気モーメント付与部110と、数値演算部120と、表示制御部118と、粒子データ保持部114と、を備える。
粒子系取得部108は、入力装置102を介してユーザから取得する入力情報に基づき、1、2または3次元の仮想空間内に定義されるN(Nは自然数)個の粒子からなる粒子系のデータを取得する。粒子系はRMD法を使用して繰り込まれた粒子系である。
粒子系取得部108は、入力情報に基づき仮想空間内にN個の粒子を配置し、配置されたそれぞれの粒子に速度を付与する。粒子系取得部108は、配置された粒子を特定する粒子IDと、その粒子の位置と、その粒子の速度と、を対応付けて粒子データ保持部114に登録する。
磁気モーメント付与部110は、入力装置102を介してユーザから取得する入力情報に基づき、粒子系取得部108によって取得された粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する。例えば、磁気モーメント付与部110は、ディスプレイ104を介してユーザに、粒子系の粒子の磁気モーメントの入力を求める。磁気モーメント付与部110は、入力された磁気モーメントを粒子IDと対応付けて粒子データ保持部114に登録する。
以下では粒子系の粒子は全て同質または同等なものとして設定され、かつ、ポテンシャルエネルギ関数は2体のポテンシャルであって粒子によらずに同じ形を有するものとして設定される場合について説明する。しかしながら、他の場合にも本実施の形態に係る技術的思想を適用できることは、本明細書に触れた当業者には明らかである。
数値演算部120は、粒子データ保持部114によって保持されるデータが表す粒子系の各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算する。特に数値演算部120は、離散化された粒子の運動方程式にしたがった繰り返し演算を行う。粒子の運動方程式は磁気モーメントに依存する項を有する。
数値演算部120は、磁場演算部121と、力演算部122と、粒子状態演算部124と、状態更新部126と、終了条件判定部128と、を含む。
磁場演算部121は、粒子データ保持部114によって保持されるデータが表す粒子系が生成する磁場を演算する。磁場演算部121は、粒子データ保持部114によって保持される各粒子の磁気モーメントに基づいて磁場を演算する。磁場は、粒子系に関連する磁気的な物理量である。磁場演算部121は磁場の代わりにまたは磁場に加えて磁束密度や磁化を演算してもよい。
力演算部122は粒子データ保持部114によって保持される粒子系のデータを参照し、粒子系の各粒子について、粒子間の距離に基づきその粒子に働く力を演算する。粒子に働く力は、磁気モーメント間の相互作用に基づく力を含む。力演算部122は、粒子系のi番目(1≦i≦N)の粒子について、そのi番目の粒子との距離が所定のカットオフ距離よりも小さな粒子(以下、近接粒子と称す)を決定する。
力演算部122は、各近接粒子について、その近接粒子とi番目の粒子との間のポテンシャルエネルギ関数およびその近接粒子とi番目の粒子との距離に基づいて、その近接粒子がi番目の粒子に及ぼす力を演算する。特に力演算部122は、その近接粒子とi番目の粒子との距離の値におけるポテンシャルエネルギ関数のグラジエント(Gradient)の値から力を算出する。力演算部122は、近接粒子がi番目の粒子に及ぼす力を全ての近接粒子について足し合わせることによって、i番目の粒子に働く力を算出する。
粒子状態演算部124は粒子データ保持部114に保持される粒子系のデータを参照し、粒子系の各粒子について、離散化された粒子の運動方程式に力演算部122によって演算された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する。本実施の形態では、粒子状態演算部124は粒子の位置および速度の両方を演算する。
粒子状態演算部124は、力演算部122によって演算された力を含む離散化された粒子の運動方程式から粒子の速度を演算する。粒子状態演算部124は、粒子系のi番目の粒子について、蛙跳び法やオイラー法などの所定の数値解析の手法に基づき所定の微小な時間刻みΔtを使用して離散化された粒子の運動方程式に、力演算部122によって演算された力を代入することによって、粒子の速度を演算する。この演算には以前の繰り返し演算のサイクルで演算された粒子の速度が使用される。
粒子状態演算部124は、演算された粒子の速度に基づいて粒子の位置を算出する。粒子状態演算部124は、粒子系のi番目の粒子について、所定の数値解析の手法に基づき時間刻みΔtを使用して離散化された粒子の位置と速度の関係式に、演算された粒子の速度を適用することによって、粒子の位置を演算する。この演算には以前の繰り返し演算のサイクルで演算された粒子の位置が使用される。
状態更新部126は、粒子データ保持部114に保持される粒子系の各粒子の位置および速度のそれぞれを、粒子状態演算部124によって演算された位置および速度で更新する。
終了条件判定部128は、数値演算部120における繰り返し演算を終了すべきか否かを判定する。繰り返し演算を終了すべき終了条件は、例えば繰り返し演算が所定の回数行われたことや、外部から終了の指示を受け付けたことや、粒子系が定常状態に達したことである。終了条件判定部128は、終了条件が満たされる場合、数値演算部120における繰り返し演算を終了させる。終了条件判定部128は、終了条件が満たされない場合、処理を力演算部122に戻す。すると力演算部122は、状態更新部126によって更新された粒子の位置、速度で再び力を演算する。
表示制御部118は、粒子データ保持部114に保持されるデータが表す粒子系の各粒子の位置、速度、磁気モーメントに基づき、ディスプレイ104に粒子系の時間発展の様子やある時刻における状態を表示させる。この表示は、静止画または動画の形式で行われてもよい。
図2は、粒子データ保持部114の一例を示すデータ構造図である。粒子データ保持部114は、粒子IDと、粒子の位置と、粒子の速度と、粒子の磁気モーメントと、を対応付けて保持する。
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
以上の構成による解析装置100の動作を説明する。
図3は、解析装置100における一連の処理の一例を示すフローチャートである。粒子系取得部108は、RMD法に倣って繰り込まれた粒子系を取得する(S12)。磁気モーメント付与部110は、取得された粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する(S14)。磁場演算部121は、粒子系によって生成される磁場を演算する(S16)。力演算部122は、粒子間の距離と各粒子の磁気モーメントから粒子に働く力を演算する(S18)。粒子状態演算部124は、演算された力を含む粒子の運動方程式から粒子の速度と位置を演算する(S20)。状態更新部126は、粒子データ保持部114に保持される粒子の位置、速度を演算された位置、速度で更新する(S22)。終了条件判定部128は、終了条件が満たされるか否かを判定する(S24)。終了条件が満たされない場合(S24のN)、処理はS16〜S22のステップを繰り返す。終了条件が満たされる場合(S24のY)、表示制御部118は、演算結果を出力する(S26)。
粒子法は一般に、流体や分離現象や切断加工などの動的な解析対象をより好適に扱える。
そして本実施の形態に係る解析装置100によると、粒子法による解析と磁気モーメントに基づく磁場解析とを連成することができる。したがって、動的な解析対象を、磁場などの磁気的な性質も含めてより精度高くかつ短時間で解析することが可能となる。
例えば解析対象が砂鉄の場合、従来の有限要素法などのメッシュベースの解析手法ではメッシュを好適に設定することができないので、うまくシミュレーションすることが困難である。そこで本実施の形態に係る解析装置100によると、砂鉄の磁性を考慮に入れた形で砂鉄を粒子法で好適に解析することができる。
また例えば解析対象がモータの場合、固定体に対して回転体が回転するので、やはりメッシュベースの解析手法は不向きであり静解析に止まる。そこで、本実施の形態に係る解析装置100によると、回転体の回転を粒子法により高精度にシミュレーションしつつ、回転体と固定体との磁気的相互作用を動的に扱うことができる。さらに、誘導モータのように電磁誘導現象を含む解析対象であっても、電磁誘導現象を考慮に入れた誘導磁化と、誘導磁化に基づいた磁気モーメントを付与することにより、磁場の時間変化を加味した磁気的相互作用を扱うことができる。
以下、解析装置100で使用される解析手法の原理について説明する。
磁場はマクロなベクトルポテンシャル:
から以下の様に求まる。スピンの向きをz軸に取り、aを原子半径とする。格子点jにある1個のスピンが作る磁場はスピンSjz(磁気モーメントmjz)を発生させる円電流を
とし、
ここで、
n=0のみを残すと一様に磁化:
した球の作る磁場と同等になる。
なお、真球のバルク材に本手法を適用する場合、n=0のみ採用すると、一様な磁化が得られず、磁気モーメント法と同様な結果になる。高次の項を加える事で改善できる。FEMは一様になる。
デカルト座標系に変換(
を使って、)すれば
ここで、sinθ=0のときは、Bθ=0から、B=B=0であることに注意する。磁気モーメントm、mがx軸、y軸にそれぞれ平行なときの磁場
も同様に求まる。
における磁場
(N個のスピンからの寄与)は
ここで、
は全外場を意味する。P−14とP−15を連立することで, 磁気モーメントm が求まる。磁性体外部に生じる磁場は、P−15であり、磁性体内部に生じる磁場は、
P−14は球体表面に生じる磁化による反磁場が考慮され、
を満足する。
P−13はマトリクスが優対角でない(j=pが除外されている) から収束は遅い。そこで、以下の運動方程式から解を得る。
ここで、m=5×10−2dtは仮想質量、γ=m/(10dt)は、減衰係数である。
FIRE(非特許文献1参照)を追加すればさらに高速化が可能。以下にFIREのコードを示す。なお、粒子数802、残差<10−8における計算で10.05[s]である。FIRE無しでは、残差が10−5以下にならなかった。
以下にLegendre 関数と倍Legendre 関数の特別な場合を列挙する。(x:=cosθ
以下に、x軸方向にBox=0.1[T]の一様な外場においた磁性球(帯磁率が999)の磁化
を計算した結果を示す。球を構成する粒子(原子)数は4009個とし、fcc構造に配置した。厳密解は
である。図4、図5、図6、図7に多重極展開の1次〜4次までの結果を示す。共に中心を通過する断面を表示した。多重極展開の次数を上げると, 厳密解と良く合う事が判る。次数が低いと収束が悪い。また計算時間の大半は球面調和関数の呼び出しである。
図4は、n=1次までの展開に対応する計算結果を示す図である。厳密解μ=0.2991[T]に対し計算値は平均0.346231[T]である。磁化は外場B=0.1[T]に平行かつ一様であることが確認できる。残差1e−13以下で、計算時間は約80分であった。
図5は、n=2次までの展開に対応する計算結果を示す図である。厳密解μ=0.2991[T]に対し計算値は平均0.321891[T]である。磁化は外場B=0.1[T]に平行かつ一様であることが確認できる。残差1e−8以下で、計算時間は約3 時間であった。残差は1e−9以下に落ちなかった。
図6は、n=3次までの展開に対応する計算結果を示す図である。厳密解μ=0.2991[T]に対し計算値は平均0.312444[T]である。磁化は外場B=0.1[T]に平行かつ一様であることが確認できる.
図7は、n=4次までの展開に対応する計算結果を示す図である。厳密解μ=0.2991[T]に対し計算値は平均0.312222[T]である。磁化は外場B=0.1[T]に平行かつ一様であることが確認できる。約5時間後において、残差は1e−9以下に落ちなかった。
図8は、球面調和関数の次数と計算値との関係を示す図である。次数を上げると厳密解に近づくことが分かる。
解析装置100で使用される解析手法の原理を、次のように説明することもできる。
は原子核の質量、mは電子の質量である。eは原子核と電子の電荷(の絶対値)である。最終的に電荷は電流に置き換わり、電子の質量は原子核の質量と和して原子の質量Mとなるから、陽には現れない。δVは磁性球の体積、mは仮想質量、λはラグランジェの未定常数である。厳密に拘束を満足させるには、SHAKE法に代表される収束計算が必要であるが、本手法ではλ=1として、正解の周りの微小振動を誤差として扱う。
スピンの向きをz軸に取り、aを原子半径とする。格子点jにあるスピンSjz(磁気モーメントmjz)を発生させる円電流は
であるから、磁場はマクロなベクトルポテンシャル:
から以下の様に求まる。
ここで、
n=0のみを残すと一様に磁化:
した球の作る磁場と同等になる。
デカルト座標系に変換(
を使って、)すれば
ここで、sinθ=0のときは、Hθ=0から、H=H=0であることに注意する。磁気モーメントm、mがx軸、y軸にそれぞれ平行なときの磁場
も同様に求まる。
におけるモーメントが感じる外磁場
(N個のスピンからの寄与) は
誘導磁場
は、p点が導体内部である場合、
p点が導体外部である場合、
、Cは、例えば、非特許文献2に示される式において
となる極限と比較したときの補償係数であり、C=1/3、C=3/5の値をとる。
ここで、Q−21の右辺第1項(またはQ−21−2)は、時間変化する外部磁場により各粒子に誘起される誘導磁化Mantを表す項である。また、Q−21の右辺第2項およびQ−22の右辺は、Q−21−4式で表される各粒子の誘導磁化に基づいた磁気モーメントmant同士の相互作用により得られる磁場を表す項である。誘導磁場をこのように表すことで、時間変化する外部磁場による影響を考慮した動磁場解析を実現することができる。
なお、繰り込みに際し、電気伝導度σは
であり、今はδ=2としている。
Q−21−2右辺のLagrange 微分
は、粒子法であるから
で置き換えることが出来る。ただし、磁化の並進移動は粒子の移動により考慮されるが、磁化ベクトルの回転は別に考慮する必要がある(ランダウ=リフシッツ、電磁気学、§51)。
磁性体内部に生じる磁場は、
であり、全外場H(x)と、磁化M(H)との関係は、
である。Q−26とQ−27を連立することで、磁気モーメント
が求まる。また、磁性体外部の磁場は、
となる。
非線形磁化とヒステリシス
Q−27とQ−24から磁場
を消去する:
Q−28を解くことで
が得られる(図9にはB=f(H)の場合を示す)。
図9は、ヒステリシスカーブを示す図である。ヒステリシスカーブとB+2μH=3Bの交点からMを求める。今
を永久磁化とするB−Hカーブ:
が与えられたとする。
と連立し
を得る。一般のB=f(H)に対しては、Newton-Laphson法で解く。
磁場の粒子化法
Q−19はマトリクスが優対角でない(j=pが除外されている)から収束は遅い。そこで、以下の運動方程式から解を得る。
ここで、H(x)は、Q−26により表される。また、mは仮想質量である。推奨値は250×dt×dtである。mを十分小さく取れば、正解の周りの微小な減衰振動が起こり、誤差を小さくできる。
模型を考える:
減衰項を持つ強制振動の解(Landau and Lifshitz,Mechanics,Sec.26) は
を考えれば、
と成る。即ちmを十分小さく取れば、解くべき本来の方程式
の解に一致する。
離散化
蛙飛び法(速度はnとn+1の中間点における評価)に従い離散化すれば、収束回数をsと書き、
ここで、誘導磁場Hind(x)の離散化において、
ととる。このとき、対角要素のみ未来を使えば、陽的解法に出来、約30%程度効率改善になる。計算の大半は特殊関数の呼び出しである。
FIREによる高速化:静磁場解析にのみ有効
FIRE(非特許文献1参照)を追加すればさらに高速化が可能。以下にFIREのコードを示す。なお、粒子数802、残差<10−8における計算で10.05[s]である。FIRE無しでは、残差が10−5以下にならなかった。
精度検証:球体の一様磁化
図10は、ビーズにより構成される導体球の解析モデルを示す図である。精度検証では、x軸方向にHext,x=Hsin(2πft)となる空間一様な外部磁界を印加した。ここで、H=7.958×10[A/m]、f=200[Hz]、導体球の半径A=10[mm]、電気電導率σ=59×10[S/m]とした。導体球を構成する粒子(原子)数は、6099個とし、fcc構造に配置した。
図11は、導体球表面での時間変化する磁界の計算値を示すグラフであり、導体表面近傍に位置する粒子の重心位置(rx=9.89[mm]、ry=rz=0)上の磁界Hxの時間変化を示す。なお、本図では、シミュレーションによる計算結果とともに、外部磁界および厳密解による値も示している。誘導磁界の影響により、導体内部の磁界が外部磁界に対して位相が遅れて変化する様子を再現することができており、計算結果と厳密解の傾向は良く一致することが示された。
図12は、計算値の位相誤差と振幅誤差を示すグラフであり、x軸上に位置する粒子の重心位置における磁界の位相誤差εphaseと振幅誤差εamplitudeを示す。位相誤差εphaseおよび振幅誤差εamplitudeは、
と定義した。ここで、θexactは厳密解の位相、θMBMは解析結果の位相である。また、Hexactは厳密解により得られた磁界、HMBMは解析結果の磁界である。なお位相誤差は、Hexactが最大となる位相θexactと、HMBMが最大となる位相θMBMとを比較した。図12より、x軸上における解析結果と厳密解の磁界の位相誤差は最大で5.86%、振幅誤差は6.38%となり、厳密解と比較して精度の高い解析結果が得られることが示された。
Legendre関数の級数表示
以下にLegendre関数と倍Legendre関数の特別な場合を列挙する。(x:=cosθ
粒子に働く力の導出
粒子(電子と核)と、粒子磁場間の相互作用を記述するLagrangeanは
である。ベクトルポテンシャル
と電磁場の関係は、
である。
を使い、以下の運動方程式を得る。
原子M=M+mに対する運動方程式は、
となる。右辺:Lorentz力を平均電流密度
、電気モーメントを
で置き換えると
Maxwellの方程式とQ−24から
最終的に原子に働く力は、電気分極を無視し、
となる。
粒子に働く力は、直接Maxwellの応力テンソルからも求まる。
球に局在した電流が作るモーメント
に作用する力は、最低の次数では
である。従い、ポテンシャルエネルギーは、電気分極によるポテンシャルエネルギーを合わせて、
となるが、渦電流や真電流を包含しない。
結局、
を計算すれば磁性球に働く磁力が求まる。
磁化による電流
と渦電流
を完全に切り分けることは恐らく出来ないが、それぞれ、
微係数の計算
以下に必要な微分係数を書き出す。
等からrpj>aのみ列挙すると(なお、
はsinθに比例するから、θ=0で発散は無い)、
磁気モーメントが作る磁化電流の計算
z軸に平行に磁化したとき
今一度、z軸に磁化したときの磁場を書く
磁化電流を
と書けば、磁化により生じる磁力

である。先ず、
を求める。
x軸に平行に磁化したとき
x軸に磁化したときの磁場を書く:
磁化電流
を求める。
y軸に平行に磁化したとき
y軸に磁化したときの磁場を書く:
磁化電流
を求める。
誘導磁界が作る渦電流の計算
導体内部の誘導磁場は、Q−21より、
となる。渦電流は
なお、上式R−52−2は、R−12において、球面調和関数の展開次数n=0とした場合と同じである。
粒子に働く力の計算
、m、mと渦電流による寄与を加えれば、全電流が得られる。
座標
に粒子に働く力は
最後に
の微分から出てくる項を付加する必要がある。これは磁場の誤差
から生じる見かけの力であり、運動と磁場の全エネルギーを保存させる。
(第2の実施の形態)
上述の第1の実施の形態では、Q−21の右辺第1項に示される誘導磁化と、右辺第2項に示される磁気モーメントの相互作用とにより表される誘導磁場の式(Q−21)を用いて動磁場解析を行う場合を示した。本実施の形態では、Q−21の式を用いる代わりに、ベクトルポテンシャルの微分方程式から導出されるベクトルポテンシャルの厳密解を利用して誘導磁場を定式化する。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に述べる。
ベクトルポテンシャルAについて、以下の微分方程式が成立する。
上記微分方程式の解は、
となる。ここで、
として、各粒子に分割すれば、各粒子の位置rでのベクトルポテンシャルは、
となる。ここで、vは各粒子の体積である。なお、jの和に際し、ベクトル
が粒子表面を横切る場合には和を取らない。また、粒子径aが満たすべき条件は、
である。
このとき、各対象物を粒子に分割することにより、ベクトルポテンシャルAの並進対称性を失うおそれがある。そこで、本発明者は、下記S−4に示されるゲージ変換を導入することにより、ベクトルポテンシャルAの並進対称性を回復できることを見いだした。なお、このゲージ変換を本明細書において「ビーズゲージ」ともいう。
ここで、ベクトルgは、計算対象とする粒子群(粒子数:N)に関する局所重心ベクトルであり、
で表される。したがって、ベクトルgは、粒子群の重心位置を表している。また、S−4に示すビーズゲージは、磁束密度Bと局所重心ベクトルgの外積を用いて記述されると言える。
上記のビーズゲージについて、磁束密度BとベクトルポテンシャルAの関係式
を求めれば、
となる。したがって、粒子数Nが十分に大きければ、並進対称性が満たされることがわかる。
ここで、S−4に示すゲージ変換から、S−3の右辺に含まれるベクトルポテンシャルの時間微分
を磁束密度Bの時間微分を用いて以下のように表すことができる。
さらに、ベクトルdjiを、
とすると、ベクトルポテンシャルの時間微分は、
と表される。したがって、S−3にS−9を代入して積分を実行すれば、ベクトルポテンシャルAの厳密解を磁束密度Bの時間微分を用いて記述できる。
ベクトルポテンシャルAの厳密解を導出するため、まず、磁束密度Bのz成分の時間微分である、
のみが作用する場合の積分を実行する。これにより、ベクトルポテンシャルAは、
となる。磁束密度Bのx成分およびy成分の時間微分である、
の寄与も加えれば、
が得られる。
解析対象とする導体内部を記述する誘導磁場Hは、
の関係式より、
となる。ここで、
と置換すると、誘導磁場Hの式として、
が得られる。
磁場演算部121は、粒子系により生成される誘導磁場を、S−13に示す誘導磁場の式を用いて演算する。誘導磁場の時間変化値を得るための計算は、上述の第1の実施の形態で示したものと同様の方法を用いればよい。磁場演算部121は、得られた誘導磁場から電流密度を計算してもよい。また、力演算部122は、得られた磁場および電流の値から、各粒子に作用する電磁力を計算してもよい。
本実施の形態において、S−5に示す局所重心ベクトルgは、互いに同電位となる粒子群に対して導入され、電気的に互いに絶縁される複数の粒子群に対しては、それぞれ別の局所重心ベクトルが導入される。例えば、解析対象とする粒子系において、互いが電気的に絶縁される複数の部分を有する場合、それぞれの部分を構成する粒子群に対して重心位置の異なる局所重心ベクトルが適用される。また、解析対象とする物体が時間経過とともに変形して複数の物体に分裂し、分裂した部分同士が互いに絶縁した状態となる場合には、それぞれの部分を構成する粒子群に対して重心位置の異なる局所重心ベクトルを適用する。
したがって、解析対象の粒子系に、電気的に互いが絶縁される第1粒子群および第2粒子群を含む複数の粒子群が配置される場合、磁場演算部121は、それぞれの粒子群に対応する誘導磁場の式を用いて解析をする。例えば、第1粒子群における誘導磁場は、第1粒子群の重心位置を表す第1局所重心ベクトルを用いたゲージ変換により導出される第1の誘導磁場の式を用いて演算される。また、第2粒子群における誘導磁場は、第2粒子群の重心位置を表す第2局所重心ベクトルを用いたゲージ変換により導出される第2の誘導磁場の式を用いて演算される。より具体的には、S−13に示す誘導磁場の式において、右辺第1項に含まれるdijがそれぞれの粒子群での計算において異なる値をとることとなる。
本実施の形態に係る誘導磁場の式(S−13)を用いた解析手法について精度検証を行った。第1の実施の形態と同様に、図10に示す導体球の解析モデルを用い、x軸方向にHext,x=Hsin(2πft)となる空間一様な外部磁界を印加した。計算条件は、H=7.948×10[A/m]、f=100[Hz]、導体球の半径A=10[mm]、電気電導率σ=59×10[S/m]とした。導体球を構成する粒子(原子)数は、6099個とし、fcc構造に配置した。
図13は、導体球表面での磁界、電流密度および電磁力の計算値を示すグラフである。本図は、導体表面近傍に位置する粒子の重心位置における、(a)磁界Hx、(b)電流密度jz、(c)電磁力Fyの時間変化を示す。本図では、厳密解の値を実線で、計算値を破線で示している。図示されるように、本実施の形態に係る解析手法を用いると、計算結果と厳密解がよく一致することがわかった。
(第3の実施の形態)
上述の第1の実施の形態では、対象物を粒子に分割し、各粒子の球対称性に基づく厳密解を利用することで、高速かつ精度の優れた演算結果を得ている。しかしながら、連続体である対象物を粒子で分割すると粒子間に隙間が生じるため、その隙間に起因する計算誤差がどうしても生じてしまう。特に、粒子間の距離が近い場合の粒子近傍の磁場を計算する場合に誤差の影響が大きくなる。計算精度を高めるためには、対象物を立方体やボロノイ多面体といったボクセルに分割し、これらのボクセルにより隙間なく対象物を分割する必要がある。この場合、ボクセルの形状に応じた厳密解に基づく面積分を実行する必要があるため計算時間が膨大となる。
本実施の形態では、粒子近傍の磁場を演算する場合にボクセル形状に応じた厳密解を利用し、近似による誤差がほぼ無視できる粒子遠方の磁場を演算する場合に双極子近似を利用する。このとき、ボクセル形状に応じた厳密解の計算を都度実行するのではなく、あらかじめボクセルに付与される磁気モーメントのベクトル量とそのボクセルが作る磁場のベクトル量との対応関係を厳密解に基づいて算出しておき、その対応関係を参照することで各粒子の近傍における磁場を演算する。したがって、本実施の形態によれば、負荷の高い面積分の都度演算を回避しつつ、あらかじめ算出した厳密解に基づく対応関係を用いて磁場を高精度かつ高速に演算することができる。以下、本実施の形態について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
仮想空間内に定義される観測点rの磁場は、各微小体積dv’の磁化M(r’)が作る磁場を全空間にわたって積分することにより得られ、下記式(T−1)により表される。式(T−1)は、体積分の項と面積分の項に分けることによって、式(T−2)に変形できる。なお、Vは領域体積、Sは表面積、nは表面の法線ベクトルである。
磁気ビーズ法では、対象空間をN個の粒子(ビーズ)に分割し、各ビーズ内部の磁化ベクトルMが一定であるとし、式(T−1)を双極子近似して得られる下記式(T−3)により座標rの磁場ベクトルH(r)を計算する。ここで、rij=r−r,nij=rij/|rij|であり、ΔVはビーズ体積であり、γはビーズの充填率である。
一方、磁気モーメント法では、対象をN個の要素(ボクセル)に分割し、要素内部の磁化ベクトルMは一定であるとし、式(T−2)を変形して得られる下記式(T−4)により座標rの磁場ベクトルH(r)を計算する。ここで、dsは各要素の微小表面を意味し、ボクセルが正六面体(立方体)であれば、6つの表面について面積分を実行する必要がある。
磁気ビーズ法と磁気モーメント法を比較すると、計算精度については磁気モーメント法が優れており、計算速度については磁気ビーズ法が優れている。磁気ビーズ法は、連続体をN個の球形状の粒子に分割し、各粒子が作る磁場を双極子近似して求めているため、各粒子近傍の磁場の計算精度が低い。その一方で、各粒子から離れた遠方領域の磁場については双極子近似による誤差が無視できるために計算精度が高い。磁気モーメント法は、各要素間に隙間が生じないように連続体を多面体要素に分割するため、磁気ビーズ法において生じるような近似誤差がなく、計算精度が高い。
磁気モーメント法では、上記式(T−4)に示される面積分を高精度で実行する必要があり、数値積分法や厳密解での計算が必須である。このとき、多面体要素が有する面数n(立方体であればn=6)の回数だけ面積分を実行する必要があり、積分回数が多くなることによって計算時間が膨大となる。一方、磁気ビーズ法では、ビーズの球形状に基づく厳密解を利用すれば、上記式(T−3)に示されるように面積分が含まれないため、計算時間が少なくて済む。
そこで、本実施の形態では、計算精度と計算速度を両立させるために、双極子近似が成立する遠方領域内の磁場の計算では、磁気ビーズ法に基づく式(T−3)を利用し、双極子近似が成立しない近傍領域内の磁場の計算では、磁気モーメント法に基づく式(T−4)を利用する。さらに、式(T−4)に基づく演算処理を高速化させるために、面積分の演算結果をあらかじめ算出し、磁化ベクトルMと、磁化ベクトルMがその周りに作る磁場Hとの対応関係を定める磁場テーブルを用意する。シミュレーション実行時の演算処理では、面積分を都度実行する代わりにあらかじめ用意した磁場テーブルを参照して磁場を演算する。
図14は、基準粒子Vの周りに設定される近傍領域Cおよび遠方領域Cを模式的に示す図である。図14は、対象物が立方体形状の要素(ボクセル)で分割される場合を示しており、各要素の頂点に格子点Gが設定される。各立方体要素の一辺の長さは、粒子の半径aの2倍(2a)である。基準粒子(基準要素)Vを中心として直交座標系(ξ,η,ζ)が設定され、立方体の中心に各要素の座標rが設定される。基準粒子Vの周りには半径aの仮想的な球が定められ、この球の内部が近傍領域Cとなり、外側が遠方領域Cとなる。近傍領域Cを規定する球の半径aは、双極子近似が成立する距離に応じて決定され、例えば、粒子径aの4倍以上、好ましくは粒子径aの6倍以上の値が半径aとして設定される。図示する例では、球の半径aを粒子径aの6倍(つまり、a=6a)としている。
図14において、基準粒子Vが周りに作る磁場のうち、遠方領域Cの任意の座標rにおける磁場H(r)は、式(T−3)に基づいて算出される。一方、基準粒子Vが周りに作る磁場のうち、近傍領域Cの内部の任意の座標rにおける磁場H(r)は、座標rに近接する複数の格子点G〜G(実際には、後述する図15に示す8個の格子点)の磁場を平均化することにより算出される。各格子点の磁場は、式(T−4)に基づいて算出されるものであり、格子点ごとにあらかじめ算出される磁場テーブルの値を用いて演算される。
図15は、近接する複数の格子点の磁場H〜Hから観測点rの磁場Hを算出する方法を模式的に示す図である。近傍領域C内の磁場Hは、磁場Hの演算対象となる座標(ξ,η,ζ)を囲む8個の格子点における磁場H(k=1〜8)を平均化することにより算出され、下記式(T−5)で表される。なお、N(ξ,η,ζ)は、式(T−6)で表される。
ここで、基準粒子Vが各格子点G(位置r)に作る磁場Hは、式(T−4)から下記式(T−7)で表すことができる。
式(T−7)で表される磁場Hは、面積分を利用した厳密解である。ここで、式(T−7)を変形し、磁場Hと磁化ベクトルMの対応関係を定めるテンソルTを用いて下記式(T−8)のように表すことができれば、任意の磁化ベクトルMを有する粒子が各格子点Gに作る磁場Hを容易に算出できるようになる。式(T−7)から、テンソルTの各成分は、下記式(T−9)で表すことができる。なお、n,n,nはそれぞれx方向、y方向、z方向の単位ベクトルであり、xij,yij,zijはそれぞれ、基準粒子Vから観測点(格子点)までの距離rijのx成分、y成分、z成分である。
そこで、本実施の形態では、式(T−9)で表されるテンソルTの各成分の数値解をあらかじめ算出し、その数値解と磁化ベクトルMの積から各格子点の磁場Hを算出し、さらに、近傍領域C内の磁場Hを算出できるようにする。つまり、下記式(T−10)を用いて近傍領域C内の磁場Hを演算する。あらかじめテンソルTの各成分の数値を求めておけば、式(T−10)の計算に面積分が含まれないため、面積分を都度実行する場合よりも非常に短い時間で精度の高い計算結果を得ることができる。
図16は、近傍領域Cの任意の座標rにて磁場Hを演算するために必要となる格子点Gを模式的に示す図である。仮想的な半径aの球の内部の全ての座標rで磁場Hを計算できるようにするためには、近傍領域Cを囲うことのできるボクセル群の範囲内(太線の範囲内)の全ての格子点Gについて、磁場Hと磁化ベクトルMの対応関係を定めるテンソルTを算出しておけばよい。例えば、近傍領域Cを定める範囲がビーズ径aの6倍であれば、事前計算が必要となる格子点の数は500個未満である。この数は、仮想空間内に定義される粒子系に含まれる全粒子数よりも少ない。そのため、全粒子が作る磁場を面積分を用いて1回計算するよりも短い時間で、磁気的な対応関係を定めるテンソルTを導出することができる。つまり、磁気テーブルを算出するための演算負荷はそれほど高くなく、全計算時間に占める磁気テーブルの算出時間の割合は小さい。
つづいて、磁気的な対応関係を定めるテンソルTの具体的な計算方法の一例を示す。テンソルTの各成分の数値解の演算方法は、式(T−9)の計算が実行できれば特に問わないが、例えば、非特許文献3に開示される方法を用いることができる。図17(a)、(b)、(c)は、立方体表面の面積分を実行する方法の一例を模式的に示す図である。まず、面積分の対象となる六つの面の一つを取り出し、取り出した正方形を二つに分割した微小な三角形を考える。このようにして六つの面を12個の微小な三角形に分割し、微小三角形ごとに面積分を実行する。
図18は、微小三角形の面積分を実行する方法を模式的に示す図である。図18に示すローカル座標系(x’,y’,z’)において、面積分の対象となる微小三角形△123がx’y’平面内に配置され、微小三角形△123により作られる磁場ΔHの座標rがz’軸上に配置されるように座標変換を施す。このとき、微小三角形△123により作られる磁場ΔHについて、ΔH=ΔTと表すと、微小三角形Δ123に起因するテンソルΔTは、下記式(T−11)で表される。式(T−11)に含まれる各変数は、式(T−12)で定義される。
このようにして微小三角形Δ123に起因して得られるテンソルΔTを基準粒子Vの全ての面について演算して足し合わせることで、磁気的な対応関係を定めるテンソルTを導出できる。磁気的な対応関係を定めるテンソルTは、近傍領域Cの任意の座標rで磁場Hを演算するために必要となる全て格子点Gについて計算され、その数値解が磁気テーブルとして保持される。
図19は、実施の形態に係る解析装置200の機能および構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る解析装置200は、基準データ保持部230をさらに備える点で図1に示す解析装置100と相違する。基準データ保持部230は、基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と、基準粒子が周りに作る磁場の厳密解のベクトル量との対応関係を保持する。つまり、基準データ保持部230は、磁気的な対応関係を定めるテンソルTの数値解が格子点Gごとに定められた磁気テーブルを保持する。
磁場演算部121は、粒子系取得部108および磁気モーメント付与部110によって定義された粒子系に応じて、上述の磁気テーブルを導出するための演算処理を実行する。磁場演算部121は、粒子系の定義に応じて近傍領域Cを設定し、磁気的な対応関係を定めるテンソルTの算出が必要となる複数の格子点Gを特定する。磁場演算部121は、原点に配置した基準粒子Vが各格子点Gの位置に作る磁場Hに関連する演算を実行し、基準粒子Vと各格子点Gの配置関係を示す値とともにテンソルTの数値解を基準データ保持部230に記憶させる。
磁場演算部121は、粒子jが座標rに作る磁場H(r)を演算する場合、座標rが粒子jの近傍領域内であれば磁気テーブルを参照して磁場を演算し、座標rが粒子jの遠方領域(近傍領域外)であれば双極子近似による式を用いて磁場を演算する。磁場演算部121は、粒子jと座標rの距離が所定値を超える場合、つまり、座標rから大きく離れた位置にある粒子jについては、磁場の演算対象とせずに無視をしてもよい。例えば、遠方領域のうち、近傍領域に近い中間領域については、双極子近似による磁場演算を実行し、中間領域よりも遠い領域については磁場演算を実行しなくてもよい。中間領域の範囲は、例えば、粒子径aの10倍程度である。
磁場演算部121は、磁気テーブルを参照して磁場を演算する場合、座標rの位置を図16に示す直交座標系(ξ,η,ζ)に変換して磁場を算出し、その後、元の座標系に戻すことによって座標rの磁場を演算する。このとき、粒子系の座標系と磁気テーブルの直交座標系(ξ,η,ζ)との間の座標変換は平行移動のみで済むため、座標変換に関する処理負荷を小さくできる。変形例においては、座標変換時に拡大縮小や回転などの座標変換処理を施してもよい。
図20は、解析装置200における一連の処理の一例を示すフローチャートである。粒子系取得部108は、RMD法に倣って繰り込まれた粒子系を取得する(S30)。磁気モーメント付与部110は、取得された粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する(S32)。磁場演算部121は、定義された粒子系に応じて磁気テーブルを作成し、基準データ保持部230に保持させる(S34)。磁場演算部121は、粒子系によって生成される磁場を演算する(S36)。力演算部122は、粒子間の距離と各粒子の磁気モーメントから粒子に働く力を演算する(S38)。粒子状態演算部124は、演算された力を含む粒子の運動方程式から粒子の速度と位置を演算する(S40)。状態更新部126は、粒子データ保持部114に保持される粒子の位置、速度を演算された位置、速度で更新する(S42)。終了条件判定部128は、終了条件が満たされるか否かを判定する(S44)。終了条件が満たされない場合(S44のN)、S36〜S42のステップを繰り返す。終了条件が満たされる場合(S44のY)、表示制御部118は、演算結果を出力する(S46)。
図21は、図20のS36の処理の詳細を示すフローチャートである。磁場演算部121は、変数iに初期値i=1を設定する(S50)。磁場演算部121は、基準データ保持部230に保持される磁気テーブルを参照して近傍粒子が座標rに作る磁場を算出し(S52)、双極子近似式を用いて遠方粒子が座標rに作る磁場を算出する(S54)。磁場演算部121は、算出した磁場を足し合わせ、座標rの粒子の磁化ベクトルM(磁気モーメント)をM=χHの関係式を用いて演算する(S56)。変数iに1を加え(S58)、変数iが粒子数N以下であれば(S60のN)、S52〜S58のステップを繰り返し、変数iが粒子数Nより大きければ(S60のY)、S36の処理を終了する。
図22は、面積分による磁場の厳密解B1と双極子近似による磁場の数値解B2を比較したグラフである。図22において、横軸はソースとなる粒子jと観測点iの距離rijを粒子径aで規格化した値であり、縦軸はx軸方向の磁束密度Bxの値である。図示されるように、粒子jと観測点iの距離rijが2倍となる場合に厳密解B1(実線)と近似解B2(破線)の差が大きくなり、距離rijが大きくなるにつれて差が小さくなり、距離rijが粒子径aの6倍以上になると差がほとんど生じないことがわかる。このことから、近傍領域Cとして粒子径aの6倍程度の範囲を設定すればよく、6倍を超える範囲については双極子近似による誤差がほとんど無視できると言える。
図23(a)、(b)は、本実施の形態に係る計算結果を示す図である。本図は、x方向に10mm、y方向およびz方向に5mmが設定された直方体形状の磁性体の磁化現象の計算例を示す。外部磁場を一定の0.1[T]とし、磁化特性は線形(χ=999)とした。図23(a)は、比較例であり、全ての粒子に対して上記式(T−4)に基づく面積分を実行して磁場を演算した結果を示す。図23(b)は、本実施の形態に係る磁気テーブルを用いて磁場を演算した結果を示す。両者を比較したところ、計算結果がよく一致することが分かった。また、図23(a)の例では1ステップあたりの計算時間が2.15秒であるのに対し、図23(b)の例では1ステップあたりの計算時間が0.03秒であった。したがって、本実施の形態に係る手法により、高い計算精度を維持したまま約70倍の計算速度の高速化を実現できた。
図24は、本実施の形態に係る計算結果を示し、上述の図23に示す計算例のy軸上の磁束密度分布の絶対値|B|を示す。実線で示す磁束密度分布B3は、図23(b)の実施の形態に係る計算例に対応し、破線で磁束密度分布B4は、図23(a)の比較例に係る計算例に対応する。図示されるように、両者の計算結果がよく一致することが分かる。
本実施の形態によれば、計算過程においてボクセル形状が変化しないという磁気ビーズ法の特徴をうまく利用して高い計算精度を維持しつつ計算速度の高速化を実現できる。有限要素法では、節点位置の変化によりボクセル形状が変化し、ボクセル表面の面要素の形状が変化するため、変化した面要素の形状に応じた面積分を実行する必要がある。一方、磁気ビーズ法では、ボクセルの形状が計算過程にわたって変わらないため、共通する基準粒子を用いた面積分の結果を流用できる。このように本実施の形態では、磁気ビーズ法の特徴を利用し、共通する基準粒子に基づく磁気テーブルをあらかじめ用意することで計算速度を向上させることができる。
なお変形例においては、粒子系にボクセル形状の異なる複数種類の粒子を定義してもよい。この場合、ボクセル形状の異なる複数種類の基準粒子ごとにあらかじめ磁気テーブルを用意しておき、任意の観測点rの位置に磁場を作る粒子jのボクセル形状に応じて、異なる種類の磁気テーブルを参照して磁場を算出すればよい。これにより、複数種類のボクセル形状を利用する場合であっても上述の実施の形態と同様の効果を奏することができる。ボクセル形状は、多面体であればどのような形状であってもよく、正四面体、正八面体、正十二面体などであってもよい。また、対象空間をボロノイ分割することにより得られるボロノイ多面体であってもよい。
上述の実施の形態では、近傍粒子と遠方粒子とで使用する数式を切り替える場合を示した。変形例においては、遠方に存在する粒子(例えば、粒子径aの10倍より遠い粒子)については磁場演算をせず、磁場演算となる粒子について全て磁気テーブルを参照して演算してもよい。つまり、粒子径aが10倍となる範囲について磁気的な対応関係Tを算出し、対応関係Tに基づいて磁場演算を実行してもよい。
上述の実施の形態では、磁気テーブルにテンソルTが保持される場合を示したが、式(T−10)に示される計算の実行に必要な形式であれば、その他の種類の数値解が磁気テーブルとして保持されてもよい。例えば、変形例においては、H(ξ,η,ζ)=S(ξ,η,ζ)Mと記述されるテンソルSの数値解を磁気テーブルとして保持してもよい。
以上、実施の形態に係る解析装置の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、数値演算部120において粒子の位置と速度の両方を演算する場合について説明したが、これに限られない。例えば、数値解析の手法にはVerlet法のように、粒子の位置を演算する際に粒子に働く力から粒子の位置を直接演算し、粒子の速度は陽に計算しなくてもよい手法もあり、本実施の形態に係る技術的思想をそのような手法に適用してもよい。
200 解析装置、 102 入力装置、 104 ディスプレイ、 108 粒子系取得部、 110 磁気モーメント付与部、 114 粒子データ保持部、 118 表示制御部、 120 数値演算部、 121 磁場演算部、 122 力演算部、 124 粒子状態演算部、 126 状態更新部、 128 終了条件判定部、230 基準データ保持部。

Claims (9)

  1. 仮想空間内に定義される粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する磁気モーメント付与部と、
    磁気モーメントが付与される基準粒子が作る磁場の数値解を前記基準粒子の周りに設定される複数の格子点ごとにあらかじめ算出し、前記基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と前記磁場の数値解のベクトル量との対応関係を前記複数の格子点ごとに保持する基準データ保持部と、
    前記基準データ保持部に保持される前記対応関係を用いて、前記磁気モーメント付与部によって磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場を演算する磁場演算部と、
    前記磁場演算部における演算結果を用いて、各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算する粒子状態演算部と、を備えることを特徴とする解析装置。
  2. 前記基準データ保持部は、前記基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と前記基準粒子が作る磁場の厳密解のベクトル量との対応関係を前記複数の格子点ごとに保持することを特徴とする請求項1に記載の解析装置。
  3. 前記基準データ保持部は、前記基準粒子の近傍に設定される複数の格子点であって、前記磁気モーメント付与部によって磁気モーメントが付与される粒子数より少ない複数の格子点における前記対応関係を保持することを特徴とする請求項1または2に記載の解析装置。
  4. 前記磁場演算部は、前記磁気モーメント付与部によって磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場のうち、各粒子の近傍領域内の磁場を前記基準データ保持部に保持される前記対応関係を用いて演算し、各粒子の近傍領域外の磁場を各粒子の磁気モーメントを双極子近似して演算することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の解析装置。
  5. 前記近傍領域は、各粒子の中心からの距離が粒子径の2倍より大きく、10倍より小さい範囲となるように設定されることを特徴とする請求項4に記載の解析装置。
  6. 前記磁場演算部は、各粒子の前記近傍領域内の観測点の磁場を演算する場合、前記観測点に近接する複数の格子点の磁場を前記対応関係から算出し、前記観測点に近接する複数の格子点について算出した磁場から前記観測点の磁場を演算することを特徴とする請求項4または5に記載の解析装置。
  7. 前記磁気モーメント付与部は、粒子系に定義されるボクセル形状の異なる複数種類の粒子に磁気モーメントを付与し、
    前記基準データ保持部は、ボクセル形状の異なる複数種類の基準粒子ごとにあらかじめ算出した複数種類の前記対応関係を保持し、
    前記磁場演算部は、前記磁気モーメント付与部によって磁気モーメントが付与される各粒子のボクセル形状に応じた種類の前記対応関係を用いて、各粒子が作る磁場を演算することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の解析装置。
  8. 仮想空間内に定義される粒子系の粒子に磁気モーメントを付与し、
    磁気モーメントが付与される基準粒子が作る磁場の数値解を前記基準粒子の周りに設定される複数の格子点ごとにあらかじめ算出し、前記基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と前記磁場の数値解のベクトル量との対応関係を前記複数の格子点ごとに保持し、
    あらかじめ算出して保持される前記対応関係を用いて、磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場を演算し、
    各粒子が作る磁場の演算結果を用いて、各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算することを特徴とする解析方法。
  9. 仮想空間内に定義される粒子系の粒子に磁気モーメントを付与する機能と、
    磁気モーメントが付与される基準粒子が作る磁場の数値解を前記基準粒子の周りに設定される複数の格子点ごとにあらかじめ算出し、前記基準粒子に付与される磁気モーメントのベクトル量と前記磁場の数値解のベクトル量との対応関係を前記複数の格子点ごとに保持する機能と、
    あらかじめ算出して保持される前記対応関係を用いて、磁気モーメントが付与される各粒子が作る磁場を演算する機能と、
    各粒子が作る磁場の演算結果を用いて、各粒子の運動を支配する支配方程式を数値的に演算する機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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