[第一実施例]
図1乃至図15はこの発明の第一実施例を示している。この発明の保護板付き表示装置は、図1及び図2のように、表示パネル1と、表示パネル1の前面を保護する保護板22と、表示パネル1と保護板22との間の間隙に充填された充填材35とを備えている。
この実施例の保護板付き表示装置は、表示パネル1として液晶表示パネルを備えたものであり、該液晶表示パネル1の後側に配置され、液晶表示パネル1に向けて照明光を照射する面光源10をさらに備えている。
前記液晶表示パネル1は、図2のように、所定の間隙を設けて対向配置され、画面エリア1aを囲む枠状のシール材4を介して接合された透明な前基板2及び後基板3と、これらの基板2,3間の間隙のシール材4で囲まれた領域に封入された液晶層5と、前基板2の外面に貼り付けて配置された前側偏光板6と、後基板3の外面に貼り付けて配置された後側偏光板7とにより構成されている。
この液晶表示パネル1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス液晶表示パネルであり、図では省略しているが、後基板3の内面、即ち前基板2と対向する面に、行方向及び列方向に配列させて形成された複数の透明な画素電極と、これらの画素電極にそれぞれ対応させて配置され、対応する画素電極に接続された複数のTFTと、各行のTFTに、該TFTをオン/オフさせる走査信号を供給する複数の走査信号線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ信号線が設けられている。
また、図では省略しているが、前基板2の内面、即ち後基板3と対向する面には、各画素電極にそれぞれ対応させて形成された赤、緑、青の3色のフィルタからなるカラーフィルタと、このカラーフィルタの上に各画素電極の配列領域に対向させて形成された一枚膜状の透明な共通電極が設けられている。
さらに、後基板3の一辺には、前基板2の外方に張り出すドライバ搭載部3aが形成されている。このドライバ搭載部3aのドライバ搭載領域には、複数のドライバ接続端子(図示せず)が配列形成されており、各走査信号線及び各データ信号線は、ドライバ搭載部3aに引き回されて各ドライバ接続端子のうちの所定の端子にそれぞれ接続されている。
また、ドライバ搭載部3aの張り出し端には、複数の制御信号入力端子(図示せず)が配列形成されており、この各制御信号入力端子は、各ドライバ接続端子のうちの所定の端子(走査信号線及びデータ信号線の接続端子以外の端子)にそれぞれ接続されている。
そして、ドライバ搭載部3aのドライバ搭載領域に、走査信号線駆動回路及びデータ信号線駆動回路が形成されたLSIチップからなるドライバ素子8が、その主面に配列形成された複数の電極端子を前記各ドライバ接続端子に接続して搭載されている。また、ドライバ搭載部3aの張り出し端には、フレキシブル配線板9の一端が接続されている。このフレキシブル配線板9の他端は、図示しないドライバ制御回路に接続される。
また、前側偏光板6と後側偏光板7は、液晶表示パネル1のドライバ搭載部3aを除く領域よりも小さく、画面エリア1aよりも大きい外形を有しており、前基板2の外面及び後基板3の外面の周縁部を除く領域にそれぞれ貼り付けられている。
なお、前記液晶表示パネル1は、TN型、STN型、垂直配向型、非ツイストの水平配向型、ベンド配向型のいずれでもよく、また強誘電性または反強誘電性液晶表示パネルでもよい。
さらに、液晶表示パネル1は、前基板2と後基板3とにそれぞれ電極を設けたものに限らず、一方の基板の内面に、複数の画素にそれぞれ対応させて、第一電極と、この第一電極よりも液晶層側または基板側に前記第一電極と絶縁して形成された第二電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型液晶表示パネルでもよい。なお、この横電界制御型液晶表示パネルにおいて、第一電極と第二電極のうちの液晶層側の電極は、複数の細長電極部を有する形状に形成されている。
液晶表示パネル1の後側に配置された面光源10は、図2のように、導光板11と、複数の発光素子15を備えている。導光板11は、液晶表示パネル1の画面エリア1aよりもある程度大きい面積を有する透明な矩形板からなっており、その各側面のうち、一つの側面が光を入射させる入射面12とされている。また、二つの板面のうち、液晶表示パネル1に対向する側の一方の板面が、入射面12から入射した光を射出させる射出面13とされ、他方の板面が、入射面12から入射した光を射出面13に向けて内面反射する反射面14とされている。
また、発光素子15は、LED(発光ダイオード)からなっており、各発光素子15の接続配線(図示せず)が形成された発光素子支持基板16上に、各発光素子15の光の射出面を発光素子支持基板16の一側縁側に向けて、所定の間隔で一列に並べて設置されている。また、発光素子支持基板16の他側縁には、リード配線フィルム(図示せず)一端が接続されている。このリード配線フィルムの他端は、図示しない発光素子点灯回路に接続される。
そして、発光素子支持基板16は、各発光素子15の光の射出面を導光板11の入射面12に対向させて配置されている。この実施例では、発光素子支持基板16を、その縁部を導光板11の射出面13の入射面12側の端部に重ねて両面粘着テープ17により貼り付けることにより導光板11に固定している。
また、導光板11の反射面14の外側には、該反射面14に対向させて反射板18が配置されている。この反射板18は、導光板11内に入射面12から入射した光のうち、導光板11の反射面14で内面反射されずに導光板11の後側に漏れた光を再び導光板11内に戻すために設けられている。
この反射板18は、導光板11の反射面14の全体に重なり、且つ導光板11の入射面12側の縁部が発光素子15の配置領域の下方に張り出した形状に形成されており、導光板11の反射面14に貼り付けられている。
さらに、面光源10は、導光板11の射出面13上に貼り付けて配置された拡散層19と、該拡散層19の上に貼り付けて配置された第一プリズムシート20と、この第一プリズムシート20の上に貼り付けて配置された第二プリズムシート21とを備えている。
なお、図2では第一及び第二プリズムシート20,21をそれぞれ一枚膜のように示しているが、これらのプリズムシート20,21のうち、第一プリズムシート20には、所定の方向、例えば矩形板からなる導光板11の短手方向に沿った複数の細長プリズムが密なピッチで形成されている。また、第二プリズムシート21には、前記所定の方向に対して交差する方向、例えば導光板11の短手方向に対して直交する方向に沿った複数の細長プリズムが密なピッチで形成されている。
この面光源10は、複数の発光素子15から射出し、導光板11内に入射面12から入射した光を、導光板11により導いて射出面13の全域から射出し、その光を、拡散層19により拡散し、さらに第一プリズムシート20及び第二プリズムシート21により導光板11の射出面13の法線方向に対する角度が小さくなる方向に屈折させて、前記法線方向、つまり正面方向の射出光強度が高い強度分布の照明光を液晶表示パネル1に向けて照射する。
また、液晶表示パネル1の前面を保護する保護板22は、図1及び図2のように、液晶表示パネル1の平面形状(前面側見た形状)の外形よりも一回り大きい矩形形状に形成されたガラス板またはアクリル樹脂板等の透明板からなっている。
この保護板22は、液晶表示パネル1と対向する後面に、該保護板22に密着させて形成された遮光性を有する目隠し膜23を有している。この目隠し膜23は、遮光性塗料の印刷膜、或いはクロム等の金属のメッキまたは蒸着膜からなっており、液晶表示パネル1の画面エリア1aの周縁に対向する位置から該保護板22の周縁部に亘って形成されている。なお、この実施例では、目隠し膜23を、その内周縁が画面エリア1aの周縁よりも画面エリア1a内に僅かに入り込んだ位置に対向するように形成している。
また、この保護板付き表示装置は、液晶表示パネル1と保護板22の周縁部を支持する支持部材27をさらに備えている。この支持部材27は、図2及び図3のように、枠状部27aと該枠状部27aの内壁面によって画定された開口30を有し、液晶表示パネル1と保護板22との間に、枠状部27aの所定部分が液晶表示パネル1の周縁部及び保護板22の周縁部に重なるように配置されている。枠状部27aは、互いに平行な一対の主面28,29を有し、この一対の主面28,29の間に厚みをもった平板部からなっている。
この実施例の保護板付き表示装置は、液晶表示パネル1と面光源10とを収容する筐体24を備えており、支持部材27は、筐体24を構成する各部材のうちの上ケースからなっている。以下、この支持部材27を上ケースと称する。
筐体24は、樹脂成形品からなるフレーム25と、金属板からなる下ケース26及び上ケース27とにより構成されている。フレーム25は、樹脂成形品であり、上面と下面が互いに平行で、周縁部よりも内側の領域に、液晶表示パネル1及び面光源10の収容空間が上面及び下面に開口させて設けられた矩形枠形状に形成されている。
下ケース26は、フレーム25の下面の外形に対応した形状の底板部26aと、該底板部26aの周縁から上方に向けて折曲された側板部26bとを有している。また、上ケース27は、フレーム25の上面の外形に対応した形状の上板部27aと、該上板部27aの周縁から下方に向けて、下ケース26の側板部26bの外側に被さるように折曲された側板部27bとを有している。
上ケース27は、液晶表示パネル1と保護板22の支持部材である。この上ケース27の上板部27aは、該上板部27aの周縁部よりも内側の領域を打ち抜いた枠形状に形成されている。即ち、該上ケース27の上板部27aは支持部材の枠状部に相当する。また、上板部27aの後面、即ち下ケース26に対向する面は、支持部材の枠状部の一方の主面28に相当し、上板部27aの前面、即ち外向きの面は、支持部材の枠状部の他方の主面29に相当する。以下、この上板部27aを枠状部と称する。また、この枠状部27aの後面(一方の主面)28を上ケース27の後面と称し、枠状部27aの前面(他方の主面)28を上ケース27の前面と称する。
上ケース27の枠状部27aの内周縁の形状は、液晶表示パネル1の画面エリア1aを囲む矩形形状に形成されている。即ち、この枠状部27aの内壁面により画定された開口30は、液晶表示パネル1の画面エリア1aよりも広い開口面積を有している。
この上ケース27は、液晶表示パネル1と保護板22との間に、枠状部27aの所定部分が液晶表示パネル1の周縁部及び保護板22の周縁部に重なるように配置されている。即ち、上ケース27は、枠状部27aを液晶表示パネル1と保護板22との間に介在させて、開口30が液晶表示パネル1の画面エリア1aに対向し、且つ開口30の周囲の部分が液晶表示パネル1の周縁部及び保護板22の周縁部に重なるように配置されている。
液晶表示パネル1は、画面エリア1aを上ケース27の開口30に対向させて配置され、該液晶表示パネル1の前面、即ち前側偏光板6の外面及び前基板2の前側偏光板6の周囲に張り出した部分の外面の周縁部を、第一の接合部材31によって、上ケース27の後面28の開口30の周囲の部分に固定されている。
この実施例において、上ケース27の開口30は、液晶表示パネル1の前側偏光板6の外形よりも小さく、画面エリア1aよりも大きい矩形形状に形成されており、液晶表示パネル1は、前側偏光板6の画面エリア1aよりも外側の周縁部の外面を上ケース27の後面28に固定されている。
第一の接合部材31は、例えば両面粘着テープである。以下、この第一の接合部材31を第一の両面粘着テープと称する。この第一の両面粘着テープ31は、図4のように、上ケース27の開口30を囲んで、開口30の全周に亘って連続した形状に形成されている。即ち、第一の両面粘着テープ31は、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって、且つその周方向全体に亘って連続した形状となるように形成されている。さらに、この第一の両面粘着テープ31は、該両面粘着テープ31の開口30側の縁部が開口30内に入り込まないように、前記縁部が上ケース27の枠状部27aの内壁面よりも外側に位置するように配置されている。
なお、第一の両面粘着テープ31は、複数の両面粘着テープを、上ケース27の開口30の各辺、即ち枠状部27aの内壁面にそれぞれ沿わせて、各両面粘着テープの端部同士が密接するように配置してもよい。また、第一の両面粘着テープ31の素材である両面粘着フィルムを、開口30を囲む枠形状に打ち抜いたものを配置してもよい。
さらに、図2及び図3のように、この保護板付き表示装置は、上ケース27の枠状部27aの開口30内に、枠状部27aの内壁面に向かい合わせて、枠状部27aの後面28と液晶表示パネル1の前面との間を塞ぐように配置された閉塞部材32を備えている。この閉塞部材32は、上ケース27の後面28に固定された液晶表示パネル1の前面のうち、枠状部27aの内壁面の各辺に対して開口30の内側から隣接するように配置されている。
この閉塞部材32は、液晶表示パネル1の前面と開口39の周面の両方に密着させて形成された樹脂層からなっている。この実施例において、閉塞部材32は、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂により形成されている。また、閉塞部材32は、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって、且つその周方向全体に亘って連続した形状となるように形成されている。
そして、閉塞部材32は、その上面、即ち液晶表示パネル1の前面側に配置される保護板22と対向する面が、上ケース27の枠状部27aの内壁面側から液晶表示パネル1の画面エリア1a側に向かって漸次液晶表示パネル1の前面に近付く方向に傾斜した形状に形成されている。なお、この閉塞部材32の傾斜面は、図2及び図3のような湾曲した傾斜面でも、直線的な傾斜面でもよい。
この閉塞部材32は、その傾斜面の最も高い縁部、即ち枠状部27aの内壁面に隣接する縁部が、上ケース27の後面28と前面29との間の高さにおいて枠状部27aの内壁面に接するような形状に形成されている。
この閉塞部材32の傾斜面は、枠状部27aの内壁面に密着した縁部の高さが上ケース27の前面29にできるだけ近く、液晶表示パネル1の画面エリア1aに向いた縁部が液晶表示パネル1の前面(この実施例では前側偏光板6の外面)と殆んど面一になるような形状を有しているのが望ましい。
そして、保護板22は、図2及び図3のように、上ケース27の前面29上に、目隠し膜23により囲まれた透明領域を上ケース27の開口30に対向させて配置され、該保護板22の後面の周縁部を、第二の接合部材33によって上ケース27の前面29の開口30の周囲の部分に固定されている。この第二の接合部材33は、上ケース27の前面29と保護板22の後面との間の間隙を規定する間隙規定手段を兼ねており、上ケース27の開口30を囲んで、上ケース27の前面29と保護板22の後面との間に介在するように配置されている。
保護板22は、上ケース27の外形よりも小さい外形を有しており、上ケース27上に、枠状部27aの周縁部よりも内側の領域を覆って配置されている。また、保護板22の後面の目隠し膜23は、上記のように、液晶表示パネル1の画面エリア1aの周縁に対向する位置から該保護板22の周縁部に亘って形成されている。従って、閉塞部材32は、保護板22の目隠し膜23により覆い隠される領域に配置されている。
さらに、間隙規定手段を兼ねる第二の接合部材33には、液晶表示パネル1と保護板22との間の間隙を間隙規定手段の外側(第二の接合部材33の外側)に連通させる連通部34が形成されている。
前記第二の接合部材33は、例えば両面粘着テープである。以下、この第二の接合部材33を第二の両面粘着テープと称する。この第二の両面粘着テープ33は、上ケース27の開口30を囲んで複数箇所において切り離された形状に配置されており、この第二の両面粘着テープ33の切り離し部により連通部34が形成されている。この第二の両面粘着テープ33は、保護板22と上ケース27とを固定する接合部材としてだけではなく、保護板22と上ケース27との間の距離を規定する間隙規定手段としても機能するものである。
即ち、連通部34は、第二の両面粘着テープ33の切り離し部からなっている。この連通部34は、図12のように、開口30の各辺の複数個所に対応する部分と、開口30の各角部に対応する部分とに形成されている。
そして、第二の両面粘着テープ33によって固定された液晶表示パネル1と保護板22との間の間隙に、開口30内の領域全体に亘って、透明な樹脂からなる充填材35が充填されている。
充填材35は、熱硬化性樹脂であり、前記領域に充填された後に硬化されている。そして、液晶表示パネル1と保護板22は、硬化された充填材35によって強固に接合されている。
また、面光源10は、図2のように、下ケース26の底板部26a上、即ち底板部26aの上ケース27と対向する面上に、導光板11の反射面14に配置された反射板18の外面を底板部26a上に貼り付けて配置されている。
面光源10が貼り付けられた下ケース26は、フレーム25に、該フレーム25の下面側から、底板部26aをフレーム25の下面に当接させると共に、側板部26bをフレーム25の外側面に嵌合させて嵌装されている。
また,液晶表示パネル1と保護板22が固定された上ケース27は、フレーム25及び下ケース26に、フレーム25の上面側から、上ケース27の後面28をフレーム25の上面に当接させると共に、側板部27bを下ケース26の側板部26bの外側に被せて嵌装されている。
そして、下ケース26と上ケース27は、下ケース26の側板部26bと上ケース27の側板部27bとを複数箇所においてビス止めまたは掛け止め等の手段(図示せず)によって固定することにより互いに結合されている。
また、液晶表示パネル1のドライバ搭載部3aに一端を接続されたフレキシブル配線板9と、発光素子支持基板16に一端を接続された図示しないリード配線フィルムは、図2のように、フレーム25の周壁部に形成された切欠部25aと、下ケース26及び上ケース27の側板部26b,27bに前記フレーム25の切欠部25aに対応させて形成された切欠部36,37(図2参照)を通して筐体24の外部に引き出されている。
この保護板付き表示装置は、次のような製造方法で製造する。この製造方法は、表示パネル固定工程と、閉塞部材形成工程と、充填材供給工程と、保護板取り付け工程と、充填材硬化工程と、最終組立て工程とを含む。
(表示パネル固定工程)
まず、図4及び図5のように、枠状部27aの内壁面によって画定された開口31を有する上ケース(支持部材)27の後面28の所定部分、即ち開口30の周囲の部分に、液晶表示パネル1の前面の周縁部を、第一の両面粘着テープ31によって固定する。
この表示パネル固定工程において、第一の両面粘着テープ31は、その一方の粘着面を上ケース27の後面28と液晶表示パネル1の前面の何れか一方に貼り付けて配置する。また、この第一の両面粘着テープ31は、上ケース27の開口30を囲んで、前記開口30の全周に亘って連続した形状に配置する。即ち、第一の両面粘着テープ31を、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって且つ周方向の全周に亘って連続した形状となるように配置する。
そして、液晶表示パネル1は、該液晶表示パネル1の前面の周縁部を第一の両面粘着テープ31を介して上ケース27の後面28上に重ね、この液晶表示パネル1を上ケース27の押し付けることにより、上ケース27後面28上に固定する。
(閉塞部材形成工程)
前記表示パネル固定工程の後に、図6及び図7のように、前記開口30内に、枠状部27aの内壁面に向かい合わせて、液晶表示パネル1の前面と枠状部27aの後面との間を塞ぐように閉塞部材32を形成する。この閉塞部材32は、上ケース27の後面28に固定された液晶表示パネル1の前面のうち、上ケース27開口30の各辺に対して開口30の内側から隣接する領域の上に形成する。即ち、支持部材27の枠状部27aの内壁面から表示パネル1の前面にかけて、表示パネル1の前面と支持部材27の枠状部27aの後面との間の隙間を塞ぐように閉塞部材32を形成する。
この閉塞部材形成工程において、閉塞部材32は、該閉塞部材32の上面(保護板22と対向する面)が、枠状部27aの内壁面側から液晶表示パネル1の画面エリア1a側に向かって漸次液晶表示パネル1の前面に近付く方向に傾斜した形状に形成する。また、この閉塞部材32を、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって且つその周方向の全周に亘って連続した形状となるように配置する。
この閉塞部材形成工程は、液晶表示パネル1の前面上の開口30の周縁に隣接する部分に、閉塞部材32の形成材料として未硬化の樹脂(光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂)を印刷する工程、即ち、支持部材27の枠状部27aの内壁面から表示パネル1の前面にかけて、閉塞部材32の形成材料として未硬化の樹脂を印刷する工程と、印刷した前記樹脂を固化させる工程とを含む。
未硬化樹脂の印刷は、スクリーン印刷により行う。図8は閉塞部材32の形成に用いる印刷用スクリーン40の平面図、図9は図8のIX部の拡大図である。この印刷用スクリーン40は、スクリーン支持枠41と、該支持枠41内に緊張状態で張られ、外周部を支持枠41に固定されたスクリーン本体42とからなっている。なお、スクリーン本体42は、上ケース27の外形よりも大きい面積を有している。
スクリーン本体42は、図9のように、非伸縮性の樹脂繊維または金属線を織ったメッシュ体43と、該メッシュ体43のうちの未硬化樹脂の印刷パターンに対応した領域(以下、開口領域と称する)44以外の領域全体に、メッシュ体43網目を塞ぐように被着されたマスク層45とからなっている。
この実施例において、開口領域44は、開口30の各辺にそれぞれ対応する四つのスリット44a,44b,44c,44dを、各スリットの端部同士を互いに連通させて形成した無端環形状に形成されている。
さらに、この開口領域44は、その外周縁部が前記開口30の縁部に一致し、且つ各スリット44a,44b,44c,44dの幅が、形成する閉塞部材32の各辺の幅、即ち上ケース27の枠状部27aの内壁面に接する縁部と液晶表示パネル1の画面エリア1a側の縁部との間の寸法よりも狭い形状に形成されている。なお、各細長開口部の幅は、例えば形成する閉塞部材32の幅の1/2程度である。
また、マスク層45は、メッシュ体43上に印刷された樹脂層からなっている。このマスク層45は、液晶表示パネル1の前面から上ケース27の前面29までの高さと同程度の厚さに形成されている。
閉塞部材32の形成における未硬化樹脂のスクリーン印刷は、次のような手順で行う。まず、上ケース27の上に、前記印刷用スクリーン40を、スクリーン本体42の開口領域44の外周縁が開口30の縁部に一致するように位置決めして重ねる。次に、スクリーン本体42上に未硬化樹脂を供給し、この未硬化樹脂を、スクリーン本体42上を移動するスキージ(図示せず)により押し広げる。
このように、スクリーン本体42上に供給された未硬化樹脂をスキージにより押し広げると、未硬化樹脂が開口領域44に入り込み、メッシュ体43の網目を通って液晶表示パネル1の前面上に印刷される。この未硬化樹脂が印刷される領域は、液晶表示パネル1の前面のうち、開口30の各辺に対して前記開口30の内側から隣接する領域である。
この未硬化樹脂のスクリーン印刷において、液晶表示パネル1の前面上に印刷される未硬化樹脂は、スクリーン本体42の開口領域44に入り込んだ樹脂である。そのため、未硬化樹脂は、前記開口領域44の高さ、つまりマスク層45の厚さと同程度の厚さに印刷される。
この実施例では、マスク層45を上記のような厚さに形成しているため、未硬化樹脂を、液晶表示パネル1の前面から上ケース27の前面29までの高さと同程度の厚さに印刷することができる。
また、スクリーン本体42の開口領域44の各スリット44a,44b,44c,44dは上記のような幅に形成されているため、未硬化樹脂は、液晶表示パネル1の前面のうち、開口30の各辺に対して前記開口30の内側から隣接する領域の上に、形成する閉塞部材32の幅よりも狭い幅に印刷される。
そして、未硬化樹脂の印刷後に上ケース27上から印刷用スクリーン40を引き上げると、液晶表示パネル1の前面上に印刷された未硬化樹脂の層が、液晶表示パネル1の前面及び上ケース27の枠状部27aの内壁面に密着した状態で残る。
この印刷された未硬化樹脂は、その流動性によって流れ広がり、それに伴って未硬化樹脂の層厚が薄くなって行く。このとき、枠状部27aの内壁面に密着した未硬化樹脂は、枠状部27aの内壁面との密着力によって下方への流動を抑制される。
そのため、印刷された未硬化樹脂の層が、液晶表示パネル1の画面エリア1aに向かって層厚が薄くなるように広がり、それに伴って、未硬化樹脂の層の上面が、枠状部27aの内壁面側から液晶表示パネル1の画面エリア1a側に向かって漸次液晶表示パネル1の前面に近付く方向に傾斜する。
この後は、未硬化樹脂の層が、所定の幅、即ち形成する閉塞部材32の各辺の幅まで広がったところで未硬化樹脂を固化させ、上面が上記のように傾斜した閉塞部材32を形成する。
この閉塞部材形成工程において、閉塞部材32の形成材料として充填材35と同じ硬化性を有する樹脂、即ち熱硬化性樹脂を印刷した場合は、印刷した熱硬化性樹脂の固化を、乾燥、半硬化、硬化の何れかにより行う。
印刷した熱硬化性樹脂の固化を乾燥により行うときは、自然乾燥または強制乾燥により、熱硬化性樹脂の層を、後の充填材充填工程における充填材35の広がり力に充分耐える硬さになるまで乾燥させる。
また、印刷した熱硬化性樹脂の固化を半硬化により行うときは、熱硬化性樹脂の硬化温度の半分程度の温度に加熱して半硬化させる。このように、印刷した熱硬化性樹脂を半硬化させることにより、乾燥により固化されたものよりも強度の高い閉塞部材32を形成することができる。
このように、熱硬化性樹脂を印刷し、この熱硬化性樹脂を乾燥または半硬化により固化させて閉塞部材32を形成したときは、この閉塞部材32を、後の保護板取り付け工程において充填材35の硬化と同時に硬化させる。
一方、印刷した熱硬化性樹脂を硬化により固化させる場合は、熱硬化性樹脂の硬化温度に加熱して完全に硬化させる。このように、印刷した熱硬化性樹脂を硬化させて閉塞部材32を形成すれば、乾燥または半硬化されたものよりも強度の高い閉塞部材32を形成することができる。
また、閉塞部材32の形成材料として充填材35とは異なる硬化性を有する樹脂、即ち光硬化性樹脂を印刷した場合は、光硬化性樹脂の固化を、上ケース27の上方から紫外線を照射して硬化させることにより行う。このように、閉塞部材32を、光硬化性樹脂の印刷と硬化により形成することにより、強度の高い閉塞部材32を形成することができる。また、光硬化性樹脂は比較的短時間で光重合するため、熱硬化性樹脂を硬化させる場合に比べて、短時間の紫外線照射により閉塞部材32を形成することができる。
このように、前記閉塞部材形成工程は、液晶表示パネル1の前面上の開口30の周縁に隣接する部分に未硬化樹脂を印刷し、印刷した前記樹脂を固化させる工程を含む。この閉塞部材形成工程によれば、閉塞部材32を所定の位置に形成することができる。
しかも、前記閉塞部材形成工程では、上記のような開口パターンのスクリーン本体42を備えた印刷用スクリーン40を用いて未硬化樹脂を印刷し、印刷した未硬化樹脂の流れ広がりにより、上面が傾斜した樹脂層を形成するようにしている。そのため、上面が傾斜した形状の閉塞部材32を形成することができる。
なお、閉塞部材32の形成に用いる印刷用スクリーンは、上記実施例のものに限らず、例えば、開口領域44の各スリットの幅を、形成する閉塞部材32の各辺の幅と同じにし、この開口領域44に、液晶表示パネル1の前面に対する未硬化樹脂の付着量を、開口領域44の外周縁側から内周縁側に漸次少なくなるように規定するパターンのマスクを形成したスクリーン本体を備えたものでもよい。
このようなスクリーン本体を備えた印刷用スクリーンを用いれば、未硬化樹脂を印刷した後、直ちに印刷した未硬化樹脂を固化させることにより、上面が傾斜した形状の閉塞部材32を形成することができる。
(充填材供給工程)
前記閉塞部材形成工程の後に、図10のように、液晶表示パネル1の前面の上ケース27の開口30内に対応する領域の中央部の上に、未硬化の充填材36として、熱硬化性樹脂を供給する。即ち、表示パネル1の前面または保護板22の後面の支持部材27の枠状部27aによって囲まれた領域の上に未硬化の充填材36を供給する。
この充填材36の供給は、後面28に液晶表示パネル1を固定した上ケース27を、上ケース27の前面29を上方に向けて配置し、開口30の上方から、未硬化の充填材36をディスペンサ(図示せず)等により液晶表示パネル1の前面上に滴下することにより行う。
また、充填材36の供給量は、上ケース27上に保護板22を固定したときの液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30内の容積よりも所定量だけ多くなるように制御する。例えば、充填材36の供給量は、前記開口30内の容積よりも数%乃至10%程度多くなるように制御する。
なお、この実施例では、液晶表示パネル1の前面上に未硬化の充填材36を供給しているが、保護板22をその後面を上方に向けて配置し、この保護板22の後面上に充填材36を供給してもよい。
(保護板取り付け工程)
前記充填材供給工程の後に、上ケース27の前面29上に保護板22を配置し、該保護板22の後面の周縁部を上ケース27の前面29に固定すると共に、充填材35を開口30内の領域全体に押し広げる。即ち、第二の両面粘着テープ33を、上ケース27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって且つその周方向の複数箇所において切り離された形状となるように、支持部材27の枠状部27aと保護板22の周縁部との間に配置した状態で、保護板22の周縁部を支持部材27の枠状部27aに該第二の両面粘着テープ33によって固定すると共に、充填材36を支持部材27の枠状部27aによって囲まれた領域全体に押し広げる。この保護板取り付け工程において、保護板22は、第二の両面粘着テープ33によって上ケース27の前面29に固定する。
この保護板取り付け工程は、第二の両面粘着テープ33を配置する工程と、その後に、上ケース27の前面29上に保護板22を配置する工程と、この保護板22をその前面側から加圧する工程とを含む。
第二の両面粘着テープ33は、上ケース27の前面29と保護板22の後面の何れか一方に貼り付けて配置する。また、この第二の両面粘着テープ33は、図12のように、上ケース27の開口30を囲んで、複数箇所において切り離された形状に配置する。
そして、保護板22は、第二の両面粘着テープ33を配置した後に、保護板22の後面を液晶表示パネル1及び上ケース27の前面29に対向させると共に、目隠し23により囲まれた透明領域が液晶表示パネル1の画面エリア1aに重なるように位置合わせして配置する。
このように保護板22を配置すると、液晶表示パネル1の前面上(または保護板22の後面上)に供給された未硬化の充填材36が、液晶表示パネル1と保護板22との間に挟まれる。
次に、保護板22をその前面側から加圧し、該保護板22を上ケース27の前面29及び液晶表示パネル1の前面に向けて押し付ける。このように保護板22を押し付けると、液晶表示パネル1と保護板22との間に挟まれた充填材36の層が押し潰されて周囲に広がって行く。
そして、保護板22をさらに押し付けて行くと、まず、保護板22の後面の周縁部が、図11のように、第二の両面粘着テープ33によって上ケース27の前面29に貼り付けられる。
一方、第二の両面粘着テープ33は、上ケース27の開口30を囲んで、複数箇所において切り離された形状に配置されている。そのため、保護板22の後面の周縁部が上ケース27の前面29に貼り付けられても、液晶表示パネル1と保護板22との間の枠状部27aの内壁面及び第二の両面粘着テープ33により囲まれた空間が、第二の両面粘着テープ33の切り離し部からなる複数の連通部34によって外部と連通される。
従って、液晶表示パネル1と保護板22との間に残留した空気は、保護板22の押し付けによる充填材36の層の広がりに伴って、図11に破線矢印で示したように、第二の両面粘着テープ33の切り離し部からなる複数の連通部34を通って外部に排出される。
そして、保護板22をさらに押し付けて行くと、保護板22が、さらに強い貼り付け力で上ケース27の前面29に固定されると共に、充填材35の層がさらに押し広げられ、最終的に、開口30内の領域全体に充填される。
このとき、充填材35の層の広がりに伴って周囲に押し出される空気は、液晶表示パネル1の前面と上ケース27の後面28との間の隙間を塞ぐように配置された閉塞部材32により案内されて連通部34から排出される。
即ち、閉塞部材32は、その上面が、上ケース27の枠状部27aの内壁面側から液晶表示パネル1の画面エリア1a側に向かって漸次液晶表示パネル1の前面に近付く方向に傾斜した形状に形成されている。そのため、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気を、閉塞部材32の傾斜した上面により保護板22の後面に向かって流れるように案内し、連通部34から排出することができる。
また、充填材35は、開口30内の領域のうち、開口30の角部、即ち充填材35の供給位置から最も遠い部分に、他の領域よりも遅れて充填されるため、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気は、充填材35の層の広がりに伴って開口30の角部に集まる。しかし、前記連通部34が開口30の各角部に対応する部分にも形成されているため、開口30の角部に空気が残留することは無い。
さらに、閉塞部材32は、液晶表示パネル1の前面と上ケース27の枠状部27aの内壁面の両方に密着させて形成されている。そのため、保護板22の後面の周縁部を上ケース27の前面29に貼り付けたときに第二の両面粘着テープ33と閉塞部材32との間の隙間に空気が閉じ込められても、この空気が充填材35の充填領域(開口30内の領域)に入り込むことは無い。従って、液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30内の領域全体に亘って、空気を閉じ込めること無く充填材35が充填される。
また、前記充填材供給工程において供給された充填材35の量は、上ケース27上に保護板22を固定したときの液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30内の容積よりも所定量だけ多いが、余剰の充填材は、図12及び図13のように連通部34を通って第二の両面粘着テープ33の外側に押し出される。
(充填材硬化工程)
次に、充填した未硬化の充填材(熱硬化性樹脂)35を、熱硬化性樹脂の硬化温度に加熱することにより硬化させ、液晶表示パネル1と保護板22とを充填材35によって強固に接合する。
なお、前記閉塞部材形成工程において、閉塞部材32を、熱硬化性樹脂の印刷と乾燥または半硬化により形成したときは、乾燥または半硬化状態の閉塞部材32が、前記充填材硬化工程において充填材35の硬化と同時に硬化される。そのため、閉塞部材32と充填材35の両方を一度の加熱により硬化させることができる。また、乾燥または半硬化状態の閉塞部材32と充填材35とを同時に硬化させるため、閉塞部材32と充填材35とを強く結合させることができる。
(最終組立て工程)
一方、面光源10は、下ケース26の底板部26a上に、導光板11の反射面14に配置された反射板18の外面を貼り付けて配置する。そして、面光源10を固定した下ケース26を、フレーム25に、底板部26aをフレーム25の下面に当接させると共に、側板部26bをフレーム25の外側面に嵌合させて嵌装する。
次に、液晶表示パネル1と保護板22を固定した上ケース27を、フレーム25及び下ケース26に、上ケース27の後面28をフレーム25の上面に当接させると共に、側板部27bを下ケース26の側板部26bの外側に被せて嵌装する。
次に、下ケース26の側板部26bと上ケース27の側板部27bとを、複数箇所において図示しないビス止めまたは掛け止め等の手段によって固定し、保護板付き表示装置を完成させる。
この保護板付き表示装置は、液晶表示パネル1と保護板22の支持部材である上ケース27を備え、この上ケース27を、液晶表示パネル1と保護板22との間に、該上ケース27に設けられた開口30が液晶表示パネル1の画面エリア1aに対向し、且つ開口30の周囲の部分が液晶表示パネル1の周縁部及び保護板22の周縁部に重なるように配置している。
そして、上ケース27の後面28の開口30の周囲の部分に、液晶表示パネル1の前面の周縁部を第一の両面粘着テープ31によって固定すると共に、液晶表示パネル1と保護板22との間の間隙に充填材35を充填し、この充填材35によって液晶表示パネル1と保護板22とを接合している。
そのため、液晶表示パネル1と保護板22とを上ケース27によって周囲から補強することができ、従って、表示パネルと保護板とを充填材によって接合しただけの従来の保護板付き表示装置に比べて、曲げ等に対する強度を充分に高くすることができる。
さらに、上ケース27の前面29の開口30の周囲の部分に、保護板22の後面の周縁部を第二の両面粘着テープ33によって固定しているため、上ケース27と保護板22との接合強度を充分に確保し、曲げ等に対する強度をさらに高くすることができる。
しかも、この保護板付き表示装置は、上ケース27の後面28に固定された液晶表示パネル1の前面のうち、枠状部27aの開口30の各辺に対して前記開口30の内側から隣接する領域の上に、上面が上記のような傾斜面に形成された閉塞部材32を、液晶表示パネル1の前面と上ケース27の後面28との間の隙間を塞ぐように閉塞部材32を配置している。さらに、上ケース27の前面29と保護板22との第二の両面粘着テープ33による固定部の複数箇所に、液晶表示パネル1と保護板22との間の間隙を第二の両面粘着テープ33の外側に連通させる連通部34を形成している。
そのため、液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30内の領域全体に、空気を残留させること無く充填材35を充填することができる。
図14は、第一比較例の保護板付き表示装置の一部分の断面図である。この第一比較例は、前記閉塞部材32を備えていない。なお、この第一比較例の他の構成は上記実施例と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
この第一比較例の保護板付き表示装置は、その製造に際して、充填材35を、開口30内の領域全体に押し広げる際に、液晶表示パネル1の前面と上ケース27の枠状部27aの内壁面とにより形成されたL形状の隅部、即ち空気が流れ難い部分に空気が閉じ込められ、この部分に空気溜まりAが形成される。なお、図14では第一の両面粘着テープ31の開口30側の縁部が開口30の各辺よりも外側に位置しているが、第一の両面粘着テープ31の開口30側の縁部が開口30の各辺と一致している場合も前記空気溜まりAが形成される。
そのため、この第一比較例では、充填材35による液晶表示パネル1と保護板22との接合強度が、空気溜まりAを生じた部分において低下する。また、この第一比較例では、充填材35を熱硬化させる際に、空気溜まりAが膨張して保護板22の後面に形成された目隠し膜23よりも内側の領域に入り込んだり、空気溜まりAの空気が充填材35中に溶け込んで気泡を発生させたりし、表示品質を損なうおそれがある。
図15は、第二比較例の保護板付き表示装置の一部分の断面図である。この第二比較例は、液晶表示パネル1と上ケース27とを固定する第一の両面粘着テープ31を、その縁部を上ケース27の開口30内に張り出させて配置したものであり、他の構成は前記第一比較例と同じである。
この第二比較例では、第一の両面粘着テープ31が薄いため、第一の両面粘着テープ31の張り出し部の端面付近に空気が溜まることは殆んど無いが、第一の両面粘着テープ31の張り出し部の上面と上ケース27の枠状部27aの内壁面とにより形成されたL形状の隅部に空気溜まりAが形成される。なお、この空気溜まりAの大きさは、前記第一比較例における空気溜まりAに比べて小さい。
しかも、この第二比較例では、第一の両面粘着テープ31の開口30内に張り出した部分が、液晶表示パネル1の前面と充填材35との間に挟まれるため、この部分における液晶表示パネル1と充填材35との接合強度が低下してしまう。
上記実施例の表示装置は、液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30内の領域全体に、空気を残留させること無く充填材35を充填することができるため、第一比較例や第二比較例のような空気溜まりAを生じることは無い。そのため、充填材35による液晶表示パネル1と保護板22との接合強度を充分に確保すると共に、空気溜まりAが生じることによる表示品質への影響を無くすことができる。
また、保護板22の後面には、液晶表示パネル1の画面エリア1aの周縁に対向する位置から保護板22の周縁部に亘って目隠し膜23が密着させて形成されており、閉塞部材32は、目隠し膜23により覆い隠される領域に配置されている。そのため、閉塞部材32が保護板22の前面側から見えて表示装置の外観を損なうことは無い。
図16は、第三比較例の保護板付き表示装置の一部分の断面図である。この第三比較例は、第一の両面粘着テープ31と第二の両面粘着テープ33の両方を、上ケース27の開口30を囲んで、複数箇所において切り離された形状に配置したものであり、前記閉塞部材32を備えていない。なお、この第三比較例の他の構成は上記実施例と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
この第三比較例では、充填材充填工程において、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気が、第一の両面粘着テープ31の各切り離し部と、第二の両面粘着テープ33の各切り離し部とから外部に排出される。そのため、液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30の内の領域全体に、空気を残留させること無く充填材35を充填することができる。
しかし、この第三比較例では、液晶表示パネル1と保護板22との間への充填材35の充填に際して、余剰の充填材が、第一の両面粘着テープ31の各切り離し部と、第二の両面粘着テープ33の各切り離し部の両方を通って外部にはみ出す。
そして、第一の両面粘着テープ31の各切り離し部からの樹脂のはみ出し量が多い場合は、はみ出した充填材が、図16のように液晶表示パネル1の外周面や後面に回り込んで付着し、その状態で硬化される。
このように、はみ出した充填材が液晶表示パネル1の外周面や後面に回り込んだ状態で硬化すると、この充填材の層が、筐体24内に他の電子部品等を配置する場合に障害になることがある。また、液晶表示パネル1の後面に回り込んだ充填材の厚さによっては、この充填材の層が面光源10に当たって、表示装置を組立てることができなくなったり、液晶表示パネル1の画面エリア1a内に入り込んで表示品質を低下させることがある。
それに対して、上記実施例の保護板付き表示装置は、余剰の充填材のはみ出しが、上ケース27と保護板22とを固定する第二の両面粘着テープ33の各切り離し部により形成された連通部34からのはみ出しだけであるため、外部にはみ出した充填材が、液晶表示パネル1の外周面や後面に付着するようなことは無い。
[第二実施例]
なお、上記第一実施例では、第一の両面粘着テープ31を、開口30の全周に亘って連続した形状に配置しているが、この第一の両面粘着テープ31は、図17に示した第二実施例のように、複数箇所において切り離された形状、即ち、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって、且つその周方向の複数箇所において切り離された形状となるように形成してもよい。
このように、第一の両面粘着テープ31を複数箇所において切り離された形状に配置しても、閉塞部材32が開口30の全周に亘って連続した形状に形成されているため、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気は、第二の両面粘着テープ33の各切り離し部からなる複数の連通部34から排出され、また余剰の充填材も第二の両面粘着テープ33の各連通部34から押し出される。従って、外部にはみ出した充填材が、液晶表示パネル1の外周面や後面に付着するようなことは無い。
[第三実施例]
また、上記第一及び第二実施例では、閉塞部材32を、開口30の全周に亘って連続した形状に形成しているが、図18に示した第三実施例のように、第一の両面粘着テープ31と閉塞部材32の両方を、複数箇所において切り離された形状に配置してもよい。
この第三実施例において、第一の両面粘着テープ31は、上ケース27の開口30を囲んで、複数箇所において切り離されると共に、開口30側の縁部が閉塞部材32に対して間隙をおいて隣接するように配置されている。即ち、第一の両面粘着テープ31は、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって、且つその周方向の複数箇所において切り離された形状となるように形成されると共に、該第一の両面粘着テープ31の開口側の縁部が閉塞部材32に対して間隙をおいて隣接するように配置され、閉塞部材32は、支持部材27の枠状部27aの周方向に沿った形状であって、且つその周方向の複数箇所において切り離された形状となるように形成されると共に、該閉塞部材32の切り離し部が第一の両面粘着テープ31の切り離し部に対して周方向にずれるように配置されている。
また、閉塞部材32は、前記開口30を囲んで、複数箇所において切り離され、且つ該閉塞部材32の切り離し部が第一の両面粘着テープ31の切り離し部に対して開口30の周方向にずれた形状に形成されている。
なお、閉塞部材32は、開口30の各辺の複数個所に対応する部分と、開口30の各角部に対応する部分とにおいて切り離された形状に形成されている。また、第一の両面粘着テープ31は、その切り離し部31aが、閉塞部材32の隣り合う切り離し部32a,32a間の中間位置に対応するように形成されている。
この第三実施例によれば、充填材充填工程において、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気が、第二の両面粘着テープ33の各切り離し部からなる複数の連通部34から排出されると共に、閉塞部材32の各切り離し部32aからも排出される。そのため、液晶表示パネル1と保護板22との間の開口30の内の領域全体に、空気を残留させること無く充填材35を充填することができる。
なお、閉塞部材32の切り離し部32aから排出された空気は、図19に破線矢印で示したように、閉塞部材32と第一の両面粘着テープ31との間の隙間50と、第一の両面粘着テープ31の切り離し部31aとを通って外部に排出される。
また、この第三実施例では、余剰の充填材が、閉塞部材32の切り離し部32aからも押し出されるが、余剰の充填材は、前記空気の排出経路と同じ経路、即ち、閉塞部材32の切り離し部32aと、閉塞部材32と第一の両面粘着テープ31との間の隙間50と、第一の両面粘着テープ31の切り離し部31aとからなる屈曲した経路を通って外部に押し出される。そのため、余剰の充填材の大部分は前記屈曲した経路内に留まり、前記経路の容積を越える量の充填材だけが外部にはみ出す。
従って、閉塞部材32の切り離し部32aから押し出された充填材の外部へのはみ出し量は、上記第三比較例における第一の両面粘着テープ31の切り離し部からのはみ出し量に比べてはるかに少ない。そのため、外部にはみ出した充填材が、液晶表示パネル1の外周面や後面に付着するようなことは無い。
なお、この第三実施例は、第二の両面粘着テープ33の各連通部34と閉塞部材32の各切り離し部32aとから空気を排出するようにしているため、第一実施例のように、液晶表示パネル1と保護板22との間の空気を、閉塞部材32によって第二の両面粘着テープ33の連通部34流入させるように案内する必要は無い。従って、閉塞部材32の上面を第一実施例のように傾斜させなくてもよい。
[他の実施例]
なお、上記各実施例では、保護板22の後面に目隠し膜23を形成しているが、この目隠し膜23は無くてもよい。その場合、充填材35は、熱硬化性樹脂に限らず、光硬化性樹脂または光硬化性と熱硬化性の両方の特性をもった光/熱硬化性樹脂でもよい。
即ち、保護板22の後面に目隠し膜23が形成されていなければ、保護板22の前面側から充填材35の全域に紫外線を照射することができるため、充填材35は、光硬化性樹脂または光/熱硬化性樹脂でもよい。
なお、充填材35として光硬化性樹脂を用いる場合は、充填材35の充填後に、保護板22の前面側から紫外線を照射して充填材35を硬化させる。また、充填材35として光/熱硬化性樹脂を用いる場合は、充填材35の充填後に、保護板22の前面側から紫外線を照射して充填材35を半硬化(光硬化)させ、その後に加熱して充填材35を完全に硬化させる。
また、充填材35として光硬化性樹脂を用い、閉塞部材32を光硬化性樹脂により形成するときは、閉塞部材形成工程において、印刷した未硬化樹脂を乾燥により固化させて閉塞部材32を形成し、充填材硬化工程において、紫外線照射により充填材35を硬化させるときに、乾燥状態の閉塞部材32を同時に硬化させてもよい。
さらに、充填材35として光/熱硬化性樹脂を用いる場合は、閉塞部材32を光/熱硬化性樹脂により形成してもよい。その場合は、閉塞部材形成工程において、印刷した未硬化樹脂を乾燥または紫外線照射により半硬化(光硬化)させて閉塞部材32を形成し、充填材硬化工程において、紫外線照射及び加熱により充填材35を硬化させるときに、前記乾燥状態または半硬化状態の閉塞部材32を同時に硬化させてもよい。
なお、閉塞部材形成工程において印刷した未硬化樹脂を乾燥により固化させて閉塞部材32を形成したときは、この閉塞部材32を、充填材硬化工程おける紫外線照射及び加熱により硬化させる。また、閉塞部材形成工程において印刷した未硬化樹脂を半硬化(光硬化)により固化させて閉塞部材32を形成したときは、この閉塞部材32を、充填材硬化工程における紫外線照射後の加熱により硬化させる。
また、充填材35として光/熱硬化性樹脂を用い、閉塞部材32を光/熱硬化性樹脂により形成する場合は、閉塞部材形成工程において、印刷した未硬化樹脂を、紫外線照射と加熱により硬化させて閉塞部材32を形成してもよい。この場合は、充填材硬化工程において、再び紫外線照射と加熱とを行って充填材35を硬化させることになる。
また、上ケース27の後面28に液晶表示パネル1を固定する第一の接合部材及び上ケース27の前面29に保護板22を固定する第二の接合部材は、上記実施例における両面粘着テープ31,33に限らず、例えば粘着材または接着剤の印刷層でもよい。
さらに、上記実施例では、前記第二の接合部材に、上ケース27の前面29と保護板22の後面との間の間隙を規定する間隙規定手段を兼ねさせているが、間隙規定手段を第二の接合部材とは別の部材、例えば所定の厚さの樹脂フィルム等により形成し、この間隙規定手段と第二の接合部材とを重ねて配置してもよい。
その場合、上ケース27の前面29上に第二の接合部材を固定し、その上に間隙規定手段を重ねて配置したときは、間隙規定手段が保護板22の後面に当接する。また、保護板22の後面に第二の接合部材を固定し、その上に間隙規定手段を重ねて配置したときは、間隙規定手段が上ケース27の前面29に当接する。その何れの場合も、間隙規定手段と保護板22の後面または上ケース27の前面29との当接面は、単なる接触面でも、粘着材または接着剤による貼り付け面でもよい。
さらに、間隙規定手段を樹脂フィルム等により形成する場合、第二の接合部材は省略してもよい。その場合は、間隙規定手段を、上ケース27の前面29と保護板22の後面の何れか一方または両方に、粘着材または接着剤により貼り付けるのが望ましい。
また、上記実施例の保護板付き表示装置は、表示パネルとして、液晶表示パネル1を備えたものであるが、表示パネルは、液晶表示パネルに限らず、例えばLE(エレクトロルミネッセンス)表示パネルや、プラズマ表示パネル等の発光型表示パネルでもよい。その場合は、上記実施例における面光源10は不要である。
さらに、上記実施例の保護板付き表示装置は、筐体24を備え、この筐体24を構成する部材のうちの上ケース27に表示パネル1と保護板22を支持させたものであるが、表示パネル1と保護板22を支持する支持部材は、他の部材でもよい。即ち、支持部材は、枠状部と該枠状部の内壁面によって画定された開口を有し、表示パネルと保護板との間に、前記枠状部の所定部分が表示パネルの周縁部及び保護板の周縁部に重なるように配置されるものであればよい。