JP5568962B2 - エレベーターの制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エレベーターの制御装置に関するものである。
従来における制御装置においては、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を2つずつ有する二重系システムであって、双方のCPUから読み書き可能なDPRAM(Dual Port RAM)を介して2つのCPU間でのデータのやり取りを行うものとして、制御装置内でメモリ(RAM)の一過性のビットエラーが発生した場合に、固定領域データの場合はROMデータとRAMデータとの比較を行い、比較不一致の場合はROMデータを真値としてRAMデータの訂正を行い、また、訂正回数が所定の回数に達した場合は、所定の異常処理を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、エレベーターの制御分野においては、二重系の安全システムを構成したエレベーターの安全機能として、欧州規格#N81のTable11「Invariant memory ranges」にROMコンペアの要件がある(EN61508−7 A4.4、A4.5等を参照)。
特開2007−018414号公報
しかしながら、特許文献1に示された従来における二重系の安全システムを構成した制御装置においては、ROMデータとRAMデータとの比較において不一致となった場合には、ROMは不揮発性のメモリでありビットエラーが発生しにくいことを前提として、ROM内のデータを真値としてRAMデータをROMデータでもって上書きするものである。
従って、ROMエラーの検出は行うことができないという課題があり、この場合、プログラムが格納されているROMの内容が正しくないということは、プログラムの暴走が発生してエレベーター制御が不能に陥る恐れがあるという課題がある。
また、ROMデータの異常はROMそのものの異常の他、ROMデータにアクセスするアドレスバスやデータバスといったCPU基盤の異常も発生要因となり得るため、ROMデータ異常が発生した場合にその検出が行えないとすると当該異常の原因究明が困難であり、故障の復旧に時間がかかるという課題もある。
なお、ROMの内容が正しいか否かを確認する方法として、各CPUのROM内に同一のプログラム格納したブロックを2つ設け、これらのブロック同士のデータを比較するという方法も知られている。しかし、この方法においては、同一のプログラムを2ブロックに格納するため、ROMの容量が2倍必要となってしまいROMサイズを大きくせざるを得ず、コスト高にもなってしまうという課題がある。
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、制御プログラムが格納されているROMの異常発生を検出し、ROM異常に起因するエレベーターの制御異常を未然に防止することができ、かつ、ROMサイズを小さく抑えてコスト高を抑制することができるエレベーターの制御装置を得るものである。
この発明に係るエレベーターの制御装置においては、エレベーターの制御に係る演算を行う第1のCPU及び第2のCPUと、前記制御に必要な同一のプログラムをそれぞれ予め格納する第1のROM及び第2のROMと、を有する二重系システムで構成されたエレベーターの制御装置であって、前記第1のCPU及び前記第2のCPUの双方から読み書き可能であるデュアルポートRAMを備え、前記第1のCPU及び前記第2のCPUそれぞれの演算結果の妥当性を前記デュアルポートRAMを介して確認しながら前記制御を行うとともに、同一の前記デュアルポートRAMに前記第1のROMに格納された前記プログラムのデータと前記第2のROMに格納された前記プログラムのデータとをセットした上で、当該デュアルポートRAMにセットされた前記第1のROMに格納された前記プログラムの内容と前記第2のROMに格納された前記プログラムの内容との比較を行うことにより、前記第1のROM及び前記第2のROMの異常を検出し、異常が検出された時に所定の異常処理を行う構成とする。
この発明に係るエレベーターの制御装置においては、制御プログラムが格納されているROMの異常発生を検出し、ROM異常に起因するエレベーターの制御異常を未然に防止することができ、かつ、ROMサイズを小さく抑えてコスト高を抑制することができるという効果を奏する。
この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置のマイコン制御部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置のマイコン制御部の処理を示すフロー図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置のROMコンペアの要領について模式的に説明する図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置のROMコンペアの処理を示すフロー図である。 この発明の実施の形態2に係るエレベーターの制御装置のROMコンペアの処理を示すフロー図である。 この発明の実施の形態2に係るエレベーターの制御装置のマイコン制御部の処理を示すフロー図である。
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
実施の形態1.
図1から図4は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベーターの制御装置のマイコン制御部の構成を示すブロック図、図2はエレベーターの制御装置のマイコン制御部の処理を示すフロー図、図3はエレベーターの制御装置のROMコンペアの要領について模式的に説明する図、図4はエレベーターの制御装置のROMコンペアの処理を示すフロー図である。
図において1はエレベーターの制御装置のマイコン制御部において、CPU等の電子部品が搭載されるCPU基盤であり、このCPU基盤1には、当該エレベーターのマイコン制御に係る演算を行う第1のCPU2aが設けられている。
そして、マイコン制御に必要なプログラム等が予め格納されている不揮発性メモリである第1のROM3a、及び、第1のCPU2aの演算において実行するプログラムや変数等が格納される揮発性メモリである第1のRAM4aが、この第1のCPU2aと第1のバス5aを介して結ばれている。
また、第1のCPU2aは、第1のインターフェイス6aを介して、制御対象の各種機器と接続されている。
当該マイコン制御部は、CPU系統を2系統有する二重系システムとして構成されている。
すなわち、CPU基盤1には、前述の第1のCPU2a、第1のROM3a、第1のRAM4a、第1のバス5a及び第1のインターフェイス6aのそれぞれと同様の構成を持つ、第2のCPU2b、第2のROM3b、第2のRAM4b、第2のバス5b及び第2のインターフェイス6bが設けられている。
そして、第1のCPU2aと第2のCPU2bとの間には、第1のCPU2a及び第2のCPU2bの双方と結ばれ、これらのCPU双方からのデータ読み書きが可能なデュアルポートRAMであるDPRAM7が設けられている。第1のCPU2aと第2のCPU2bとは、このDPRAM7を介して信号のやり取りが可能なように構成されている。
このように構成されたマイコン制御部において、第1のROM3a及び第2のROM3bには同一のプログラム等が予め格納されており、それぞれのCPUにおける演算結果の妥当性をDPRAM7を介して確認しながら、当該エレベーターの制御が行われる(二重系システム)。
マイコン制御部におけるエレベーター制御処理は、図2に示すフローに従い、タイマー割込み制御によって所定の割込み演算をCPUの演算周期内に処理することにより行われる。
まず、図2(a)に示すフローに従ってマイコン制御部の初期設定がなされる。
すなわち、ステップS1において割込み禁止部により割込み演算が禁止され、ステップS2においてマイコン設定部により所定のマイコン設定がなされ、続くステップS3においてRAM領域の0設定部により第1のRAM4a及び第2のRAM4bの格納内容がクリアされて0設定される。
そして、ステップS4においてタイマー割込み開始部によりタイマー割込みが開始され、ステップS5においてタイマー割込みがなされるまで待機する。
所定の割込み演算は、例えば、図2(b)に示すフローに従って行われる。
すなわち、まず、ステップS11において入力演算部により当該演算に必要な信号の入力が行われ、ステップS12においてかご位置演算部により当該エレベーターのかごの現在位置が求められる。そして、ステップS13において呼びスキャン演算部により呼びボタン操作等によるかご呼びや乗場呼びの登録有無を検出する。
続いてステップS14において距離演算部によりかごの現在位置から呼び登録の目的階までの距離が求められ、ステップS15において走行指令演算部により目的階までの距離に従ってかごの走行指令が求められる。
ステップ16においてはモニター演算部により当該エレベーターの状態をモニター表示するための演算がなされ、次のステップS17において出力演算部により当該エレベーターを走行させるために必要な信号の出力が行われる。その後ステップS18へと至り一連の割込み演算処理は終了する。
このように構成されたエレベーターの制御装置のマイコン制御部においては、第1のROM3a及び第2のROM3bに格納されている制御プログラムの内容が正常であるか否かについての判断が、第1のCPU2a及び第2のCPU2bの双方から内容の読み書きが可能であるDPRAM7を介して、双方のROMに格納された内容を比較する(ROMコンペアを行う)ことにより行われる。
このROMコンペア実施の要領としては、図3に示すようにして行われる。
ここでは、例えば、ROMの格納領域が10000H(アドレス:0000H〜FFFFH)のサイズであり、ROMの格納内容の比較をCPUの演算周期毎に比較単位サイズである10Hずつ実施するとして説明する。
なお、数値末尾のHはこの数値が16進数(Hexadecimal Number)で表現されていることを示している。以下についても同様である。
10000Hのサイズについて比較単位サイズを10Hとして10Hずつ比較を行う場合、CPU演算周期が5ミリ秒(msec)であるとすると、次のようにしてROM全格納領域の比較が一巡するのに要する時間を求めることができる。
(10000H/10H)×5msec=20.48sec
すなわち、ROM全格納領域の比較が一巡するのには、20.48secの時間を要する。
ROMコンペアの実施時においては、DPRAM7のメモリ領域は図3に示すように用いられる。
すなわち、比較対象となっているROMデータ(10H分)の先頭アドレス及び当該比較対象データが、第1のCPU2a側の第1のROM3a及び第2のCPU2b側の第2のROM3bのそれぞれについて、DPRAM7の所定領域に、先頭アドレス、データの順で設定(格納)される。
そして、この際、それぞれのROMから比較対象データのDPRAM7への設定が完了したことを第1のCPU2a及び第2のCPU2b間で確認するために、第1のCPU2a側及び第2のCPU2b側のそれぞれについて、セットフラグが設けられており、これらのセットフラグはDPRAM7の前記先頭アドレスが格納された領域の前側の所定領域に設定されている。
これらのセットフラグは、対応するCPU側の比較対象ROMデータが設定されていない場合に0の値が、当該データがDPRAM7の所定領域に設定されると1の値がセットされる。
また、それぞれのROMからの比較対象データにおいて異常があるか否かを各CPUが認識するために、第1のCPU2a側及び第2のCPU2b側のそれぞれについて異常フラグが設けられており、これらの異常フラグはDPRAM7の前記セットアドレスが格納された領域の前側の所定領域に設定されている。
これらの異常フラグは、対応するCPU側の比較対象ROMデータに異常がなく正常である場合に0の値が、ROMコンペアの結果当該データに異常があると判断されると1の値がセットされる。
この実施の形態にあっては、図4に示す一連のフローに従って、CPUの演算周期毎に、ROMコンペア処理が行われる。
なお、このROMコンペア処理は第1のCPU2a及び第2のCPU2bのいずれにおいても行われるもので比較対象データや当該データの先頭アドレス、各種フラグについては、前述のごとく、DPRAM7の格納領域内において、各CPU(側のROM)に対応してそれぞれ設定(格納)されている。
そこで、以降の説明においては、一方のCPU側から見て、この一方のCPU側のROMかに係るアドレス、データやフラグについてそれぞれ自方アドレス、自方データ、自方フラグといい、他方のCPU側のROMに係るアドレス、データやフラグについてそれぞれ他方アドレス、他方データ、他方フラグということにする。
すなわち、第1のCPU2aから見た場合、自方アドレス、自方データ、自方フラグとは、第1のCPU2a側の第1のROM3aに係るアドレス、データ、フラグをそれぞれ指し、他方アドレス、他方データ、他方フラグとは、第2のCPU2b側の第2のROM3bに係るアドレス、データ、フラグをそれぞれ指している。
また、逆に、第2のCPU2bから見た場合、自方アドレス、自方データ、自方フラグとは、第2のCPU2b側の第2のROM3bに係るアドレス、データ、フラグをそれぞれ指し、他方アドレス、他方データ、他方フラグとは、第1のCPU2a側の第1のROM3aに係るアドレス、データ、フラグをそれぞれ指している。
この図4で、まず、ステップS21において、CPUはDPRAM7の内容を確認し、自方異常フラグ及び他方異常フラグの両方ともが0であって、ROMデータについて異常無しであるか否かについて確認を行う。この確認において、自方異常フラグ及び他方異常フラグの両方ともが0で異常無しであることが確認された場合には、ステップS22へと移行して、自方セットフラグの値が0であるか否かについて確認を行う。
このステップS22の確認において、自方セットフラグの値が0である場合には、自方比較対象データのDPRAM7への設定が未だ済んでいないということであるので、ステップS23へと移り、自方の比較対象データのアドレス(自方アドレス)及び当該データ(自方データ)をDPRAM7へとセット(設定)する。
そして、ステップS24へと進み、自方のデータセットが完了したことを示すため自方セットフラグの値に1を代入した後、ステップS25へと進む。
一方、ステップS22の確認において自方セットフラグの値が0でなく1である場合には、自方のデータセットは既に完了しているということなので、ステップS23、24を経ることなくステップS22から直接ステップS25へと移行する。
このステップS25においては、他方セットフラグの値が1である否かについて確認を行う。この確認において、他方セットフラグの値が1でなく0である場合には、他方比較対象データのDPRAM7への設定が未だ済んでおらず、ROMコンペアができない状態であるので、ステップS33へと移り、一連の処理を終了する。
一方、ステップS25の確認において、他方セットフラグの値が1である場合には、他方比較対象データはDPRAM7へと設定済みであるため、ステップS26へと進み、DPRAM7に設定されている他方比較対象ROMデータ及び当該データに係る他方先頭アドレスの入力を行い、ステップS27において、自方データと他方データとの比較によるコンペアチェックを行う。
そして、ステップS28へと進み、ステップS27のコンペアチェックの結果について、双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しであるか否かについて確認が行われる。
このステップS28の確認において、双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しであることが確認された場合には、次の比較対象へと移行するため、ステップS29へと移り他方セットフラグの値に0を代入した上で、ステップS20において、自方の比較対象データの先頭アドレスである自方アドレスを比較単位サイズ(ここでは10H)分だけインクリメントすることにより、次の比較対象データの先頭アドレスとなるよう更新する。そして、ステップS33へと至り一連の処理は終了する。
一方、ステップS28の確認において、双方の比較対象データが不一致であってROMデータに異常があることが確認された場合には、ステップS31へと移行して自方異常フラグの値に1を代入する。そしてステップS32へと移り、ROMコンペア異常につき所定の異常処理を行う。
このステップS32での所定の異常処理においては、例えば、当該エレベーターを急停止させるための急停止演算、又は、当該エレベーターを最寄階に停止させるための最寄階停止演算が行われる。そして、ステップS33へと至り一連の処理は終了する。
また、ステップS21の確認において、自方異常フラグ及び他方異常フラグの少なくともいずれか一方の値が0でなく1であって異常があることが確認された場合には、このステップS21から直接ステップS32へと移行して、前述した所定の異常処理が行われる。
なお、以上のようなROMコンペア処理を実行するためのプログラムも予め第1のROM3a及び第2のROM3bに格納されている。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置は、エレベーターの制御に係る演算を行う第1のCPU及び第2のCPUと、制御に必要な同一のプログラムをそれぞれ予め格納する第1のROM及び第2のROMと、を有する二重系システムで構成されたエレベーターの制御装置であって、第1のCPU及び第2のCPUの双方から読み書き可能であるデュアルポートRAMを備え、このデュアルポートRAMを介して、第1のROMに格納されたプログラムの内容と第2のROMに格納されたプログラムの内容との比較を行うことにより、第1のROM及び第2のROMの異常を検出し、異常が検出された時に所定の異常処理を行うものである。
また、この所定の異常処理は、エレベーターの運転を急停止する処理及びエレベーターを最寄階に停止させる処理のいずれか一方を含むものである。
このため、制御プログラムが格納されているROMの異常発生を検出し、ROM異常に起因するエレベーターの制御異常を未然に防止することができ、かつ、ROMサイズを小さく抑えてコスト高を抑制することができる。
実施の形態2.
図5及び図6は、この発明の実施の形態2に係るもので、図5はエレベーターの制御装置のROMコンペアの処理を示すフロー図、図6はエレベーターの制御装置のマイコン制御部の処理を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、ROMコンペア異常の状態を、エレベーターの運転に最低限必要であるプログラムが格納されたROM領域において異常が検出された重異常と、無くともエレベーターの運転自体には支障が生じないプログラムが格納されたROM領域において異常が検出された軽異常と、の2段階に分け、ROMコンペア異常が重異常と軽異常のどちらであるかにより異常処理の内容を変えるようにしたものである。
すなわち、実施の形態1と同様にROMの格納領域が10000H(アドレス:0000H〜FFFFH)のサイズであるとし、このうち所定の第1の領域(例えばアドレス0000H〜7FFFHの領域)にはエレベーターの運転に最低限必要であるプログラムが格納されており、残りの所定の第2の領域(例えばアドレス8000H〜FFFFHの領域)にはエレベーターの運転自体に無くとも支障が生じないプログラムが格納されているとする。
そして、ROMコンペアの実施時における、DPRAM7のメモリ領域の使用状態については、基本的に実施の形態1の図3と同様であるが、異常フラグ領域が各CPU側につき1つずつではなく、重異常フラグ領域と軽異常フラグ領域の2つずつ設定される点が異なっている。
この実施の形態にあっては、図5に示す一連のフローに従って、CPUの演算周期毎に、ROMコンペア処理が行われる。この図5中において、一点鎖線によって囲まれた部分が、実施の形態1の図4との相違点である。なお、このROMコンペア処理は第1のCPU2a及び第2のCPU2bのいずれにおいても行われるものである点は実施の形態1と同様である。
この図5で、まず、ステップS41において、CPUはDPRAM7の内容を確認し、自方重異常フラグ及び他方重異常フラグの両方ともが0であって、ROMデータについて重異常無しであるか否かについて確認を行う。この確認において、自方重異常フラグ及び他方重異常フラグの両方ともが0で重異常無しであることが確認された場合には、ステップS42へと移行する。
このステップS42においては、今度は、自方軽異常フラグ及び他方軽異常フラグの両方ともが0であって、ROMデータについて軽異常無しであるか否かについて確認を行う。この確認において、自方軽異常フラグ及び他方軽異常フラグの両方ともが0で軽異常無しであることが確認された場合には、ステップS43へと移行して、自方セットフラグの値が0であるか否かについて確認を行う。
このステップS43の確認において、自方セットフラグの値が0である場合には、自方比較対象データのDPRAM7への設定が未だ済んでいないということであるので、ステップS44へと移り、自方の比較対象データのアドレス(自方アドレス)及び当該データ(自方データ)をDPRAM7へとセット(設定)する。
そして、ステップS45へと進み、自方のデータセットが完了したことを示すため自方セットフラグの値に1を代入した後、ステップS46へと進む。
一方、ステップS43の確認において自方セットフラグの値が0でなく1である場合には、自方のデータセットは既に完了しているということなので、ステップS44、45を経ることなくステップS43から直接ステップS46へと移行する。
このステップS46においては、他方セットフラグの値が1である否かについて確認を行う。この確認において、他方セットフラグの値が1でなく0である場合には、他方比較対象データのDPRAM7への設定が未だ済んでおらず、ROMコンペアができない状態であるので、ステップS57へと移り、一連の処理を終了する。
一方、ステップS46の確認において、他方セットフラグの値が1である場合には、他方比較対象データはDPRAM7へと設定済みであるため、ステップS47へと進み、DPRAM7に設定されている他方比較対象ROMデータ及び当該データに係る他方先頭アドレスの入力を行い、ステップS48において、自方データと他方データとの比較によるコンペアチェックを行う。
そして、ステップS49へと進み、ステップS48のコンペアチェックの結果について、比較対象データがROMの第1の領域(0000H〜7FFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しであるか否かについて確認が行われる。
このステップS49の確認において、比較対象データがROMの第1の領域(0000H〜7FFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しすなわち重異常無しであることが確認された場合には、ステップS50へと進み、今度は、ステップS48のコンペアチェックの結果について、比較対象データがROMの第2の領域(8000H〜FFFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しであるか否かについて確認が行われる。
このステップS50の確認において、比較対象データがROMの第2の領域(8000H〜FFFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが一致してROMデータ異常無しすなわち軽異常無しであることが確認された場合には、当該比較対象データにおいて重異常及び軽異常のいずれも検出されていないということなので、次の比較対象へと移行するため、ステップS51へと移り他方セットフラグの値に0を代入した上で、ステップS52において、自方の比較対象データの先頭アドレスである自方アドレスを比較単位サイズ(ここでは10H)分だけインクリメントすることにより、次の比較対象データの先頭アドレスとなるよう更新する。そして、ステップS57へと至り一連の処理は終了する。
一方、ステップS49の確認において、比較対象データがROMの第1の領域(0000H〜7FFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが不一致であるすなわちROMデータに重異常があることが確認された場合には、ステップS53へと移行して自方重異常フラグの値に1を代入する。そしてステップS54へと移り、ROMコンペア重異常につき所定の重異常処理を行う。
このステップS54での所定の重異常処理においては、例えば、実施の形態1の異常処理と同様の処理、すなわち、当該エレベーターを急停止させるための急停止演算、又は、当該エレベーターを最寄階に停止させるための最寄階停止演算が行われる。そして、ステップS57へと至り一連の処理は終了する。
また、ステップS41の確認において、自方重異常フラグ及び他方重異常フラグの少なくともいずれか一方の値が0でなく1であって重異常があることが確認された場合には、このステップS41から直接ステップS54へと移行して、前述した所定の重異常処理が行われる。
一方、ステップS50の確認において、比較対象データがROMの第2の領域(8000H〜FFFFH)内に格納されたものであってかつ双方の比較対象データが不一致であるすなわちROMデータに軽異常があることが確認された場合には、ステップS55へと移行して自方軽異常フラグの値に1を代入する。そしてステップS56へと移り、ROMコンペア軽異常につき所定の軽異常処理を行う。
このステップS56での所定の軽異常処理は前述の所定の重異常処理とは異なる異常処理であって、重異常は発生しておらずROMの第1の領域内に格納されたエレベーターの運転に最低限必要であるプログラムは正常に取得して実行できる状態にあるため、割込み演算をこのエレベーターの運転に最低限必要な処理のみとして運転を継続する。
例えば、詳細は後述するように、図2(b)の割込み演算処理において、エレベーターの走行には直接必要のないモニター演算部による当該エレベーターの状態をモニター表示するための演算を行わないようにして、エレベーターの運転を継続させる。
そして、ステップS57へと至り一連の処理は終了する。また、ステップS42の確認において、自方軽異常フラグ及び他方軽異常フラグの少なくともいずれか一方の値が0でなく1であって軽異常があることが確認された場合には、このステップS42から直接ステップS56へと移行して、前述した所定の軽異常処理が行われる。
図6のフロー図に基づいて、図5のステップS56における所定の軽異常処理についてさらに説明する。
すなわち、タイマー割込みによる割込み演算処理においては、まず、ステップS61で、ROMについて軽異常無しであるか否かを、例えば、DPRAM7に設定された、自方軽異常フラグ及び他方軽異常フラグの両方の値が0であるか否かを見ること等により確認する。
そして、この確認において、軽異常無しであることが確認された場合には、通常通りの演算処理であるステップS62からステップS68までの演算処理を実行する。なお、これらの各ステップにおける内容については、実施の形態1の図2(b)におけるステップS11からステップS17までの内容と同一であるので、その詳細説明は省略する。
ステップS68の後はステップS75へと至り一連の処理は終了する。
一方、ステップS61の確認において、軽異常ありであることが確認された場合には、ステップS69へと移行する。
このステップS69においては入力演算処理が行われ、続いてステップS70のかご位置演算処理、ステップS71の呼びスキャン演算処理、ステップS72の距離演算処理、ステップS73の走行指令演算処理が行われる。これらのステップの内容は、ステップS62からステップS66まで、すなわち、図2(b)のステップS11からステップS15までのものと同一である。
そして、ステップS73の次は、エレベーターの走行には直接必要のないモニター演算処理を飛ばして、ステップS74の出力演算処理が行われる。このステップS74の内容は、ステップS68すなわち図2(b)のステップS17のものと同一である。
ステップS74の後はステップS75へと至り一連の処理は終了する。
ここで、以上の構成においては、各ROMの第1の領域に、入力演算部、かご位置演算部、呼びスキャン演算部、距離演算部、走行指令演算部及び出力演算部を構成するプログラムが格納されており、第2の領域に、モニター演算部をはじめとするエレベーターの走行には直接必要のない各種機能を構成するプログラムが格納されている。
なお、以上説明した以外の他の構成等については実施の形態1と同様である。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置は、実施の形態1の構成において、さらに、第1のROM及び第2のROMは、第1の領域においてプログラムのうちエレベーターの運転に最低限必要不可欠であるプログラムを格納するとともに第2の領域においてプログラムのうち第1の領域に格納されたもの以外のプログラムを格納するようにし、制御装置本体は、第1の領域に格納されたプログラムの内容の比較において異常を検出した場合に重異常を検出し、重異常が検出された時に所定の重異常処理を行い、重異常を検出せず、かつ、第2の領域に格納されたプログラムの内容の比較において異常を検出した場合に軽異常を検出し、軽異常が検出された時に所定の重異常処理とは異なる所定の軽異常処理を行うものである。
また、所定の重異常処理は、エレベーターの運転を急停止する処理及びエレベーターを最寄階に停止させる処理のいずれか一方を含むものであり、所定の軽異常処理は、第1の領域に格納されたプログラムを実行することによりエレベーターの運転を継続するとともに、第2の領域に格納されたプログラムの実行を停止する処理である。
このため、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、異常が検出されたROMの格納領域に応じて、可能であれば最低限必要不可欠な処理のみにして当該エレベーターの運転を継続することができ、サービスを維持して運転効率が低下することを抑制することが可能である。
1 CPU基盤
2a 第1のCPU
2b 第2のCPU
3a 第1のROM
3b 第2のROM
4a 第1のRAM
4b 第2のRAM
5a 第1のバス
5b 第2のバス
6a 第1のインターフェイス
6b 第2のインターフェイス
7 DPRAM

Claims (5)

  1. エレベーターの制御に係る演算を行う第1のCPU及び第2のCPUと、
    前記制御に必要な同一のプログラムをそれぞれ予め格納する第1のROM及び第2のROMと、を有する二重系システムで構成されたエレベーターの制御装置であって、
    前記第1のCPU及び前記第2のCPUの双方から読み書き可能であるデュアルポートRAMを備え、
    前記第1のCPU及び前記第2のCPUそれぞれの演算結果の妥当性を前記デュアルポートRAMを介して確認しながら前記制御を行うとともに、同一の前記デュアルポートRAMに前記第1のROMに格納された前記プログラムのデータと前記第2のROMに格納された前記プログラムのデータとをセットした上で、当該デュアルポートRAMにセットされた前記第1のROMに格納された前記プログラムの内容と前記第2のROMに格納された前記プログラムの内容との比較を行うことにより、前記第1のROM及び前記第2のROMの異常を検出し、異常が検出された時に所定の異常処理を行うことを特徴とするエレベーターの制御装置。
  2. 前記所定の異常処理は、前記エレベーターの運転を急停止する処理及び前記エレベーターを最寄階に停止させる処理のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの制御装置。
  3. 前記第1のROM及び前記第2のROMは、第1の領域において前記プログラムのうち前記エレベーターの運転に最低限必要不可欠であるプログラムを格納するとともに第2の領域において前記プログラムのうち前記第1の領域に格納されたもの以外のプログラムを格納しており、
    前記第1の領域に格納されたプログラムの内容の比較において異常を検出した場合に重異常を検出し、重異常が検出された時に所定の重異常処理を行い、
    前記重異常を検出せず、かつ、前記第2の領域に格納されたプログラムの内容の比較において異常を検出した場合に軽異常を検出し、軽異常が検出された時に前記所定の重異常処理とは異なる所定の軽異常処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの制御装置。
  4. 前記所定の重異常処理は、前記エレベーターの運転を急停止する処理及び前記エレベーターを最寄階に停止させる処理のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項3に記載のエレベーターの制御装置。
  5. 前記所定の軽異常処理は、前記第1の領域に格納されたプログラムを実行することにより前記エレベーターの運転を継続するとともに、前記第2の領域に格納されたプログラムの実行を停止する処理であることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載のエレベーターの制御装置。
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