JP5567993B2 - シート止め具 - Google Patents

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Description

本発明は、シート状物をパイプ部材に対して固定するための止め具に関するものであり、より詳しくは、ビニールハウス等の設備において、その骨組みであるパイ部材に対しシート状物を固定するためのシート止め具に関するものである。
言うまでもなく、農園芸用に使用される所謂ビニールハウスは、パイプ部材をつなぎ合わせて組立体を形成し、これに合成樹脂製でシート状の覆いを被せて簡易の温室とするものである。
このシート状の覆いは、前記組立体に被せただけでは風などにより飛ばされる可能性が高いので、これを何らかの手段で、しっかりと組立体に固定する必要がある。そのため、従来より様々なシート止め具が考案されている。
下記特許文献1に示すフィルム取付具はその一例であり、この発明は、断面Ω形の樋状フィルム取付具の少なくとも一方の端部を熱加工によりわずかに外方へ折返して成るフィルム取付具を提供するものである。このような従来のフィルム取付具によれば、断面Ω形の内周面が、当該フィルム取付具の弾性力により骨材(パイプ部材)を押圧するようにして、フィルム(シート状物)を骨材(パイプ部材)に固定することができるものである。また、断面Ω形の樋状としたことで、このフィルム取付具の取り付けが非常に容易なものとなされている。
しかしながら、この従来のフィルム取付具によれば、断面Ω形の内周面が平滑なものであり、当該フィルム取付具の弾性力のみによってシート状物及びパイプ部材を嵌着するものであるためシート状物をパイプ部材に確実に固定することができず、容易にシート状物がずれてしまうという問題があった。
これに対しては、例えばビニールハウスを被覆するプラスチツクシート材を巻き取る巻取パイプにプラスチツクシート材の一端部を固定する巻取パイプ用抱着具において、筒状の胴体部の周壁を長手方向に切欠して開口部を形成し、開口部の開口両端より拡間方向へ案内翼片を各々延出形成すると共に、上記胴体部の内周面に二本のサインウエーブが基準線において交叉し、各々のサインウエーブの弧状内側を相対向させて形成した突条部を設けた巻取パイプ用抱着具が提案されている。
この巻取パイプ用抱着具によれば、上記突条部を胴体部の内周面に形成したことで、確かにシート材(シート状物)を胴体部の内周面と巻取パイプ(パイプ部材)の外表面との間に強固に固定することができる。
実開昭52−145150号公報 実開昭63−95459号公報
しかしながら、この従来の巻取パイプ用抱着具によれば、胴体部の内周面に形成された突条部がシート状物の外表面に食い込むようにして強固に固定されるものであるため、これを着脱する際に突条部がシート状物の表面に引っ掛かり、これによってシート状物が部分的に伸びてしまったり、破れてしまったりするという問題があった。
本発明は、かかる問題点を克服するためになされたものであり、シート状物を部分的に伸ばしたり破ったりすることなく、しかも容易かつ確実にシート状物を挟んでパイプ部材に固定可能なシート止め具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るシート止め具は、シート状物を挟んでパイプ部材に嵌着させることにより、シート状物をパイプ部材に固定するためのシート止め具であって、円筒の周壁の一部を軸方向に切り欠いて開口させた開口部を形成した本体部を備え、前記開口部からシート状物及びパイプ部材を導入して本体部の内周面がシート状物を挟んでパイプ部材に嵌着するようになされ、前記本体部の内周面には、複数の凹部が形成されているとともに、複数の凹部は、本体部の円筒内空間部における奥方側の半円筒部の内周面に形成されていることを特徴とする。
本発明に係るシート止め具によれば、本体部の内周面がシート状物を挟んでパイプ部材を嵌着するようになされた状態において、シート止め具によって弾性的に押圧されたシート状物の外表面が僅かに凹部に入り込むようにして固定される。したがって、本発明に係るシート止め具によれば、容易にシート状物を挟んでパイプ上部材に固定することができ、かつシート状物の外表面が僅かに凹部に入り込むことで本体部の内周面とシート状物とが接触する面積が広くなって摩擦抵抗が増大するので、フィルムのズレが防止され確実に固定される。しかも、着脱の際に突条部がシート状物の表面に引っ掛かって部分的に伸びてしまったり、或いは破れてしまったりするという恐れも非常に少ないものとなる。
また、上記のようにすれば、開口部側には凹部が形成されていないのでシート止め具を嵌着する際には容易に嵌着でき、いったん嵌着させた後は、シート止め具によって弾性的に押圧されたシート状物の外表面が僅かに凹部に入り込むようにしてパイプ部材にしっかりと固定される。
さらに、前記凹部は、本体部の内周面を略半球形状に窪ませたものとすることができる。このようにすれば、本発明に係るシート止め具を着脱する際に、シート状物が引っ掛かる恐れが少なくなる。
また、本発明に係るシート止め具において、本体部の開口端部には、開口外側方向へ向かうにつれ対向する開口端部同士の距離が拡がるようになされ、パイプ部材への嵌着動作を容易とした導入部が形成されているようにしてもよい。このようにすれば、本発明に係るシート止め具の着脱がより容易となる。
さらに、本発明に係るシート止め具において、本体部の外周面をその円筒形状半径方向内側へ押圧する押圧部材を、本体部の外周面に着脱自在に設けるようにすることができる。このようにすれば、この押圧部材を取り外した状態でシート止め具をシート状物及びパイプ部材に嵌着させ、その後に押圧部材を本体部の外周面に取り付けるようにすれば、シート止め具を容易に取り付けることができ、かつ強固に固定することが可能となる。
以上のとおり、本発明に係るシート止め具によれば、本体部の内周面がシート状物を挟んでパイプ部材を嵌着するようになされた状態において、シート止め具によって弾性的に押圧されたシート状物の外表面が僅かに凹部に入り込むようにして固定される。したがって、本発明に係るシート止め具によれば、容易にシート状物を挟んでパイプ上部材に固定することができ、かつシート状物の外表面が僅かに凹部に入り込むことで本体部の内周面とシート状物とが接触する面積が広くなって摩擦抵抗が増大するので、フィルムのズレが防止され確実に固定される。しかも、着脱の際に突条部がシート状物の表面に引っ掛かって部分的に伸びてしまったり、或いは破れてしまったりするという恐れも非常に少ないものとなる。
本発明に係るシート止め具の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示したシート止め具の正面図である。 図1に示したシート止め具の側面図である。 図1に示したシート止め具の平面図である。 図1に示したシート止め具の底面図である。 (ア)は、図3のA−A線間における断面図であり、(イ)は、(ア)の断面図の一部(凹部の断面)の拡大図である。 図1のB−B線間〜G−G線間の各位置における断面を示す図である。 図1に示したシート留め具に押圧部材を取り付ける様子を示す説明図である。 本発明に係るシート止め具の別の一実施形態を示す底面図である。 本発明に係るシート止め具の更に別の一実施形態を示す底面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明に係るシート止め具の一実施形態を示している。この実施形態におけるシート止め具1は、本体部2を備え、当該本体部2の円筒形の周壁が一部軸方向、すなわちこの実施形態における長手方向に端から端まで切り欠かれていて、これにより開口部21が形成されてなるものである。
本体部2の円筒内空間部の内径寸法は、シート状物を被覆したパイプ部材の外径寸法と略同一か、あるいは僅かに小さいものとなされている。これにより、シート状物の外表面が本体部の凹部に入り込み易く、確実にシート状物を挟んでパイプ部材を嵌着することが可能となる。
また、この開口部21の幅、すなわち開口部21における両開口端部間の距離は、シート止め具1を取り付けるべきパイプ部材の外径よりも小さいものとなされている。これにより、開口部2に沿ってシート状物を被せたパイプ部材を当てるようにして止め具1をこれに押し付けることで、開口端部同士の間隔が開くように止め具1が弾性変形して、パイプ部材及びシート状物は本体部2内の空洞部22に導かれる。いったん弾性変形した本体部2はシート状物を被せたパイプ部材が空洞部22に嵌ると同時に元の形状に戻り、これによってシート止め具1がシート状物を挟んでパイプ部材に嵌着され、しっかりと固定される。すなわち、本体部2がシート状物を被せたパイプ部材を当該パイプ部材の半径方向内側へ弾性的に押圧することによって、パイプ部材の外表面と止め具1の本体部2の円筒内周面との間にシート状物がしっかりと固定されることとなる。
なお、この本体部2は、ポリプロピレンで形成されている。本体部2を形成する材料はこれに限られず、開口部21からパイプ部材を押し込むことができる程度に弾性変形可能なものであれば、ポリエチレンやABS樹脂、AAS樹脂、ASA樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、エラストマー、ラバーなどにより形成してもよく、またそれらを適宜組み合わせて用いてもよい。あるいは、弾性変形可能であり、かつ所定の強度を備えていれば、上記以外の合成樹脂材料や金属その他の任意の材料を使用することができる。さらに、この本体部2は一体的に形成されているが、複数の部材を連結して本体部2を形成するようにしてもよい。
図5及び図6に示すように、本体部2の円筒内周面には複数の凹部23が形成されている。この実施形態においては、凹部23は略半球形状の窪みとして多数形成され、本体部2円筒形状の軸方向へ9列、周方向へ5列、適宜間隔を空けて配されている。
この多数の凹部23が形成されたことにより、シート状物を被せたパイプ部材にシート止め具1を嵌着させ固定した際、シート状物の外表面が一部この凹部23に入り込むことになる。これにより本体部2の円筒内周面とシート状物との接触面積が広くなって摩擦抵抗が増大するので、本体部円筒形状の軸方向及び周方向いずれの方向に対してもシート状物のズレが防止され、シート状物はパイプ部材へしっかりと固定されることとなる。
尚、この点、本発明に係るシート止め具においては、多数の凹部23を形成したことで、円筒内周面に突条部を形成する場合のように、シート止め具の本体部を着脱する際に突条部にシート状物が引っ掛かってシート状物が部分的に延びたり破れたりすることがない。本発明に係るシート止め具においては、これを嵌着する際にはシート状物が円筒内周面を滑るように嵌着することができ、嵌着したのちに、徐々にシート状物の外表面の一部が凹部23に入り込むことで、本体部2の円筒内周面とシート状物との接触面積が広くなって摩擦抵抗が増大するので、本体部円筒形状の軸方向及び周方向いずれの方向に対してもシート状物のズレが防止され、シート状物はパイプ部材へしっかりと固定される。
また、この凹部23は、本体部2の円筒内空間部22における奥方側の半円筒部の内周面に形成されている。このようにしたことで、開口部21側には凹部23が形成されていないため、シート止め具1をシート状物を被せたパイプ部材に嵌着する際には本体部2の凹部23が形成された内壁とシート状物とが触れることがなく、それゆえ嵌着動作が容易となる。そして、いったん嵌着させた後は、シート止め具1によって弾性的に押圧されたシート状物の外表面が僅かに凹部23に入り込むようにしてパイプ部材にしっかりと固定されるので、シート状物がずれる可能性が極めて低くなる。
さらに、この実施形態においては、凹部23の周縁部231は、図6(イ)の断面図に示すようにR形状となされている。これによって、本体部2をシート状物を被せたパイプ部材に対して着脱する際に、シート状物が凹部23の周縁部231に引っ掛かって破れるなどの恐れがなくなる。
また、本体部2の外表面(外周面)には、周方向へ延びる突条リブ24が複数形成されている。このようにすることで本体部2の強度が向上し、シート状物を被せたパイプ部材を押圧する付勢力が大きくなるため、より確実にシート状物を挟んでパイプ部材を把持することができ、シート状物のズレを防止することが可能となる。尚、この突条リブ24の形状、幅、数などは、要求される性能に応じて、適宜変更することができる。
さらに、本体部2の開口部21と反対側、すなわち図1における上辺部には、本体部2の長手方向に厚肉部25が形成され、これによって本体部2の長手方向両端部が把持されたパイプ部材から遠ざかる方向へ反るのを防止し、かつ、この厚肉部25が形成されたことで本体部2の内周壁に凹部23を形成しやすいものとなっている。
また、この実施形態においては、本体部2の開口部21における開口端部には、パイプ部材の嵌着動作を容易にするための導入部26が形成されている。導入部26は、本体部2の開口端部における内壁面を、当該対向する内壁面(即ち、導入部の内側面)が、外方へ向かうにつれ互いの距離が遠くなるように傾斜させた傾斜面261となされている。これにより、シート状物を被せたパイプ部材に開口部21を沿わせて嵌着動作をする際に、シート状物を被せたパイプ部材が容易に本体部2内に導入される。
さらに、導入部26の長手方向両端部近傍には、その長手方向両端部方向へ向かって互いの間隔が徐々に広くなるように傾斜させた第二傾斜面262が形成されている。これにより、本体部2の長手方向両端部のいずれかの側からシート止め具1をパイプ部材に嵌着させようとする場合に、容易にパイプ部材が本体部2内に導入されるので、嵌着動作が容易となる。
また、本体部2の長手方向両端部には、本体部2とシート状物を被せたパイプ部材との間に僅かな空間部27が形成されている。この空間部27が形成されていることで、シート状物を被せたパイプ部材に嵌着したシート止め具1を取り外す際、ドライバー等の工具をこの空間部27に挿入してこじ開けることができるので、シート止め具1の取り外し作業が容易となる。
さらに、本体部の外周面には、周方向へ延びる条溝28が複数箇所(この実施形態においては2箇所)形成されている。この条溝28には、当該条溝28に嵌着可能な形状のリング部材3が嵌着される。この実施形態におけるリング部材3は、ステンレスにより作製され、リング形状の周壁の一部を切断した形状のものとして形成されたものである。このリング部材3の内径は、条溝28部分の外径よりも若干小さいものとなされている。これにより、先ずはシート止め具1の本体部2をシート状物を被せたパイプ部材に嵌着させ、しかる後に、リング部材3を本体部2の条溝28に嵌着させる。これにより、リング部材3の内周壁面が溝条28の外表面を、本体部2の円筒半径方向内側方向へ押圧するので、シート止め具1がより強くシート状物を被せたパイプ部材を把持することが可能となる。
図9は、本発明に係るシート止め具の別の実施形態を示す底面図である。この第二の実施形態におけるシート止め具の形態は、凹部の形態を除いては、上述の第一の実施形態と同じ形態を備えている。この第二の実施形態においては、凹部23は、本体部2の内周面の周方向に延びる凹溝として形成され、本体部2の長さ方向に多数並列して配置されるようにして形成されている。
また、図10は、本発明に係るシート止め具の更に別の実施形態を示す底面図である。この第三の実施形態におけるシート止め具の形態は、凹部23の形態を除いては、上述の第一の実施形態及び第二の実施形態と同じ形態である。この第三の実施形態においては、凹部23は、本体部2の内周面の長手方向に延びる凹溝として形成され、本体部2の周方向に3列並列して配されるようにして形成されている。
このように凹部23は、任意の形状とできるものであり、例えばシート状物の材質や厚さ、パイプ部材の材質や外径寸法などに応じて、凹部の形状や大きさ、数、配置・配列を任意に変更して形成することができる。
以上、本発明に係るシート止め具について、いくつかの実施形態を例示して説明したが、本発明は、むろん上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。
1 シート止め具
2 本体部
21 開口部
22 空洞部
23 凹部
3 リング部材


Claims (4)

  1. シート状物を挟んでパイプ部材に嵌着させることにより、シート状物をパイプ部材に固定するためのシート止め具であって、
    円筒の周壁の一部を軸方向に切り欠いて開口させた開口部を形成した本体部を備え、
    前記開口部からシート状物及びパイプ部材を導入して本体部の内周面がシート状物を挟んでパイプ部材に嵌着するようになされ、
    前記本体部の内周面には、複数の凹部が形成されているとともに、複数の凹部は、本体部の円筒内空間部における奥方側の半円筒部の内周面に形成されていることを特徴とするシート止め具。
  2. 凹部は、本体部の内周面を略半球形状に窪ませたものであることを特徴とする請求項1記載のシート止め具。
  3. 本体部の開口端部には、開口外側方向へ向かうにつれ対向する開口端部同士の距離が拡がるようになされ、パイプ部材への嵌着動作を容易とした導入部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート止め具。
  4. 本体部の外周面をその円筒形状半径方向内側へ押圧する押圧部材を、本体部の外周面に着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート止め具。
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