ところが、上記従来のシート部材においては、単にシート状に形成されたものであることから、風が吹けばすぐにめくれ上がり、また移動してしまうものであった。このため、置石や押しピン等を用いて、地表等に固定する作業が必要になることから、圃場に敷く際や、圃場から撤去する際に意外と手間がかかるという問題があった。
また、従来のシート部材においては、筒状に丸めた状態や、折り畳んだ状態にして保管することになるが、その保管する際の作業にも手間がかかるという問題があった。しかも、丸めた状態等で保管することにより、その保管状態の丸まった形状等の癖が残るため、圃場に広げて敷く際の作業が面倒になるという問題もあった。
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地表等に固定した状態に簡単に設置することができると共に、撤収や保管の際の作業も簡単に行うことのできるシート部材を提供することにある。
上記課題を解決するべく、請求項1に記載の考案は、少なくとも一対の対辺を有するシートと、このシートの前記各対辺に沿って固定される棒材とを備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載の考案において、前記シートは、反射性を有することを特徴としている。
請求項3に記載の考案は、請求項1又は2に記載の考案において、前記シートは、透湿性を有することを特徴としている。
請求項4に記載の考案は、請求項1〜3の何れかに記載の考案において、前記シートは、0.5〜10μmのポリエチレンの繊維によって形成された不織布であって、可視光領域で90%以上の反射率を有していることを特徴としている。
請求項5に記載の考案は、請求項1〜4の何れかに記載の考案において、前記棒材は、亜鉛鍍金処理された鉄、樹脂で被覆された鉄又は耐食性金属によって形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の考案は、請求項1〜5の何れかに記載の考案において、前記棒材は、パイプにより形成されており、当該棒材の各端部には、当該端部を閉塞する蓋が備えられていることを特徴としている。
請求項7に記載の考案は、請求項1〜6の何れかに記載の考案において、前記棒材は、円筒状の外周面を有しており、前記シートは、各対辺に沿う側縁部がクランプによって前記棒材の外周面に固定されるようになっており、前記クランプは、前記棒材の外周面に着脱自在に嵌合すべく断面C字状の筒状に形成されており、その内周面が前記シートを介して前記棒材の外周面に嵌合し当該外周面に弾性的な圧迫を加えることにより、前記シートを前記棒材に固定するようになっていると共に、当該内周面における周方向に180度を超える部分によって当該棒材との嵌合状態を維持するようになっていることを特徴としている。
請求項8に記載の考案は、請求項7に記載の考案において、前記棒材は、その外周面における少なくとも前記クランプの嵌合する部分に摩擦係数の大きな摩擦増大部を有していることを特徴としている。
請求項9に記載の考案は、請求項7又は8に記載の考案において、前記クランプは、その内周面における周方向の中央寄りの部分に摩擦係数の大きな摩擦増大部を有していることを特徴としている。
請求項10に記載の考案は、請求項7〜9の何れかに記載の考案において、前記棒材は、その外周面における少なくとも前記クランプの嵌合する部分に凹部又は凸部を有し、前記クランプは、その内周面における周方向の中央寄りの部分に前記棒材の前記凹部又は前記凸部に係合する凸部又は凹部を有していることを特徴としている。
請求項11に記載の考案は、請求項7〜10の何れかに記載の考案において、前記クランプは、その内周面における周方向の中央寄りの部分であって軸方向の少なくとも一方の端部に前記棒材の外周面との間に空隙を生じさせる凹溝部を有していることを特徴としている。
請求項12に記載の考案は、請求項7〜11の何れかに記載の考案において、前記クランプは、プラスチックによって形成されていることを特徴としている。
請求項13に記載の考案は、請求項7〜12の何れかに記載の考案において、当該クランプの外周面側には、当該クランプを前記棒材側に押し付けるC字状の金属製の補強リングが設けられていることを特徴としている。
請求項14に記載の考案は、請求項7〜13の何れかに記載の考案において、前記クランプは、半径方向の外方からねじ込まれるビスによって棒材に固定されるようになっていることを特徴としている。
請求項1に記載の考案によれば、少なくとも一対の対辺を有するシートと、このシートの各対辺に沿って固定される棒材を備えているので、各棒材の間隔を広げるようにして例えば地表に敷くだけで、当該シートを地表に均等に広げることができる。また、各棒材がシートの各対辺に沿う部分を地表に押し付ける重しとなるので、風によってシートがめくれ上がったり移動したりするのを確実に防止することができる。従って、置石や押しピン等を用いる必要がないので、地表等に短時間で簡単に設置することができる。しかも、その設置作業は一人で簡単に行うことができるという利点がある。
また、地表からの撤収は、例えば一方の棒材を心材にしてシートを丸めることで簡単に行うことができる。即ち、心材のない状態でシートを筒状に丸めたり、折り畳んだりする場合に比べて、極めて短時間で簡単に撤収することができる。この撤収作業についても、一人で簡単に行うことができる。
そして、再び地表に敷く際には、シートを棒材から巻きほぐして所定の箇所に敷くことにより行うことができる。この際、シートに丸まった形状の癖が残っていても、棒材が重しとなることから、その癖がシートを敷く際の障害になることがない。即ち、再び設置する際にも一人で簡単に行うことができる。
また、棒材の回りにシートを巻くことで、極めてコンパクトになるので、倉庫等の収納空間に効率よく収容することができると共に、小型トラック等の搬送車にも多くのものを積み込んで、圃場等へ効率よく移送することができる。
請求項2に記載の考案によれば、シートが反射性を有しているので、上述のように短時間で設置、撤収が可能であることとあいまって、適切な量の太陽の反射光を例えば果実に与えることができ、その果実の育成、着色等の向上を図る上で極めて効果がある。
請求項3に記載の考案によれば、シートが透湿性を有しているので、シートによって覆われた例えば地表が過湿になるのを防ぐことができ、その過湿によって生じる弊害を未然に防止することができる。
請求項4に記載の考案によれば、シートが0.5〜10μmのポリエチレンの繊維による不織布で形成され、可視光領域で90%以上の反射率を有しているので、十分な光量の反射光を果実等に与えることができる。しかも、不織布の特性により、光が乱反射することになるので、果実等に対してムラのない着色を与えることができる。
請求項5に記載の考案によれば、棒材が亜鉛鍍金処理された鉄、樹脂で被覆された鉄又は耐食性金属によって形成されているので、重しとして十分な重量を得ることができると共に、酸化による腐食を防止することができる。
請求項6に記載の考案によれば、棒材がパイプによって形成されているので、人が容易に運ぶことが可能で、かつ重しとして十分に機能する適度な重さに設定することができると共に、シートにおける各対辺の形状を維持するのに十分な曲げ等の強度を得ることができる。
しかも、棒材の各端部には蓋が備えられているので、当該棒材の内部に水や異物が浸入するのを防止することができる。また、蓋を角のない滑らかな形状のもので形成したり、プラスチック等の比較的柔軟な材料で形成することにより、棒材の端部が人や物に当たることがあっても、怪我や損傷等が生じるのを防止することができる。また、棒材内に砂等を閉じ込めることにより、当該棒材の重さを調整することができる利点もある。特に、棒材を例えばポリ塩化ビニルなどのプラスチック製のパイプで形成した場合には、棒材の重量の増加及び調整を図る上で有効である。
請求項7に記載の考案によれば、棒材の外周面が円筒状に形成され、シートにおける各対辺に沿う側縁部がクランプによって棒材の外周面に固定されるようになっており、そのクランプは棒材の外周面に着脱可能に嵌合すべく断面C字状の筒状に形成され、内周面がシートを介して棒材の外周面に嵌合し当該外周面を弾性的に圧迫することで当該シートを棒材に固定するようになっていると共に、内周面における周方向に180度を超える部分によって棒材との嵌合状態を維持するようになっているので、クランプを嵌め込む簡単な操作によって、シートの側縁部を棒材に簡単に固定することができる。また、嵌め込む際とは逆の操作を行うことでクランプを棒材から簡単に外すことができるので、シートに汚れや破損等が生じた場合には、そのシートを棒材から簡単に取り外すことができる。
請求項8に記載の考案によれば、棒材の外周面における少なくともクランプの嵌合する部分に摩擦係数の大きな摩擦増大部を有しているので、シートと棒材の外周面との摩擦力を増大させることができ、大きな結合力でシートの側縁部を棒材に固定することができる。但し、クランプと棒材の外周面との間にシートが介在することになるので、クランプを棒材に嵌合したり、当該棒材から外したりする際の抵抗が増大するのを防止することができる。
なお、棒材の外周面の摩擦係数を増大する方法としては、その棒材が金属で形成されている場合には、例えばローレット切りにより外周面に縦目や綾目等の刻み目を形成する方法や、プレス、サンドブラスト等により外周面に凹凸を形成する方法等がある。また、棒材が塩化ビニル等のプラスチックの場合であっても、例えば熱を加えながら行うローレット切りや、プレス、サンドブラスト等によって外周面に凹凸を形成することにより、摩擦増大部を得ることができる。
請求項9に記載の考案によれば、クランプの内周面における周方向の中央寄りの部分に摩擦係数の大きな摩擦増大部を有しているので、主としてシートとクランプとの摩擦力の増大による大きな結合力でシートの側縁部を棒材に固定することができる。この場合、摩擦係数がクランプの周方向の中央部分で大きくなっているので、クランプを棒材に嵌合する際に、その摩擦増大部が棒材の外周面を周方向に大きく移動することがない。即ち、クランプにおける摩擦増大部によって、シートが棒材の外周面を周方向に大きく移動したり、その移動によって破損したりするのを防止することができる。
なお、クランプの内周面の摩擦係数を増大させる方法としては、当該クランプが金属で形成されている場合には上述したローレット切りにより縦目や綾目等の刻み目を形成する方法や、プレス、サンドブラスト等により凹凸を形成する方法等がある。また、クランプがプラスチックで形成されている場合には、成形する金型に凹凸を形成したり、成形後に加熱しながら行うローレット切りにより刻み目を形成したり、プレス、サンドブラスト等により凹凸を形成したりする方法等がある。
請求項10に記載の考案によれば、棒材の外周面における少なくともクランプの嵌合する部分に凹部又は凸部が形成され、クランプの内周面における周方向の中央寄りの部分に棒材の凹部又は凸部に係合する凸部又は凹部が形成されているので、棒材とクランプとによって挟まれたシートがその凹部及び凸部に沿うように変形した状態になる。従って、シートをより強固に棒材に固定することができると共に、クランプについても棒材に強固に固定することができる。この場合、クランプ内面の周方向の中央寄りの部分に凸部又は凹部を形成しているので、クランプを棒材に嵌合する際に、当該凸部又は凹部を棒材の凹部又は凸部にスムーズに係合させることができる。
請求項11に記載の考案によれば、クランプの内周面における周方向の中央寄りの部分であって軸方向の少なくとも一方の端部に棒材の外周面との間に空隙を生じさせる凹溝部が形成されているので、その凹溝部に例えばマイナスドライバ等の治具の先端部を挿入してこじるなどをすることにより、てこの原理を利用して、クランプを棒材から容易に外すことができる。
請求項12に記載の考案によれば、クランプがプラスチックによって形成されているので、射出成形等により、寸法精度のばらつきの小さな複数のものを簡単に得ることができる。従って、クランプによるシートを棒材に固定する力にばらつきが生じるのを最小限に抑えることができる。
請求項13に記載の考案によれば、クランプの外周面側に、当該クランプを棒材側に押し付けるC字状の金属製の補強リングが設けられているので、クランプの径がクリープにより広がるのをその補強リングによって抑えることができる。従って、クランプによるシートを棒材に固定する力を長期にわたって安定的に維持することができる。
請求項14に記載の考案によれば、クランプが半径方向の外方からねじ込まれるビスによって棒材に固定されているので、クランプを棒材に確実に固定することができると共に、シートを棒材に固定した状態に長期にわたって安定的に維持することができる。
本考案を実施するための形態について、図1〜図9に示す実施形態を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態で示すシート部材1は、図1及び図2に示すように、少なくとも一対の対辺を有するシート、即ちこの例では正方形状又は長方形状をした四角形状のシート2と、このシート2における一対の対辺のそれぞれに沿って設けられる棒材3と、この棒材3の外周面に、シート2の各対辺に沿う側縁部2aを固定する複数(この例では各棒材3に対して5つ)のクランプ4とを備えた構成になっている。
シート2は、反射性及び透湿性を有する薄い布状のもので形成されている。即ち、シート2は、0.5〜10μmの厚さのポリエチレンの繊維による不織布によって形成されたものであって、可視光領域で90%以上の反射率を有するものとなっている。
棒材3は、図3に示すように、内周面及び外周面を含む全体が亜鉛鍍金処理された断面円形状の鉄製のパイプによって形成されたものである。棒材3の軸方向の各端部には、その外周縁に沿って面取り3aが形成されている。なお、棒材3としては、樹脂で被覆された鉄や、アルミニウムやステンレス鋼のような錆の発生しにくい耐食性金属や、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックによって形成したものであってもよい。
また、棒材3は、各端部が蓋31によって閉塞されるようになっている。その蓋31は、プラスチックによって成形されたものであり、棒材3の内部に挿入される栓部31aと、棒材3の外周面とほぼ同径の外周面を有する拡径部31bと、この拡径部31bより大径のフランジ部31cとによって順次同軸状に一体的に形成されている。
栓部31aは、棒材3の内径より僅かに大きな径の外周面を有しており、当該棒材3内に挿入されることにより、当該棒材3の各端部を閉塞するようになっている。また、栓部31aの先端部は、その外周面が先端に向って漸次縮径するテーパ部31dとなっており、棒材3内への挿入が容易になっている。
拡径部31bは、栓部31aを棒材3の端部内に挿入した際に、当該端部の縁に当ることでストッパとして機能すると共に、当該端部が人や物に直接当たるのを防止する保護部として機能するようになっている。フランジ部31cは、蓋31を棒材3の端部から工具等で抜き取る際の手掛かりとして利用することが可能になっている。
また、栓部31aの外周面には、周方向に所定の間隔をおいて所定の幅のリブ31eが複数形成されている。各リブ31eは、栓部31aの外周面における軸方向の所定の位置から拡径部31bの端面まで軸方向に直線状に延在すると共に、当該栓部31aの外周面から拡径部31bの外周面まで漸次直線状に高くなるように形成されている。この各リブ31eは、栓部31aが棒材3内に挿入する際に弾性又は塑性変形することで、棒材3に対する栓部31aの結合力を高めるようになっている。
なお、蓋31は、その角部に斜面状あるいは曲面状の面取りが形成されており、人や物等の対象物に当たった際にその対象物に損傷等を生じさせないようになっている。
クランプ4は、図4及び図5に示すように、棒材3の外周面に着脱自在に嵌合すべく断面C字状の筒状に形成されており、その内周面がシート2の側縁部2a(図4(b)参照)を介して棒材3の外周面に嵌合し当該外周面に弾性的な圧迫を加えることにより、当該側縁部2aを棒材3に固定するようになっている。即ち、クランプ4は、周方向に180度を超える円弧状の内周面を有しており、その内周面における周方向に180度を超える部分によって棒材3との嵌合状態を維持するようになっていると共に、その180度を超える部分が弾性変形によって広がることにより、その嵌合状態から外れることが可能になっている。なお、クランプ4はプラスチックによって一体的に形成されたものであるが、棒材3と同様な金属によって一体的に形成したものであってもよい。
また、クランプ4には、周方向の中央部に軸方向に延在する厚さの厚い帯状補強部41が一体的に形成されていると共に、軸方向の各端部に近い部分に帯状補強部41と同等の厚さの筒状補強部42が一体的に形成されている。更に、クランプにおける各筒状補強部42の間には、帯状補強部41から周方向に延在する複数の補強リブ43が形成されている。帯状補強部41、筒状補強部42及び補強リブ43は、クランプ4の外周面から盛り上がるように厚く形成されている。従って、クランプ4の内周面は、後述の凹溝部44を除き、シート2を介して棒材3の外周面に嵌合する一定の径の円弧状の曲面となっている。
更に、クランプ4は、その内周面における周方向の中央寄りの部分であって軸方向の各端部に棒材3の外周面との間に空隙を生じさせる凹溝部44を有している。即ち、凹溝部44は、当該クランプ4の内周面に対して所定の深さの凹状に形成されている。なお、この凹溝部44については、クランプ4における軸方向の一方の端部にのみ設けたものであってもよい。
また、各筒状補強部42には、その外周面に、周方向に延在する溝42aが形成されている。この溝42aはクランプ4の内周面と同軸状の円弧状の底面を有している。そして、この溝42aには、その底面における周方向に180度を超える部分に嵌合する補強リング5が設けられている。
補強リング5は、弾性強度が高くかつ耐食性にすぐれた金属としての例えばばね用ステンレス鋼の帯状材によって、C字状の円弧状に形成されたものであり、弾性力をもってクランプ4を棒材3側に押し付けるようになっている。即ち、クランプ4の外周面側には、当該クランプ4を棒材3側に押し付ける補強リング5が設けられている。
上記のように構成されたシート部材1においては、シート2の各対辺に沿って固定する棒材3を備えているので、各棒材3の間隔を広げるだけで、当該シート2を地表に簡単に敷くことができる。また、敷いた後は各棒材3がシート2の各側縁部2aを全体的に地面に押し付ける重しとして作用するので、風によってシート2がめくれ上がったり、移動したりするのを確実に防止することができる。
従って、置石や押しピン等を用いることなく、地表に短時間で簡単に設置することができる。しかも、各棒材3の間隔を広げるだけでよいので、一人で簡単に設置することができる。
また、地表から撤収する際には、例えば一方の棒材3を心材にしてシート2を丸めることで簡単に回収することができる。即ち、心材のない状態でシート2を丸めたり、又は折り畳んだりする作業を行う場合に比べて、極めて短時間で簡単に撤収することができる。しかも、この撤収作業についても、一人で簡単に行うことができる。
更に、再び地表に敷く場合にも、シート2を棒材3から巻きほぐしながら所定の箇所に敷くだけでよい。この際、シート2に丸まった形状の癖が残っていても、棒材3によってシート2を広げた状態に維持することができるので、その癖が敷く際の障害になることがない。即ち、再び地表に設置する際も短時間で簡単に行うことができる。しかも、この作業についても、一人で簡単に行うことができる。
また、一方又は双方の棒材3の回りにシート2を巻くことで、極めてコンパクトになるので、倉庫等の収納空間の節約を図ることができると共に、小型のトラック等の搬送車を用いて効率よく大量に圃場等に移送することができる。
しかも、シート2が反射性を有するものであることから、上述のように短時間で簡単に設置及び回収をすることができることとあいまって、下方からの太陽の反射光として適切な量の反射光を果実や野菜等に与えることができる。従って、果実等の育成、着色等の向上に大きな効果がある。
なお、シート2が0.5〜10μmのポリエチレンの繊維による不織布で形成され、可視光領域で90%以上の反射率を有しているので、十分な光量の反射光を果実等に与えることができる。しかも、不織布の特性により、光が乱反射することになるので、果実等に対してムラのない着色を与えることができる。
更に、シート2が透湿性を有するものであることから、地表等が過湿になるのを防ぐことができ、その過湿による弊害を未然に防止することができる。
また、棒材3が亜鉛鍍金処理された断面円形の鉄製のパイプによって形成されているので、人が容易に運ぶことが可能で、かつ重しとして十分機能することが可能な適度な重さに設定することができると共に、シート2における各対辺の形状を維持するのに十分な曲げ等の強度を得ることができ、かつ酸化による腐食を防止することができる。
しかも、棒材3の各端部には蓋31が備えられているので、当該棒材3の内部に水や異物が浸入するのを防止することができる。そして、蓋31は、プラスチックによる比較的柔軟な材料によって形成されていると共に、角部に曲面状等の面取りが施されているので、棒材3の端部が人や物に当たるようなことがあっても怪我や破損等が生じるのを防止することができる。また、棒材3内に砂等を閉じ込めることにより、当該棒材3の重さを調整することもできる。特に、棒材3として例えばポリ塩化ビニルなどのプラスチック製のパイプを用いた場合には、棒材3の重量の増加を図ると共に、適度な重量に調整する上で有利である。
一方、棒材3に対するクランプ4の着脱により、極めて簡単に、シート2を棒材3に固定したり、当該棒材3から外したりすることができる。
更に、クランプ4と棒材3とが硬く結合してしまった場合でも、クランプ4の凹溝部44に例えばマイナスドライバの先端部を挿入してこじることにより、てこの原理を利用して、クランプ4を棒材3から容易に外すことができる。
なお、クランプ4がプラスチックによって形成されているので、射出成形等により、寸法精度のばらつきの小さなものを複数簡単に得ることができる。従って、クランプ4と棒材3との結合力のばらつきを最小限に抑えることができる。
また、クランプ4の溝42aに、当該クランプ4を棒材3側に押し付ける補強リング5を設けているので、クランプ4の径がクリープにより広がるのを抑えることができる。従って、シート2と棒材3との固定状態を安定的に維持することができる。
なお、上記実施形態においては、棒材3として、外周面を滑らかな面で円筒状に形成したものの例を示したが、この棒材3は、図6に示すように、少なくともクランプ4の嵌合する部分の外周面に摩擦係数の大きな摩擦増大部3bを有するものであってもよい。
摩擦増大部3bは、図6(a)及び(d)に示すように、例えばローレット切りにより軸方向に沿う縦目の刻み目を複数成形したり、また図6(b)に示すように、綾目の刻み目を成形したりすることにより、棒材3の外周面に設けることが可能である。また、上記ローレット切りは、鉄のパイプに亜鉛鍍金処理を施す前に行っても、後に行ってもよい。図6(c)は、綾目の摩擦増大部3bが形成された棒材3の外周面にクランプ4を嵌合した状態を示している。クランプ4は、棒材3の軸方向と直交する方向、即ち図6(c)における矢印A方向に移動することにより、当該棒材3の外周面に嵌合することができる。この嵌合方法は、上記実施形態においても同様である。
上記のように棒材3の外周面に摩擦増大部3bを形成した場合には、シート2と棒材3の外周面との摩擦力の増大を図ることができるので、大きな結合力でシート2の側縁部2aを棒材3に固定することができる。但し、クランプ4と棒材3の外周面との間にはシート2が介在することから、クランプ4を棒材3の外周面に嵌合したり、当該外周面から外したりする際の抵抗が増大するのを防止することができる。
また、棒材3の外周面に摩擦増大部3bを形成する方法としては、棒材3が金属で形成されている場合には、上記ローレット切りの他に、プレス、サンドブラスト等によって外周面に凹凸を形成する方法等がある。また、棒材3が塩化ビニル等のプラスチックで形成されている場合には、例えば熱を加えながら行うローレット切りや、プレス、サンドブラスト等により外周面に凹凸を形成する方法等がある。
一方、クランプ4についても、棒材3の外周面にシート2を介して嵌合する滑らかな内周面を有するプラスチック製のもので形成した例を示したが、このクランプ4としては、図7に示すように、その内周面における周方向の中央寄りの部分に摩擦係数の大きな摩擦増大部4aを有するもので構成してもよい。
摩擦増大部4aは、クランプ4を成形する金型の内面に形成した刻み目により、図7(a)及び(c)に示すように、クランプ4の内周面における周方向の中央寄りの部分に軸方向に沿う複数の縦目の刻み目を有するものや、図7(b)に示すように、綾目の刻み目を有するものによって形成されている。
上記のようにクランプ4の内周面に摩擦増大部4aを形成した場合には、クランプ4の摩擦増大部4aによってシート2が棒材3の外周面に押し付けられることになるので、大きな結合力でシート2の側縁部を棒材3に固定することができる。但し、摩擦増大部4aがクランプ4の内周面の周方向の中央寄りの部分にあるので、クランプ4を棒材3の外周面に嵌合したり、当該外周面から外したりする際に、シート2が摩擦増大部4aと共に棒材3の外周面を周方向に大きく移動したり、この移動により破れたりするのを防止することができる。
クランプ4の内周面に摩擦増大部4aを形成する方法としては、クランプ4が上述のようにプラスチックで形成されている場合には、上述した金型による方法のほか、金型で成形した後に加熱しながら行うローレット切りにより縦目や綾目等の刻み目を形成する方法や、プレス、サンドブラスト等により凹凸を形成する方法等がある。また、当該クランプ4が金属である場合には上述したローレット切りや、プレス、サンドブラスト等により凹凸を形成する方法等がある。
また、棒材3は、図8に示すように、その外周面におけるクランプ4の嵌合する部分に貫通孔によって形成された凹部3cを有し、クランプ4は、その内周面における周方向の中央寄りの部分に棒材3の凹部3cに係合する凸部4bを有するものであってもよい。なお、凸部4bについては、一つの場合にはクランプ4の軸方向の中央部に設けることが好ましく、また複数の場合にはその中央部に対して軸方向に対称となる位置に設けることが好ましい。凸部4bを複数設ける場合には、棒材3にも各凸部4bに対応する凹部3cを複数設けることになる。
上記のように構成した場合には、凹部3cと凸部4bとの係合により、棒材3とクランプ4との結合力を増大することができると共に、凹部3cと、凸部4bとの間にシート2が挟み込まれた状態になるので、当該シート2と棒材3との結合力を増大することができる。そして、この場合も、凸部4bがクランプ4の内周面における周方向の中央寄りの部分に形成されているので、クランプ4を棒材3に嵌合する際に、凸部4bを凹部3cにスムースに挿入することができる。
なお、上記凹部3cとして貫通孔によって形成した例を示したが、この凹部3cとしては棒材3の外周面をプレス等により凹状にへこませたもので形成してもよい。この場合、その凹部に係合するような形状に凸部をクランプ4に形成することになる。また、棒材3に凸部を形成し、クランプ4の内周面における周方向の中央寄りの部分にその凸部に係合する凹部を形成してもよい。この場合の凹部についても、凹状にへこんだものや、貫通孔により形成したものを用いることができる。また、凹部と凸部との係合を容易にするため、その凹部と凸部との間の係合隙間を大きくとるように構成してもよい。
更に、クランプ4は、図9に示すように、半径方向の外方からねじ込まれるビス6によって棒材3に固定するように構成してもよい。ビス6としては、図9のように、タッピングビスが用いられており、このタッピングビスを用いた場合には、棒材3及びクランプ4に下孔を設けることなく、棒材3とクランプ4とを連結することが可能である。但し、作業効率を向上させるためには、図9に示すように、棒材3及びクランプ4のそれぞれに同軸状の下穴3d、4cをあけた上で、当該下穴3d、4cにビス6をねじ込むことが好ましい。なお、タッピングビスを用いた場合には、各下穴3d、4cに雌ねじを形成する必要はない。一方、ビス6として通常の雄ねじを有するビスを用いた場合には、少なくとも下穴3dに雌ねじを形成する必要がある。また、クランプ4の下穴4cについては、そのクランプ4の内周面の周方向の中央部であって、当該クランプ4の軸方向の中央部に形成することが好ましい。
上記のように構成した場合には、ビス6によってクランプ4を棒材3に確実に固定することができると共に、シート2を棒材3に長期にわたって安定的に固定することができるという利点がある。
また、上記実施形態においては、シート部材1を地表に設置する例について示したが、人工栽培施設等における床やその他の種々の自然物や人工物の上に設置するようにしてもよいことはいうまでもなく、また棒材3の一方又は双方が下になるように吊下げるように用いるなど種々の方法で使用することも可能である。