JP7083177B2 - ネット止着具 - Google Patents

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Description

本発明は、支持杆にネットを止着するために用いるネット止着具に関するものである。より詳しくは、例えばネットを張設して防風柵や防獣柵等を構築するに際し、該ネットを支柱等の支持杆に簡易且つ強固に止着することのできるネット止着具に関するものである。
農地等を強風から防護するために、例えば図7に示すように支柱a,a間にネットbを張設して防風柵cを構築する場合、該ネットbを該支柱aに止着するための簡易な手段の一つとして、例えば図8~11に示すようなネット止着具dを用いることが一般的に行われている。該ネット止着具dは、全体が樹脂で一体成形されており、背部eの左右側に該背部e の全長に亘って挟持片f,fが連設され且つ該挟持片f,fの先端s,s間に縦方向の開口部gが設けられた断面C字状を呈している。そして、かかるネット止着具dを用いて前記支柱aに前記ネットbを止着するに際しては、図10に示すように、該支柱aの表側(農地等の、強風から防護すべき場所の外側)において前記ネットbを被せ、該ネットbで包まれた状態の支柱部分hを、前記開口部g(図10)を弾性拡開させて前記ネット止着具dの内部空所j に嵌め入れ、図11に示すように、前記両挟持片f ,f が該支柱部分hを該ネットbを介して挟持することとしていた。そしてこの状態で、前記ネットbは図11に示すように、前記ネット止着具dの前記内部空所jの内周面kをC字状に覆った状態にある。
このようにして、前記ネットbを前記ネット止着具dを介して前記支柱aに止着して構築された防風柵c(図7)によるときは、該支柱a, a間に取り付けられた該ネットbによって、支柱間を通過する風の勢いを軽減させることができる。該防風柵cはこのように防風作用を発揮するのであるが、台風等の強風時においては、風向きによって、前記ネットbが前記開口部gを拡開させて該ネット止着具d が前記支柱aから脱落してしまう問題があった。
この点について以下具体的に説明する。前記ネットbを前記支柱aに止着して構成された前記防風柵cによるとき、台風等の強風時において風が、図7~8に矢印f1で示すように、該防風柵cを構成する前記ネットbの表面部mに吹き付けられる場合は、該ネット止着具dの前記背部e(図8)に向けて風が吹き付けられる状態となるために前記開口部g(図8~9)を拡開させる外力は作用しない。そのため、該ネット止着具dによるネットの止着力を低減させる問題は発生せず、農地等を強風から防護できる。
しかしながら、図7に矢印f2で示すように、前記支柱a, a間に張設されている前記ネットbの裏面部nに向けて風が吹き付けられる場合は、強風による大きな風圧によって、張設されている前記ネットbが図7に一点鎖線で示すように、前記裏面部nから前記表面部mに向けて前記支柱a,a間で大きく凸に膨らみ変形した状態となる。
前記ネットbが該凸に膨らみ変形した状態にあっては、前記ネット止着具dの前記内部空所jの前記内周面kと前記支柱aの外周面qとの間に介在されており且つ前記ネット止着具dの左右の開口縁部s,sの全長に亘って当接した状態にある該ネットbが、図11に一点鎖線で示すように、夫々の支柱aを頂点として平面視でV字状を呈するように屈曲した状態となる。そのため、前記左右の開口縁部s,sから延長する左右のネット延長部分t ,t に、図11に示すように、その延長方向の外方に向けて、前記大きな風圧に起因して大きな外力f3,f 3が作用することとなる。そのため、前記挟持片f,fの先端s,s間の前記開口部gが図11に一点鎖線で示すように拡開して前記支柱aが拡開状態の該開口部gから矢印で示すように外れ、その結果前記ネットbが前記支柱aから外れてしまい、結果として、前記防風柵cがその機能を果たさなくなる問題を招来した。
又特許文献1には、猿や鹿等の野生動物が農地に進入するのを防止するための防獣柵をネットを用いて構築する技術が開示されており、該ネットがパッカー( ネット止着具)を用いて支柱に止着されている。該パッカーは、前記防風柵を構築する場合と同様に、全体が樹脂で一体成形されており、背部の左右側に該背部の全長に亘って挟持片が連設され且つ該挟持片の先端間に縦方向の開口部が設けられた断面C字状を呈している。そして、該パッカーを用いて前記支柱に前記ネットを止着するに際しては、該支柱の表側( 農地等を獣害から防護すべき場所の外側)において前記ネットを被せ、該ネットで包まれた状態の支柱部分を、前記開口部を弾性拡開させて前記ネット止着具の内部空所に嵌め入れ、前記両挟持片が該支柱部分を該ネットを介して挟持することとしていた。
しかしながら、猿や鹿等の野生動物が農地等に進入しようとして、張設されている前記ネットに爪や角を引っ掛けてこれを農地の外側に向けて強く引っ張ったり、或いは猿等が該ネットをよじ登ったときに、前記パッカーの両側のネット部分が外方向に引っ張られて、該ネットが前記開口部を拡開させる外力が作用することとなる。そのため、前記支柱が拡開状態の該開口部から外れ、その結果前記ネットが前記支柱から外れてしまい、結果として、前記防獣柵がその機能を果たさなくなる問題を招来した。
本発明者は、前記開口部gの拡開によって前記支柱が前記開口部gから外れてしまう、換言すれば前記ネット止着具dが前記支柱aから脱落してしまう原因は、前記ネット止着具(パッカー)d を用いて前記ネットbを前記支柱aに止着する際、前記両挟持片f, fが前記ネットbを介して間接的に支柱aを挟持することにあると着眼した。本発明者は、かかる着眼を基に、前記ネットbを前記支柱aに止着する際に前記両挟持片f, fが前記ネットbを介さないで直接に支柱を挟持するように構成すれば前記ネット止着具dが前記支柱aから脱落しないのではないかとの知見を得た。
しかし、挟持片が支柱を直接に挟持する考え方そのものは特許文献2に記載されている。即ち、特許文献2には、ネットを支柱枠体に張設する固定具としてのジョイントクリップが記載されている。該ジョイントクリップは、平板状塩化ビニール製であって、コ字形底面部から両脚を左右に拡開形成した後、開口部へ向けて両脚間を一旦狭め、再び両脚間を左右に広げた構成を有している。そして、かかる構成を有する該ジョイントクリップを用いてネットを支柱枠体に固定するに際しては、前記の両脚の夫々の脚を左右隣り合う別異のネット目に挿入した後、隣り合う該ネット目間に存するネット縦糸(又はネット横糸)を前記コ字形の底面部に収容した状態で、前記開口部がネットで覆われた状態の支柱を連結杆へ押し込む。これにより、屈曲形成された前記ジョイントクリップの弾性を有する両脚が一旦大きく開いた後に支柱を挟持すると、再び前記開口部が元の位置に復帰してネットを支柱等へ取り付けることができるものであった。
このように前記ジョイントクリップは、これが前記ネットを支柱等に取り付けた状態では、前記のネット止着具( パッカー)とは異なり、前記両脚が支柱枠体の支柱や連結杆を、ネットを介在させることなく直接に挟持するものである。
ところで引用文献2に係るジョイントクリップは、蔓性植物の育成装置を構成するものであるため、ネット目は例えば100~200mm程度の大きなものである。そのため、前記ジョイントクリップの前記両脚の幅を、該ネット目の大きさに合わせて大きく形成できる。従って、前記した直接挟持の挟持力を大きく確保できる。
しかしながら、前記防風ネットや防獣ネットを支柱に止着するために前記ジョイントクリップの構成を応用せんとした場合は、該防風ネットや該防獣ネットのネット目の大きさが前記蔓性植物用ネットのネット目の大きさに比して相当小さい。前記防風ネットの一辺の長さは4~6mmであり、前記防獣ネットのネット目の一辺の長さは10~20mmであることからすれば相当小さいものといえる。そのため、かかるジョイントクリップを製造できたとしても、前記両脚の幅が小さなものとならざるを得ないために、両脚の弾性を利用して得られる挟持力は小さなものとならざるを得ない。しかも前記コ字形の底面部で保持できるネット縦糸又はネット横糸の本数は、ネット目間に存する1本だけである。このようなことから、かかるジョイントクリップによるネット止着力は弱いものとならざるを得ない。そのため、かかるジョイントクリップは、防風ネットや防獣ネットを支柱に止着する止着具としての実用性に乏しいものといえる。
特開2008-263827号公報 実用新案登録第3164668号公報
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、例えば、支柱間にネットを張設して防風柵や防獣柵を構築するに際し、該ネットを支柱に簡易且つ強固に止着することのできるネット止着具の提供を課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係るネット止着具の第1の態様は、支持杆にネットを固定するために用いるネット固定用の止着具であって、該ネットの所要部位を前記支持杆との間で保持する保持部に、該保持部の長さ方向で所要間隔を置いて複数組の挟持部が設けられてなり、該挟持部は、前記保持部の左右の縁部で対向して突設された左右1対の挟持片を具えている。該挟持片の夫々は、前記ネットの別異のネット目を、該ネットの一面部からその他面部に向けて挿通できると共に、該挟持片の太さは、該ネット目を該挟持片の前記保持部に対する連結部に向けて移動させることができるように設定されている。そして、前記保持部が前記所要部位を前記支持杆との間で保持し且つ、別異の前記ネット目を挿通した状態にある1対の前記挟持片が前記支持杆を、その外面に直接に当接した状態で弾性的に挟持することを特徴とするものである。
本発明に係るネット止着具の第2の態様は、前記第1の態様において、前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該湾曲片部の先端に、前記ネット目に挿入される挿入軸部が突設されていることを特徴とするものである。
本発明に係るネット止着具の第3の態様は、前記第1の態様において、前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該湾曲片部の先端に、前記ネット目に挿入される挿入軸部が突設され、該挿入軸部は、前記保持部の前記長さ方向と直交する方向に突設されており、その先端部分は丸みを帯びていることを特徴とするものである。
本発明に係るネット止着具の第4の態様は、前記第1の態様において、前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該両湾曲片部の外面と前記保持部の外面とに亘って、連続するC字状溝部が形成されており、該C字状溝部にC字状バネ部材が嵌着されていることを特徴とするものである。
本発明によるときは、例えば、支柱間にネットを張設して防風柵や防獣柵を構築するに際し、該ネットを支柱に簡易且つ強固に止着することができる。
本発明に係るネット止着具を用いて構築された防風柵を示す斜視図である。 ネット止着具によるネットの止着状態を示す斜視図である。 本発明に係るネット止着具の構成を説明する斜視図である。 ネット止着具によるネットの止着状態を示す斜視図である。 ネット止着具を用いてネットを支柱に止着する作業工程を説明する側面図である。 ネット止着具を用いてネットを支柱に止着した状態と、その止着状態の作用を説明する説明図である。 従来のネット止着具を用いて構築された防風柵を示す斜視図である。 従来のネット止着具によるネットの止着状態を示す斜視図である。 従来のネット止着具によるネットの止着状態を示す斜視図である。 従来のネット止着具を用いてネットを支柱に止着する作業工程を説明する説明図である。 従来のネット止着具を用いてネットを支柱に止着した状態と、その止着状態の問題点を説明する説明図である。
図1~6において本発明に係るネット止着具1は、支持杆2にネット3を止着するために用いるものであって、該ネット3の所要部位5を前記支持杆2との間で保持する保持部6に、該保持部6の長さ方向で所要間隔を置いて複数組の挟持部7が設けられている。該挟持部7は、前記保持部6の左右の縁部9, 9で対向して突設された左右1対の挟持片10, 10を具えており、該挟持片10, 10の夫々は、前記ネット3の別異のネット目11を、該ネット3の一面部12からその他面部13に向けて挿通できる。該挟持片10, 10の太さは、該ネット目11を該挟持片10,10の前記保持部6に対する連結部8に向けて移動させることができるように設定されている。そして、前記保持部6が前記所要部位5を前記支持杆2との間で保持し且つ、前記別異のネット目11を挿通した状態にある1対の前記挟持片10, 10が前記支持杆2を、その外面15に直接に当接した状態で弾性的に挟持するものである。以下、これを具体的に説明する。
前記支持杆2は、本実施例においては図1に示すように、横断面円形状の支柱16として構成されている。該支柱16は、例えば、外径20mm、内径18mmで、全長が180cmに設定されており、その下側の30cm程度の長さの部分が地面に打ち込まれて立設される。該支柱16は、例えば1.5m間隔で立設されて支柱列17(図1)を構成する。
前記ネット3は例えば、ポリエチレン製等の繊維製ネットを以ってなる防風ネットであり、ネット目の大きさは1辺が4~6mm程度である。
前記保持部6は、本実施例においては図3に示すように、前記支柱16(前記支持杆2)の長さ方向に長く且つ該支柱16の円形状の外周面19(前記外面15の一種)に沿う、平面視で円弧状を呈しており、該保持部6の上端と下端に前記挟持部7,7が設けられている。該保持部6の長さは、本実施例においては35mm程度に設定されている。
なお本実施例においては図2~3に示すように、前記保持部7の上端20と下端21に、前記支柱16を弾性的に挟持した状態にある上下の前記挟持部7,7を該支柱16から取り外す際の取り外しを容易化するための取り外し部22,22が設けられている。該取り外し部22,22は、前記保持部6の前記上端20と前記下端21に、該保持部6の長さ方向で見てその外方に向けて突出片23,23が突設され、該突出片23, 23の、前記支柱16の前記外周面19に面する側に凹部25,25が形成されており、該凹部25,25は共に、前記外周面19側と前記保持部6の長さ方向先側が開放されている。前記挟持部7が前記支柱16を挟持して該支柱16に取り付けられてなる前記ネット止着具1を該支柱16から取り外す際は、前記凹部25の先側の開放端27を通して例えばフック状部等の取り外し具を挿入して起こすと、該ネット止着具1を前記支柱16から容易に取り外すことができる。
前記挟持部7は、図2~4に示すように、前記保持部6の左右の前記縁部9,9で、前記長さ方向と直交する方向に且つ左右対向して突設された左右1対の挟持片10,10を具えている。該両挟持片10,10は、図5に示すように、前記支柱16の前記外周面19に沿って湾曲する湾曲片部30,30を有し、該湾曲片部30,30の先端31,31に、前記ネット目11に挿入される挿入軸部32,32が、前記保持部6の前記長さ方向と直交する方向に突設されている。該両挿入軸部32,32は平行しており、その先端部分33,33は丸みを帯びている。
そして図2~5に示すように、前記両湾曲片部30,30の外面35と前記保持部6の外面36とに亘って、連続するC字状溝部37が形成され、該C字状溝部37にC字状バネ部材39が嵌着されており、該C字状バネ部材39の付勢作用によって、前記両挟持片10,10が所要の挟持力を発揮するようになされている。
次に、かかる構成を有するネット止着具1を用いて、前記支柱列17の各支柱16,16間を覆うように前記ネット3を張設して防風柵40(図1)を構築する作業工程を説明する。
該ネット止着具1は、前記ネット3を、前記支柱16の下端側部分や中間部分、上端側部分等の所要部41に止着する。この止着に際しては、図3、図5に示すように、該所要部41を覆うネット3の前記所要部位5で、上下の前記挟持部7,7の夫々を構成する前記1対の挟持片10,10が有する前記挿入軸部32,32、32,32の夫々を、該保持部6の左右側に位置する別異のネット目11,11、11,11に、前記ネット3の一面部12からその他面部13に向けて挿通させる。該挿入軸部32の先端部分33は、前記のように丸みを帯びているため、該挿入軸部32を前記ネット目11に挿入する際、該挿入を引っ掛かりなく円滑に行うことができる。
その後、図4、図6に示すように、上に位置する前記挟持片10,10間に形成されている円形状収容凹部49(図5)と下に位置する前記挟持片10,10間に形成されている円形状収容凹部49に、前記両挟持片10, 10間を弾性拡開させて前記支柱16を押し込む。
この押し込みは、別異のネット目11,11,11,11を挿通した左右の前記挿入軸部32,32、32,32の先端を図5に示すように円形状の前記外周面19に当接させて後、前記ネット止着具1を図5に矢印で示すように該支柱16に向けて押圧することによって行う。
この押し込みにより、前記挿入軸部32,32が挿通した前記ネット目11,11、11,11は、該押し込みにつれて、前記挟持片10,10の、前記保持部6の前記左右の縁部9,9に対する前記連結部8,8に向けて移動する。この移動の際、該ネット目11のサイズによっては、該ネット目16が変形して拡がる。これによって、上の両挟持片10,10、下の両挟持片10,10の夫々が、図4、図6に示すように、該支柱16の外周面19に、前記ネット3が介在されることなく直接に当接した状態となる。即ち、該上の両挟持片10,10及び該下の両挟持片10,10が、前記支柱16を、その外周面19に直接に当接した状態で弾性的に挟持する。
これにより図4に示すように、前記保持部6は、上下のネット目11,11間に存するネット横糸46を上下方向で見て複数段で覆うことができ、且つ、該保持部6の左右方向の幅に応じて、左右方向で見て複数列のネット縦糸47を覆うことができ、これら複数段のネット横糸46と複数列のネット縦糸47( 図4)を前記保持部6と前記支柱16との間で安定状態で保持できる。
次に、このようにして前記ネット3を前記支柱16に止着して構築された防風柵40(図1)の作用を説明する。該防風柵40によるときは、台風等の強風時において、風が、該防風柵40を構成する前記ネット3の前記一面部12に、図1~2に矢印F1で示すように吹き付けられる場合は、前記ネット止着具1の前記保持部6に向けて風が吹き付けられるために、前記両挟持片10,10間を拡開させる力は作用せず、該ネット止着具1によるネット止着力を低減させる問題は発生しない。
又、風が、該防風柵40を構成する前記ネット3の前記他面部13に、図1~2に矢印F2で示すように吹き付けられる場合も、前記両挟持片10,10間を拡開させる力は作用せず、該ネット止着具1によるネット止着力を低減させる問題を発生させることがない。具体的には、前記一対の挟持片10,10が前記ネット3を介して前記支柱16を挟持した状態となっておらず且つネット目11が前記連結部8側に存するために、該ネット3に強い風圧が作用して、該ネット3が図1に一点鎖線で示すように、前記他面部13から前記一面部12に向けて前記支柱16,16間で大きく凸に膨らみ変形しても、前記両挟持片10, 10間が拡開されるといった事態を招来せず、従って、該ネット止着具1によるネット止着力を低減させるという問題を発生させることがない。
これによって、本発明に係るネット止着具1を用いて構築された防風柵40は、風が前記ネット3の一面側12に強く吹き付けられる場合も他面側13に強く吹き付けられる場合も、防風作用を効果的に発揮する。
本発明に係るネット止着具1は、猿や鹿等の野生動物が農地等に進入するのを防止するための防獣柵をネット(ネット目の大きさは1辺10~25mm程度)を用いて構築する場合にも用いることができる。この場合も、前記防風柵40を構成する場合と同様にして、前記ネット止着具1を用いて該ネット3を支柱16に止着できる。
そして該防獣柵によるときは、猿や鹿等の野生動物が農地に進入しようとして、張設されている該ネット3に爪や角を引っ掛けてこれを農地の外側に向けて強く引っ張ったときにも、前記一対の挟持片10,10が前記ネット3を介して前記支柱16を挟持した状態とはなっていないために、前記両挟持片10、10間が、前記外側に向けての外力や風圧等の外力で拡開されるといった事態を招来せず、該ネット止着具1によるネット止着力を低減させるという問題を発生させることがない。
ところで本発明に係るネット止着具1によるときは、前記ネット止着具を用いて前記防風柵や前記防獣柵を構築するに際し、前記挟持片10,10を、前記とは逆に、前記他面部13(農地等が存する側の面部)から前記一面部12に向けて挿通させることもできる。これが可能となるのは、本発明に係るネット止着具1は、前記一対の挟持片10,10が前記ネット3を介して前記支柱16を挟持するものではないために、前記両挟持片10、10間が風圧等の外力で拡開されるといった事態を招来しないからである。
そのため、農地等と反対の側が整地されていない場合は、前記ネット3を、整地されている農地側において容易に支柱に止着できる。これによって、防風柵や防獣柵の構築施工性を向上させ得ることとなる。これに対して従来のネット止着具を用いてネットを支柱に固定する場合は、農地等を強風から防護する防風柵の本来の目的や、猿や鹿等の野生動物が農地等に進入するのを防止せんとする防獣柵の本来の目的からして、前記のように支柱の表側においてネット止着を行わざるを得なかったのであるが、これでは、整地されていない側でのネット止着作業を強いられることも生じて止着作業が容易でない場合もあり、防風柵や防獣柵の構築施工性が悪い問題があった。本発明に係るネット止着具1 は、かかる問題点も解決できる利点を有する。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 前記支持杆2は、前記した垂直状態を呈する支柱16であることの他、湾曲状態を呈するパイプ等の部材や水平状態を呈するパイプ等の部材であってもよい。前記支持杆2がかかる構成を有するときは、前記ネット3を垂直状態で張設できる他、前記ネット3を傾斜状態や水平状態で張設することもできる。
(2) 本発明に係るネット止着具1は、前記した防風柵や防獣柵を構成するために用いることができる他、植物栽培装置を構成するネットを支柱等に止着のために用いることも可能である。該ネット止着具1は、その他、支持杆2にネット3を止着する用途に広く用いることができる。
(3) 本発明に係るネット止着具1は、前記保持部6の長さ方向で所要間隔を置いて複数組の挟持部7が設けられるものであり、該ネット止着具1に要求される所要の止着力に適合させて、前記保持部6の長さ方向で所要間隔を置いて、3組や4組の挟持部7が設けられることもある。
(4) 前記左右の縁部9, 9で突設される前記挟持片10, 10の突出長さ等の各部のサイズは、前記支持杆2の径と前記ネット3の厚さを考慮して所要に設定される。
(5) 前記保持部6は、前記ネット3の前記所要部位5を前記支持杆2との間で保持でき、且つ、該保持部6の左右の縁部9,9で左右1対の前記挟持片10,10が対向して突設されるものであるならば、前記実施例で示した形態を有するものには特定されない。
(6) 前記保持部6の長さは、使用する前記ネット3のネット目11の大きさに応じて適切なネット止着力が得られるように設定されるものである。前記保持部6の長さを、前記実施例で例示したように35mm程度と比較的短い長さに設定する場合は、前記ネット止着具1を、前記支持杆2の直線部分だけでなく前記支持杆2の湾曲部分に対しても無理なく使用できる利点がある。
(7) 前記両挟持片10, 10による挟持力が所要に得られるならば、前記C字状バネ部材39が省略されることもある。
1 ネット止着具
2 支持杆
3 ネット
5 所要部位
6 保持部
7 挟持部
8 連結部
9 縁部
10 挟持片
11 ネット目
12 一面部
13 他面部
15 外面
16 支柱
19 外周面
20 上端
21 下端
23 突出片
27 開放端
30 湾曲片部
31 先端
32 挿入軸部
33 先端部分
35 外面
36 外面
37 C字状溝部
39 C字状バネ部材
40 防風柵
41 所要部
46 ネット横糸
47 ネット縦糸
49 円形状収容凹部

Claims (4)

  1. 支持杆にネットを固定するために用いるネット固定用の止着具であって、
    該ネットの所要部位を前記支持杆との間で保持する保持部に、該保持部の長さ方向で所要間隔を置いて複数組の挟持部が設けられてなり、該挟持部は、前記保持部の左右の縁部で対向して突設された左右1対の挟持片を具えており、
    該挟持片の夫々は、前記ネットの別異のネット目を、該ネットの一面部からその他面部に向けて挿通できると共に、該挟持片の太さは、該ネット目を該挟持片の前記保持部に対する連結部に向けて移動させることができるように設定されており、
    前記保持部が前記所要部位を前記支持杆との間で保持し且つ、別異の前記ネット目を挿通した状態にある1対の前記挟持片が前記支持杆を、その外面に直接に当接した状態で弾性的に挟持することを特徴とするネット止着具。
  2. 前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該湾曲片部の先端に、前記ネット目に挿入される挿入軸部が突設されていることを特徴とする請求項1記載のネット止着具。
  3. 前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該湾曲片部の先端に、前記ネット目に挿入される挿入軸部が突設され、該挿入軸部は、前記保持部の前記長さ方向と直交する方向に突設されており、その先端部分は丸みを帯びていることを特徴とする請求項1記載のネット止着具。
  4. 前記支持杆は横断面円形状を呈し、前記両挟持片は、前記支持杆の円形状外周面に沿って湾曲する湾曲片部を有しており、該両湾曲片部の外面と前記保持部の外面とに亘って、連続するC字状溝部が形成されており、該C字状溝部にC字状バネ部材が嵌着されていることを特徴とする請求項1記載のネット止着具。
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