JP5566734B2 - 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5566734B2
JP5566734B2 JP2010055611A JP2010055611A JP5566734B2 JP 5566734 B2 JP5566734 B2 JP 5566734B2 JP 2010055611 A JP2010055611 A JP 2010055611A JP 2010055611 A JP2010055611 A JP 2010055611A JP 5566734 B2 JP5566734 B2 JP 5566734B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
carbon film
film
recording medium
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010055611A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011192324A (ja
Inventor
悟 中島
一朗 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2010055611A priority Critical patent/JP5566734B2/ja
Priority to US13/634,098 priority patent/US20130008776A1/en
Priority to PCT/JP2011/054889 priority patent/WO2011111597A1/ja
Publication of JP2011192324A publication Critical patent/JP2011192324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5566734B2 publication Critical patent/JP5566734B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/8408Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers protecting the magnetic layer

Description

本発明は、炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年、ハードディスクドライブ(HDD)等に用いられる磁気記録媒体の分野では、記録密度の向上が著しく、最近では記録密度が1年間で1.5倍程度と、驚異的な速度で伸び続けている。このような記録密度の向上を支える技術は多岐にわたるが、キーテクノロジーの一つとして、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間における摺動特性の制御技術を挙げることができる。
例えば、ウインテェスター様式と呼ばれる、磁気ヘッドの起動から停止までの基本動作を磁気記録媒体に対して接触摺動−浮上−接触摺動としたCSS(接触起動停止)方式がハードディスクドライブの主流となって以来、磁気記録媒体上での磁気ヘッドの接触摺動は避けることのできないものとなっている。
このため、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間のトライボロジーに関する問題は、宿命的な技術課題となって現在に至っており、磁気記録媒体の磁性膜上に積層される保護膜を改善する努力が営々と続けられていると共に、この媒体表面における耐磨耗性及び耐摺動性が、磁気記録媒体の信頼性向上の大きな柱となっている。
磁気記録媒体の保護膜としては、様々な材質からなるものが提案されているが、成膜性や耐久性等の総合的な見地から、主に炭素膜が採用されている。また、この炭素膜の硬度、密度、動摩擦係数等は、磁気記録媒体のCSS特性、あるいは耐コロージョン特性に如実に反映されるため、非常に重要である。
一方、磁気記録媒体の記録密度の向上を図るためには、磁気ヘッドの飛行高さ(フライングハイト)の低減、媒体回転数の増加等を行うことが好ましい。したがって、磁気記録媒体の表面に形成される保護膜には、磁気ヘッドの偶発的な接触等に対応するため、より高い摺動耐久性や平坦性が要求されるようになってきている。加えて、磁気記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシングロスを低減して記録密度を高めるためには、保護膜の厚さをできるだけ薄く、例えば30Å以下の膜厚にすることが要求されるようになってきており、平滑性は勿論のこと、薄く、緻密で且つ強靭な保護膜が強く求められている。
また、上述した磁気記録媒体の保護膜に用いられる炭素膜は、スパッタリング法やCVD法、イオンビーム蒸着法等によって形成される。このうち、スパッタリング法で形成した炭素膜は、例えば100Å以下の膜厚とした場合に、その耐久性が不十分となることがある。一方、CVD法で形成した炭素膜は、その表面の平滑性が低く、膜厚を薄くした場合に、磁気記録媒体の表面の被覆率が低下して、磁気記録媒体のコロージョンが発生する場合がある。一方、イオンビーム蒸着法は、上述したスパッタリング法やCVD法に比べて、高硬度で平滑性が高く、緻密な炭素膜を形成することが可能である。
イオンビーム蒸着法による炭素膜の形成方法としては、例えば、真空雰囲気下の成膜室内で、加熱されたフィラメント状カソードとアノードとの間の放電により成膜原料ガスをプラズマ状態とし、これをマイナス電位の基板表面に加速衝突させることにより、硬度の高い炭素膜を安定して成膜する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
また、上記構成においては、保護膜を設けただけでは、磁気記録媒体の耐久性は十分ではない。そのため、保護膜の表面に、厚さが0.5〜3nm程度の潤滑剤を塗布して潤滑層を形成し、保護膜の耐久性を改善している。すなわち、潤滑層を設けることによって、磁気ヘッド(磁気ヘッドスライダ)が保護膜と直接接触するのを防止することができるとともに、磁気記録媒体上を摺動する磁気ヘッド(磁気ヘッドスライダ)の摩擦力を著しく低減させることができる。
このような潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤や脂肪族炭化水素系潤滑剤などが提案されている。例えば、特許文献2には、HOCH−CFO−(CO)p−(CFO)q−CHOH(p、qは整数。)の構造をもつパーフロロアルキルポリエーテルの潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。また、特許文献3には、HOCHCH(OH)−CHOCHCFO−(CO)p−(CFO)q−CFCHOCH−CH(OH)CHOH(p、qは整数。)の構造を持つパーフロロアルキルポリエーテル(テトラオール)の潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。さらに、特許文献4には、−CFO−または−CFCFO−から選ばれたパーフルオロオキシアルキレン単位とホスファゼン化合物を有する磁気記録媒体用途の潤滑剤が開示されている。
しかしながら、炭素膜は硬度が高まるほどその物性がダイヤモンドに近づき撥水性となる。その場合、炭素膜表面の潤滑剤に対する接触角が高まり(濡れ性が低下し)炭素膜の表面に潤滑層を設けることができなくなる。そのため特許文献5には、炭素膜の表面から膜厚の10%〜30%の部分を窒化して炭素水素窒素系膜質に変質させ、炭素膜表面の潤滑剤に対する濡れ性を高めることが記載されている。
特開2000−226659号公報 特開昭62−66417号公報 特開平9−282642号公報 特開2002−275484号公報 特開2001−126233号公報
磁気記録媒体の記録密度を更に向上させるためには、上述した炭素膜を今まで以上に薄膜化することが求められる。ここで炭素膜を薄膜化するためには、炭素膜の硬度を高める必要があるが、これにより炭素膜表面の潤滑剤に対する濡れ性が低下する。
ここで、特許文献5に記載されているように炭素膜の表面を窒化し、潤滑剤に対する濡れ性を高める方法が考えられるが、窒化した炭素膜は硬度が低下するため炭素膜の薄膜化が困難となる。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、潤滑剤に対する濡れ性が高く、かつ高硬度で緻密な炭素膜を形成することを可能とした炭素膜の形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのような方法を用いて形成される炭素膜を磁気記録媒体の保護層に用いることによって、耐摩耗性、耐コロージョン性に優れた記録密度の高い時期記録媒体を得ることを可能とした磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、以下の事実を見出した。すなわち、減圧された成膜室内に炭素と水素を含む原料の気体を導入し、この原料の気体を通電により加熱されたフィラメント状のカソード電極と、その周囲に設けられたアノード電極との間で、放電によりイオン化することによって、高硬度の炭素膜を形成可能な励起力の高いカーボンイオンが形成できる。そして、このカーボンイオンを基板の表面に加速照射するに際し、放電によりイオン化した水素も炭素膜中に混入することとなり、この混入した水素が炭素膜の潤滑剤に対する濡れ性を低下させ、かつ、炭素膜の硬度を低下させていることを見出した。
そして、カーボンと水素を含むイオン化した気体を、基板に加えた負のパルスバイアスで加速して基板の表面に照射することによって、潤滑剤に対する濡れ性が高く、かつ、緻密で硬度の高い炭素膜を形成できることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 減圧した成膜室内に炭素と水素を含む原料の気体を導入し、この気体を、通電により加熱されたフィラメント状のカソード電極と、その周囲に設けられたアノード電極との間で、放電によりイオン化し、このイオン化した気体を基板に加えたバイアス電圧で加速して基板の表面に照射することによって、基板の表面に炭素膜を形成する炭素膜の形成方法であって、前記基板の表面に加えるバイアス電圧としてパルス状の負の電圧を用いることを特徴とする炭素膜の形成方法。
(2) 前記パルス状の負の電圧のピーク電圧が、−30〜−500Vの範囲内であることを特徴とする(1)に記載の炭素膜の形成方法。
(3) 前記パルス状の負の電圧の周期が5〜50Hzの範囲内であることを特徴とする(1)または(2)に記載の炭素膜の形成方法。
(4) 前記パルス状の負の電圧のパルス幅が、15m秒〜150m秒の範囲内であることを特徴とする(1)ないし(3)3のいずれかに記載の炭素膜の形成方法。
(5) (1)ないし(4)のいずれかに記載の炭素膜の形成方法を用いて、少なくとも磁性層が形成された非磁性基板の上に炭素膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
本発明によれば、潤滑剤に対する濡れ性が高く、高硬度で緻密な炭素膜を形成することが可能であり、この炭素膜を磁気記録媒体等の保護膜に用いた場合には、炭素膜の膜厚を薄くすることが可能となるため、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの距離を狭く設定することが可能となり、その結果、磁気記録媒体の記録密度を高めると共に、磁気記録媒体の耐コロージョン性を高めることが可能である。
図1は、本発明を適用した炭素膜の形成装置を模式的に示す概略構成図である。 図2は、永久磁石が印加する磁場とその磁力線の方向を示す模式図である。 図3は、本発明を適用して製造される磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 図4は、本発明を適用して製造される磁気記録媒体の他例を示す断面図である。 図5は、磁気記録再生装置の一例を示す断面図である。 図6は、本発明を適用したインライン式成膜装置の構成を示す平面図である。 図7は、本発明を適用したインライン式成膜装置のキャリアを示す側面図である。 図8は、図7に示すキャリアを拡大して示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
先ず、本発明を適用した炭素膜の形成方法及び形成装置について説明する。
図1は、本発明を適用した炭素膜の形成装置を模式的に示す概略構成図である。この炭素膜の形成装置は、例えば図1に示すように、イオンビーム蒸着法を用いた成膜装置であり、減圧可能な成膜室101と、成膜室101内で基板Dを保持するホルダ102と、成膜室101内に炭素と水素を含む原料の気体Gを導入する導入管103と、成膜室101内に配置されたフィラメント状のカソード電極104と、成膜室101内のカソード電極104の周囲に配置されたアノード電極105と、カソード電極104を通電により加熱する第1の電源106と、カソード電極104とアノード電極105との間で放電を生じさせる第2の電源107と、カソード電極104又はアノード電極105と基板Dとの間に負のパルス状の電位差を与える第3のパルス電源108と、カソード電極104とアノード電極105又は基板Dとの間で磁場を印加する永久磁石109とを備えて概略構成されている。
成膜室101は、チャンバ壁101aによって気密に構成されると共に、真空ポンプ(図示せず。)に接続された排気管110を通じて内部を減圧排気することが可能となっている。第1の電源106は、カソード電極104に接続された交流電源であり、炭素膜の成膜時にカソード電極104に電力を供給する。また、第1の電源106には、交流電源に限らず、直流電源を用いてもよい。第2の電源107は、−電極側がカソード電極104に、+電極側がアノード電極105に接続された直流電源であり、炭素膜の成膜時にカソード電極104とアノード電極105との間で放電を生じさせる。第3のパルス電源108は、+電極側がアノード電極105に、−電極側がホルダ102に接続された直流パルス電源であり、炭素膜の成膜時にアノード電極105とホルダ102に保持された基板Dとの間に電位差を付与する。また、第3のパルス電源108は、+電極側がカソード電極104に接続された構成としてもよい。
また、本発明では、基板Dのサイズにもよるが、外径3.5インチの円盤状の基板に炭素膜を成膜する場合、第1の電源106については、電圧を10〜100Vの範囲、電流を直流又は交流で5〜50Aの範囲に設定することが好ましく、第2の電源107については、電圧を50〜300Vの範囲、電流を10〜5000mAの範囲に設定することが好ましい。
また、第3のパルス電源108については、パルス状の負の電圧のピーク電圧を−30〜−500Vの範囲内に設定することが好ましい。ピーク電圧を−30Vよりも大きくすると、本願発明の効果が少なくなるという不都合があり、また、−500Vよりも小さくすると、イオン加速空間内、特に−電極側ホルダ102の周辺で異常放電を生じやすくなるという不都合がある。
また、第3のパルス電源のパルス状の負の電圧の周期を5Hz〜50Hzの範囲内に設定することが好ましい。周期を5Hzよりも小さくすると、本願発明の効果が少なくなるという不都合があり、また、50Hzよりも大きくすると、イオン加速空間内、特に−電極側ホルダ102の周辺で異常放電を生じやすくなるという不都合がある。
また、第3のパルス電源のパルス状の負の電圧のパルス幅を、15m秒〜150m秒の範囲内に設定することが好ましい。パルス幅を、15m秒よりも小さくすると、本願発明の効果が少なくなるという不都合があり、また、150m秒よりも大きくすると、本願発明の効果が少なくなるという不都合がある。
また、第3のパルス電源については、電流を10〜200mAの範囲内に設定することが好ましい。
以上のような構造を有する炭素膜の形成装置を用いて、基板Dの表面に炭素膜を形成する際は、排気管110を通じて減圧された成膜室101の内部に、導入管103を通じて炭素と水素を含む原料の気体Gを導入する。
この原料の気体Gは、第1の電源106からの電力の供給により加熱されたフィラメント状のカソード電極104の熱プラズマと、第2の電源107に接続されたカソード電極104とアノード電極105との間で放電により発生したプラズマとによって励起分解されて、イオン化した気体(炭素イオン及び水素イオン)となる。
そして、このプラズマ中で励起された炭素イオンは、第3のパルス電源108によりマイナス電位とされた基板Dに向かって加速しながら、この基板Dの表面に衝突し、炭素膜を形成することになる。
本願発明では、第3のパルス電源108により基板Dに供給されるバイアス電圧は、パルス状のマイナス電位である。このような電位を用いて炭素イオンと水素イオンを加速し、基板D表面に衝突させることにより、潤滑剤に対する濡れ性が高く、かつ緻密で硬度の高い炭素膜が形成できる理由は、不明な点もあるが、パルス状の電圧を用いることにより加速されるイオンに選択性が生じ、炭素膜中の水素濃度が低下すること、また炭素膜中で水素で終端されていないカーボン・ダングリングボンドが形成され、これが潤滑剤と濡れ性を高めていることが考えられる。
本発明を適用した炭素膜の成膜方法では、チャンバ壁101aの周囲に配置された永久磁石109によって、原料の気体Gをイオン化する領域又はイオン化した気体(イオンビームという。)を加速する領域(以下、励起空間という。)において磁場を印加するのが好ましい。
本発明では、炭素イオンを基板Dの表面に加速照射するときに、外部から磁場を印加することによって、この基板Dの表面に向かって加速照射される炭素イオンのイオン密度を高めることができる。これにより、励起空間内のイオン密度が高められると、この励起空間内の励起力が高められ、より高いエネルギー状態となった炭素イオンを基板Dの表面に加速照射することができ、その結果、基板Dの表面に硬度が高く緻密性の高い炭素膜を成膜することが可能となる。
本発明では、上述したカソード電極104及びアノード電極105の周囲に設けた永久磁石109によって成膜室101内の励起空間に磁場を印加することができるが、この永久磁石109が印加する磁場とその磁力線の方向については、例えば図2(a)〜(c)に示すような構成を採用することができる。
すなわち、図2(a)に示す構成(図1に示す場合と同様な構成)では、成膜室101のチャンバ壁101aの周囲に、S極が基板D側、N極がカソード電極104側となるように永久磁石109が配置されている。この構成の場合、永久磁石109によって生ずる磁力線Mは、成膜室101の中央付近においては、イオンビームBの加速方向とほぼ平行となる。成膜室101内の磁力線Mの方向をこのような方向に設定することにより、励起空間における炭素イオンを、その磁気モーメントにより成膜室101内の中央付近に集中させ、この励起空間内のイオン密度を効率良く高めることが可能である。
一方、図2(b)に示す構成では、成膜室101のチャンバ壁101aの周囲に、S極がカソード電極104側、N極が基板D側となるように永久磁石109が配置されている。一方、図2(c)に示す構成では、成膜室101のチャンバ壁101aの周囲に、N極とS極との向きを内周側と外周側とで交互に入れ替えた複数の永久磁石109が配置されている。何れの場合も、永久磁石109によって生ずる磁力線Mは、成膜室101の中央付近においては、イオンビームBの加速方向とほぼ平行となり、これにより励起空間内のイオン密度を効率良く高めることが可能である。
また、本発明を適用した炭素膜の形成方法では、炭素と水素を含む原料の気体Gとして、例えば炭化水素を含むものを用いることができる。炭化水素としては、低級飽和炭化水素、低級不飽和炭化水素、低級環式炭化水素のうち何れか1種又は2種以上の低炭素炭化水素を用いることが好ましい。なお、ここでいう低級とは、炭素数が1〜10の場合を指す。
このうち、低級飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン等を用いることができる。一方、低級不飽和炭化水素としては、イソプレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等を用いることができる。一方、低級環式炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン等を用いることができる。
本発明において、低級炭化水素を用いることが好ましいとしたのは、炭化水素の炭素数が上記範囲を越えると、導入管103から気体として供給することが困難となることに加え、放電時の炭化水素の分解が進行しににくくなり、炭素膜が強度に劣る高分子成分を多く含むものとなるためである。
本発明では、成膜室101内でのプラズマの発生を誘発するため、炭素と水素を含む原料の気体Gに、不活性ガスや水素ガスなどを含有させた混合ガス等を用いることが好ましいが、この混合ガスにおける炭化水素と不活性ガス等との混合割合は、炭化水素:不活性ガスを2:1〜1:100(体積比)の範囲に設定することが好ましく、これにより、高硬度の耐久性の高い炭素膜を形成することができる。
なお、上記図1に示す炭素膜の形成装置では、基板Dの片面にのみ炭素膜を成膜する構成となっているが、基板Dの両面に炭素膜を成膜する構成とすることも可能である。この場合、基板Dの片面にのみ炭素膜を成膜する場合と同様の装置構成を、成膜室101内の基板Dを挟んだ両側に配置すればよい。
次に、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法について説明する。
本実施形態では、複数の成膜室の間で成膜対象となる基板を順次搬送させながら成膜処理を行うインライン式成膜装置を用いて、ハードディスク装置に搭載される磁気記録媒体を製造する場合を例に挙げて説明する。
本発明を適用して製造される磁気記録媒体は、例えば図3に示すように、非磁性基板80の両面に、軟磁性層81、中間層82、記録磁性層83及び保護層84が順次積層された構造を有し、更に最表面に潤滑膜85が形成されてなる。また、軟磁性層81、中間層82及び記録磁性層83によって磁性層810が構成されている。
そして、この磁気記録媒体では、保護層84として、上記本発明を適用した炭素膜の形成方法を用いて、潤滑剤に対する濡れ性が高く、高硬度で緻密な炭素膜が形成されている。この場合、磁気記録媒体では、炭素膜の膜厚を薄くすることが可能であり、具体的には炭素膜の膜厚を2nm程度以下とすることが可能である。
したがって、本発明では、このような磁気記録媒体と磁気ヘッドとの距離を狭く設定することが可能となり、その結果、この磁気記録媒体の記録密度を高めると共に、この磁気記録媒体の耐コロージョン性を高めることが可能である。
以下、上記磁気記録媒体の保護層84以外の各層について説明する。
非磁性基板80としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、結晶化ガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹脂からなる基板など、非磁性基板であれば任意のものを用いることができる。
その中でも、Al合金基板や、結晶化ガラス等のガラス製基板、シリコン基板を用いることが好ましい。また、これら基板の平均表面粗さ(Ra)は、1nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5nm以下であり、その中でも特に0.1nm以下であることが好ましい。
磁性層810は、面内磁気記録媒体用の面内磁性層でも、垂直磁気記録媒体用の垂直磁性層でもかまわないが、より高い記録密度を実現するためには垂直磁性層が好ましい。また、磁性層810は、主としてCoを主成分とする合金から形成するのが好ましい。例えば、垂直磁気記録媒体用の磁性層810としては、軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる軟磁性層81と、Ru等からなる中間層82と、60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金からなる記録磁性層83とを積層したものを利用できる。また、軟磁性層81と中間層82との間にPt、Pd、NiCr、NiFeCrなどからなる配向制御膜を積層してもよい。一方、面内磁気記録媒体用の磁性層810としては、非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa磁性層とを積層したものを利用できる。
記録磁性層83の厚さは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とし、記録磁性層83は使用する磁性合金の種類と積層構造に合わせて、十分なヘッド出入力が得られるように形成すればよい。記録磁性層83の膜厚は、再生の際に一定以上の出力を得るにはある程度以上の磁性層の膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す諸パラメーターは出力の上昇とともに劣化するのが通例であるため、最適な膜厚に設定する必要がある。
潤滑膜85に用いる潤滑剤としては、パーフルオロエーテル(PFPE)等の弗化系液体潤滑剤、脂肪酸等の固体潤滑剤を用いることができ、通常は、1〜4nmの厚さで潤滑層85を形成する。潤滑剤の塗布方法としては、ディッピング法やスピンコート法など従来公知の方法を使用すればよい。
また、本発明を適用して製造される他の磁気記録媒体としては、例えば図4に示すように、上記記録磁性層83に形成された磁気記録パターン83aが非磁性領域83bによって分離されてなる、いわゆるディスクリート型の磁気記録媒体であってもよい。
また、ディスクリート型の磁気記録媒体については、磁気記録パターン83aが1ビットごとに一定の規則性をもって配置された、いわゆるパターンドメディアや、磁気記録パターン83aがトラック状に配置されたメディア、その他、磁気記録パターン83aがサーボ信号パターン等を含んでいてもよい。
このようなディスクリート型の磁気記録媒体は、記録磁性層83の表面にマスク層を設け、このマスク層に覆われていない箇所を反応性プラズマ処理やイオン照射処理等に曝すことによって記録磁性層83の一部を磁性体から非磁性体に改質し、非磁性領域83bを形成することにより得られる。
また、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置としては、例えば図5に示すようなハードディスク装置を挙げることができる。このハードディスク装置は、上記磁気記録媒体である磁気ディスク96と、磁気ディスク96を回転駆動させる媒体駆動部97と、磁気ディスク96に情報を記録再生する磁気ヘッド98と、ヘッド駆動部99と、記録再生信号処理系100とを備えている。そして、磁気再生信号処理系100は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド98に送り、磁気ヘッド98からの再生信号を処理してデータを出力する。
上記磁気記録媒体を製造する際は、例えば図6に示すような本発明を適用したインライン式成膜装置(磁気記録媒体の製造装置)を用いて、成膜対象となる非磁性基板80の両面に、少なくとも軟磁性層81、中間層82及び記録磁性層83からなる磁性層810と、保護層84とを順次積層することによって、保護層84として高硬度で緻密な炭素膜を備えた上記磁気記録媒体を安定して製造することができる。
具体的に、本発明を適用したインライン式成膜装置は、ロボット台1と、ロボット台1上に截置された基板カセット移載ロボット3と、ロボット台1に隣接する基板供給ロボット室2と、基板供給ロボット室2内に配置された基板供給ロボット34と、基板供給ロボット室2に隣接する基板取り付け室52と、キャリア25を回転させるコーナー室4、7、14、17と、各コーナー室4、7、14、17の間に配置された処理チャンバ5、6、8〜13、15、16、18〜20と、処理チャンバ20に隣接して配置された基板取り外し室54と、基板取り付け室52との基板取り外し室54との間に配置されたアッシング室3Aと、基板取り外し室54に隣接して配置された基板取り外しロボット室22と、基板取り外しロボット室22内に設置された基板取り外しロボット49と、これら各室の間で搬送される複数のキャリア25とを有して概略構成されている。
また、各室2、52、4〜20、54、3Aは、隣接する2つの壁部にそれぞれ接続されており、これら各室2、52、4〜20、54、3Aの接続部には、ゲートバルブ55〜71が設けられ、これらゲートバルブ55〜71が閉状態のとき、各室内は、それぞれ独立の密閉空間となる。
また、各室2、52、4〜20、54、3Aには、それぞれ真空ポンプ(図示せず。)が接続されており、これらの真空ポンプの動作によって減圧状態となされた各室内に、搬送機構(図示せず。)によりキャリア25を順次搬送させながら、各室内において、キャリア25に装着された非磁性基板80の両面に、上述した軟磁性層81、中間層82及び記録磁性層83、及び保護層84を順次成膜することによって、最終的に上記図3に示す磁気記録媒体が得られるように構成されている。また、各コーナー室4、7、14、17は、キャリア25の移動方向を変更する室であり、その内部にキャリア25を回転させて次の成膜室に移動させる機構が設けられている。
基板カセット移載ロボット3は、成膜前の非磁性基板80が収納されたカセットから、基板取り付け室2に非磁性基板80を供給するとともに、基板取り外し室22で取り外された成膜後の非磁性基板80(磁気記録媒体)を取り出す。この基板取り付け・取り外し室2、22の一側壁には、外部に開放された開口と、この開口を開閉する開閉部51a、51bが設けられている。
基板取り付け室52の内部では、基板供給ロボット34を用いて成膜前の非磁性基板80がキャリア25に装着される。一方、基板取り外し室54の内部では、基板取り外しロボット49を用いて、キャリア25に装着された成膜後の非磁性基板80(磁気記録媒体)が取り外される。アッシング室3Aは、基板取り外し室54から搬送されたキャリア25のアッシングを行った後、キャリア25を基板取り付け室52へと搬送させる。
処理チャンバ5、6、8〜13、15、16、18〜20のうち、処理チャンバ5、6、8〜13、15、16によって、上記磁性層810を形成するための複数の成膜室が構成されている。これら成膜室は、非磁性基板80の両面に、上述した軟磁性層81、中間層82及び記録磁性層83を形成する機構を備えている。
一方、処理チャンバ18〜20によって保護層84を形成するための成膜室が構成されている。本構成の装置では、処理チャンバは3台であるが、使用する処理チャンバは成膜する保護層の厚さに応じて適宜選択される。これら成膜室は、上記図1に示すイオンビーム蒸着法を用いた成膜装置と同様の装置構成を備え、上記磁性層810が形成された非磁性基板80の表面に、保護層84として、上述した高硬度で緻密な炭素膜を形成する。
なお、処理チャンバは、上記図4に示す磁気記録媒体を製造する場合は、更に、マスク層をパターニングするパターニングチャンバや、記録磁性層83のうち、パターンニング後のマスク層によって覆われていない箇所に対し、反応性プラズマ処理又はイオン照射処理を行い、記録磁性層83の一部を磁性体から非磁性体に改質することによって、非磁性領域83bによって分離された磁気記録パターン83bを形成する改質チャンバ、マスク層を除去する除去チャンバを追加した構成とすればよい。
また、各処理チャンバ5、6、8〜13、15、16、18〜20には、処理用ガス供給管が設けられ、供給管には、図示しない制御機構によって開閉が制御されるバルブが設けられ、これらバルブ及びポンプ用ゲートバルブを開閉操作することにより、処理用ガス供給管からのガスの供給、チャンバ内の圧力およびガスの排出が制御される。
キャリア25は、図7及び図8に示すように、支持台26と、支持台26の上面に設けられた複数の基板装着部27とを有している。なお、本実施形態では、基板装着部27を2基搭載した構成のため、これら基板装着部27に装着される2枚の非磁性基板80を、それぞれ第1成膜用基板23及び第2成膜用基板24として扱うものとする。
基板装着部27は、第1及び第2成膜用基板23,24の厚さの1〜数倍程度の厚さを有する板体28に、これら成膜用基板23、24の外周より若干大径となされた円形状の貫通穴29が形成されて構成され、貫通穴29の周囲には、該貫通穴29の内側に向かって突出する複数の支持部材30が設けられている。この基板装着部27には、貫通穴29の内部に第1及び第2成膜用基板23、24が嵌め込まれ、その縁部に支持部材30が係合することによって、これら成膜用基板23、24が縦置き(基板23,24の主面が重力方向と平行となる状態)に保持される。すなわち、この基板装着部27は、キャリア25に装着された第1及び第2成膜用基板23、24の主面が支持台26の上面に対して略直交し、且つ、略同一面上となるように、支持台26の上面に並列して設けられている。
また、上述した処理チャンバ5、6、8〜13、15、16、18〜20には、キャリア25を挟んだ両側に2つの処理装置がある。この場合、例えば、図7中の実線で示す第1処理位置にキャリア25が停止した状態において、このキャリア25の左側の第1成膜用基板23に対して成膜処理等を行い、その後、キャリア25が図7中の破線で示す第2処理位置に移動し、この第2処理位置にキャリア25が停止した状態において、キャリア25の右側の第2成膜用基板24に対して成膜処理等を行うことができる。
なお、キャリア25を挟んだ両側に、それぞれ第1及び第2成膜用基板23、24に対
向した4つの処理装置がある場合は、キャリア25の移動は不要となり、キャリア25に
保持された第1及び第2成膜用基板23、24に対して同時に成膜処理等を行うことがで
きる。
成膜後は、第1及び第2成膜用基板23、24をキャリア25から取り外し、炭素膜が堆積したキャリア25のみをアッシング室3A内へと搬送する。そして、このアッシング室3Aの任意の箇所から酸素ガスを導入し、この酸素ガスを用いてアッシング室3A内に酸素プラズマを発生させる。酸素プラズマは、キャリア25の表面に堆積した炭素膜に接触すると、この炭素膜をCOやCOガスに分解して除去する。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例)
実施例では、先ず、非磁性基板としてNiPめっきが施されたアルミニウム基板を用意した。次に、上記図6に示すインライン式成膜装置を用いて、A5052アルミ合金製のキャリアに装着された非磁性基板の両面に、膜厚60nmのFeCoBからなる軟磁性層と、膜厚10nmのRuからなる中間層と、膜厚15nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金からなる記録磁性層とを順次積層することによって磁性層を形成した。
次に、キャリアに装着された非磁性基板を上記図1に示す成膜装置と同様の装置構成を備える処理チャンバに搬送し、この磁性層が形成された非磁性基板の両面に炭素膜からなる保護層を形成した。
具体的に、処理チャンバは、外径が180mm、長さが250mmの円筒形状を有し、この処理チャンバを構成するチャンバ壁の材質はSUS304である。処理チャンバ内には、長さ約30mmのタングステンからなるコイル状のカソード電極と、カソード電極の周囲を囲む円筒状のアノード電極とが設けられている。アノード電極は、材質がSUS304であり、外径が140mm、長さが40mmである。また、カソード電極と非磁性基板との距離は160mmとした。さらに、チャンバ壁の周囲を囲む円筒状の永久磁石を配置した。この永久磁石は、内径が185mm、長さが40mmであり、その中心にアノード電極が位置するように、なお且つS極が基板側、N極がカソード電極側となるように配置した。この永久磁石のトータル磁力は50G(5mT)である。
原料ガスについては、ガス化したトルエンを用いた。そして、炭素膜の成膜条件については、ガス流量を2.9SCCM、反応圧力を0.3Paとし、カソード電力を225W(AC22.5V、10A)、カソード電極とアノード電極間の電圧を75V、電流を1650mA、アノードとカソード間に加えたパルス状のイオンの加速電圧を−400V、パルス幅を60m秒、周波数を13Hz、瞬間電流を60mA、成膜時間を10秒として成膜する炭素膜厚を3.5nmとした。
(比較例)
比較例では、実施例と同様に成膜を行ったが、アノードとカソード間に加えた加速電圧を定常的に加えた。なお、成膜時間は8秒として成膜する炭素膜厚を3.5nmとした。
(磁気記録媒体の評価)
そして、実施例及び比較例の磁気記録媒体に対して、ラマン分光測定、スクラッチ試験、炭素膜表面の純水に対する接触角の測定及びコロージョン試験を実施した。
ラマン分光測定については、JEOL社製のラマン分光装置を用いて、B/Aの測定を行った。ここで、B/Aとは、ラマンスペクトルのピーク強度をB値、ベースライン補正を行ったときのピーク強度をA値として算出される値である。このB/Aの値が小さいほど、炭素膜中のポリマー成分が少なく、硬質の炭素膜であることを示す。
スクラッチ試験については、クボタ社製のSAFテスターを用いて行った。試験条件は、磁気記録媒体を12000rpmで回転させ、PP6ヘッドを用いて、ディスク表面を2時間、5インチ/秒の速度でシーク動作を繰り返し、その後、光学顕微鏡でスクラッチの有無を確認した。20枚評価しスクラッチの発生した枚数の比率を評価した。
炭素膜表面の純水に対する接触角の測定は、炭素膜表面に純水の水滴を滴下し、側面(炭素膜表面に対して平行な方向から見た面)から水滴を観察し、炭素膜面と水滴とのなす角度を計測した。
コロージョン試験については、磁気記録媒体を90℃、湿度90%の環境下に96時間放置した後、磁気記録媒体の表面に発生したコロージョンスポットの個数を光学式表面検査機でカウントした。
Figure 0005566734
ラマン分光測定の結果から、本発明の成膜方法を用いた場合には、B/Aの低い炭素膜が得られることがわかった。すなわち、本発明を用いて製造される磁気記録媒体の炭素膜は、sp3成分の多い硬質の炭素膜であることが明らかとなった。
また、スクラッチ試験の結果から、本発明の成膜方法を用いた場合には、炭素膜を薄膜化してもスクラッチが発生しにくい硬質の炭素膜が得られることがわかった。
純水に対する接触角の測定から、本発明の成膜方法を用いた炭素膜は純水に対する接触角が低く、潤滑剤に対する濡れ性も高いことが推測された。
コロージョン試験の結果から、本発明の成膜方法を用いた場合には、炭素膜を薄膜化してもコロージョンの発生が緩和されることがわかった。すなわち、本発明を用いて製造される磁気記録媒体の炭素膜は、緻密で耐食性の高い炭素膜であることが明らかとなった。
80・・・非磁性基板、81・・・軟磁性層、82・・・中間層、83・・・記録磁性層、84・・・保護層、85・・・潤滑膜、810・・・磁性層、101・・・成膜室、102・・・ホルダ、103・・・導入管、104・・・カソード電極、105・・・アノード電極、106・・・第1の電源、107・・・第2の電源、108・・・第3のパルス電源、109・・・永久磁石、110・・・排気管

Claims (2)

  1. 減圧した成膜室内に炭素と水素を含む原料の気体を導入し、
    この気体を、通電により加熱されたフィラメント状のカソード電極と、その周囲に設けられたアノード電極との間で、放電によりイオン化し、
    このイオン化した気体を基板に加えたバイアス電圧で加速して基板の表面に照射することによって、基板の表面に炭素膜を形成する炭素膜の形成方法であって、
    前記基板の表面に加えるバイアス電圧としてパルス状の負の電圧を用い
    前記パルス状の負の電圧は、ピーク電圧が−30V〜−500Vの範囲内であり、周期が5Hz〜50Hzの範囲内であり、パルス幅が15m秒〜150m秒の範囲内であることを特徴とする炭素膜の形成方法。
  2. 請求項1に記載の炭素膜の形成方法を用いて、少なくとも磁性層が形成された非磁性基板の上に炭素膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
JP2010055611A 2010-03-12 2010-03-12 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法 Active JP5566734B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010055611A JP5566734B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
US13/634,098 US20130008776A1 (en) 2010-03-12 2011-03-03 Method of forming carbon film, and method of manufacturing magnetic recording medium
PCT/JP2011/054889 WO2011111597A1 (ja) 2010-03-12 2011-03-03 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010055611A JP5566734B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011192324A JP2011192324A (ja) 2011-09-29
JP5566734B2 true JP5566734B2 (ja) 2014-08-06

Family

ID=44563401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010055611A Active JP5566734B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20130008776A1 (ja)
JP (1) JP5566734B2 (ja)
WO (1) WO2011111597A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015117400A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 昭和電工株式会社 炭素膜の形成装置、炭素膜の形成方法、及び、磁気記録媒体の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3583361A (en) * 1969-12-18 1971-06-08 Atomic Energy Commission Ion beam deposition system
JP2001023156A (ja) * 1999-07-09 2001-01-26 Showa Denko Kk 磁気記録媒体の製造方法
JP2001176060A (ja) * 1999-12-10 2001-06-29 Fuji Electric Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4199913B2 (ja) * 2000-09-28 2008-12-24 株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズ 磁気記録媒体の製造方法
JP2002155372A (ja) * 2000-11-17 2002-05-31 Mitsubishi Chemicals Corp 製膜装置および製膜方法ならびに情報記録媒体の製造方法
JP2002184770A (ja) * 2000-12-19 2002-06-28 Shimadzu Corp 基板処理装置
JP2004269991A (ja) * 2003-03-11 2004-09-30 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 異なる環境において耐摩耗性に優れたダイアモンドライクカーボン多層膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011192324A (ja) 2011-09-29
WO2011111597A1 (ja) 2011-09-15
US20130008776A1 (en) 2013-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010027175A (ja) 炭素膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法、及び炭素膜の形成装置
JP5452928B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法、及び積層体の製造方法
US20110059235A1 (en) Method for producing magnetic recording medium and producing apparatus thereof
JP5427572B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法
JP5681624B2 (ja) 炭素膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法及び炭素膜の形成装置
JP5566734B2 (ja) 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
JP6188224B2 (ja) 炭素膜の形成装置、炭素膜の形成方法、及び、磁気記録媒体の製造方法
JP2010225238A (ja) 炭素膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法及び炭素膜の形成装置
JP6186500B2 (ja) カーボン系保護膜の製造方法
JP2010205323A (ja) 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
JP5808511B2 (ja) 磁気記録媒体及びその保護膜の製造方法
JP2011065714A (ja) 炭素膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法、及び炭素膜の形成装置
JP2011192325A (ja) 炭素膜の形成方法、磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置
US20150170698A1 (en) Carbon film forming apparatus, carbon film forming method, and magnetic recording medium manfacturing method
JP6485868B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP5328462B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法
JP5364455B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置及びインライン式成膜装置
JP2011065715A (ja) 炭素膜の形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
JP2015001989A (ja) 炭素膜の製造方法、磁気記録媒体、磁気記憶装置
JP2015032335A (ja) 炭素膜の製造方法、磁気記録媒体、磁気記憶装置
JP6485867B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2010257515A (ja) マグネトロンスパッタ装置、インライン式成膜装置、磁気記録媒体の製造方法、磁気記録再生装置
JP2011023086A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置
JP5551496B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP5582850B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140603

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140618

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5566734

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350