JP5566542B1 - 掘削バケット及び作業車両 - Google Patents
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Abstract
Description
更に、掘削抵抗を減らし、磨耗を減少させることによって掘削バケットの寿命を長くする掘削バケットが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この掘削バケットでは、側面視において曲率半径の異なる2つの曲面部を有する底面部が形成されている。
しかしながら、上記従来の掘削バケットでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、掘削バケットの容量の増大化が望まれる場合に、掘削バケットの幅を広くすることによって掘削バケットの容量を増加すると、動作時に捻りなどが発生し易く、アームへの負担が大きくなる。
本発明の目的は、従来の掘削バケットの課題を考慮し、アームへの負担を抑制しつつ、容量の増加を図ることが可能な掘削バケット、及び作業車両を提供することである。
また、掘削の際に掘削バケットはブラケットの孔を中心として回動するが、リップ角θを72°以下にすることによって、切刃部の先端の軌跡よりも底面部が下方に突出しないようにすることが出来る。そのため、掘削抵抗を低減することが出来る。又、リップ角θを72°よりも大きくすると底面部の湾曲が大きくなるため、掘削した土の排土性を確保し難くなる場合がある。このため、リップ角θを72°以下とすることによって排土性を確保することが出来る。
更に、バケット深さ/リスト半径を0.7以上とすることによってバケット深さがより深くなり、従来よりも容量の増大化を図ることが出来る。また、バケット深さ/リスト半径が0.8よりも大きくなると、リスト半径に対してバケット深さが深くなりすぎ排土性が確保し難くなる場合や、掘削抵抗が大きくなる場合がある。このため、バケット深さ/リスト半径を0.8以下とすることにより掘削抵抗を低減しつつ排土性を確保することが出来る。
バケット深さ/バケット幅の値が大きくなると、バケット幅に対するバケット容量を大きくすることができる。すなわち、バケット深さ/バケット幅の値を0.73以上とすることで、従来の掘削バケットと同一の幅であっても従来よりもバケット容量を大きくすることが出来る。また、バケット深さ/バケット幅の値を0.83よりも大きくすると、バケット幅に対するバケット深さが深くなりすぎ排土性が確保し難くなる場合や、掘削抵抗が大きくなる場合がある。そのため、バケット深さ/バケット幅の値を0.83以下とすることにより掘削抵抗を低減しつつ排土性を確保することが出来る。
これにより、掘削バケットの幅を変更せずに容量を増やすことが出来るため、アームへの負担を抑制しつつ、容量の増加を図ることが可能となる。
本発明によれば、アームへの負担を抑制しつつ、容量の増加を図ることが可能な掘削バケット、及び作業車両を提供することが出来る。
図1は、本発明の実施の形態に係る油圧ショベル100を示す図である。この油圧ショベル100は、車両本体1と作業機4とを備えている。
図2は、本発明の実施の形態に係る掘削バケット9の斜視図である。図3は図2の掘削バケット9の側面図である。図4は図2の掘削バケット9の側面図であり、図3とは掘削バケット9の傾きが異なった図である。図5は図2の掘削バケット9の背面図である。
図2〜図5に示すように、掘削バケット9は、バケット本体21と、リップ部35と、ツースアダプタ24と、ブラケット22と、複数のツース23とを備える。
複数のツース23は、リップ部35にツースアダプタ24を介して固定される。ツース23は、リップ部35の端部に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。ツース23は、それぞれ側面視において先細りの形状を有する。
次に、バケット本体21の形状について詳細に説明する。なお、掘削バケット9の構成の説明では、図3に示す状態においてツース23の先端側を「前」、第1孔38側を「後」と呼ぶものとする。
第1曲面部41は、側面視において所定の第1曲率半径R1で湾曲した形状を有する。第1曲面部41の曲率半径の中心O1は、バケット本体21の外側に位置している。また、側面視において、中心O1は、図3に示す状態において、第1孔38の中心よりも上方且つ後方に位置している。第2曲面部42は、第1曲面部41よりも背面部33側、すなわち後側に位置しており、第1曲面部41とつながっている。第2曲面部42は、側面視において所定の第2曲率半径R2で湾曲した形状を有する。第2曲率半径R2は、第1曲率半径R1より小さい。第2曲面部42の曲率半径の中心O2は、バケット本体21の内側に位置している。
本実施の形態では、側面視において、第1曲面部41は、基準曲面S2に沿って配置される。図3に示すように、側面視において、第1曲面部41と第2曲面部42との接続部P2は、水平状態において底面部32のうち最も下方に位置する部分P3よりも前側すなわち前面部31側に位置する。従って、水平状態において底面部32のうち最も下方に位置する部分P3は、第2曲面部42に含まれる。すなわち、本実施形態に係る掘削バケット9は、図7において後述する比較例1に係る掘削バケット109と比べて第1曲面部41が大きくなっているが、第2曲面部42が過度に小さくされることなく大きく確保されている。このため、バケット本体21内に土砂が流れ込みやすくなる。
図4に示すように、側面視において、前面部31の長さは、リップ部35に沿った方向における第1曲面部41の長さよりも小さい。具体的には、リップ部35に沿った方向における前面部31の長さL1は、リップ部35に沿った方向における第1曲面部41の長さL2よりも小さい。このため、リップ部35を短くすることができる。リップ部35は強度を高くするために前面部31よりも厚く形成されるため、リップ部35が長いほど製造コストが高くなる。従って、リップ部35を短くできることで、製造コストを低減することができる。また、板材をロール加工することによって底面部32を形成する場合には、ロール加工を施さない部分をそのまま前面部31として利用することができる。このため、材料の歩留まりを向上させることができる。
[数1]
62°≦θ≦72°
[数2]
0.7≦D/V≦0.8
[数3]
6≦V/W≦11
[数4]
0.73≦D/Z≦0.83
[数5]
0.65≦R1/V≦1.2
例えば、R1=1800mm、V=1608mmであり、この場合、R1/V=1.12である。
次に、本実施の形態に係る掘削バケット9の特徴を比較例にかかる掘削バケットと比較して説明する。
本実施の形態に係る掘削バケット9では、第1曲面部41は、基準曲面S2に沿って配置される。基準曲面S2は、掘削時におけるツース23先端の軌跡に近似した曲面である。このため、第1曲面部41が、基準曲面S2に沿って配置されることにより、底面部32と地面との接触圧を低減することができる。
なお、前面部131と第1曲面部141とは接続部P10で接続されている。第1曲面部141と第2曲面部142とは接続部P20において接続されている。また、水平状態において底面部132のうち最も下方に位置する部分P30は、第2曲面部142に含まれている。
次に、本実施の形態の掘削バケットの壁面抵抗力と押し込み力について例をあげて以下に説明する。
図9は、リップ部35が水平状態になるように配置された本実施の形態の掘削バケット9の側面図である。本実施の形態の一例である実施例1の掘削バケットでは、図9に示す掘削バケット9におけるリップ角θが64°、リスト半径Vが1771mm、バケット深さDが1234mm、第1曲率半径R1が1800mm、第2曲率半径R2が650mmに設定され、バケット容量Vが3.6m3である。
更に、図12に示す比較例3の掘削バケットについても同様に検討を行った。図12に示す比較例3に示す掘削バケット2009は、実施の形態の掘削バケット9と異なり、側面視において底面部2032が所定の曲率半径R6を有する1つの曲面部で構成されている。掘削バケット2009は、バケット本体2021と、リップ部2035と、ツースアダプタ2024と、ブラケット2022と、複数のツース2023とを備える。バケット本体2021は、前面部2031と、底面部2032と、背面部2033と、一対の側面部2034と、を有する。底面部2032は、O2002を中心とする曲率半径R6の曲面部によって構成されている。ブラケット2022には、アームを取り付けるための孔2038,2039が設けられている。また、図12には、前面部2031と底面部2032の接続部P2001が示されている。
この比較例3の掘削バケット2009に対しても掘削領域のG1〜G6のポイントにおける壁面抵抗力及び押し込み力の検討を行った。
図13は、実施例1,比較例2,比較例3におけるG1〜G6のポイントの壁面抵抗指数のグラフを示す図である。図13では、実線が実施例1を示し、点線が比較例2を示し、一点鎖線が比較例3のデータを示している。尚、図13に示す壁面抵抗指数は、矢印J方向に付加する力を100としたときの変化度合いを示す。
図13及び図14に示すように、比較例3では、G2において壁面抵抗力が急に大きくなっており、G4において、押し込み力がゼロになっている。そのため、G5、G6では、押し込み力が反転して抵抗となる。
このように、本実施の形態の掘削バケット9では、底面部32が第1曲面部41及び第2曲面42を有することにより、底面部が1つの曲面部で構成される比較例7と比べて、壁面抵抗力及び押し込み力ともに滑らかに変化しており好適である。
すなわち、本実施の形態の掘削バケット9は、(数5)を満たすことにより好適な壁面抵抗及び押し込み力を得ることが出来る。
図15は、本実施の形態の一例としてリップ角を62度以上にした掘削バケットと、比較例2の掘削バケットを重ねて示した図である。本実施の形態の一例の掘削バケット9が実線で示されており、比較例2の掘削バケット1009が二点鎖線で示されている。また、比較例2の掘削バケット1009における基準平面がS1003と示されており、リスト半径を示す仮想線がS1001で示されている。また、比較例のバケット深さを示す仮想線がS1004で示されている。
ここで、下記(表1)に示すように、本実施の形態の実施例2として掘削バケット9のリップ角を62°に形成した場合、バケット容量を2.3m3とすることが出来る。一方、比較例4として、リップ角を58,9°に形成した場合、パケット容量Vは2.1m3となる
このことから、本実施の形態の掘削バケット9のように、リップ角θを72°以下に設定することによって掘削抵抗の増大を防ぐことが出来ることがわかる。
以上のように、本実施の形態では、(数5)を満たし、更に(数1)を満たすことにより、良好な壁面抵抗及び押し込み力を有し、出っ張りを出現させず、掘削抵抗の増加を生じず、バケット容量を増加することが出来る。
次に、上記実施の形態で述べた掘削バケット9の各寸法について、上記(数1)〜(数5)の全てを満たす寸法の具体例を挙げる。
(実施例6)
リップ角θを63.4°、リスト半径Vを1608mm、バケット深さDを1151mm、ブラケット幅Wを371mm(0.371m)、バケット幅Zを1560mm、第1曲率半径R1を1800mmと設定し、バケット容量Vを2.3m3とすることが出来る。尚、このとき、第2曲率半径R2を400mmと設定し、バケット底幅Yを1271mmと設定することが出来る。
リップ角θを70.7°、リスト半径Vを2157mm、バケット深さDを1424mm、ブラケット幅Wを371mm(0.371m)、バケット幅Zを1715mm、第1曲率半径R1を1700mmと設定し、バケット容量Vを3.9m3とすることが出来る。尚、このとき、第2曲率半径R2を500mmと設定し、バケット底幅Yを1373mmと設定することが出来る。
(1)
上記実施の形態の掘削バケット9は、図3に示すように、油圧ショベル100のアーム8に取り付けられる掘削バケット9であって、バケット本体21と、リップ部35と、ブラケットと切刃部とを備える。バケット本体21は、側面視において曲率半径の異なる2つの曲面部41、42を持つ底面部32と、底面部32に繋がっている背面部33と、底面部32と背面部33とに囲まれた空間の側方を覆う一対の側面部34と、を有する。リップ部35は、バケット本体21において背面部33の反対側に位置する縁部に固定される。ブラケット22は、アーム8に取り付けるための取付ピンが通される孔38を有し、背面部33に固定される。ツース23(切刃部の一例)は、リップ部35に固定される。側面視において、ブラケット22の孔の中心とリップ部35の先端とを結んだ仮想線S1の長さをリスト半径とする。側面視において、仮想線S1に対して垂直な仮想線から底面部32までの線分のうち最も長い線分を第2仮想線S4とし、その長さをバケット深さとする。側面視において、リップ部35と仮想線S1によって形成される角の大きさをリップ角とする。リスト半径をV、バケット深さをD、リップ角をθとした場合、62°≦θ≦72°及び0.7≦D/V≦0.8を満たす。
また、掘削の際に掘削バケット9はブラケット22の孔38を中心として回動するが、リップ角θを72°よりも大きくした場合、ツース23の先端の軌跡よりも底面部32が下方に突出し掘削抵抗が大きくなる。更に、リップ角θを72°よりも大きくすると底面部の湾曲が大きくなるため、掘削した土の排土性を確保し難くなる場合がある。
また、リップ角θを調整することによって従来よりもバケット容量の増大化を図っているため、本実施の形態の掘削バケットは、従来の掘削バケットとリスト半径を同じ長さに設定することが出来る。リスト半径によって油圧ショベルの本体側の制御値が設定されているため、制御値を変更することなく、容易に本実施の形態の掘削バケットに付け替えることが出来る。
上記実施の形態の掘削バケット9は、掘削バケットの幅(バケット幅)をZとした場合、0.73≦D/Z≦0.83が満たされる。
バケット深さ/バケット幅の値が大きくなると、バケット幅に対するバケット容量を大きくすることができる。すなわち、バケット深さ/バケット幅の値を0.73以上とすることで、従来の掘削バケットと同一の幅であっても従来よりもバケット容量を大きくすることが出来る。また、バケット深さ/バケット幅の値を0.83よりも大きくすると、バケット幅に対するバケット深さが深くなりすぎ排土性が確保し難くなる場合や、掘削抵抗が大きくなる場合がある。そのため、バケット深さ/バケット幅の値を0.83以下とすることにより掘削抵抗を低減しつつ排土性を確保することが出来る。
上記実施の形態の油圧ショベル(作業車両の一例)は、車両本体1と、車両本体1に付けられるブーム7と、ブーム7に取り付けられるアーム8と、アーム8に取り付けられる掘削バケット9と、を備える。
これにより、掘削バケットの幅を変更せずに容量を増やすことが出来るため、アーム8への負担を抑制しつつ、容量の増加を図ることが可能となる。
尚、上記実施の形態の掘削バケット9では、図5に示すようにブラケット22は、背面部33から外側に向けて突出するように形成された2つの対向する取付部22aを有している。2つの取付部22aの間にアーム8の先端が取り付けられている。2つの取付部22aの間隔をブラケット幅とし、ブラケット幅をW(m)、掘削バケットの容量をV(m3)とした場合、6≦V/W≦11を満たしている。
7 ブーム
8 アーム
9 掘削バケット
21 バケット本体
22 ブラケット
22a 取付部
23 ツース(切刃部の一例)
24 ツースアダプタ
31 前面部
32 底面部
33 背面部
34 側面部
35 リップ部
38 第1孔(孔の一例)
39 第2孔
41 第1曲面部
42 第2曲面部
100 油圧ショベル(作業車両の一例)
Claims (3)
- 作業車両のアームに取り付けられる掘削バケットであって、
側面視において曲率半径の異なる2つの曲面部を持つ底面部と、前記底面部に繋がっている背面部と、前記底面部と前記背面部とに囲まれた空間の側方を覆う一対の側面部と、を有するバケット本体と、
前記バケット本体において前記背面部の反対側に位置する縁部に固定されるリップ部と、
前記アームに取り付けるための取付ピンが通される孔を有し、前記背面部に固定されるブラケットと、
前記リップ部に固定される切刃部と、
を備え、
側面視において、前記ブラケットの前記孔の中心と前記リップ部の先端とを結んだ第1仮想線の長さをリスト半径とし、
側面視において、前記第1仮想線に対して垂直な前記第1仮想線から前記底面部までの線分のうち最も長い線分を第2仮想線とし、その長さをバケット深さとし、
側面視において、前記リップ部と前記第1仮想線によって形成される角の大きさをリップ角とし、
前記リスト半径をV、前記バケット深さをD、前記リップ角をθとした場合
62°≦θ≦72°及び0.7≦D/V≦0.8を満たす、
掘削バケット。 - 前記掘削バケットの幅をZとした場合、
0.73≦D/Z≦0.83を満たす、
請求項1に記載の掘削バケット。 - 車両本体と、
前記車両本体に取り付けられるブームと、
前記ブームに取り付けられるアームと、
前記アームに取り付けられる請求項1又は2に記載の掘削バケットと、
を備える作業車両。
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