JP5565659B2 - レーザ加工装置 - Google Patents
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特許文献1のものでは、集塵ノズル(吸引孔)の前後に隣接して吹出ノズルを設けることで、集塵に伴う基板の吸い付きを防止するようにしている。
また、吹出ノズルから気体を吹出させるためには、ポンプを必要とし、更に、該ポンプと吹出ノズルとを接続させる通路を設ける必要があり、集塵のための構造・設備が複雑化・高コスト化してしまうという問題もあった。
このような構成により、基板のステージ側の被加工面にレーザを照射することで発生した粉塵(加工屑)を、ステージ表面に凹陥形成した吸引孔が吸い込み、粉塵の回収を行う。ここで、吸引孔内とステージ外周とを連通させる溝をステージ表面に凹陥形成してあり、この溝を介して気体を吸引孔内に供給する。
上記の溝は、吸引孔の開口の略中央を通り前記基板の搬送方向と平行又は交差する対称軸を挟んで線対称に設けると良い。
図1は第1実施形態におけるレーザ加工装置を示す側面図である。
この図1に示すレーザ加工装置10は、ガラス基板20の一端面に積層させた薄膜21をレーザによってパターニングする装置であり、例えば、太陽電池などの電極膜・発電膜に分離溝(スクライビング溝)をレーザで形成する装置である。
尚、レーザ照射装置40を、搬送装置30によるガラス基板20の搬送方向(図1に示すX方向)に直交する方向に複数並設すれば、相互に平行な複数の分離溝(スクライビング溝)を同時に形成することができる。
浮上ステージ31a〜31cは、更に、ガラス基板20の搬送方向Xの両端縁部を支持する搬送ローラ32を備え、気体の噴出と吸引とのバランスによって所定量(例えば20μ程度)だけ浮かせたガラス基板20を、搬送ローラ32によって一定の搬送方向Xに搬送する。
本実施形態の搬送装置30においては、上記のように、ガラス基板20の搬送方向Xの両端縁部を搬送ローラ32で支持させる構成としたが、この他、ガラス基板20の搬送方向Xの一方端縁部をチャックし、他方端縁部を、ローラやボールネジやリニタモータなどを用いて高さを一定に保ちながら搬送する構成とした搬送装置を用いることができる。
但し、気体の吸引を行わずに気体の吹き出しのみでガラス基板20を浮上させる構成の浮上ステージを用いることができ、また、磁気浮上方式でガラス基板20を浮上させるステージであっても良い。
また、浮上ステージ31a〜31cから浮上用として吹き出させる気体としては、空気の他、窒素などの不活性ガスであってもよい。
尚、浮上ステージ31bの上面の中央付近でレーザ照射が行われるように、浮上ステージ31bとレーザ照射装置40との相対位置を予め設定してある。
シリンドリカルレンズ41aによってレーザをガラス基板20の搬送方向Xに長いライン状に集光する第1実施形態では、図2及び図3に示すように、吸引孔33の開口を、ガラス基板20の搬送方向Xに長い略長方形に形成し、その長手方向の長さWLは、ライン状に集光するレーザの長さLL(加工長)よりも長く、レーザ照射点を垂直に吸引孔33方向へ投影した場合に、レーザ照射点が、吸引孔33の開口内の略中央に位置するように、吸引孔33を配置してある。上記のように、吸引孔33の開口形状・位置を設定することで、レーザ照射による薄膜21の除去で発生する粉塵が吸引孔33内に落下し、効率良く集塵できるようにしてある。
排気通路33bは、浮上ステージ31内から外部にまで延び、その他端には、図外の電動式の吸引ポンプ(エアポンプ)を接続してある。
そして、吸引ポンプを作動させると、該吸引ポンプの吸引力が排気通路33bを介して吸引孔33内に作用し、吸引孔33内の気体(空気)を粉塵と共に排出し、これによって吸引孔33内の粉塵の回収が行われる。
溝35a〜35dは、横断面が略四角形をなし、かつ、吸引孔33から浮上ステージ31bの表面34の4辺それぞれにまで延びる。
また、溝35c,35dを、ガラス基板20の搬送方向Xに直交し、かつ、吸引孔33の開口の略中央を通るラインに沿って直線的に、吸引孔33を挟んで左右にそれぞれ形成してある。
換言すれば、溝35a〜35dは、ガラス基板20の搬送方向Xと平行な対称軸を挟んで線対称に設けた一対の溝35a,35bと、ガラス基板20の搬送方向Xと交差する対称軸を挟んで線対称に設けた一対の溝35c,35dとを備え、各対称軸は、吸引孔33の開口の略中央を通るように設定してある。
溝35a〜35dを備えない場合は、吸引ポンプによって吸引孔33から排出する分の気体(空気)を、浮上ステージ31bの表面34とガラス基板20との間の気体層から補填することになるが、気体層は非常に薄く、多くの排気流量に見合うだけの気体を補うことが難しく、吸引孔33内に発生する負圧が大きくなってしまい、これによって、ガラス基板20の吸引孔33に対する吸い付きが発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、溝35a〜35dによって、浮上ステージ31bの外部の気体(空気)を吸引孔33内に取り込めるから、吸引孔33に対して単位時間当たりに導入可能な最大気体量が増え、これによって、排気流量が多くなっても吸引孔33内の負圧が大きくなることを抑制できる。
また、負圧が過剰に大きくなることを回避しつつ、吸引ポンプによる排気流量をより多くできるので、粉塵の回収性能を高く維持できる。
一方、図5は、溝35a〜35dを設けない場合における、排気流量(L/min)とガラス基板20の反り量(μm)との相関を示す図であり、図4に示したように、排気流量(L/min)を増やすと負圧が発達するから、排気流量(L/min)が増えるに従ってガラス基板20の反り量(撓み量)が増える特性となる。
即ち、溝35a〜35dを設けない場合には、排気流量(L/min)を増大させると、吸引孔33内の負圧が大きくなり、負圧が大きくなることでガラス基板20の反り量が増え、ガラス基板20の反り量が増えることで、ガラス基板20が吸引孔33に吸い付くことになってしまうと共に、ガラス基板20の加工面(薄膜21)の高さが所期位置からずれ、レーザによる加工精度が低下してしまう。
更に、溝35a〜35d内を吸引孔33に向けて流れる気体の量が増えれば、この溝35a〜35d内を流れる気体の層がガラス基板20を支えることになり、これによってもガラス基板20の吸引孔33に対する吸い付きを未然に防止できる。
また、溝35を形成するだけで、ガラス基板20の吸い付きを抑制でき、吸い付き防止のために気体の吹き出しを行わせるポンプなどが不要であるから、簡便な構造で、基板の吸い付き防止と集塵性能とを容易に両立させることができる。
また、溝35の延設方向を、搬送方向X又は搬送方向Xに直交する方向に限定するものではなく、搬送方向Xに対して斜めに交差する方向に沿って設けることができる。
図6及び図7は、スポット状にレーザを集光させるレーザ加工装置において、浮上ステージ31bに吸引孔及び溝を設けた第2実施形態を示す。
薄膜21の除去がスポット状になされることから、浮上ステージ31bの表面34に凹陥形成する集塵用の吸引孔37を、レーザ照射点に対向する位置に円筒状に形成する。そして、吸引孔37の底面37aの略中央には、排気通路33bの一端を連結し、排気通路33bの他端は、図外の電動式の吸引ポンプに接続する。
溝38a〜38dは、横断面が略四角形をなし、かつ、吸引孔37から浮上ステージ31bの表面34の4辺それぞれにまで延びる。
また、溝38c,38dを、ガラス基板20の搬送方向Xに直交し、かつ、吸引孔37の開口中心を通るラインに沿って直線的に、吸引孔37を挟んで左右にそれぞれ形成してある。
換言すれば、溝38a〜38dは、ガラス基板20の搬送方向Xと平行な対称軸を挟んで線対称に設けた一対の溝38a,38bと、ガラス基板20の搬送方向Xと交差する対称軸を挟んで線対称に設けた一対の溝38c,38dとを備え、各対称軸は、吸引孔37の開口中心を通るように設定してある。
また、負圧が過剰に大きくなることを回避しつつ、排気流量を増やすことができるので、粉塵の回収性能を高く維持できる。
更に、溝38a〜38d内を吸引孔37に向けて流れる気体の量が増えれば、この溝38a〜38d内を流れる気体の層がガラス基板20を支えることになり、これによってもガラス基板20の吸引孔37に対する吸い付きを未然に防止できる。
また、溝38を形成するだけで、ガラス基板20の吸い付きを抑制でき、吸い付き防止のために気体の吹き出しを行わせるポンプなどが不要であるから、簡便な構造で、基板の吸い付き防止と集塵性能とを容易に両立させる。
また、溝38の延設方向を、搬送方向X又は搬送方向Xに直交する方向に限定するものではなく、搬送方向Xに対して斜めに交差する方向に沿って設けることができる。
図8に示す溝38a〜38fのうちの溝38a,38b及び溝38c,38dを、浮上ステージ31bの対角線に略沿って形成し、また、溝38e,38fを、ガラス基板20の搬送方向Xに直交する方向に略沿って形成することで、溝38a〜38fが、吸引孔37を中心に放射状に延びるようにしてある。
また、吸引孔37の径を小さくできれば、ガラス基板20を所定高さに浮上させるための気体の吹き出し・吸引をレーザ照射点の近傍で行えることになり、ガラス基板20の加工面(薄膜21)の位置をレーザ照射点に高精度に位置合わせすることができ、加工精度を向上させることができ、また、ガラス基板20の吸引孔37への吸い付きを防止できる。
図9に示す例では、浮上ステージ31bの表面34に、円筒状の吸引孔37を凹陥形成したレーザ加工装置において、ガラス基板20の搬送方向Xに直交する方向に沿って、一対の溝38a,38bを浮上ステージ31bの表面34に凹陥形成するが、溝38aを、吸引孔37の中心よりも搬送方向Xの前側にシフトさせて設けることで、搬送方向Xに直交する方向に平行な吸引孔37の接線方向に沿って延び、また、溝38bを、吸引孔37の中心よりも搬送方向Xの後側にシフトさせて設けることで、搬送方向Xに直交する方向に平行な吸引孔37の接線方向に沿って延びるようにし、かつ、溝38a,38bを、吸引孔37の左右に振り分けて設けてある。
これにより、吸引孔37の内周面に付着するなどした粉塵を巻き込むようにして、溝38a,38bから導入した気体が吸引孔37内を旋回することになり、集塵性能を高めることができる。
図9に示した例では、一対の溝38a,38bを設けることで吸引孔37内に旋回流を発生させるようにしたが、吸引孔37に対して連通させる溝を、3本以上設けて、旋回流を発生させることもできる。
また、集塵用の吸引孔に連通する溝を、直線的に延びる溝に限定するものではなく、例えば湾曲させて設けても良いし、溝の深さと幅との少なくとも一方を途中で変化させても良い。
また、集塵用の吸引孔に連通する溝の横断面の形状を、四角形に限定するものではなく、台形や半円形などであっても良い。
更に、集塵用の吸引孔の開口形状を、長方形や円形に限定するものではなく、例えば楕円形やひし形などあってもよいし、集塵用の吸引孔の底面を、例えばすり鉢状に形成しても良い。
20…ガラス基板
21…薄膜(被加工面)
30…搬送装置(搬送手段)
31a〜31c…浮上ステージ
33,37…吸引孔
33b…排気通路
35a〜35d…溝
38a〜38d…溝
40…レーザ照射装置(レーザ照射手段)
41a…シリンドリカルレンズ
Claims (2)
- 基板をステージ上に浮上させた状態で搬送する搬送手段と、
前記搬送手段が搬送する基板の前記ステージ側の被加工面にレーザを照射するレーザ照射手段と、
を備え、
前記レーザ照射手段によるレーザ照射点近傍の前記ステージの表面に、集塵用の吸引孔を凹陥形成すると共に、前記吸引孔内と前記ステージの外周とを連通させる溝を、前記ステージの表面に凹陥形成したことを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記溝を、前記吸引孔の開口の略中央を通り前記基板の搬送方向と平行又は交差する対称軸を挟んで線対称に設けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
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