JP5565361B2 - ホットメルト粘接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ホットメルト粘接着剤組成物に関し、さらに詳しくは、軟化剤保持性、ダイカット性、保持力および低温環境下でのタック性に優れ、特にラベル用の粘接着剤として有用なホットメルト粘接着剤組成物に関する。
ホットメルト粘接着剤は、短時間で固化することから、種々の製品を効率的に接着させることが可能であり、しかも、溶剤を必要としないことから、人体への安全性が高い接着剤であるので、様々な分野で用いられている。ホットメルト粘接着剤の代表的な用途の1つとしては、ラベルの粘接着剤としての使用を挙げることができる。
工業的にラベルを製造する場合には、通常、ホットメルト粘接着剤を溶融し、その溶融されたホットメルト粘接着剤を、ダイコーターなどの塗工装置によって剥離紙などの基材上に塗工し、得られた粘着シートをダイカッターを用いて切断することにより一定の大きさに加工し製品とする製造法が採用されている。
この製造法において、ラベルの生産性は、用いるホットメルト粘接着剤の性質に大きく左右され、特に、ホットメルト粘接着剤の塗工温度およびダイカット性(ダイカッターにより切断したときに糸を引いたり、ダイに付着したりすることなく、一定の大きさに切断することの容易さ)の、ラベルの生産性に対する影響は極めて大きいものとなっている。
そのため、ラベルを製造するために用いられるホットメルト粘接着剤について、塗工可能温度の低温化やダイカット性の改良などの検討が行われている。例えば、特許文献1には、ラジアル・スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーに、相溶性ポリマー、粘着付与樹脂および可塑剤などを配合してホットメルト接着剤組成物を構成することにより、比較的に低温での塗工が可能で、ボトルへのラベル接着用として好適なホットメルト接着剤組成物が得られることが記載されている。また、特許文献2には、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーに、粘着付与剤、スチレン−イソプレンブロックコポリマーおよび可塑剤などを配合して感圧接着剤を構成することにより、ダイによる切断が容易で、ラベル用に好適な感圧接着剤が得られることが記載されている。さらに、特許文献3には、特定の構造を有するブロック共重合体に、特定の重合体、粘着付与樹脂および軟化剤などを配合してラベル用粘接着剤組成物を構成することにより、低温での塗工が容易で、ダイカット性が良好なラベル用粘接着剤組成物が得られることが記載されている。
しかし、特許文献1〜3に記載されるようなブロック共重合体に軟化剤(可塑剤)などを配合してなる粘接着剤組成物では、軟化剤の配合が塗工可能温度の低温化やタック性の向上に寄与するものの、軟化剤の配合量が多くなると配合した軟化剤が滲みだして、接着対象物を汚染してしまうという問題がある。また、特許文献1〜3に記載されるような改良された粘接着剤組成物でも、その用途によっては、更なるダイカット性の改良が求められていた。そのため、配合した軟化剤が滲みだし難い性能(軟化剤保持性)とダイカット性とが高いレベルで両立されたホットメルト粘接着剤組成物が求められていた。
特開平10−30079号公報 特表2001−504519号公報 国際公開第2010/113883号
本発明は、軟化剤保持性およびダイカット性が両立され、しかも、粘接着剤の基本的な性能である保持力や低温環境下でのタック性にも優れるホットメルト粘接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、2つの芳香族ビニル重合体ブロックが異なる重量平均分子量を有する非対称な芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体に、特定の構造を有するブロック共重合体を配合し、さらに粘着付与樹脂、軟化剤およびワックスを配合して得られる粘接着剤組成物は、軟化剤保持性、ダイカット性、保持力および低温環境下でのタック性のいずれもが優れたものとなることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、下記の一般式(A)で表されるブロック共重合体A、および芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを末端ブロックとして有してなるブロック共重合体Bからなり、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとの合計重量に対してブロック共重合体Aが占める割合が5〜90重量%であるブロック共重合体成分と、ブロック共重合体成分に対して非相溶性のワックスと、ブロック共重合体成分に対して相溶性の軟化剤と、粘着付与樹脂とを含有してなるホットメルト粘接着剤組成物が提供される。
Ar1−D−Ar2 (A)
一般式(A)において、Ar1は重量平均分子量が10000〜25000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Ar2は重量平均分子量が15000〜200000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン重合体ブロックを表し、Ar2で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子に対するAr1で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量の比は0.1〜0.9である。
上記のホットメルト粘接着剤組成物では、ブロック共重合体成分100重量部に対して、ワックスの含有量が1〜50重量部であり、軟化剤の含有量が10〜300重量部であり、粘着付与樹脂の含有量が10〜500重量部であることが好ましい。
上記のホットメルト粘接着剤組成物は、ラベルの粘接着剤として用いられるものであることが好ましい。
本発明によれば、軟化剤保持性およびダイカット性が両立され、しかも、粘接着剤の基本的な性能である保持力や低温環境下でのタック性にも優れるホットメルト粘接着剤組成物が得られる。そして、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、ラベルの粘接着剤として用いることにより、ラベルの生産性の向上に大きく寄与することができる。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、少なくともブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bからなるブロック共重合体成分と、ブロック共重合体成分に対して非相溶性のワックスと、ブロック共重合体成分に対して相溶性の軟化剤と、粘着付与樹脂とを含有してなるものである。本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体成分の必須成分の1つであるブロック共重合体Aは、下記の一般式(A)で表される、互いに異なる重量平均分子量を持つ2つの芳香族ビニル重合体ブロックを有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体である。
Ar1−D−Ar2 (A)
上記の一般式(A)において、Ar1は重量平均分子量が10000〜25000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Ar2は重量平均分子量が15000〜200000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン重合体ブロックを表し、Ar2で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子に対するAr1で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量の比は0.1〜0.9である。
ブロック共重合体成分のもう1つの必須成分であるブロック共重合体Bは、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとのそれぞれを、重合体鎖の末端に位置する重合体ブロック(すなわち、末端ブロック)として有してなるブロック共重合体である。
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。芳香族ビニル重合体ブロックの芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物であれば特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、2−メチル−4,6−ジクロロスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンを用いることが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、各芳香族ビニル重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、各芳香族ビニル重合体ブロックにおいて、同じ芳香族ビニル単量体を用いてもよいし、異なる芳香族ビニル単量体を用いてもよい。
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロックは、それぞれ、芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。芳香族ビニル重合体ブロックに含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。各芳香族ビニル重合体ブロックにおける芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位の含有量は、芳香族ビニル単量体単位が主たる構成単位となる限りにおいて特に限定されないが、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックは、共役ジエン単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましいく、イソプレンを用いることが特に好ましい。共役ジエン重合体ブロックをイソプレン単位で構成することにより、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、接着性と柔軟性に優れるものとなる。これらの共役ジエン単量体は、各共役ジエン重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、各共役ジエン重合体ブロックにおいて、同じ共役ジエン単量体を用いてもよいし、異なる共役ジエン単量体を用いることもできる。さらに、各共役ジエン重合体ブロックの不飽和結合の一部に対し、水素添加反応を行ってもよい。
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックは、それぞれ、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。共役ジエン重合体ブロックに含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。各共役ジエン重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、共役ジエン単量体単位が主たる構成単位となる限りにおいて特に限定されないが、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体Aは、上記一般式(A)で表されるように、比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)、共役ジエン重合体ブロック(D)および比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)が、この順で連なって構成される非対称な芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルトリブロック共重合体である。比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)の重量平均分子量(Mw(Ar1))は、10000〜25000であり、11000〜23000であることが好ましく、12000〜21000であることがより好ましい。Mw(Ar1)が小さすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が保持力の低いものとなるおそれがあり、大きすぎると、ホットメルト粘接着剤組成物の溶融粘度が著しく高くなるおそれがある。また、比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)の重量平均分子量(Mw(Ar2))は、15000〜200000であり、18000〜150000であることが好ましく、20000〜100000であることがより好ましい。Mw(Ar2)が小さすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、比較的に低温での溶融粘度が高いものとなるおそれがあり、Mw(Ar2)が大きすぎるブロック共重合体Aは、製造が困難である場合がある。また、ブロック共重合体Aにおいて、比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)の重量平均分子(Mw(Ar2))に対する、比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)の重量平均分子量(Mw(Ar1))の比(Mw(Ar1)/Mw(Ar2))は、0.1〜0.9であり、0.2〜0.7であることが好ましく、0.25〜0.65であることがより好ましい。Mw(Ar1)/Mw(Ar2)が小さすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、比較的に低温での溶融粘度が高いものとなるおそれがあり、Mw(Ar1)/Mw(Ar2)が大きすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、保持力の低いものとなるおそれがある。
なお、本発明において、重合体や重合体ブロックの重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィの測定による、ポリスチレン換算の値として求めるものとする。
ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)のビニル結合含有量(全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合が占める割合)は、特に限定されないが、通常1〜20モル%であり、2〜15モル%であることが好ましく、3〜10モル%であることがより好ましい。このビニル結合含有量が高すぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が硬質すぎるものとなり、接着力に劣るものとなるおそれがある。
ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)の重量平均分子量(Mw(D))は、特に限定されないが、通常20000〜200000であり、30000〜170000であることが好ましく、35000〜150000であることがより好ましい。
ブロック共重合体Aの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、特に限定されないが、20重量%以上であることが好ましく、25〜60重量%であることがより好ましく、30〜50重量%であることがさらに好ましい。ブロック共重合体Aの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量をこの範囲にすることにより、得られるホットメルト粘接着剤組成物が保持力に優れるものとなる。
ブロック共重合体A全体としての重量平均分子量は、特に限定されないが、通常80000〜300000であり、100000〜270000であることが好ましく、120000〜250000であることがより好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物のブロック共重合体成分におけるブロック共重合体Aは、実質的に単一の構成を有する1種のブロック共重合体Aのみからなるものであってもよいし、実質的に異なる構成を有する2種以上のブロック共重合体Aによって構成されたものであってもよい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体Bは、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを末端ブロックとして有してなるブロック共重合体であれば、その構造は特に限定されず、直鎖状のブロック共重合体であってもよいし、放射状のブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体Bが、直鎖状のブロック共重合体である場合には、重合体鎖末端の一方が芳香族ビニル重合体ブロックにより構成され、他方が共役ジエン重合体ブロックにより構成されていればよく、これらの重合体ブロックが直接またはカップリング剤の残基を介して結合してなるジブロック共重合体であってもよいし、これらの重合体ブロックが他の1つ以上の重合体ブロックを介して結合してなるブロック共重合体であってもよい。また、ブロック共重合体Bが、放射状のブロック共重合体である場合には、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを、少なくとも1つずつ有してなるものであればよく、その他の構成は特に限定されない。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物では、ブロック共重合体Bとして、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとが直接またはカップリング剤の残基を介して結合してなるジブロック共重合体を含有していることが好ましく、なかでも、下記の一般式(B)で表されるブロック共重合体を含有してなるものであることが特に好ましい。
Arb−Db (B)
上記の一般式(B)において、Arbは重量平均分子量が8000〜25000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Dbは共役ジエン重合体ブロックを表す。
上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体は、特定の重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Arb)と共役ジエン重合体ブロック(Db)とが結合してなる芳香族ビニル−共役ジエンジブロック共重合体である。芳香族ビニル重合体ブロック(Arb)を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、ブロック共重合体Aを構成するために用いる芳香族ビニル単量体と同様のものを用いることができる。また、上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体を構成する芳香族ビニル重合体ブロック(Arb)の重量平均分子量(Mw(Arb))は、8000〜25000であり、9000〜23000であることが好ましく、15000〜21000であることがより好ましい。また、上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体の芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Arb))は、ブロック共重合体Aの比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)の重量平均分子量(Mw(Ar1))と、実質的に等しいことがより好ましい。
上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック(Db)を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、ブロック共重合体Aを構成するために用いる共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。なお、共役ジエン重合体ブロック(Db)の不飽和結合の一部に対し、水素添加反応を行ってもよい。また、上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体を構成する共役ジエン重合体ブロック(Db)のビニル結合含有量は、特に限定されないが、通常1〜30モル%であり、2〜25モル%であることが好ましく、3〜20モル%であることがより好ましい。また、上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体を構成する共役ジエン重合体ブロック(Db)のビニル結合含有量は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)のビニル結合含有量と実質的に等しいことが好ましい。
上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体を構成する共役ジエン重合体ブロック(Db)の重量平均分子量(Mw(Db))は、特に限定されないが、通常20000〜200000であり、30000〜170000であることが好ましく、35000〜150000であることがより好ましい。また、上記の一般式(B)で表されるブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Db))は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)の重量平均分子量(Mw(D))と実質的に等しいことが好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体Bの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、特に限定されないが、通常10〜35重量%であり、12〜30重量%であることが好ましく、13〜25重量%であることがより好ましい。また、ブロック共重合体B全体としての重量平均分子量も、特に限定されないが、通常70000〜250000であり、80000〜210000であることが好ましく、90000〜180000であることがより好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物のブロック共重合体成分は、実質的に単一の構成を有する1種のブロック共重合体Bを含有してなるものであってもよいし、実質的に異なる構成を有する2種以上のブロック共重合体Bを含有してなるものであってもよい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体成分において、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとの合計重量に対してブロック共重合体Aが占める割合は、5〜90重量%であり、10〜70重量%であることが好ましく、20〜60重量%であることがより好ましい。この割合が小さすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が軟化剤保持性や保持力に劣るものとなるおそれがあり、この割合が大きすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、低温環境下でのタック性に劣るものとなるおそれがある。
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bを構成する各重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、特に限定されないが、それぞれ、通常1.1以下であり、好ましくは1.05以下である。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体成分は、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bのみからなるものであってもよいが、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外のブロック共重合体を含んでいてもよい。そのようなブロック共重合体の例としては、ブロック共重合体Aと異なる構成を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルトリブロック共重合体や放射状芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ブロック共重合体成分において、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外のブロック共重合体が占める量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
ブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および場合によって含有されうるブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外のブロック共重合体からなるブロック共重合体成分において、当該ブロック共重合体成分全体に対して芳香族ビニル単量体単位が占める割合(以下の記載において、「全体の芳香族ビニル単量体単位含有量」という場合がある)は、特に限定されるものではないが、10〜60重量%であることが好ましく、15〜55重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることがさらに好ましい。全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が小さすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が保持力に劣るものとなるおそれがあり、全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が大きすぎると、得られるホットメルト粘接着剤組成物が硬質すぎるものとなり、接着力に劣るものとなるおそれがある。この全体の芳香族ビニル単量体単位含有量は、ブロック共重合体成分を構成する各ブロック共重合体の芳香族ビニル単量体単位の含有量を勘案し、各ブロック共重合体の配合量を調節することにより、容易に調節することが可能である。なお、ブロック共重合体成分を構成する全ての重合体成分が、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位のみにより構成されている場合であれば、Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従って、ブロック共重合体成分をオゾン分解し、次いで水素化リチウムアルミニウムにより還元すれば、共役ジエン単量体単位部分が分解され、芳香族ビニル単量体単位部分のみを取り出せるので、容易に全体の芳香族ビニル単量体単位含有量を測定することができる。
また、ブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および場合によって含有されうるブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外のブロック共重合体からなるブロック共重合体成分全体の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常70000〜300000であり、85000〜270000であることが好ましく、100000〜250000であることがより好ましい。また、このブロック共重合体成分全体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、特に限定されないが、通常1.01〜10であり、1.03〜5であることが好ましく、1.05〜3であることがより好ましい。
本発明で用いるブロック共重合体成分を得る方法は特に限定されない。例えば、従来の重合法に従って、それぞれのブロック共重合体を別個に製造し、それらを混練や溶液混合などの常法に従って混合することにより、製造することができる。ただし、ブロック共重合体成分を生産性よく得る観点からは、次に述べる製造方法が好適である。
すなわち、本発明で用いるブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bからなるブロック共重合体成分は、下記の(1)〜(5)の工程からなる製造方法を用いて製造することが好ましい。
(1):溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合する工程
(2):上記(1)の工程で得られる活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程
(3):上記(2)の工程で得られる活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、重合停止剤を、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して1モル当量未満となるように添加し、ブロック共重合体Bを形成する工程
(4):上記(3)の工程で得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加し、ブロック共重合体Aを形成する工程
(5):上記(4)の工程で得られる溶液から、重合体成分を回収する工程
上記の製造方法では、まず、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合する(工程(1))。用いられる重合開始剤としては、一般的に芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とに対し、アニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などを用いることができる。有機アルカリ金属化合物としては、分子中に1個以上のリチウム原子を有する有機リチウム化合物が特に好適に用いられ、その具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジアルキルアミノリチウム、ジフェニルアミノリチウム、ジトリメチルシリルアミノリチウムなどの有機モノリチウム化合物や、メチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、イソプレニルジリチウム、1,4−ジリチオ−エチルシクロヘキサンなどの有機ジリチウム化合物、さらには、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機トリリチウム化合物などが挙げられる。これらのなかでも、有機モノリチウム化合物が特に好適に用いられる。
重合開始剤として用いる有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。また、他の重合開始剤の具体例としては、ネオジム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むランタノイド系列希土類金属化合物/アルキルアルミニウム/アルキルアルミニウムハライド/アルキルアルミニウムハイドライドからなる複合触媒や、チタン、バナジウム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むメタロセン型触媒などの有機溶媒中で均一系となり、リビング重合性を有するものなどが挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
重合開始剤の使用量は、目的とする各ブロック共重合体の分子量に応じて決定すればよく、特に限定されないが、使用する全単量体100gあたり、通常、0.01〜20ミリモル、好ましくは、0.05〜15ミリモル、より好ましくは、0.1〜10ミリモルである。
重合に用いる溶媒は、重合開始剤に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、鎖状炭化水素溶媒、環式炭化水素溶媒またはこれらの混合溶媒が使用される。鎖状炭化水素溶媒としてはn−ブタン、イソブタン、1−ブテン、イソブチレン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、トランス−2−ペンテン、シス−2−ペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、neo−ペンタン、n−ヘキサンなどの、炭素数4〜6の鎖状アルカンおよびアルケンを例示することができる。また、環式炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;を挙げることができる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
重合に用いる溶媒の量は、特に限定されないが、重合反応後の溶液における全ブロック共重合体の濃度が、通常、5〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%になるように設定する。
各ブロック共重合体の各重合体ブロックの構造を制御するために、重合に用いる反応器にルイス塩基化合物を添加してもよい。このルイス塩基化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などが挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
また、重合反応時にルイス塩基化合物を添加する時期は特に限定されず、目的とする各ブロック共重合体の構造に応じて適宜決定すればよい。例えば、重合を開始する前に予め添加してもよいし、一部の重合体ブロックを重合してから添加してもよく、さらには、重合を開始する前に予め添加した上で一部の重合体ブロックを重合した後さらに添加してもよい。
重合反応温度は、通常10〜150℃、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常、48時間以内、好ましくは0.5〜10時間である。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体および溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されない。
以上のような条件で、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合することにより、活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液を得ることができる。この活性末端を有する芳香族ビニル重合体は、ブロック共重合体Aの比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)およびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロックの芳香族ビニル重合体ブロックを構成することとなるものである。したがって、この際用いる芳香族ビニル単量体の量は、これらの重合体ブロックの目的とする重量平均分子量に応じて決定される。
次の工程は、以上のようにして得られる活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程である(工程(2))。この共役ジエン単量体の添加により、活性末端から共役ジエン重合体鎖が形成され、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液が得られる。この際用いる共役ジエン単量体の量は、得られる共役ジエン重合体鎖が、目的とするブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)およびブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量を有するように決定される。
次の工程では、以上のようにして得られる活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、重合停止剤を、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して1モル当量未満となるように添加する(工程(3))。活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に重合停止剤と添加すると、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端が失活し、その結果、芳香族ビニル−共役ジエンジブロック共重合体であるブロック共重合体Bが形成される。
この工程で添加される重合停止剤は、特に限定されず、従来公知の重合停止剤を特に制限無く用いることができる。特に好適に用いられる重合停止剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
この工程で添加される重合停止剤の量は、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して、1モル当量未満となる量とする必要がある。次の工程であるブロック共重合体Aを形成する工程を行なうために、溶液中に活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が残存させる必要があるからである。重合停止剤の量は、重合体の活性末端に対して0.10〜0.90モル当量であることが好ましく、0.15〜0.70モル当量であることがより好ましい。なお、この工程で添加される重合停止剤の量は、ブロック共重合体Bの量を決定するものであるので、重合停止剤の量は、目的とするブロック共重合体成分の組成に応じて決定すればよい。
重合停止反応の反応条件は特に限定されず、通常は前述の重合反応条件と同様の範囲で設定すればよい。
次の工程では、以上のようにして得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加する(工程(4))。溶液に芳香族ビニル単量体を添加すると、重合停止剤と反応せずに残った活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の末端から、芳香族ビニル重合体鎖が形成される。この芳香族ビニル重合体鎖は、ブロック共重合体Aの比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)を構成することとなるものである。したがって、この際用いる芳香族ビニル単量体の量は、芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)の目的とする重量平均分子量に応じて決定される。この芳香族ビニル単量体を添加する工程により、ブロック共重合体Aを構成することとなる、非対称な芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルトリブロック共重合体が形成され、その結果、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bを含有する溶液が得られる。なお、この芳香族ビニル単量体を添加する工程の前に、重合停止剤と反応しなかった活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含む溶液に、共役ジエン単量体を添加してもよい。このように共役ジエン単量体を添加すると、添加しない場合に比べて、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D)の重量平均分子量を大きくすることができる。
次の工程では、以上のようにして得られる溶液から、目的とする重合体成分を回収する(工程(5))。回収の方法は、常法に従えばよく、特に限定されない。例えば、反応終了後に、必要に応じて、水、メタノール、エタノール、プロパノール、塩酸、クエン酸などの重合停止剤を添加し、さらに必要に応じて、酸化防止剤などの添加剤を添加してから、溶液に直接乾燥法やスチームストリッピングなどの公知の方法を適用することにより、回収することができる。スチームストリッピングなどを適用して、重合体成分がスラリーとして回収される場合は、押出機型スクイザーなどの任意の脱水機を用いて脱水して、所定値以下の含水率を有するクラムとし、さらにそのクラムをバンドドライヤーあるいはエクスパンション押出乾燥機などの任意の乾燥機を用いて乾燥すればよい。以上のようにして得られるブロック共重合体成分は、常法に従い、ペレットなどに加工してから、ホットメルト粘接着剤組成物などの製造に供してもよい。
以上の製造方法によれば、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bを同じ反応容器内で連続して得ることができるので、それぞれの重合体を個別に製造し混合する場合に比して、極めて優れた生産性で目的のブロック共重合体成分を得ることができる。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、以上のようなブロック共重合体A、およびブロック共重合体Bからなるブロック共重合体成分と、ブロック共重合体成分に対して非相溶性のワックスと、ブロック共重合体成分に対して相溶性の軟化剤と、粘着付与樹脂とを含有してなるものである。本発明で用いる粘着付与樹脂としては従来公知の粘着付与樹脂が使用できる。具体的には、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとロジンまたは変性ロジン類とのエステル化物;テルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂などが挙げられる。特に好ましく用いられる粘着付与樹脂は、本発明で用いる重合体成分と相溶性のよい脂肪族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂である。本発明のホットメルト粘接着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、ブロック共重合体成分100重量部当り、通常10〜500重量部であり、好ましくは50〜350重量部であり、より好ましくは70〜250重量部である。なお、粘着付与樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるワックスは、室温(23℃)で固形油脂状の有機化合物であって、溶融された状態でブロック共重合体成分に対して非相溶性を示すものである。本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、このようなワックスが含有されることにより、優れた軟化剤保持性およびダイカット性を示すものとなる。用いられ得るワックスの種類は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンワックス、エチレン酢酸ビニル共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、Fischer−Tropshワックス、酸化Fischer−Tropshワックス、水素添加ひまし油ワックス、ポリプロピレンワックス、副産ポリエチレンワックス、水酸化ステアラミドワックスなどから、用いるブロック共重合体成分に対して非相溶性を示すものを選定して使用することができる。ここで、ワックスが用いるブロック共重合体成分に対して非相溶性であるか否かは、次に述べる手法により確認することができる。すなわち、ブロック共重合体成分とワックスとを同重量で溶融混合した後、室温(23℃)下で静置することにより室温(23℃)まで冷却して得られる混合物について、目視により濁りが確認できる場合には、ワックスがブロック共重合体成分に対して非相溶性を示すといえる。なお、用いるブロック共重合体成分に対して非相溶性を示すワックスは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、特に好ましく用いられるワックスは、融点が50〜200℃(より好ましくは60〜160℃)のワックスであり、なかでも、この融点を有するポリエチレンワックスまたはエチレン酢酸ビニル共重合体ワックスが好適である。また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、ブロック共重合体成分100重量部当り、通常1〜50重量部であり、好ましくは2〜45重量部であり、より好ましくは5〜30重量部である。ワックスの含有量がこの範囲であることにより、得られるホットメルト粘接着剤組成物が、軟化剤保持性およびダイカット性に特に優れたものとなる。
本発明で用いる軟化剤は、室温(23℃)で液状の有機化合物であって、溶融された状態でブロック共重合体成分に対して相溶性を示すものである。ここで、軟化剤が用いるブロック共重合体成分に対して相溶性であるか否かは、次に述べる手法により確認することができる。すなわち、ブロック共重合体成分と軟化剤とを同重量で溶融混合した後、室温(23℃)下で静置することにより室温(23℃)まで冷却して得られる混合物について、目視により濁りが確認できない場合には、軟化剤がブロック共重合体成分に対して相溶性を示すといえる。用いられる軟化剤の種類は、ブロック共重合体成分に対して相溶性を示すものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、通常のホットメルト粘接着剤組成物に添加される、芳香族系、パラフィン系またはナフテン系のプロセスオイル;ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体などを使用することができ、これらのなかでも、パラフィン系プロセスオイルまたはナフテン系プロセスオイルが特に好適である。なお、軟化剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物における軟化剤の含有量は、特に限定されないが、ブロック共重合体成分100重量部当り、通常10〜300重量部であり、好ましくは30〜250重量部であり、より好ましくは50〜220重量部である。本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤保持性に優れることから、比較的に多量の軟化剤を配合することが可能であり、このような量で軟化剤を配合することにより、ホットメルト粘接着剤組成物を、比較的に低温での塗工が容易で、低温環境下でのタック性に優れるものとすることができる。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、上述したような必須成分以外の重合体を含有していてもよい。このような重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体、(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体、ポリスチレンなどの芳香族ビニル単独重合体、イソブチレン系重合体、アクリル系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、ウレタン系重合体、ポリ塩化ビニルなどの室温(23℃)で弾性を有する重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のホットメルト粘接着剤組成物において、これらの重合体の含有量は、ブロック共重合体成分の重量に対して、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物には、必要に応じ酸化防止剤を添加することができる。その種類は特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜燐酸塩類;を使用することができる。酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、ブロック共重合体成分100重量部当り、通常10重量部以下であり、好ましくは0.5〜5重量部である。なお、酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物には、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤など、その他の配合剤を添加することができる。なお、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、溶剤を含まない、無溶剤の組成物であることが好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を得るにあたり、ブロック共重合体成分とその他の成分とを混合する方法は特に限定されず、例えば、それぞれの成分を溶剤に溶解し均一に混合した後、溶剤を加熱などにより除去する方法、各成分をニーダーなどで溶融混合する方法を挙げることができる。混合をより効率的に行う観点からは、これらの方法のなかでも溶融混合が好適であり、特に、予めブロック共重合体成分、軟化剤および粘着付与樹脂を溶融混合し、この溶融混合物にワックスを加えて、さらに溶融混合を行う方法が好ましく用いられる。なお、溶融混合を行う際の温度は、特に限定されるものではないが、通常100〜200℃の範囲である。
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物を得るにあたっては、例えば、1種のブロック共重合体B(一般式(B)で表されるブロック共重合体)を反応器内でブロック共重合体Aとともに合成した上で、さらに、別のブロック共重合体B(一般式(B)で表されるブロック共重合体)を別途混合することもできる。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物の用途は、特に限定されず、ホットメルト接着を適用できる各種の接着に用いることができるものであるが、なかでも、ラベルの粘接着剤として特に好適に使用されるものである。例えば、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、加熱により溶融された後、ダイにより切断されて一定の大きさとされた上で、上質紙、アート紙、キャスト紙、サーマル紙、ホイル紙などの紙基材およびポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、セロファンフィルムなどのフィルム基材に塗工、または離型紙に塗工された後、基材に転写が行われることによりラベルが製造される。本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤保持性やダイカット性が良好であることから、このようなラベルの製造における不良品率の削減および生産性の向上に寄与するものである。しかも、得られるラベルは、保持力や低温環境下でのタック性に優れたものとなる。得られるラベルの用途は、特に限定されないが、例えば、食品・飲料・酒類の容器包装への商品ラベルや可変情報ラベルとして用いることができる。また、物流、電気・精密機器、医薬・医療、化粧品・トイレタリー、文具・OA、自動車用のラベルとしても利用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
〔重量平均分子量〕
流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。装置は、東ソー社製HLC8220、カラムは昭和電工社製Shodex KF−404HQを3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は示差屈折計および紫外検出器を用い、分子量の較正はポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
〔ブロック共重合体成分中の各ブロック共重合体の重量比〕
上記の高速液体クロマトグラフィにより得られたチャートの各ブロック共重合体に対応するピークの面積比から求めた。
〔ブロック共重合体のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量〕
Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従い、ブロック共重合体をオゾンと反応させ、水素化リチウムアルミニウムで還元することにより、ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックを分解した。具体的には、以下の手順で行なった。すなわち、モレキュラーシーブで処理したジクロロメタン100mlを入れた反応容器に、試料を300mg溶解した。この反応容器を冷却槽に入れ−25℃としてから、反応容器に170ml/minの流量で酸素を流しながら、オゾン発生器により発生させたオゾンを導入した。反応開始から30分経過後、反応容器から流出する気体をヨウ化カリウム水溶液に導入することにより、反応が完了したことを確認した。次いで、窒素置換した別の反応容器に、ジエチルエーテル50mlと水素化リチウムアルミニウム470mgを仕込み、氷水で反応容器を冷却しながら、この反応容器にオゾンと反応させた溶液をゆっくり滴下した。そして、反応容器を水浴に入れ、徐々に昇温して、40℃で30分間還流させた。その後、溶液を撹拌しながら、反応容器に希塩酸を少量ずつ滴下し、水素の発生がほとんど認められなくなるまで滴下を続けた。この反応の後、溶液に生じた固形の生成物をろ別し、固形の生成物は、100mlのジエチルエーテルで10分間抽出した。この抽出液と、ろ別した際のろ液とをあわせ、溶媒を留去することにより、固形の試料を得た。このようにして得られた試料につき、上記の重量平均分子量の測定法に従い、重量平均分子量を測定し、その値をスチレン重合体ブロックの重量平均分子量とした。
〔ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量〕
それぞれ上記のようにして求められた、ブロック共重合体の重量平均分子量から、対応するスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を引き、その計算値に基づいて、イソプレン重合体ブロックの重量平均分子量を求めた。
〔ブロック共重合体のスチレン単位含有量〕
上記の高速液体クロマトグラフィの測定における、示差屈折計と紫外検出器との検出強度比に基づいて求めた。なお、予め、異なるスチレン単位含有量を有する共重合体を用意し、それらを用いて、検量線を作成した。
〔ブロック共重合体成分(全体)のスチレン単位含有量〕
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
〔イソプレン重合体ブロックのビニル結合含有量〕
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
〔ホットメルト粘接着剤組成物の低温環境下でのタック性〕
FINAT−1991 FTM−9(Quick−stick tack measurement)に準じて、5℃の雰囲気下でのループタックを測定し、タック性を評価した。値が大きいものほど、低温環境下でのタック性に優れる。
〔ホットメルト粘接着剤組成物の保持力〕
試料を幅10mmの粘着テープとし、被着体として硬質ポリエチレンを使用して、PSTC−6(米国粘着テープ委員会による保持力試験法)に準じ、接着部が10×25mm、負荷が3.92×104Pa、温度40℃にて、剥がれるまでの時間(分)により、保持力を評価した。値が大きいものほど、保持力に優れる。
〔ホットメルト粘接着剤組成物の軟化剤保持性〕
試料を50mm×50mmの粘着テープとして上質紙に貼り付け、2kg荷重、80℃、1週間の条件でエージングした後、粘着テープ貼付部裏面の上質紙を目視して確認される変色の程度に基づき、以下の基準で軟化剤保持性を評価した。
優:上質紙に変色が見られない。
良:上質紙に部分的な変色が見られる。
不可:粘着テープ貼付部裏面の上質紙全面にわたって変色が見られる。
〔ホットメルト粘接着剤組成物のダイカット性〕
試料をA4サイズの粘着フィルムとして剥離紙に貼り付け、それを10枚重ねたものをギロチンカッターを使用して切断した後、ギロチンカッターの刃を目視して確認される刃への糊残りの程度に基づき、以下の基準でダイカット性を評価した。
優:刃に糊残りが見られない。
良:刃に部分的な糊残りが見られる。
不可:刃に切断時に試料と接触した部分全域にわたって糊残りが見られる。
〔参考例1〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)3.50ミリモルおよびスチレン1.75kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム116.7ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100重量%であった。引き続き50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン7.00kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、重合停止剤としてメタノール82.3ミリモルを添加して1時間反応を行い、活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体の一部の活性末端を失活させることによりブロック共重合体Bとなるスチレン−イソプレンジブロック共重合体を形成させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン1.25kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、ブロック共重合体Aとなるスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール233.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、参考例1の組成物を回収した。得られた反応液の一部を取り出し、含有される各ブロック共重合体の重量平均分子量、重合体成分中の各ブロック共重合体の重量比、各ブロック共重合体のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量、各ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量、各ブロック共重合体のスチレン単位含有量、ブロック共重合体成分(全体)のスチレン単位含有量ならびに各ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックのビニル結合含有量を求めた。これらの値は、表2に示した。
Figure 0005565361
Figure 0005565361
〔参考例2〕
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレン、およびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例1と同様にして、参考例2の組成物を回収した。参考例2の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
〔参考例3〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)3.75ミリモルおよびスチレン1.65kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム125.0ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100重量%であった。引き続き50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン8.35kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、カップリング剤としてジメチルジクロロシラン35.0ミリモルを添加して、引き続き50〜60℃を保つように温度制御することにより2時間反応させて、活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体の一部をカップリングさせることにより、実質的に対称な構造を有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。この後、重合停止剤としてメタノール250.0ミリモルを添加してよく混合し反応を停止することにより、残存する活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体の活性末端を失活させて、ブロック共重合体Bとなるスチレン−イソプレンジブロック共重合体を形成させた。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。以上のようにして得られた反応液については、参考例1と同様に処理して、参考例3の組成物を回収した。また、得られた反応液の一部を取り出して、参考例1と同様の測定を行った。これらの測定値は、表2に示した。
〔実施例1〕
参考例1で得られた組成物100部を攪拌翼型混練機に投入し、これに粘着付与樹脂(商品名「クイントンR100」、脂肪族系炭化水素樹脂、日本ゼオン社製)150部、ナフテン系プロセスオイル(商品名「ダイアナプロセスオイルNS−90S」、出光興産社製)50部、および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1076」、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバスぺシャリティーケミカルズ社製)1.5部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160〜180℃で1時間混練した。そして、得られた混練物にポリエチレンワックス(商品名「A−C 8」、融点113℃、ハネウェル社製)13部を添加して、さらに160〜180℃で30分間混練することにより、実施例1のホットメルト粘接着剤組成物を調製した。そして、厚さ55μmのポリエステルフィルムに得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工し、これにより得られた試料について、低温環境下でのタック性、保持力、軟化剤保持性およびダイカット性を評価した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005565361
〔実施例2〜6,比較例1〜4〕
用いる組成物や添加物の種類や量を表3に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6および比較例1〜4のホットメルト粘接着剤組成物を調製した。なお、表3において、「Solprene1205」はブロック共重合体Bとなる(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体(商品名「Solprene 1205」、スチレン単位含有量25%(スチレン単位の内、70%がスチレン重合体ブロックとして存在し、30%が(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック中に存在する)ジブロック共重合体、ディナソル社製)を表し、「PW−90」はパラフィン系プロセスオイル(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製)を表し、「EV−460」はエチレン酢酸ビニル共重合体ワックス(商品名「エバフレックス EV−460」、融点84℃、三井・デュポンポリケミカル社製)を表す。得られたホットメルト粘接着剤組成物は、実施例1と同様に評価を行なった。その結果を表3に示す。
表3から、以下のようなことが分かる。すなわち、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤保持性およびダイカット性が両立されたものであり、しかも、保持力や低温環境下でのタック性にも優れるものである(実施例1〜6)。これに対して、本発明で用いられるブロック共重合体Aを含有しないホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤保持性に劣り(比較例1〜3)、さらにワックスを含有しないものである場合には保持力やダイカット性にも劣る(比較例1と比較例2の比較)。また、本発明で用いられるブロック共重合体Aを含有するものであっても、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとの合計重量に対してブロック共重合体Aが占める割合が小さすぎるホットメルト粘接着剤組成物は、保持力や軟化剤保持性に劣る(比較例4)。

Claims (3)

  1. 下記の一般式(A)で表されるブロック共重合体A、および芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを末端ブロックとして有してなるブロック共重合体Bからなり、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとの合計重量に対してブロック共重合体Aが占める割合が5〜90重量%であるブロック共重合体成分と、ブロック共重合体成分に対して非相溶性のワックスと、ブロック共重合体成分に対して相溶性の軟化剤と、粘着付与樹脂とを含有してなるホットメルト粘接着剤組成物。
    Ar1−D−Ar2 (A)
    (一般式(A)において、Ar1は重量平均分子量が10000〜25000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Ar2は重量平均分子量が15000〜200000の芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン重合体ブロックを表し、Ar2で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子に対するAr1で表される芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量の比は0.1〜0.9である。)
  2. ブロック共重合体成分100重量部に対して、ワックスの含有量が1〜50重量部であり、軟化剤の含有量が10〜300重量部であり、粘着付与樹脂の含有量が10〜500重量部である請求項1に記載のホットメルト粘接着剤組成物。
  3. ラベルの粘接着剤として用いられる請求項1または2に記載のホットメルト粘接着剤組成物。
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