JP5565102B2 - 機械構造用鋼およびその製造方法 - Google Patents
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T1(℃)=−5440/(log[V][C]−3.314)−173
T2(℃)=910−203[C]+44.7[Si]−30[Mn]−20[Cu]−15.2[Ni]−11[Cr]
+31.5[Mo]+104[V]+400[Ti]+460[Al]+700[P]
(1)C:0.35〜0.60質量%、
Si:0.1〜1.0質量%、
Mn:0.1〜1.5質量%、
P:0.025質量%以下、
S:0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.10質量%および
O:0.0015質量%以下
を含み、残部不可避不純物およびFeからなる成分組成を有し、アスペクト比が2以上のフェライトを10〜50%含む、フェライトおよびパーライトの組織からなることを特徴とする機械構造用鋼。
Cr:1.0質量%以下、
Cu:1.0質量%以下、
Mo:1.0質量%以下、
W:1.0質量%以下および
Ni:1.0質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の機械構造用鋼。
Nb:0.1質量%以下、
Ti:0.2質量%以下および
V:0.15質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の機械構造用鋼。
B:0.0002〜0.005質量%
を含有することを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載の機械構造用鋼。
Pb:0.01〜0.40質量%、
Bi:0.01〜0.40質量%および
Ca:0.0005〜0.0100質量%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の機械構造用鋼。
Si:0.1〜1.0質量%、
Mn:0.1〜1.5質量%、
P:0.025質量%以下、
S:0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.10質量%および
O:0.0015質量%以下
を含み、残部不可避不純物およびFeからなる素材を、900〜1250℃に加熱後、Ar3点以下の温度での累積減面率が80%以下、かつAr3点以下の温度域にて1パス当たりの減面率が10%以上の圧延を少なくとも1パスは行い、仕上温度を(Ar3−10℃)〜(Ar3−150℃)とする、熱間圧延を施し、その後、放冷し、アスペクト比が2以上のフェライトを10〜50%含む、フェライトおよびパーライトの組織の機械構造用鋼とすることを特徴とする機械構造用鋼の製造方法。
Cr:1.0質量%以下、
Cu:1.0質量%以下、
Mo:1.0質量%以下、
W:1.0質量%以下および
Ni:1.0質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(6)に記載の機械構造用鋼の製造方法。
Nb:0.1質量%以下、
Ti:0.2質量%以下および
V:0.15質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(6)または(7)に記載の機械構造用鋼の製造方法。
B:0.0002〜0.005質量%
を含有することを特徴とする前記(6)から(8)のいずれかに記載の機械構造用鋼の製造方法。
Pb:0.01〜0.40質量%、
Bi:0.01〜0.40質量%および
Ca:0.0005〜0.0100質量%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(6)から(9)のいずれかに記載の機械構造用鋼の製造方法。
C:0.35〜0.60質量%
Cは、必要な強度を確保するために必須の元素であり、0.35質量%未満では鋼の強度が低下するため0.35質量%以上で添加する。一方、0.60質量%を超えると、鋼の靭性の低下を招く。以上のことから、C量は0.35〜0.60質量%とする。
Siは、製鋼プロセスにおいて、脱酸剤および強度を調整するのに有効な元素である。これらの効果を得るには、0.1質量%以上が必要であり、一方1.0質量%を超えると靭性が損なわれるため、0.1〜1.0質量%の範囲とする。
Mnは、強度を調整するために重要な元素であるが、その効果を得るためには0.1質量%以上が必要であり、一方1.5質量%を超えると靭性が損われるため、0.1〜1.5質量%の範囲とする。
PおよびSは、靭性を劣化させる元素であり、極力低減することが好ましいが、それぞれ0.025質量%までは許容される。
Alは、脱酸剤として添加する元素であり、0.01質量%未満ではその効果に乏しく、一方0.10質量%を超えて添加すると、靭性に悪影響を及ぼすため、Alは0.01〜0.10質量%の範囲とする。
Oは、SiやAlと結合し、硬質な酸化物系非金属介在物を形成して、靭性の低下を招くため、可能な限り低い方が良い。本発明では、O含有量は0.0015質量%以下とする。
Cr:1.0質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Mo:1.0質量%以下、W:1.0質量%以下およびNi:1.0質量%以下
Cr、Cu、Mo、W及びNiは、固溶強化元素として強度調整に有効な元素である。そのため、必要に応じて、上記5種のいずれか1種または2種以上を、好ましくはそれぞれ0.05質量%以上で添加することが可能である。一方、いずれの元素も、1.0質量%を超えると靭性が低下するため、1.0質量%以下とすることが好ましい。
Nb:0.1質量%以下、Ti:0.2質量%以下およびV:0.15質量%以下
Nbは、炭窒化物を形成することによって結晶粒の粗大化を防止する効果を有するとともに、Cと析出物を形成し、強度を得るために有用な元素であるが、0.1質量%を超えて添加すると靭性が低下するため、0.1質量%以下とした。
B:0.0002〜0.005質量%
Bは、焼入れ性の増大により焼戻し後の鋼の強度を高める元素であり、必要に応じて含有することができる。上記効果を得るためには、0.0002質量%以上にて添加することが好ましい。しかし、0.005質量%を超えて添加すると、靭性が劣化する。よって、Bは0.0002〜0.005質量%とすることが好ましい。
Pb:0.01〜0.40質量%
Pbは、被削性を向上させる元素であり、その効果を得るためには、0.01質量%以上で添加することが好ましい。一方、0.40質量%を超えて添加すると、靭性を低下させるため、0.010〜0.40質量%とすることが好ましい。
Biは、被削性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.01質量%以上で添加することが好ましい。一方、0.40質量%を超えて添加すると、靭性を著しく低下させるため、0.01〜0.40質量%とすることが好ましい。
Caは、被削性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.0005質量%以上で添加することが好ましい。一方、0.0100質量%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.0005〜0.0100質量%とすることが好ましい。
さて、直径100mmφ以上のような大径棒鋼に代表される、機械構造用鋼に、基地組織として、フェライトおよびパーライト以外の、マルテンサイト、ベイナイトあるいはそれらの混合組織などの低温変態組織を適用すると、例えば棒鋼の断面内組織を均一にすることが困難となる上、冷却中に発生する熱応力と変態に伴い発生する、変態応力の影響にて、内部割れが発生しやすくなる。このようなことから、本発明では、基地組織を、低温変態組織ではなく、フェライトおよびパーライト組織とした。
すなわち、加工フェライトの分率が10%未満では、鋼の強化が十分に得られず、一方、50%を超えると、強度は上昇するものの靭性が低下すると共に、(オーステナイト+フェライト)の2相域圧延時の荷重増大に伴うロール割損リスクが増加するからである。
なお、上記加工フェライトは、Ar3変態点以下の(オーステナイト+フェライト)2相域での熱間圧延によって形成された、加工歪が導入されたフェライトのことであり、通常、フェライトをトレースし、短軸および長軸の長さを求めて、短軸に対する長軸の比(アスペクト比)が2以上のフェライトを加工フェライトと定義し、これがミクロ組織中に占める面積を定量化すれば、その分率を測定することができる。
本発明の機械構造用鋼の製造に当たっては、先ず、上記した成分組成を有する鋼を転炉や電気炉等による、通常の方法にて溶製し、連続鋳造法や造塊法等の通常の方法にてスラブ、ビレットまたはブルーム等の鋼素材とする。なお、溶製後、取鍋精錬や真空脱ガス等の処理を付加しても良い。
Ar3点以下の温度での累積減面率が80%を超えると、圧延荷重が増大して圧延が困難となったり、圧延のパス回数が増えて生産性の低下を招いたりする。さらに、加工フェライト量が50%を超えるようになり、鋼の強度が上昇し過ぎて、却って靭性の低下を招く。よって、Ar3点以下での累積減面率は80%以下とする。
表1に示す成分組成を有する鋼を、真空溶解炉または転炉で溶製してブルームとし、このブルームを加熱炉に装入して加熱後、表2に示した条件に従う熱間圧延にて丸棒に熱間圧延した。得られた圧延ままの棒鋼の表面から直径の1/4深さ部分より、JIS4号引張試験片およびJIS3号シャルピー衝撃試験片を切り出し、機械的特性を評価した。
降伏強さ、引張強さおよび靭性(衝撃値)は、従来のS45C(基準鋼)に比べて10%以上向上した場合に特性が向上したと判断した。
Claims (10)
- C:0.35〜0.60質量%、
Si:0.1〜1.0質量%、
Mn:0.1〜1.5質量%、
P:0.025質量%以下、
S:0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.10質量%および
O:0.0015質量%以下
を含み、残部不可避不純物およびFeからなる成分組成を有し、アスペクト比が2以上のフェライトを10〜50%含む、フェライトおよびパーライトの組織からなることを特徴とする機械構造用鋼。 - 上記成分組成に、さらに
Cr:1.0質量%以下、
Cu:1.0質量%以下、
Mo:1.0質量%以下、
W:1.0質量%以下および
Ni:1.0質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の機械構造用鋼。 - 上記成分組成に、さらに
Nb:0.1質量%以下、
Ti:0.2質量%以下および
V:0.15質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械構造用鋼。 - 上記成分組成に、さらに
B:0.0002〜0.005質量%
を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の機械構造用鋼。 - 上記成分組成に、さらに
Pb:0.01〜0.40質量%、
Bi:0.01〜0.40質量%および
Ca:0.0005〜0.0100質量%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の機械構造用鋼。 - C:0.35〜0.60質量%、
Si:0.1〜1.0質量%、
Mn:0.1〜1.5質量%、
P:0.025質量%以下、
S:0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.10質量%および
O:0.0015質量%以下
を含み、残部不可避不純物およびFeからなる素材を、900〜1250℃に加熱後、Ar3点以下の温度での累積減面率が80%以下、かつAr3点以下の温度域にて1パス当たりの減面率が10%以上の圧延を少なくとも1パスは行い、仕上温度を(Ar3−10℃)〜(Ar3−150℃)とする、熱間圧延を施し、その後、放冷し、アスペクト比が2以上のフェライトを10〜50%含む、フェライトおよびパーライトの組織の機械構造用鋼とすることを特徴とする機械構造用鋼の製造方法。 - 上記素材に、さらに
Cr:1.0質量%以下、
Cu:1.0質量%以下、
Mo:1.0質量%以下、
W:1.0質量%以下および
Ni:1.0質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項6に記載の機械構造用鋼の製造方法。 - 上記素材に、さらに
Nb:0.1質量%以下、
Ti:0.2質量%以下および
V:0.15質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項6または7に記載の機械構造用鋼の製造方法。 - 上記素材に、さらに
B:0.0002〜0.005質量%
を含有することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の機械構造用鋼の製造方法。 - 上記素材に、さらに
Pb:0.01〜0.40質量%、
Bi:0.01〜0.40質量%および
Ca:0.0005〜0.0100質量%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の機械構造用鋼の製造方法。
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