JP5564950B2 - 薄板の溶接部及び薄板のレーザー溶接方法 - Google Patents

薄板の溶接部及び薄板のレーザー溶接方法 Download PDF

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本発明は、電磁鋼やステンレス鋼、高張力鋼などの特殊鋼からなる薄板の連続冷間圧延において、先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部、及び先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接する方法に関する。
鋼板の連続冷間圧延ラインでは、先行板の後端部と後行板の先端部とを圧延機の入側において突合せ溶接することにより間断なく圧延を行っている。先行板と後行板の突合せ溶接には、フラッシュバット溶接やレーザー溶接が用いられるが、電磁鋼やステンレス鋼、高張力鋼などの特殊鋼の連続冷間圧延ラインではレーザー溶接が用いられることが多い。
レーザー溶接システムは、レーザー発振器、導波路、集光部などから構成されている。レーザー溶接では、レーザー発振器として大出力化が進んでいるCOレーザーとYAGレーザーが用いられることが多い。レーザー発振器によって生成された単一波長かつ位相差の無い(コヒーレントな)光は、導波路を介して集光部へ導波され、放物面鏡や集光レンズ等で構成された集光部によって適切なサイズに集光された後、被溶接材に照射される。照射された光は被溶接材に吸収され、加熱された被溶接材が溶融することにより接合が行われる。なお、溶接金属の酸化等を防ぐため、ArやHeなどのシールドガスを溶接金属へ吹き付けることが行われる。
レーザー溶接の場合、溶接金属の領域が小さく、しかも溶接速度が極めて速いため、溶接金属が急熱急冷によって硬化し、溶接金属の硬度が著しく上昇する。そのため、溶接金属自体の靭性を十分に確保できないという問題があった。特に、電磁鋼や高張力鋼のようなSiを多く含む特殊鋼にレーザー溶接を用いた場合、溶接部の脆化が著しく、圧延時に溶接部が破断することがある。
そこで、特許文献1では、高Si鋼を溶接するに際し、Niを主成分とするフィラー材を用い、溶接金属の化学組成が下式を満足するように溶接を行うことを特徴とするレーザー溶接方法の発明が開示されている。そして、当該発明によれば、靱性に優れた溶接継手を得ることができるとしている。
X=[%Ni]−[%Si]×2.5−([%Cr]+[%Mo])×0.4≧0
ここで、[%Ni]、[%Si]、[%Cr]、及び[%Mo]は、それぞれ溶接金属中のNi、Si、Cr、及びMoの含有量(重量%)を表している。
また、特許文献2では、先行板と後行板とを突合せてフィラーワイヤーを用いてレーザー溶接する方法において、溶接初期の先行板と後行板の突合せギャップ(Gap)と溶接金属の平均巾(DEPO)との比(Gap/DEPO)が0.3〜0.8であることを特徴とするレーザー溶接方法の発明が開示されている。そして、当該発明によれば、熱影響部(HAZ)の溶接金属に近接する部分における結晶粒径を微細化して十分な溶接強度を実現できるとしている。
特開平5−305466号公報 特開2004−25284号公報
特許文献1では、Siを多く含有する電磁鋼板の場合、粗大フェライトが溶接部に生成して機械的性質が劣化することに加え、熱影響部における結晶粒が粗大化して熱影響部で破断することがあるため、溶接時にフィラーを添加して溶接金属中のSiを希釈することにより、靭性に優れた溶接継手を実現しようとしている。また、特許文献2では、レーザー溶接の場合、熱影響部の結晶粒径が大きくなり、圧延時に溶接点から破断する原因となるため、熱影響部における結晶粒径の微細化を図っている。即ち、特許文献1及び2記載の発明では、圧延時の溶接部破断を、溶接部における粗大フェライトの生成及び熱影響部における結晶粒の粗大化が原因であるとしている。
しかし、本発明者は、圧延時における溶接部の破断は、後述するように、圧延による溶接部の異常変形が原因であることを発見し、溶接部の異常変形を抑制することにより溶接部の破断を防止できることを見いだした。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、特殊鋼からなる薄板の連続冷間圧延において、冷間圧延による破断が発生しない溶接部、並びにそれを実現するためのレーザー溶接方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、連続冷間圧延ライン上を搬送される特殊鋼からなる先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部において、冷間圧延によって母材の上面側に延び出た溶接金属からなる上側延出部の下側に存在する前記母材の最小厚みをL1とし、冷間圧延によって前記母材の下面側に延び出た溶接金属からなる下側延出部と前記上側延出部に挟まれた前記母材の最小厚みをL2とすると、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きく、冷間圧延前における余盛断面積を、冷間圧延前における前記溶接金属の全断面積で除した余盛断面積比が0.23以下であることを特徴としている
連続冷間圧延ライン上を搬送される特殊鋼からなる先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部を冷間圧延した際、冷間圧延によって母材の上面側に延び出た溶接金属からなる上側延出部の下側に存在する母材の最小厚みL1や、冷間圧延によって母材の下面側に延び出た溶接金属からなる下側延出部と前記上側延出部に挟まれた母材の最小厚みL2が小さい場合、その部位における母材が大きな延びを強制されるため、母材硬度が高くなる。実測結果に拠れば、上側延出部や下側延出部からなる異常変形部における延びは母材の冷延延びの1.5〜4倍と大きく、異常変形部における硬度は母材硬度の1.1〜1.8倍を示している。このことから、L1、L2が小さくなるにつれて当該部位における母材硬度が上昇し、破断限界を迎えやすくなっていると考えられる。そのため、冷間圧延による溶接部の破断を防止するためには、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなければならない。
ここで、「薄板」としては、冷間圧延前における板厚が1〜6mm程度のものを想定している。
また、「余盛断面積」は、溶接部を薄板の長さ方向に切断した断面において、薄板面から上側に突出した余盛11uの断面積と薄板面から下側に突出した余盛11dの断面積の和である(図1参照)「溶接金属の全断面積」は、前記断面において、余盛11u、11dを含む溶接金属全体の断面積である。なお、圧延前に余盛をカットした場合は、余盛断面積はゼロとなり、溶接部の表面がクレータ状になっている場合は、余盛断面積は負となるが、強度的観点から余盛断面積比はゼロ以上が望ましい。
余盛断面積比は上記L1及びL2と相関関係にあり、余盛断面積比が大きくなると、L1及びL2は小さくなる。即ち、余盛断面積比が大きくなると、溶接部の破断が発生しやすくなる。後述するように、余盛断面積比を0.23以下とすることによりL1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなる確率が高くなり、圧延による溶接部の異常変形に起因する溶接部の破断を防止することができる。
また、本発明に係る薄板の溶接部は、冷間圧延前における前記溶接金属の硬度を、冷間圧延前における前記母材の硬度で除した硬度比が0.96以下であることが好ましい。
ここで、「硬度」は、JIS Z2244「ビッカース硬さ試験−試験方法」に規定されているビッカース硬度である。
硬度比は上記L1及びL2と相関関係にあり、硬度比が大きくなると、L1及びL2は小さくなる。即ち、硬度比が大きくなると、溶接部の破断が発生しやすくなる。後述するように、硬度比を0.96以下とすることによりL1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなる確率が高くなり、圧延による溶接部の異常変形に起因する溶接部の破断を防止することができる。なお、強度的観点から硬度比は0.3以上であることが望ましい。
また、本発明に係る薄板の溶接部は、前記溶接金属が含有するNi当量をNieq、Cr当量をCreqとすると、NieqとCreqが下記(1)式及び(2)式を満足することを好適とする。
Nieq+0.91×Creq≧27 (1)
3×Nieq−Creq≧−12 (2)
但し、Ni当量=Ni[質量%]+30×C[質量%]+0.5×Mn[質量%]、Cr当量=Cr[質量%]+Mo[質量%]+1.5×Si[質量%]+0.5×Nb[質量%]である。
図4はシェフラーの組織図であり、斜線を施された領域が(1)式及び(2)式を満足するNi当量及びCr当量の範囲となる。溶接部はオーステナイト組織の割合が多いほど柔らかくなるため、破断しにくくなる。本発明は、溶接部の組織をオーステナイト組織のみ又はオーステナイトとフェライト(好ましくは、20質量%以下程度のフェライト)からなる組織とすることにより溶接部の破断を防止するものである。
また、本発明は、上記薄板の溶接部を実現するためのレーザー溶接方法であって、下記(3)式を満足するNi当量Nieqs及びCr当量Creqsを含有する前記特殊鋼に、下記(4)式を満足するNi当量Nieqf及びCr当量Creqfを含有するフィラーを使用し、下記(5)式を満足するようにレーザー溶接することを特徴としている。
1.2×10−2≦(Nieqs/Creqs)≦4.1×10−1 (3)
5質量%≦Nieqf≦70質量%、1質量%≦Creqf≦35質量% (4)
0.9≦(F×A)/(V×G×t)≦1.4 (5)
但し、Ni当量=Ni[質量%]+30×C[質量%]+0.5×Mn[質量%]、Cr当量=Cr[質量%]+Mo[質量%]+1.5×Si[質量%]+0.5×Nb[質量%]、F:前記フィラーの供給速度、A:前記フィラーの断面積、V:レーザー加工ヘッドの母材幅方向移動速度、G:前記先行薄板と前記後行薄板との突合せギャップの幅、t:前記先行薄板及び前記後行薄板の平均板厚である。
F×Aは、単位時間当りのフィラーの供給量であり、V×G×tは、単位時間当りに溶接される突合せギャップの体積となる。従って、(F×A)/(V×G×t)は、単位時間当りの(フィラーの供給量)/(溶接される突合せギャップの体積)となる。即ち、(5)式は、突合せギャップに供給されるフィラーの量について適正範囲を規定したものであり、(5)式を満足するようにレーザー溶接することにより、余盛断面積比を0.23以下とすることができる。一方、(3)式を満足する特殊鋼に対して(4)式を満足するフィラーを使用することにより、硬度比を0.96以下とすることができる。
また、冷間圧延時の圧下率が90%を超えると、溶接部の破断が発生しやすくなるため、本発明に係る薄板の冷間圧延方法は、上記薄板のレーザー溶接方法によってレーザー溶接された薄板を圧下率90%以下で冷間圧延することを特徴としている。
ここで、「圧下率」は、(冷間圧延前の薄板の板厚−冷間圧延後の薄板の板厚)/冷間圧延前の薄板の板厚×100である。
本発明によれば、レーザー溶接した薄板の溶接部を冷間圧延した際、上側延出部の下側に存在する母材の最小厚みL1、及び上側延出部と下側延出部に挟まれた母材の最小厚みL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなるので、冷間圧延に伴う溶接部の異常変形が抑制され、溶接部の破断を防止することができる。
冷間圧延前における溶接部を薄板の長さ方向に切断した断面の模式図である。 冷間圧延後における溶接部を薄板の長さ方向に切断した断面の模式図である。 冷間圧延後における溶接部を薄板の長さ方向に切断した断面の模式図であり、(A)はL1がゼロの場合、(B)はL2がゼロの場合を示している。 本発明に係る薄板の溶接部に含まれるNi当量、Cr当量の範囲をシェフラーの組織図に示したものである。 本発明に係る薄板のレーザー溶接方法における特殊鋼及びフィラーのNi当量、Cr当量の範囲をシェフラーの組織図に示したものである。 溶接部におけるL1、L2と余盛断面積比との関係を示したグラフである。 溶接部におけるL1、L2と硬度比との関係を示したグラフである。 (F×A)/(V×G×t)と溶接部の破断との関係を示したグラフである。 試験結果をシェフラーの組織図上にプロットしたものである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る薄板の溶接部11について、図1、図2を参照しながら説明する。薄板の連続冷間圧延ラインにおいて、先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部11(図1参照)を冷間圧延すると、図2に示すような断面となる場合がある。薄板面から上側に突出した溶接金属からなる余盛11uは、圧延によって母材10の上面側において母材10の長さ方向に延び出して上側延出部12を形成し、薄板面から下側に突出した溶接金属からなる余盛11dは、圧延によって母材10の下面側において母材10の長さ方向に延び出して下側延出部13を形成する。このように、溶接部11が上側延出部12や下側延出部13からなる異常変形部を有する場合、上側延出部12の下側に存在する母材10の最小厚みL1や、上側延出部12と下側延出部13に挟まれた母材10の最小厚みL2が小さくなると、溶接部11の破断強度が低下する。
本実施の形態に係る薄板の溶接部11では、L1及びL2の少なくともいずれかをゼロより大きくすることにより、即ち、上側延出部12aが母材10の下面に接触すること(図3(A)参照)がないようにするか、上側延出部12bと下側延出部13aが接触すること(図3(B)参照)がないようにすることにより、冷間圧延による溶接部の破断を防止する。
L1とL2による薄板溶接部の評価は以下のように行う。
(STEP−1)冷間圧延後の溶接部について板幅方向の両端と中央の計3箇所における断面を写真に撮る。
(STEP−2)断面写真よりL1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きいと判断される場合、当該溶接部を良とする。但し、圧延によって延出した母材の先端部では上側延出部と下側延出部との境界が明確でないだけでなく、母材の先端部で破断するおそれも低いため、L1とL2の値を決定する際に母材の先端部は除外する。
次に、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなる溶接部を形成するための本発明の一実施の形態に係る薄板のレーザー溶接方法について説明する。
対象とする鋼板(先行板及び後行板)は、前記(3)式を満足するNi当量Nieqs及びCr当量Creqsを含有する特殊鋼であって、冷間圧延前の平均板厚が1〜6mm程度の薄板である。一方、薄板の溶接に使用するフィラーには、前記(4)式を満足するNi当量Nieqf及びCr当量Creqfを含有するものを使用する。図5のシェフラーの組織図において、右下がりの斜線を施した領域が(3)式、左下がりの斜線を施した領域が(4)式を満足する範囲である。(3)式を満足する特殊鋼に対して(4)式を満足するフィラーを使用することによって、形成された溶接金属のNi当量Nieq及びCr当量Creqは前記(1)式及び(2)式を満足するものとなる。
レーザー溶接時には、(フィラー供給速度F×フィラー断面積A)/(レーザー加工ヘッドの母材幅方向移動速度V×先行薄板と後行薄板との突合せギャップの幅G×薄板の板厚t)で算出される溶接パラメータ値が常に0.9〜1.4の範囲内となるようにする。これにより、0.23以下の余盛断面積比と0.96以下の硬度比が担保される。なお、溶接パラメータ(F×A)/(V×G×t)は無次元量であり、(F×A)/(V×G×t)を算出する際、長さと時間の単位はそれぞれ統一しておく必要がある。
上記レーザー溶接方法によってレーザー溶接された薄板を冷間圧延する際は、圧下率を90%以下とすることが好ましい。
なお、本実施の形態に係る薄板のレーザー溶接方法では、先行薄板と後行薄板の突合せ溶接における開先形状は、I型に限らず、V型、U型等の形状としてもよい。また、レーザー発振器としては、COレーザーやYAGレーザーを使用することができる。
次に、余盛断面積比(冷間圧延前における余盛断面積/冷間圧延前における溶接金属の全断面積)、硬度比(冷間圧延前における溶接金属の硬度/冷間圧延前における母材の硬度)、及び(F×A)/(V×G×t)の各パラメータと、L1及びL2と、溶接部の破断との相関性に関して実施した検証試験について説明する。
試験条件を以下に列記する。
(a)薄板:Ni当量0.12〜2.20質量%、Cr当量0.90〜20.2質量%、
板厚1.0〜6.0mm
(b)フィラーワイヤ:Ni当量23.7質量%、Cr当量26.6質量%、
フィラーワイヤの直径:1.2mm、
フィラーワイヤの供給速度:1〜10m/min
(c)レーザー発振器:COレーザー
(d)レーザー加工ヘッドの母材幅方向移動速度:1〜10m/min
(e)突合せギャップの幅:0.1〜0.9mm
(f)圧下率:40〜90%
溶接部におけるL1、L2と余盛断面積比との関係を図6に、溶接部におけるL1、L2と硬度比との関係を図7にそれぞれ示す。これらの図より、余盛断面積比が0.23以下あるいは硬度比が0.96以下になると、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きくなり、溶接部が破断していないことがわかる。一方、余盛断面積比が0.23より大きくなると、殆どの溶接部においてL1及びL2がゼロとなり、L1及びL2がゼロの溶接部は全て破断している。また、硬度比が0.96より大きくなると、L1及びL2がゼロとなり、全ての溶接部が破断している。
図8は、(F×A)/(V×G×t)と溶接部の破断との関係を示したものである。同図より、(F×A)/(V×G×t)の値が0.9〜1.4の場合、溶接部の破断が無く、0.9未満又は1.4を超えた場合、全ての溶接部が破断していることがわかる。
図9は、試験結果をシェフラーの組織図上にプロットしたものである。同図において、■印はフィラーのNi当量及びCr当量を、□印は特殊鋼のNi当量及びCr当量を示している。溶接部のNi当量及びCr当量は、■印と□印を結ぶ破線上に位置し、溶込み率によってフィラー側又は母材側へ移動する。同図より、破断していない試験体は、前記(1)式及び(2)式を満足する範囲内にあり、当該範囲外の試験体については、溶接部で破断していることがわかる。
10:母材、11:溶接部、11u、11d:余盛、12、12a、12b:上側延出部、13、13a:下側延出部

Claims (5)

  1. 連続冷間圧延ライン上を搬送される特殊鋼からなる先行薄板と後行薄板とをレーザー溶接して形成された溶接部において、
    冷間圧延によって母材の上面側に延び出た溶接金属からなる上側延出部の下側に存在する前記母材の最小厚みをL1とし、冷間圧延によって前記母材の下面側に延び出た溶接金属からなる下側延出部と前記上側延出部に挟まれた前記母材の最小厚みをL2とすると、L1及びL2の少なくともいずれかがゼロより大きく、
    冷間圧延前における余盛断面積を、冷間圧延前における前記溶接金属の全断面積で除した余盛断面積比が0.23以下であることを特徴とする薄板の溶接部。
  2. 請求項1記載の薄板の溶接部において、冷間圧延前における前記溶接金属の硬度を、冷間圧延前における前記母材の硬度で除した硬度比が0.96以下であることを特徴とする薄板の溶接部。
  3. 請求項記載の薄板の溶接部において、前記溶接金属が含有するNi当量をNieq、Cr当量をCreqとすると、NieqとCreqは下記(1)式及び(2)式を満足することを特徴とする薄板の溶接部。
    Nieq+0.91×Creq≧27 (1)
    3×Nieq−Creq≧−12 (2)
    但し、Ni当量=Ni[質量%]+30×C[質量%]+0.5×Mn[質量%]、Cr当量=Cr[質量%]+Mo[質量%]+1.5×Si[質量%]+0.5×Nb[質量%]
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の薄板の溶接部を実現するためのレーザー溶接方法であって、
    下記(3)式を満足するNi当量Nieqs及びCr当量Creqsを含有する前記特殊鋼に、下記(4)式を満足するNi当量Nieqf及びCr当量Creqfを含有するフィラーを使用し、下記(5)式を満足するようにレーザー溶接することを特徴とする薄板のレーザー溶接方法。
    1.2×10−2≦(Nieqs/Creqs)≦4.1×10−1 (3)
    5質量%≦Nieqf≦70質量%、1質量%≦Creqf≦35質量% (4)
    0.9≦(F×A)/(V×G×t)≦1.4 (5)
    但し、Ni当量=Ni[質量%]+30×C[質量%]+0.5×Mn[質量%]、Cr当量=Cr[質量%]+Mo[質量%]+1.5×Si[質量%]+0.5×Nb[質量%]、F:前記フィラーの供給速度、A:前記フィラーの断面積、V:レーザー加工ヘッドの母材幅方向移動速度、G:前記先行薄板と前記後行薄板との突合せギャップの幅、t:前記先行薄板及び前記後行薄板の平均板厚
  5. 請求項記載の薄板のレーザー溶接方法によってレーザー溶接された薄板を圧下率90%以下で冷間圧延することを特徴とする薄板の冷間圧延方法。
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