以下、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る遊技盤が設けられた遊技機について説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る遊技盤2が設けられた遊技機1の一例を示す概略正面図である。図2は、遊技機1の枠部材5を開いた状態の一例を示す斜視図である。
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。後述により明らかとなるが、枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部4(図2参照)に対して開閉可能に構成され、遊技盤2に対して着脱自在に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。このように、枠部材5を開くことによって遊技盤2が外部に開放した状態となり、遊技機1が設置されている店の従業員が遊技機1の前面から遊技盤2を直接触るような作業が可能となる。
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、下方から発射された遊技球が遊技盤2の主面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材(図示せず)と、上昇した遊技球を遊技領域20の右側に案内する案内部材(図示せず)とを備えている。なお、後述により明らかとなるが、遊技盤2は、その前面部が装飾されるとともに、前面または背面に取り付けられる部品やデザインに合わせて様々な形状の貫通窓孔や貫通円孔が多数形成されている。
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示部21が配設されている。画像表示部21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示部21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
第1始動口25aおよび第2始動口25bは、それぞれ遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。例えば、第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、第1特別図柄表示器)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。また、第2始動口25bは、上記特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、第2特別図柄表示器)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
第2始動口25bは、第1始動口25aの下部に設けられ、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、電動チューリップ開閉部(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26は、一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が極めて狭いため、遊技球が第2始動口25bへ入らない状態となる。一方、電動チューリップ26は、一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間(例えば、0.15秒間または1.80秒間)開き、規定回数(例えば、1回または3回)だけ開閉する。
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)だけ繰り返す。また、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。例えば、表示器3は、第1特別図柄表示器や第2特別図柄表示器を含んでいる。
なお、図1に示した遊技機1は、遊技領域20に2つの第1始動口25aおよび第2始動口25bが配設されているが、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が開始される始動口を1つだけ設けてもかまわない。また、遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数設けてもかまわない。
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、および錠部43等が設けられている。
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置が遊技球を電動発射する。また、遊技機1の前方に突出して皿が設けられ、発射装置に供給する遊技球が一時的に溜められ、賞球が払い出される。そして、皿に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置に供給される。なお、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
次に、図2を参照して、枠部材5を開閉する動作および当該開閉動作に関わる構成要素について説明する。遊技機1は、縦長方形状に枠組みされた外枠と、当該外枠に対して開閉自在に装着される内枠体とを備え、当該内枠体の内側に遊技盤2が固定されている。なお、図2においては、上記内枠体および上記外枠を組み合わせた状態を示しており、上記内枠体および上記外枠を組み合わせた部材を主部4として記載している。上記内枠体の前面側には、枠部材5が開閉自在に図示A−A軸で軸着され、枠部材5は図示B方向に開けることができる。例えば、上記内枠体の前面軸支側には枠部材5を連結するための蝶番が図示A−A軸に設けられ、当該蝶番を介して枠部材5が上記内枠体に開閉自在に軸着される。
枠部材5は、少なくとも遊技盤2を覆う大きさで形成され、遊技盤2を遊技者と隔てるための透明板50を備えている。また、枠部材5は、枠部材5の背面側所定位置(例えば、上端部)に装着される補強板60を備えている。また、枠部材5の所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には、錠部43の前方突出部と遊挿して嵌合する錠部嵌合孔5aが形成されている。
上記内枠体の前面側には、扉開放スイッチ41および錠部43が設けられている。扉開放スイッチ41は、枠部材5を閉めた状態で補強板60の一部と対向する突出部42を有している。突出部42は、遊技盤2より前方に突出可能に構成され、常に前方に付勢されている。また、錠部43は、遊技盤2より前方に突出するように設けられており、その前方側先端に鍵穴部43aを有している。
枠部材5を閉めた状態では、扉開放スイッチ41の突出部42が補強板60に押されて後方へ後退しており、この状態では扉開放スイッチ41が遮断状態となる。また、枠部材5を閉めた状態では、錠部43が錠部嵌合孔5aに遊挿された状態となり、錠部嵌合孔5aを介して鍵穴部43aが遊技機1の前面に露出した状態となって、錠部43が施錠可能な状態となる。また、上記内枠体に固定されている遊技盤2は、透明板50を介して遊技機1の前面側から視認可能な状態となる。枠部材5を閉めて錠部43が施錠された状態で、錠部43を解錠可能な鍵を鍵穴部43aに挿入して解錠操作を行うことによって、再び枠部材5を図示B方向に開けることができる。そして、枠部材5を開けた状態では、扉開放スイッチ41の突出部42が前方へ突出し、この状態では扉開放スイッチ41が通電状態となる。
また、上記内枠体の背面側には、払出用の遊技球を溜めておく球タンクや遊技球を皿59に払い出す払出装置(払出駆動部311)が設けられている。また、上記内枠体の背面側には、各種の基板等が取り付けられている。例えば、遊技盤2の後面には、メイン基板およびサブ基板等が配設されている。具体的には、メイン基板には、内部抽選および当選の判定等を行うメイン制御部100が構成されたメイン制御基板が配設されている。このメイン基板は、開封されることにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケースによって密封されている。また、サブ基板には、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する発射制御部200が構成された発射制御基板、賞球の払出を制御する払出制御部300が構成された払出制御基板、演出を統括的に制御する演出制御部400が構成された演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像音響制御部500が構成された画像制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御するランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等がそれぞれ配設されている。また、遊技盤2の後面には、遊技機1の電源オン/オフを切り替えるとともに、遊技機1に供給された24V(ボルト)の交流電力を各種電圧の直流電力に変換して、それぞれの電圧の直流電力を上述した各種の基板等に出力するスイッチング電源が配設されている。
次に、図3を参照して、遊技盤2について説明する。なお、図3は、遊技盤2の加工途中状態を背面側から見た一例を示す概観図である。
図3において、遊技盤2は、合板等の木質板状部材を所定のサイズに切断して本体全体が成形される。そして、遊技盤2の本体の所定位置に、盤面部品等を装着するための貫通孔が切削加工によって形成される。例えば、遊技盤2の本体には、遊技盤2の前面または背面に遊技機1の各種部品を固定するための貫通取付孔や遊技盤2の前面に遊技くぎおよび風車等を植設する際の基準となる貫通基準孔等、相対的に開口面積が小さく所定半径の円形状で当該本体の外縁部付近に円孔群Hが形成される。また、遊技盤2の本体には、入賞口(例えば、第1始動口25aおよび第2始動口25b)等の盤面部品を装着したり、遊技盤2の背面側に設けられた画像表示部21や可動役物22が遊技機1の前面側へ露出させたりするための、相対的に開口面積が大きくデザインに合わせた非円形状の貫通窓孔Pが複数形成される。図3に記載された遊技盤2の一例では、遊技盤2の背面側に設けられた画像表示部21等を遊技機1の前面側へ露出させるために略中央部に設けられる貫通窓孔Pと、外縁部付近に設けられる円孔群Hとが、既に遊技盤2の本体に加工形成されている。そして、以下の説明においては、貫通窓孔Pおよび円孔群Hが加工された遊技盤2の本体に、さらに貫通窓孔Pp1〜Pp3(図3では、破線領域で示す)を切削加工によって形成する例を用いる。
次に、図4〜図8を参照して、貫通窓孔Pおよび円孔群Hが加工された遊技盤2の本体に、貫通窓孔Pp1〜Pp3を加工する際に用いられる加工治具9について説明する。なお、図4は、遊技盤2の本体に加工治具9が装着された一例を示す概観図である。図5は、加工治具9によって加工ステージS上に支持される遊技盤2の状態の一例を示す、図4の断面AAにおける断面図である。図6は、取付ピン92が挿着される円孔Hの一例を示す断面詳細図である。図7は、取付ピン92が挿着される円孔Hの他の例を示す断面詳細図である。図8Aは、加工治具9の支持腕91dによって支持される遊技盤2の状態の一例を示す、図4の断面BBにおける断面図である。図8Bは、加工治具9の支持腕91dによって支持されて貫通窓孔Pp1が加工形成された遊技盤2の状態の一例を示す、図4の断面BBにおける断面図である。
図4において、被加工物となる遊技盤2の本体は、その上面に吸引機構が設けられた加工ステージS上に、載置治具Sj(図5参照)を介して載置されて固定される。そして、遊技盤2の本体は、外縁付近が加工ステージSに固定されると共に、遊技盤2の本体の一方主面(図4の例では、前面)が加工ステージSの吸引機構によって、載置治具Sjを介して加工ステージSの上面に吸着固定される。例えば、加工ステージSの上面には、当該上面に載置される載置治具Sjおよび被加工物を吸引するための吸引口が当該上面全面に多数形成されている。また、載置治具Sjは、例えば木材等で構成された板状部材であり、一方主面から他方主面へ貫通する貫通孔がその内部に多数形成されている。これによって、加工ステージSの上面に設けられた吸引口による吸引力が、載置治具Sjの貫通孔を介して遊技盤2の本体の一方主面に作用するため、遊技盤2の本体は、載置治具Sjを介して加工ステージSの上面に吸着固定される。
加工治具9は、遊嵌板90、支持腕91、および取付ピン92を備えている。遊嵌板90は、遊技盤2の本体に既に形成されている貫通窓孔Pに遊嵌して設置される板状部材である。遊嵌板90は、貫通窓孔Pに遊嵌されて加工ステージSに固定される際には、その下面が加工ステージSの上面に載置された載置治具Sjと当接する。そして、遊嵌板90は、加工ステージSの吸引機構によって、載置治具Sjを介して加工ステージSの上面に吸着固定される。なお、遊嵌板90は、遊技盤2の本体に既に形成されている貫通窓孔Pに緊合されてもかまわないが、加工治具9を遊技盤2の本体に取り付け/取り外しする作業を容易にするために貫通窓孔Pに少なくとも緩嵌されるような形状であることが好ましい。
遊嵌板90の上面には、複数の支持腕91が固設される。支持腕91は、遊嵌板90の外側へそれぞれ放射状に突出し、加工治具9を装着して遊技盤2の本体を加工する部位を避ける形状で設けられる。そして、複数の支持腕91の少なくとも1つには、円孔Hに挿入される取付ピン92が立設されている。なお、図4では、遊嵌板90の上面に4つの支持腕91a〜91dが設けられ、円孔Ha〜Hcにそれぞれ挿入される取付ピン92a〜92cが3つの支持腕91a〜91cにそれぞれ立設された一例を用いている。なお、円孔Ha〜Hcは、取付ピン92a〜92cを挿着するために専用に設けられた孔でなくてもよく、他の用途のために設けられている孔(例えば、遊技機1の各種部品を遊技盤2に固定するための取付孔や遊技盤2に遊技くぎや風車等を植設する際の基準となる基準孔)を共用するものでよい。
図5に示すように、取付ピン92aは、支持腕91aの下面から下方へ突出するように立設されている。取付ピン92aは、円孔群Hに属する何れか1つの円孔(例えば、円孔Ha)に挿脱可能な円柱形状を有している。そして、加工治具9を遊技盤2の本体に取り付ける際、取付ピン92aが円孔Haに挿入される。また、支持腕91aの下面は、遊嵌板90が貫通窓孔Pに遊嵌されて加工ステージSに吸着固定された際、貫通窓孔Pの外周近傍における遊技盤2の上面と当接することによって、当該当接部を加工ステージS上面に押さえつける。このように、加工治具9は、支持腕91aの下面が遊技盤2の本体を、載置治具Sjを介して加工ステージS上面に押止するとともに、取付ピン92aが円孔Haに挿着される。
また、取付ピン92aと同様に、支持腕91bおよび91cの下面にも円孔HbおよびHcにそれぞれ挿着される取付ピン92bおよび92cが設けられる。そして、支持腕91bおよび91cの下面も、遊嵌板90が貫通窓孔Pに遊嵌されて加工ステージSに吸着固定された際、貫通窓孔Pの外周近傍における遊技盤2の上面とそれぞれ当接することによって、当該当接部をそれぞれ加工ステージS上面に押さえつける。このように、遊技盤2の本体は、3つの支持腕91a〜91cの下面でそれぞれ押さえつけられることによって加工ステージSに対する上下方向のずれやがたつきが防止されるとともに、3本の取付ピン92a〜92cが挿着されることによって加工ステージSに対する前後左右方向のずれやがたつきが防止されることになる。
一例として、図6に示すように、取付ピン92を円孔Hに挿入する作業を容易にするために、取付ピン92が挿入される対象となる円孔Hに、面取Cを形成してもかまわない。取付ピン92が挿入される側の円孔Hの開口縁に所定量の面取Cを形成することによって、加工治具9の取り付け作業を容易にすることができる。例えば、取付ピン92が挿入される対象となる円孔Hが他の用途のために設けられている孔であり、取付ピン92が挿入される逆側から他の部材が挿着される用途である場合、当該逆側の円孔Hの開口縁に面取が形成されることがある。このような用途の円孔Hである場合、取付ピン92が挿入される側の円孔Hの開口縁にも面取Cを形成、すなわち円孔Hの両側の開口縁に面取を形成することによって、加工治具9の取り付け作業を容易にすることができる。なお、上記他の用途が円孔Hに取付ピン92を挿入される側から当該円孔Hに他の部材を挿着する用途である場合や、取付ピン92を挿着するための専用に円孔Hが設けられている場合、取付ピン92が挿入される側の円孔Hの開口縁にのみ面取Cを形成するだけでいいことは言うまでもない。
他の例として、図7に示すように、取付ピン92が挿入される対象となる円孔Hは、内径D1の第1内径孔部と内径D2の第2内径孔部とを有する段付き孔であってもよい。例えば、取付ピン92が挿入される対象となる円孔Hが他の用途のために設けられている孔であり、当該他の用途において当該円孔Hの第2内径孔部に挿着可能な部材が挿着されるとする。この場合、当該円孔Hに挿入する取付ピン92を、内径D2より大きい内径D1の孔に挿着可能な外径(図7においては、便宜上外径D1と記載している)とする。そして、円孔Hは、取付ピン92が挿入される側で、かつ、少なくとも取付ピン92が挿入される深さの範囲において内径D1の第1内径孔部となり、他の範囲において内径D2の第2内径孔部となった段付き孔とする。これによって、円孔Hは、上記他の用途で用いられる部材および取付ピン92が挿着可能となる。そして、取付ピン92を円孔Hに取り付け/取り外す際に円孔Hに作用する力や、取付ピン92が挿着された状態で遊技盤2が加工ステージS上面に固定される際に円孔Hに作用する力等によって円孔Hが変形したり傷が発生したりしたとしても、第2内径孔部が変形したり第2内径孔部に傷が生じたりすることを防止することができる。したがって、円孔Hを段付き孔にすることによって、上記他の用途で使用される円孔Hの寸法精度を確保することができる。
ここで、図4から明らかなように、加工治具9を装着することなく遊技盤2の本体を、載置治具Sjを介して加工ステージS上面に載置した場合、相対的に開口面積が大きい貫通窓孔Pが形成されているために当該開口面積分だけ遊技盤2の本体の下面に作用する加工ステージSの吸引力が低下して、加工ステージS上面に固定する力が不足することが考えられる。しかしながら、加工治具9が装着された状態で遊技盤2の本体が載置治具Sjを介して加工ステージS上面に載置された場合、加工ステージSの吸引力は、遊技盤2の本体の下面および遊嵌板90の下面に作用する。これによって、遊嵌板90には加工ステージS上面に吸着する方向の力が作用し、遊嵌板90の外側へそれぞれ放射状に突出して設けられている複数の支持腕91にも加工ステージS上面へ向かう下方向の力が作用する。したがって、複数の支持腕91の下面が、それぞれ遊技盤2の本体を加工ステージS上面に載置された載置治具Sjに押止する。さらに、複数の取付ピン92がそれぞれ円孔Hに挿着される。このように、本発明の一実施例では、複数の支持腕91の下面によって加工ステージSに対する上下方向の被加工物(遊技盤2の本体)のずれやがたつきを防止できるとともに、取付ピン92によって加工ステージSに対する前後左右方向の被加工物のずれやがたつきも防止できる。
次に、図4、図8A、および図8Bを用いて、支持腕91dについて説明する。支持腕91dは、貫通窓孔P間に残る遊技盤2の本体(合板部分)が相対的に小幅となる部位(相対的に細い渡し部)を押止するように設けられる。例えば、図4に示すように、既に形成されている貫通窓孔Pと加工ステージS上面に載置されて加工される貫通窓孔Pp1との間において、当該加工後に残る合板部分が小幅となる細い渡し部Eは、機械的強度が低いために破断したり、加工時における工具と被加工物との間の共振(びびり)によって加工精度が確保できなかったりすることがある。
支持腕91dは、遊嵌板90の上面に固設され、遊嵌板90の外側へ放射状に突出するように設けられる。そして、支持腕91dは、支持腕91dの下面が渡し部Eの少なくとも一部を押止し、かつ、遊技盤2の本体を加工する部位(貫通窓孔Pp1)を避ける形状で設けられる。このように、支持腕91dが設けられることによって、遊技盤2の本体に貫通窓孔Pp1を切削加工する際、支持腕91dの下面が渡し部Eを加工ステージS上面の載置治具Sjに押止した状態で行われるため、渡し部Eの機械的強度が高い状態での切削加工が可能となる。したがって、支持腕91dが設けられることによって、渡し部Eの切削加工中の破断や、切削加工時における工具と渡し部Eとの間の共振を防止して、渡し部Eの加工精度を向上させることができる。
なお、上述した実施例では、吸引機能を有するステージ(加工ステージS)上に、載置治具Sjを介して被加工物(遊技盤2の本体)を載置し、当該被加工物を切削加工する際に加工治具9を装着する例を用いたが、他の加工を行う際に加工治具9を用いてもかまわない。
第1の例として、吸引機能を有するステージ上に、載置治具Sjを介して木質とは異なる材料の板状部材を被加工物として載置し、当該被加工物を切削加工する際に加工治具9を装着してもよい。例えば、金属や樹脂製の板状部材を被加工物とした切削加工においても、加工治具9を用いることができる。
第2の例として、吸引機能を有するステージ上に、載置治具Sjを介して被加工物を載置し、切削加工とは異なる加工や処理を当該被加工物に施す際に加工治具9を装着してもよい。例えば、被加工物の上面等を塗装、貼付、研磨等する表面加工や、被加工物の上面等に所定の部品を植設する機械加工や、被加工物の一部に圧力を加えて変形させるプレス加工や、被加工物に所定量の熱を加える熱加工や乾燥加工等、様々な加工を被加工物に施す際に加工治具9を装着してもよい。
また、被加工物の一例である遊技盤2の加工形状に複数種類ある場合であっても、同じ形状の加工治具9を用いて載置治具Sjを介して加工ステージS上面に当該被加工物を固定することができる。例えば、遊嵌板90の形状を、上記複数種類の遊技盤2における貫通窓孔Pそれぞれについて、全てに共通して開口している領域(例えば、画像表示部21を遊技機1の前面側へ露出させるための領域)の形状に合わせて形成する。そして、上記複数種類の遊技盤2全てに共通して設けられている円孔H(例えば、遊技盤2に遊技くぎや風車等を植設する際の基準となる基準孔)に、各取付ピン92を挿着するように構成すれば、上記複数種類の遊技盤2全てに共通して使用可能な加工治具9を構成することができる。
また、上述した実施例では、取付ピン92を加工治具9に設けることによって、被加工物となる遊技盤2の本体が加工ステージSに対して前後左右方向のずれやがたつきを防止しているが、加工治具9は、取付ピン92が設けられていない構成でもよい。取付ピン92が設けられていない加工治具9であっても、加工治具9が装着された状態で遊技盤2の本体が加工ステージS上面に載置された場合、加工ステージSの吸引力が、遊技盤2の本体の下面および遊嵌板90の下面に作用する。これによって、遊嵌板90には加工ステージS上面に吸着する方向の力が作用し、遊嵌板90の外側へそれぞれ放射状に突出して設けられている複数の支持腕91にも加工ステージS上面へ向かう下方向の力が作用する。したがって、複数の支持腕91の下面が、それぞれ遊技盤2の本体を加工ステージS上面に押止するため、遊技盤2の本体を加工ステージS上面に対する上下方向の被加工物(遊技盤2の本体)のずれやがたつきを防止できる。また、遊嵌板90に設けられている支持腕91は、少なくとも1つ設けられれば、上述した効果が得られることは言うまでもない。
また、上述した説明では、取付ピン92を円孔Hに挿入する作業を容易にしたり、円孔Hの寸法精度を確保したりするために、取付ピン92が挿入される対象となる円孔Hに面取Cを形成したり、当該円孔Hを段付き孔にしたりする例を用いたが、当該円孔Hは、これらの態様に限定されない。例えば、取付ピン92を挿入するための加工を、円孔Hに施さなくてもよい。この場合、遊技盤2の円孔Hは、加工治具9を取り付けて切削加工する仕様であっても加工治具9を取り付けずに切削加工する仕様であっても、同じ形状で設けられることになる。また、取付ピン92を挿入するための別の加工を、円孔Hに施してもかまわない。
また、上述した例では、図5、図8A、および図8Bを用いて説明したように、遊嵌板90の厚さを遊技盤2の厚さと同等としている。これによって、支持腕91の形状が単純となるため、加工治具9自体の形状を単純にすることができるが、このような効果を期待しない場合、遊嵌板90の厚さを遊技盤2の厚さとは異なる寸法にしてもかまわない。例えば、支持腕91の下面の形状を階段状に形成することによって、遊嵌板90を遊技盤2の厚さとは異なる厚さにすることが可能となる。
また、上述した遊技機1、遊技盤2、および加工治具9に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。