JP5563472B2 - 免疫学的効果を増大させる方法 - Google Patents

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Description

この出願は、2007年11月28日に出願された米国特許仮出願第60/990,759及び2008年5月29日に出願され、本明細書に参照のために挿入する米国特許仮出願61,056,925の35U.S.C.セクション119(e)に基づく優先権を請求するものである。
本発明は、免疫系の治療に関する。特に、本発明は、一次細胞由来バイオロジック(primary cell derived biologic)、及び免疫系の効果を改善するためにそれを使用する方法に関する。
機能性かつ免疫応答を起こし得る免疫系において、未熟樹状細胞は、抗原を取り込んだ後、リンパ節へ遊走し、そこで成熟する。得られる成熟樹状細胞は、次いで、ナイーブT細胞を活性化し、抗原特異的な細胞障害性T細胞を産生し、その細胞障害性T細胞はその後増殖し、血行中に入り、抗原性標的を探索して殺す。これは、一般に、強力で効果的かつ迅速な応答である。例えば、この免疫系は、インフルエンザ感染症を7〜12日間で回復させることができる。
免疫系が免疫応答を起こし得る場合のみ、抗原性標的を排除し得る。腫瘍やその他のさまざまな抗原性標的は、ホストの免疫系をうまく回避するための効率的に進化する戦略を有し、そして、腫瘍の免疫系からの回避(tumor evasion)を請け負うさまざまな分子及び細胞のメカニズムが同定されている。これらのメカニズムのいくつかは、免疫性抗腫瘍エフェクター細胞を攻撃する。例えば、腫瘍を担持するホスト内で、これらの細胞の機能不全及びアポトーシスは、抗腫瘍免疫応答の活性化のみを照準とする免疫療法では修正することのできない免疫不均衡を形成する。
アポトーシス、すなわちI型細胞死は、プログラム細胞死の一分類であり、ストレス、感染やDNA傷害により誘発され得る。アポトーシスは、成長の間に不可欠なプロセスであるが、一定の場合、実際に害悪になり得る。例えば、T細胞をはじめとするリンパ球/造血集団のアポトーシスは、がん治療に関連している化学療法及び/又は放射線療法の重大な問題となり得る。これらの細胞は、化学療法や放射線療法に対して敏感な傾向にある。
細胞内のアポトーシスを制御する二つの主要なメカニズム:p53系路(アポトーシス促進性)及び核内因子κB(NF−κB)系路(抗アポトーシス性)が存在する。p53は通常消失し、一方、NF−κBは恒常的に活性になるので、両系路は、腫瘍内で頻繁に調節が解除される。
リンパ球の腫瘍誘発アポトーシスは、がん患者に見られる免疫抑制において重要な役割を演ずると考えられる。抗腫瘍エフェクター細胞のアポトーシスは、腫瘍細胞表面上のFasL発現を伴っている。これは、中枢性及び抹消性の免疫寛容を維持するために活性化誘導細胞死(AICD)をトリガーすることを含む免疫機能のダウン・モジュレーションにおいてFas/FasL相互作用が重要な役割を演ずるという、文書で十分に裏付けされた証拠に基づく。多くのヒト腫瘍はFasLを発現し、活性化Fas+エフェクターリンパ球をFas/FasL系路を介して排除することができる。腫瘍細胞上でのFasL発現は、患者予後とは負に相関することが示されている。さらに、腫瘍は、膜関連FasLを膜性微細小胞(MV)の分泌を介して放出し、これにより、がん患者の末梢循環内で観察されるTリンパ球の突然のアポトーシスの説明を提供することが示されている。
出願人は、以前に、口腔がん患者の血清内で検出されたMVは、活性化Tリンパ球内のカスパーゼ−3開裂、DNA断片化、チトクロームc放出、ミトコンドリア膜電位(MMP)の低下(loss)、及びTCRζ鎖ダウン・レギュレーションを誘発したことを示した。さらに、出願人は、これらの腫瘍由来MVは、それらの特有の分子プロファイル及び免疫抑制特性によって免疫細胞由来MVと区別できることを立証した。また、最近のデータは、MVが頭頸部の扁平上皮がん(H&NSCC)患者の血清内に存在すること、及び、これらのMVは、生物学的に活性なFasLを含有し、これが末梢循環内のFas陽性T細胞の溶解を媒介することに関与するかもしれないことを示している。したがって、腫瘍由来MVの活性は、がん患者のエフェクターT細胞の機能不全や死に顕著に寄与したかもしれない。これらの細胞の喪失は、不適切な抗腫瘍機能、並びにその延長としてがんワクチンに対する不適切な免疫応答の原因であり得た。
H&NSCCは、さまざまなメカニズムによって抗原提示細胞(APC)だけでなく免疫エフェクター細胞の機能的欠陥及びアポトーシスを誘発し得ることが、説得力をもって立証されている。以前の研究で、出願人は、H&NSCC及びメラノーマ患者の末梢循環内の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及びTリンパ球の高レベルのアポトーシスを観察している。出願人はCD8+T細胞がアポトーシスに対してCD4+細胞よりも敏感であり、そしてCD8+T細胞のエフェクター及び腫瘍特異的亜集団を優先してアポトーシスの標的とすることを実証した。また、HIVを持つ人は、一般に、ヘルパーT細胞集団の劇的な減少を原因とする免疫抑制を経験する。この減少は、HIV感染ヘルパーT細胞のアポトーシスが原因である。
がん患者の免疫細胞機能不全の原因であるメカニズムは、多数さまざまである。さらに、PGE2、TGF−β、IL−10及びVEGFのような広い範囲の溶解性免疫抑制性因子や、微細環境内の腫瘍細胞や他の細胞により放出されるFasL(上記した)のようなアポトーシス促進性リガンドに加えて、サプレッサー細胞集団、すなわち、制御性T細胞(T reg)は、抗腫瘍ホスト免疫のダウン・レギュレーションにおいて鍵となる役割を果たすことが示されている。
一般的に、これらのメカニズムは、毒のある環境を産生し、これにより、過去の免疫療法的アプローチの失敗が説明される。効果的な治療成績を有するためには、免疫抑制のこれらの腫瘍誘発メカニズムに直に対処しなければならない。がん患者に見られる免疫機能不全の複数の原因に関して新しく見い出した知識では、複数の活性成分は、効果的ながん免疫療法を作る必要があることがより明らかになりつつある。しかし、効果的な免疫療法を見いだして、そのメカニズムを理解することに多くの困難が存在する。
20世紀初頭にWilliam Coleyがヒトがんの毒素誘発腫瘍後退を達成して以来、がん治療専門医は、数百の異なる免疫療法を採用してきたが、比較的まれな臨床的応答しかもたなかった。これらの失敗の原因について洞察が少ないか全くないため、一貫したメカニズムが現れなかった。明解なメカニズムを確立するためには、首尾一貫して応答を作り、次いで詳細に吟味される療法の案出が必要であった。
頭頸部扁平上皮がん(H&NSCC)は、これらの患者に見られる免疫欠陥について多くのことが知られているので、よいモデルを提供する。それらには、ほんの数例を挙げると、(Whiteside、2001;Hadden、1995):1)腫瘍、並びにプロスタグランジン、T reg、骨髄性サプレッサー細胞、抗原抗体複合体、及びIL−10のようなサイトカインを含むホスト媒介メカニズムにより誘発されるTリンパ球のアネルギー及び枯渇;2)サプレッサー及び炎症性変化の証拠となる単球/マクロファージ機能欠陥(Mantvani、2002)、並びに3)洞組織球症(SH)により特徴づけられる樹状細胞(DC)の欠陥(Dunn,2005)が含まれる。
これらの複数の欠陥を逆行(reverse)させるのに効果的治療の努力が必要であった。文献の広範囲のレビュー(Hadden、1995)及び一連の前臨床実験は、一次細胞由来バイオロジック(IRX−2としても知られる)プロトコルを産んだ。図1に示すIRX−2プロトコルは、点滴静注による低用量シクロホスファミド(CY)(300mg/m)の初回投与を採用し、制御性T細胞とたぶん他形態のサプレッサーによる抑制を逆行させる。CYに続いて、頭骨の付け根にIRX−2を10−20日連日注射してがんの局在するリンパ節のリンパ流(jugular chains)内に供給する。
IRX−2は、初期には、増大するTリンパ球数と機能を介して作用すると考えられた。最近の証拠は、Signorelliらの米国仮出願第60/990,759に開示されるとおり、腫瘍誘発アポトーシスの逆行が主要なメカニズムでもあることを示している。インドメタシン(INDO)を約21日連日投与して腫瘍及び単球/マクロファージによるプロスタグランジン産生をブロックしたが、これは公知のがん関連抑制メカニズムであった。亜鉛を、また、戦略の免疫回復成分の別の側面で投与した(Hadden、1995)。
さらに、プロトコルを開発したときは、T細胞への腫瘍抗原の提示者としての樹状細胞の決定的な役割は未知であった。また、洞組織球症(SH)がDC欠陥を反映したこと、特に腫瘍が成熟及び抗原提示の失敗を誘発したことも未知であった。出願人に対する米国特許第6,977,072及び7,153,499に開示されたメカニズムの研究は、IRX−2プロトコルがこのDC欠陥を逆行させ、そして、強力な免疫化を反映する領域リンパ節の変化を生むこと(Meneses、2003)を明らかにした。とりわけ、これらの特許は、IRX−2、好ましくはサイトカインIL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、INF−γ及びTNF−αを含むIRX−2投与により、ナイーブT細胞の産生を誘発し、そして、T細胞免疫を回復する方法を開示する。これは、ヒト成人は分子療法を介してナイーブT細胞を産生することできるとの最初の発表の1つであった。抗原提示に利用されるナイーブT細胞の出現は、免疫回復において重要であった。
IRX−2を支持するメカニズムの仮説は、治療上有効ながんワクチンのものと同様であるが、外因性抗原を必要としない。頸部に投与されるとき、薬剤は、DC上で頸部リンパ節流に直接作用して、それらの成熟と後続のナイーブT細胞への内因性腫瘍抗原提示能を促進すると考えられる。
IRX−2のメカニズムに関する非臨床データは、この薬剤は、ヒト単球由来DCを効果的に刺激かつ活性化することを示している(Egan、2007)。未熟DCのIRX−2処置は、CD83及びCCR7(それぞれ、成熟及びリンパ節移動のためのマーカー)の発現を、ナイーブT細胞への抗原提示にとって重要な分化分子とともに増大させた。さらに、IRX−2は、ナイーブT細胞の活性化にとって重要な同時刺激レセプターであるCD40、CD54及びCD86を誘発した。IRX−2処置DCの機能的変化は、抗原提示及びT細胞活性の増大を含んだ。総括すると、未熟DCのIRX−2処置は、ナイーブT細胞を効果的に刺激する成熟及び活性化DCの成長と一致する形態学上、表現型及び機能上の変化を推進する。
抗原特異的反応性が測定可能な場での限定された抗原ベースの治療上有効ながんワクチンとは対照的に、拒絶抗原がH&NSCCで発見されておらず、したがって、IRX−2療法後の抗原特異的反応性を測定する能力を限定する。
IRX−2は、Tリンパ球機能を増大し、新しい未熟T細胞を産生することを示したが、IRX−2が、一旦産生したこれらのT細胞のアポトーシスを防止したことの開示及び示唆がなく、したがって決定的実証もなく、そして、抗原提示後のT細胞機能が何であるかは公知でなかった。T細胞のアポトーシスが防止されたことを示した実験結果は存在せず、その作用のメカニズムを示唆する実験結果も存在しなかった。増殖及びアポトーシスは別個の細胞プロセスであり、増殖の原因となる因子が、プログラム細胞死から必然的に防御されると推測することは軽率である。IRX−2がT細胞の抗腫瘍応答を回復し、それらのアポトーシスを防止する適確なメカニズムは、従来技術に明示的にも内在的にも開示されていなかった。さらに、IRX−2は、がん治療の間、上記メカニズムに効果的であると示されたものの、IRX−2ががん以外の免疫抑制の他の事例と同じメカニズムを提供したという証拠はない。
個々のサイトカインは、DC成熟の促進、新規T細胞の産生、及びそれらのアポトーシス防止を介して、免疫系の各パートを完全に回復できていないだけでなく、複数のサイトカインを含む他の治療法も同様にこれをすることができていない。例えば、MULTIKINE(登録商標、Cel−Sci)は、腫瘍自体にのみ効果的であり、腫瘍細胞の細胞サイクルに影響を与える。PROVENGE(登録商標、sipuleucei−T、Dendreon)、GVAX(登録商標、Cell Genesys)、PROMUNE(登録商標、Coley Pharmaceutical Group)、Dynavax TLR 9 ISS,ONCOPHAGE(登録商標、vitespen、Antigeics)、CANVAXIN(登録商標、CancerVax)及びTROVAX(登録商標、Oxford BioMedica)は、抗原増強、樹状細胞プロセッシング及びいくつかの細胞性アジュバント活性を示すことができている。TREMELIMUMAB(登録商標、Pfizer)及びIPILIMUMAB(登録商標、Medarex and Bristol−Myers Squibb)は、T制御性細胞集団のみを標的とする。
さらに、いくつかの治療薬は、細胞アポトーシスの問題に対処している。細胞及びリンパ球のアポトーシスを防止するために開発されたいくつかの生物剤及び小分子が存在する。例えば、Maxim Pharmaceuticals,Incの国際特許出願公開WO/2006/039545は、細胞障害性Tリンパ球及びNK細胞を含む腫瘍殺傷性リンパ球をアポトーシスから防御するために、PARP−1インヒビター及び付加的な活性酸素代謝物(ROM)生成又は放出のインヒビターの投与を開示する。さまざまなサイトカインを含む細胞障害性リンパ球刺激組成物を同時投与することができる。この出願は、食細胞の隣の腫瘍により生成したフリーラジカルが腫瘍殺傷性又は細胞障害性リンパ球の機能不全及びアポトーシスの原因であることを報告する。
Cleveland Clinic Foundationの国際特許出願公開WO/2005/056041は、アポトーシスを誘発する治療から患者を防御することの可能な化合物として潜在型TGF−βを開示する。この潜在的なTGF−βは、NF−κB活性を誘発し、したがってアポトーシスを防止する。
Fundacion de Ia Comunidad Valencianaの国際特許出願公開WO/2007/060524は、Apaf−1のインヒビターであり、したがって、アポトーシスインヒビターとして作用するさまざまな環状化合物を開示する。Apaf−1は、アポトソームの一部を作り上げるアポトーシスプロテアーゼ活性化因子である。カスパーゼ−9は、アポトソーム内で活性化され、アポトーシス誘発シグナルを始動する。
アミホスチン(ETHYOL、Medlmmune)は、化学療法及び放射線療法から生じる毒性を減ずるために投与される別の化合物である。より特定的には、それは、経静脈有機チオリン酸塩細胞保護剤である。
これらの現在の治療にはいくつかの欠点が存在する。生物剤には、製造に関する困難性、及び、既存の細胞集団を特異的に標的する困難性の問題がある。小分子には、体系的に使用されると毒性の問題があり得る。さらに、単一のメカニズムを有する薬剤は、リンパ球細胞集団内で抗アポトーシス性効果を促進するには複数の活性が必要なため、効能の欠如が見られる。また、これらの治療のどれも、直接には、腫瘍によって作られた免疫抑制性環境に対処していない。したがって、腫瘍誘発抑制を中和する効果的なアジュバントやアプローチが、従来技術には欠けている。
出願人の以前の仕事は、本質的に、DC成熟及びナイーブT細胞の産生、すなわち、免疫系に影響を及ぼすいくつかの特異的レベルに関して一次細胞由来バイオロジックのメカニズムを記載した。本明細書で提案するものは、一次細胞由来バイオロジックの別のレベルの効果の証拠、すなわち、リンパ球の生存の促進である。本明細書のデータは、出願人による従来開示と併せて、一次細胞由来バイオロジックは、特異的エフェクターの産生及び活性化、並びにそれらに後続する生存−各レベルの免疫系(すなわち、各アーム(arm)の免疫系)に関する調整的かつ積極的な作用を有することを示す。従来技術の組成物は、これらのレベルの1つのみに向かっている。
したがって、エフェクター産生及びエフェクター生存の両方を効果的に増強し、そして免疫系の各アームを標的として、免疫系を回復し、そして免疫抑制に対する完全なメカニズムを提供する組成物が必要である。
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジックを患者に投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして患者の免疫学的効果を増大させる工程を含む、免疫学的効果を増大させる方法を提供する。
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジックを患者に投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして患者の免疫標的を治療する工程を含む、患者の免疫標的を治療する方法を提供する。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを患者に投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして患者の腫瘍を治療する工程を含む、患者の腫瘍を治療する方法を提供する。
本発明は、さらに、有効量の一次細胞由来バイオロジックを患者に投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして患者の免疫抑制を回避する工程を含む、免疫学的に予防する方法を提供する。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを患者に投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして患者の腫瘍エスケープを回避する工程を含む、患者の腫瘍エスケープを回避する方法を提供する。
本発明の他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と関連して参照することにより容易に理解される。
図1は、IRX−2プロトコルを表示する。
図2は、化学阻害剤及びNSAIDと組み合わせたIRX−2のメカニズムの説明である。
図3は、IRX−2のメカニズムの説明である。
図4Aは、フロー・サイトメトリーでアネキシンV結合を分析したCD8+ジャーカット細胞を示し、図4Bは、FITC−VAD−FMK染色及びフロー・サイトメトリーで検出したカスパーゼ活性を示し、図4Cは、後に各種アポトーシス誘発剤を用いてインキュベーションするアネキシンV陽性/7−AAD陰性ジャーカット細胞の平均%+/−標準偏差(SD)を示し、そして、図4Dは、後に各種アポトーシス誘発剤を用いてインキュベーションするFITC−VAD−FMK+ジャーカットT細胞の平均%+/−SDを示す。
図5Aは、CD8+ジャーカット細胞の時間経過解析を示す、図5Bは、濃度経過解析を示す。
図6は、CD8+ジャーカット細胞のさまざまな治療のためのFITC−VAD−FMK陽性細胞の割合(%)のグラフを示す。
図は、IRX−2又はサイトカインを用いた治療と腫瘍−微細小胞(MV)を用いたインキュベーション後のジャーカットCD8+におけるカスパーゼ−活性のグラフである。
図8Aは、ヒト末梢血プレ活性化CD4+細胞のグラフであり、図8Bはで腫瘍MV(15μg)処置し、そして指示されたサイトカイン又はIRX−2でプレ処置たヒト末梢血プレ活性化CD8+細胞のグラフである。
図9Aは、活性化ヒト末梢血プレ活性化CD4+細胞のグラフであり、図9Bは、CH−11 Ab(400ng/mL)で処置し、続いて指示されたサイトカイン又はIRX−2でプレ処置したヒト末梢血プレ活性化CD8+細胞のグラフである。
図10Aは、CD8+ジャーカット細胞におけるカスパーゼ−3及び7の活性をフロー・サイトメトリーによりカスパーゼ3/7−FAM結合について評価し、図10Bは、CD8+ジャーカット細胞におけるカスパーゼ−3活性を示すウエスタン免疫ブロットを示す。
図11Aは、CD8+ジャーカット細胞をフロー・サイトメトリーでカチオン染料JC−1の赤色蛍光の減少(MMPの低下を示す)について分析し、図11Bは、JC−1 red陰性細胞の割合(%)のグラフを示す。
図12Aは、CD8+ジャーカット細胞の蛍光顕微鏡検査であり、それは、未処置(a)、IRX−2単独に用いた24時間のインキュベーション(b)、MV単独の24時間(c)、又はIRX−2を用いた24時間のプレインキュベーションと、続くMVで24時間処置(d)、並びにその後、TUNEL法で染色して、アポトーシスの指標であるDNAストランド切断(赤核)を露わにする、並びに図15Bは、上記共培養におけるTUNEL陽性CD8+ジャーカット細胞の割合(%)のグラフである。
図13は、さまざまな処置でのCD8+ジャーカット細胞のウエスタンブロットを示す。
図14Aは、IRX−2を用いたプレ処置が、プロ−及び抗アポトーシス性タンパク質の比におけるMV誘発変化を逆行させ、図14BはIRX−2処置がプロ−及び抗アポトーシス性タンパク質の発現を調節することを示す代表的トッドプロット及び対応のヒストグラムを示す。
図15Aは、さまざまな処置でのCD8+ジャーカット細胞のウエスタンブロットであり、図15Bは、FITC−VAD−FMK陽性細胞の割合(%)のグラフである。
図16は、IRX−2の場合のin vivo投与応答のグラフである。
図17は、4群の患者における生存率の割合(%)のグラフである。
図18は、4群の患者におけるリンパ球浸潤のメジアン%のグラフである。
図19は、リンパ球のH&E染色写真である。
図20は、リンパ球浸潤のH&E染色写真である。
図21は、応答者(responders)におけるリンパ性浸潤密度のグラフであり、図21Bは、非応答者(non−responders)におけるリンパ性浸潤密度のグラフである。
図22は、腫瘍内(INTRA)/腫瘍周囲(PERI)のリンパ球浸潤場所のグラフである。
図23は、CD45RO+記憶T細胞のIHC染色写真である。
図24は、0日及び21日目の融合FDG PET/CTスキャン写真である。
図26は、ステージIVa患者の全生存率のグラフである。
図27Aは、節サイズのグラフであり、図27BはT細胞領域のグラフであり、図27Cは、洞組織球症のグラフであり、図27Dは、T細胞密度をコントロール、H&NSCCコントロール及びIRX−2投与H&NSCC患者で比べたグラフである。
図28Aは、洞組織球症をもつ頭頸部がん患者の典型的リンパ節のH&E染色写真であり、図28Bは、洞組織球症をもつ頭頸部がん患者の典型的リンパ節のH&E及びCD68染色の写真であり、図28Cは、洞組織球症をもつ頭頸部がん患者における赤血球うっ血(erythrocyte congestion)したリンパ節H&E染色の写真であり、図28Dは、IRX−2処置はリンパ節内の活性化樹状細胞数を増加させることを示すグラフである。
図29A−Cは、頭頸部がん患者の腫瘍サンプルのH&E染色の写真であり、リンパ球浸潤の欠如を示している。
図29D−Fは、IRX−2処置後の頭頸部がん患者の腫瘍検体のH&E染色写真であり、リンパ球浸潤の欠如を示している。
図30は、応答者及び非応答者における繊維化及び壊死のグラフである。
図31Aは、腫瘍断片化の写真であり、図31Bはリンパ球浸潤の写真であり、図31C−DはキラーT細胞の写真である。
図32は、アップ・レギュレーティングキー活性化レセプターにより樹状細胞機能を回復するIRX−2のメカニズムの表示である。
図33Aは、IRX−2による抗原提示(HLA−DR)増大のグラフであり、図33Bは、IRX−2による同時刺激増大(CD86)のグラフである。
図34Aは、IRX−2によるCD40アップ・レギュレーションのグラフであり、図34Bは、IRX−2によるCD54のアップ・レギュレーションのグラフである。
図35は、IRX−2を用いたCD83発現のグラフである。
図36は、IRX−2処置後の、樹状細胞媒介T細胞刺激のグラフである。
図37Aは、遅延型過敏性のグラフであり、図37BはIRX−2を用いたIFN−γ増大のグラフである。
図38は、処置間で比べた遅延型過敏性のグラフである。
図39は、末梢循環における免疫性細胞の作用の証拠を示す。
図40は、IRX−2処置でのT regカウントのグラフである。
図41Aは、IRX−2でプレ処置した腫瘍の写真であり、図41BはIRX−2でポスト処置した腫瘍の写真である。
本発明は、全般的に、腫瘍及び免疫系全般の両方に関するIRX−2のメカニズムへの適用に向けられ、そして、一次細胞由来バイオロジックの投与により免疫標的を治療する方法を提供する。一次細胞由来バイオロジックは、以下に説明するとおり、免疫応答不能を逆行させ、そして免疫応答を強化することにより、免疫標的の免疫拒絶(immune rejection)を作りだす。
とりわけ、本発明の一次細胞バイオロジックは、免疫系(細胞性及び液性)の各アームに影響を及ぼし、そして、それをすることによって、一次細胞由来バイオロジックは、免疫系を効果的に強化することができる。一次細胞由来バイオロジックは、免疫形成の誘発と、免疫破壊のブロックの両方を行い、その結果として、正味のポジティブな免疫効果が存在する。すなわち、免疫破壊の効果が逆行されるだけでなく、その逆行にもかかわらず免疫形成が増大する。したがって、免疫系は、液性及び/又は細胞性応答が存在した場合や、免疫破壊の抑制だけが減少した場合よりもさらに大きな段階まで強化される。免疫系のすべての側面は、図3に示すとおり、一次細胞由来バイオロジックの投与により影響を受け、それは、樹状細胞成熟、ナイーブT細胞産生、効果的抗原提示、アポトーシス防止、及びリンパ球による腫瘍浸潤を含む。一次細胞由来バイオロジックが免疫系のすべての側面に影響することは、免疫系の一側面にのみ向かう以前の療法と異ならせ、かつより効果的にする。
一次細胞由来バイオロジックは、言葉の古典的意味において「ワクチン」ではないが、それは、ワクチンのように一定の機能をする。古典的なワクチンは、免疫応答を起こし得る免疫系を「オンする」のに使用され、伝統的に予防設定においてのみ効果的であった。しかし、一次細胞由来バイオロジックは、免疫応答を起こす能力のない免疫系を逆行させ、すなわち、免疫標的や他の療法(例えば放射線、化学療法)が免疫応答を起こす能力を無くさせているものを、このインコンピーテンスを逆行させる。すなわち、一次細胞由来バイオロジックは、免疫応答不能患者を免疫応答可能にすることができる。これは、がんや慢性ウイルス性感染症のような免疫標的を治療する際に重要な工程である。
定義
本明細書で使用する用語「免疫標的」は、ホストの患者に抗原性を示すことができ、そして患者を苦しめるすべての抗原性の発生源又は実体を意味する。一般に、そのような標的(免疫原性病原体、腫瘍など)は、免疫応答を起こし得る患者において免疫応答を誘発したであろう表面抗原を見せる。さらに、外因性抗原は、免疫応答を起こし得る患者において免疫攻撃を受けやすい他の非免疫原性免疫標的の原因となり得る。特に本発明に関して、免疫標的は、免疫系がなんらかの原因から免疫応答不能のために非応答性である免疫原性又は潜在的免疫原性である。本発明において、免疫標的は、免疫抑制を逆行させ、免疫系を機能するように回復する一次細胞由来バイオロジックにより免疫応答を起こし得るようにされた免疫系により「標的される」。
免疫応答不能(immune incompetence)は、免疫系の成分の遺伝学的欠陥によって起こり得る(内在性又は一次免疫欠陥)。免疫抑制は、また、外部要因により起こり得る(二次免疫欠陥)。例えば、AIDSやHIVのような疾患、放射線(放射線療法)、化学療法、栄養失調、熱傷、感染症及びがん(腫瘍)が免疫抑制をほう起する。
本明細書で使用する「アポトーシス」は、細胞死を意味する。上記したように、アポトーシス(TypeI細胞死)は、ストレス、感染やDNA傷害のようなさまざまな理由で起きるプログラム細胞死の一形態である。リンパ球のアポトーシスは、がん関連療法(化学療法、放射線)及びアポトーシス誘発因子を作る腫瘍自体のような(ただし限定されない)さまざまな現象により誘発され得る。
本明細書で使用する「有効量」は、本発明の所望する結果を達成する、すなわち、リンパ球や他の造血性成分をアポトーシスから防御し、免疫標的を攻撃する免疫系を活性化するのにも必要な一次細胞由来バイオロジックの量を意味する。当業者は、特定の患者に与えるべき一次細胞由来バイオロジックの有効量を決定することができる。
本明細書で使用する「免疫学的効果を増大させる」は、免疫応答不能(incompetent)な免疫系を、免疫応答可能(competent)な免疫系に変化させるプロセスを意味する。免疫系の単一成分の機能が、免疫応答を起こす能力のないから免疫応答を起こし得るに逆行され、好ましくは、複数の成分の機能は、免疫応答不能から免疫応答可能に反転される。したがって、免疫系が免疫標的に対して持つ効果は増大する。免疫応答を起こし得る免疫系は、腫瘍及び他の免疫標的を効果的に破壊することを必要とする。免疫の構築が存在するようにオンするだけでなく、ブレイクダウンを防止する。
本明細書で使用する「リンパ球」は、免疫系内で存在する白血球細胞を意味し、そして大顆粒リンパ球(ナチュラルキラー(NK)細胞)並びに小顆粒リンパ球(T細胞及びB細胞)を含む。
本明細書で使用する「一次細胞由来バイオロジック」は、サイトカイン、好ましくは天然及び非組換サイトカイン、また、以前から公知の天然サイトカイン混合物(NCM)の組み合わせである。好ましくは、一次細胞由来バイオロジックは、以下に記載するようなIRX−2(サイトプルリキン、citoplurikin)であり、二つの用語が、この出願を通して意図される意味から逸脱せずに互換可能に使用し得る。
「サイトプルリキン」としても公知の「IRX−2」は、フィトヘマグルチニン(PHA)及びシプロフロキサシン(CIPRO)により刺激された精製ヒト白血球細胞(単核細胞)により作られる白血球由来の天然一次細胞由来バイオロジックである。主要な活性成分は、インターロイキン1β(IL−1β)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、及びγ−インターフェロン(IFN−γ)である。好ましくは、本発明で使用するIRX−2は、これらの6つの重要なサイトカインを含む。IRX−2は、また、以前に、米国特許第6,977,072及び7,153,499で定義及び開示される「NCM」(天然サイトカイン混合物)として呼ばれている。
簡略的には、IRX−2は、4−アミノキノン抗生物質の持続的存在下、及び、ミトーゲン(好ましい実施態様ではPHAである)の持続的又はパルス化した存在とともに調製される。しかし、他のミトーゲンもまた使用可能である。患者への投与のために作製されるIRX−2は、60〜6,000pcg/mL、より好ましくは150〜1,800pcg/mLの範囲にある濃度のIL−1β、600〜60,000pcg/mL、より好ましくは3,000〜12,000pcg/mLの範囲にある濃度のIL−2、並びに200〜20,000pcg/mL、より好ましくは1,000〜4,000pcg/mLの範囲の濃度のIFN−γ及びTNF−αを含有する。
IRX−2は、また、60〜6,000pcg/mL、より好ましくは300〜2,000pcg/mLの範囲にある濃度の濃度IL−6、6000〜600,000pcg/mL、より好ましくは20,000〜180,000pcg/mLの範囲にある濃度のIL−8、200〜20,000pcg/ml、より好ましくは1,000〜4,000pcg/mLの範囲にあるTNF−αを含有する。組換体、天然又はペグ化サイトカインを使用でき、あるいはIRX−2は組換体、天然又はペグ化したサイトカインの混合物を含み得る。本発明のIRX−2は、さらに、IL−7、IL−12、IL−15、GM−CSF(濃度は、100〜10,000pcg/mL、より好ましくは500−2,000pcg/mLの範囲にある)及びG−CSFのような他の組換体、天然又はペグ化したサイトカインを含み得る。IRX−2の作製方法は、上記した特許及び米国仮出願第61/044,674に開示される。
化学阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、亜鉛及びこれらの組み合わせのような他の化合物もまた、IRX−2とともに投与できる。化学阻害剤は、免疫及び/又は免疫応答を増大する、例えば好ましくは免疫抑制又は抑制因子のメカニズムを体内において抑制するように免疫修飾効果を有するすべての化学療法剤(好ましくは低用量で使用)であり得る。好ましい実施態様によれば、化学阻害剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬及び抗生物質をはじめてとする(しかし、限定されない)抗悪性腫瘍薬である。化学阻害剤は、また、サリドマイドのような免疫調節剤であり得る。化学阻害剤は、塩又は他の複合体の形態であり得る。好ましくは、化学阻害剤は、アルキル化剤シクロホスファミド(CY)である。NSAIDは、好ましくはインドメタシン(INDO)であり、これは、CoxI及びCoxIIインヒビターの両方である。NSAIDは、また、イブプロフェンや、セレコキシブ及びロフェコキシブのようなCoxIIインヒビター又はこれらの組み合わせであり得る。共に使用する4つの成分(すなわち、化学阻害剤、NSAID、一次細胞由来バイオロジック及び亜鉛)は、免疫標的によって作られる抑制型環境に取り組んで、患者の細胞性免疫応答を回復することができる。とりわけ、図2に示されるように、化学阻害剤はT制御性細胞を抑制し、NSAIDはプロスタグランジンによる局所的免疫抑制を逆行させ、一次細胞由来バイオロジックは樹状細胞を活性化し、T細胞を刺激し、そしてT細胞をアポトーシスから防御し、亜鉛はT細胞機能のためのキー栄養素を提供する。この連合した作用は、内因性及び外因性の両抗原への免疫応答を鼓舞する。
本明細書で使用する「腫瘍エスケープ」は、腫瘍がホストの免疫系から逃れるすべてのメカニズムを意味する。

一次細胞由来バイオロジックの全体メカニズム
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして免疫学的効果を増大させる工程を含む、免疫学的効果を増大させる方法に向けられる。

免疫形成
免疫形成は、未熟樹状細胞を成熟化することにより誘発され、得られる成熟樹状細胞は、ナイーブT細胞を活性化し、血液中のB及びT細胞の集団を改変(modifying)し、領域リンパ節を活性化し、免疫標的に隣接する領域へTヘルパー細胞及びB細胞を浸潤させ、そして、免疫標的をTキラー細胞及びマクロファージで浸潤させる。
一次細胞由来バイオロジックは、樹状細胞の成熟をほう起させ、そして、米国特許第6,977,072及び7,153,499に記載されるようにナイーブT細胞産生を誘発する。成熟樹状細胞は、次いで、ナイーブ及び記憶T細胞へ抗原を提示し、それらを活性化することができる。
B及びT細胞の集団は、IRX−2投与が原因でアップ・レギュレート又はダウン・レギュレート、すなわち、改変される。改変される血液内B及びT細胞集団は、とりわけ、ナイーブT細胞及びアーリー(early)記憶T細胞の集団である。改変されるナイーブT細胞の集団は、CD3+CD45RA+CCR7+である。これは、ナイーブT細胞を記憶及びエフェクターT細胞へ分化することにより達成されるが、これは時間依存性プロセスである。セントラル(central)記憶T細胞は、また、血流から出させられ、流入リンパ節に遊走する。すなわち、ナイーブT細胞のレベルの改変は、免疫標的を効果的に攻撃することのできるより進歩した形態のT細胞にナイーブT細胞が分化することの結果である。血液中のB細胞集団もまた、改変され、なぜなら、B細胞はリンパ節へ動員され、抗原へ曝され、免疫標的へ遊走し、そして免疫標的を攻撃するからである。とりわけ、B細胞は、抗体を作製し及び/又は抗体依存性細胞障害活性をサポートすることにより、免疫標的を攻撃する。
領域リンパ節は、それらの拡大、リンパ球の補給、及び洞組織球症を逆行することによって証明されるように、活性化される。免疫標的に対する抗原免疫化は領域リンパ節内で起きる。
免疫標的に隣接する領域の浸潤は、主に、CD45RA+、CD3+、及びCD4+Tリンパ球並びにCD20+Bリンパ球による。免疫標的に隣接する領域は、免疫標的自体の表面から、表面からの一定距離までの範囲にわたる。免疫標的自体の浸潤、すなわち、免疫標的内に直接に浸潤することは、CD45RO+、CD3+、及びCD8+リンパ球(すなわちキラーT細胞)並びにCD68+マクロファージとともに起きる。各浸潤プロセスは、液性(抗体により媒介される)と細胞性(細胞により媒介される)免疫を作ることに寄与する。

免疫破壊のブロック
免疫破壊は、活性化T細胞をアポトーシスから防御することによってブロックされる。腫瘍エスケープのメカニズムの1つには、腫瘍由来微細小胞(MV)により媒介されたアポトーシスを介したCD8+エフェクターT細胞を標的とした排除が関係する。免疫抑制性MVは、がん患者から得た腫瘍性病変、血清、腹水及び胸水内に見いだされており、そして、これらの患者内のエフェクターT細胞のアポトーシス及びTCR変質とつながっている。MVが駆動するエフェクターT細胞の排除(これは、抗腫瘍のホスト防御にとって必要である)は、腫瘍エスケープとがん進行に寄与する。したがって、抗腫瘍エフェクター細胞の機能不全及び死からの防御は、免疫療法の主要な目的である。臨床及び実験データは、一定のサイトカイン、特に共通のレセプターY鎖を用いる生存性サイトカインは活性化T細胞を腫瘍誘発死から防御し、そしてそれらの抗腫瘍活性を増強することができることを示す。
とりわけ、IRX−2がT細胞をアポトーシスから防御するのにいくつかの方法が存在する。抗アポトーシス性シグナル分子(すなわち、JAK−3及びホスホ(phosphor)−Akt)発現がアップ・レギュレートされ、そして、アポトーシス促進性分子(すなわち、SOCS−2)発現がダウン・レギュレートされる。CD8+及びCD4+Tリンパ球におけるカスパーゼ活性化が減少し、cFLIP発現が増大する。PI3K/Akt生存系路の抑制は、IRX−2により防がれる。T細胞は、外因性アポトーシス(MV誘発及びFasL誘発アポトーシス)並びに内在性代謝性(細胞性ストレス又はDNA傷害関連)アポトーシスの両方から防御される。
外因性MV誘発アポトーシスからの防御は、さらに、JAK3、CD3−ζ、及びSTAT5のダウン・レギュレーションを防止すること、Akt−1/2の脱リン酸化を抑制すること、並びにBax/Bcl−2、Bax−Bcl−xL及びBim/Mcl−1のバランスのよい比率を維持することにより達成される。MV誘発アポトーシスからの防御は、また、カスパーゼ−3及びカスパーゼ−7の活性の誘発防止により達成される。とりわけ、カスパーゼ−3の活性開裂形態の誘発が、ミトコンドリア膜電位の低下のとおり、防御される。核DNA断片化は抑制される。IRX−2による内因性アポトーシスからの防御は、活性化T細胞のスタウロスポリン誘発アポトーシスからの防御によって示される。
重要なことは、IRX−2のサイトカインが、活性化T細胞をアポトーシスから相乗的に防御する。すなわち、IRX−2におけるサイトカインの組み合わせが、個々のサイトカインを単独に投与するときに見られるよりも大きな影響を作る。
投与される一次細胞由来バイオロジック、すなわち、IRX−2は、好ましくは上記したとおりである。化学阻害剤、低用量のシクロホスファミドは、好ましくはIRX−2の投与前に投与され、これは、制御性T細胞リンパ球による抑制を逆行させる。NSAID(好ましくはインドメタシン)及び亜鉛は、また、IRX−2レジメンの間、連日投与することができる。さらに、IRX−2の用法を以下に記載する。
免疫形成を誘発すること及び免疫破壊をブロックすることは、本質的に、以前は免疫応答を起こす能力のなかった患者の免疫系の細胞性及び液性のアームを回復及び強化する。これは、上記したようにナイーブT細胞集団を回復する、T及びB細胞を活性化する、白血球の免疫標的内及び近くへの浸潤を促進する、そして免疫応答の期間を伸長することにより達成される。免疫形成を誘発し、そして免疫破壊をブロックするこれらの工程は、ともに、免疫学的効果の増大の証拠となり、なぜなら、免疫系の各アームが、免疫応答を起こす能力のないから免疫応答を起こし得るに変化し、したがって、免疫標的が効果的に攻撃及び破壊されるからである。
抑制された免疫系又は免疫応答不能を有する患者は、IRX−2処置から恩恵を受け、彼らの免疫系を正常又は高レベルの機能まで回復してもらい、すなわち、彼らは免疫応答不能の逆行及び免疫学的効果の増大を有する。例えば、腫瘍及び他の免疫標的は、その免疫標的を攻撃する必要があるさまざまな免疫成分をダウン・レギュレートする傾向がある。免疫標的は、免疫系による有効な攻撃を回避する防備を有する。さらに、免疫抑制された患者の樹状細胞は、T及びB細胞を免疫標的の存在に寛容になるように誘発することができる。しかし、一旦、免疫系は抑圧から解除され、そして、免疫応答不能から免疫応答可能に転換すると、これらの免疫標的は攻撃を受けやすい。IRX−2は、免疫標的に対して樹状細胞の成熟を誘発することによって、免疫寛容を壊し、成熟樹状細胞により活性化されるナイーブT細胞の産生を奨励し、抑制を圧倒し、T細胞アポトーシスを回避する。このようにして、IRX−2は、免疫標的の防御作用のすべてに打ち勝つために上記した免疫系のアームのそれぞれを活性化する。

他の実施態様
本発明の方法のそれぞれにおいて、限定されない手術、放射線療法、化学療法又はこれらの組み合わせのような療法をさらに増強するためにIRX−2投与と組み合わせてさまざまな他の手順を実行することができる。例えば、放射線療法又は化学療法(細胞破壊的プロセス)前のIRX−2投与は、これらのプロセスの結果を改善し、なぜなら、IRX−2が、Tリンパ球をアポトーシスから防御することにより細胞防御として働くからである。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そしてを免疫標的を治療する工程を含む、免疫標的を治療する方法を提供する。これらの工程は、免疫標的の免疫拒絶の証拠を作る。すなわち、免疫防御を誘発すること、及び免疫破壊をブロックすることは、免役標的は破壊されねばならないと免疫系が認識している証拠であるとともに、免疫系は正常に(又は以前の疾患又は免疫抑圧状態よりも高レベルに)機能するように回復されている証拠である。
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、上記したように免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして腫瘍を治療する工程を含む、腫瘍の治療方法を提供する。とりわけ、腫瘍を治療する方法は、血液中のB及びT細胞の集団を改変し、領域リンパ節を活性化し、腫瘍をTヘルパー及びB細胞で腫瘍周囲浸潤し、腫瘍をキラーT細胞及びマクロファージで腫瘍内浸潤し、そして、腫瘍を治療することにより達成される。キラーT細胞は、未熟樹状細胞を成熟化し、ナイーブT細胞を活性化し、得られる成熟樹状細胞がナイーブT細胞を刺激し、そして、ナイーブT細胞をキラーT細胞へ分化することにより作成される。本明細書で証明されるとおり、ナイーブT細胞は、今般、キラーT細胞へ分化し、そして、腫瘍が治療及び破壊されるよう腫瘍に向けられる。これらの各工程は、上記したとおりである。以下の実施例で腫瘍の軟化、腫瘍が引き起こす痛みの減少、腫瘍サイズの減少、腫瘍断片化、腫瘍壊死、及び腫瘍繊維化により証明されるとおり、IRX−2がさまざまなステージのがんの腫瘍を治療することが示される。本質的に、免疫の細胞性及び液性のアームの抑圧を解除しそして強化し、その結果、腫瘍が効果的に治療及びがん撲滅され、すなわち、患者から完全に排除される。
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、上記したように、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして免疫抑制を防止する工程を含む、免疫学的に予防する方法を提供する。免疫学的予防は、免疫系が抑圧されることからの回避である。一次細胞由来バイオロジックは、特に未熟樹状細胞を成熟化し、ナイーブT細胞を活性化し、得られる成熟樹状細胞がナイーブT細胞を活性化し、活性化ナイーブT細胞をアポトーシスから防御(特に化学療法又は放射線療法を行う前に投与するとき)し、ナイーブT細胞を記憶及びエフェクターT細胞へ分化し、領域リンパ節を活性化して、免疫系が抑圧されないようにすることにより、免疫系のすべてのパーツを活発に作動させる。これらの各工程は上記したとおりである。もし、患者が生物学的因子のせいで免疫抑制になりやすいなら、この患者に予防的にIRX−2を与えて、それらの免疫系が低下するのを回避する。例えば、患者が、がんの進行を促す一定の遺伝学的因子を有するならば、IRX−2を投与して、がんなどの免疫標的が出現したときに免疫系が免疫標的を攻撃する準備をするようになる。
本発明は、さらに、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、上記したように、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックし、そして腫瘍エスケープを防止する工程を含む、腫瘍エスケープを防止する方法を提供する。とりわけ、腫瘍エスケープは、血液中のB及びT細胞の集団を改変し、領域リンパ節を活性化し、腫瘍をTヘルパー及びB細胞で腫瘍周囲浸潤し、腫瘍をキラーT細胞及びマクロファージで腫瘍内浸潤することで腫瘍の免疫後退を作ることにより防止される。こららの各工程は、上記したとおりである。多くの腫瘍は、免疫抑制性シグナルを現すことで免疫応答に抵抗する。免疫系は、IRX−2により抑制が解除され、腫瘍エスケープとそれに続く転移が防止される。重要なことは、以下の実施例での患者は、IRX−2処置後には、腫瘍再発の減少又は遅延を経験し、これは、IRX−2が腫瘍エスケープを防止することを示している。
本発明は、有効量の一次細胞由来バイオロジック(IRX−2)を投与し、そして、活性化T細胞をアポトーシスから防御する工程を含む、活性化T細胞をアポトーシスから防御する方法を提供する。本質的には、活性化T細胞をアポトーシスから防御する方法は、それらの抗腫瘍活性を増強し、なぜなら、T細胞は、より長く生き、その必要な機能を実行するからである。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、ナイーブT細胞の産生を刺激し、ナイーブT細胞を活性化し、活性化T細胞をアポトーシスから防御し、そして、T細胞の抗腫瘍活性を増強する工程を含む、T細胞の抗腫瘍活性を増強する方法を提供する。ナイーブT細胞は、米国特許第6,977,072及び7,153,499に開示されるとおり、IRX−2の投与に応答して作製される。これらのナイーブT細胞は、腫瘍抗原の提示を介して活性になり、そして成熟する。本発明によれば、IRX−2は、今般、これらの活性化T細胞をアポトーシスから防御することが可能である。この防御は、上記したとおりに達成される。
本発明は、扁平細胞頭頸部がん(H&NSCC)、肺がん、腎細胞がん、乳癌、結直腸がん(ただしこれらに限定されない)のようながんを患っているがん患者のアポトーシスを回避するのに有益である。さらに、本発明は、ヘルパーT細胞のアポトーシス防止することによりHIV患者の免疫抑制を防止及び/又は逆行させるのに使用可能である。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジック(IRX−2)を投与し、そして、リンパ球の寿命を延ばす工程を含む、リンパ球の寿命を延ばす方法を提供する。IRX−2によって影響を受けるリンパ球は、好ましくはT細胞である。IRX−2は、さらに、B細胞及び造血集団(樹状細胞、単球及び骨髄性細胞)のようなアポトーシスの影響を受ける他の細胞の寿命を延ばすことが可能である。IRX−2は、T細胞を別の死から防止し、こうして、その寿命を延ばし、そして、それに例えば細胞溶解活性やTヘルパー活性がプログラムされる抗腫瘍効果を獲得しかつ発揮させる。すなわち、IRX−2は、T細胞のアポトーシスを防止し、こうしてT細胞の寿命を延ばす。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジック(IRX−2)を投与し、T細胞の細胞防御的効果を作り、そして、放射線療法、化学療法及びこれらの組み合わせなど(ただしこれらに限定されない)のがん療法を実行する工程を含む、細胞防御的がん療法を提供する。通常、放射線及び化学療法などのがん療法は、T細胞のアポトーシスを誘発することにより免疫を抑圧し、すなわち、それらは、細胞破壊的である。本発明は、細胞破壊的作用を妨げ、免疫機能を保全し及び/又は治療後の回復を促進する。
本発明にはアポトーシスに関していくつかの利点が存在する。まず、本発明で使用する一次細胞由来バイオロジックは、確固したかつ一貫したやりかたで製造される詳細に明らかにされたバイオロジック(IRX−2)である。これは、以前に開示されたT細胞をアポトーシスから防御することができるがしかし確固として製造されない従来技術の化合物と異なる。さらに、本発明で使用する一次細胞由来バイオロジック中のサイトカインは、以下の実施例で証明されるように、複数の細胞型の免疫系に相乗的に作用し、単一の組換体サイトカインを用いて同等の結果を達成するのに必要とされるよりもはるかに低用量にて対等の免疫応答を生ずる。
以下の実施例に示されるように、IRX−2は、腫瘍由来MVによって媒介されるアポトーシスからT細胞を防御することが可能であることが測定された。IL−2のようなIRX−2に存在するいくつかのサイトカインは、抗アポトーシス性作用を有することが知られている。したがって、IRX−2がT細胞に対して促進作用とともに防御作用を有するかどうか評価することは妥当であった。T細胞の生存強化及び機能促進の複合効果は、in vivoでのIRX−2の明らかな相乗作用の基礎をなす。以前に確立されたin vitroモデルの腫瘍誘発アポトーシスを用いて、IRX−2が生存系路の活性化を通してT細胞に腫瘍由来MVによって媒介されるアポトーシスから強い防御を提供し、それによりがん関連免疫抑制を効果的に対抗することが本明細書で実証される。これらの実験の結果は、以下の実施例に表される。したがって、IRX−2が免疫系の新規なアームに対して効果的であり、免疫系のアームを回復し、すなわち、リンパ球のアポトーシスを防止することが本明細書に示される。
膜型のFasLを発現する腫瘍由来微細小胞(MV)は、PCI−13腫瘍株化細胞から精製し、CD8+ジャーカット細胞又は活性化末梢血(PB)T細胞とともに共培養した。FasL(Fasリガンド)は、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するII型膜貫通タンパク質である。FasL−レセプター相互作用は、免疫系の制御及びがんの進行において重要な役割を演ずる。アポトーシスは、FasLがそのレセプター(FasR)に結合し三量体を形成すると誘発し、これは、標的された細胞の膜を死へ至らせる。
CD8+ジャーカットT細胞及び活性化PB T細胞の腫瘍由来MVを用いたインキュベーションは、アネキシン結合の増大(64.4%±6.4)、カスパーゼ活性化(58.1%±7.6)、ミトコンドリア膜電位(MMP)の低下(82.9%±3.9)、DNA−断片化で証明されるとおり、アポトーシスを顕著に誘発した。
IRX−2を用いたT細胞のプレインキュベーションは、用量及び時間依存的(p<0.001〜p<0.005)にアポトーシスを抑圧した。IRX−2のCD8T細胞に関する観測された防御効果は、組換体IL−2又はIL−15単独の細胞防御作用と等価であったが、IL−7より勝っていた。しかし、IRX−2はCD4T細胞のアポトーシスからの防御に関してより大きな効果を有した。IRX−2がIL−7やIL−15 含まず、そして、当量の組換体IL−2よりも効果的にアポトーシスからCD4+T細胞を防御することはIRX−2の特異的成分がT細胞をアポトーシスから防御するために相乗的に作用することを意味する。
IRX−2は、T細胞内でJAK3及びTCR関連ζ鎖のMV誘発ダウン・レギュレーションを抑圧し及びStat5強活性化を誘発した。フロー・サイトメトリー分析は、アポトーシス促進性タンパク質Bax及びBimのMV−媒介アップ・レギュレーションを抑圧し(p<0.005〜p<0.05)、そして、抗アポトーシス性タンパク質Bcl−2、Bcl−xL、FLIP及びMcl−1の発現を同時に回復する(p<0.005〜p<0.01)ことにより、IRX−2がT細胞内のプロ−及び抗アポトーシス性タンパク質のMV誘発不均衡を逆行させること示した。さらに、IRX−2処置は、PI3K/Akt生存系路のMV誘発抑制に対抗した。特異的Aktインヒビター(Akti−1/2)は、IRX−2の防御効果を抑制するが、これは、PI3K/Akt系路がIRX−2媒介生存シグナル伝達の重要な役割を演ずることを示す。PI3K/Akt系路は、アポトーシスを防止する際の主要成分であり、この系路の活性化は、アポトーシスの多くの異なる誘発因子を阻止する。これらの研究は、IRX−2を用いたの短いex vivoプレ処置は、T細胞の腫瘍誘発アポトーシスからの強力な防御をもたらすことを示す。腫瘍微細環境の免疫抑制性感応に抵抗力が有するエフェクターT細胞は、抗腫瘍ホストの防御に不可欠なので、IRX−2の利用は、がん生物学的治療の効果を顕著に改善する。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、T及びB細胞の変化を検出し、そして患者の免疫化を誘発する工程を含む、患者の免疫化の誘発する方法を提供する。上記した、循環T及びB細胞サブセット組成の変化は、リンパ球産生、分化、及び輸送の変更に反映され、すなわち、それらが分化するか他の領域へ移動するので、血液中のT細胞及びB細胞のレベルの修正が起きる。サブセット組成の変化は、免疫化が患者内で誘発されている証拠である。
本発明は、また、有効量の一次細胞由来バイオロジックを投与し、腫瘍周囲のTヘルパー細胞及びB細胞の増大並びに腫瘍内のTキラー細胞及びマクロファージの増大を検出し、そして、がん治療に対して順調な治療成績を予測する工程を含む、がん治療に対して順調な治療成績を予測する方法を提供する。とりわけ、上記したように、腫瘍周囲のCD45RA+CD3+CD4+Tリンパ球及びCD20+Bリンパ球並びに腫瘍内のCD45RO+CD3+CD8+リンパ球及びCD68+マクロファージの増大が検出される。すなわち、白血球浸潤の特徴的変化は、一次細胞由来バイオロジックを用いた治療が有効であることを示すバイオマーカーである。このバイオマーカーは、一次細胞由来バイオロジックを用いた継続処置がよい結果とならない患者をスクリーニングして除き、その結果、患者は、他の選択肢を探すことができるのに使用可能である。この方法は、さまざまなアッセイやイムノアッセイ(ELISA、ラジオイムノアッセイ)及びフロー又はマイクロスコピックサイトメトリーのような高スループット法(ただし限定されない)などの治療成績を予測する自動化手段を使用可能である。

一次細胞由来バイオロジックの利点
結局、IRX−2は、免疫系のすべての側面の細胞性及び液性アームの抑制を解除しそして強化して、さまざまな免疫標的を攻撃する。すべての免疫応答不能疾患状態(上記したがん、AIDS及び他のもの)は、今般、IRX−2を介して免疫系の抑制を解除し、強化することにより逆行される。成分の組合せではあるけれども各成分がエフェクターの産生を増やし、又はそれらのアポトーシスを防止する、すなわち、免疫系の各パート上でのみ働く従来技術の治療薬とは対照的に、IRX−2は、IRX−2のサイトカインの特異的組合せが免疫系の複数のパートを実施する点において単一の「楽器」というよりむしろ「シンフォニー」として機能する。免疫系の各パートは、IRX−2投与によって経験される一効果のゲートキーパーである。免疫系のこれらの各パートは、免疫標的を攻撃するために必要である。図2及び3は、IRX−2療法によって強化されるプロセスを示している。未熟樹状細胞は、ナイーブT細胞を活性化するために成熟になる必要がある。ナイーブT細胞の産生は、また、それらが成熟樹状細胞によって抗原提示されるように誘発される必要がある。抗原が樹状細胞によりナイーブT細胞に提示されるために、ナイーブT細胞及び樹状細胞の両方とも、所属リンパ節へ遊走しなければならない。一旦、活性化されると、T細胞は、それらが、キラーT細胞へ分化して免疫標的を攻撃できるようにアポトーシスから防御されねばならない。B細胞は、また、免疫標的の攻撃を助成するためにプラズマ細胞に成熟しなければならない。IRX−2の投与は、これらのプロセスのすべてを増強し、免疫標的を攻撃する準備のできたコンピテントな免疫系を提供する。

投薬及び投与
一次細胞由来バイオロジックのin vivoへの投与は、IRX−2に関連して前記した特許に開示されるワクチン+IRX−2又はIRX−2単独の免疫療法に開示されるのと同じである。IRX−2は、好ましくは、リンパ周囲へ10日レジメンにわたって1注入当たり115単位注射するが、以下に記載する他の方法を用いて注入することもできる。別法として、他のレジームを使用することができ、そこでは、IRX−2を間欠的に投与する。例えば、1週間につき3日、又は1週間につき7日のうち5日投与することができる。以下に示すように、IRX−2は、IRX−2液の1:1〜1:10希釈度の濃度範囲(IRX−2の製造でされた媒体における希釈)にわたってアポトーシスを抑制する。
好ましくは、IRX−2は、腫瘍や他の持続性病変などの病変の所属するリンパ節に注ぐリンパ管周辺に注射される。注いでいる節における外リンパ投与は、重要である。腫瘍周囲注射は、応答、腫瘍の有糸分裂指数の増大、さらには進行にほとんど関与しないので、禁忌である。10日注射計画が最適であり、20日注射計画は、臨床上効果的であるが、がんのリンパ性浸潤によって測定されるように、TH1応答を減少させる傾向にあり、少ししか好ましくないTH2応答へ移行しやすい。両側注入が効果的である。根治的頚部郭清術が起きている場合は、対側注入が効果的である。
本発明の化合物(IRX−2を含む)は、各患者の臨床状態、投与の場所と方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別及び体重を考慮しながら、外因性又は内因性抗原のいずれかに対して最適な免疫化とともにアポトーシスからの防御を促進するために投与及び投薬される。したがって、ここでも目的のための薬学的「有効量」は、従来技術で公知の検討によって決定される。その量は、好ましくは、免疫形成を誘発し、免疫破壊をブロックするのに効果的である。その量はまた、好ましくは、免疫化、例えば腫瘍減少、腫瘍断片化及び白血球浸潤へと導き、再発を遅延し、又は生存率を改善し、あるいは兆候を改善又は排除することを促進するのに効果的である。
本発明の方法では、本発明の化合物は、さまざまな方法で投与可能であるが、好ましい方法は、外リンパ注射である。特記することは、該化合物を化合物のまま、あるいは薬学的に許容される誘導体として投与でき、そして、単独、又は、薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント及びベヒクルと組み合わせた有効成分として投与可能である。該化合物は、また、皮内又は皮下、若しくはリンパ周囲又はリンパ内、節内又は脾臓内、若しくは筋肉内、腹腔内及び胸腔内に投与可能である。化合物のインプラントもまた有益である。治療される患者は、温血動物、特にヒトを含む哺乳動物である。提示したデータは、IRX−2のヒト又はヒトに由来する細胞での活性を示し、したがって、ここに示すデータはすべて、ヒトに直接関連しかつ応用可能である。薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント及びベヒクルは、インプラント担体とともに、一般に、不活性、無毒の固体又は液体のフィラー、希釈剤、本発明の活性成分と反応しないカプセル化材を意味する。
投薬は、1回投与又は数日にわたる複数回投与であり得るが、好ましくは10日間の注射計画を使用する。本発明の化合物を投与する際、一般に、単位投与注入形式(例えば、溶液、懸濁液又はエマルジョン)に処方される。注射に適した薬理学的製剤には、無菌の水溶液又は分散液、及び無菌の注射液又は分散液に再調製するための無菌の粉末が挙げられる。担体は、溶媒又は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適当な混合物及び植物油を含有する分散媒体であり得る。
適当な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング剤の使用により、分散液の場合は要求される粒径の維持により、そして、表面活性剤の使用により維持され得る。綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ひまわり油、落花生油のような非水性ベヒクル、ミリスチン酸イソプロピルのようなエステルもまた、化合物組成物の溶媒システムとして使用可能である。さらに、抗菌性保存剤、抗酸化剤、キレート化剤及びバッファーをはじめとする組成物の安定性、不稔性及び等張性を増強するさまざまな添加剤を添加し得る。微生物の行動の防止は、さまざまな抗菌剤や防かび剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより確保できる。多くの場合、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望ましい。注入可能な剤型の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用により起こり得る。しかし、本発明によれば、使用するすべてのベヒクル、希釈剤や添加剤は、化合物と相溶性である必要がある。
無菌の注射液は、本発明を実施するのに使用される化合物を上記したようないくつかの他の成分とともに必要量の適当な溶媒内に組み込むことにより調製され得る。
本発明の薬理学的製剤は、さまざまなベヒクル、添加剤及び希釈剤などのすべての相溶性担体を含有する注射製剤で患者へ投与され得、また、本発明に使用される化合物は、遅効性皮下埋込又はモノクローナル抗体、ベクター送達、イオン注入、ポリマーマトリックス、リポソーム及び微粒子のような標的送達系の形態で患者に非経口投与され得る。本発明に有用な送達系の例には、米国特許第5,225,182、5,169,383、5,167,616、4,959,217、4,925,678、4,487,603、4,486,194、4,447,233、4,447,224、4,439,196及び4,475,196に開示のものが挙げられる。インプラント、送達系、モジュールなどの他のものの多くが当業者には周知である。
以下の実験例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、説明のためだけに提供され、その他に明示しない限り限定する意図ではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると全く解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書で提供された教示の結果として明白なすべての変更を含むと解釈されるべきである。
材料と方法
細胞培養に関するすべての工程は、無菌条件下で行われる。本明細書に記載されない細胞免疫学の一般的な方法は、Mishell及びShiigi(Selected Methods in Cellular Immunology,1981)などの細胞免疫学技術のための文献に概説されるとおりに行われ、そしてそれは当業者には周知である。

抗体及び試薬:
以下のモノクローナル抗体をフロー・サイトメトリー分析に使用した:抗−CD3−ECD、−CD8−PC5、−CD4−PE(Beckman Coulter、Miami、FL);抗−Bcl−2−FITC、−Bcl−2−PE、−Fas−FITC、−FasL−PE(BD Biosciences、San Jose、CA);抗−Bax−FITC、−BcI−xL−FITC(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)及び抗−Bid−抗体(Abcam Inc.、Cambridge、MA)。ポリクローナル抗体は、抗−Bim(Cell Signaling、Danvers、MA)、抗−FLIP(GenWay Biotech、San Diego、CA)及び抗−McI−1(Santa Cruz Biotechnology)。FITC結合アネキシンVをBeckman Coulterから購入した。FITC結合抗−ウサギIgGをJackson ImmunoResearch Laboratories(West Grove、PA)から購入し、そしてアイソタイプコントロール(IgG−FITC、lgG2a−FITC及びlgG2b−FITC並びにIgG2−PE)をBD Biosciencesから購入した。ウエスタンブロット分析のために購入した抗体には、以下のものが含まれる:ポリクローナルホスホ−Akt(Ser473)、ポリクローナルトータル−Akt、モノクローナルホスホSTAT5(Tyr694)及びモノクローナルトータル−STAT5(Cell Signaling)、モノクローナルBcl−2、モノクローナルCD3−ζ、モノクローナルJAK3、ポリクローナルSOCS−2及びポリクローナルMcl−1(Santa Cruz Biotechnology)、ポリクローナルカスパーゼ−3、ポリクローナルFasL抗体−3(BD Biosciences)並びにモノクローナルβ−アクチン(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)。抗−Fas(CH−11)アゴニストモノクローナル抗体、CH−11用IgMアイソタイプコントロール、抗−Fasブロッキングモノクローナル抗体、クローンZB4、及びZB4用アイソタイプIgG1コントロールは、すべてUpstate Biotechnology(Lake Placid、NY)から購入した。AIM V培地、RPMI 1640培地、リン酸緩衝液(PBS)、熱失活ウシ胎児血清(ΔFCS)、ストレプトマイシン、ペニシリン、I−グルタミン、組み換え型トリプシン様タンパク質(TrypLE)及びトリパンブルー色素を含むすべての細胞培養試薬を、Gibco/Invitrogen(Grand Island、NY)から購入した。ヒト組み換え型サイトカイン、rhlL−2、rhlL−7及びrhlL−15を、Peprotech Inc.(Rocky Hill、NJ)から購入した。ウシ血清アルブミン(BSA)、サポニン、エトポシド及びスタウロスポリンを、Sigma Aldrichから得た。7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)及びパンカスパーゼ阻害剤、z−VAD−FMKをBD Biosciencesから得た。Akt1/Akt2の選択的阻害剤を、Calbiochem(San Diego、CA)から購入し、そして、カスパーゼ−3、カスパーゼ−8及びカスパーゼ−9の選択的阻害剤を、R&D Systems(Minneapolis、MN)から購入した。

一次細胞由来バイオロジック(IRX−2)の調製:
一次細胞由来バイオロジックの作製方法は、一般に米国仮出願第61/044,674に記載されている。自動化細胞処理洗浄装置を用いて、白血球をリンパ球分離用培地(LSM)に投入し、培地を遠心分離して精製MNCを取得することにより、単核細胞(MNC)を精製して、汚染させている細胞を除去する。その後、MNCをFEPリンパ球ストレージバッグ内で一晩放置する。MNCの誘発混合物(induction mixture)を、ディスポーザブル細胞培養装置内でミトーゲン、好ましくはフィトヘマグルチニン(PHA)及びシプロフロキサシンで刺激し、一次細胞由来バイオロジックをMNCから作り出す。濾過及びタンジェンシャルフロー濾過モードにより誘発混合物からミトーゲンを除去し、次いで、誘発混合物をインキュベーションする。誘発混合物を濾過により清澄させて一次細胞由来バイオロジックの上清を得る。最後に、陰イオン交換クロマトグラフィー及び15nm濾過並びに適宜追加の紫外線−C(UVC)による不活性化にかけてDNA及び外来の薬剤(adventitious agents)から一次細胞由来バイオロジック上清を取り出す。その後、最終生成物をガラス瓶に入れ、将来の患者への投与のために保管する。

細胞及び株化細胞:
頭頸部扁平上皮がん(H&NSCC)株化細胞PC−13を、前に述べたとおり、出願人の実験室内で確立して維持した。それを、前に報告したとおり、Dr.S.Nagata(大阪バイオ研究所、大阪府、日本)から入手したヒトFasL遺伝子を、レトロウイルスを介してトランスフェクトした。トランスフェクトされたPCI−13−細胞(PCI−13−FasL)の上清(これは、FasL及び42kDa膜性型のFasLの両方を含む)を腫瘍由来微細小胞(MV)の出所として用いた。ジャーカット細胞を米国ティッシュ・カルチャー・コレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手し、CD8をトランスフェクトした。10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、L−グルタミン及び抗生物質を補充したRPMI1640培地内でCD8+ジャーカット細胞をインキュベーションした。同意した健常ドナーから入手した末梢血単核細胞(PBMC)からヒトTリンパ球を分離した。PBMCをFicoll−Hypaque比重遠心法(GE Healthcare Bio−Sciences Corp.、Piscataway、NJ)により分離し、洗浄し、そして、5%COの雰囲気の培養フラスコ(T162)内に37℃で1時間置いて、CD14+単球を除去した。非接着T−リンパ球フラクションを採集し、直ぐに実験に使用するか、低温保存した。AutoMACSシステムと製造者マニュアルを用いて、CD8+T細胞又はCD4+T細胞をそれぞれCD8マイクロビーズ又はCD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を用いたポジティブ選択で精製した。次いで、精製したCD8+又はCD4+T細胞を、10%FBSを補充したAIM V培地内で、抗−CD3及び抗−CD28抗体(T Cell Activation/Expansion Kit、Miltenyi Biotec)を塗布したビーズの存在下で2〜3日間インキュベーションした。上記した実験に使用したすべての細胞は、対数増殖期にあった。

微細小胞の分離:
微細小胞(MV)を、上記したとおり、FasL−トランスフェクトPCI−13株化細胞のインキュベーション上清から分離した。詳細には、濃縮された細胞培養上清を、サイズ排除クロマトグラフィー及び超遠心分離を含む二工程手順で分別した。PCI−13−FasL上清を、Centriprepフィルタ(Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いて少なくとも10回濃縮した。次に、濃縮上清の10mLアリコートを、PBSで平衡化したセファロース2B(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)のカラム(1.5x35cm)にかけた。1mL分画ずつ採集し、280nmの吸収を測定することによりタンパク含量をモニターした。50ミリオンkDAを越えるタンパク質を含有する排除ピーク材料(exclusion peak material)を4℃、105,000xgにて、2時間遠心分離した。ペレットを、300〜500μLの無菌PBS内に再懸濁した。各MV調製物内のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として用いたLowryプロテインアッセイ(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)により評価した。

ウエスタンブロットアッセイ:
Akt、Bcl−2、CD3ζ、カスパーゼ−3、JAK3、STAT5、FLIP及びMcl−1の全体又はリン酸化型を測定するため、ジャーカットCD8+細胞、若しくは精製活性化CD8+又はCD4+T細胞を、MVとともに指定された濃度にて、及び/又は、IRX−2(1:3最終希釈)とともに指定された期間、37℃で共培養した。次いで、細胞を洗浄し、4℃で遠心し、そして、等容積の氷冷ソリューションバッファー(50mM Tris−HCL、pH7.5、150mM NaCl、0.5% Nonidet P−40)及びプロテアーゼインヒビターカクテル(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL)でリンスした。溶解後、ホモジネートを遠心処理で清澄にした。上清を分離し、5倍Laemmliサンプルバッッファー内で5分間煮沸した。タンパク質をドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分離し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜にエレクトロトランスファーした。この膜をTTBS(0.05%Tween 20を含有するトリス緩衝生理食塩水)内5%無脂肪ミルク又は5%BSAで1時間、室温(RT)でブロックし、次いで、適当な抗体とともに4℃で一晩インキュベーションした。室温にてTTBで洗浄(3x15分間)後、膜を1:150,000希釈(Pierce Chemical Co)のセイヨウワサビ]ペルオキシダーゼ結合二次抗体とともに1時間、室温でインキュベーションした。洗浄後、膜をSuperSignal化学発光検出システム(Pierce Chemical Co)を用いて展開した。別の一次抗体でリプローブするため、膜をストリッピングバッファー(0.5M NaCI、3%(v/v)氷酢酸)内でインキュベーションし、洗浄し、その後の研究に使用した。

CD8+ジャーカット細胞又は活性化正常T−リンパ球とMV及びIRX−2との共培養:
96−ウエルプレート内にCD8+ジャーカット細胞又は活性化正常Tリンパ球を各ウエルにつき0.3x10細胞を置き、IRX−2無しにあるいは組換体ヒトサイトカインとともに最終濃度10ng/mL又は100IU/mLにて24時間(その他に注記しないかぎり)プレ処置した。次いで、MV(0.3x10細胞につき10μgタンパク質)を3〜24時間追加した。いくつかの実験では、まず、細胞をMVとともに3〜24時間共培養し、洗浄し、さらにIRX−2又はサイトカインで処置し、あるいは同時添加のMV及びIRX−2で指定された時間、処置した。選択されたブロック実験では、抗−Fas中和モノクローナル抗体、ZB−4、パン−カスパーゼインヒビター、Z−VAD−FMK又は特異的Akt−インヒビター若しくはカスパーゼ−3、カスパーゼ−8及びカスパーゼ−9用の特異的インヒビターを、MV共培養に先駆けて指定された濃度で添加した。

細胞表面染色:
MV及び/又はIRX−2共培養CD8+ジャーカット細胞又は活性化T−リンパ球(少なくとも300,000細胞/チューブ)を染色液(staining buffer)(0.1%w/v BSA及び0.1%w/v NaN)二度洗浄した。細胞を、以前に述べた細胞表面マーカーについて染色した。詳細には、細胞を各抗体の最適な希釈液とともに室温の暗所で20分間、インキュベーションし、染色液で二度洗浄し、最後に1%(v/v)パラホルムアルデヒド(PFA)のPBSで固定した。以下の抗体を表面染色のために使用した:抗−CD3−ECD、抗−CD4−PE、抗−CD8−PC5、抗−Fas−FITC及び抗−FasL−PE。

フロー・サイトメトリー:
Expo32ソフトウエア(Beckman Coulter)を備えたFACScanフロー・サイトメーター(Beckman Coulter)を用いて4色フロー・サイトメトリーを実行した。リンパ球をモルフォロジーに基づいて遮断し、異物、MVを単球及び顆粒球とともに除去し、データを少なくとも10個の細胞を採集した。活性化一次Tリンパ球の分析のために、ゲートをCD3CD8又はCD3CD4T−細胞サブセットに対して制限した。データをCoulter EXPO32vl.2解析ソフトウエア用いて解析した。

アネキシンV結合アッセイ:
MV及び/又はIRX−2共培養CD8+ジャーカット細胞又は活性化Tリンパ球に対するアネキシンV(ANX)結合をフロー・サイトメトリーにより測定し、自発性(spontaneous)の又はin vitroの誘発アポトーシスを評価した。CD3、CD8又はCD4に対する抗体を用いた表面染色に続いて、細胞をアネキシン結合バッファーに再懸濁し、氷上でFITC結合アネキシンVとともに15分間インキュベーションした。7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)を用いた追加の染色を実行して、死んだ細胞と生きた細胞を区別した。染色から30分間以内に細胞をフロー・サイトメトリーで分析した。

カスパーゼ活性の測定:
パンカスパーゼインヒビター、CASPACE FlTC−VAD−FMK In Situ Marker(Promega、Madison、Wl)を用いた活性化カスパーゼの細胞内染色により、トータル細胞性カスパーゼ活性を試験した。細胞をPBSに再懸濁し、FITC−VAD−FMKを最終濃度5μMにて添加した。細胞を37℃、5%COにて20分間、インキュベーションし、PBSで洗浄した。その後、細胞を細胞表面レセプターについて染色し、1%パラホルムアルデヒドで固定し、フロー・サイトメトリーで分析した。カスパーゼ−3及びカスパーゼ−7の特異的活性化をInvitrogenから得たVYBRANT FAMカスパーゼ−3及び7−アッセイキット(Carlsbad、CA)と製造者マニュアルを用いて測定した。詳細には、細胞をPBSに再懸濁し、150倍希釈のカルボキシフルオレセイン(FAM)標識FMKカスパーゼインヒビターで37℃、5%COにて60分間、染色した。その後、細胞を洗浄バッファー内で洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定した。細胞をFL1チャンネル上で測定されたフルオレセインを用いてフロー・サイトメトリーで分析した。

ミトコンドリア膜電位の測定:
アポトーシスの特徴としてのミトコンドリア膜電位(MMP)の低下を、Invitrogen(Carlsbad、CA)のMITOPROBE JC−1アッセイキットを用いて測定した。カチオン染料JC−1(5,5‘,6,6’−テトラクロロ−1,1,3‘,3’−テトラエチルベンズイミダゾリルカルボシアニンアイオダイド)は、健康な細胞でサイトゾル内の緑色モノマーとして存在し、そしてまたミトコンドリア内に赤色凝集物として堆積する。アポトーシス性及び壊死性細胞では、JC−1はミトコンドリア脱分極のせいで細胞質内のみに残存し、これは、フロー・サイトメトリーにより赤/緑蛍光強度比の減少として検出することができる。CD8+ジャーカット細胞又は活性化Tリンパ球を2μMのJC−1を含有するPBS内で、37℃、5%COにて30分間インキュベーションした。染色期間中、ミトコンドリアル脱分極の陽性対照として50μMのミトコンドリアルアンカプラーのカルボニルシアナイド3−クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で細胞のアリコットを処置した。染色後直ぐに、フロー・サイトメーター用いて細胞を分析した。

アポトーシス−関連タンパク質の評価:
抗アポトーシス性タンパク質Bcl−2、Bcl−xL、FLIP及びMcl−1、並びにアポトーシス促進性タンパク質Bax、Bim及びBidの発現を、CD8+ジャーカット細胞又は活性化一次Tリンパ球内でマルチカラーフロー・サイトメトリーを用いて調査した。まず、細胞を上記したように、表面T細胞マーカーについて染色した。アポトーシス関連タンパク質の細胞内染色のために、細胞を1%(v/v)パラホルムアルデヒドのPBSで、室温で10分間固定した後、サポニン(PBS中0.1%v/v)で、4℃で15分間、透過処理した。次に、細胞を40℃で30分間、FITC−又はPE−結合抗ヒトBcl−2、Bax及びBcl−xL若しくは、FLIP、Bim、Bid又はMcl−1についての未結合抗体で染色し、続いて、0.1%サポニンで洗浄した。未結合抗体で染色された試料は、さらに、FITC結合ヤギ抗ウサギIgGとともに室温で15分間、インキュベーションした。0.1%サポニンで洗浄後、細胞を1%(v/v)パラホルムアルデヒドで固定し、アイソタイプコントロール適合抗体を表面及び細胞内細胞性コントロールの両方のために使用し、そしてすべての抗体をフレッシュなPBMC上で予備滴定(pre−titered)した。

TUNELアッセイ:
DNA断片化を、In Situ Cell Death Detection Kit,TMRred(Roche、Indianapolis、IN)を用いて測定した。詳細には、MV−及びIRX−2処置T細胞のサイトスピン調製物(100,000細胞/スライド)を、風乾し、そして、4%(v/v)パラホルムアルデヒド(PFA)を含有するPBS内で、室温で1時間固定した。スライドを、PBSでリンスし、浸潤化溶液(01%Triton X−100を含有する0.1%クエン酸ナトリウム)とともに氷上で2分間インキュベーションした。その後、スライドをPBSで二度洗浄し、暗所加湿チャンバー内で20μlのTUNEL反応混合物とともに37℃で1時間インキュベーションした。次いで、試料をPBSでよく洗浄し、4‘,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI; Vector Laboratories、CA)内でインキュベーションして細胞核をトレースした。スライドを、200倍のNikon Eclipse E−800蛍光顕微鏡内で評価した。デジタルイメージ解析のために、アドビフォトショップ6.0を使用した。顕微鏡視野内で最小300個の細胞をランダムに計数し、DNA断片化をもつ細胞の割合(%)を測定した。

統計分析:
統計分析は、スチューデントt検定を用いて行った。P値<0.05を有意とみなした。

実施例1
IRX−2は、各種アポトーシス誘発剤が媒介する細胞死からジャーカットT細胞及び一次Tリンパ球の両方を防御する。
lRX−2が腫瘍由来微細小胞(MV)が媒介するアポトーシスからT細胞を防御するかどうかを決定するため、CD8+FasL感受性ジャーカット細胞をIRX−2の1:3希釈液(約4ng/mL又は90IU/mL IL−2)とともに24時間プレインキュベーションし、続いて、それらを10μgの腫瘍由来MV(10μg)、CH−11(400ng/mL)又はスタウロスポリン(1μg/mL)とともに3時間処置した。出願人の以前の研究に示されるように、ジャーカット細胞とMVとの共培養は、顕著なアポトーシスをほう起し、それは、アネキシンV結合(図4A及び4C)及びカスパーゼ活性化の指標であるFITC−VAD−FMK結合(図4B及び4D)の増強を示した。死んだ細胞(7−AAD+)を取り除き、ゲートを7−AAD陰性CD8+ジャーカット細胞上にセットした。ジャーカットT細胞とIRX−2とのプレインキュベーションの際、両アッセイで検出されるように、MV誘発アポトーシスは有意に減少した(図4A−4D)。
面白いことに、IRX−2は、MV誘発アポトーシスに対して有効なだけでなく、FasL誘発(CH−11−Ab)及び細胞障害性薬剤誘発(スタウロスポリン)アポトーシスからのジャーカットT細胞の防御をもたらすことが判明した。図12C−12Dは、アネキシンV結合の減少(図4C)及びカスパーゼ活性化の減少(図12D)によって測定されるとおり、IRX−2がこれらの各薬剤により誘発されるアポトーシスを有意に減少させたことを示す。図4C及び図4Dに示す結果は、3つの独立した実験の代表例である(p<0.05;**p<0.002)。
IRX−2媒介防御は、また、一次血液由来CD8+及びCD4+Tリンパ球を用いた時に観測された。表1のデータは、MV−又はCH−11誘発アポトーシスの両方に関するIRX−2の防御効果を示し、それは、これらの細胞でのカスパーゼ活性化の減少により示されるとおりである(表1)。アネキシンV結合の同様の減少が、IRX−2を用いて観察された(データは示さず)。CD8+T細胞はCD4+T細胞よりもMV誘発アポトーシスに対して有意に強い感受性を示したが、これらのサブセットの両方で、カスパーゼ−活性化を用いたT細胞の全体減少パーセントによって測定されたとおり、IRX−2処置は、MV誘発アポトーシスに対して強固な防御をもたらした。IRX−2は、また、CH−11 Ab誘発アポトーシスから両細胞サブセットを防御した(表1)。まとめると、これらの発見は、IRX−2は、MV−又は抗−Fas CH−11 Ab誘発アポトーシスだけでなく、スタウロスポリン誘発ミトコンドリアル変換に伴う内因性アポトーシスからも一次T細胞及び株化細胞を効果的に防御することを示す。そのような結果は、IRX−2は、腫瘍に由来するものや、例えば化学療法、放射線療法又はウイルスにより誘発されるかもしれない内在性メカニズムをはじめとするいくつかの異なるアポトーシス性刺激からの有意な防御を提供するというの意見を強める。

活性化CD8+又はCD4+細胞を、IRX−2とともに24時間プレインキュベーションし(1:3最終希釈、90IU/mlのIL−2を含有;追加のサイトキン濃度の詳細は、材料及び方法を参照)、次いで、10μgのMV又はCH−11抗体(Ab)(400ng/mL)でさらに24時間処置した。細胞のカスパーゼ活性化を、フロー・サイトメトリーを介したFITC−VAD−FMK染色により分析した。結果は、3つの独立実験における平均%±SDである。
P値は、IRX−2無しと+IRX−2処置細胞との間の相違についてである。

実施例2
アポトーシスからのIRX−2媒介防御は、時間−及び濃度−依存的である
IRX−2のT細胞に関する防御効果をよりよく理解するために、CD8+ジャーカット細胞をIRX−2(固定された希釈度1:3=90IU/mlのIL−2)とともに、時間を漸増(0〜24時間)させ、又は24時間一定でIRX−2(指定したとおり)濃度を増大させながら、プレインキュベーションし、続いてMV(10μg)で3時間処置した(それぞれ、図5A及び5B)。アポトーシスを、フロー・サイトメトリーによる活性化カスパーゼのFITC−VAD−FMK染色を用いて評価した。IRX−2はMV誘発アポトーシスをブロックし、そして、この抑制は、IRX−2とのプレインキュベーション時間が延長すると防御効果を増強したように時間依存的であることが判明した。最高の抑制は、MV治療の24時間後に観測された(図5A)。異なるIRX−2濃度でのT細胞のプレインキュベーションは、MVによってほう起されるアポトーシスの用量依存的な抑制を示した(図5)。最も高く可能な濃度(すなわち、未希釈IRX−2)では、IRX−2が、MVによるアポトーシスの誘発を完全に抑制した(図5B)。結果は、4つの独立した実験の平均%±SDである。IRX−2媒介抑制が時間及び濃度依存的の両方であるという事実は、効果が薬剤に対して特異的であることを証明している。
一旦、アポトーシスカスケードが開始していたら、IRX−2がT細胞をアポトーシス性細胞死から防御するどうかを決定することが望ましかった。この問題に対処するため、CD8+ジャーカット細胞を処置せず、IRX−2(1:3希釈)で24時間処置(+IRX)し、MVで3時間処置(+MV)し、IRX−2とともに24時間プレインキュベーションし、その後MV(10μg)で3時間処置(+IRX→MV)するか、又は、最初にMVとともにインキュベーションし、次いでIRX−2で処置(+MV→IRX−2)し、あるいは両薬剤とともに同時(+MV及びIRX)に3時間又は24時間それぞれインキュベーションした。カスパーゼの活性化をフロー・サイトメトリーで分析した。結果は、3つ行った各実験の平均%±SDである(MV処置試料に対してp<0.002)。MVの添加に先駆けたIRX−2処置の効果の比較において、アポトーシスは、T細胞とMV+IRX−2との同時共培養後、約50%だけ減少した(図6)。IRX−2を、MV処置3時間後に添加すると、IRX−2の防御効果は、完全に阻害された。IRX−2は、MVによりすでに開始されたアポトーシスカスケードを克服することが明らかに可能でないため、それは、MVによって開始された進行中のアポトーシス過程の逆行というよりむしろ防御メカニズムを介して作用する。

実施例3
IRX−2の防御効果と生存性サイトカイン1L−7及びIL−15の効果との比較:腫瘍−MVで処置した後のジャーカットCD8+細胞のカスパーゼ−活性化
ジャーカットCD8+細胞を96ウエルプレート内に密度300,000細胞/100μL/ウエルにて置き、IRX−2(1:3最終濃度)、IL−7(10ng/mL)、IL−15(10ng/mL)又は両サイトカイン(各10ng/mL)とともに、それぞれ24時間、インキュベーションした。細胞をPCI−13/FasL−MV(15μg)で3時間処置した。56℃で10分間加熱したジャーカットCD8+細胞を、陽性対照として使用した。細胞を集め、1mLのPBS内で洗浄し、500μLのPBS内に再懸濁し、そして、5μMのVAD−FITCで37℃、20分間、染色した。次いで、細胞をPBS内で洗浄し、そしてCD8−PE−Cy5について15分間染色した。洗浄後、細胞を1%PFA内に固定し、マルチパラメトリックフロー・サイトメトリーで分析した。
活性化カスパーゼ−VAD−FITC結合CD8+ジャーカット細胞の割合(%)を図7に示す各処置群について測定した。MV誘発アポトーシス(IRX−2無しレーン;アポトーシス進行中の50%細胞)は、IRX−2単独(11%アポトーシス細胞=4.5倍減少)、又はIL−7及びIL−15の混合物(5%アポトーシス細胞=10倍減少)のいずれかを用いたプレ処置により劇的に抑制された。別々に、IL−7又はIL−15単独のどれも、コントロールのMV誘発レベル以下にアポトーシスレベルを減少できなかった。IRX−2は、IL−7又はIL−15のいずれも含有しないが、両者は、リンパ性細胞の潜在的な「生存」因子と認識されている。これは、IRX−2のアポトーシス−抑制活性は、生物学的活性成分の相乗作用的組合せの結果であり、単一の組換体サイトカインによっては再生できないことの証明になる。

実施例4
IRX−2並びに生存性サイトカインIL−7及びIL−15の防御効果:アポトーシス誘発剤を用いて処置した後の活性化CD8+及びCD4+T細胞におけるカスパーゼ−活性化
白血球ユニット(バフィコート)からの浮遊細胞を溶かし、60x10細胞(60mlの10%FCS内、RPMI−培地)を、CD3/CD28 Dynalビーズ(1bead/細胞)を用いて3日間、活性化した。活性化後、細胞を洗浄し、CD8+及びCD4+細胞を磁気分離(ポジティブ選択、Miltenyi Micro Beads)により分離した。300,000個の細胞を100μL/ウエルの96ウエルプレート内に置き、IRX−2(1:3)又はサイトカインII−7及びIL−15(100ng/mL)とともに24時間、インキュベーションした。その後、細胞をPCI−13/FasL−MV(15μg)(図8A,8B)又はCH−11 Ab(400ng/mL)(図9A,9B)でさらに24時間処置して、アポトーシスを誘発させた。
インキュベーション後、細胞を集め、1mLのPBSで洗浄し、300μLのPBS内に再懸濁し、そして、3μMのVAD−FITCで37℃、20分間染色した。細胞をPBSで洗浄し、示したように、CD8−PE−Cy5又はCD4−PE−Cy5について15分間染色した。洗浄後、細胞を1%PFA内に固定し、マルチパラメトリックフロー・サイトメトリーで分析した。
腫瘍株化細胞PCl−13/FasL−MVを経たアポトーシス誘発の応答において、細胞結合カスパーゼ−VAD−FITC(細胞の指標はアポトーシス進行中であった)の割合(%)を、IRX−2単独又は指定の組換体サイトカインとともにプレインキュベーションしておいたプレ活性化ヒト末梢血由来CD4+(図8A)又はCD8+(図8B)細胞について測定した。これらのデータは、IRX−2は、前にジャーカットCD8+細胞(図4−6)で見たようにアポトーシスを抑制することができるが、抑制の程度は、ジャーカット細胞で観測されたものより少ないようであることを示す。一次ヒト(非株化細胞)T細胞を採用するこの実験的状況では、IL−7及びIL−15は、IRX−2の単独又は組合せと比べて同様に効果的であった。この明らかな相違は、クローニングされた均質なジャーカット細胞株よりもむしろ末梢血からの不均質T細胞集団の使用と多いに関連しそうである。にもかかわらず、どちらかの状況及び両CD4+及びCD8+集団では、IRX−2は、実際、腫瘍由来MVに応答してアポトーシスを抑制した。
上記発見を拡張し、別法のアポトーシス誘発剤、抗−Fas抗体(CH−11)で処置した場合のプレ活性化ヒト末梢血由来CD4+(図9A)又はCD8+(図9B)細胞のカスパーゼ−VAD−FITC結合の割合(%)を評価するために同様の実験に着手した。この状況では、IRX−2は、IL−7又はIL−15単独、若しくは両方の組合せと比べて、アポトーシス誘発の抑制に最も効果的である。これは、健常血液ドナーから取得したCD4+及びCD8+集団についても正しかった。このような結果は、IRX−2は、腫瘍から由来したものを含むいくつかの異なるタイプのアポトーシス性刺激からの顕著な防御を提供するという意見を強固にする。

実施例5
他の組換体生存性サイトカインの防御効果よりも多大なIRX−2により促進される生存シグナル
IL−2は、IRX−2(使用した1:3希釈にて〜90IU/mLのIL−2)において主役のサイトカインであるため、IRX−2で観測された抗アポトーシス活性は、一部IL−2−依存性でありえた。一方、IRX−2内に存在する他のサイトカインとの相乗効果は、生存を促進し得た。活性化CD8+及びCD4+T細胞を、100IU/mLの組換体ヒトIL−2(用量は、1:3IRX−2希釈液に近い)又は、IRX−2(1:3にて−90IU/mL)のいずれかとともにインキュベーションし、MV−又はCH−11抗体誘発アポトーシスを抑制する能力を比較した。表2Aに示されるとおり、IL−2は、MV誘発アポトーシスに対して、CD8+T細胞中のIRX−2と同様の防御効果を有したが、CD4+T細胞中の防御効果より低かった。CH−11Ab誘発アポトーシスに対する防御に関しては、IL−2は、CD4+T細胞の生存を増強することにおいてIRX−2より有意にあまり効果的でなく、そして、CD8+T細胞においてはほとんど効果がなかった(表2B)。これらの発見は、IRX−2の生存性増強ポテンシャルは、その主要なサイトカインIL−2よりも大であること、及びIRX−2内に存在する他のサイトカインのサポートは、きわめて低い生理学的濃度でこれらの効果に寄与することを示している。
IRX−2内に存在するIL−2の細胞防御的効果は、IFNγ及びGM−CSFの存在によって増強されるが、これらは、組み合わさると、免疫増強効果を媒介したようである。IRX−2中の他の成分(例えばIL−1α、IL−6、IL−8、TNFα)のT細胞生存の促進における役割は、あまり明確でないが、組織の場所及び濃度に依存して、これらの炎症促進性サイトカインのいくつかもまた、抗腫瘍免疫応答を支持するという研究が示されている。IRX−2のさまざまな成分のうち機能的相乗作用は、前に記載し、例えば、IRX−2は、樹状細胞の成熟を、TNFα単独に匹敵するレベルよりも大きな程度で誘発することが可能であることを証明したことを特記することは重要である。
さらに、IRX−2の防御効果を、両方ともリンパ球の潜在的生存性サイトカインであるが、IRX−2混合物内には存在しない組換体IL−7及びIL−15の活性と比較した。これらのサイトカインを10ng/mLの濃度で単独又は組み合わせて用いたT細胞のプレインキュベーションは、すべての事例で、異なる程度ではあるがMV誘発又はCH−11 Ab誘発アポトーシスからの防御をもたらした(表2A及びB)。IL−7単独のみが、両細胞サブセットでのCH−11 Ab−及びMV誘発アポトーシスをIRX−2と比べて弱く抑制した。IL−15単独は、MV誘発アポトーシスに対する防御においてIRX−2と同じくらい力強かったが、CH−11 Ab誘発アポトーシスに対してより弱い生存シグナルをもたらした。両サイトカインの組み合わせは、CD8+及びCD4+細胞サブセットでのアポトーシスをブロックし、そしてアポトーシス抑制の程度は、IRX−2により媒介されたものと同様であったが、MV誘発アポトーシスの場合のみであった(表2A及びB)。したがって、IRX−2の防御効果は、CD4+細胞の防御において、組換体生存性サイトカイン、IL−7及びIL−15と等価であるか、またいくつかの事例(例えばCD8+細胞)ではより強大でさえあった。IRX−2は、MV−及びCH−11 Ab誘発アポトーシスからの活性化CD4+及びCD8+T細胞の防御において、組換体IL−7よりも顕著に効果的であり、そして、IL−15と同様の防御効果を有することが判明した。試験したサイトカインの中で、IRX−2は、アポトーシスを誘発するのにCH−11 Abを使用すると、最大の生存力を有したが、これは、レセプター媒介アポトーシスの防御を意味する。ことが特記される。これらの実験に使用したIL−7及びIL−15の濃度は、比較的高く、そして、生理学的レベルでなく、これは再び、IRX−2の成分間の強い相乗作用を暗示している。

活性化一次CD8+及びCD4+T細胞を、IRX−2(1:3希釈、〜90IU/mlのIL−2を含む、材料及び方法を参照)、組換体ヒトIL−2(100IU/mL)、IL−7(10ng/mL)、IL−15(10ng/mL)、又はIL−7及びIL−15(両方とも10ng/mL)とともに、24時間プレインキュベーションし、その後、10μgのMV又は400ng/mLのCH−11抗体(Ab)でさら24時間処置した。カスパーゼの活性化を、フロー・サイトメトリーで分析した。データは、FITC−VAD−FMK+細胞の平均%±SDである。
P値は、MV単独と比べたIRX−2でプレ処置した細胞間の有意な差、又はIRX−2でプレ処置したものと比べた指定のサイトカインでプレ処置した細胞間の有意な差を意味する。

実施例6
IRX−2は、アポトーシス経路におけるさまざまな過程でのMV誘発アポトーシスに対する防御を提供する。
IRX−2−媒介防御がジャーカット細胞株及びいくつかの誘発剤とともに一次T細胞まで拡張することが示されているので、われわれは、ジャーカット細胞とMVとの共培養を用いてアポトーシス過程における下流過程を抑制するIRX−2の能力を評価することを継続した。CD8+ジャーカット細胞を処置せず、10μgのMVとともに3時間インキュベーションするか、あるいはIRX−2(1:3希釈)で24時間プレ処置し、次いでMVとともに3時間インキュベーションするかのいずれかを行った。また、CD8+ジャーカット細胞をMV及び20μMのパン−カスパーゼインヒビターZ−VAD−FMK(zVAD)とともに共培養するか、あるいはMV及び抗−Fas中和mAb ZB4(10μg/mL)(コントロール)とともに共培養した。結果は、3つの独立した実験の平均MFI±SDである。図13Aに示すとおり、ジャーカット細胞のMV処置は、カスパーゼ−3/−7−FAMの平均蛍光強度(MFI)、活性化カスパーゼ−3及びカスパーゼ−7に特異的に結合する染料、レセプター及びミトコンドリアル媒介アポトーシスの両方の主要エフェクターカスパーゼのきわめて強い増大を導いた。IRX−2を用いたプレ処置は、MVが誘発するカスパーゼ−3及び7活性の誘導、非可逆カスパーゼインヒビターzVAD、及び抗−Fas中和モノクローナル抗体(mAb)ZB4を完全に防止した。MVによるカスパーゼ−3活性化は、また、ウエスタン免疫ブロット分析で検出され、ここでは、非活性カスパーゼ−3プロ−形態のタンパク質レベルの劇的な減少と同時の活性開裂形態の増大がMV処置ジャーカットT細胞内で24時間にわたり観測された(図10B、レーン3及び4)。IRX−2プレ処置は、活性な開裂形態の誘発を効果的にブロックした(図10B、レーン5及び6)。細胞を、処置せず、IRX−2(1:3希釈)で24時間処置(+IRX)、MV(10μg)で3時間処置(+MV3時間)又は24時間処置(+MV24時間)、若しくはIRX−2で24時間プレインキュベーションし、次いでMV(10μg)で3時間又は24時間処置(+IRX→MV)のいずれかをした。全細胞ライセートをSDS−PAGE上で分離し、続くウエスタンブロットのためにPVDF膜にトランスファーした。カスパーゼ−3の活性化は、活性なプロ−形態の減少、及び活性なサブユニットp17及びp10の出現として示される。結果は、3つのウエスタンブロットを表している。
さらに、IRX−2は、ジャーカットT細胞でのミトコンドリア膜電位(MMP)のMV誘発低下をブロックした(図11A及び11B)。このブロックは、二つのインヒビターz−VAD及びZB4により提供されるものと等価であった(図11B)。CD8+ジャーカット細胞を、フロー・サイトメトリーでカチオン染料JC−1の赤色蛍光の減少について分析したが、これは、MMPの低下を示している。無処置、MV(10μg)単独(IRX無し)での処置24時間後、あるいは、IRX−2(1:3希釈)又はMVとアポトーシス−インヒビターZ−VAD−FMK(パン−カスパーゼインヒビター;conc)又はZB4(抗−Fas中和mAb,conc/dose)との組合せでのプレ処置24時間後のCD8+ジャーカット細胞の培養物内でJC−1レッド陰性細胞の割合(%)を測定した。内側ミトコンドリアル膜を横切るH+勾配を消失させるプロトノフォアであるカルボニルシアニド3−クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)50μMで処置した細胞を、陽性対照として使用した。結果は、結果は、独立した3つの実験の平均±SDである(p<0.005;**p<0.002、IRX−2無しの試料との比較)。
最後に、IRX−2プレ処置は、アポトーシスプロセスの最終過程(p<0.0002;図12B)を表すTUNELアッセイで検出したとおりMV誘発核DNAの断片化を有意に減少させた(図12A及び12B)。CD8+ジャーカット細胞を、未処置(a)、IRX−2単独に用いて24時間インキュベーション(b)、又はMV単独に用いて24時間インキュベーション(c)、若しくはIRX−2を用いて24時間プレインキュベーション後、MVで24時間インキュベーション(d)のいずれかを行い、その後、TUNEL法により染色し、アポトーシスの指標であるDNAストランド分断(赤色核)を明らかにした。最少300個のCD8+ジャーカット細胞を各処置群について計数した。結果は、独立した二つの実験の平均%±SD(p<0.0002、MV処置試料と比較)として表現される。したがって、このデータにより、IRX−2は、T細胞死に終わる関連過程のそれぞれにて防御効果を提示することが確かめられる。

実施例7
IRX−2は、JAK3及びSTAT5の発現のMV誘発ダウン・レギュレーションからT細胞を防御する。
がん患者の血清に由来するMVは、JAK3及びSTAT5をはじめとする分子媒介共通y鎖サイトカインレセプターシグナル系路の発現をダウン・レギュレートすることが以前に観測されている。この系路は、リンパ球、特にCD8+細胞の発達、維持及び生存に必須であるため、次にCD8+ジャーカット細胞内でのJAK3及びSTAT5の発現に関するMV及びIRX−2の作用を試験した。
CD8+ジャーカット細胞を、処置しないか、あるいはIRX−2(1:3希釈)及び異なる濃度のMVで処置した。各処置群からの細胞の全細胞ライセートを、SDS−PAGE上で分離し、そして、後続のウエスタンブロットのためにPVDF膜にトランスファーした。JAK3、リン酸化及びトータルSTAT5、CD3ζ及びFLIPの発現レベルを特異的抗体のついたプローブ膜(probing membrane)により分析した。βアクチン抗体を用いたリプローブは、等しいタンパク質負荷(protein loading)を確認した。
示された結果は、行った4つの実験を表す。以前に観測したように、MVは、T細胞においてJAK3の有意なダウン・レギュレーション(図18、パネル1、レーン1及び3を比較)を引き起こし、これは、共培養時間の延長により強まった(図18、パネル1、レーン3及び4)。IRX−2単独は、JAK3発現を増大させなかったところ(図18、パネル1、レーン1及び2を比較)、MV誘発JAK3ダウン・レギュレーションを完全に逆行させ、そしてその発現を回復させることが可能であった(図18、パネル1、レーン3,4をレーン5,6と比較)。さらに、このタンパク質のリン酸化に示されるとおり、JAK3シグナル伝達物質であるSTAT5の強い活性化をIRX−2が引き起こした(図18、パネル2、レーン5)。STAT5のこの劇的な活性化は、MVを用いた長期(24時間)インキュベーションの後さえも継続した(図18、パネル2、レーン6)。さらに、T細胞内でのCD3ζ発現の低下が、MV処置後に観測された。ここで再び、IRX−2を用いたプレインキュベーションは、MV媒介CD3ζダウン・レギュレーションからTリンパ球を防御した(図18、パネル4、レーン3,4をレーン5,6と比較)。
これらの変化はすべて、IRX−2内に存在するサイトカインによる、特にIL−2レセプター及びダウン・ストリーム細胞内シグナル分子Jak3/Stat5を通してシグナル伝達することが知られている一次サイトカインIL−2によるアポトーシスからのIRX−2媒介防御と首尾一貫する。これらのデータは、生存及び刺激シグナルをリンパ性細胞に送る中心であるIRX−2のダウン・ストリーム分子標的を解明する。

実施例8
IRX−2は、プロ−及び抗アポトーシス性タンパク質のMV誘発不均衡を逆行させる。
アポトーシスからのT細胞の防御をIRX−2が促進するメカニズムをさらに試験するため、さまざまなプロ−及び抗アポトーシス性タンパク質の発現レベルを、活性化MV処置Tリンパ球及びCD8+ジャーカット細胞内でIRX−2の存在又は非存在下で定量的フロー・サイトメトリーにより測定した。表3に、いくつかのアポトーシス−関連タンパク質の発現レベルを、MV処置前後の活性化CD8+細胞内平均蛍光強度(MFI)として示す。MVを用いたT細胞のインキュベーションは、アポトーシス促進性タンパク質Bax及びBimの有意なアップ・レギュレーションと同時に抗アポトーシス性Bcl−2、Bcl−xL、FLIP及びMcl−1のダウン・レギュレーションをほう起した(表3A)。これは、MVがT細胞のアポトーシスを誘発することを示す出願人の以前の発見と一致する。絶対タンパク質レベルが重要であるところ、それは、実際に細胞運命を決定する細胞中に存在するプロ−/抗アポトーシス性タンパク質の比率である。したがって、これらの比率の変化は、細胞状態の最も多くの情報を提供する(表3B)。MV又はIRX−2+MVを用いた処置の際にBax/Bcl−2、Bax/Bcl−xL及びBim/Mcl−1の比率の劇的な変化が観測された。これらの比の有意なアポトーシス促進性シフトは、MVを用いたインキュベーション時のCD8+細胞に生じた。対照的に、IRX−2を用いたT細胞のプレ処置は、図14Aに示されるとおり、これらの比の劇的な減少を引き起こし、これは未処置細胞内に存在するものと一致した(表3B)。活性化末梢血(PB)CD8+細胞を、IRX−2(1:3希釈にて)を用いて24時間、プレインキュベーションし、次いで、10μgのMVでさらに24時間処置した。異なるプロ−及び抗アポトーシス性タンパク質の発現レベル(平均蛍光強度)を、定量的フロー・サイトメトリーで測定した。図14Bに示されるように、IRX−2処置は、MV処置後の抗アポトーシス性タンパク質Bcl−2及びMcl−1のレベルを維持することが可能であり、そして、アポトーシス促進性タンパク質Baxの発現をダウン・レギュレートする。MV及びIRX−2は、アポトーシス促進性FasL及びBidの発現にほとんど影響しなかった(データは示さず)。同様の結果が、活性化一次CD4+細胞及びCD8+ジャーカット細胞のIRX−2インキュベーション及びMV処置の後に得られた。
プロ− 対 抗アポトーシス性タンパク質のバランスは、細胞がアポトーシスプロセスを完了し、細胞死を生じるかどうかを決定する。IRX−2は、アポトーシスへ向かうMV誘発シフトを逆行させ、これは、アポトーシスからの防御を導く。BCL−2のようなコア抗アポトーシス性タンパク質をアップ・レギュレートするのに働くという事実は、それが、リンパ性細胞におけるアポトーシスの一般的インヒビターであり、そして、広い範囲の腫瘍由来因子からこれらの細胞を防御するのに有益であることを証明している。

活性化末梢血(PB)CD8+細胞を、IRX−2(1:3希釈にて、〜4ng/ml又は90IU/mlのIL−2を含有)とともに24時間プレインキュベーションし、その後、10μgのMVでさらに24時間処置した。異なるプロ−及び抗アポトーシス性タンパク質の発現レベル(平均蛍光強度)を、定量的フロー・サイトメトリーにより測定した。データは、独立した3つの実験で得られた平均±SDである。
P値は、未処置とMV処置又はIRX−2+MV処置細胞との間の比の有意な変化を示す。

実施例9
Akt/PI3K系路は、IRX−2の抗アポトーシス性活性の主要なダウン・ストリーム標的である。
Akt/PI3Kシグナル伝達系路は、細胞生存を調節する際の最も重要な系路の一つとして認識される。われわれの発見は、Akt/PKBによって調節されるBcl−2ファミリーのいくつかのキータンパク質にIRX−2が実質的な影響を示したので、われわれは、二つの主要な調節リン酸化部位の一つであるホスホセリン473に特異的な抗体を用いて、MV及び/又はIRX−2に応答したAkt−1/2の活性化を測定した。CD8+ジャーカット細胞を、処置せず、又はIRX−2及びMV(10μg)を指定した異なる組合せで用いて処置した。各処置群からの細胞の全細胞ライセートをSDS−PAGE上で分離し、そして、後続のウエスタンブロットのためにPVDF膜にトランスファーした。Akt−1/2の活性化を、Ser473−特異的抗−ホスホAkt mAbを用いた免疫ブロットで分析した。トータルAkt抗体を用いたリプロービングは、等しいタンパク質負荷を確認した。示された結果は、行った3つのうちの1つを表している。
未処置CD8+ジャーカット細胞(コントロール)では、Akt−1/2は、ジャーカット細胞の特徴的レベルまで恒常的にリン酸化された(図20A、パネル1、レーン1)。IRX−2を用いたプレインキュベーションは、基礎のAktリン酸化を増強しなかった(図15A、パネル1、レーン2)。しかし、細胞をMVで処置したときは、Akt−1/2の劇的な時間依存性脱リン酸化が観測された(図20A、パネル1、レーン3及び4)。10μgのMVを用いての経時変化は、Akt脱リン酸化がインキュベーション3時間で始まり、そして時間が経つにつれて強化した(データは示さず)ことを示した。IRX−2でプレ処置したジャーカット細胞は、処置3及び24時間にAkt−1/2のMV誘発脱リン酸化を完全に抑制した(図215A、パネル1、レーン5及び6)。
MV誘発Akt不活性化を明らかに妨げるCD8+ジャーカット細胞におけるIRX−2のこの明白なプロ−生存効果は、Aktは、IRX−2シグナル伝達の主要なダウン・ストリーム標的として働いたのかもしれないことを示した。この仮説を確認するため、IRX−2及びMV処置に先駆けてCD8+ジャーカット細胞をAkt,Akti−1/2に特異的な小分子インヒビターを用いてプレインキュベーションし、そして、T細胞アポトーシスのレベルを測定した。CD8+ジャーカット細胞をIRX−2で24時間プレインキュベーションし、又は、未処置のまま置いた。その後、細胞を、異なる濃度(0−5μM)のAktインヒビター、Akti−1/2で1時間処置し、さらに3時間、MVを添加した。アポトーシスのレベルを、FITC−VAD−FMK染色及びフロー・サイトメトリー分析により測定した。結果は、3つの独立した実験で得られた平均%±SD(p<0.05;**p<0.01、IRX−2及びAktインヒビター無しのMV処置試料との比較)である。
図15Bに示されるように、Aktインヒビターを用いた細胞のプレ処置は、IRX−2の抗アポトーシス性作用の緩和な阻害を生じた。1μMの比較的低いインヒビター濃度にて、IRX−2によって提供されるアポトーシスからの防御は、かすかに抑制されるだけであった。しかし、5μMのインヒビター濃度では完全にブロックされた。これらのインヒビター濃度では、細胞生存率は影響されなかった(データは示さず)。この発見は、AktがIRX−2によって提供される生存シグナルの主要なダウン・ストリームコーディネーターであることを示す。

実施例1−9の結論
出願人の以前の発見を確認すると、まず、MVを用いたCD8+ジャーカット細胞又は活性化Tリンパ球のインキュベーションは、有意なレベルのアポトーシスを誘発することが示された。膜形態のFasLを発現する腫瘍由来MVを、PCI−13腫瘍株化細胞の上清から精製し、そして、CD8+ジャーカット細胞又は活性化末梢血(PB)T細胞とともに共培養した。FasL(Fasリガンド)は、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するII型膜貫タンパク質である。FasL−レセプター相互作用は、免疫系の調節、及びがんの進行において重要な役割を演ずる。アポトーシスは、FasLがそのレセプター(FasR)と結合し三量化すると誘発され、これは、標的された細胞の膜を死に向けて広がる。FasL+MVは、活性化されたT細胞において、アポトーシス促進性Bcl−2ファミリーメンバーであるBax及びBimのアップ・レギュレーションをともないながら外因性レセプター媒介アポトーシス系路だけでなく、内在性ミトコンドリアル系路を誘発した。IRX−2を用いたCD8+ジャーカット又は活性化一次T細胞のプレインキュベーションは、用量及び時間依存的な様式でアポトーシス系路を抑圧した。さらに、IRX−2を用いたT細胞のプレ処置は、MV誘発細胞死に対してだけでなく、CH−11 Ab−及びスタウロスポリン誘発アポトーシスに対する防御ももたらした。前者は主に細胞死レセプター経路を介してアポトーシスを誘発し、そして、後者は、ミトコンドリアル系路も活性化するので、これらの発見は、さらに、IRX−2は、外因性及び内在性デス系路の両方の活性化からT細胞を防御することができることを示している。

実施例10
実験で使用するべきIRX−2レジメンの投薬量及びスケジュールの選択は、IRX療法により行われる研究に基づいた。IRX療法の研究は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)ペプチド結合体を用いて免疫し、そして足底腫脹の増大として査定されたマウスで行った。これらのデータ及び特徴的「釣鐘形(bell−shaped)」曲線を図21に示す。
研究は、以下の表4に示すように、4群の患者で行った。腫瘍リンパ球浸潤の図及びこれらの群の生存率を、それぞれ、図17及び18に表す。
この研究では、IL−2当量115U/日を10日間処置した患者について最大のリンパ性浸潤を達成した。生存率は、最低の投薬量を受けた4患者で貧弱であった(レジメン1)。同様に、最高の投薬量で処置した6患者でより貧弱な生存率が特記された。レジメン2及び3について生存率が同程度のようであったが、レジメン2の患者は、リンパ性浸潤で測定されるような最も顕著な組織学的応答を経験した。
さらに研究すべきIRX−2の用量を、結果として、調査した二つの最も活性な投薬量(レジメン2及び3)の中間、腫瘍及びリンパ節内で有意な組織学的変化を達成するのにはっきりと適した投薬量として選択した。20日対10日の処置の付加的不都合及び、より高い投薬量を受けた患者のより低いリンパ性浸潤に基づいて、両側注射を用いる10日注射プロトコル(IRX−2全約2300U)を以下に議論するさらなる研究のために選択した。

実施例11
図1に記載されるような手術及び/又は放射線療法及び/又は放射線化学療法に先立つH&NSCC患者でIRX−2プロトコルの研究を行った。IRX−2を115単位/側にて両側投与した。27名の患者を処置した。そのデモグラフィックスを表5にまとめた。

手術開始及び前に放射線医学的検討(CT又はMRI)を行って中央(Perceptive、Waltham、MA)で検討した。手術の開始及び前に血液のさまざまな白血球集団(表6及び7)を中央(Immunosite、Pittsburgh、PA)で分析した。さまざまな白血球マーカー(表8)について組織学的変化及び免疫組織化学の成果を評価するために、外科試料をセントラル・リファレンス・ラボラトリー(Phenopath、Seattle、WA)へ送った。モニターすべき無病及び全体生存率の継続を通して毒物学的及び症状の改善を評価するために適切な実験室及び臨床測定を行った。

臨床成績
3名の患者が目的の腫瘍応答を有した(2PR;1MR)。4名の患者が放射線学的応答(>12.5%減少)を示し、5名の患者(N2,N2,N1,N1,N1)は当該部位で腫瘍ポジティブとして検出された節のステージが下がり、そして、中央では(centrally)外科検体が陰性を示した。4名の腫瘍が軟化し(ポジティブサイン)、14名の患者が、症候改善/痛み及び圧痛の減少、嚥下作用の改善、並びに出血の低下をもった。吐き気、嘔吐、口渇、便秘、注射部位の痛み、頭痛、筋痛、貧血及び挫傷をはじめとする治療に関連した副作用は、一般に緩和(グレードI又はII)でありかつまれであった。グレードIIIの消化不良の一例が観測された。無病及び全体生存率を追跡しているところである。ほとんどの患者は1年をクリアーし、生存曲線は、National Cancer Institute of Mexicoでの研究において以前に出願人が観測したものと密に近似し、そして、米国及びメキシコ人の症例一致コントロール(case−matched U.S. and Mexican controles)よりも良好なようである。

実施例12
免疫表現型検査の研究のためにヘパリン添加血を採集し、B、T、NK、並びにTナイーブ、T記憶細胞及びTエフェクター細胞を含む免疫細胞サブセットの数を測定した。指定した細胞表面マーカー(又は対応するアイソトープコントロール)に対する蛍光タグモノクローナル抗体を使用してフレッシュな未分画全血を染色した。
次いで、染色及び固定された試料を獲得し、そして、Beckman Coulter FC500フロー・サイトメーター及びCXP(TM)解析ソフトウエアを用いたマルチパラメーターフロー・サイトメトリーで分析した。Flow Count(TM)ビーズを採用するこのシングルプラットフォーム(フロー・サイトメトリーのみ)法を用いた絶対Tリンパ球サブセットの数値は、デュアル(血液分析装置及びフロー・サイトメトリー)プラットフォーム技術(Reimannら、2000)よりも正確であることを証明している。以下の表6は、ImmunoSiteで分析した免疫マーカーのリスト及び免疫化におけるそれらの役割を表す。
本発明の目的のために、免疫化を生起するか否かの仮説を評価するのに直接的に関連する細胞集団のみを以下に検討する。
Tリンパ球、特にCD8+T細胞のための発生経路は、過去10年にわたり、特にCD8+T細胞に集中して徹底的に研究されており、なぜなら、それらは、効果的な抗腫瘍免疫と最も密接に関連するからである。CD4+ヘルパーT細胞及びCD8+細胞障害性T細胞の両方とも、相互のCD45RA+及びCD45RO+亜集団に細分化することができる。CD45RA+細胞は、以前は、ナイーブT細胞と呼ばれていたが、より最近の研究は、血液中のこれらのT細胞は、ナイーブT細胞とともに、TEMRAとよく呼ばれるより充分に分化したエフェクターを含む(Lanzavecchia、2005;Kaech、2002)。CD45RO+(CD45RA−)記憶T細胞は、また、Tセントラル記憶(TCM)及びTエフェクター記憶(TEM)に細分化することができる。これらの下位分類は、CCR7(Sallusto、1999;Tomiyama、2004)を含む追加のマーカーの表面発現に基づく。さまざまなT細胞サブセットの発生系路及びそれらの系列関係は複雑なままである。重要性についてのデータ及び試験を以下の表7に表す。
IRX−2はT細胞及びDC上で作用して、活性化、成熟、ナイーブT細胞への内因性腫瘍抗原提示の増強を促進するという仮説と一致して、ナイーブT細胞集団(CD3+CD45RA+CCR7+)はベースライン21日との間で減少したことが観測された。ナイーブT細胞は、最初は、成熟DCにより適当な主要組織適合抗原複合体(MCH)分子上に現れたときに、抗原認識により活性化される。T細胞の記憶及び完全なエフェクター機能を産生する後続工程は完全に定義されていないが、いくつかのマーカー、すなわち、CD45RA/RO及びCCR7によって定義されるようなT細胞の異なる亜集団が確固たる機能特性を有するのは明らかである。例えば、CCR7発現はT細胞にリンパ節へのホーミング能力を与え、そこで、最も効果的な抗腫瘍プライミングが起きる。
ナイーブT細胞集団(CD3+CD45RA+CCR7+)で、ベースラインの55.6細胞/mLの集団レベルが21日に17.4細胞/mL落ち込む(p=0.02)有意な減退を観測した。ナイーブT細胞の喪失は、これらの細胞が発見し、その各自のコクネイト抗原により刺激され、そして、記憶又は十分なエフェクター集団の二者のいずれかである代替の機能集団に分化することから生ずる。
さらに、セントラル記憶T細胞集団(CD3+CD45RA−CCR7+)はCCR7+とともにリンパ節ホーミング傾向を付与し、ベースラインの56.9細胞/mLから21日の34.1細胞/mLに降下した(p=0.028)。これは、腫瘍抗原に対する免疫化がIRX−2療法に応答して生起している指標でもある。研究は、T細胞のTCM集団が、再刺激で好ましくはリンパ節へホーミングしてそこでより多くのエフェクター、例えば細胞溶解機能を獲得することのできる初期のより「ステムライク(stem−like)」な記憶集団を表していることを示している。この集団で見られた有意な減退は、これらのTCM細胞が血流を出て、そして流入リンパ節へ遊走してそこでさらに活性化されることと一致する。
一の免疫化後、抗原担持有害物(antigen−bearing offender)への攻撃が求められる他の免疫細胞を待つ。さらに、免疫化仮説のサポートが、B細胞の有意な低下(p<0.01)が観測されたことに観測された。B細胞はリンパ節中へ動員され、そこで抗原へ暴露され、その後、そこを出て腫瘍内に現れ、そこで、おそらく、腫瘍を直接攻撃するか又は抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を支援可能な抗体を産生する。
ここで観測された統計的に有意な変化及び傾向は、ナイーブT細胞の免疫化は、IRX−2投与が原因で起きていることを強く示している。他にこれらの患者に一次インターベンションが観察されなかったので、これらの変化は、無秩序に起きたようではない。
IRX−2処置が、自己腫瘍抗原に対して免疫化を誘発するという仮説は、また、非無作為健常及びH&NSCCコントロール患者と比べたH&NSCCリンパ節応答と後続のIRX−2処置に関して出願人が発表した情報により支持される(Meneses、2003)。IRX−2処置と関連した顕著なリンパ節応答の特徴は、節の補充とリンパ球の拡張、特にTリンパ球の拡張であり、これらは、未処置のH&NSCC患者のリンパ節内で激減していることが示された(Verastegui、2002)。おそらくIRX−2のせいで免疫化中に起きる節の拡張は、また、明確な樹上細胞の欠陥である洞組織球症の逆行と関連することが観測された。これらの変化は、免疫化と一致する。先行研究によれば、腫瘍抗原に対する免疫化は、所属リンパ節のレベルで起き、腫瘍自体でないことが確認される(Maass、1995)。

組織学
リンパ節内で免疫化が起きると、新しいキラー記憶T細胞が発生し、次いで、血管を通って節から出て、そして組織内に流入して抗原性標的(すなわち免疫標的)を求めてパトロールすると考えられる。抗原性標的が同定されたら、キラー記憶T細胞が組織に浸潤して標的を殺す。細胞性免疫応答が開始されるときは、他の免疫細胞を動員して殺し、そして掃除する工程に参加させる。
腫瘍へのTリンパ球浸潤、特にCD45RO+CD8+T細胞の浸潤は、腫瘍抗原への免疫化、及びそのような浸潤は、H&NSCC、メラノーマ、結直腸がん及び卵巣がんをはじめとする多様ながんにおける生存の改善と相関する証拠である(Wolf、1986;Pages,2005;Galon、2006)。
ここでリンパ節内のIRX−2誘発免疫は、腫瘍内リンパ球浸潤と腫瘍破壊を生じ、そして、特異的免疫細胞の腫瘍内の出現が、抗腫瘍免疫応答の証拠を提供するであろうと仮説された。また、腫瘍への免疫応答は、腫瘍の周辺領域からその腫瘍内領域におよぶびまん性リンパ球浸潤の証拠であると仮説された。
一次腫瘍生検及び切除検体からのフォルマリン固定パラフィン埋め込みブロック又は未染色スライドをヘマトキシリン及びエオシン(「H&E」)及び免疫組織化学染色(「IHC」)用に臨床部門がPhenoPath Laboratories(Seattle、WA)へ提出した。IRX−2研究の被験者26名からのペアサンプルを提出し、25が評価可能であり、そして外科用標本1個は腫瘍の組織学的証拠がなかった。H&E比較研究の最後に、外科用標本の二つのアドホックコンパレータ群を採取した:MD Andersonから25個の外科用標本、及びStony Brook Health Sciences Centerから10個の外科用標本であり、これらは、未処置のH&NSCC外科用標本から無秩序に選択された。
免疫組織化学染色はIRX−2処置試料についてのみ行い、腫瘍内の免疫マーカーの存在を測定した。それらのマーカーを表8にリストする。

IHC染色マーカーの存在を低出力のもとで評価し、そして、予測的に定義された0−100mm視覚的アナログスケール(VAS)用いてグレード付けし、ここで0は、マーカーを陽性染色する細胞の出現0%を表し、そして100は出現100%を表した。マーカーを強調するために使用したペルオキシダーゼ反応は、H&E染色と比べてリンパ球浸潤の面積又は密度を過剰評価するので、IHCをベースとする密度測定の信憑性を乏しくするが、IHCは、細胞型間の相関関係を解明するのに依然として有効である。

H&S研究:方法及び解析
H&E染色スライドを比較する3つの分析を行った。2つの分析は、25個のIRX−2処置外科用標本、及びMD Andersonから得た25個の未処置の外科用標本のブラインド抽出であり、一つは腫瘍特性について、そして一つは免疫応答特性についてであった。3つ目の分析は、同一であるが、Stony Brookから得た10個のブレンドしないH&E染色スライドからの免疫応答の特徴抽出であった。各ケースにおいて、特徴を抽出し、VASを用いて症例報告書へ定量化した。
免疫応答の特徴について2つの評価を行い、1つ目の評価は、外科標本全体にわたるマーカー全体の存在であり、2つ目は、浸潤の場所が腫瘍の周囲又は腫瘍内の程度に対してであった。
全体評価は、リンパ球浸潤、その密度、腫瘍と浸潤との間のバランス、及び、腫瘍形態の印象を含む他の特徴を考慮してなされた。他の準特徴には、腫瘍のあった場所だがもはやないことを示唆する繊維化及び壊死の大きさが含まれ、そしてよく分化した扁平細胞がんの場合は、最小のがん真珠(keratin pearls)の終結又はそれを囲む非腫瘍は、腫瘍破壊の別のサインである。「活性な免疫学的応答」には、免疫系によって作られた損傷のリンパ性浸潤の証拠、及び、腫瘍がもはや生存できずに破壊される程度、すなわち、ホストが腫瘍と戦っている程度や過程が含まれる。「活性免疫応答」のリンパ球浸潤準特徴を図19及び20に示す。
変化する活性な免疫応答に関する有力な準特徴の一つは、IRX−2で処置した患者内に観察されるリンパ球浸潤(LI)の局在と強度である。IRX−2処置患者及びアドホックコンパレータ群の両方でこの反応を裏付ける外科標本は、総合LI、腫瘍周囲LI、及び腫瘍内LIの密度の顕著な増大を実証した。
VAS上で50mm以上の予め決めた臨界点に基づく解析は、以下の表9に示す3つの群の外科標本で異なる活性免疫応答率を示した。
活性免疫応答を発揮したこれらの患者の頻度の増大は、MD Anderson及びStony Brook群をまとめて20%からIRX−2処置群の44%にわたった(p<0.05、カイ二乗検定による)。

腫瘍周囲LI 対 腫瘍内LIの測定
腫瘍内の免疫細胞の場所もまた評価した。本明細書では、活性な抗腫瘍免疫応答は、腫瘍周囲領域から腫瘍内領域を含めるように拡大したリンパ球浸潤を含むであろうと仮説した。
IRX処置患者の活性免疫応答のVAS分析に基づいて、11名が強い反応を示し(≧50,応答者と呼ぶ)、そして14名があまり強くない反応を示した(<50,非応答者と呼ぶ)。これらの2群のLIの比較を図21A及び21Bに示す。
見てとれるように、応答者は、非応答者に比べて、代表的なセクションのLI(領域及び密度の両方)の顕著な増大を示し、腫瘍内LIの増大は、腫瘍周囲の変化よりも比例してかなり大であった。
さまざまなマーカーの位置の免疫組織化学は、どの細胞が各領域で優位を占めるかを明確にするのに役立つ。図22はこれらの結果を示す。標本中の約25%のLIを示す腫瘍周囲浸潤は、CD45RA+、CD3+、CD4+Tリンパ球及びCD20+Bリンパ球が優勢であった。一方、標本中の約75%のLIを示す腫瘍内浸潤は、CD45RO+、CD3+及びCD8+リンパ球(すなわち、「キラー」エフェクターT細胞表現型)並びにCD68+マクロファージが優勢であった。図23は、IRX−2処置外科標本におけるCD45RO+記憶T細胞のIHC染色の画像例を提供する。表10は、腫瘍内の各細胞集団の存在の結果を示す。

100mm視覚的アナログスケール(VAS)評価に基づく測定
この免疫化仮説の最も強い支持は、腫瘍内及び腫瘍周囲の浸潤についてのリンパ球浸潤試験、並びに壊死、繊維化及び腫瘍減少を示す腫瘍拒絶の写真に由来する。拒絶パターンは、それぞれ、腫瘍内に増大したBリンパ球及び活性化マクロファージをもつ液性及び細胞性免疫の両方に特徴的である。がん患者に見られる免疫抑制を克服し、そして免疫機能を回復することでバランスを免疫監視へバックさせることにより、IRX−2療法は、ホストに腫瘍を拒絶させ、そして、腫瘍に対して自己免疫させて再発の減少と生存の増大へ導く。

実施例13
一の患者で、図24に示すように、融合FDG PET/CTスキャンを、0日と21日で比較した。全解糖活性(total glycolytic activity)及び体積を測定し、表11に示す。


実施例14
患者全体(図25)とステージIVaの患者(図26)の両者について全生存率を測定した。図25は、全生存率の3つのカプラン・マイヤー曲線を示す。上段の線は、最近完了した多施設フェーズ2研究(18.6ヶ月の追跡期間中央値)であり、中段の線は、10年前に完了した単一施設フェーズ1/2であり、そして、最もよく利用されるコンパレータ(無作為部位適合(randomized site matched)RTOG9501試験)と比べたたものである。両IRX−2処置群では、生存率が、解剖部位適合(anatomic site−matched)RTOG 9501試験データよりも高い。このデータは、IRX−2が推進する免疫化が永続的であり、そして、生存率の改善を導くことを示唆する。図26は、ステージIva集団の全体生存率に関する3つのカプラン・マイヤー曲線を示す。上段の線は、最近完了した多施設フェーズ2研究(18.6ヶ月の中間追跡値)であり、中段の線は、10年前に完了した単一施設フェーズ1/2であり、そして、最もよく利用されるコンパレータ(無作為部位適合RTOG9501試験)と比べたたものである。両IRX−2処置群では、生存率が、解剖部位適合RTOG 9501試験データよりも高い。このデータは、IRX−2が推進する免疫化が永続的であり、そして、ステージIVa患者の生存率の改善を導くことを示唆する。

実施例15
IRX−2は、所属リンパ節のサイズ、T細胞領域及び密度を増大させ、そして洞組織球症を逆行させることが示された。コントロール、H&NSCCコントロール、及びIRX−2の投与されたH&NSCC患者を、図27A−Dで比較する。IRX−2プロトコルで処置したH&NSCCをもつ全50名から20名の患者を、評価に適した複雑でない領域リンパ節をもつとして選択した。すべてが臨床応答を示し、それは、部分応答(PR,>50%腫瘍減少)又はマイナー応答(MR,<50% >25%腫瘍減少)のいずれかであった。完全な応答者(3/50)及び非応答者(5/50)を明らかな理由のため除外した。10名の未処置H&NSCCコントロールLN標本を、一コントロール群(H&NSCCコントロール)としてランダムに選択し、そして、10名の非がんコントロールLN生検を、ランダムに選択した(コントロール群)。明白なLN病態は、コントロール群から除外した。全体的に、95%のIRX−2 LN、80%の非がんコントロール、及び60%のH&NSCCコントロールは、刺激と判断された。全体的に、IRX−2処置患者のLNは、T細胞反応性へのシフトをもって高い割合(%)の刺激を示した。H&NSCCコントロールのLNの平均サイズは、コントロール群より有意に小さく、そして、IRX−2処置H&NSCC患者のものは、がん及び非がんコントロールよりも有意に大きかった(p‘s<0.01)(図27A)。サブトラクションによりそしてPAS染色により非−T及びB細胞「他の細胞」LN領域は、全体の25%であり、そして洞組織球症の程度にほとんど相当した(図5)。洞組織球症がH&NSCCコントロールに特徴づけられ、他の群にないことは注目すべきである。10名のH&NSCCコントロールのうち9名(しかし他のケースでは0)において、赤血球での副鼻腔うっ血も観測された。しかし、his−リンパ球、B及びPC又はTリンパ球のいずれかによる赤血球食細胞増加症を計数し、そして、対応のリンパ性集団をもつリンパ節の領域と関連させた(図27C)。H&NSCCコントロールのT細胞領域は、非がんコントロールと比べて適度に減少し(p=NS)、そして密度が有意に減少した(p<0.01)(図27B)。IRX−2処置患者のT細胞領域は、非がんコントロールと比べて適度に増加し(p=NS)、そしてH&NSCCコントロールを顕著に越えた(p<0.01)。IRX−2処置LNのT細胞密度は、両コントロールよりも有意に大きかった(p‘s<0.01)(図27D)。

実施例16
図28A−Dの洞組織球症は、大多数の大顆粒PAS−陽性細胞、及び少数のサイズのさまざまなCD3+T細胞によって特徴づけられる。図28Aは、洞組織球症をもつHNSCCコントロールの典型例を表す。図28Bは、洞をもつリンパ節のCD68+染色を示す。IRX−2での処置は、HNSCCコントロールに明白な洞組織球症の逆行と関連した。図28Cは、洞組織球症及び赤血球うっ血をもつリンパ節の典型的な例を示す。図28Dは、IRX−2処置患者でのを洞組織球症の逆行を示す棒グラフである。

実施例17
図29A−Fの上段パネルは、頭頸部扁平上皮がん(H&NSCC)をもつ三名の患者のプレ処置バイオプシーの例を示す。バイオプシーは、平均80%の腫瘍、及び、ストロマ内にリンパ球が軽く散在した20%のストロマになる。下段のパネルは、後でIRX−2レジメンの処置をする腫瘍の典型的部分を示す。腫瘍と置換されるリンパ球の激しい浸潤は注目に値する。INCANでのこの試験では、25名中22名(88%)が応答を示した。

実施例18
図30は、US2相試験で、IRX−2レジメンで処置した11名の応答患者(44%)と14名の非応答患者の外科標本の壊死及び繊維化の強度を示す。

実施例19
図31A−Dに示すように、IRX−2は、腫瘍破壊をほう起するキラーT細胞浸潤を刺激することが示される。図31A−Dは、IRX−2で処置した患者からの切除標本のH&E及びIHC(免疫組織化学)染色である。腫瘍の不均一性にもかかわらず、図31Bの写真にとられ、そして、リンパ球の湖が矢で注記されたリンパ球の活発な浸潤の頻度の増大が見られる。図31Dの写真の免疫組織化学染色により、浸潤はCD45RO記憶キラーT細胞表現型であることが確かめられる。腫瘍へのリンパ球浸潤が、結直腸、卵巣、乳房、頭頸部のがんにおける成績の改善を予見する証拠が次々にでている。リンパ球浸潤は、なぜ、患者に再発なく予想よりも長く生きるようになるかに関する架け橋を提供し、微小転移を攻撃することができ、それにより再発を遅延又は防止し、生存率を改善する免疫記憶の結果である。

実施例20
腫瘍内対腫瘍周囲の浸潤を比較するため、免疫組織化学を行った。免疫組織化学染色に基づく腫瘍切除標本内の免疫細胞の全体の存在(overall presence)と位置の評価から得られる要約データを、表12に示す。腫瘍周囲領域のB細胞の複合的存在、及び、本質的に活性化CD68+マクロファージと共存するCD8+及びCD45RO+(すなわち、「キラー」エフェクターT細胞表現型)である拡散した腫瘍内リンパ球浸潤は、抗原刺激及び抗腫瘍免疫応答を示唆する。


実施例21
樹状細胞
IRX−2が作用するキーとなる細胞の一タイプは、樹状細胞である。がん患者は、抗原取り込み、抗原提示、及び効果的なT細胞刺激に必要なシグナル分子の発現の減少の結果として樹状細胞機能が減じている。
図32に示すように、T細胞刺激及び樹状細胞への接着のキーとなるシグナル分子は、CD86、CD40及びCD54である。がん患者では、稼動部分(machinery)を提示する抗原の成分は、樹状細胞においてダウン・レギュレートし、T細胞に対する効果的な抗原提示の減少を生じる。IRX−2は、樹状細胞を表現型的及び機能的の両方で活性化し、そして成熟させることができる。可動部分を提示する抗原の発現を増大させることにより、IRX−2は、抗原提示機能を回復させるよう作用する。
図33に、可動部分を提示する樹状細胞の抗原へのIRX−2の作用及びT細胞刺激能を示した統計的に高い有意性を示すフロー・サイトメトリーデータを示す。HLA−DRアップ・レギュレーションが樹状細胞により要求され、MHCクラスII溝内に抗原を提示する。CD86は、ナイーブT細胞の同時刺激レセプターであり、それは、T細胞活性化及びキラー記憶T細胞産生のために要求されるシグナルの一つである。CD86を発現しない樹状細胞は、免疫寛容性樹状細胞であり、そして、抗原特異的抑制型制御性T細胞を産生するよう機能する。IRX−2を投与し、そして同時刺激タンパク質を増大させることにより、このバランスを免疫寛容性樹状細胞から活性化樹状細胞へとシフトさせることが可能であり、そして、免疫標的に対して連携かつ強固な免疫応答が開始される。
図34に、樹状細胞の潜在的T細胞刺激能へのIRX−2の作用を示した統計的に高い有意性を示すフロー・サイトメトリーデータを示す。CD40発現の増大は、持続したT細胞活性化及び記憶T細胞の産生に必要である。CD54は、また、ICAM−1と呼ばれ、そして、樹状細胞−T細胞相互作用に関わり、そして、T細胞活性に必要な二番目のシグナルを提供する。したがって、樹状細胞内のこれらの分子のアップ・レギュレーションにより、IRX−2により開始された細胞性免疫応答が持続かつ強固であることが確実になる。
図45に、さまざまな希釈のIRX−2及び組換体TNFと、成熟樹状細胞のマーカーであるCD83発現をアップ・レギュレートするそれらの能力を比較したデータを示す。IRX−2内に生理学的量存在する複数の活性成分は、相乗的に作用して、IRX−2内に存在するTNFの約4倍当量だけCD83発現を増大する。TNF単独で同様の結果を達成するには、10−25倍の濃度が必要であったが、その量は、組織又はリンパ節内の濃度を明らかに超えている(超生理的/薬理学的)。
図36に、樹状細胞のT細胞増殖を誘発する能力を測定するアッセイからのデータ、樹状細胞のナイーブT細胞活性化能の機能的評価を示す。IRX−2は、DCのT細胞刺激活性を増強する。未熟DC(GM−CSF/IL4x7d)を、IRX−2、又は、X−VIVO 10媒体単独のコントロール(それぞれ、黒丸又は白丸)で刺激した。48時間後、DCを収穫し、激しく洗浄し、そして、丸底96ウエルマイクロタイタープレート内で、指示したスティミュレーター(DC)対レスポンダー(T)比のナイロン・ウール精製同種異系T細胞(2x10/ウエル)とともに共培養した。共培養5日目、細胞にBrdUをパルシングし、18時間後取り込まれたBrdUを比色抗BrdU ELISAアッセイにより測定した。このグラフは、試験した6名の各ドナーのうち代表的なドナーからの結果を示し、試験した4DC:T比における平均刺激指数(S.I.)(+/−SEM)として表した。S.I.は[(DC刺激T細胞のO.D.−DC単独のO.D.)/休止期T細胞のO.D.]として定義される。6名すべてのドナーからのDC:T比の全範囲にわたる平均S.I.は、IRX−2処置DCを刺激薬として使用した場合に統計的に有意な改善を示した(p<.0.05, ANOVAによる)。IRX−2処置樹状細胞のT細胞増殖を誘発する能力の有意な増大があり、IRX−2によって誘発された樹状細胞表現型変化は、また、T細胞刺激及び増殖を効果的にほう起する能力を有する機能的に活性な樹状細胞を生じることを確認した。

実施例22
IRX−2は、ペプチド−特異的IFN−γ産生及びDTHを増強する。
さまざまな用量のPSMAペプチドで、IRX−2とともにあるいは無しにマウスを免疫した。ぺプチド又は結合体(conjugate)攻撃後のT細胞応答を、DTH応答(図37A)又は、後続のペプチドに応答したIFN−γ産生(図37B)により評価した。IRX−2+結合型ワクチンは、in vivo(DTH)及びex vivo(脾臓リンパ球によるIFN−γ産生)での抗原特異的細胞性T細胞応答を増強する。これは、効果的がんワクチンにおいて細胞性応答が本質的な要求の理由から重要である。また、in vivo及びex vivoでのT細胞応答は、両方とも、IRX−2とともに使用したワクチンの用量と関連する。用量応答により、応答はワクチン抗原が推し進め、単にIRX−2のせいでないことが確認される。

実施例23
IRX−2は、ペプチド−特異的DTHを増強する他のアジュバントより勝る。
IRX−2活性の新規な性質を、IRX−2をさまざまなメカニズムを現すのに選択される他のアジュバントと比べることより確認した。広く使用されるFDA承認アジュバントの理由からミョウバン(Alum)、抗原提示細胞を標的するTLRアゴニストの理由からCpG、複数のアジュバント活性を含みそしてフロイントアジュバントよりも安全な選択枝である理由からRIBIアジュバントシステム(RAS)を評価した。図38に示されるように、試験したすべてのアジュバントは、結合体を攻撃したときにDTH応答をほう起した。しかし、IRX−2のみが、ワクチン結合型に対するペプチド特異的DTH応答を増強し、一方、図43に示すように、ミョウバン、CpG及びRASは増強しなかった。本明細書で報告した研究は、IRX−2が治療上有効ながんワクチンにおいて複数の抗原タイプと組み合わせて使用するための外因性抗原に対してT細胞免疫応答を増強するという仮説を支持する重要な前臨床データを提供している。結合型ワクチンに対するT細胞ペプチド−特異的応答のユニークな性質は、IRX−2の作用の複数の標的モードとサイトカイン間の予測された相乗作用の結果である。

実施例24
末梢循環内の免疫細胞への作用の証拠
以下のデータは、ベースライン及び21日における末梢血の免疫モニタリングをまとめたものである。21日の末梢血におけるCCR7細胞集団(リンパ節ホーミングポテンシャル及びB細胞とともに)の統計的に有意な減少は、血行からのこれらの細胞の動員と樹状細胞による活性化のためのリンパ節への加入と一致する。エフェクター細胞数の増大に対する無変化又はかすかな傾向は、一時的に血行内とその後の組織内を通過して抗原標的を殺す細胞障害性T細胞と一致する。IRX−2レジメン処置患者の末梢血内の免疫細胞及びT制御性細胞の両方の全変化は、図39に概略示すように、リンパ節内免疫化、免疫寛容から刺激環境への変化と一致する。
図40に、頭頸部がん患者からの末梢血のベースライン及び21日(IRX−2レジメン完了後)におけるT制御性細胞の絶対数値を示す。各線は、患者を表し、そして、太線は、グループ平均を表す。いくつかの従前の研究は、T reg細胞ががん患者(卵巣、結直腸、肝細胞,HNSCC)で増加すること、及び、増加した制御性T細胞は、悪化する予後と関連することを示している。26名中18名の患者の制御性T細胞が21日のみ同じにとどまるか低下しているという事実は、衝撃的かつ有意な発見であり、なぜなら、免疫寛容樹状細胞は、T reg集団を拡張し続けるからである。T regカウントをベースラインレベルに安定化するIRX−2レジメンは、これらの患者の生存率の改善に反映する顕著な発見である。

実施例25
免疫化と首尾一貫する腫瘍収縮の証拠
図41A及び41Bは、5.2cm大の右舌根部の融合FDG−PET/CTスキャンを示し、21日目に一次腫瘍は、二個の関係するリンパ節とともに、体積58%の減少及び全解糖活性75%の減少を示す。抗腫瘍拒絶及び免疫化が起きているという仮説を支持する腫瘍収縮の証拠がある。

実施例26
以前は、バイオプシー対腫瘍標本(Meneses)の組織病理学の評価基準は、
腫瘍が全体に減少したこと、腫瘍の断片化が起きたこと、及び、リンパ球浸潤(LI)の増大があったことであった。本発明によれば、処置腫瘍対コントロール腫瘍について本明細書に提示した新しい評価基準、すなわち、壊死及び繊維化をともなう腫瘍破壊、及び腫瘍周囲よりも腫瘍内でより大であるLIの増大が存在する。以下の表13に、H&NSCCへのサイトカイン治療のさまざまな発見を要約する。重要なことは、IRX−2は、免疫系のすべてのアーム上で働き、一方、他の複数の成分サイトカイン治療は働かないことが示される。MULTIKINE(Cel−Sci)は、その組成内に複数のサイトカインを含む。しかし、その効果は、腫瘍自体に関して単一であり、免疫系に関してではない。


総括
この研究は、扁平細胞頭頸部がん患者に手術前の治療で有意な生物学的活性を持つIRX−2レジメンの能力に関する出願人の従前の所見を確認及び拡張する。本研究は、レジメンに起因する有害事象がほとんど無く治療が安全であることを確認する。実際、リンパ球浸潤の病理組織学的変化の証拠を示したこれらの患者は、痛み及び圧痛の減少、呼吸及び発声の改善、並びに、腫瘍の軟化(溶解のサインとして)のような大部分の症状の改善をもった。3名の患者は、臨床応答(2PRs,1MR)をもつと判断された。全体の生存率データ及び再発フリーの生存率は、未完成であるけれども、助長し、出願人の以前の研究と程度及びプロファイルが同様である。経過観察の最初の12ヶ月内に再発による死亡が起きなかったことは特筆すべきである。これまでの一名以外のすべての死亡は、非応答者群にある。
最も無視できないデータは、メカニズム研究に関連したものである。Bリンパ球及び二つのT細胞サブセットの低下が初期の免疫化とリンパ節ホーミングに関係したことが観測された。血液中に記憶/エフェクター細胞の増加は観測されなかった。しかし、免疫化とともに起きるT細胞のトラッフィックパターンに基づいて説明することができる。特に、制御性T細胞の増加は観測されなかった。
出願人の従前の研究は、IRX−2に応答する患者が、腫瘍近くの関与しないリンパ節、消耗したTリンパ球領域の補充、及び抗原とともに生起するような活性化の病像の増大を示した。したがって、リンパ球は、血液及びリンパ管を介して領域リンパ節へ輸送し、そこで、リンパ球は、おそらく、自家腫瘍抗原に対して免疫化される。本明細書に示すように、その後、それらは、リンパ節を去り、そして血液によって腫瘍へ移行し、そこで、腫瘍内及び腫瘍周囲に浸潤し、腫瘍破壊(壊死、繊維化及び腫瘍減少)の証拠と関連する。この反応を示す患者では、リンパ球浸潤の増大は、主として、腫瘍周囲のCD3+CD4+CD45RA+T細胞集団及びCD20+Bリンパ球、並びに腫瘍内のCD3+CD8+CD45RO+Tリンパ球集団及びマクロファージと関わる。腫瘍内の変化は、周囲のものより大きい。このメカニズムは、一般に図2に示される。
特に、未処置患者は、そのような反応をたまに(20%)示し、IRX−2レジメンで処置した患者よりもきわめて低い頻度であるけれども44%対20%)、コントロールにおける反応の存在は、良好な成績を予測する新規なバイオマーカーを表している。
その病像は、臨床的、放射線学的、病理学的及び免疫学的に統合されたものであり、そして、自家腫瘍抗原に対する免疫化のための豊富な証拠を提供する。IRX−2は、免疫系のすべてのアームを活性化することが示され、免疫機構の全体の回復及び免疫標的を攻撃する能力を提供する。
この出願を通して、米国特許を含むさまざまな刊行物を、著者及び年度、並びに特許番号により参照する。刊行物の十分な引用を以下にリストする。本発明が関係する現在の水準をより十分に説明するために、これらの刊行物及び特許の全体の開示を本明細書に参照として本出願に組み込む。
本発明を例示的に説明しているが、使用してきた用語は、限定よりは説明の単語の本質であることを理解するべきである。
明らかに、本発明の多くの改変と変更が上記の教示に照らして可能である。したがって、本発明は、添付した請求の範囲内で、特に記載された以外に実施されてもよいと理解されるべきである。
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Claims (7)

  1. リンパ球をex vivoで有効量の一次細胞由来バイオロジックのみからなる配合物と接触させることにより作製されるex vivoでアポトーシスから防御されるTリンパ球を含有し、細胞防御的がん療法に使用される医薬組成物であって、
    該一次細胞由来バイオロジックは、インターロイキン1β(IL−β)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)及びγ−インターフェロン(IFN−γ)を含むことを特徴とする、前記医薬組成物
  2. 前記Tリンパ球は、一次血液由来Tリンパ球である、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記Tリンパ球は、CD4+である、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  4. 前記Tリンパ球は、CD8+である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物
  5. 前記一次細胞由来バイオロジックは、4−アミノキノン抗生物質の持続的存在下、及び、ミトーゲンの持続的又はパルス化した存在とともに調製されることによって取得することができる、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物
  6. 前記ミトーゲンは、フィトヘマグルチニン(PHA)である、請求項5に記載の医薬組成物
  7. 前記一次細胞由来バイオロジックは、さらに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び果粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物
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