JP2020172444A - 樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肝細胞がん(HCC)を治療する方法の提供。【解決手段】約1×105細胞/用量/日〜約1×108細胞/用量/日であり、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞、骨髄系樹状細胞(cDC)、形質細胞様樹状細胞(pCD)、又は、骨髄由来樹状細胞である樹状細胞ワクチンを、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA−4もしくはCD152)、又は、プログラム細胞死リガンド1(PDL−1)もしくはプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)に対する抗体である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて患者に併用投与することを含む、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、医療分野に関する。より詳しくは、本発明は、樹状細胞ワクチンおよび免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん(好ましくは、肝細胞がん(HCC))の治療に関する。
肝細胞がん(HCC)は、最も一般的な肝・胆道系(肝臓、胆嚢、および、胆管)がんである。HCCの原因は、肝硬変だけでなく、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の感染とも関連付けられている。HCCの危険因子は、HBVまたはHCVの感染、アルコール性肝硬変、および、ヘモクロマトーシスまたは末期の原発性胆汁性肝硬変(PBC)などといったその他の肝臓の状態を含む。HCCの治療に関しては、多様な治療方法が開発されており、外科的切除や肝移植、また、高周波アブレーション、肝動脈化学塞栓療法、全身化学療法、標的療法などの手術しない治療の選択肢も数多く存在する。
特許文献1は、がん患者の免疫応答を引き出す方法を開示している。この方法は、アミノ酸配列GVYDGEEHSVからなり、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合するペプチドを異常に発現する患者のガン細胞を選択的に認識する活性化T細胞の集団を含む組成物を、患者に投与することを含む。特許文献2は、肝細胞がんを予防および/または治療するための抗クラウディン1モノクローナル抗体、および、その組成物の使用に関する。特許文献3は、T細胞におけるPD−1の状態を決定する方法を開示している。特定の細胞におけるPD−1の量の変化に基づいて、チロシンキナーゼの有効性が決定され、低用量のチロシンキナーゼ阻害剤とPD−1阻害剤との併用療法に適用することができる。
米国特許公開公報第20180207253号 米国特許公開公報第20180258169号 米国特許公開公報第20180162941号
しかしながら、これらの治療の延命効果は限られる。HCCは、外科治療後の再発率が高く、一般的に用いられる化学療法薬や標的薬に対する耐性も高いので、患者の生存率は低くなる。
樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを組み合わせて患者に投与することを含むHCCの治療方法を提供する。組み合わせは、例えば、本願明細書中に記載される臨床投薬計画(特定の投薬スケジュールに従って与えられる特定の用量)に従って併用投与される。
一実施形態では、樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日〜約1×10細胞/用量/日である。一実施形態では、樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日である。樹状細胞ワクチンの特定の実施形態は、これらに限定されないが、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞、骨髄系樹状細胞(cDC)、形質細胞様樹状細胞(pCD)、および、骨髄由来樹状細胞を含む。
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約50μg/用量/日〜約400μg/用量/日である。一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約100μg/用量/日、または、約200μg/用量/日である。免疫チェックポイント阻害剤の特定の実施形態は、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA−4またはCD152)、または、プログラム細胞死リガンド−1(PDL−1)もしくはプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質に対する抗体を含む。
樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とは注入または注射によって併用投与される。樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とは、同時にまたは異なる時に投与される別々の薬剤として提供されてもよい。併用投与は、一般的に、周期的に繰り返され、必要に応じて、例えば1〜35サイクル繰り返されてよい。一実施形態では、投与サイクルは、合計3回分の用量の樹状細胞と免疫チェックポイント阻害剤とを1日おきに投与することを含む。併用投与は、同じもしくは異なる剤形の治療薬(樹状細胞ワクチンおよび免疫チェックポイント阻害剤)を同時に投与するか、または、治療薬を別々に投与することを含む。
また、樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための医療キットも提供される。医療キットは、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを投与するための印刷された取扱説明書、および、少なくとも1サイクル分の用量単位の樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせを含む。
同所性HCCマウスモデルの構築を示す。(A)同所性HCCマウスモデルを構築するために、マウスを腹部正中で開腹し、マウス肝細胞がん細胞株Hep−55.1Cを直接左肝葉に注射した。点線で示される領域を下のパネルで拡大して示している。細胞注射の部位を丸で示している。(B)腹部正中開腹の後、死亡したマウスの肝臓では同所性腫瘍の発現が観察された。点線で示される領域を下のパネルで拡大して示している。同所性腫瘍を矢印で示している。 同所性HCCマウスモデルの検証を示す。(A)および(C):グラフは、同所性HCCマウスの生存期間、および、体重に対する肝臓の重さ、腫瘍の重さ、腫瘍容積の比率を示す(n=6)。水平な線は、平均値を表す。それぞれのグラフの下に平均値±標準誤差、および、中央値(範囲)が示されている。(B)6匹のマウス(#1〜#6)のすべてに腫瘍の成長が見られた。腫瘍は黒い矢印で示されている。(D)ヘマトキシリン・エオシン染色による腫瘍組織病理学的所見を示す。黒い点線は、肝臓組織における腫瘍部分および非腫瘍部分の範囲を明確に示している。画像の右下の隅にはスケールバーが示されている。拡大率は、20倍である。 BMDC(骨髄由来樹状細胞)の生成および形態学的特性を示す。(A)マウスの骨髄からのBMDCの生成を示す。IMDC(未熟樹状細胞)は、CD11cを大量に発現したが、CD40、CD80、および、CD86の発現量はBMDCに比べて少なかった。(B)細胞の形態を逆位相差顕微鏡法により調べた。黒い矢印は、懸濁された細胞の樹状突起を示す。各画像の右下の隅にスケールバーが示されている。拡大率は、1日目および3日目が20倍、6日目および7日目が40倍である。 BMDCの表現型的特性を示す。IMDCおよびBMDCにおけるCD11c、CD40、CD80、および、CD86を含む樹状細胞の表面マーカーの発現のフローサイトメトリー分析を示す。各マーカーを検出するために、IMDCおよびBMDCを、各マーカーの抗体で染色したもの(曲線aおよびb)、同一のアイソタイプを有するコントロール(対照)抗体で染色したもの(曲線c)、染色しないもの(濃い黒の曲線)を示す。同一のアイソタイプを有するコントロール抗体で染色されたものより高いFITC強度を有する染色細胞がゲーティングされ、表示されたマーカーに対して陽性の細胞とみなされた。表示されたマーカーを発現する細胞の頻度を、すべての分析された細胞の比率として計算し、各グラフの右上の隅に示した。 BMDCの機能的特性を示す。(A)抗原取り込みアッセイのために、IMDCおよびBMDCをFITCデキストランと共に37℃でインキュベートしたもの(曲線a)、氷上でインキュベートしたもの(曲線b)、未処置のもの(濃い黒の曲線)を示す。この後、フローサイトメトリー分析を行った。37℃でデキストラン処置された細胞は、氷上で処置されたものより高いFITC強度を有し、ゲーティングされ、デキストランを取り込む能力を有する細胞であるとみなされた。3つの別々の実験の代表的結果を示す。(B)FITCデキストランに対して陽性である細胞の頻度は、すべての分析された細胞の比率として計算された。データは、3つの別々の実験の平均値と標準誤差(エラーバー)を示している。**P<0.01。 BMDCの機能的特性を示す。(C)IMDCおよびBMDCによるIL−12(インターロイキン12)の産生を示す。IMDCおよびBMDCの培養上清におけるIL−12の濃度がELISAにより測定され、3つの別々の実験の平均値±標準誤差(エラーバー)として示されている。**P<0.001。(D)IMDCおよびBMDCにより誘導されるT細胞の増殖を示す。細胞培養ウェルでT細胞をIMDCまたはBMDCと共に培養した後、細胞培養インサートにおけるT細胞の数を計数し、3つの別々の実験の平均値±標準誤差(エラーバー)として示す。**P<0.01。 同所性HCCマウスにおけるBMDC単独での治療、または、PD−1/PD−L1抗体と組み合わせた治療の評価を示す。(A)同所性HCCマウスにおけるBMDC、および/または、抗PD−1/PD−L1治療の概略スケジュールである。初日、8週齢のオスのC57BL/6マウスにHep−55.1C(腫瘍細胞)を注射した。腫瘍細胞の注射から7日目に治療を開始し、合計3回分の用量で1日おきに治療を行った。生存期間を決定するため、治療後のすべてのマウスを死亡するまで追跡した。(B)BMDC(1×10細胞/用量)、および/または、抗PD−1/PD−L1(100または200μg/用量)で治療した後の同所性HCCマウスのカプラン・マイアー生存曲線を示す。腫瘍細胞を注射してから経過した日にちにおける累積生存率を示している。マウス(n=6)の各群における全体的な生存率を平均値±標準誤差、および、中央値(範囲)として示す。異なる治療を受けたマウス群間の全体的な生存率の差の有意性を分析し、コントロール(対照)群のマウスと比較した。P値<0.05を有意とみなした。
特に定めのない限り、本願明細書中で用いられるすべての技術および科学用語は、当業者が一般に理解しているものと同じ意味をもつ。通常、本願明細書中で用いられている命名法、および、以下に記載される実験方法は、当技術分野では周知であり、一般的に用いられている。
本願明細書中で用いられる冠詞、および、参照符号は、単数形および複数形のどちらも含むと解釈することができる。
本願明細書中で用いられる用語「被検体」、「個体」、または、「患者」は、互いに置き換え可能であり、脊椎動物、好ましくは、哺乳類、より好ましくはヒトを意味する。
本願明細書中で用いられる用語「疾病」、「疾患」、および、「状態」は、特に明確に指示しない限り、互いに置き換え可能である。
本願明細書中で用いられる用語「組み合わせ」は、2つ以上の品目の結合を意味する。組み合わせとは、2つの組成物または2つの集まりなど、2つ以上の別々の品目であってよく、また、それら2つ以上の品目の単一の混合物またはその何れの変形物であってもよい。組み合わせの要素は、通常、機能的に関係または関連し合う。
本願明細著中で用いられる用語「治療」または「治療する」は、損傷、病状、または、症状の治療、軽減または改善に成功した証を含むことが理解されるべきである。これは、寛解、緩解、症状の減少、衰退速度の遅延、悪化の最終点での衰弱をより少なくすること、患者の身体的または精神的健康の改善、または、疾患の発症の予防などのパラメーターを含むことができる。
本願明細書中における「治療上有効な量」が疾患/状態の症状に関して用いられる場合、疾患/状態の1つまたはそれ以上の症状を改善、軽減、もしくは、除去するか、または、症状の発生を防ぐもしくは遅らせる化合物の量および/または濃度を意味する。
本願明細書中で用いられる「組み合わせ」、または、「〜との組み合わせ」という用語によって、治療または治療薬を同時に投与する必要がある、および/または、一緒に送達されるよう調製する必要があるという意味になることは意図していないが、送達する方法は、本願明細書の範囲内である。組み合わせにおける治療薬は、1つ以上の追加の治療または治療薬と同時に、より前に、または、より後に投与されることができる。治療薬、または、治療プロトコルは、いかなる順序で投与されてもよい。
樹状細胞(DC)は、ヒトの免疫系における最も強力な抗原提示細胞である。未成熟状態の樹状細胞は、血液や組織に存在し、ウイルス感染した細胞、発がん性の細胞、または、異質細胞由来の抗原のサンプリングを行う。提示可能な抗原を取り込むと、樹状細胞は、成熟して抗原処理を行い、リンパ節に移動してT細胞に抗原を提示することによってT細胞を活性化し、インターロイキン12(IL−12)を産生してT細胞の増殖を促す。これによって、標的細胞を破壊する抗原特異的免疫応答が誘導される。これらの特性に基づき、腫瘍特異的免疫応答を促進する樹状細胞による免疫療法が、HCCに期待できる治療法として見出された。(Palucka K, Banchereau J. Cancer immunotherapy via dendritic cells. Nat Rev Cancer 2012;12: 265-277; Shang N, Figini M, Shangguan J, Wang B, Sun C, Pan L, Ma Q, Zhang Z。樹状細胞による免疫療法。Am J Cancer Res 2017;7: 2091-2102)。HCCの患者を治療するための樹状細胞によるワクチンの効力を評価するためにいくつかの臨床試験が行われている。例えば、樹状細胞を、α−フェトプロテインおよびグリピカン−3などの周知の腫瘍抗原由来のペプチドだけでなく、ヒトの自己腫瘍細胞の総タンパク質ライセート、または、ヒトヘパトーマ細胞株HepG2でパルスした。(Butterfield LH, Ribas A, Potter DM, Economou JS. AFP陽性肝細胞がんを患う被検体における自然発生およびワクチン誘導AFP特異的T細胞表現型。 Cancer Immunol Immunother 2007;56: 1931-1943; Sawada Y, Yoshikawa T, Nobuoka D, Shirakawa H, Kuronuma T, Motomura Y, Mizuno S, Ishii H, Nakachi K, Konishi M, Nakagohri T, Takahashi S, Gotohda N, Takayama T, Yamao K, Uesaka K, Furuse J, Kinoshita T, Nakatsura T.進行性肝細胞がんのためのグリピカン3由来ペプチドのフェーズIトライアル:全体的な生存率を向上させるための免疫学的証拠および可能性、Clin Cancer Res 2012;18: 3686-3696)。これらの臨床試験はみな、樹状細胞ワクチンは安全であり、HCCの患者の治療に有望であることを実証している。しかしながら、現在の樹状細胞ワクチンの接種により臨床的成果が著しく向上したという結果はまだ出ていない。したがって、HCCに対する樹状細胞ワクチンの免疫応答を高める新たな方法が必要とされる。
本開示の一実施形態は、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを患者に併用投与することを含むHCC治療方法を提供する。樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤(PD−1/PD−L1抗体など)との併用療法は、被検体の全体的な生存率を著しく向上させている。注目すべきことに、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤(PD−1/PD−L1抗体など)との併用療法は、用量に依存するだけの治療よりも被検体の全体的な生存率を向上させた。樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤(PD−L1抗体)との併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤(PD−1抗体)との併用よりも全体的な生存率が高くなることを示す。本開示は、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤(PD−1/PD−L1抗体など)との併用療法が、HCCのための新規な治療方法として非常に有望であり得ることを証明する。
がん患者に樹状細胞ワクチンを接種することにより、腫瘍細胞に対して有効な抗腫瘍免疫応答を誘導するまたは高めることを目的とする。一実施形態では、樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日〜約1×10細胞/用量/日である。一実施形態では、樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日である。
一実施形態では、樹状細胞ワクチンの例は、これらに限定されないが、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞、骨髄系樹状細胞(cDC)、形質細胞様樹状細胞(pCD)、および、骨髄由来樹状細胞を含む。
本願明細書における併用療法では、免疫チェックポイント阻害剤は、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA−4もしくはCD152)、または、プログラム細胞死リガンド1(PDL−1)もしくはプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質に対する抗体であり得る。
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約50μg/用量/日〜約400μg/用量/日である。一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約100μg/用量/日、または、約200μg/用量/日である。
抗CTLA4抗体とは、細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)またはその可溶性フラグメントに特異的に結合し、CTLA4へのリガンドの結合を阻止することにより、CTLA4の阻害と、CTLA4によるT細胞活性阻害とを拮抗させる抗体を指す。よって、抗CTLA4抗体は、CTLA4阻害剤となる。本願明細書における抗CTLA4抗体への言及は、CTLA4に特異的に結合する全長抗体、および、その誘導体(その抗原結合フラグメントなど)を含む。抗CTLA4抗体の例は、これに限定されないが、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、または、その誘導体もしくは抗原結合フラグメントを含む。
抗PD−1抗体は、PD−1(プログラム細胞死タンパク質1)またはその可溶性フラグメントに特異的に結合し、PD−1へのリガンドの結合を阻止することにより、PD−1の阻害と、PD−1によるT細胞活性阻害とを拮抗させる抗体を指す。よって、抗PD−1抗体は、PD−1阻害剤となる。本願明細書における抗PD−1抗体への言及は、PD−1と特異的に結合する全長抗体、および、その誘導体(その抗原結合フラグメントなど)を含む。抗PD−1の例は、これに限定されないが、ニボルマブ、MK−3475、ピディリズマブ、または、その誘導体もしくは抗原結合フラグメントを含む。
抗PD−L1抗体は、PD−L1(プログラム細胞死リガンド1)またはその可溶性フラグメントに特異的に結合し、PD−L1へのリガンドの結合を阻止することにより、PD−L1の阻害と、PD−L1によるT細胞活性阻害とを拮抗させる抗体を指す。よって、抗PD−L1抗体は、PD−L1阻害剤となる。本願明細書における抗PD−L1抗体への言及は、PD−L1と特異的に結合する全長抗体、および、その誘導体(その抗原結合フラグメントなど)を含む。抗PD−L1の例は、これに限定されないが、BMS−936559、MPDL3280A、MEDI4736、または、その誘導体もしくは抗原結合フラグメントを含む。
一実施形態では、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とは、抗腫瘍療法の一部として組み合わせて投与される。注入または注射により組み合わせを投与することが好ましい。注入または注射による投与の経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、および、皮下を含む。樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とは、同時または異なる時間に投与される別々の薬剤として提供されてもよい。一実施形態では、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とは、異なる時間に投与される別々の薬剤として提供される。異なる時間に別々に投与される場合、樹状細胞ワクチンを投与した後に免疫チェックポイント阻害剤を投与することが好ましい。
患者に投与するのに適した薬剤は、注入または注射用に液状であることが好ましい。一般的に、薬剤は、薬学的に許容できる担体を含む。本願明細書中で用いられる用語「薬学的に許容できる」とは、動物、特にヒトに用いるために、台湾薬局方、または、他の一般的に認識されている薬局方収載の政府規制機関により認可されていることを意味する。用語「担体」とは、治療薬を投与するために用いられる希釈剤、アジュバント、賦形剤、または、溶媒を指す。このような医薬担体は、水、および、石油、動物、植物もしくは合成起源のピーナッツオイル、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油などの滅菌液であり得る。水、または、食塩水、水性デキストロース、および、グリセリン溶液を担体として用いてよく、特に、注射溶液の担体として用いてよい。
一実施形態では、併用投与は、一般的に、周期的に繰り返され、必要に応じて、例えば、1〜35サイクル繰り返してよい。一実施形態では、投与サイクルは、合計3回分の用量の樹状細胞と免疫チェックポイント阻害剤とを1日おきに投与することを含む。
併用投与は、同じもしくは異なる剤形の治療薬(樹状細胞ワクチンおよび免疫チェックポイント阻害剤)を同時に投与するか、または、治療薬を別々に投与することを含む。例えば、樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と同時に投与してよい。あるいは、樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与する場合、樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを別々に投与するように調製し、同時または連続して投与してよい。例えば、樹状細胞ワクチンが最初に投与され、その後、免疫チェックポイント阻害剤が投与されてよい。あるいは、免疫チェックポイント阻害剤は最初に投与され、その後、樹状細胞ワクチンが投与されてもよい。
本開示のさらなる側面では、樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための医療キットが提供される。医療キットは、上記の投薬スケジュールに従って樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを投与するための印刷された取扱説明書、および、少なくとも1サイクル分の用量単位の樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせを含む。各用量単位は、上記治療に適した量の樹状細胞ワクチンと免疫チェックポイント阻害剤とを含む。
併用投与は、最大耐量の範囲内で連続的にまたは周期的に実行され得る。
明確に理解する目的で、例を示しながら本開示を詳細に説明するが、本発明の趣旨および範囲に逸脱せずにさまざまな変更および修正がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、以下の説明および例を限定として解釈すべきでない。
材料および方法
同所性HCCマウスモデルの構築
同所性HCCマウスモデルを、説明のように構築した。簡潔には、8週齢のオスの免疫能が正常なC57BL/6マウスをイソフルランで麻酔し、腹部正中で開腹した。Cell Lines Service(エッペルハイム、ドイツ)から購入し、10%のウシ胎児血清(FBS)(Gibco、グランドアイランド、ニューヨーク州、米国)、および、1×ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア州、米国)を追加したDMEM培地(Invitrogen)中で維持した2×10のマウス肝細胞がん細胞株Hep−55.1Cをマウスの左肝葉に直接注射した。止血した後、腹部を2層に縫合閉鎖した。術後、マウスの全体の生存率を追跡し、マウスが死亡したときに腫瘍量を記録した。すべての動物実験は、台湾、台中の中国医科大学の動物実験委員会の認可の下で行われた。
腫瘍容積の測定および組織病理学的所見
マウスが死亡したとき、体重を記録し、撮像のために肝臓を分離した。腫瘍容積は、式V=1/2(L×W)に従って計算した(Vは腫瘍容積、Lは長さ、Wは幅を示す)。腫瘍組織病理学的所見を評価すべく、ホルマリンで固定してパラフィン包埋した肝臓組織をヘマトキシリン・エオシン染色のために4μmの厚さの切片とした。
HCC細胞ライセートでパルスした成熟骨髄由来樹状細胞(BMDC)の生成
本実験の樹状細胞は、骨髄由来である。まず、6週齢のC57BL/6マウスの大腿骨および脛骨から骨髄を取得し、コラゲナーゼで消化し、赤血球を除去した後、100μmフィルターを通過させてから遠心分離して細胞ペレットを収集した。次に、この細胞ペレットを、10%のFBS(Gibco)、1×P/S(Invitrogen)、1×最少必須培地非必須アミノ酸(Invitrogen)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、100ng/mLのヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(Sino Biological社、北京、中国)、および、10ng/mLのインターロイキン(IL)−4(Sino Biological)を追加したRPMI―1640培地(Invitrogen)に2×10細胞/mLの密度で再懸濁し、温度37℃、湿度5%の二酸化炭素雰囲気下で6日間培養した。培養3日目に、培地およびサイトカインを新しくした。6日目に、未熟樹状細胞(IMDC)を培養中の非接着性の、および、弱く接着した細胞から採取した。骨髄由来樹状細胞を生成するために、次に、未熟樹状細胞を、1mgの凍結融解されたHep−55.1C腫瘍細胞ライセートを添加した上記培地中で1×10細胞/mLの密度で30分間培養した後、50ng/mLのリポ多糖(LPS)(Sigma、ルイス、ミズーリ州、米国)を追加してもう1日培養した。7日目に、すべての培養細胞を骨髄由来樹状細胞として収集し、樹状細胞ワクチンとして用いた。
樹状細胞表現型のフローサイトメトリー分析
未熟樹状細胞および骨髄由来樹状細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、等分に分画した(5×10細胞/100μL)。その後、BDバイオサイエンスから購入した以下の抗体:フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合CD11c(553801);FITC結合CD40(553790);FITC結合CD80(553768);FITC結合CD86(553691)により(最終濃度5μg/mL)、暗所にて室温で30分間染色した。ネガティブまたは非抗体コントロールとして、アイソタイプが同じ対応するFITC結合コントロール抗体で細胞を染色するか、または染色しないでおいた。染色の後、細胞をPBSで2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメータ(BDバイオサイエンス)により分析した。データ分析は、FlowJoソフトウエア(Tree Star、サンカルロス、カリフォルニア州、米国)を用いて行われた。FITC−CD11cに対して陽性の細胞を、骨髄細胞から分化することができた樹状細胞であるとみなした。FITC−CD40、FITC−CD80、および、FITC−CD86に対して陽性の細胞を、成熟した樹状細胞とみなした。
FITC結合デキストラン(FITCデキストラン)取り込みアッセイ
未熟樹状細胞および骨髄由来樹状細胞を、10%のFBS(Gibco)、および、1×P/S(Invitrogen)を追加したRPMI−1640培地(Invitrogen)中で、1×10細胞/mLの密度で、暗所にて37℃で30分間培養することにより、貪食作用を可能にするか、または、ネガティブコントロールとして氷上で培養して貪食作用を止めた。インキュベーションの後、細胞を氷冷したPBSで2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメータ(BDバイオサイエンス)によって分析した。データ分析は、FlowJoソフトウエア(Tree Star)を用いて行われた。FITCに対して陽性の細胞を、デキストランを貪食した細胞とみなした。実験は、個別に3回行われた。
IL−12産生の検出
未熟樹状細胞および骨髄由来樹状細胞を、10%のFBS(Gibco)、および、1×P/S(Invitrogen)を追加したRPMI−1640培地(Invitrogen)中、1×10細胞/mLの密度で培養した。1日培養した後、上澄を回収し、Mouse IL−12(p70)ELISA Set(BDバイオサイエンス)を用いて、製造者の取り扱い説明書に従って、IL−12(p70)用の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定した。実験は、個別に3回行われた。
T細胞増殖アッセイ
T細胞を単離すべく、上記骨髄細胞と同じ手順を用いて6週齢のC57BL/6マウスから脾臓細胞を取得し、Ficoll−Paque Plus(密度1.077g/mL;GEヘルスケア社、ウプサラ、スェーデン)を用いた密度勾配遠心分離によって単離した。細胞培養インサート(ポアサイズ0.4μm;Falcon、オックスナード(カリフォルニア州、米国)を24ウェルプレートの各ウェルに載置した後、10%のFBS(Gibco)、および、1×P/S(Invitrogen)を追加したRPMI−1640培地(Invitrogen)において、樹状細胞およびT細胞をウェルおよびインサートに、それぞれ2×10細胞/ウェル、1×10細胞/インサートの密度で播種することによって、樹状細胞とT細胞との共培養を行った。培養3日目、各インサートからT細胞を収集し、Countess自動セルカウンター(Invitrogen)によって直ちに計数した。実験は、個別に3回行われた。
骨髄由来樹状細胞とPD−1/PD−L1抗体とのインビボ投与
骨髄由来樹状細胞は、上記のとおりに生成した。厳しい品質管理手段を経た免疫チェックポイント阻害剤であるInVivoPlus抗マウスPD−1(BP0146)モノクローナル抗体、および、InVivoPlus抗マウスPD−L1(BP0101)モノクローナル抗体をBio X Cell(ウエストレバノン、ニューハンプシャー州、米国)から購入した。腫瘍細胞を注射してから7日目、同所性HCCマウスを以下の10の治療群(6匹/群)の1つに無作為に入れた:溶媒コントロール治療群;骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量)治療群;抗PD−1(100μg/用量)治療群;抗PD−1(200μg/用量)治療群;抗PD−L1(100μg/用量)治療群;抗PD−L1(200μg/用量)治療群;骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量)+抗PD−1(100μg/用量)治療群;骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量)+抗PD−1(200μg/用量)治療群;骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量)+抗PD−L1(100μg/用量)治療群;骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量)+抗PD−L1(200μg/用量)治療群。マウスの鼠径部(リンパ節の近く)に骨髄由来樹状細胞を皮下注射した。マウスに抗PD−1抗体および抗PD−L1抗体を腹腔内注射した。滅菌PBSを溶媒コントロール(対照)として用い、骨髄由来樹状細胞治療マウス、および、抗PD−1/PD−L1治療マウスと同様に、コントロールマウスに皮下および腹腔内注射した。すべての治療を腫瘍細胞注射後7日目から始め、各グループのマウスに合計3回分の用量を1日おきに繰り返し投与した。処置の後、生存期間を決定するために死亡時刻までマウスを追跡した。
統計分析
未熟樹状細胞と骨髄由来樹状細胞との間の、デキストランを取り込みIL−12を産生してT細胞の増殖を促す能力の差の有意性を、対応のないt検定によって決定した。データを3つの別々の実験の平均値に標準誤差(SEM)のエラーバーを付けて示した。マウスの異なる治療群間の全体の生存率の差の有意性をクラスカル・ウォリスの一元配置分散分析に続きダンの多重比較検定を行って決定した。P<0.05を有意とみなした(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。
実施例1 同所性HCCマウスは、腫瘍細胞を接種後、約32〜38日後に肝臓に腫瘍が発現し、死亡する。
同所性HCCマウスモデルを、上記の「材料および方法」の章で記載したように構築した(図1)。図2(A)に示すように、腫瘍細胞接種後の同所性HCCマウス(Hep−55.1Cマウス、n=6)の生存期間の平均値は36日(標準誤差1.00)、中央値は36.5(32〜38)日であった。死亡した6匹のマウスすべての肝臓に同所性腫瘍の発現が観察された(図2(B))。体重に対する腫瘍容積の比率(平均値±標準誤差、(中央値(範囲))は、215.90±11.02mm/g(217.3、178.4〜248.5)であった(図2(C))。ヘマトキシリン・エオシン染色により腫瘍組織病理学的所見を評価した(図2(D))。
実施例2 骨髄由来樹状細胞は、適切な形態および表現型を示す。
骨髄由来樹状細胞を、上記の「材料および方法」の章で記載したように生成した(図3(A))。図3(B)に示すように、培養1日目に比べて、3日目には懸濁液中で細胞が徐々に増加してコロニーを形成し始めた。培養6日目には、細胞容量が明らかに増大し、懸濁された細胞は、典型的な樹状細胞の形態である樹状突起を形成し始め、未熟樹状細胞となってきた。もう1日(7日目)Hep−55.1C腫瘍細胞ライセートおよびLPSと共にインキュベートした後に、未熟細胞は、さらに長い樹状突起を有する骨髄由来樹状細胞に成長した。
骨髄由来樹状細胞の表現型を評価するために、識別マーカーCD11c、および、成熟マーカーCD40、CD80、CD86を含む樹状細胞の表面マーカーの発現をフローサイトメトリーによって分析した。図4に示すように、未熟樹状細胞は、CD11cを大量に発現したが、CD40、CD80、および、CD86の発現量は骨髄由来樹状細胞に比べて少なかった。データは、我々が調製した骨髄由来樹状細胞の純度が高く、成熟していることを示している。
実施例3 骨髄由来樹状細胞は、最適に成熟して抗原の取り込み能が低下し、IL−12を産出してT細胞の増殖を促進する能力の上昇を示す。
樹状細胞の成熟過程は、樹状細胞が抗原を取り込む能力を失うことと関係がある。未熟樹状細胞と骨髄由来樹状細胞との間の抗原取り込み能力を比較するために、細胞をFITCデキストランとともにインキュベートした後、フローサイトメトリー分析を行った。予想通り、未熟樹状細胞に比べて、骨髄由来樹状細胞は、FITCデキストランの取り込み量を著しく減少させた(平均値±標準誤差、2.60±0.60%対15.25±0.15%;P=0.0023)(図5−1(A)および(B))。
成熟樹状細胞は、樹状細胞とT細胞との結合中に、T細胞の活性化および増殖を仲介するIL−12を大量に合成することができる。続いて、IL−12を分離し、T細胞の増殖を促進する骨髄由来樹状細胞の能力を評価した。図5−2(C)に示すように、未熟樹状細胞に比べて、骨髄由来樹状細胞の上澄におけるIL−12の濃度は著しく上昇した(平均値±標準誤差、5078.0±73.7pg/mL対166.3±25.7pg/mL;P<0.001)。T細胞と共培養された場合の骨髄由来樹状細胞は、未熟樹状細胞に比べてT細胞の増殖量を著しく増大させた(平均値±標準誤差、89.5±4.5×10細胞対8.7±0.2×10細胞;P=0.0031)(図5−2(D))。これらの結果は、我々が調製した骨髄由来樹状細胞が最適に成熟し、最適な機能を有することを示している。
実施例4 骨髄由来樹状細胞とPD−1/PD−L1抗体との併用療法は、どちらか単独での治療より同所性HCCマウスの全体的な生存率を高める。
PD−1/PD−L1抗体と組み合わせた樹状細胞の、HCCの治療に対する有効性を評価すべく、同所性HCCマウス(6匹/群)に合計3回分の用量の樹状細胞(1×10細胞/用量)、および/または、PD−1/PD−L1抗体(100または200μg/用量)を1日おきに投与し、生存を追跡した(図6(A))。図6(B)に示すように、骨髄由来樹状細胞、または、抗PD−1/PD−L1で治療したマウス群は、コントロール群のマウスに比べて全体的な生存率(期間、平均値±標準誤差(中央値(範囲))を著しく向上させた(骨髄由来樹状細胞(1×10細胞/用量):44.33±0.95(44.0、42〜48);抗PD−1(100μg/用量):43.80±1.93(45.0、38〜49);抗PD−1(200μg/用量):43.50±4.50(43.5、38〜48);抗PD−L1(100μg/用量):42.00±2.85(42.5、35〜48);抗PD−L1(200μg/用量):45.80±0.58(45.0、45〜48);コントロール:36.00±1.00(36.5、32〜38)。治療38日目に、コントロール群のすべてのマウスが死亡したのに対し、樹状細胞または抗PD−1/PD−L1で治療したほぼすべてのマウスは、依然として生存しており、最長生存期間は、約48〜49日であった。しかしながら、抗PD−1/PD−L1の治療については、マウスの全体的な生存率における明らかな用量依存性効果は見られなかった。
注目すべきことに、骨髄由来樹状細胞と抗PD−1/PD−L1との併用療法は、どちらか単独での治療に比べて、マウスの全体的な生存率をさらに高めた(樹状細胞+抗PD−1(200μg/用量):49.75±2.92(49.5、43〜57);樹状細胞+抗PD−L1(100μg/用量):50.20±2.13(51.0、44〜56);骨髄由来樹状細胞+抗PD−L1(200μg/用量):55.25±4.13(52.5、49〜67)。ただし、骨髄由来樹状細胞+抗PD−1(100μg/用量)の治療の値は(44.00±1.00(44.0、41〜47)と低かった(図6(B))。マウスの最長生存期間は、樹状細胞(1×10細胞/用量)、抗PD−1(200μg/用量)、または、抗PD−L1(100または200μg/用量)だけで治療した48日間から、樹状細胞+抗PD−1(200μg/用量)の併用療法による57日間、樹状細胞+抗PD−L1(100μg/用量)の併用療法による56日間、樹状細胞+抗PD−L1(200μg/用量)の併用療法による67日間まで延長した。さらに、樹状細胞と抗PD−1/PD−L1との併用療法は、用量依存的な投与法においてもマウスの全体的な生存率を高めた。樹状細胞と抗PD−L1とにより治療したマウス群は、樹状細胞と抗PD−1とで治療した群より全体的な生存率が高かった。
実施例5 臨床試験
樹状細胞と抗PD−1/PD−L1との併用療法の有効性を評価するために臨床試験を行った。併用療法では、約1×10細胞/用量/日〜約1×10細胞/用量/日の樹状細胞がHCC患者に投与されてから、約50μg/用量/日〜約400μg/用量/日の抗PD−L1または抗PD−1が投与された。1日目、被検体にプライマーワクチンを投与し、その6週間後に、2つのブースターワクチンを投与する。週1回末梢血を採取して各ペプチドに対する免疫応答を四量体アッセイによってモニタした。被検体が最後に樹状細胞ワクチンを受けてから5〜8週間後に抗PD−1による治療を始めた。予備的評価は、併用療法を受けた患者の腫瘍が著しく縮小したことを示した。

Claims (16)

  1. 肝細胞がん(HCC)を治療する方法であって、樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて患者に併用投与することを含む、方法。
  2. 前記樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日〜約1×10細胞/用量/日である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記樹状細胞ワクチンの投与量は、約1×10細胞/用量/日である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記樹状細胞は、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞、骨髄系樹状細胞(cDC)、形質細胞様樹状細胞(pCD)、または、骨髄由来樹状細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記免疫チェックポイント阻害剤は、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA−4もしくはCD152)、または、プログラム細胞死リガンド1(PDL−1)もしくはプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)に対する抗体である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約50μg/用量/日〜約400μg/用量/日である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、約100μg/用量/日、または、約200μg/用量/日である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記樹状細胞ワクチンと前記免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせは、注入または注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記併用投与は、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、または、皮下の経路を介して行われる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記樹状細胞ワクチンと、前記免疫チェックポイント阻害剤とは、同時にまたは異なる時間に、別々の薬物として提供される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記併用投与は、周期的に繰り返される、請求項1に記載の方法。
  12. 投与サイクルは、合計3回分の用量の前記樹状細胞ワクチンと前記免疫チェックポイント阻害剤とを1日おきに投与することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記併用投与は、前記樹状細胞ワクチンと、前記免疫チェックポイント阻害剤とを同時にまたは別々に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記樹状細胞ワクチンと前記免疫チェックポイント阻害剤とは、別々に投与するように調製され、同時にまたは連続して投与される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記樹状細胞ワクチンがまず投与され、その後、前記免疫チェックポイント阻害剤が投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 樹状細胞ワクチンを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための医療キットであって、
    前記樹状細胞ワクチンと前記免疫チェックポイント阻害剤とを投与するための印刷された取扱説明書、および、少なくとも1サイクル分の用量単位の前記樹状細胞ワクチンと前記免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせを含む、キット。
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Non-Patent Citations (4)

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