JP5562997B2 - 洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパー - Google Patents
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Description
ところが、通常のトイレットペーパーは水溶性が高く、洗浄時に局部に付着した水分で容易に破れたり、繊維がほぐれて付着したりするため、洗浄機能付きトイレで使用しづらいという問題がある。
又、原料パルプに分散剤、紙力増強剤、サイズ剤を所定量添加することで、水に濡れたときに破れにくいトイレットロールが開発されている(特許文献2)。
さらに、紙に湿潤紙力増強剤を使用して湿潤強度を保持し、エンボス加工することによってボリューム感と柔らかさを改善する技術が開発されている(特許文献3)。
又、特許文献2記載の技術の場合、水の浸透性を遅らせることで水に濡れたときの強度を維持しているが、速やかな水分の拭取り性能に劣るという問題がある。
又、特許文献3記載の技術の場合、湿潤紙力増強剤へ適正な範囲での強度コントロールが難しく、ほぐれ易さがバラつくという問題がある。
従って本発明は、強度、柔らかさ、ほぐれ易さに共に優れた洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパーの提供を目的とする。
但し、
湿潤摩擦テスト(ムケ)の評価基準
◎:ムケが全く見られない(試験5回とも)
○:表面の1シートにムケが極僅かに見られるが、シートから剥がれない(試験5回のうち2回以内なら○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートにムケが僅かにみられるがポロポロほぐれない(試験5回のうち2回まで該当すれば評価△、但し3回以上であれば×とする)
×:2シート以上にムケが顕著に生じた(5回のうち1回でも該当すれば評価×)
湿潤摩擦テスト(破れ)の評価基準
◎:全く破れない(試験5回とも)
○:表面の1シートが僅かに(5mm以下)破れる(試験5回のうち2回まで該当すれば評価○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートが(10mm以下)破れる(試験5回のうち1回でも該当すれば評価△、2回以上であれば×とする)
×:3シート以上に破れが生じた(試験5回のうち1回でも該当すれば評価×)
但し、
湿潤摩擦テスト(ムケ)の評価基準
◎:ムケが全く見られない(試験5回とも)
○:表面の1シートにムケが極僅かに見られるが、シートから剥がれない(試験5回のうち2回以内なら○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートにムケが僅かにみられるがポロポロほぐれない(試験5回のうち2回まで該当すれば評価△、但し3回以上であれば×とする)
×:2シート以上にムケが顕著に生じた(5回のうち1回でも該当すれば評価×)
湿潤摩擦テスト(破れ)の評価基準
◎:全く破れない(試験5回とも)
○:表面の1シートが僅かに(5mm以下)破れる(試験5回のうち2回まで該当すれば評価○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートが(10mm以下)破れる(試験5回のうち1回でも該当すれば評価△、2回以上であれば×とする)
×:3シート以上に破れが生じた(試験5回のうち1回でも該当すれば評価×)
このシートの1枚当りの坪量を15.0g/m2以上19.0g/m2以下とする。
又、上記シートは、重さ平均繊維長約2.5mm以上で且つ比引張り強さが18.0(N・m/g)以上の第1パルプ70質量%以上と、重さ平均繊維長1.0mm以下で且つ比引張り強さが18.0(N・m/g)以上の第2パルプ30%質量以下からなる原料パルプを抄造してなる。
第1パルプの重さ平均繊維長は針葉樹パルプにほぼ該当し、第2パルプの重さ平均繊維長は広葉樹パルプにほぼ該当する。
パルプ繊維は水に触れると繊維同士の水素間結合が瞬時にはずれ、結合強度を失う。しかし、長繊維の第1パルプを70質量%以上配合して繊維同士の絡みつきを大きくすれば、繊維間の結合が失われても、物理的な絡み合いによってシートの強度を水分拭取りの行為に十分耐える強度レベルに確保することができる。水分拭取りの行為に十分耐える強度レベルとは、通常の水分拭取りの行為によって、シート表面の繊維がポロポロムケたりシートが破れたりしない強度である(後述の実験結果参照)。
尚、ここで言う比引張り強さはJIS P 8223「パルプ−試験用手すき紙−物理的物性試験方法」による手すき紙による乾燥時の強度である。一般に乾燥時の強度は湿潤時の強度と正の相関があるので、乾燥時の強度を目安にすることができる。
シート中の第1パルプの含有量が70質量%未満になると、長繊維のパルプの割合が減少し、シートの表面強度が低下し、湿潤時の水分拭き取り時に繊維がポロポロと剥け易くなる。さらに、シートの強度が弱い場合には破れてしまう。
また、シート1枚当りの坪量が15.0g/m2未満の場合も、同様に強度低下が生じる。一方、シート1枚当りの坪量が19.0g/m2未満を超えると、シートの強度は確保されるが、シートがゴワついて硬くなり、また水洗時のほぐれ易さも損なわれる。
繊維粗度は、強度と地合とウェブの柔らかさを決定する重要な要素であり、繊維粗度を適正な範囲に管理することで、柔らかで地合の整った強度の高い紙が得られる。
第1パルプの繊維粗度が10mg/100m未満であると、繊維が細かすぎて長繊維としての役割を満たさない。第1パルプの繊維粗度が20mg/100mを超えると、一般に繊維が厚膜且つ剛直となり、しなやかさが損なわれる。
第2パルプの繊維粗度が12mg/100mを超えると、短繊維に分類される広葉樹パルプの場合、細胞壁が厚く剛直となり、しなやかさに欠け製品がガサついたり硬くなる原因になる。
又、繊維粗度は、{繊維重量/(測定本数×数平均繊維長)}で表され、繊維の平均的な太さを表す。
なお、重さ平均繊維長及び繊維粗度は、所定の測定器(例えば、ローレンツェン・アンド・ベットレー(Lorentzen & Wettre)株式会社の製品名ファイバーテスター(Fiber Tester))を用いて測定することができる。
フリーネスは、JIS P 8121に規格された「パルプのろ水度試験方法」で測定することができ、比引張り強さ、JIS P 8223に規格された「パルプ−試験用手すき紙−物理的特性の試験方法」により測定した値(坪量で補正した引っ張り強さの値)を用いることができる。
又、第1パルプ及び第2パルプのクレム吸水度がいずれも80mm以上であることが好ましい。各パルプのクレム吸水度が80mm未満であるとやや吸水速度が低下して、軽くサッと拭取れないので満足度が低下する。
クレム吸水度は、JIS P 8141に規格され「紙及び板紙のクレム法による吸水度試験法」にて測定することができ、短冊紙片に毛細管現象で吸水される吸水量を示す。
各シートのエンボス凸面同士を合わせて張り合わせたものは、ピン・トゥー・ピンエンボスと称され、各シートのエンボス凸面とエンボス凹面同士を合わせて張り合わせたものは、ネステッドエンボスと称される。
上記した接着面積率は、同一形状のエンボス模様の場合には(エンボス1個当りの凸面頂頭部の面積(平方センチメートル))×(単位面積(平方センチメートル)当りのエンボス個数)で表される。又、エンボス凸面の頂頭部の面積は、エンボスパターンの設計上の面積から算出する。
又、水溶性糊を用いることで、トイレに流したときのほぐれ易さを向上させる。
接着面積はトイレットペーパーの柔らかさと、ほぐれ易さに影響する。接着面積率がシートの面積あたり5%未満であると、プライ剥がれが生じ易く、トイレットペーパーのボリュウム感が低下し、肌触りが劣る。接着面積率がシートの面積あたり20%を超えると、トイレに流したときのほぐれ易さが劣る。ほぐれ易さはJIS−P4501「トイレットペーパー」規格では100秒以内とされているが、より安全には60秒以内が望ましい。
得られたトイレットペーパーに対し、以下の湿潤摩擦テスト(ムケ及び破れ)及びハンドフィールの評価を行った。
図1に示す試験機を作成し、得られたトイレットペーパーを4組(2プライシート×4)重ねた試験片を取り付けて引張り、評価を行った。この試験機は、摩擦プレート(アクリル板)2と、錘4(重さ300g、直径55mm、高さ16mm)と、滑車6とを備え、摩擦プレート2には、等間隔でひし形連続溝が5mm間隔で形成されている。この溝の幅が1.5mm、深さが1mmである(図1(a)の上面図)。
又、試験片10の長さはミシン目間隔(114mm)とし、幅はトイレットペーパー製品幅(114mm)とした。そして、試験片10を摩擦プレート2の一端に載置して水を0.5mL滴下し浸透後、試験片10上に錘4を載せ、試験片10の一端にクリップ11で紐12を付け、滑車6を通して図示しない引張り試験機(テンシロン)で引っ張り速度10mm/secで摩擦プレート2上を300mmの距離引っ張った(図1(b)の側面図)。この試験を5回繰り返し、シートの破れ、及びシートが部分的に剥けたか否かを目視し、以下の基準で評価した。
◎:ムケが全く見られない(試験5回とも)
○:表面の1シートにムケが極僅かに見られるが、シートから剥がれない(試験5回のうち2回以内なら○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートにムケが僅かにみられるがポロポロほぐれない(試験5回のうち2回まで該当すれば評価△、但し3回以上であれば×とする)
×:2シート以上にムケが顕著に生じた(5回のうち1回でも該当すれば評価×)
湿潤摩擦テスト(破れ)の評価基準
◎:全く破れない(試験5回とも)
○:表面の1シートが僅かに(5mm以下)破れる(試験5回のうち2回まで該当すれば評価○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートが(10mm以下)破れる(試験5回のうち1回でも該当すれば評価△、2回以上であれば×とする)
×:3シート以上に破れが生じた(試験5回のうち1回でも該当すれば評価×)
◎:5人の平均4.5点以上
○:5人の平均3.5以上
△:5人の平均3.5未満3.0以上
×:5人の平均3.0未満
フリーネスは、JIS P 8121に規格された「パルプのろ水度試験方法」で測定し、比引張り強さは、JIS P 8223に規格された「パルプ−試験用手すき紙−物理的特性の試験方法」により測定した値(坪量で補正した引っ張り強さの値)を用いた。クレム吸水度は、JIS P 8141に規格された「紙及び板紙のクレム法による吸水度試験法」にて測定した。
吸水速度(秒)は、2枚重ねシート上の約10mmの高さから温度20±1℃の蒸留水を0.1ml滴下し、水滴がシートに接触したときから、完全にシートに吸収されて反射光が消えるまでの時間を0.1秒単位で測定した。。ほぐれ易さ(秒)はJIS P-4501「トイレットペーパー」に記載されるほぐれ易さ試験法によった。
一方、シート1枚当りの坪量が15.0g/m2未満である比較例1の場合、湿潤摩擦テストに劣り、水分で容易に破れた。また、糊の量が多いため、やや硬く感じ、ほぐれ易さが悪く洗浄機能付きトイレでの使用に適さないものとなった。
シートの1枚当りの坪量が19.0g/m2を超えた比較例2の場合、硬くなって肌触りが悪いと共に、ほぐれ易さに劣った。
シート中の第1パルプの配合量が70質量%未満である比較例3の場合、長繊維のパルプの割合が減少し、表面強度が低くなり繊維のムケが生じ、また繊維粗度の大きな繊維の割合が大きくなったためにハンドフィールに劣った(硬くなった)。
Claims (1)
- 洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパーの測定方法であって、
前記洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパーがシートを2枚重ねしてなる2プライシートを1組とし、
前記洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパーを4組重ね縦横を114mmとした試験片を、等間隔でひし形連続溝が5mm間隔で形成されたアクリル板からなる摩擦プレート上に載置して水を0.5mL滴下し浸透後、前記試験片上に重さ300g、直径55mm、高さ16mmの錘を載せ、該試験片の一端にクリップで紐を付け、滑車を通して引張り試験機で引っ張り速度10mm/secで前記摩擦プレート上を300mmの距離引っ張る試験を5回繰り返し、前記シートの破れ及びムケの有無を目視し、以下の基準で湿潤摩擦テストを評価する洗浄機能付きトイレ用トイレットペーパーの測定方法。
但し、
湿潤摩擦テスト(ムケ)の評価基準
◎:ムケが全く見られない(試験5回とも)
○:表面の1シートにムケが極僅かに見られるが、シートから剥がれない(試験5回のうち2回以内なら○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートにムケが僅かにみられるがポロポロほぐれない(試験5回のうち2回まで該当すれば評価△、但し3回以上であれば×とする)
×:2シート以上にムケが顕著に生じた(5回のうち1回でも該当すれば評価×)
湿潤摩擦テスト(破れ)の評価基準
◎:全く破れない(試験5回とも)
○:表面の1シートが僅かに(5mm以下)破れる(試験5回のうち2回まで該当すれば評価○、但し3回以上であれば△とする)
△:表面の2シートが(10mm以下)破れる(試験5回のうち1回でも該当すれば評価△、2回以上であれば×とする)
×:3シート以上に破れが生じた(試験5回のうち1回でも該当すれば評価×)
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