以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図13を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成されている。そして、上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図3に示すように、厚肉な平板状に形成され前,後方向に延びた底板6と、該底板6上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板7及び右縦板8と、左縦板7から左側方に張出して設けられた左張出しビーム9と、右縦板8から右側方に張出して設けられた右張出しビーム10と、各左張出しビーム9の先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム11と、各右張出しビーム10の先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム12とにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
また、底板6の前,後方向の中間部位には、左,右の縦板7,8間に位置して後述の旋回装置30が設けられている。一方、左,右の縦板7,8の前端側には作業装置4が取付けられ、左,右の縦板7,8の後端側には後述のカウンタウエイト20が取付けられる構成となっている。
ここで、図7および図12に示すように、左サイドフレーム11の内側面には、後述する床板35の左端側が取付けられる床板取付座11Aが溶接等の手段を用いて固定され、底板6の上面には、床板35の右端側が取付けられる床板取付ブラケット6Aが溶接等の手段を用いて固定されている。本実施の形態では、これら床板取付座11A、床板取付ブラケット6Aが設けられた位置が、旋回フレーム5のうち後述するユーティリティ室29(収容空間)の位置5Aとなっている。
13はカウンタウエイト20の前側に位置して旋回フレーム5の後部側に配設された原動機としてのエンジンで、該エンジン13は、旋回フレーム5の左,右の縦板7,8上を左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、エンジン13の左端側には、冷却ファン13Aが取付けられ、エンジン13の右端側には、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する油圧ポンプ14が取付けられている。
この場合、油圧ポンプ14や後述する熱交換器15は、エンジン13に付随して設けられた要素を構成し、これら油圧ポンプ14、熱交換器15等の要素は、エンジン13と共に後述の機械室28内に収容される構成となっている。
15はエンジン13の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載された熱交換器で、該熱交換器15は、支持枠体16および該支持枠体16に支持されたラジエータ17、オイルクーラ18等からなる1つのユニットとして形成され、旋回フレーム5に着脱可能に取付けられるものである。
ここで、熱交換器15の支持枠体16は、後述する前仕切カバー25とユーティリティ室29を挟んで対面する前仕切板16Aと、カウンタウエイト20の前側に設けられた後仕切板16Bと、これら前仕切板16Aと後仕切板16Bの上端側を連結する連結板16Cとにより大略構成されている。そして、支持枠体16は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ17、作動油を冷却するオイルクーラ18等を支持している。
19は旋回フレーム5の前部左側に設けられたキャブを示し、該キャブ19は運転室を画成するものである。20は旋回フレーム5の後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト20は作業装置4との重量バランスをとるものである。21は旋回フレーム5の前部右側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク21は各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。
次に、22はカウンタウエイト20の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示し、該建屋カバー22は、旋回フレーム5上に搭載されるエンジン13、油圧ポンプ14、熱交換器15等を覆うものである。ここで、建屋カバー22は、上面板23、ボンネット24、熱交換器15の支持枠体16、後述の前仕切カバー25、左前側ドア26、左後側ドア27等を含んで構成されている。
そして、建屋カバー22の上側は、上面板23とボンネット24とによって仕切られ、建屋カバー22の左側は、左前側ドア26と左後側ドア27とによって仕切られ、建屋カバー22の右側は、右側ドア(図示せず)によって仕切られている。また、建屋カバー22の前側は、作動油タンク21と前仕切カバーとによって仕切られ、建屋カバー22の後側は、熱交換器15の支持枠体16を構成する後仕切板16Bとカウンタウエイト20とによって仕切られる構成となっている。
25はキャブ19と熱交換器15との間に設けられた前仕切カバーで、該前仕切カバー25は、建屋カバー22の一部を構成するものである。ここで、前仕切カバー25は、熱交換器15の支持枠体16(前仕切板16A)と前,後方向で間隔をもって対面し、建屋カバー22の左前側を仕切るものである。
26は前仕切カバー25に開,閉可能に取付けられた左前側ドアを示し、該左前側ドア26は、ヒンジ部材を介して前仕切カバー25に回動可能に支持されている。そして、左前側ドア26は、前仕切カバー25の位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述のユーティリティ室29を開,閉するものである。
27は左前側ドア26の後側に設けられた左後側ドアで、該左後側ドア27は、熱交換器15の支持枠体16を構成する後仕切板16Bにヒンジ部材を介して回動可能に支持されている。そして、左後側ドア27は、後仕切板16Bの位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述の熱交換器前室28Bを開,閉するものである。
28は建屋カバー22内に形成された機械室で、該機械室28は、建屋カバー22を構成する上面板23、ボンネット24、左前側ドア26、左後側ドア27および右側ドア(図示せず)と、カウンタウエイト20と、作動油タンク21とによって画成されている。この機械室28は、熱交換器15を挟んで隣接するエンジン室28Aと熱交換器前室28Bとからなっている。
即ち、28Aはエンジン13、油圧ポンプ14等が収容されたエンジン室で、該エンジン室28Aは、建屋カバー22の上面板23、ボンネット24および右側ドア(図示せず)と、熱交換器15の支持枠体16と、カウンタウエイト20と、作動油タンク21とによって画成されている。
一方、28Bは熱交換器15を挟んでエンジン室28Aとは反対側に形成された熱交換器前室を示している。この熱交換器前室28Bは、建屋カバー22を構成する上面板23および左後側ドア27と、熱交換器15とによって画成され、左後側ドア27によって開,閉される構成となっている。また、熱交換器前室28B内には、後述する第2の電気機器42が設けられている。
29は機械室28と共に建屋カバー22内に形成された収容空間としてのユーティリティ室で、該ユーティリティ室29は、建屋カバー22を構成する上面板23および左前側ドア26と、熱交換器15の支持枠体16を構成する前仕切板16Aとによって画成されている。ここで、ユーティリティ室29の下側は後述の床板35によって閉塞され、該床板35上には後述する第1の電気機器36が取付けられている。
次に、30は旋回フレーム5に搭載された旋回装置を示している。この旋回装置30は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板7,8間に位置して底板6の中央部に立設されている。ここで、旋回装置30は、下部走行体2上に支持された上部旋回体3を旋回させるもので、油圧モータ31と、後述の電動モータ33と、減速機32とにより大略構成され、油圧モータ31と電動モータ33とが協働して上部旋回体3を旋回駆動する、いわゆるハイブリッド型の旋回装置となっている。
33は電動装置としての交流型の電動モータを示し、該電動モータ33は、油圧モータ31と共に旋回装置30の回転源を構成するものである。ここで、電動モータ33は、図4および図5に示すように、旋回装置30を構成する減速機32の上端部に取付けられ、減速機32は、旋回フレーム5の底板6に対し、防振部材等を介材させることなく、ボルト等を用いて直接的に取付けられている。また、電動モータ33の上端側には油圧モータ31が取付けられている。
次に、ユーティリティ室29内に配設された本実施の形態による搭載機器組立体34について説明する。
即ち、34はユーティリティ室29内に配設された搭載機器組立体を示し、該搭載機器組立体34は、後述の床板35と、第1の電気機器36と、防振マウント38とにより構成されるものである。そして、搭載機器組立体34は、床板35と第1の電気機器36とを防振マウント38を介して予め組立てることにより、単一の組立体(サブアッセンブリ)として形成され、図2に示すユーティリティ室29の位置で、旋回フレーム5に取付けられるものである。
35は旋回フレーム5の一部を構成すると共にユーティリティ室29の下側を閉塞する床板で、該床板35は、搭載機器組立体34のベースとなるものである。図6および図7に示すように、床板35は全体として矩形な枠状に形成され、旋回フレーム5に着脱可能に取付けられると共に、後述する第1の電気機器36が取付けられるものである。
ここで、図6に示すように、床板35は、第1の電気機器36が取付けられる平板状の取付面部35Aと、該取付面部35Aの外周縁から上向きに折曲げられた外枠部35Bと、取付面部35Aを複数のエリアに仕切るように取付面部35Aの上面と外枠部35Bとに固着された複数本のリブ35Cとにより大略構成されている。また、取付面部35Aには、床板35を旋回フレーム5に対して着脱するときの作業孔35D、作業時の目視による確認および他の関連作業のために用いられる大径孔35E等が設けられている。
さらに、取付面部35Aの4個の角隅部には、それぞれボルト挿通孔35Fが設けられ、これら各ボルト挿通孔35Fには、締結部材としてのボルト35Gが挿通される構成となっている。そして、各ボルト挿通孔35Fに挿通したボルト35Gを、図12に示す左サイドフレーム11の床板取付座11A、底板6の床板取付ブラケット6A等に螺着することにより、床板35が旋回フレーム5に着脱可能に取付けられる構成となっている。
一方、取付面部35Aの中央部には、前,後方向および左,右方向に間隔をもって4個のマウント取付孔35Hが設けられ、これら各マウント取付孔35Hには、後述する防振マウント38のボルト38Dが挿通される。また、各マウント取付孔35Hの近傍部位には、小さな四角形状をなす廻止め孔35Jがそれぞれ設けられ、これら各廻止め孔35Jには、後述する防振マウント38の廻止め突起38Eが係合する構成となっている。また、取付面部35Aの角隅部の近傍には、後述する第1の電気機器36を挟む位置に2個の吊りボルト取付孔35Kが穿設されている。
次に、36はユーティリティ室29内に配設された第1の電気機器を示し、該第1の電気機器36は、本実施の形態による搭載機器を構成するものである。
ここで、搭載機器としての第1の電気機器36は、後述の防振マウント38を介して床板35上に防振状態で支持され、後述する第1のケーブル46を用いて電動モータ33に接続されるものである。この場合、第1の電気機器36は、後述の箱体37を備え、該箱体37内には、電動モータ33に供給される駆動電流を直流電流から交流電流に変換するためのインバータ回路、および昇圧、降圧用のチョッパ回路等の電気部品(図示せず)が収容されている。
37は第1の電気機器36の外殻をなす箱体で、該箱体37は、図6等に示すように、水平方向に延びる上面37Aおよび下面37Bと、上面37Aに対してほぼ垂直となった前面37C、後面37D、左側面37Eおよび右側面37Fとによって囲まれた直方体の立体構造体として形成されている。ここで、箱体37の内側には冷却水通路(図示せず)が設けられ、箱体37内に収容された電気部品から発生する熱を、冷却水通路を流れる冷却水によって冷却する構成となっている。また、箱体37の上面37A上には、後述のコネクタ取付突起39が一体に設けられている。
38は第1の電気機器36を構成する箱体37と床板35との間に設けられた防振部材としての複数の防振マウントを示し、該各防振マウント38は、第1の電気機器36を旋回フレーム5に対して防振状態で支持することにより、上部旋回体3の大きな振動が第1の電気機器36に伝わるのを抑えるものである。
ここで、図6ないし図8に示すように、防振マウント38は、第1の電気機器36を構成する箱体37の下面37Bに取付けられる平板状の機器側取付部38Aと、床板35の取付面部35Aに取付けられる円板状の床板側取付部38Bと、ゴム等の可撓性材料を用いて形成され機器側取付部38Aと床板側取付部38Bとの間に設けられた弾性体38Cと、床板側取付部38Bの中心部に突設され、床板35のマウント取付孔35Hに挿通されるボルト38Dとにより大略構成されている。
また、床板側取付部38Bの外周縁部には、当該床板側取付部38Bからボルト38Dに沿って直角に折曲げられた廻止め部材としての廻止め突起38Eが設けられている。この廻止め突起38Eは、ボルト38Dを床板35のマウント取付孔35Hに挿通したときに、床板35に設けられた廻止め孔35Jに係合するものである。
そして、防振マウント38の機器側取付部38Aをボルト38Fを用いて箱体37の下面37Bに取付けると共に、防振マウント38のボルト38Dを床板35のマウント取付孔35Hに挿通してナット締めし、床板35上に各防振マウント38を介して第1の電気機器37を取付けることにより、搭載機器組立体34が形成される。このとき、防振マウント38の床板側取付部38Bに設けられた廻止め突起38Eを、床板35に設けた廻止め孔35Jに係合させる。これにより、ボルト38Dにナットを締結するときに、弾性体38Cにねじれ力が作用することを防止して弾性体38Cの損傷を防止し、また、防振マウント38が振動によってボルト38Dを中心として回転するのを防止し、防振マウント38が緩むのを阻止することができる構成となっている。
39は箱体37の上面37A上に突設されたコネクタ取付突起を示し、該コネクタ取付突起39は、箱体37よりも前,後方向の長さ寸法が小さな外形形状を有する直方体の立体構造体として形成されている。即ち、コネクタ取付突起39は、箱体37の上面37Aと対面し水平方向に延びる上面39Aと、該上面39Aに対してほぼ垂直となった前面39B、後面39C、左側面39Dおよび右側面39Eとによって囲まれた直方体状に形成されている。なお、コネクタ取付突起39は下面側が開口部となって箱体37の内部と連通しており、この開口部を通じて箱体37内にケーブルが挿通されるものである。
40,41はコネクタ取付突起39の前面39Bに並んで設けられた第1,第2の機器側コネクタを示し、これら第1,第2の機器側コネクタ40,41は、箱体37内に収容されたインバータ回路等の電気部品に接続されている。そして、第1の機器側コネクタ40には後述のケーブル側コネクタ46Aが接続され、第2の機器側コネクタ41には後述のケーブル側コネクタ47Aが接続される構成となっている。
次に、42は熱交換器前室28B内に配置された第2の電気機器を示している。この第2の電気機器42は、後述する第2のケーブル47を用いて第1の電気機器36に接続されるものである。ここで、第2の電気機器42は、箱体43と、該箱体43内に収容され電動モータ33を駆動する電気エネルギを蓄えるため、キャパシタまたはバッテリ等の蓄電器を含む電気部品(図示せず)とにより大略構成されている。第2の電気機器42内のキャパシタは、電動モータ33の制動時に該電動モータ33によって発生された回生エネルギを電気エネルギとして充電すると共に、この電気エネルギを電動モータ33に向けて放電するものである。なお、第2の電気機器42は、複数個のキャパシタを接続することにより構成されている。
一方、箱体43は、図5に示すように、上面43A、下面、前面43B、後面、左側面43C、右側面によって囲まれた前,後方向に延びる直方体の立体構造体として形成され、防振マウント(図示せず)を介して旋回フレーム5に防振状態で支持されている。また、箱体43の内側には冷却水通路(図示せず)が設けられ、箱体43内に収容された電気部品から発生する熱を、冷却水通路を流れる冷却水によって冷却する構成となっている。
44は箱体43の上面43A上に突設されたコネクタ取付突起を示し、該コネクタ取付突起44は、上面44A、前面44B、後面44C、左側面44Dおよび右側面とによって囲まれ、箱体43よりも前,後方向の長さ寸法が小さな外形形状を有する直方体の立体構造体として形成されている。なお、コネクタ取付突起44は下面側が開口部となって箱体43の内部と連通しており、この開口部を通じて箱体43内にケーブルが挿通されるものである。
45はコネクタ取付突起44の前面44Bに設けられた第3の機器側コネクタを示し、この第3の機器側コネクタ45は、箱体43内に収容された電気部品に接続されている。そして、第3の機器側コネクタ45には後述のケーブル側コネクタ47Bが接続されるものである。
次に、46は電動モータ33と第1の電気機器36との間を電気的に接続する第1のケーブルを示している。この第1のケーブル46のうち第1の電気機器36側の端部には、内部に接続端子(図示せず)が配設されたケーブル側コネクタ46Aが設けられている。そして、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aは、第1の電気機器36のコネクタ取付突起39に取付けられた第1の機器側コネクタ40に接続される構成となっている。この場合、ケーブル側コネクタ46Aと、第1のケーブル46のうちケーブル側コネクタ46Aの近傍部位は、上方からみて第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37A内に納まっている。
47は第1の電気機器36と第2の電気機器42との間を電気的に接続する第2のケーブルを示している。この第2のケーブル47の両端部には、内部に接続端子(図示せず)が配設されたケーブル側コネクタ47A,47Bが設けられている。そして、一端側のケーブル側コネクタ47Aは、第1の電気機器36のコネクタ取付突起39に取付けられた第2の機器側コネクタ41に接続され、他端側のケーブル側コネクタ47Bは、第2の電気機器42のコネクタ取付突起44に取付けられた第3の機器側コネクタ45に接続される構成となっている。この場合、ケーブル側コネクタ47Aと、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Aの近傍部位は、上方からみて第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37A内に納まり、ケーブル側コネクタ47Bと、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Bの近傍部位は、上方からみて第2の電気機器42を構成する箱体43の上面43A内に納まるものである。
従って、図9に示すように、電動モータ33と第1の電気機器36との間は第1のケーブル46を介して電気的に接続され、第1の電気機器36と第2の電気機器42との間は第2のケーブル47を介して電気的に接続されている。これにより、旋回装置30を作動させるときには、第2の電気機器42から放電された電気エネルギが第1の電気機器36を介して交流電流として電動モータ33に供給され、該電動モータ33を回転駆動する。一方、旋回装置30を制動させるときには、電動モータ33の慣性回転によって発生した回生エネルギが第2の電気機器42に蓄えられる構成となっている。
48,49は第1の電気機器36の箱体37に設けられた2個の取付座を示し、該各取付座48,49は、後述する第1,第2のクランプ部材50,51を固定するものである。ここで、各取付座48,49は、例えば六角ナットにより構成され、箱体37を構成する上面37A上に溶接等の手段を用いて固着されている。
50はコネクタ取付突起39の近傍に位置して第1の電気機器36の箱体37に設けられた第1のクランプ部材を示している。ここで、第1のクランプ部材50は、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ46Aが設けられた端部をクランプした状態で、箱体37の上面37Aに設けられた取付座48にボルト50Aを用いて締結されている。
このように、ケーブル側コネクタ46Aを第1の電気機器36の箱体37上に設けられたコネクタ取付突起39に接続した上で、さらに第1のケーブル46の端部を第1の電気機器36の箱体37に固定する。これにより、第1のケーブル46の端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ46Aに伝わる振動とを一致させ、ケーブル側コネクタ46Aの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる構成となっている。
51はコネクタ取付突起39の近傍に位置して第1の電気機器36の箱体37に設けられた第2のクランプ部材を示し、該第2のクランプ部材51は、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Aの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ47Aが設けられた一端部をクランプした状態で、箱体37の上面37Aに設けられた取付座49にボルト51Aを用いて締結されている。
52はコネクタ取付突起44の近傍に位置して第2の電気機器42の箱体43に設けられた第3のクランプ部材を示し、該第3のクランプ部材52は、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ47Bが設けられた他端部をクランプした状態で、箱体43の上面43Aにボルト52Aを用いて締結されている。
このように、ケーブル側コネクタ47Aを第1の電気機器36の箱体37上に設けられたコネクタ取付突起39に接続した上で、さらに第2のケーブル47の一端部を第1の電気機器36の箱体37に固定する。これにより、第2のケーブル47に生じる振動、並びに第2のケーブル47の一端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ47Aとに伝わる振動とを一致させることができる。一方、ケーブル側コネクタ47Bを第2の電気機器42の箱体43上に設けられたコネクタ取付突起44に接続した上で、さらに第2のケーブル47の他端部を第2の電気機器42の箱体43に固定する。これにより、第2のケーブル47に生じる振動、並びに第2のケーブル47の他端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ47Bとに伝わる振動とを一致させることができる。従って、機械稼動時に第1の電気機器36に伝わる振動と第2の電気機器42に伝わる振動とが異なる場合でも、ケーブル側コネクタ47Aの接続端子やケーブル側コネクタ47Bの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる構成となっている。
53は第2の電気機器42の箱体43に取付けられたカバーを示している。このカバー53は、断面L字型に折曲げられた板体からなり、第2の電気機器42を構成する箱体43とコネクタ取付突起44とに複数のボルト53Aを用いて固定されている。そして、カバー53は、コネクタ取付突起44に取付けられた第3の機器側コネクタ45と、該第3の機器側コネクタ45に接続された第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bとを覆っている。
これにより、熱交換器15に対する保守、点検作業を行うときに、第3の機器側コネクタ45や第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bを、作業者が不用意に踏付けてしまうのを、カバー53によって阻止することができる構成となっている。
54は床板35の取付面部35Aに取付けられたロープ掛止め具としての2本の吊りボルトを示し、図12に示すように、各吊りボルト54は、床板35の吊りボルト取付孔35Kに挿通された状態でナット締めされることにより、床板35上に取付けられた第1の電気機器36を挟む2箇所に固定されている。ここで、各吊りボルト54は、吊荷作業用のロープ55が掛止めされるもので、このロープ55をクレーン56によって持上げることにより、床板35、第1の電気機器36、防振マウント38が一体化された搭載機器組立体34を吊上げることができる構成となっている。なお、吊りボルト54は、搭載機器組立体34の重量バランスに応じて3箇所以上に設けてもよいものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走し、旋回装置30によって上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行う。
この場合、油圧ショベル1の作動時には旋回フレーム5が大きく振動するが、ユーティリティ室29内に配置された第1の電気機器36は、旋回フレーム5に固定された床板35に防振マウント38を介して取付けられている。これにより、第1の電気機器36に伝わる振動を防振マウント38によって低減し、第1の電気機器36の箱体37内に収容された電気部品を保護することができる。
ここで、本実施の形態では、旋回フレーム5の一部を構成しユーティリティ室29の下側を閉塞する床板35と、防振対策が必要な第1の電気機器36と、防振マウント38とからなる搭載機器組立体34を予め組立てることにより、第1の電気機器36をユーティリティ室29内に配置するときの作業性を高めることができるようになっている。
そこで、搭載機器組立体34を組立てて旋回フレーム5に組付る組立作業の工程について、図10ないし図13を参照しつつ説明する。
まず、図10は防振マウント取付工程を示し、この防振マウント取付工程では、第1の電気機器36を構成する箱体37の下面37Bに、4個(2個のみ図示)の防振マウント38を取付ける。この場合、防振マウント38の機器側取付部38Aにボルト38Fを挿通し、このボルト38Fを箱体37の下面37Bに螺入することにより、床板側取付部38Bが下方に突出した状態で防振マウント38を取付けることができる。
次に、図11は床板取付工程を示し、この床板取付工程では、箱体37に取付けられた各防振マウント38のボルト38Dを、床板35の各マウント取付孔35Hに挿通してナット締めすることにより、各防振マウント38の床板側取付部38Bに床板35を取付ける。これにより、床板35の取付面部35Aに、4個の防振マウント38を介して第1の電気機器36を防振状態で取付けることができ、底板35、第1の電気機器36および防振マウント38からなる搭載機器組立体34を形成することができる。
このとき、図8に示すように、防振マウント38の床板側取付部38Bに設けられた廻止め突起38Eが、床板35に設けた廻止め孔35Jに係合する。これにより、ボルト38Dにナットを締結するときに、弾性体38Cにねじれ力が作用することを防止して弾性体38Cの損傷を防止し、また、防振マウント38が振動によってボルト38Dを中心として回転するのを防止することができ、防振マウント38が緩むのを阻止することができる。
次に、図12は組立体吊上げ工程を示し、この組立体吊上げ工程では、搭載機器組立体34をロープ55およびクレーン56を用いて吊上げる。この場合には、床板35の取付面部35Aの上面側に、第1の電気機器36を左,右方向から挟む位置に2個の吊りボルト54を固定する。そして、各吊りボルト54に吊荷作業用のロープ55を掛止めし、このロープ55をクレーン56によって持上げることにより、搭載機器組立体34を吊上げる。また、吊上げた搭載機器組立体34を、旋回フレーム5のうちユーティリティ室29の位置5A、即ち、左サイドフレーム11の床板取付座11A、底板6の床板取付ブラケット6Aを含む位置の上方まで搬送する。
次に、図13は組立体取付工程を示し、この組立体取付工程では、まず、ロープ55およびクレーン56によって吊上げた搭載機器組立体34の床板35を、左サイドフレーム11の床板取付座11A、底板6の床板取付ブラケット6Aに載置する。この状態で、床板35に設けた各ボルト挿通孔35Fにボルト35Gを挿通し、このボルト35Gを、左サイドフレーム11の床板取付座11A、底板6の床板取付ブラケット6Aに螺入する。これにより、床板35が旋回フレーム5に固定され、搭載機器組立体34を、ユーティリティ室29の位置5Aで旋回フレーム5に取付けることができる。
なお、この組立体取付工程は、ユーティリティ室29の上面を閉塞する上面カバーを取付ける前に行うか、上面カバーをこの工程の実施前に予め取外して行うものである。
かくして、本実施の形態によれば、旋回フレーム5に対して着脱可能に構成した床板35に、防振マウント38を介して第1の電気機器36を取付けることにより、もともと旋回フレーム5の構成部材である床板35を利用して搭載機器組立体34を形成することができる。このため、旋回フレーム5とは別部材からなる架台等を用いる必要がなく、搭載機器組立体34を形成した後に、この搭載機器組立体34のベースとなる床板35を、旋回フレーム5のうちユーティリティ室29の位置5Aに取付けるだけで、迅速かつ容易にユーティリティ室29内に第1の電気機器36を防振状態で配置することができる。
この場合、もともと旋回フレーム5の構成部材である床板35に第1の電気機器36を取付けて搭載機器組立体34を形成することにより、この搭載機器組立体34を可及的に小型化することができる。この結果、搭載機器組立体34をユーティリティ室29の位置5Aで旋回フレーム5に対して取付け、取外しするときに、搭載機器組立体34の周囲に大きな作業スペースを確保することができ、搭載機器組立体34を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
しかも、旋回フレーム5の構成部材である床板35に第1の電気機器36を取付けることにより、旋回フレーム5とは別部材からなる架台等を用いる場合に比較して、搭載機器組立体34の部品点数を削減することができるので、搭載機器組立体34の組立作業性を高めることができる上に、搭載機器組立体34の製造コストも低減することができる。
また、搭載機器組立体34を旋回フレーム5に取付けるときには、搭載機器組立体34の床板35を、一旦、左サイドフレーム11の床板取付座11A、底板6の床板取付ブラケット6Aに載置した後、これら床板取付座11A、床板取付ブラケット6Aにボルト35Gを用いて床板35を取付けることができる。このため、旋回フレーム5に対する搭載機器組立体34の取付け、取外し作業を、ロープ55を用いて搭載機器組立体34を吊上げた状態で上,下方向から行うことができ、その作業性を一層高めることができる。
さらに、防振マウント38の床板側取付部38Bに突設されたボルト38Dを、床板35のマウント取付孔35Hに挿通してナット締めするときに、床板側取付部38Bに設けた廻止め突起38Eが床板35の廻止め孔35Jに係合することにより、防振マウント38が床板35に対して回転するのを抑えることができる。このため、弾性体38Cにねじれ力が作用することを防止して弾性体38Cの損傷を防止することができる。また、油圧ショベル1の作動時に旋回フレーム5が振動したとしても、防振マウント38と床板35との取付部が緩むのを抑えることができ、旋回フレーム5に固定された床板35に対し長期に亘って安定した防振状態で第1の電気機器36を支持することができる。
なお、上述した実施の形態では、ユーティリティ室29の床板35に取付けられる搭載機器として第1の電気機器36を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばコントロールバルブ等の油圧機器を取付ける構成としてもよい。
また、上述した実施の形態では、車体に搭載される電動装置として、ハイブリッド型の旋回装置30に用いられる電動モータ33を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば原動機としての電動式油圧ポンプ、またはハイブリッド型の原動機としてエンジン13と併用される油圧ポンプ用電動モータにも適用することができる。