JP5560572B2 - カーボンナノチューブ製造用触媒体、その製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造用触媒体、その製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物 Download PDF

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Description

本発明はカーボンナノチューブ製造用触媒体、カーボンナノチューブ製造用触媒体の製造法および、カーボンナノチューブ含有組成物の製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物に関する。
触媒化学気相成長法(CCVD法)によるカーボンナノチューブの合成法では、担体上に触媒金属を担持させた触媒体を用いる。触媒体の形状は粉末状、ゲル状、板状と様々である。用いる触媒量に対して得られるカーボンナノチューブの収量の点では、比表面積の大きい粉末状、エアロゾル状の担体を用いるのが良く、取り扱い易さの点では板状、粉末状の担体を用いることが好まれる。収量、扱い易さの両方のバランスを考えた場合、粉末状の担体使用が好まれる。また、担体の材質は有機物も無機物も使われているが、扱い易さと汎用性の点から無機物が用いられることが多く、無機物担体としては、酸化物、水酸化物、その他金属塩等の様々な組成のものが用いられている。
合成後の担体の除去し易さの点から、酸処理をするだけで容易に取り除ける粉末状のマグネシウム塩や酸化マグネシウムを用いることが多く、例えば特許文献1〜3などが知られている。しかし、酸化マグネシウムやマグネシウム塩と触媒金属を単純に混ぜて乾燥するだけの触媒体を用いても、品質の良いカーボンナノチューブを収率良く得ることは難しい。
酸化マグネシウムを用いた例としては、特許文献1〜3などが挙げられるが、単に特許文献1に記載の方法を用いたのみでは、純度の高いカーボンナノチューブ組成物が得られなかった。
また、特許文献2に示される方法では、カーボンナノチューブ合成用触媒の他に炭素源を分解しやすくする触媒を別に造っておく必要があり、工程が多くなる。
酸化マグネシウムの前駆体を加熱して酸化マグネシウムにする方法(特許文献3)では、触媒体製造時に水溶液を650℃で急熱する、触媒体の表面積を大きくするためにクエン酸等の発泡剤を加えて燃焼させる等の工夫をする必要があった。また、ここで得られる触媒体は空気中の水や二酸化炭素と非常に反応しやすい、嵩密度が非常に小さいため飛散しやすい等の取り扱いに問題があった。
また、上記のような工夫をせず、単にマグネシウム塩と触媒金属塩を混合して加熱するだけの触媒では、純度の高いカーボンナノチューブを収率よく得るのは困難である。
特開2004−182548号公報 特開2006−335604号公報 特開2006−261131号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、良好な品質を有するカーボンナノチューブ組成物を収率よく製造することができる触媒体および触媒体の製造方法さらには良好な品質を有するカーボンナノチューブ組成物の製造方法およびカーボンナノチューブ含有組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、比較的少量の8族〜10族の遷移金属化合物とMg化合物を含む水を加圧下で加熱して得られた触媒前駆体を加熱することにより得られる薄片状の酸化マグネシウム(MgO)は、8族〜10族の遷移金属を含む微粒子が高分散し、カーボンナノチューブを生成する部位が増え、これを触媒体として用いることにより高純度で高品質な比較的直径の細いカーボンナノチューブを収率良く製造し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の構成を有する。
[1]8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水を加圧下で100〜250℃に加熱して触媒前駆体を得、これを400〜1200℃に加熱することで8族から10族の遷移金属が0.1〜1wt%の範囲で含有し、かさ密度が0.1〜0.41g/mLである薄片状MgOを得ることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
[2]8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水を加圧下で100〜250℃に加熱して触媒前駆体を得、ろ過または遠心分離して固液分離した後、これを400〜1200℃に加熱し、かさ密度が0.1〜0.41g/mLである触媒体を得ることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
[3]前記触媒前駆体をろ過または遠心分離して固液分離した後、加熱に供することを特徴とする[1]記載の製造方法。
[4]得られるカーボンナノチューブ製造用触媒体に含まれる、前記8族〜10族の遷移金属を含む微粒子の平均粒子径が1nm〜30nmであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
[5]8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水が、遷移金属に対する硫黄量として0.1〜20wt%の硫黄化合物を含むものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
[6]Mg化合物が酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩および水酸化物のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
[7]8族から10族の遷移金属を含む微粒子を含む薄片状の酸化マグネシウム(MgO)からなり、前記遷移金属を含む微粒子は平均粒子径が1nm〜30nmであり、遷移金属含有量が0.1〜1wt%であり、かさ密度が0.1〜0.41g/mLであることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体。
[8]前記薄片状のMgOが、結晶子径5〜20nmの範囲のMgO微粒子の凝集体であることを特徴とする[7]記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
[9]前記薄片状のMgOの<200>面のX線回折における半値幅が0.6〜0.95degの範囲であることを特徴とする[7]または[8]のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
[10]前記薄片状のMgOの長辺方向の平均長さが0.05〜10μmであり、平均厚みが5〜50nmであることを特徴とする[7]〜[9]記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
[11]単層および/または二層カーボンナノチューブ含有組成物を製造するための[7]〜[10]のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
12]二層を含むカーボンナノチューブであって二層カーボンナノチューブの平均直径が1nm〜2.5nmであるカーボンナノチューブを製造するための[7]〜[101のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
13][7]〜[12]のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体または請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒体を500〜1200℃の範囲の加熱反応域で炭素含有化合物と接触させることによりカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
14]カーボンナノチューブが単層および/または二層のカーボンナノチューブを含むものであることを特徴とする[13]記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
本発明によれば、上にカーボンナノチューブ製造用触媒金属を分散させてカーボンナノチューブを生成する部位を増やすことにより、高純度で高品質なカーボンナノチューブを収率良く得ることが可能になる。
実施例1で製造した遷移金属含有薄片状MgOの走査型電子顕微鏡による観察写真である。 図2は、本発明における代表的な水熱処理条件の一つ(MgOを150℃、6時間で水熱処理)で水熱処理を行なった際の水熱処理前後および焼成後のX線回折結果である。 図3は、実施例4で製造した遷移金属含有薄片状MgOを用いて、カーボンナノチューブを製造した後、精製を行ったカーボンナノチューブ含有組成物の透過型電子顕微鏡による観察写真である。 図4は実施例で用いたカーボンナノチューブ含有組成物製造用の化学気相成長法の装置の概略図である。 図5は実施例2で得られたカーボンナノチューブ含有組成物のラマン分光スペクトル図である。励起波長は532nmである。 図6は実施例1で得られたカーボンナノチューブ含有物の層数およびカーボンナノチューブの外径分布図である。
本発明は、カーボンナノチューブ製造用触媒体または該触媒体の製造方法を提供するものであり、ここで、触媒体とはカーボンナノチューブ製造用触媒として8族〜10族の遷移金属化合物がMgO上に担持された総体物または該金属化合物とMgOの混合物のことである。また、他の成分が配合された組成物、あるいは他の成分と複合した複合体中に含まれる場合でも該金属化合物がMgO上に担持または混合されていれば、触媒体と解釈する。
カーボンナノチューブは基体に対して空間的制約の無い鉛直方向に成長させることにより、効率よく製造することができる。微小な平板構造を持つ基体上にカーボンナノチューブ製造用触媒微粒子を高度に分散させることにより、品質の良いカーボンナノチューブを効率よく成長させることができる。
本発明では薄片状MgOを平板基体に見立て、8族〜10族の遷移金属を含む微粒子(以下「遷移金属微粒子」と称する場合もある)を含有させることにより、1nm〜30nmの範囲の平均微粒子径に制御することができる。
また薄片状MgO中の遷移金属含有量は0.1〜1wt%の範囲が好ましく、0.2〜0.6wt%の範囲がさらに好ましい。遷移金属含有量が多くなると、比較的細い径を有するカーボンナノチューブ合成に最適な微粒子径が得られず、また、製法によってはアモルファスカーボンなどの炭素不純物を多く生成し易くなる傾向にある。
本発明において、薄片状MgO中の遷移金属粒子径は、金属分散度測定装置(例えば日本ベル社製金属分散度測定装置(BEL−METAL−1))を用いて、該触媒体の遷移金属微粒子による水素吸着量から算出される平均粒子径とする。水素吸着はパルス法で行う金属分散度測定である。測定条件は以下になる。測定用石英管中にカーボンナノチューブ製造用触媒体を約0.6g導入し、測定系に接続する。次にAr雰囲気下で30分間で900℃まで加熱し、その後400℃まで放冷する。400℃の状態で1時間安定化させた後、5%H/Arガスを0.15cm(H:3.3X10−7mol)の量で25回パルスする。触媒学会参照触媒委員会金属分散度測定マニュアルに準拠した解析を行い、触媒体の水素吸着量から遷移金属1gに対する水素吸着量および遷移金属の平均粒子径を算出する。
本発明において、8族から10族の遷移金属としてはFe,Co,Niのいずれかひとつを含むことが好ましい。
本発明における薄片状MgOは、一次構造である微粒子が凝集してできた凝集体、すなわち2次構造形態である。つまり本発明における薄片状MgOは形状としては薄片状を呈し、MgOの1次構造の結晶子径を有するものである。そして遷移金属微粒子はこの凝集体中および/または表面上に取り込まれる形で存在している。
この薄片状MgOの1次構造の結晶子径はX線回折装置(例えば理学社製RINT2100UltimaPL)により測定することができる。
図1は、本発明において代表的な製造例のひとつ(200℃で2時間の水熱処理の後に大気下600℃で3時間焼成処理)で製造した遷移金属含有薄片状MgOの走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製、JSM−6301NF)による観察写真である。また、図2は、本発明における代表的な水熱処理条件の一つ(MgOを150℃、6時間で水熱処理)で水熱処理を行なった際の水熱処理前後および焼成後のX線回折結果である。X線回折測定は粉末X線回折装置に粉末試料を設置した後に、1.5°から80°まで操作し、分析を行った。X線源はCuKα線である。ステップ幅は0.010°、計測時間は1.0秒である。水熱反応前はMgOに由来するピークが測定された。水熱反応後はMg(OH)に由来するピークになった。焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.77degであり、Scherrerの式を用いることで結晶子径を求めた。結晶子径は11nmであった。
本発明における薄片状MgOの一次構造である微粒子は小さいことが単層、2層のカーボンナノチューブを製造しやすい点で好ましく、X線回折結果から観測される200面の半値幅として、0.6〜0.95degであること、結晶子径に換算すると5〜20nmであることが好ましい。
本発明の遷移金属含有薄片状MgOは適度なかさ密度とカーボンナノチューブ製造時に薄片状MgOが微小な基板として有効に存在できる点から長辺方向の平均長さ0.05〜10μmであり、平均厚みが5〜50nmであることが好ましく、平均長辺方向の長さが0.1〜1.0μmであり、平均厚みが10〜50nmであることが撚り好ましい。SEM画像より100個の薄片状MgOの大きさを測定して算術平均することにより求められる。この時SEMの倍率は60,000倍で観察をする。また、厚みはSEMで観察される薄片状MgOの厚み方向の長さを測定し、長辺方向の長さとはSEMで観察される薄片状MgOの平面方向の長さを直線距離で測定する。
また遷移金属含有薄片状MgOのかさ密度はカーボンナノチューブ製造の際のカーボンナノチューブ成長空間を確保する点から0.1〜1.0g/mLの範囲となることが好ましく、0.2〜0.7g/mLがより好ましい。
かさ密度とは単位かさ体積あたりの粉体質量のことである。以下にかさ密度の測定方法を示す。粉体のかさ密度は、測定時の温度、湿度に影響されることがある。ここで言うかさ密度は、温度20±10℃、湿度60±10%で測定したときの値である。50mLメスシリンダーを測定容器として用い、メスシリンダーの底を軽く叩きながら、予め定めた容積を占めるように粉末を加える。かさ密度の測定に際しては10mL以上の粉末を加えることが好ましい。その後、メスシリンダーの底を床面1cmの高さから落とすことを20回繰り返した後、目視にて粉末が占める容積値の変化率が±0.2mL以内であることを確認し、詰める操作を終了する。もし容積値に目視にて±0.2mL以上の変化があれば、メスシリンダーの底を軽く叩きながら粉末を追加し、再度メスシリンダーの底を床面1cmの高さから落とすことを20回繰り返し、目視にて粉末が占める容積値に±0.2mL以上の変化がないことを確認して操作を終了する。上記の方法で詰めた一定量の粉末の重量を求めることを3回繰り返し、その平均重量を粉末が占める容積で割った値(=重量(g)/体積(mL))を粉末のかさ密度とする。測定に供するカーボンナノチューブ製造用触媒は、20g±5gとする。なお、カーボンナノチューブ製造用触媒の量が前記量に満たない場合は、評価可能な量で測定するものとする。
触媒のかさ密度が影響するのは、触媒を加熱温度下にメタンと接触させるときである。このとき触媒の状態は、触媒調製時(反応前)と比較してどのように変化しているか、詳細は不明である。しかし、反応前後で触媒のかさ密度は大きく変化しない。そのため、触媒調製時(反応前)の触媒かさ密度を上記範囲にすることで、高品質なカーボンナノチューブを得ることができる。
本発明の遷移金属含有薄片状MgOからなるカーボンナノチューブ製造用触媒体からカーボンナノチューブを製造すると、単層から四層あるいは五層以上のカーボンナノチューブが製造されるが、典型的には単層および/または二層カーボンナノチューブ含有組成物を製造することができる。
カーボンナノチューブの層数は透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製JEM−2100)による観察写真より100本のカーボンナノチューブの外径および層数を数えることにより、評価することが可能である。
通常カーボンナノチューブは層数が少ないほどグラファイト化度が高い、つまり導電性が高く、層数が増えるほどグラファイト化度が低下する傾向がある。二層カーボンナノチューブは層数が単層カーボンナノチューブよりも多いため、耐久性が高く、高いグラファイト化度も併せ持つため、耐久性が高く高導電性のカーボンナノチューブ集合体という点で二層カーボンナノチューブの割合は多いほど好ましく、本発明では上記方法で測定したときのカーボンナノチューブの割合は50%以上、つまり100本中50本以上であることが好ましく、100本中60本以上が二層カーボンナノチューブであることがより好ましく、100本中70本以上が二層カーボンナノチューブであることが更に好ましい。本発明の触媒体によれば、上記のような二層カーボンナノチューブを容易に製造することができる。
図3は本発明の方法で製造されるカーボンナノチューブの一例であるが、グラファイトの層は、透過型電子顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましい。
本発明における典型的なカーボンナノチューブ製造用触媒体を用いてカーボンナノチューブを製造する場合、二層含有量が高いカーボンナノチューブが得られ、好ましい態様で製造すると、その二層カーボンナノチューブにおいて平均外径が1〜2.5nmの範囲であり、さらには1.0〜2.0nmの外径が50%以上含まれるカーボンナノチューブが得られる。
一本の単層および/または二層カーボンナノチューブの長さを測ることは困難であるが、一般的に1〜5μmであると考えられている。本発明の遷移金属含有薄片状MgOを使用して、上記カーボンナノチューブ含有組成物を製造した場合、製造直後(As−made)の状態でカーボンナノチューブ製造に使用された遷移金属微粒子は全体の遷移金属微粒子に対して、50〜95%と非常に高活性である。これは遷移金属微粒子の含有量を0.1〜1.0wt%の範囲にすることにより、遷移金属微粒子径を単層および/または二層カーボンナノチューブの製造に適した大きさに制御することができ、さらに薄片状の2次構造体にすることで該微粒子を凝集させること無く、高度に分散でき、カーボンナノチューブの成長阻害がないためである。
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒体である遷移金属含有薄片状MgOの製造方法は、8族〜10族の遷移金属化合物とMg化合物を水中で混合撹拌し、該混合液を加熱、加圧による水熱反応で触媒前駆体が得られ、該触媒前駆体を特定の温度で加熱することで得られる。水熱反応を行うことで、遷移金属化合物とMg化合物がそれぞれ加水分解され、脱水重縮合を経由して複合水酸化物となる。これにより遷移金属が水酸化Mg中に高度に分散された状態の触媒前駆体になる。
このときの遷移金属化合物としては硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、クエン酸アンモニウム塩、アセチルアセトネート、酸化物および水酸化物が好ましく、クエン酸アンモニウム塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩がより好ましい。なかでもクエン酸鉄(III)アンモニウム、硝酸鉄が好ましく用いられる。
Mg化合物としては硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酸化物および水酸化物が好ましく、酸化物がより好ましい。
遷移金属化合物とMg化合物の使用量は、遷移金属化合物中の金属成分量が、Mg化合物のMgO換算量に対して、0.1〜1wt%となるよう混合しておくことが単層および/または2層を含有する比較的細いカーボンナノチューブを製造しやすい点で好ましく、より好ましくは0.2〜0.6wt%の範囲である。上記範囲より金属成分量が多い場合には、担持される金属粒子の粒子径が大きくなり、得られるカーボンナノチューブも太くなる傾向にあるため、比較的細いカーボンナノチューブを製造しようとする場合には不適切であるが、水熱反応後、加熱して薄片状MgO触媒体を製造する場合には、直接Mg0に金属化合物を担持する場合に比較して金属粒子の粒度のバラツキも少なく、比較的直径の揃った多層のカーボンナノチューブを得ることができる。
また水とMg化合物はモル比で4:1〜100:1で混合することが好ましく、より好ましくは9:1〜50:1であり、更に好ましくは9:1〜30:1である。
尚、遷移金属化合物とMg化合物はあらかじめ混合、濃縮乾固したものを水中で混合撹拌して水熱反応を行っても良いが、工程を簡略化するために、遷移金属化合物とMg化合物を直接水中に加えて、水熱反応に供することが好ましい。
水熱反応は加熱、加圧下で行われるが、オートクレーブなどの耐圧容器中でけん濁状態を含む混合水を100℃〜250℃の範囲で加熱し、自生圧を発生させることが好ましい。加熱温度は100〜200℃の範囲がより好ましい。尚、不活性ガスを加えて圧力をかけてもかまわない。本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法において、水熱反応時の加熱時間は加熱温度と密接に関係しており、通常は30分〜10時間程度で行われ、温度が高いほど短時間で水熱反応は短くてすむ。例えば250℃で行う場合は30分〜2時間が好ましく、100℃で行う場合は2〜10時間が好ましい。
水熱反応後はスラリー状のけん濁液になっており、回収方法はこだわらないが、好ましくは濾過あるいは遠心分離することにより、容易に触媒前駆体を回収することができる。より好ましくは濾別であり、吸引濾過または自然濾過のどちらで行ってもかまわない。従来のカーボンナノチューブ触媒体の製造方法は、一般に遷移金属化合物をMgOへ担持した際に濃縮乾固あるいは蒸発乾固させて製造されている。これは濾過した際には、溶解したMgOに未吸着の遷移金属化合物も濾別されてしまい、所定量MgOに担持することができないためである。一方、本発明の触媒前駆体は水熱反応を行うことで、遷移金属化合物とMg化合物がそれぞれ加水分解され、脱水重縮合を経由した複合水酸化物となる。これにより遷移金属が水酸化Mg中に高度に分散された状態となり、水中に未反応の遷移金属化合物はほとんどなく、エネルギー消費量の少ない濾過あるいは遠心分離が可能となる。
水熱処理後、固液分離した触媒前駆体は遷移金属とMgの複合水酸化物であり、加熱することにより遷移金属とMgの複合酸化物となる。加熱は大気または窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス中で行うことができ、400〜1000℃の範囲で加熱することが好ましく、400〜700℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は1〜5時間の範囲で行うことが好ましい。加熱前の触媒前駆体は水酸化Mgが主体であるため、薄片状の1次構造をとっている。加熱温度が高すぎると脱水の際に焼結が起こり、薄片状の2次構造を維持できず、球形あるいは立方体、直方体の構造をとってしまい、遷移金属がMgO内部に取り込まれ、カーボンナノチューブの合成に不適である。
本発明の水熱反応を行う際、遷移金属化合物は硫黄成分を含むことが好ましい。硫黄成分の含有量は、遷移金属に対し0.1〜20wt%の範囲であることが、カーボンナノチューブ含有組成物の収量がより一層向上するため好ましい。遷移金属化合物に硫黄成分を含有させる方法に特に制限はないが、遷移金属化合物として、硫黄成分を含有する遷移金属化合物を併用することが好ましい。硫黄成分を含む遷移金属化合物としては、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩を用いることが好ましい。なかでも硫酸鉄(III)アンモニウムが好ましく用いられる。
硫黄成分は焼成工程後でも残留している。過剰に硫黄成分が含まれていると触媒毒となってしまい、カーボンナノチューブの成長を阻害する傾向にあるため上記の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは0.1〜10wt%の範囲である。
本発明によって得られた触媒体は炭素含有化合物を接触させることによってカーボンナノチューブを製造することができる。その接触の温度は、500〜1200℃、好ましくは600〜1000℃である。通常、温度が低いと収率良くカーボンナノチューブを得ることが困難になり、温度が高いと使用する反応器の材質に制約が生じる。
炭素含有化合物としては、気体、液体、固体いずれでも良いが、500〜1200℃の高温条件下でガス状となるものであることが、収率良くカーボンナノチューブを得られることから好ましい。炭素含有化合物の種類としては、炭素原子を含有していれば特に限定はないが、通常は一酸化炭素や炭化水素化合物であり、脂肪族であっても芳香族であってもよく、炭素−炭素結合も飽和結合であっても不飽和結合を含んでいても良い。これらは、単独で使用しても、混合して使用しても構わない。
芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素では、酸素を含むもの、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのなどのアルコール類、アセトンのなどのケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのなどのアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。中でも、得られるカーボンナノチューブの質の点で、メタン、エタン、アセチレンを用いるのが好ましく、より好ましくはメタンを用いるのが好適である。
炭素含有化合物は、窒素、アルゴン、水素、ヘリウム等の不活性ガスとの混合物として用いても、単独で用いても構わないが、触媒体に炭素ガスが供給される反応場は、不活性ガス、または真空雰囲気下(減圧下)であることが、収率良くカーボンナノチューブが得られることから好ましい。
触媒体と炭素含有化合物の接触のさせ方は特に限定されない。例えば、触媒体を加熱炉内に保持し、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法(固定床)や、触媒体を加熱炉内で流動させ、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法(流動床)などがある。好ましくは流動床である。
反応終了後に合成したままの状態で利用してもよいが、精製を行うことが好ましい。精製の方法としては、担体材料や触媒金属を除いて使用する方法、や、加熱酸化処理する方法あるいはこれらを組合せる方法がよい。
担体材料や触媒金属を除いて使用する方法としては、担体材料や触媒金属は、酸などで取り除くことができる。例えば、担体としてマグネシア、触媒金属として鉄を使った場合には、塩酸などの無機酸でマグネシアおよび鉄を取り除くことができる。このような処理により、触媒金属の残存量を3wt%以下に低減させることができる。あるいは加熱酸化処理により、アモルファスカーボン等の炭素不純物を低減する。
加熱酸化処理は気相、液相およびこれらの組合せで行うことができる。気相における加熱酸化処理の方法としては、加熱温度を400〜600℃の範囲に調整した後に空気で0.5〜5時間酸化処理を行うことで非晶質な炭素不純物を除去する方法が好ましい。このときの加熱温度は好ましくは430〜550℃程度であることがより好ましい。酸化処理時間はより好ましくは1〜5時間である。さらに好ましくは2〜4時間である。
液相における加熱酸化処理の方法としては、硝酸、硫酸、過酸化水素等の酸化性の液相で加熱処理を行う方法が挙げられ、なかでも硝酸が好ましい。
精製により得られたカーボンナノチューブ組成物は液体中に保持することが好ましい。そのため、精製後のカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ組成物を硝酸溶液等液相中で加熱酸化処理した場合はその酸化処理後、濾過等により固液分離した後、あるいはそのままで、乾燥させることなく、分散媒または分散剤またはその両方を混合してカーボンナノチューブ組成物を分散させて良い。これらを混合する順序は特に制限はなく、混合方法についてもカーボンナノチューブ組成物の分散液が得られるならば特に制限はない。
上記好ましい精製方法を用い、十分に精製したカーボンナノチューブ組成物は分散性に優れ、前記分散液の製造方法に準じた方法で分散液とすることにより、0.3mg/mL以上カーボンナノチューブ組成物が分散した分散液が得られるので好ましい。ここで、硝酸溶液等の液相中で加熱した後、乾燥させることなくとは、硝酸溶液等の液相中で加熱後、カーボンナノチューブ組成物がカーボン重量で99wt%以下となるように液体を保持した状態が常に保たれていることをいう。例えば、硝酸溶液等の液相中での加熱終了後、ろ過、デカンテーション等で硝酸を除去する場合、ろ過、デカンテーション後、水、アルコール、有機溶媒等の液体で洗浄する場合についても、カーボンナノチューブ組成物がカーボン重量で99wt%以下となるように液体を保持した状態が常に保たれているならば、本発明で規定する「乾燥させることなく」に当てはまると解釈する。その際のカーボン重量の下限は特に制限が無いが、少なくとも分散液を製造する時点(分散剤、分散媒と混合する時)では、製造しようとする分散液の濃度以上に調整しておく必要はある。分散剤または分散媒と混合する際のカーボンナノチューブ組成物がカーボン重量で99wt%以下となるように液体を保持した状態として好ましい態様は、扱い易さの点から、カーボン重量が0.01〜80wt%であり、さらに好ましくは0.1〜65wt%、より好ましくは1.0〜50wt%、最も好ましくは3〜40wt%である。
本発明の方法で得られるカーボンナノチューブ組成物の体積抵抗率は、1×10−5Ω・cmから7×10−4Ω・cmである。好適な製造条件下では、1×10−4Ω・cmから7×10−4Ω・cmのカーボンナノチューブ組成物を得ることも可能である。カーボンナノチューブ組成物の体積抵抗値は、下記のようにしてカーボンナノチューブ膜を作製し、その膜の表面抵抗値を4端子法によって測定後、表面抵抗値とカーボンナノチューブ膜の膜厚を掛けることによって算出することができる。表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用い、例えばロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)にて測定することが可能である。高抵抗測定の際は、ハイレスターUP MCP−HT450(ダイアインスツルメンツ製、10V、10秒)を用いて測定することが可能である。
測定試料は、以下のように作成する。カーボンナノチューブ組成物20mgをN−メチルピロリドン16mLと混合し、超音波ホモジナイザーを用いて出力20Wで超音波を20分照射した後、エタノール10mLと混合し、内径35mmφのろ過器を使用することによってろ取物を得る。このろ取物を、ろ過器およびろ取に用いたフィルターごと60℃で2時間乾燥することによって、測定用のカーボンナノチューブ膜を得ることができる。作製したカーボンナノチューブ膜は、ピンセットなどで、ろ紙から剥離して測定する。カーボンナノチューブ膜をろ紙から剥離できないときは、フィルターとカーボンナノチューブ膜を併せた全体の厚みを測定後、フィルターのみの厚みを全体から差し引いて、カーボンナノチューブ膜の膜厚を算出しても良い。ろ過に使用するフィルターとしては、例えば、メンブレンフィルター(OMNIPORE MEMBRANE FILTERS, FILTER TYPE: 1.0μm JA,47mmφ)を使用することができる。フィルターの孔径は、ろ液が通過するのであれば1.0μm以下であっても構わない。フィルターの材質は、NMPおよびエタノールに溶解しない材質である必要があり、好ましくはフッ素樹脂製のフィルターを使用するのが好適である。
本発明の方法で得られるカーボンナノチューブ組成物は10℃/minで昇温した時の熱重量測定(Thermogravimetry)で、単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から観測される発熱による燃焼ピーク温度が650℃〜800℃の範囲であることが好ましい。本発明における発熱による燃焼ピーク温度とは、約1mgの試料を示差熱分析装置(例えば島津製作所製 TGA−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温する。その時の熱重量測定で単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から得られる。一般に、アモルファスカーボンなどのカーボンナノチューブ以外の炭素不純物は400℃以下で分解するため、アモルファスカーボンなどがカーボンナノチューブに付着した試料は燃焼ピーク温度が低くなる。また一本のカーボンナノチューブの長さが長いほど、燃焼ピーク温度は高くなると推定される。そのため、アモルファスカーボンの付着の少ない、長さの長いカーボンナノチューブの燃焼ピークは高くなり、高品質なカーボンナノチューブであるといえる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
実施例中、カーボンナノチューブの合成と各種物性評価は以下の方法で行った。
<実施例1>
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)0.74gをイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で200℃に加熱し2時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.32g/mLであった。また、濾液をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)により分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。さらに触媒体のEDX分析結果から、薄片状酸化マグネシウムに含まれる鉄含有量は0.39wt%であった。
(XRD測定)
粉末X線回折装置(理学電機株式会社製 RINT2100)に粉末試料を設置した後に、1.5°から80°まで操作し、分析を行った。X線源はCuKα線である。ステップ幅は0.010°、計測時間は1.0秒である。水熱反応後の分析結果は次のとおりであった。原料に用いたMgOの水熱反応後の生成物はMg(OH)に由来するピークを示した。大気下600℃で3時間焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.79degであり、結晶子径は11nmであった。
(SEM観察)
日本電子社製の走査型電子顕微鏡(JSM−6301NF)を用いて水熱反応後さらに焼成後の触媒体の形状を観察した。10〜50nm程度の微粒子が凝集した薄片状構造である事を確認した。
前記方法で算出した薄片状構造の長辺方向の平均長さは537nmであり、平均厚みは25nmであった。
(水素吸着測定)
日本ベル社製の水素吸着装置(BEL−METAL−1)を用いて、Feの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は31cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は7.4nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
図4に示した装置を用いてカーボンナノチューブの合成を行った。反応器403は内径75mm、長さは1100mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板402を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ラインである混合ガス導入管408、上部には廃ガス管406を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器として3台の電気炉401を具備する。また反応管内の温度を検知するために石英管で保護された温度計405を具備する。
上記で調製した固体触媒体132gをとり、鉛直方向に設置した反応器の中央部の石英焼結板上に導入することで触媒層404を形成した。反応器中での固体触媒(遷移金属含有薄片状MgO)の存在の態様は図1に示す通りである。触媒層を30分間かけて860℃に加熱しながら、反応器底部から反応器上部方向へ向けてマスフローコントローラー407を用いて窒素ガスを16.5L/minで30分間供給し、触媒層を通過するように流通させた。その後、窒素ガスを供給しながら、さらにマスフローコントローラー407を用いてメタンガスを0.78L/minで60分間導入して触媒層を通過するように通気し、反応させた。メタンガスの導入を止め、窒素ガスを16.5L/min通気させながら、石英反応管を室温まで冷却した。触媒とカーボンナノチューブを含有する組成物を取り出し、蒸発皿に移し変えて、設定温度446℃まであらかじめ加熱した電気炉に静置して3時間加熱酸化処理した。上記のようにして得たカーボンナノチューブ含有組成物は115g用いて4.8Nの塩酸水溶液2000mL中で1時間撹拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解した。得られた黒色懸濁液は濾過した後、濾取物は再度4.8Nの塩酸水溶液400mLに投入し脱MgO処理をし、濾取した。この操作を3回繰り返した(脱MgO処理)。最終的に得られたカーボンナノチューブ含有濾取物は120℃で加熱乾燥を一晩行い、カーボンナノチューブ組成物を得た。
精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、30%であった。
(カーボンナノチューブ含有組成物の熱分析)
約1mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 TGA−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの重量変化を測定した。その結果重量変化は100%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)に粉末試料を設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後に得たカーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は34であった。
(TEM観察)
日本電子社製の走査型電子顕微鏡(JEM−2100)を用いて精製後のカーボンナノチューブの形状を250,000倍で観察し、130本の層数および外形径を解析した。結果を図6に示す。二層カーボンナノチューブは90%含まれており、平均直径は1.7nmであった。
直径は直線性のよい部分で測定した値の算術平均とした。
(体積抵抗)
上記触媒を取り除いた2層カーボンナノチューブ集合体570mgを濃硝酸(和光純薬工業社製 1級 Assay60〜61%)200mLに添加し、130℃のオイルバスで5時間攪拌しながら加熱した。加熱攪拌終了後、カーボンナノチューブを含む硝酸溶液をろ過し、蒸留水で水洗後、120℃で1晩乾燥させたところ、420mgのカーボンナノチューブ組成物が得られた。
上記で得られたカーボンナノチューブ組成物20mgをN−メチルピロリドン16mLと混合し、超音波ホモジナイザーを用いて20Wで20分超音波照射した。その後、該混合物をエタノール10mLと混合し、内径35mmφのろ過器を用いてメンブレンフィルターで吸引ろ過した。ろ取物をろ過器とメンブレンフィルターごと60℃で2時間乾燥機中で乾燥した。カーボンナノチューブ膜付きメンブレンフィルターをろ過器から取り外し、メンブレンフィルターごと膜厚みを測定し、メンブレンフィルターの膜厚みを差し引いたところ、カーボンナノチューブ膜の厚みは33.3μmであった。メンブレンフィルターはOMNIPORE MEMBRANE FILTERS, FILTER TYPE: 1.0μm JA, 47mmφを使用した。得られたカーボンナノチューブ膜の表面抵抗値を、JISK7149準処の4端子4探針法に従ってロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定したところ、0.177Ω/□であった。したがって体積抵抗率は5.9×10−4Ω・cmである。
(熱分析)
濃硝酸による液相加熱酸化処理したカーボンナノチューブ組成物試料を約1mg示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは734℃であった。
<実施例2>
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)0.74gをイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で150℃に加熱し6時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.31g/mLであった。また、濾液をEDXにより分析したところ、鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。
(XRD測定)
実施例1と同様の装置を用いて測定した。結果を図2に示す。水熱反応後MgOがMg(OH)に由来するピークになった。大気下600℃で3時間焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.77degであり、結晶子径は11nmであった。
(SEM観察)
実施例1と同様の測定装置を用いて、10〜50nm程度の微粒子が凝集した薄片状構造である事を確認した。
薄片状構造の長辺方向の平均長さは465nmであり、平均厚みは21nmであった。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いてFeの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は27cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は8.5nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、25%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。その結果を図5に示す。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後のカーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は67であった。
(体積抵抗)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ膜を作製したところ、カーボンナノチューブ膜の厚みは44.5μmであった。得られたカーボンナノチューブ膜の表面抵抗値は0.117Ω/□であった。したがって体積抵抗率は5.2×10−4Ω・cmである。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは768℃であった。
<実施例3>
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)0.74gをイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で150℃に加熱し4時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下450℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.32g/mLであった。また、濾液をEDXにより分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。
(XRD測定)
実施例1と同様の装置を用いて測定した。水熱反応後MgOがMg(OH)に由来するピークになった。大気下600℃で3時間焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.89degであり、結晶子径は10nmであった。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いてFeの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は28cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は8.4nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、20%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は48であった。
(体積抵抗)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物を用いて実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ膜を作製したところ、カーボンナノチューブ膜の厚みは40.5μmであった。得られたカーボンナノチューブ膜の表面抵抗値は0.129Ω/□であった。したがって体積抵抗率は5.2×10−4Ω・cmである。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは706℃であった。
<実施例4>
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)0.71gと硫酸鉄(III)アンモニウム・九水和物(和光純薬工業社製)0.037g(鉄量に対する硫黄量として5wt%)をイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で200℃に加熱し2時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.31g/mLであった。また、濾液をEDXにより分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウム、硫酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。さらに触媒体のEDX分析結果から、薄片状酸化マグネシウムに含まれる鉄含有量は0.39wt%であった。
(XRD測定)
実施例1と同様の装置を用いて測定した。水熱反応後MgOがMg(OH)に由来するピークになった。大気下600℃で3時間焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.72であり、結晶子径は12nmであった。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いて、Feの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は28cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は8.3nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、38%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は40であった。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは682℃であった。
<実施例5>(遷移金属担持量:0.2wt%)
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)0.395gをイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で200℃に加熱し2時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.41g/mLであった。また、濾液をEDXにより分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウム、硫酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いて、Feの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は34cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は6.8nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、17%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は44であった。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは673℃であった。
<実施例6>(遷移金属担持量:0.75wt%)
(触媒体合成)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)1.48gをイオン交換水120mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を30g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を200 mLのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で200℃に加熱し2時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。脱水された固形分は20〜32メッシュの粒径になるまで細粒化した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。かさ密度は0.21g/mLであった。また、濾液をEDXにより分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウム、硫酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いて、Feの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は15cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は16nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、33%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は35であった。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは707℃であった。
<比較例1>
(触媒体合成)
クエン酸アンモニウム鉄(和光純薬工業社製)2.46gをメタノール(関東化学社製)500mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ−30)を100.0g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理し、懸濁液を減圧下、40℃で濃縮堅固した。得られた粉末を120℃で加熱乾燥してメタノールを除去し、酸化マグネシウム粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。32メッシュ以下の粒径になるまで乳鉢で細粒化した。得られた固体触媒に含まれる鉄含有量は0.38wt%であった。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
(XRD測定)
実施例1と同様の装置を用いて測定した。水熱反応後MgOがMg(OH)に由来するピークになった。大気下600℃で3時間焼成後にはMgOに由来するピークに戻った。焼成後のMgOの<200>面での半値幅は0.3degであり、結晶子径は31nmであった。
(水素吸着測定)
実施例1と同様の測定装置を用いてFeの水素吸着量を測定した。Fe1gあたりの水素吸着量は2.4cm/g(Fe)であり、平均微粒子径は130nmであった。
(カーボンナノチューブの合成)
実施例1と同様の操作を行った。精製後のカーボンナノチューブの回収率は加熱酸化処理せず、脱MgO処理のみを行った製造直後のカーボン堆積量に対して、16%であった。
(ラマン分光分析によるカーボンナノチューブの性状評価)
実施例1と同様の測定を行った。上記のようにして加熱酸化処理し、塩酸でMgOを除去した後カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比(励起波長:532nm)は42であった。
(体積抵抗)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物を用いて実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ膜を作製したところ、カーボンナノチューブ膜の厚みは55.7μmであった。得られたカーボンナノチューブ膜の表面抵抗値は0.134Ω/□であった。したがって体積抵抗率は7.5×10−4Ω・cmである。
(熱分析)
実施例1と同様の硝酸処理を行った後、得られたカーボンナノチューブ組成物実施例1と同様の装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの単位時間当たりの減少重量を表すDTG曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。燃焼ピークは668℃であった。
401 電気炉
402 石英焼結板
403 反応器
404 触媒層
405 温度計
406 排ガス管
407 マスフローコントローラー
408 混合ガス導入管
← :ガスの流れ方向

Claims (14)

  1. 8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水を加圧下で100〜250℃に加熱して触媒前駆体を得、これを400〜1200℃に加熱することで8族から10族の遷移金属が0.1〜1wt%の範囲で含有し、かさ密度が0.1〜0.41g/mLである薄片状MgOを得ることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
  2. 8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水を加圧下で100〜250℃に加熱して触媒前駆体を得、ろ過または遠心分離して固液分離した後、これを400〜1200℃に加熱し、かさ密度が0.1〜0.41g/mLである触媒体を得ることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
  3. 前記触媒前駆体をろ過または遠心分離して固液分離した後、加熱に供することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 得られるカーボンナノチューブ製造用触媒体に含まれる、前記8族〜10族の遷移金属を含む微粒子の平均粒子径が1nm〜30nmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
  5. 8族〜10族の遷移金属のクエン酸アンモニウム塩とMg化合物を含む水が、遷移金属に対する硫黄量として0.1〜20wt%の硫黄化合物を含むものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
  6. Mg化合物が酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩および水酸化物のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体の製造方法。
  7. 8族から10族の遷移金属を含む微粒子を含む薄片状の酸化マグネシウム(MgO)からなり、前記遷移金属を含む微粒子は平均粒子径が1nm〜30nmであり、遷移金属含有量が0.1〜1wt%であり、かさ密度が0.1〜0.41g/mLであることを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  8. 前記薄片状のMgOが、結晶子径5〜20nmの範囲のMgO微粒子の凝集体であることを特徴とする請求項7記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  9. 前記薄片状のMgOの<200>面のX線回折における半値幅が0.6〜0.95degの範囲であることを特徴とする請求項7または請求項8のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  10. 前記薄片状のMgOの長辺方向の平均長さが0.05〜10μmであり、平均厚みが5〜50nmであることを特徴とする請求項7〜請求項9記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  11. 単層および/または二層カーボンナノチューブ含有組成物を製造するための請求項7〜請求項10のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  12. 二層を含むカーボンナノチューブであって二層カーボンナノチューブの平均直径が1nm〜2.5nmであるカーボンナノチューブを製造するための請求項7〜請求項11のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体。
  13. 請求項7〜請求項12のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒体または請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒体を500〜1200℃の範囲の加熱反応域で炭素含有化合物と接触させることによりカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
  14. カーボンナノチューブが単層および/または二層のカーボンナノチューブを含むものであることを特徴とする請求項13記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
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