JP5559190B2 - 繊維状組織シーラントおよびその使用方法 - Google Patents

繊維状組織シーラントおよびその使用方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2008年11月19日に出願された米国仮特許出願第61/115968号の優先権を主張する。
本発明は、医療用接着剤の領域に関する。より具体的には、本発明は、シートが水性媒体に暴露される場合、反応して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成する2つ以上の架橋可能な成分を含んでなる無水繊維状シートの形態の繊維状組織シーラントに関する。
組織接着剤は、創傷縫合、内部外科手順における補充もしくは置換用縫合糸またはステープル、角膜に対する合成アンレーまたはインレーの癒着、薬物送達デバイス、術後癒着を予防するための癒着防止障壁、および止血シーラントを含む多くの潜在的な医学的用途を有する。従来の組織接着剤は、一般的に、広範な接着用途に適切ではない。例えば、シアノアクリレート系接着剤は、局所的創傷縫合に使用されているが、毒性の分解産物が放出されるため、内部での適用のためのそれらの使用が制限されている。フィブリン系接着剤は、治癒が緩徐であり、機械的強度が不良であり、そしてウイルス感染の危険性が生じる。さらに、フィブリン系接着剤は、下層の組織に共有結合しない。
改善された接着(adhesive)および粘着(cohesive)特性を有し、そして非毒性であるいくらかのタイプのヒドロゲル組織接着剤が開発されている。これらのヒドロゲルは、一般的に、求核基を有する成分と、第1の成分の求核基と反応することが可能な求電子基を有する成分とを反応させて、共有結合を介して架橋ネットワークを形成させることによって、形成される。しかし、これらのヒドロゲルは、典型的に、膨張もしくはあまりに迅速に溶解するか、または十分な接着もしくは機械的強度を有さず、従って、外科用接着剤のそれらの有効性が低減する。
Kodokianら(同時継続中かつ共同所有の米国特許出願公開第2006/0078536号明細書)は、酸化多糖と水分散性マルチアームポリエーテルアミンとを反応させることによって形成されるヒドロゲル組織接着剤について説明している。これらの接着剤は、改善された接着(adhesion)および粘着(cohesion)特性を提供し、体温で容易に架橋し、初期の寸法安定性を維持し、迅速に分解せず、そして細胞に対して非毒性かつ組織に対して非炎症性である。
ヒドロゲル組織接着剤は、それぞれが、架橋可能な成分のうちの一方を含有する2つの水溶液を混合することによって、形成され得ることが公知である。2つの溶液は、所望される部位への適用前に、混合デバイスを使用して予め混合することができるか、または個別に適用して、そして適用部位で混合させることができる。さらに、乾燥ヒドロゲルおよび乾燥ヒドロゲル前駆体の使用が記載されている(例えば、Rheeら、米国特許第5,874,500号明細書、Sawhney ら、米国特許第6,703,047号明細書、およびOdermattら、米国特許出願公開第2006/0134185号明細書を参照のこと)。しかし、いくつかのアプリケーション、例えば、止血シーラントでは、血液を吸収して、出血を制御するのに役立ち、それによってより容易な適用を有するのにより効果的である繊維状形態の組織接着剤を有することが有利であり得る。
本発明は、シートが水性媒体に暴露される場合、反応して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成する少なくとも2つの架橋可能な成分を含んでなる無水繊維状シートを提供することによって、上記の要件を満たす。無水繊維状シートを使用する方法についても提供する。
従って一実施形態では、本発明は、無水繊維状シートであって、求電子基または求核基を含む繊維状ポリマーの第1の成分と、前記シートが水性媒体に暴露される場合、前記第1の成分と架橋して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成することが可能な第2の成分とを含有する無水繊維状シートを提供する。
もう1つの実施形態では、本発明は、以下の工程を含んでなる、生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するための方法を提供する:
a)前記部位に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる無水繊維状シートを適用する工程;ならびに
b)前記第1および前記第2の成分を前記部位上で架橋させて、前記組織に接着性であるヒドロゲルを形成させる工程。
もう1つの実施形態では、本発明は、以下の工程を含んでなる、生存生物体の組織における外科的または外傷性創傷からの出血を抑制する方法を提供する:
a)前記創傷に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる無水繊維状シートを適用する工程;ならびに
b)血液を吸収することによって前記シートを水和させ、それによって、前記第1の成分および前記第2の成分が架橋して、組織に粘着性であるヒドロゲルを形成させる工程。
もう1つの実施形態では、本発明は、以下の工程を含んでなる、生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するための方法を提供する:
a)前記部位に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分を適用する工程;
b)前記部位に、前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる水性の溶液または分散液を適用する工程;ならびに
c)前記第1および前記第2の成分を前記部位上で架橋させて、組織に接着性であるヒドロゲルを形成させる工程。
図1は、実施例1に記載のデキストランアルデヒド/デキストラン繊維状ポリマーの走査電子顕微鏡写真(SEM)である。 図2は、実施例10に記載のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーの走査電子顕微鏡写真である。
上記で使用したように、および本発明の説明を通して、他で示さない限り、以下の用語は、以下のように定義されるべきである:
本明細書において使用する用語「無水繊維状シート」は、実質的に水を含まないシートまたはマットの形態の不織繊維を指す。
本明細書において使用する用語「繊維状ポリマー」は、少なくとも1,000のアスペクト比(長さ対直径の比)を有する繊維の形態である天然、合成、または半合成のポリマーを指す。
用語「架橋」は、異なる2つのポリマー鎖の間で付着可能なおよび異なる2つのポリマー鎖を連結する原子の結合を指す。
用語「架橋密度」は、本明細書において、架橋接続部位間の鎖原子の平均数の相対物として定義される。
用語「酸化多糖」は、分子にアルデヒド基を導入するために、酸化剤と反応させた多糖を指す。
用語「アセトアセテート基あたりの当量」、「アミン基あたりの当量」、および「アルデヒド基あたりの当量」は、それぞれ、分子中のアセトアセテート、アミンまたはアルデヒド基の数で割った化合物の分子量を指す。
用語「求核基を有する水分散性ポリマー」は、第一級アミン基のようなある数「n」の求核基(即ち、電子供与基)を含有し、そして架橋ヒドロゲルを形成するために、水溶液もしくは分散液においてある数「m」の求電子基を含有する第2の反応物と反応することが可能なコロイド懸濁液を形成するために水溶性であるかもしくは水に分散可能である天然、合成、または半合成のポリマーを指し、ここで、m+nは、5以上である。ある場合、所与の官能基は、反応条件に依存して、求電子性または求核性のいずれかの特性を有してもよい。従って、さらに、本明細書において定義するように、求電子基を有する水分散性ポリマーとして、水性塩基で処置して、アセトアセテートの求核共役塩基を形成させる場合、アルデヒドのような求電子基と反応することが可能である「m個」のアセトアセテート基を含有する天然、合成、または半合成のポリマーが挙げられる。
用語「求電子基を有する水分散性ポリマー」は、アルデヒド、アセトアセテート、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、またはイソシアネートのようなある数「m」の求電子基(即ち、電子受容基)を含有し、そして架橋ヒドロゲルを形成するために、水溶液もしくは分散液において「n個」の求電子基を含有する第2の反応物と反応することが可能なコロイド懸濁液を形成するために水溶性であるかもしくは水に分散可能である天然、合成、または半合成のポリマーを指し、ここで、n+mは、5以上である。さらに、本明細書において定義するように、求電子基を有する水分散性ポリマーとして、例えば、求核基と反応させるために、水溶性カルボジイミドを使用して、活性化させることができる「m」個のカルボン酸基を含有する天然、合成、または半合成のポリマーが挙げられる。可能なすべての求核剤が、すべての可能な求電子剤との組み合わせで有用に安定な架橋を形成するわけではないことが、当業者によって理解され得る。例えば、チオールは、本明細書において詳述するヒドロゲル形成の条件下で、アルデヒドまたはアセトアセテートとの特に安定な結合を形成しないことが周知である。しかし、チオールは、これらの条件下で、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルとの反応時に合理的に安定なチオエステル結合を形成する。
用語「「半合成ポリマー」は、例えば、分子に反応基を導入するように化学修飾されている天然に存在するポリマーを指す。
用語「水分散性ポリマー」は、水溶液もしくは分散液において第2の反応物と反応することが可能なコロイド分散液を形成するために水溶性であるかもしくは水に分散可能である天然、合成、または半合成のポリマーを指す。
用語「水分散性マルチアームポリエーテルアミン」は、少なくとも3つのアーム(即ち、分枝)を有する分岐ポリエーテルを指し、ここで、アームのうち少なくとも3つは、水溶液もしくは分散液において第2の反応物と反応することが可能なコロイド分散液を形成するために水溶性であるかもしくは水に分散可能である少なくとも1つの第一級アミン基によって末端化される。
用語「ポリエーテル」は、反復単位[−O−R]−[式中、Rは2〜5個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である]を有するポリマーを指す。ポリエーテルはまた、異なるR基を含有する異なる反復単位を含んでなるランダムまたはブロック共重合体であってもよい。
用語「ヒドロカルビレン基」は、炭化水素から2個の水素原子(異なる2個の炭素原子のそれぞれから1個)を取り出すことによって、形成される二価の基を指す。
用語「分岐ポリエーテル」は、星状、樹状、櫛状、および多分岐ポリエーテルを含む1つ以上の分岐点(「アーム」)を有するポリエーテルを指す。
用語「樹状ポリエーテル」は、ツリー構造を有する高度に分岐したポリエーテルを指す。
用語「櫛状ポリエーテル」は、それぞれから直鎖アームが生じる多数の三官能性分岐点を伴う主鎖を有するポリエーテルを指す。
用語「星状ポリエーテル」は、直鎖アームが生じる単一の原子または化学基であり得る中心の分岐点を有するポリエーテルを指す。
用語「多分岐ポリエーテル」は、樹状ポリエーテルより少ない分子を有し、そしてより不規則に分岐している高度に分岐したポリエーテルを指す。
用語「重量%」は、本明細書において「wt%」とも称され、他で特定しない限り、溶液または分散液の全重量に対する重量パーセントを指す。
用語「解剖学的部位」は、ヒトまたは動物の身体の外部もしくは内部を指す。
用語「組織」は、ヒトまたは動物における生存および死亡している両方の任意の生物学的組織を指す。
用語「ヒドロゲル」は、弾性ゲルを形成するために実質的な量の水を吸収することができる、共有結合による架橋または非共有結合による架橋によって、共に保持されるマクロ分子の3次元ネットワークからなる水膨潤性ポリマーマトリックスを指す。
用語「ポリオール」は、3つ以上のOH基を有する化学的化合物を指す。
用語「第一級アミン」は、2個の遊離水素を有する中性アミノ基を指す。アミノ基は、第一級、第二級または第三級炭素に結合し得る。
用語「第二級アミン」は、1個の遊離水素を有する中性アミノ基を指す。アミノ基は、第一級、第二級または第三級炭素に結合し得る。
本明細書において使用する用語「PEG」は、ポリ(エチレングリコール)を指す。
本明細書において使用する用語「SEC」は、サイズ排除クロマトグラフィーを指す。
本明細書において使用する用語「DMAc」は、N,N−ジメチルアセトアミドを指す。
本明細書において使用する用語「VAc」は、ビニルアセテートを指す。
本明細書において使用する用語「EW」は、当量を指す。
本明細書において使用する用語「MW」は、分子量を指す。
本明細書において使用する用語「Mw」は、重量平均分子量を指す。
本明細書において使用する用語「Mn」は、数平均分子量を指す。
本明細書において使用する用語「Mz」は、z−平均分子量を指す。
本明細書において使用する用語「NVF」は、N−ビニルホルムアミドを指す。
用語「医学的用途」は、ヒトおよび動物に関連する医学的代とを指す。
使用する略語の意味は次のとおりである:「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mol」はモルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「mol%」はモルパーセントを意味し、「Vol」は容積を意味し、「v/v」は1容積あたりの容積を意味し、「Da」はダルトンを意味し、「kDa」はキロダルトンを意味し、名称「10K」はポリマー分子が10キロダルトンの数平均分子量を所有することを意味し、「M」はモル濃度を意味し、「MWCO」は分画分子量を意味し、「kPa」はキロパスカルを意味し、「1H NMR」はプロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーを意味し、「ppm」は百万分率を意味し、「PBS」はリン酸緩衝食塩水を意味する。
本発明は、無水繊維状シートであって、求電子または求核基を含む繊維状ポリマーである第1の成分と、シートが水性媒体に暴露される場合、第1の成分と架橋し、それによって、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成することが可能な第2の成分とを含有する無水繊維状シートの形態の繊維状組織シーラントを提供する。繊維状組織シーラントは、創傷縫合、腸吻合および血管吻合のような内部外科手順における補充もしくは置換用縫合糸またはステープル、組織修復を含むがこれらに限定されない医学的および獣医学的用途のための一般的な組織接着剤として、ならびに術後癒着を予防するために有用であり得る。繊維状組織シーラントは、外科的または外傷性創傷からの出血を抑制するための止血シーラントとしての使用に特に適切であり得る。
第1の成分
第1の成分は、求電子基または求核基を含有する繊維状ポリマーである。適切なポリマーは、繊維状ポリマー形態に作製され得る水分散性ポリマーである。水分散性ポリマーは、アルデヒド、アセトアセテート、もしくはスクシンイミジルエステルのような求電子基を有してもよく;または第一級アミン(NH2)、第二級アミン(NHR)、カルボキシヒドラジド(CONHNH2)、アセトアセテート、もしくはチオール(SH)基のような求核基を有してもよい。当業者は、アセトアセテート基は、そのカルボニル基を求核剤と反応させる場合、求電子剤として、またはそのメチレンが脱プロントン化されて、求電子剤と反応することが可能な安定化されたカルボアニオンを形成する条件下では、求核剤として挙動することができることを認識するであろう。求電子基を有する水分散性ポリマーまたは求核基を有する水分散性ポリマーは、多糖、もしくはタンパク質のような天然に存在するポリマーであってもよく;ポリビニルアルコールのような合成ポリマーであってもよく;ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)のような合成共重合体であってもよく;または酸化多糖のような半合成ポリマー(即ち、化学修飾されている天然に存在するポリマー)であってもよい。合成ポリマーは、直鎖であってもよく、または分岐していてもよい。水分散性ポリマーは、当該技術分野において公知の方法を使用して、誘導体化して所望される反応器を導入してもよい。
求電子基を有する適切な水分散性ポリマーの非制限的例として:アルデヒド基を有する酸化多糖類、アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー、およびアセトアセテート基で誘導体化される多糖類が挙げられる。求核基を有する適切な水分散性ポリマーの非制限的例として:第一級アミン基、第二級アミン基、チオール基、アセトアセテート基、もしくはカルボキシヒドラジド基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー、および第一級アミン基、第二級アミン基、チオール基、アセトアセテート基、またはカルボキシヒドラジド基を有する多糖類が挙げられる。これらの水分散性ポリマーの例を以下に記載する。求電子または求核基を有する他の多様な水分散性ポリマーは、当該技術分野において公知であり、そして本明細書において開示する繊維状ポリマーを調製するために使用し得る(例えばRheeらの米国特許第5,874,500号明細書(特に、カラム6、22行目〜カラム9、6行目)を参照のこと)。他のこれらの水分散性ポリマーも本発明の範囲内であることが認識されるべきである。
求電子基を有する水分散性ポリマー
(i)酸化多糖類
本発明において有用な多糖類として、デキストラン、デンプン、寒天、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、イヌリン、およびヒアルロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらの多糖類は、Sigma Chemical Co.(St Louis,MO)のような供給源から市販されている。適切な多糖類は、約1,000〜約1,000,000ダルトン、およびなお特に、約3,000〜約250,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
多糖は、過ヨウ素酸塩類、次亜塩素酸塩類、オゾン、過酸化物類、ヒドロペルオキシド類、過硫酸塩類、および過炭酸塩類が挙げられるが、これらに限定されない任意の適切な酸化剤を使用して、酸化されて、アルデヒド基が導入される。例えば、多糖は、Moら(J.Biomater.Sci.Polymer Edn.11:341−351,2000)に記載のように、過ヨウ素酸ナトリウムとの反応によって酸化してもよい。多糖を、異なる量の過ヨウ素酸塩と反応させて、異なる程度の酸化(従って、以下の実施例の試薬調製のセクションで詳述する異なる量のアルデヒド基)を伴う多糖類を得てもよい。さらに、酸化多糖は、Cohenら(同時継続中かつ共同所有の特許出願No.PCT/US08/05013、国際公開第2008/133847号パンフレット)により記載の方法を使用して調製してもよい。酸化多糖を作製する方法は、過ヨウ素酸塩による多糖の酸化によって形成される酸化多糖を精製し、そして極めて低いレベルのヨウ素含有種を伴う酸化多糖を適用するための沈殿および分別工程の組み合わせを含んでなる。酸化多糖のアルデヒド含有量は、当該技術分野において公知の方法を使用して決定することができる。例えば、酸化多糖のジアルデヒド含有量は、以下の実施例の試薬調製セクションで詳述するHofreiterら(Anal Chem.27:1930−1931,1955)により記載の方法を使用して決定することができる。その方法では、特定の反応条件下で酸化多糖中の1モルのジアルデヒドあたりの消費されたアルカリの量が、pH滴定によって決定される。さらに、酸化多糖のジアルデヒド含有量は、核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して決定することができる。一実施形態では、酸化多糖のアルデヒド基あたりの当量は、約90〜約1500ダルトンである。もう1つの実施形態では、酸化多糖は、本明細書においてデキストランアルデヒドとも称される酸化デキストランである。
(ii)アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー
異なる重量平均分子量および様々な程度の加水分解を有するポリ(ビニルアルコール)は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)のような会社から市販されている。本発明における使用に適切なポリ(ビニルアルコール)は、約20,000ダルトン〜約100,000ダルトン、なお特に、約30,000ダルトン〜約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する。有用なポリ(ビニルアルコール)は、約70%〜約100%−OH基の程度の加水分解を有し;残りの基はアセテートである。さらに、加水分解の程度は、約80%〜約100%、より具体的には、約95%〜約99%である。
Aさらに、ポリ(ビニルアルコール)単位およびコモノマー単位を含んでなるポリ(ビニルアルコール)の共重合体を使用してもよい。ポリ(ビニルアルコール)コポリマーに適切なコモノマー単位として、エチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メチルビニルエーテル、プロピレン、1−ブテン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、共重合体は、ビニルアルコール単位に対して約1モルパーセント〜約25モルパーセントのコモノマーを含んでなる。
ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(ビニルアルコール)コポリマーは、Arthurの米国特許出願公開第2006/0079599号明細書(特に、段落番号112〜113および実施例1〜3)に記載のように、ジケテンとの反応によってアセトアセテート基で誘導体化することができる。また、t−ブチルアセトアセテートとのエステル交換のような別の方法の合成を使用してもよい。好ましくは、アセトアセテート誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのアセトアセテート基あたりの当量を有する。
(iii)アセトアセテート基で誘導体化される多糖類
上記の多糖類はまた、ジケテンとの反応によりアセトアセテート基で誘導体化することもできる。例えば、デキストランとジケテンとの反応によるデキストランアセトアセテートの調製については、以下の実施例の試薬調製セクションにおいて詳述する。
求核基を有する水分散性ポリマー
第一級アミン基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー
上記のポリ(ビニルアルコール)およびポリ(ビニルアルコール)コポリマーはまた、Goldmann(米国特許出願公開第2005/0002893号明細書)により記載のような当該技術分野において公知の方法を使用して、第一級アミン基で誘導体化してもよい。さらに、以下の実施例の試薬著性セクションに記載のように調製することができるポリ(ビニルアルコール)およびビニルアミンの共重合体を、求核基を有する水分散性ポリマーとして使用することができる。
第一級アミン基を有する多糖類
第一級アミン基を含有する多糖類は、当該技術分野において公知の方法を使用して、上記の多糖の化学的誘導体化によって調製することができる。例えば、多糖を酸化して、上記のようなアルデヒド基を含有する酸化多糖を生成することができる。次いで、酸化多糖を、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどのようなジアミンと反応させて、シッフ塩基結合を形成させることができる。場合により、シッフ塩基結合を、水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤で処置して、安定な炭素−窒素結合を形成させてもよい。第一級アミン基を含有する多糖類はまた、多糖と臭化シアンとを反応させ、続いて、ジアミンと反応させることによって、調製してもよい。さらに、第一級アミン基を含有する多糖類は、Kirakossianら(米国特許第7,179,660号明細書、実施例A)により記載の方法によって調整することができる。誘導体化多糖のアミン置換レベルは、プロトンNMRを使用して決定してもよい。
成分1の繊維状ポリマーの調製
繊維状ポリマーは、上記のように求電子基または求核基を有する少なくとも1つ水分散性ポリマーを含んでなる。水分散性ポリマーは、エレクトロスピニング、エレクトロブロースピニング、または高速回転噴霧器スピニングのような当該技術分野において公知の溶液スピニング方法を使用して、本明細書において開示された無水繊維状シートの第1の成分を含んでなる繊維状ポリマーにスピニングすることができる。
エレクトロスピニングは、繊維形成性ポリマーを繊維にスピニングするための周知の方法である(例えば、Chuら、米国特許第7,172,765号明細書を参照のこと)。一般的に、繊維形成性ポリマーを含有するスピニング溶液が、ノズルと接地された標的との間に電圧を適用することによって形成される電界に導入される。スピニング溶液は、小滴の形態でノズルから退出し、この小滴は電界によって繊維にまで細くされる。繊維は、接地された標的上に回収される。
Kimら(米国特許出願公開第2005/0067732号明細書)により記載のエレクトロブロースピニングは、エレクトロスピニングに類似するが、電界および気流の組み合わせを利用して、繊維を形成させる。具体的には、同軸気流が、ノズルの外周に提供されて、繊維を細くし、コリメートし、そして標的に指向する。スピニング溶液は、小滴の形態でノズルから退出し、この小滴は気流および電界によって繊維にまで細くされる。
Marshallら(米国特許出願公開第2008/0029617号明細書)により記載の高速回転噴霧器スピニングでは、繊維形成性ポリマーを含有するスピニング溶液は、凹状内面部および前方表面の吐き出し縁部を有する回転円錐ノズルを有する回転噴霧器に供給される。ノズルの吐き出し縁部に対してスピニング溶液が分配されるように、凹状内面部に沿って、スピニング溶液が、回転噴霧器から流出し、それによって、スピニング溶液から個別の繊維流が形成する一方、溶媒が蒸発して、電界の非存在下または存在下のいずれかで、ポリマー繊維が生成する。
一実施形態では、繊維状ポリマーは、本明細書における実施例に記載のようにエレクトロブロースピニングを使用して調製される。簡単に説明すると、求電子または求核基を有する少なくとも1つ水分散性ポリマーを、適切な溶媒に溶解して、スピニング溶液を調製する。求電子基を有する水分散性ポリマーの混合物を使用してもよく、または求核基を有する水分散性ポリマーの混合物を使用してもよい。溶媒は、水分散性ポリマーを溶解し、そしてエレクトロブロースピニングすることが可能な液体を提供することが可能ないずれの溶媒であってもよい。適切な溶媒として、水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、塩化メチレン、ジオキサン、エタノール、クロロホルム、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、溶媒は水である。スピニング溶液中の水分散性ポリマーの濃度は、水溶液の全重量に対し約1%〜約80%、より具体的には、約10%〜約60重量%である。使用すべき至適濃度は、日常的な実験を使用して、当業者により容易に決定することができる。典型的に、スピニング溶液は、約50mPa・s(ミリパスカル−秒)〜約2,000mPa・sの粘度を有する。求電子基または求核基を有する水分散性ポリマーの分子量があまりにも低くてスピニングに十分な粘度提供しない場合、高い分子量(例えば、100,000Da)を有する非修飾多糖またはポリエーテルのような不活なポリマーを、スピニング溶液に添加してもよい。
スピニング溶液は、場合により、エレクトロブロースピニングプロセスを容易にする過剰の荷電効果を生じる塩を含有してもよい。適切な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム、重炭酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
スピニング溶液は、意図される用途に依存して、様々な添加物をさらに含んでなり得る。使用される添加物の量は、特定の用途に依存し、そして日常的な実験を使用して、当業者により容易に決定することができる。例えば、スピニング溶液は、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、界面活性剤、医薬品および治療用薬剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物を含んでなり得る。
スピニング溶液は、場合により、溶液のpHを調整するための少なくとも1つのpH調整剤を含んでもよい。適切なpH調整剤は、当該技術分野において周知である。pH調整剤は、酸性の化合物であってもよく、または塩基性の化合物であってもよい。酸性のpH調整剤の例として、カルボン酸、無機酸、およびスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性pH調整剤の例として、水酸化物、アルコキシド、第一級アミンおよび第二級アミン以外の窒素含有化合物、ならびに塩基性の炭酸塩およびリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
スピニング溶液は、場合により、少なくとも1つの増粘剤を含んでもよい。増粘剤は、デキストラン、デンプンまたはヒドロキシエチルセルロースのような多糖類およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない既知の粘度調整剤の中から選択することができる。
スピニング溶液は、場合により、少なくとも1つの抗微生物剤を含んでもよい。適切な抗微生物保存剤は、当該技術分野において周知である。適切な抗微生物剤の例として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびブチルパラベンのようなアルキルパラベン;トリクロサン;クロルヘキシジン;クレゾール;クロロクレゾール;ハイドロキノン;安息香酸ナトリウム;および安息香酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
スピニング溶液はまた、場合により、溶液および生じる繊維状ポリマーの可視性を増強するための少なくとも1つの着色剤を含んでもよい。適切な着色剤として、染料、色素、および天然の着色剤が挙げられる。適切な着色剤の例として、FD&C Violet No.2、FD&C Blue No.1、D&C Green No.6、D&C Green No.5、D&C Violet No.2のようなFD&CおよびD&C着色剤;ならびにビートルートレッド、カンタキサンチン、クロロフィル、エオシン、サフラン、およびカーマインのような天然の着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。
スピニング溶液は、場合により、少なくとも1つの界面活性剤を含んでもよい。本明細書において使用するような界面活性剤は、水の表面張力を低下させる化合物を指す。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤であってもよく、またはポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエステル、およびポリオキシエチレンソルビタンのような天然の界面活性剤であってもよい。
さらに、スピニング溶液は、場合により、少なくとも1つの医薬品または治療用薬剤を含んでもよい。適切な薬物および治療用薬剤は、当該技術分野において周知である(例えば、United States Pharmacopeia(USP)、Physician’s Desk Reference(Thomson Publishing)、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy18th ed.,Mark H.Beers and Robert Berkow(eds.),Merck Publishing Group,2006;動物の場合、The Merck Veterinary Manual,9th ed.,Kahn,C.A.(ed.),Merck Publishing Group,2005を参照のこと)。非制限的例として、抗炎症剤、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン、デキサメタゾン、ブデソニド;非ステロイド系抗炎症剤、例えば、インドメタシン、アセチルサリチル酸(salicylic acid acetate)、イブプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、およびナプロキセン;抗凝血剤、例えば、ヘパリン;ペプチド;抗細菌剤;抗ウイルス剤;抗真菌剤;抗癌剤;治癒プロモーター;接着プロモーター;ワクチン;ならびに血液凝固因子、例えば、トロンビン、フィブリノーゲン、ヘパリン結合分子および/またはペプチド配列、例えば、HIPペプチド、第VII因子、第XIIIa因子、内因性もしくは外因性の第XIIIa因子を介して血栓形成を安定化するための分子、例えば、グルタミンおよび/またはリジン残基を含有する分子が挙げられる。
スピニング溶液は、接地された標的に対して荷電させた、スピナレットとも称される金属チューブを含有するエレクトロブロースピニング装置を使用して、繊維状ポリマーにスピニングさせてもよい。金属チューブと接地された標的との間に適用した電圧は、典型的に、約30〜約100キロボルト(kV)、より具体的に、約70〜約100kVの間の範囲である。スピニング溶液は、典型的に、0.01〜0.03インチ(0.254〜0.762mm)の内径を有する金属チューブを介して、溶液の粘度およびwt%固体含有量に適切な供給速度、典型的に、1分間あたり約0.1〜約2.0で圧送される。同軸気流が、金属チューブの外周に提供されて、繊維を細くし、コリメートし、そして標的に指向する。スピニング溶液は、小滴の形態で金属チューブから退出し、この小滴は気流および電界によって繊維にまで細くされる。繊維は、スピニングされた繊維を収容するために標的より上に位置するREEMAY(登録商標)スパンボンドポリエステル布のような支持布上に配置してもよい。スピニングユニットは、温度および湿度が制御されるポリメタクリレートまたはポリカーボネート製の箱のようなスピニングチャンバに含有され得る。典型的に、スピニングチャンバ中の湿度は、約25℃〜約50℃の温度において約10%〜約50%で維持される。
第2の成分
本明細書において開示する無水繊維状シートの第2の成分は、求電子基または求核基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなり、これは、シートが水性媒体に暴露される場合、第1の成分と架橋して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成することが可能である。具体的には、第1の成分が、求電子基を有する水分散性ポリマーの繊維形態である場合、第2の成分は、第1の成分の求電子基と反応して、架橋ヒドロゲルを形成することが可能な求核基を有する水分散性ポリマーである。対照的に、第1の成分が、求核基を有する水分散性ポリマーの繊維形態である場合、第2の成分は、第1の成分の求核基と反応して、架橋ヒドロゲルを形成することが可能な求電子基を有する水分散性ポリマーである。第2の成分は、第1の成分と架橋することが可能な求電子基または求核基を有する異なる水分散性ポリマーの混合物であってもよい。第2の成分の骨格構造は、第1の成分の繊維状ポリマーの骨格構造と同じであり得るかまたは異なり得る。第2の成分は、アルデヒド、アセトアセテート、スクシンイミジル、およびイソシアネートを含むがこれらに限定されない求電子基を有してもよい。第2の成分は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールを含むがこれらに限定されない求核基を有してもよい。
第2の成分として使用するための求電子基または求核基を有する適切な水分散性ポリマーとして、第1の成分について上記で説明したものが挙げられる。第2の成分として使用するための求電子基を有するさらなる適切な水分散性ポリマーとして、アセトアセテート基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、アルデヒド基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、イソシアネート基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、およびN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。第2の成分として使用するための求核基を有する適切な水分散性ポリマーのさらなる例として、第一級アミンまたは第二級アミン基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、チオール基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、およびカルボキシヒドラジド基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルが挙げられる。これらの水分散性ポリマーのいくつかの例を以下に記載する。
第一級アミン基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
直鎖もしくは分岐ポリエーテルは、反復単位[−O−R]−[式中、Rは2〜5個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である]を有する水分散性ポリマーである。用語「ヒドロカルビレン基」は、炭化水素から2個の水素原子(異なる2個の炭素原子のそれぞれから1個)を取り出すことによって、形成される二価の基を指す。有用な直鎖もしくは分岐ポリエーテルは、約300ダルトン〜約100,000ダルトン、なお特に、約500ダルトン〜約20,000ダルトンの数平均分子量を有する。直鎖もしくは分岐ポリエーテルの適切な例として、直鎖もしくは分岐ポリ(エチレンオキシド)、直鎖もしくは分岐ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)の直鎖もしくは分岐共重合体、直鎖もしくは分岐ポリ(1,3−トリメチレンオキシド)、直鎖もしくは分岐ポリ(1,4−トリメチレンオキシド)、星状ポリ(エチレンオキシド)、櫛状ポリ(エチレンオキシド)、星状ポリ(プロピレンオキシド)、櫛状ポリ(プロピレンオキシド)、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多くの直鎖ポリエーテルが、Sigma−Aldrich(St Louis,MO)のような会社から市販されている。多くの分岐ポリエーテルが、Nektar Transforming Therapeutics(Huntsville,AL)、SunBio,Inc.(Anyang City,South Korea)、NOF Corp.(Tokyo,Japan)、またはJenKem Technology(USA,Allen,TX)のような会社から利用可能である。例えば、求核基を有する水分散性ポリマーは、直鎖またはマルチアーム分岐ポリエーテルアミンであってもよい。上記の直鎖および分岐ポリエーテルは、当該技術分野において公知の方法(例えば、Poly(Ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J.Milton Harris,Ed.,Plenum Press,NY,1992,Chapter22を参照のこと)を使用して、第一級アミン末端基で誘導体化してもよい。好ましくは、アミン誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのアミン基あたりの当量を有する。マルチアームポリエーテルアミンの例として、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つが第一級アミン基によって末端化される。マルチアームポリエーテルアミンは、約450〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。水分散性マルチアームポリエーテルアミンの適切な例として、アミノ末端化星状、樹状、または櫛状ポリエチレンオキシド;アミノ末端化星状、樹状または櫛状ポリプロピレンオキシド;アミノ末端化星状、樹状または櫛状ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体;およびHuntsmanLLC.(Houston,TX)よりJeffamine(登録商標)トリアミンの商標名で販売されているポリオキシアルキレントリアミンが挙げられる。星状ポリエチレンオキシドアミンの例として、様々なマルチアームポリエチレングリコールアミン、および第一級アミンで末端化された3、4、6、または8アームを有する星状ポリエチレングリコール(本明細書に置いて、それぞれ、3、4、6または8アーム星状PEGアミンと称される)が挙げられるが、これらに限定されない。8アーム星状PEGアミンは、Nektar Transforming Therapeuticsから利用可能である。適切なJeffamine(登録商標)トリアミンの例として、Jeffamine(登録商標)T−403(CAS No.39423−51−3)、Jeffamine(登録商標)T−3000(CAS No.64852−22−8)、およびJeffamine(登録商標)T−5000(CAS No.64852−22−8)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、水分散性マルチアームポリエーテルアミンは、第一級アミン基によって末端化された8つのアームを有し、そして約10,000ダルトンの数平均分子量を有する8アームのポリエチレングリコールであり、これは、以下の実施例の試薬調製セクションに記載のように調製することができる。もう1つの実施形態では、水分散性マルチアームポリエーテルアミンは、第一級アミン基によって末端化された4つのアームを有し、そして約2,000ダルトンの数平均分子量を有する4アームのポリエチレングリコールであり、これは、以下の実施例の試薬調製セクションに記載のように調製することができる。
これらのマルチアームポリエーテルアミンは、上記のように市販されているか、または当該技術分野において公知の方法を使用して、調製することができる。例えば、マルチアームポリエチレングリコール(ここで、アームのうち少なくとも3つは、第一級アミン基によって末端化されている)は、Buckmannら(Makromol.Chem.182:1379−1384,1981)によって記載の方法を使用して、マルチアームポリエチレングリコール(例えば、Nektar Transforming Therapeutics,SunBio Corp.、およびNOF Corp.から利用可能な3、4、6、および8アーム星状ポリエチレングリコール)上にアミン末端を置くことによって、調製することができる。その方法では、マルチアームポリエチレングリコールを、臭化チオニルと反応させて、水酸基を臭素化物に変換し、次いで、100℃でのアンモニアとの反応によって、アミンに変換する。方法は、他のマルチアームポリエーテルアミンの調製にも広範に適用可能である。さらに、マルチアームポリエーテルアミンは、Chenault(同時継続中かつ共同所有の米国特許出願公開第2007/0249870号明細書)により記載の方法を使用して、マルチアームポリオールから調製してもよい。その方法では、マルチアームポリエーテルを、塩化チオニルと反応させて、水酸基を塩素基に変換し、次いで、水性または無水アンモニアとの反応によって、アミンに変換する。マルチアームポリエーテルアミンを調製するために使用することができる他の方法については、Merrillらの米国特許第5,830,986号明細書、およびChangらの国際公開第97/30103号パンフレットによって記載されている。
マルチアームアミンはまた、Arthur(同時継続中かつ共同所有の特許出願No.PCT/US07/24393、国際公開第2008/066787号パンフレット)により記載のように、マルチアーム分岐末端アミンであってもよい。マルチアーム分岐末端アミンは、ポリマーアームのそれぞれの末端において2つまたは3つの第一級アミン基を有する分岐ポリマーである。官能基の多様性は、所与の鎖末端における反応の統計的確率を増加し、そして分子のポリマーネットワークへのより効率的な組み入れを可能にする。マルチアーム分岐末端アミンを調製するために使用される出発物質は、櫛状および星状ポリエーテルポリオールを含むがこれらに限定されないマルチアームポリエーテルポリオールのような分岐ポリマーである。分岐末端アミンは、当該技術分野において周知の方法を使用して、多数のアミン基をポリマーアームの末端に付着させることによって、調整することができる。例えば、ポリマーアームのそれぞれの末端上に2つの第一級アミン官能基を有するマルチアーム分岐末端アミンは、上記で列挙した出発物質とトルエンのような適切な溶媒中の塩化チオニルとを反応させて、塩化物誘導体を生じさせ、続いて、トリス(2−アミノエチル)アミンと反応させて、ポリマーアームのそれぞれの末端において2つのアミン基を有するマルチアーム分岐末端反応物を生じさせることによって、調製することができる。一実施形態では、水分散性マルチアームアミンは、約40,000ダルトンの数平均分子量を有する8アームのポリエチレングリコールヘキサデカアミンであり、これは、以下の実施例の試薬調製セクションに記載のように調製することができる。
マルチアームポリエーテルアミンは、一般的に、ある分布のアーム長、および場合によって、異なる数のアームを伴うある分布の種を有するいくらか不均一な混合物であることが認識されるべきである。マルチアームアミンが異なる数のアームを有するある分布の種を有する場合、それは、分布中のアームの平均数に基づいて呼称され得る。例えば、一実施形態では、マルチアームアミンは、マルチアーム星状PEGアミンの混合物を含んでなる8アーム星状PEGアミンであり、そのいくつかは8未満のアームを有し、そしていくつかは8を超えるアームを有する;しかし、混合物中のマルチアーム星状PEGアミンは、平均で8アームを有する。従って、マルチアームアミンを指すために本明細書において使用する用語「8アーム」、「6アーム」、「4アーム」および「3アーム」は、ある分布のアーム長、および場合によって、異なる数のアームを伴うある分布の種を有する不均一な混合物を指すものと解釈されるべきであり、この場合、引用したアームの数は、混合物中の平均数のアームを指す。
さらに、Starburst(登録商標)デンドリマー(Sigma−Aldrich,St Louis,MOから入手可能)の商標名で販売されているアミノ末端化樹状ポリアミドアミンのような他のマルチアームアミンを、求核基を有する水分散性ポリマーとして使用してもよい。
第二級アミン基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
第一級アミンで官能化されたポリマーの調製のための上記の原理の多くもまた、第二級アミン基を有するポリマーの調製に関連する。例えば、上記で参照したChenault(米国特許出願公開第2007/0249870号明細書)の方法は、反応物としてアンモニアではなく、一置換アミン(例えば、メチルアミン)を使用することによって、適応することができる。
チオール基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求核基を有する水分散性ポリマーはまた、直鎖またはマルチアームポリエーテルチオールであってもよい。上記の直鎖および分岐ポリエーテルは、ポリエーテルヒドロキシ末端のトルエンスルホネート末端への変換、それに続く、水硫化ナトリウムとの反応に関与する当該技術分野において公知の方法(例えば、Harris et al,ACS Polymer Preprints32:154,(1991)を参照のこと)を使用し、チオール基で誘導体化して、チオール末端を生じさせてもよい。好ましくは、チオール誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのチオール基あたりの当量を有し、そして約300〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。マルチアームポリエーテルチオールの例として、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つがチオール基によって末端化される。
カルボキシヒドラジド基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求核基を有する水分散性ポリマーはまた、直鎖またはマルチアームポリエーテルカルボキシヒドラジドであってもよい。上記の直鎖および分岐ポリエーテルは、エチルイソシアナトアセテートとの反応を介するポリエーテルヒドロキシ末端のエチルアセトウレタン末端への変換、それに続く、ヒドラジンとの反応に関与する当該技術分野において公知の方法(例えば、Poly(Ethylene Glycol):Chemistry and Biological Applications,J.Milton Harris et al,Eds.,ACS Symposium Series 680,NY,1997,Chapter21を参照のこと)を使用し、カルボキシヒドラジド基で誘導体化して、カルボキシヒドラジド末端を生じさせてもよい。好ましくは、カルボキシヒドラジド誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのカルボキシヒドラジド基あたりの当量を有し、そして約300〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。マルチアームポリエーテルカルボキシヒドラジドの例として、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つがカルボキシヒドラジド基によって末端化される。
アセトアセテート基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求電子基を有する水分散性ポリマーは、直鎖またはマルチアームポリエーテルアセトアセテートであってもよい。直鎖および分岐ポリエーテルは、Arthur in 米国特許出願公開第2006/0079599号明細書によって記載のように、ジケテンとの反応によって、アセトアセテート基で誘導体化してもよい。好ましくは、アセトアセテート誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのアセトアセテート基あたりの当量を有し、そして約300〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。マルチアームポリエーテルアセトアセテートの例として、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つがアセトアセテート基によって末端化される。
アルデヒド基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求電子基を有する水分散性ポリマーは、直鎖またはマルチアームポリエーテルアルデヒドであってもよい。上記の直鎖および分岐ポリエーテルは、当該技術分野において公知の方法を使用して、アルデヒド基で誘導体化してもよい。例えば、第一級ヒドロキシ末端化直鎖および分岐ポリエーテルを、トルエンスルホネート末端に変換し、水硫化ナトリウムと反応させて、チオール末端を生じさせ、その後、3−クロロプロピオンアルデヒドジエチルアセタールと反応させ、続いて、加水分解して、チオール連結アルデヒド末端を生じさせることができる(Harris et al.,ACS Polymer Preprints32:154(1991))。もう1つのポリエーテルアルデヒド合成については、Harris(Poly(Ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J.Milton Harris,Ed.,Plenum Press,NY,1992,Chapter22)によって記載されている。あるいは、アルデヒド基で官能化されたポリエーテルは、本明細書の実施例の試薬調製セクションに詳述するように、第一級ヒドロキシ末端化直鎖および分岐ポリエーテルと塩化チオニルとを反応させて、塩化物末端を有するポリエーテルを生じさせ、塩基の存在下で塩化物末端化ポリエーテルと1−チオグリセロールとを反応させて、チオメチルエチレングリコール官能化ポリエーテルを得、その後、過ヨウ素酸塩のような酸化剤で酸化して、チオメチルアルデヒドポリエーテルを生じさせることによって、調製することができる。さらに、アルデヒド基で誘導体化されるポリエチレングリコールは、Nektar Transforming Therapeuticsのような商業的供給源から入手可能である。好ましくは、アルデヒド誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのアルデヒド基あたりの当量を有し、そして約300〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。マルチアームポリエーテルアルデヒドの例として、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つがアルデヒド基によって末端化される。
N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求電子基を有する水分散性ポリマーはまた、直鎖またはマルチアームポリエーテルN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルであってもよい。上記の直鎖および分岐ポリエーテルは、カルボキシメチル化によるポリエーテルヒドロキシ末端のカルボン酸への変換、それに続く、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHCl(EDC)の組み合わせとの反応に関与する当該技術分野において公知の方法(例えば、Poly(Ethylene Glycol) Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J.Milton Harris,Ed.,Plenum Press,NY,1992,Chapter21を参照のこと)を使用して、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルで誘導体化してもよい。好ましくは、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル誘導体は、約100ダルトン〜約2,000ダルトンのN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基あたりの当量を有し、そして約300〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する。マルチアームポリエーテルN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルとして、樹状、櫛状、および星状のポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アームのうち少なくとも3つがN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基によって末端化される。
イソシアネート基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル
求電子基を有する水分散性ポリマーはまた、イソシアネート基を有する直鎖またはマルチアームポリエーテルであってもよい。上記の直鎖もしくは分岐ポリエーテルは、当該技術分野において公知の方法(例えば、Zavatsky,米国特許出願公開第2008/0039548号明細書)を使用して、イソシアネート基で誘導体化してもよい。例えば、直鎖PEGジイソシアネートは、以下の実施例の試薬調製セクションに詳述するように、PEGビス(カルボキシメチルエーテル)を対応するビス(塩化アシル)に変換し、ビス(アシルアジド)に変換し、そしてジイソシアネートに熱転位することによって、作製することができる。
成分の組み合わせ
第1および第2の成分のための水分散性ポリマーの有用な組み合わせの非制限的例を以下に示す。当該技術分野において公知である求電子基を有する水分散性ポリマーおよび求核基を有する水分散性ポリマーの他の組み合わせもまた、本発明の範囲内にあるものと考えられる。第1の成分が、アルデヒド基を含有する酸化多糖(例えば、酸化デキストラン);アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;あるいはアセトアセテート基で誘導体化される多糖である場合、第2の成分は、第一級アミン基またはカルボキシヒドラジド基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、アミン基を有する多糖、アミン基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマーであり得る。第1の成分が、アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;あるいはアセトアセテート基で誘導体化される多糖である場合、第2の成分はまた、第二級アミン基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテル、第二級アミン基で誘導体化される多糖、あるいは第二級アミン基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマーであり得る。第1の成分が、第一級アミン基もしくはカルボキシヒドラジド基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;あるいは第一級アミン基またはカルボキシヒドラジド基を有する多糖である場合、第2の成分は、アルデヒド基を含有する酸化多糖(例えば、酸化デキストラン);アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;アセトアセテート基で誘導体化される多糖;あるいはアセトアセテート基、アルデヒド基、イソシアネート基、またはN−ヒドロキシスクシンイミジル基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルであり得る。第1の成分が、第二級アミン基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;あるいは第二級アミン基を有する多糖である場合、第2の成分は、アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;アセトアセテート基で誘導体化される多糖;あるいはアセトアセテート基、イソシアネート基、またはN−ヒドロキシスクシンイミジル基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルであり得る。第1の成分が、チオール基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマーあるいはチオール基を有する多糖である場合、第2の成分は、N−ヒドロキシスクシンイミジル基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルであり得る。
なおもう1つの実施形態では、第1の成分は、酸化デキストランのようなアルデヒド基を有する酸化多糖を含んでなる繊維状ポリマーであり、そして第2の成分は、8アームもしくは4アームPEGアミン、または8アームPEGヘキサデカアミンのようなマルチアームポリエーテルアミンを含んでなる。
なおもう1つの実施形態では、第1の成分は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含んでなる繊維状ポリマーであり、そして第2の成分は、4アームPEGチオメチルアルデヒドまたは直鎖PEGビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる。
もう1つの実施形態では、第1の成分は、酸化デキストランを含んでなる繊維状ポリマーであり、そして第2の成分は、デキストランアセトアセテートを含んでなる。この実施形態では、2つのポリマーを、単一の溶液中で組み合わせ、そしてエレクトロブロースピニングを行って、活性化されるまで非反応性である両方の成分を含有する繊維を付与する。第1および第2の成分を含んでなる無水繊維状シートを、水性塩基溶液で処置して、溶解し、アセトアセテートの求核共役塩基と求電子性デキストランアルデヒド基との縮合を介するヒドロゲルの架橋を行う。
なおもう1つの実施形態では、第1の成分は、酸化デキストランを含んでなる繊維状ポリマーであり、そして第2の成分は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含んでなる。
もう1つの実施形態では、第1の成分は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)のような第一級アミン基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマーを含んでなる繊維状ポリマーであり、そして第2の成分は、直鎖PEGジイソシアネートのようなイソシアネート基で誘導体化される直鎖もしくは分岐ポリエーテルを含んでなる。
第2の成分は、様々な形態で無水繊維状シート中に存在してもよい。例えば、一実施形態では、第2の成分は、第2の繊維状ポリマーとして存在し、第1の成分について上記の方法を使用して調製され、そして第1の繊維状ポリマー層の頂部における第2の層としてスピニングされる。もう1つの実施形態では、第2の成分は、両方の成分の混紡繊維を伴う繊維状シートを形成するために、第1の成分と共に同時に個別のスピニングオリフィスを介して、第2のスピニング溶液から同時スピニングされる繊維状ポリマーである。
もう1つの実施形態では、第2の成分は、第1の成分の繊維状ポリマー上の被覆である。この実施形態では、第2の成分は、第2の成分を溶解するが、第1の成分を含んでなる繊維状ポリマーを溶解しない適切な溶媒に溶解される。繊維状ポリマーは、当該技術分野において公知の方法を使用して、例えば、ピペット、ディップコーティング、スプレーコーティングなどのような送達デバイスを使用し、溶液を繊維状ポリマーに適用して、第2の成分の溶液で被覆される。被覆された繊維状ポリマーは乾燥されて、溶媒が取り出され、それによって、無水繊維状シートが形成される。
もう1つの実施形態では、第2の成分は、分散され、そして第1の成分の繊維状ポリマーの織物の隙間に捕捉される乾燥粉末である。
医学的用途で使用するためには、本明細書において開示する無水繊維状シートは、感染を予防するために滅菌することが好ましい。適切な滅菌方法として、γ線照射、電子ビーム照射、および紫外線照射が挙げられるが、これらに限定されない。
様々な添加物が、無水繊維状シートに組み入れられ得る。上記の添加物のいずれを使用してもよい。添加物は、当該技術分野において周知の被覆方法を使用して、無水繊維状シート上に被覆し得る。さらに、乾燥粉末添加物は、分散され、そして繊維状ポリマーとして存在する場合、第1の成分または第2の成分の繊維状ポリマーの織物の隙間に捕捉され得る。あるいは、添加物は、第1および/または第2の成分上に存在する求電子もしくは求核基を介して、無水繊維状シートに共有結合させることができる。
無水繊維状シートはまた、少なくとも1つの表面上の非粘着性被覆を含んでなり、例えば、外科医の手袋がシーラントパッチに接着するようになることを防止するように、繊維状シートの組織への簡便な適用を可能にし得る。被覆は、ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン、ポリエチレングリコール、脂肪酸、およびデキストランのような多糖類を含んでなり得る。
無水繊維状シートはまた、非生分解性の剥離可能な裏打ち材を含んでなり、繊維状シートの組織への適用を援助し得る。非生分解性裏打ち材は、ポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、ポリジメチルシロキサン(polydimethysiloxane)などのようなポリマーからなる1つ以上の層を含んでなる固体のシートまたはフィルムであり得る。これらのフィルムは、放出シートおよび/または金属被覆ポリマーフィルムを含むパッケージング用途のための障壁層フィルムのために典型的に行われるように、構築され得る。非生分解性裏打ち材は、無水繊維状シートの組織部位への適用後に取り出される。
無水繊維状シートはまた、生分解性の裏打ち材を含んでなり、繊維状シートの組織への適用を援助し得る。生分解性裏打ち材は、例えば、グリコリド、ラクチド、乳酸、ジオキサノン、カプロラクトン、トリメチレンカルボネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびリジンからなる群から選択される1つ以上のモノマーを含んでなるポリマーのような生分解性ポリマーを含んでなるシートまたはフィルムであってもよい。さらに、酸化再生セルロース(例えば、Ethicon,Inc.,Raleigh,NCから利用可能なInterceed(登録商標)吸収性癒着障壁)、ヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロース(例えば、Genzyme,Cambridge,MAから利用可能なSeprafilm(登録商標)癒着障壁)、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、およびキトサンフィルムのような様々な生分解性の癒着予防フィルムが、生分解性裏打ち材として使用され得る。
繊維状組織シーラントの医学的用途
本明細書において開示する繊維状組織シーラントは、創傷縫合、腸吻合および血管吻合のような内部外科手順における補充もしくは置換用縫合糸またはステープル、組織修復を含むがこれらに限定されない医学的および獣医学的用途のための一般的な組織接着剤として、ならびに術後癒着を予防するために有用であり得る。繊維状組織シーラントは、外科的または外傷性創傷からの出血を抑制するための止血剤としての使用に特に適切であり得る。
一実施形態では、繊維状組織シーラントは、生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するために使用される。被覆は、シーラントもしくは接着剤として、または術後癒着を予防するための非接着性被覆として作用し得る。被覆を適用するために、本明細書において開示する無水繊維状シートを、部位に適用し、そして第1および第2の成分を、水和し、そして組織に接着性であるヒドロゲルを形成するために、部位において架橋させる。繊維状シートは、手袋を着用した指、滅菌鉗子、または他の滅菌アプリケーターを使用するような様々な方法で部位に適用され得る。繊維状シートは、部位に存在する体液または水性緩衝溶液のような水性媒体の添加によって、水和され得る。
もう1つの実施形態では、繊維状組織シーラントを使用して、生存生物体の組織における外科的または外傷性創傷からの出血を抑制する。この実施形態では、本明細書において開示する無水繊維状シートを、創傷の部位に適用し、そして血液を吸収することによって水和させ、それによって、第1の成分および第2の成分が架橋して、組織に接着性であるヒドロゲルを形成する。
もう1つの実施形態では、第1の成分の繊維状ポリマーを部位に適用し、水溶液または分散液の形態の第2の成分を部位に適用し、そして第1および第2の成分を部位上で架橋させることによって、生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用し、それによって、組織に接着性であるヒドロゲルを形成する。水溶液または分散液は、水溶液または分散液の全重量に対して約5重量%〜約70重量%の第2の成分を含んでなる。水溶液または分散液は、多様な方法で、例えば、シリンジまたは噴霧デバイスで適用して、部位に適用され得る。
本発明を、以下の実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、好適な実施形態を示す一方、例示のみの方法によって示されることが理解されるべきである。当業者であれば、上記の考察およびこれらの実施例から本発明の不可欠な特徴を確かめることが可能であり、また、その技術思想および範囲から逸脱することなく、それを多様な用途および条件に適合させるように本発明の多様な変更および改変をなすことが可能である。
「Aldrich」に対する言及または「Sigma」に対する言及は、前記化学薬品または成分を、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手したことを意味する。
試薬調製
デキストランアルデヒド(D10−50)の調製
本明細書においてD10−50と称される約10kDaの平均分子量および約50%の酸化度を有するデキストランアルデヒドは、水溶液中のデキストランをメタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することによって、作製される。約50%の酸化転換(即ち、デキストランポリマー中のグルコース環の約半分が、ジアルデヒドに酸化された)を伴う酸化デキストランは、Cohenら(同時継続中かつ共同所有の特許出願No.PCT/US08/05013)により記載の方法によって、8,500〜11,500ダルトンの量平均分子量を有するデキストラン(Sigma)から調製される。典型的な手順を、ここで説明する。
機械的撹拌器、添加漏斗、内部温度プローブ、および窒素パージを具備する20L反応器に、1000gのデキストランおよび9.00Lの脱イオン水をチャージする。混合物を、周囲温度で撹拌して、デキストランを溶解し、次いで、10〜15℃に冷却する。冷却したデキストラン溶液に、1時間の期間、反応温度を25℃未満に保持しながら、9.00Lの脱イオン水に溶解した1000gの過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を添加する。一旦、すべての過ヨウ素酸ナトリウム溶液を添加したら、混合物を、20〜25℃で、4時間を超えて撹拌する。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、そしてろ過して、澄明にする。塩化カルシウム(500g)をろ過物に添加し、そして混合物を周囲温度で30分間撹拌し、次いで、ろ過する。ヨウ化カリウム(400g)をろ過物に添加し、そして混合物を周囲温度で30分間撹拌する。得られる赤色溶液の3L部を、10〜15分間の期間、添加中機械的撹拌器によって激しく撹拌しながら、9.0Lのアセトンに添加する。さらに数分間の撹拌後、凝集生成物を、上清液体から分離する。ヨウ化カリウムを第2のろ過物に添加することによって得られる残りの赤色溶液を、上記と同じ様式で処置する。合わせた凝集生成物を、粉々に破砕し、ステンレス鋼ブレンダにおいて2Lのメタノールと合わせ、そして固体が粒状になるまで混和する。粒状固体をろ過によって回収し、そして窒素パージを伴う減圧下で乾燥する。次いで、粒状固体を、ハンマー粉砕で細かい粉末にする。20L反応器に10.8Lの脱イオン水をおよび7.2Lのメタノールをチャージし、そして混合物を0℃に冷却する。先の工程によって得られた粒状固体を反応器に添加し、そしてスラリーを、激しく1時間、撹拌する。撹拌を中止し、そして固体を反応器の底に置く。上清液体を、減圧によってデカントし、15Lのメタノールを反応器に添加し、そして0℃に冷却しながら、スラリーを30〜45分間、撹拌する。次いで、スラリーを部分的にろ過し、そして回収した固体を、メタノールで洗浄し、合わせ、そして窒素パージを伴う減圧下で乾燥して、D10−50と称される約600gの酸化デキストランを生じさせる。
生成物の酸化度は、プロトンNMRにより、約50%(アルデヒド基あたりの当量=146)である。NMR法では、2つの範囲のピークの積分強度が決定され、具体的には、約6.2百万分率(ppm)〜約4.15ppmにおける−O2CHx−(HODのピークを差し引く)および約4.15ppm〜約2.8ppmにおける−OCHx−(存在すれば、任意のメタノールのピークを差し引く)である。酸化レベルの計算は、これらの面積の計算された比(R)、具体的には、R=(OCH)/(O2CH)に基づく。
デキストランアルデヒド(D100−6)の調製
本明細書においてD100−6と称される約100kDaの平均分子量および約6%の酸化度を有するデキストランアルデヒドは、水溶液中のデキストランをメタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することによって、作製される。約5〜10%の酸化(即ち、デキストランポリマーにおけるグルコース環の約5〜10%がジアルデヒドに酸化された)を伴う酸化デキストランを、100,000〜200,000ダルトンの重量平均分子量を有するデキストラン(Sigma)から調製する。15mLの脱イオン水中2.0gの過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を、150mLの脱イオン水中22gのデキストランD100(SigmaD4876;Mw=100〜200kDa)の溶液に、すべてを一度に撹拌しながら添加し、そして溶液を4時間、室温で撹拌する。4時間後、1mLのエチレングリコールを反応液に添加して、残りの過ヨウ素酸塩を無効にし、そして溶液をさらに15分間、撹拌する。次いで、1gの塩化カルシウム二水和物を添加し、そして溶液を氷浴中で1時間、磁気撹拌し、次いで、粗いフリットを通して吸引ろ過して、ヨウ素酸カルシウム六水和物を取り出す。次いで、澄明なろ過物を磁気撹拌しながら0.5gのヨウ化カリウムと合わせ、赤色溶液を得、これを室温で30分間、撹拌する。溶液を1000mLのアセトンの注ぎ、そして軽く渦動させて、フラスコの壁上を被覆する膨潤した液体のデキストランアルデヒドの懸濁液を生じさせる。30分間、静置した後、アセトンを注ぎ出し、そしてポリマーをスパーテルで、200mLのメタノールと共に撹拌し、ポリマーを硬化させる。10分間後、メタノールをデカントして取り出し、そしてポリマーを、Waring blendor中で、5分間、500mLのメタノールと混和する。得られた懸濁液を吸引ろ過し、そして1晩、窒素ブランケット下で乾燥して、19.8gのデキストランアルデヒドD100−6を得る。生成物の酸化度は、プロトンNMRにより、約6%(アルデヒド基あたりの当量=1335)である。
8アームPEG40Kヘキサデカアミン(P8−40−2)の調製
各アームの末端上に2つのアミノ基を有する8アームPEG40K(Mn=40kDa)ヘキサデカアミンを、8アームPEG40Kクロリドとトリス(2−アミノエチル)アミンとの反応を介して合成する、即ち、
Figure 0005559190
8アームPEG40Kクロリドを、塩化チオニルと8アームPEG40Kオクタアルコールとの反応によって作製する。典型的な手順を、ここで説明する。
200mLのトルエン中100g(20mmolのOH)の8アームPEG40K(Mn=40,000;NOF SunBright HGEO−40000)の溶液を、70℃にまで加熱し、そして窒素下で撹拌しながら6mLの塩化チオニル(10g;80mmol)を迅速に添加する。混合物を、60℃、窒素下で20時間、撹拌し、その後、溶液に、窒素を1時間、通気する一方、なお加温して塩化チオニルを取り出し、次いで、2mL(50mmol)のメタノールを添加して、残りの塩化チオニルをスカベンジする。得られる溶液を、撹拌しながら、300mLのヘキサンに添加すると、最初に、ゼラチン状の沈殿物が生じ、間もなく、生成物由来のトルエン抽出物として脆い粉末状になる。白色懸濁液を、1時間、撹拌し、次いでガラスフリット漏斗上で吸引ろ過し、100mLのヘキサンで1回洗浄し、そして窒素ブランケット下漏斗上で吸引乾燥して、8アームPEG40Kクロリドを得る。
60mLの水中30.0g(6.0mmolのCl)の8アームPEG40Kクロリドの溶液を迅速に撹拌しながら、36mL(35.3g;240mmol)のトリス(2−アミノエチル)アミン(TCI America,Portland,OR;#T1243)を添加する。得られる溶液を、100℃の油浴中、窒素下で25時間、撹拌する。次いで、0.5mL(9mmol)の50%水酸化ナトリウムを添加し、そして混合物を冷却し、そして150mLのジクロロメタンで抽出し、続いて、100mL部のジクロロメタンで2回抽出する。分離は、いくらか緩徐であるが、究極的に1晩で完了する。合わせた抽出物を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーションを使用して、120mLの容積までエバポレートし、そして撹拌しながら、850mLのジエチルエーテル中に沈殿させる。次いで、エーテルを氷浴中で撹拌し、そして得られる白色の沈殿物を、窒素下でガラスフリット漏斗上で吸引ろ過し、100mLのジエチルエーテルで洗浄し、そして窒素下漏斗上で吸引乾燥して、本明細書においてP8−40−2と称される8アームPEG40Kヘキサデカアミンを得る。
1つの調製からのプロトンNMRの結果は以下の通りである:
Figure 0005559190
1H NMR(500MHz;CDCl3):δ2.53ppm(t,J=6.0Hz,a);2.60(t,J=6.1Hz,b);2.71(t,J=6.1Hz,c);2.76(t,J=5.9Hz,d);2.80(t,J=5.2Hz,e);3.59(t,J=5.3Hz,f);3.64(s,g);3.76CH2Cl(t,J=6.0Hz;h;減弱)。ピークの統合グループ:2.5−2.8ppm(a−e;14.3H;理論値14H);3.5−3.8ppm(f−g,PEG骨格,500H)。NMRでは、残留するトリス(2−アミノエチル)アミンは認められない。
8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)の調製
8アームPEG10Kオクタアミン(Mn=10kDa)は、同時継続中かつ共同所有の米国特許出願公開第2007/0249870号明細書のChenaultにより記載の2工程手順を使用して、合成される。第1の工程では、8アームPEG10Kクロリドを、塩化チオニルと8アームPEG10Kオクタアルコールとの反応によって作製する。第2の工程では、8アームPEG10Kクロリドを、水性アンモニアと反応させて、8アームPEG10Kオクタアミンを得る。典型的な手順を、ここで説明する。
Figure 0005559190
8アームPEG10Kオクタアルコール(Mn=10000;NOF SunBright HGEO−10000)(500mL丸底フラスコ中100g)を、撹拌しながら、85℃、減圧(0.06mmの水銀(8.0Pa))下で4時間加熱することによってか、または低圧(2kPa)下、60℃のポット温度で、50gのトルエンとの共沸蒸留のいずれかによって、乾燥する。8アームPEG10Kオクタアルコールを、室温まで冷却させ、そして塩化チオニル(35mL、0.48mol)を、還流冷却器を具備するフラスコに添加し、そして混合物を、85℃で、窒素のブランケット下、24時間、撹拌しながら加熱する。過剰の塩化チオニルを、ロータリーエバポレーション(浴温度40℃)により取り出す。50mL部のトルエンを、2回連続で添加し、そして低圧(2kPa、浴温度60℃)下でエバポレートして、塩化チオニルの取り出しを完了する。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ3.71−3.69(m,16H),3.67−3.65(m,16H),3.50(s,約800H)。
8アームPEG10Kオクタクロリド(100g)を640mLの濃縮水性アンモニア(28wt%)に溶解し、そして圧力容器中、60℃で、48時間、加熱する。溶液を、1〜2時間、乾燥窒素でスパージして、50〜70gのアンモニアを除去する。次いで、溶液を、水酸化物型の強塩基性アニオン交換樹脂(Purolite(登録商標)A−860,The Purolite Co.,Bala−Cynwyd,PA)のカラム(500mLベッド容積)に通過させる。溶離液を回収し、そして250mL部の脱イオン水を3回、カラムに通過させ、再び回収する。水溶液を合わせ、低圧(2kPa、浴温度60℃)下で約200gにまで濃縮し、部分的に凍結し、そして凍結乾燥して、P8−10−1と称される無色のワックス状固体として8アームPEG10Kオクタアミンを生じさせる。
4アームPEG2Kテトラアミン(P4−2−1)の調製
4アームPEG2K(Mn=2kDa)テトラアミンを、8アームPEG10Kオクタアミンについて上記と類似の手順を使用して、調製する。
Figure 0005559190
4アームPEG2Kテトラアルコール(Mn=2000;NOF SunBright PTE−2000)(500mL丸底フラスコ中100g)を、100mLのジクロロメタンに溶解する。塩化チオニル(88mL、1.2mol)を添加し、そして混合物を、窒素のブランケット下、周囲温度で24時間、撹拌する。過剰の塩化チオニルおよびジクロロメタンを、ロータリーエバポレーション(浴温度40℃)により取り出す。50mL部のトルエンを、2回連続で添加し、そして低圧(2kPa、浴温度60℃)下でエバポレートして、塩化チオニルの取り出しを完了する。
1つの調製からのプロトンNMRの結果は以下の通りである:
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ3.71−3.68(m,8H),3.67−3.65(m,8H),3.57−3.55(m,8H),3.50(m,約140H),3.47−3.45(m,8H),3.31(s,8H)。
4アームPEG2Kテトラクロリド(40g)を600mLの濃縮水性アンモニア(28wt%)に溶解し、そして圧力容器中、60℃で、48時間、加熱する。溶液を冷却し、そして乾燥窒素で1.5時間、スパージし、次いで、ロータリーエバポレーション(2kPa、浴温度60℃)によって約500gに濃縮する。次いで、溶液を、水酸化物型の強塩基性アニオン交換樹脂(Purolite(登録商標)A−860)のカラム(500mLベッド容積)に通過させる。溶離液を回収し、そして250mL部の脱イオン水を2回、カラムに通過させ、そして回収する。水性画分を合わせ、低圧(2kPa、浴温度60℃)下でエバポレートして、P4−2−1と称される透明な淡黄色の液体として4アームPEG2Kテトラアミンを生じさせる。
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ3.65−3.51(m,約170H),3.47(m,8H),3.36(s,8H),2.86(t,J=5.3Hz,7.4H),2.76(t,J=5.4Hz,0.6H)。
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)の調製、方法A
ビニルアルコールおよびビニルアミンの共重合体は、ビニルアセテートおよびN−ビニルホルムアミドをコポリマー化し、続いて、加水分解を行うことによって、作製される。チオール連鎖移動剤を用いて、ポリマーの分子量を制限し、そして実用的なスピニング溶液の粘度を提供する。
Figure 0005559190
80mLの脱イオン水中0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの溶液を、冷却器および窒素注入口、温度計、2つの滴下漏斗および磁気スターラーを伴う250mL4つ口丸底フラスコに置く。フラスコを窒素でスイープし、そして溶液の温度が90℃になるまで、90℃油浴中で撹拌し、次いで、0.1gのAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;Aldrich441090)イニシエーターを添加する。32gのビニルアセテート(Aldrich V1503;塩基性アルミナを介してろ過して、インヒビターを取り出した)、5gのN−ビニルホルムアミド(Aldrich447331;入手した状態のまま使用)および0.10mLの2−メルカプトエタノール(Aldrich M3701)の溶液を窒素下で大きい方の滴下漏斗に置き、そして9mLのビニルアセテート中1.0gのAIBNの溶液を小さい方の滴下漏斗に置く。次いで、4ミリリットルのチオール含有モノマー溶液および1mLのAIBN含有モノマー溶液を、撹拌しながらフラスコに添加し、そして90℃で、ビニルアセテート(72℃の沸点)の還流下、ポリマー化を進行させる。混合物を20分間、撹拌し、そして別の4mL+1mLの2つのモノマー溶液を、それぞれ、添加し、その後、混合物は、乳白色が増してくる。4mL+1mLの2つのモノマー溶液を、20分間ごとに1時間、添加し;次いで、混合物を、1時間、90℃で撹拌する。この時間後、残りのモノマーを、20分間ごとに4mL+1mLの速度で添加する。モノマーをすべて添加する場合(約4時間)、混合物を、90℃でさらに2時間、撹拌し、次いで、加熱浴を取り出す。懸濁液をロータリーエバポレートして、モノマーおよび水を取り出し、そして湿ったスラッジを、250mLのメタノール中に採取する。アリコートをジエチルエーテルで沈殿させ、そしてプロトンNMRおよびサイズ排除クロマトグラフィーによる分析のための真空度の高い減圧下で乾燥する。
1H NMR(500MHz;DMSO−d6):3.80ppmのN−ビニルホルムアミドメチンピーク対4.78ppmのビニルアセテートメチンピークの割合で、ポリマーは、11.2mol%のN−ビニルホルムアミドの組み入れ(加水分解されたアミンEW=390)を有する。
サイズ排除クロマトグラフィー(ジメチルアセテート)の結果:Mn=44,700;Mw=447,000;Mz=2,086,000;Mw/Mn=10.0;g’=0.81;α=0.59。
10ミリリットルの濃塩酸をポリマーのメタノール溶液に添加し、そして得られる混合物を、24時間、還流下で撹拌し、その期間の間、ゴム状のポリマーが沈殿および凝集する。
プロトンNMR(DMSO−d6)は、アセテート基が減弱することを示す。ろ過および窒素下での乾燥により、18.3gのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン塩酸塩)生成物が得られる。生成物を170mLの脱イオン水に溶解し、そして得られる溶液を、5μm膜フィルターを介してろ過する。ろ過した溶液を、NaOHでpH9.0(pH電極で測定する)にし、そして溶液を、MEMBRA−CELL(登録商標)(Viskase Companies,Inc.,Willowbrooke,IL)3.5K MWCO(分子量カットオフ)透析膜チューブ中の脱イオン水に対する透析によって脱塩する。次いで、透析したポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)溶液を、ロータリーエバポレーションで過剰の水を取り出すことによって、20wt%に調整する。このポリマー溶液を、アミン基と反応して、非反応性カルバメートを形成する大気中の二酸化炭素から保護された状態で保持する。
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)の調製、方法B
方法Aにおけるようにメルカプトエタノールを連鎖移動剤として使用するのではなく、四塩化炭素を使用して、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーを作製する。
40.0gのビニルアセテート(Aldrich V1503;アルミナを介してろ過して、インヒビターを取り出した)および5.0gのN−ビニルホルムアミド(Aldrich 447331)のモノマー溶液を、シリンジ−ろ過して、少量のポリマーを取り出す。次いで、0.10gの四塩化炭素(モノマーに基づいて0.12mol%)および0.3gのAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;Aldrich 441090)を溶液に添加する。
80mLの脱イオン水に0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよび0.1gのリン酸二水素ナトリウムを含有する溶液を、冷却器、窒素注入口、熱電対ウェル、モノマー注入口ラインおよび磁気スターラーを伴う250mL4つ口丸底フラスコに置く。フラスコを窒素でスイープし、そして溶液の温度が65℃に到達するまで、70℃の水浴中で撹拌する。次いで、0.1gのAIBNイニシエーターをフラスコに添加し、続いて直ちに、撹拌しながら、5mLのモノマー溶液を添加する。残りのモノマー溶液を、シリンジポンプ上の60mLシリンジ中に置き、そして溶液を、3時間で0.25mL/minの速度でフラスコに送達する。モノマー溶液がすべて添加された場合、混合物を、70℃浴中、さらに1時間、撹拌し、次いで、加熱浴を取り出し、そして懸濁液を22℃まで冷却し、粘性の混合物を形成させ、これをロータリーエバポレートして、ビニルアセテートおよび水を取り出す。得られる材料を50mLのメタノール中に採取し、そして溶液を、撹拌しながら氷水中に注いで、凝結した軟質ゴムポリマーを生じさせる。ポリマーを、熱水中で稼働させて(手で練って(masticated))、ソープおよびモノマーを取り出し、次いで、氷水中で冷却し、小繊維に裂くことができるより稠密なポリマーを形成させる。ポリマーを、1晩、水に浸漬し、次いで、ろ過し、そして減圧下で乾燥して、ポリ(ビニルアセテート−コ−ビニルホルムアミド)を得る。
1H NMR(500MHz;DMSO−d6):3.80ppmのNVFメチンピーク(1.84)対4.77ppmのVAcメチンピーク(14.45)の割合で、ポリマーは、11.3mol%のN−ビニルホルムアミドの組み入れ(加水分解されたアミンEW=390)を有する。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の結果(DMAc):Mn=60,310;Mw=202,160;Mz=464,260;Mw/Mn=3.35;[η]=0.62;α=0.51。
ポリ(ビニルアセテート−コ−ビニルホルムアミド)生成物を、500mLの樹脂がま(resin kettle)中、250mLのメタノールおよび10mL(0.1mol)の濃塩酸を伴い還流下で16時間、撹拌する。混合物は、約1時間で溶液になり、そして約6時間で、ゴム状のポリマーが分離し始める。ゴム状のポリマーを、はさみで1cmの塊に切断し、メタノールで洗浄し、そして漏斗上、窒素下で乾燥して、30.5gのゴム状のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン塩酸塩)ポリマーを得る。このポリマーを、ホットプレート上で100mLの脱イオン水と共に撹拌して、溶液を生じさせ、次いで、これを、10wt%NaOHで塩基性にしてpH10にする。この溶液を、撹拌脱イオン水中MEMBRA−Cell(登録商標)(Viskase Companies,Inc.,Willowbrooke,IL)3.5K MWCO透析チューブにおいて、24時間、透析する。最初の6時間において、水を2回変更する。水を含有するバケツの頂部を、アルミニウムホイルで覆って保持し、そしてバケツ中の水を通して、窒素を連続的に通気して、空気中の二酸化炭素が、アミノポリマーと反応することを防止する。透析した溶液を、液体窒素中で凍結し、そして凍結乾燥して、12.4gのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を得る。
チオール連鎖移動剤(方法A)は、チオールを使用して生成されるポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーは、所与の分子量でゲルを形成することなく、より高いパーセントの固体含有量で溶解することができる点で、ポリ(ビニルアセテート−コ−ビニルホルムアミド)の分子量を制御する際に、四塩化炭素より好適であることが留意されるべきである。メタノールまたはイソプロパノールのような他の多くの連鎖移動剤を使用することができる。
4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)の調製
4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)は、4アームPEG2Kテトラクロリドと1−チオグリセロールとを反応させて、チオメチルエチレングリコール末端を伴う4アームPEG2Kを生じさせることによって調製される。この中間体をグリコール基あたり1当量のメタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化すると、チオメチルアルデヒド基で末端化された4アームPEG2Kが得られる。
Figure 0005559190
30mLの水中4アームPEG2Kテトラアミン(P4−2−1)、2.5g(30mmol)重炭酸ナトリウムおよび3.5g(32mmol)1−チオグリセロール(Aldrich M1753)の調製において上記の10.0g(20mmol Cl)4アームPEG2Kテトラクロリドの溶液を、90℃の油浴中窒素下で22時間、撹拌する。溶液を室温まで冷却し、そして3つの35mL部のジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を、硫酸ナトリウム、続いて硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、20〜25mLに濃縮し、そして500mLのジエチルエーテル中で撹拌し、表中で冷却しながら沈殿させる。生成物はなお、0℃で液体であるため、撹拌を停止し、そしてフラスコをドライアイス中で冷却する。エーテルをデカントして除去し、フラスコの底で固化した白色の生成物を得る。フラスコを室温にまで加温し、そして液化した生成物を200mLの新鮮なエーテルと共に撹拌し、そして再度、ドライアイス中で冷却する。エーテルをデカントして除去し、そして生成物をジクロロメタン(50mL)中に採取し、そして丸底フラスコに移す。溶媒をロータリーエバポレーションによって取り出し、そして濃縮物を、真空度の高い減圧下で保持して、透明な液体として7.5gの4アームPEG2Kテトラ(チオメチルエチレングリコール)を得る。
Figure 0005559190
1H NMR(500mHz;CDCl3):δ2.70ppm(dのABX q,2H,a);2.76(t,J=6.1Hz,2H,b);3.41(s,ペンタエリトリトールコアCH2O,2H);3.54(m,3H,c);3.59(t,J=4.7Hz,2H,d);3.64(s,46H,e);3.75(t,CH2Cl,減弱);3.81(m,1H,f)。
20mLの脱イオン水中2.0g(3.5mmolジオール;575にほぼ等しいEW;2300にほぼ等しいMn)4アームPEG2Kテトラ(チオメチルエチレングリコール)の溶液を、氷浴中で撹拌しながら、10mLの水中0.75g(3.5mmol)のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を、3mL部ずつ5分間ごとに添加する。混合物を、0℃で60分間、撹拌させ、次いで、5滴のエチレングリコールを添加し、そして溶液を4つの25mL部のジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして加温水道水浴からロータリーエバポレーションによって約15mLに濃縮する。濃縮物を、撹拌しながら、150mLのジエチルエーテルに添加する。混合物を、15分間、撹拌し、次いで、ドライアイス中で冷却して、生成物を凍結する。エーテルをデカントして除去し、100mLの新鮮エーテルで置き換え、そして混合物を室温まで加温し、そして10分間、撹拌し、続いて、凍結し、そして再度デカントする。次いで、生成物を、25mLのジクロロメタン中に採取し、100mL丸底フラスコに移し、そして加温水道水浴からロータリーエバポレートする。濃縮物を、シリンジの針を介する窒素放出を伴い、22℃で減圧下に保持して、溶媒を取り出し、1.10gの液体4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を得る。
赤外分光(ニート):1716cm−1(CHO)
Figure 0005559190
1H NMR(500MHz;CDCl3):δ2.66ppm(t,J=6.1Hz,2H,a);3.27ppm(d,J=3.5Hz,2H,b);3.64ppm(s,46H,c);9.51ppm(t,J=3.3Hz,0.8H d)。SCH2CHO積分強度(9.51ppm)対S(=O)CH2CHO積分強度(9.86ppm)の割合による。生成物は、過度のメタ過ヨウ素酸塩による過酸化のため、約12mol%スルホキシドアルデヒド末端を含有する。この化合物は、アルデヒドとスルホキシドとの間の酸性メチレンにより、自己縮合に関して不安定であり、従って、最も良好には、即座に使用される。
直鎖PEG600ビス(チオメチルアルデヒド)の調製
低分子量の直鎖PEGビス(チオメチルアルデヒド)は、PEGジオールを対応する二塩化物に変換し、二塩化物をビス(チオメチルエチレングリコール)に変換し、これをビス(チオメチルアルデヒド)酸化することによって、作製する。
Figure 0005559190
200mL丸底フラスコにおける60mLのトルエン中20g(67mmolのOH)PEG600(Mn=600;Aldrich202401)および0.2mLのN,N−ジメチルアセトアミドの溶液を、70℃の油浴中で撹拌しながら、7.5mLの塩化チオニル(12g;100mmol)を、冷却器に滴下する。溶液を、窒素下、70℃で20時間、撹拌する。混合物をロータリーエバポレートして、トルエンの約半分を取り出す。得られる濃縮物を氷浴中で冷却したエーテルに添加し、次いで、ドライアイス中で冷却して、スラリーを分離し、これを冷状態で迅速にろ過し、次いで、200mLのヘキサンに添加する。極めて粘着性かつ低温融解の得られる固体を、ジクロロメタン中に採取し、ロータリーエバポレートし、そして減圧下、隔壁を介する針からの窒素流下で保持して、溶媒を取り出す。得られるPEG600ジクロリド(10.4g)は褐色のオイルである。
1H NMR(500MHz;CDCl3):δ3.64ppm(s,OCH2CH2O骨格;52H);3.76ppm(t,J=5.9Hz,ClCH2CH2O;4H)。
25mLの水中9.0g(29mmolのCl)PEG600ジクロリド、4.0g(48mmol)重炭酸ナトリウムおよび4.3g(40mmol)1−チオグリセロール(Aldrich M1753)の溶液を、100℃の油浴中窒素下で16時間、撹拌する。溶液を、4つの40mL部のジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、20mLに濃縮し、そして氷浴中で冷却した200mLのジエチルエーテルから沈殿させる。生成物はなお、0℃で液体であるため、撹拌を停止し、そしてフラスコをドライアイス中で冷却する。エーテルをデカントして除去し、フラスコの底で固化した白色の生成物を得る。フラスコを室温にまで加温し、そして液化した生成物を200mLの新鮮なエーテルと共に撹拌し、そして再度、ドライアイス中で冷却する。エーテルをデカントして除去し、そして生成物をジクロロメタン(50mL)中に採取し、そして丸底フラスコに移す。溶媒をロータリーエバポレートして除去し、そして得られる濃縮物を、シリンジ針を介する窒素パージを伴う減圧下で保持して、7.4gのPEG600ビス(チオメチルエチレングリコール)を得る。
1H NMR(500MHz;CDCl3):δ2.71ppm(dのABX q,4H);2.77(t,J=6.1Hz,4H);3.55(m,2H);3.64(s,52H);3.69(t,J=6.2Hz,約6H);3.75(t,CH2Cl,減弱);3.83(m,2H)。
30mLの脱イオン水中6.00g(15.8mmolジオール;380にほぼ等しいEW;760にほぼ等しいMn)PEG600ビス(チオメチルエチレングリコール)の溶液を、氷浴中で撹拌しながら、30mLの水中3.40g(16mmol)のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を、シリンジポンプを使用して、1mL/minの速度で添加する。添加後、混合物を、0℃で60分間、撹拌させ、次いで、10滴のエチレングリコールを添加し、そして溶液を4つの40mL部のジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして加温水道水浴からロトエバポレーション(roto evaporation)によって約15mLの容積に濃縮する。濃縮物を、撹拌しながら、200mLのジエチルエーテルに添加する。混合物を、15分間、撹拌し、次いで、ドライアイス中で冷却して、生成物を凍結する。エーテルをデカントして除去し、100mLの新鮮エーテルで置き換え、そして混合物を室温まで加温し、そして10分間、撹拌し、続いて、凍結し、そして再度デカントする。次いで、生成物を、ジクロロメタン中に採取し、そして100mL丸底フラスコに移し、加温水道水浴からロータリーエバポレートし、次いで、22℃で、シリンジの針を介する窒素放出を伴う減圧下で保持して、溶媒を取り出し、橙色液体として2.0gのPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を得る。
赤外分光(ニート):1716cm−1(CHO)。この生成物は、窒素下で数ヶ月間、安定である。
1H NMR(500MHz;CDCl3):δ2.66ppm(t,J=6.2Hz,4H);3.27(d,J=3.3Hz,4H);3.64(s,88H);9.51(t,J=3.3Hz,2H);<1%の過酸化スルホキシドアルデヒドが存在する。
デキストランアセトアセテートの調製
デキストランアセトアセテートは、デキストランとジケテンとを反応させることによって、調製される。デキストラン(55g;Sigma D4876;Mw=100−200kDa)を、減圧オーブン中、窒素流下、100℃300mmHg(40kPa)で、3時間、乾燥する。
乾燥したデキストラン(単位mw=162.14;OH eq wt=54;278mmolのOH)の15.0gサンプルを、窒素下、500mL丸底フラスコ中で160mLの乾燥N,N−ジメチルアセトアミドおよび0.2gのN,N−4−ジメチルアミノピリジンと合わせる。窒素を5分間通気することによって、混合物をパージし、次いで、100℃の油浴中で磁気撹拌して、クリーム色の懸濁液を生じさせる。この混合物に、5gの乾燥塩化リチウムを添加し、そして約10分間で、透明な黄色溶液が生じる。溶液を冷却し、そして22℃で撹拌しながら、6.0mL(6.5g;78mmol)の新たに昇華させたジケテン(Aldrich#302058;0.4mmHg(0.05kPa)で液体窒素冷却コールドフィンガーコンデンサーに希釈した)を、30秒間の期間、シリンジによって添加する。内部温度を緩徐に約40℃まで上昇させ、次いで、冷却する。得られる黄色溶液を、22℃で22時間、撹拌し、次いで、Waring(登録商標)ブレンダ(Waring Products,Torrington,CT)中700mLのメタノールに混和して、軟質な飴(taffy)様のポリマーの小塊を生じさせる。ポリマーの塊を伸張させ、そしてはさみで1cmの片に切断し、そしてブレンダ中の500mLのアセトンに供給する。15分間の混和により、固体粒状ポリマーの懸濁液を生じ、これを、粗いガラスフリット漏斗上で吸引ろ過し、そして窒素ブランケット下で吸引乾燥して、水溶性の黄褐色粉末として17.8gのデキストランアセトアセテートを得る。
アセトアセテート含有量を、D2O中でのプロトンNMRによって決定する。アセトアセテートCH3ピーク(2.35ppm,3H)とデキストラン骨格CHピーク(3.4−4.1ppmおよび4.8−5.3ppm;グルコース単位あたり合計で7H)との割合から、置換の程度=0.74;アセトアセテート基あたりの当量=303が得られる。
直鎖PEG600ジイソシアネートの調製
PEG600ジイソシアネートは、PEG600ビス(カルボキシメチルエーテル)を、対応するビス(塩化アシル)に変換し、これをビス(アシルアジド)に変換し、そしてジイソシアネートに熱転位することによって、作製する。
Figure 0005559190
40mLのジクロロメタン中15gのPEGビス(カルボキシメチルエーテル)(50mmolのCOOH;EW=300;Aldrich407038)および3滴のN,N−ジメチルアセトアミドの溶液を、室温で、冷却器を伴う100mL丸底フラスコにおいて撹拌しながら、8.1gの塩化チオニル(5.0mL;68mmol)を冷却器に添加する。乾燥用チューブを冷却器に置き、そして溶液を、還流下で3時間、撹拌する。赤外分光分析が、いくつかの残りのCOOH(1753cm-1)の存在を示す場合、さらなる1mLの塩化チオニルを添加し、そして混合物を、還流下でさらに2時間、撹拌するが、この時、赤外分光分析は、反応の完了を示すべきである。溶液をロータリーエバポレートして、溶媒および塩化チオニルを取り出す。PEG600ビスアシルクロリドを、熱水浴中、窒素流下で撹拌して、微量のHClを取り出し、そして40mLの乾燥トルエン中に採取する。次いで、10.0mLのアジドトリメチルシラン(8.7g,75mmol;Aldrich155071)を添加し、そして溶液を、窒素下で撹拌し、そして油浴中で80℃にまで、45分間で、緩徐に加熱し、次いで、80℃で15分間、保持する。溶液を、70℃の水浴からロータリーエバポレートし、次いで、浴中に保持し、そして窒素流下で2時間、撹拌し、最後に、水浴中、真空度の高い減圧下で、1時間、撹拌して、褐色液体として14.5gのPEG600ジイソシアネートを得る。
PEG600ビスアシルクロリドIR(ニート):1805cm-1(COCl)
PEG600ジイソシアネートIR(ニート):2252cm-1(NCO)
Figure 0005559190
1H NMR(CDCl3):3.64ppm(s,47H,a);3.69(m,4H,b);3.75(m,4H,c);4.84(s,4H,d);4.18(s,0.5H);4.30(t,0.5H)
実施例1
デキストランアルデヒドおよび8アームPEG40Kヘキサデカアミン(P8−40−2)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよび8アームPEG40Kヘキサデカアミン(P8−40−2)を含浸させたデキストランを含有する繊維状ポリマーを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。デキストランアルデヒドおよびデキストランを含有する溶液を、微細に粉砕した固体のP8−40−2PEGアミンを添加した繊維状デキストランシートにエレクトロブロースピニングした。
水中25wt%のD10−48(Mw=10kDa;酸化レベル=48%のグルコース環が切断され、ジアルデヒドになった;試薬調製に記載の通りに調製した)を含有する20gのデキストランアルデヒド溶液および7gのデキストラン100K(Mw=100kDa;Aldrich D4876)の混合物を調製した。最初に、混合物は、液状の溶液を生じたが、22℃で30分間静置するとゲル化した。ゲルを撹拌し、そして10gの水と共に50℃で加温して、液状の溶液を生じさせたが、これは、3〜4時間、安定であった;この溶液は、14wt%D10−48および19wt%デキストラン100Kを含有した。この溶液を、エレクトロブロースピニングによりスピニングして、繊維にした。
エレクトロブロースピニング装置は、ドラム上でシートを形成するために蓄積する紡糸繊維を受容するために、REEMAY(登録商標)スパンボンドポリエステル(Fiberweb Inc.,London)支持布で被覆された回転式8インチ(20.3cm)直径の金属ドラムである接地された標的に対して、100kVで荷電されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)プレートの中心における0.016インチ(0.41mm)金属チューブオリフィスからなった。デキストランアルデヒド(D10−48)およびデキストラン100Kを含有する溶液を、窒素で加圧したプラスチックシリンジを介して、オリフィスに供給した。オリフィスを、24〜36cm遠位から標的ドラムに向かって下方を指すように配置し、そして同軸気流をオリフィスの外周に提供して、コリメートし、そして繊維を金属ドラムに指向させた。オリフィスとドラムとの間の間隙を横切る電流は、典型的に、約40〜60μAであった。ポリマー溶液の粘度に依存して、30〜120psig(207〜827kPa)の窒素圧を使用して、ポリマー溶液を、スピニングオリフィスから、約1mL/minで、小滴の形で押し出し、これらの小滴を、気流および静電界によって繊維にまで細くした。スピニングユニットを、透明なポリカーボネート製の箱に含有させた。スピニングチャンバ中の相対湿度を、金属ドラムの対向面に当たる2つの加熱された窒素流によって、25〜30℃において約10〜20%で保持した。
溶液は極めて良好にスピニングした;繊維の羽状毛(plume)がかなり広かったことから、ポリマー溶液が良好に荷電したことが示された。この溶液からスピニングさせた繊維状ポリマーのマットは、約1ミリメートルの厚さであり、そして42wt%D10−48および58wt%デキストラン100Kを含有した。繊維は、約700〜800nmの平均直径を有した。この繊維状ポリマーのアルデヒド当量(CHO EW)は、364であった。デキストランアルデヒド/デキストラン繊維状ポリマーの走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
得られた繊維状ポリマーに、分岐ポリエチレングリコール(PEG)アミンを含浸させ、次いで、水で湿潤させて、溶解および架橋させて、求核性PEGアミン基と求電子性デキストランアルデヒド基との縮合を介してヒドロゲルを形成させた。試薬調製に記載の通りに調製した、微細に粉砕した8アームPEG40Kヘキサデカアミン(27mg)を、そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った繊維状ポリマーの20mg片に均等に拡げ、そしてこすり合わせた。湿らせた場合、繊維状シートは迅速に溶解し、次いで、1分間で緩徐に架橋して、弾性のヒドロゲルを形成した。
実施例2
デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含浸させたデキストランを含有する繊維状ポリマーを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。デキストランアルデヒドおよびデキストランを含有する溶液を、微細に粉砕した固体のP8−10−1PEGアミンを添加した繊維状デキストランシートにエレクトロブロースピニングした。
デキストランアルデヒドおよびデキストランを含有する繊維状ポリマーを、実施例1に記載の通りに調製した。微細に粉砕した8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を、試薬調製に記載の通りに調製し、そして12mgを、そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った繊維状ポリマーの16mg片に均等に拡げ、そしてこすり合わせた。脱イオン水で湿らせた場合、繊維状シートは、5〜10秒間で、軟質、粘着性、弾性のヒドロゲルになった。
実施例3
デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含浸させたデキストランを含有する繊維状ポリマーを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。デキストランアルデヒドおよびデキストランを含有する溶液を、ジクロロメタン中にP8−10−1PEGアミンを含有する溶液で湿潤させた繊維状デキストランシートにエレクトロブロースピニングした。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例1に記載の通りに調製した繊維状デキストランアルデヒドシートの52mg(3cm×3cm)片を、アルミニウム秤量皿に置き、そして5mL(6.5g)のジクロロメタン中1.00gのP8−10−1を含有する0.37gの溶液(13wt%P8−10−1)で均等に滴下して湿潤させた。湿ったシートを、窒素流下で迅速に乾燥させた。約50mgのP8−10−1を、繊維上に配置した(CHO:NH2=3.8)。本来、軟質な可撓性のシートは、今回、カード用紙のようにより剛性であった。それを1滴の水に置いた場合、繊維状シートは迅速に湿潤するが、その形状を維持し、そして架橋して、僅かに粘性かついくらか弾性の半透明のヒドロゲルになった。
実施例4
デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる繊維状シートの組織接着
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる無水繊維状シートを湿潤することによって形成されるヒドロゲルのブタ子宮角への接着について実証する。
清浄な新鮮ブタ子宮角を、地元の食料品店から入手し、そして組織接着試験のために、約2〜3インチ(5.1〜7.6cm)の切片に切断した。切片を凍結貯蔵し、そして使用直前に融解した。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例1に記載の通りに調製した繊維状デキストランアルデヒドシートの47mg(2cm×3cm)片を、アルミニウム秤量皿に置き、5.0mLのジクロロメタン中1.00gのP8−10−1PEGアミンの0.45gの溶液で均等に湿潤させ、そして窒素流下で迅速に乾燥させた。約60mgのPEGアミンを、繊維上に配置した(CHO:NH2=3.2)。繊維状シートの1cm×1cm切片を、2インチ(5.1cm)切片の湿ったブタ子宮角上に置き、そして軽く水を吹き付けて、切片を完全に湿潤させた。湿潤後、シートは、接着性の半透明ヒドロゲルパッチを形成した。1分間の期間後、子宮角を、端部から伸張させて、ヒドロゲルパッチの接着を試験した。薄いパッチは子宮角と共に伸張したが、剥離しなかった。パッチの縁部に力を適用するか、またはスパーテルでそれを軽くこする試験でもまた、パッチは脱落しなかったことから、パッチは良好に接着したことが示された。実験を、別の片の繊維状シートおよび別の片のブタ子宮角で反復しても、同じ結果が得られ、即ち、接着は、極めて良好であり、そしてパッチは、特に脆弱ではないと思われた。
ヒドロゲルパッチを伴うブタ子宮角の切片を、1皿の水に、室温で35分間、浸漬した。パッチは膨潤したが、脱落せず、そしてなお良好に接着したが、それらはむしろ軟化した。スパーテルでパッチの縁部をこすると、ヒドロゲルの小片が裂けたが、パッチは剥離しなかった。
実施例5および6
デキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる繊維状シートを使用するブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するためのデキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる繊維状シートの使用について実証する。繊維状デキストランアルデヒドシートに、2つの異なるレベルのP8−10−1PEGアミンを含浸させ、そして2つの得られた繊維状シートを使用して、ブタ子宮角における切開部を封止した。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例1に記載の通りに調製した12cm×18cmシート(1.8g)の繊維状デキストランアルデヒドシートを、浅いアルミニウム皿に置いた。シートを、ジクロロメタン中10wt%8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)の20gの溶液で、徹底的に湿潤させた(CHO:NH2=3.3)。湿潤させたシートを伴う皿を、直ちに、大きな密封されたプラスチックバック中に置いて、空気からの水分の凝縮を防止し、そしてシートを、バック中に配置されたホースからの窒素流下で10分間、乾燥させた。次いで、含浸させた繊維状シートを、真空度の高い減圧下に置き、そして1時間、排気して、剛性な、むしろ脆い乾燥シートを生成させた。シートを、窒素充填、密封プラスチックバック中に貯蔵した。この繊維状シートを、実施例5において使用した。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例1に記載の通りに調製した第2の12cm×18cmシート(2.5g)の繊維状デキストランアルデヒドシートを、PTFEシートで裏打ちした浅いアルミニウム皿に置いた。繊維状デキストランアルデヒドシートを、ジクロロメタン中10wt%8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)の20gの溶液で、徹底的に湿潤させ(CHO:NH2=4.5)、そして上記のように窒素および減圧下で乾燥した。この繊維状シートを、実施例6において使用した。
2つの繊維状シートを、1.5cm×3cm(0.13〜0.16g)の矩形パッチに切断した。(本来のREEMAY(登録商標)支持体から離れた)パッチのスムーザーの上側部を、通常、組織に適用した。1cmの横方向切開部を、新鮮ブタ子宮角の2インチ(5.1cm)切片の中心において、はさみで作製し、そして子宮角を、圧力計を伴うシリンジポンプからの供給ラインのニップルにナイロン結束帯で接続した;子宮角の他方の端部を、止血クランプで閉じた。シリンジに、染色した水を充填した。子宮角を湿らせ、そして1片の無水繊維状シートに切開部の上方から堅固に押圧し、次いで、霧吹きからの1吹きの水で湿らせて繊維を溶解し、そしてヒドロゲルパッチを形成し、これは直ちに柔軟になり、そして組織の外形に順応した。2分後、パッチを付した子宮角を大きな皿の水に浸漬し、そして子宮角のパッチを付した領域からの染料の流れによって証明されるように、パッチからの漏出が認められるまで、シリンジポンプを介して水圧を掛けた。平均リーク圧および標準偏差を、表1に示す。一般に、ヒドロゲルパッチの子宮角に対する接着は、優秀であった;不良の原因の約半分は、高度に湾曲した腸間膜側の子宮角周囲の縁部からの漏出であった。切開部にパッチを置かなかった場合、リーク圧は、<0.1psig(<0.7kPa)であった。
Figure 0005559190
上記のブタ子宮角封止実験を、実施例5の2つの繊維状シート(一方を他方の上方から適用した)を使用して反復した。平均リーク圧は、3つ治験について1.23±0.32psig(8.5±2.2kPa)であった。
これらの結果は、デキストランアルデヒドおよびP8−10−1PEGアミンを含有する無水繊維状シートがブタ子宮角における切開部を封止するのに有効であることを実証し、そして繊維状シートが組織接着剤およびシーラントとして有用であることを示唆する。
実施例7
デキストランアルデヒドおよび4アームPEGKテトラアミン(P4−2−1)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよび4アームPEG2Kテトラアミン(P4−2−1)を含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。デキストランアルデヒドおよびデキストランを含有する溶液を、P4−2−1を含有する溶液で被覆した繊維状デキストランアルデヒドシートにエレクトロブロースピニングした。
繊維状デキストランアルデヒドシートを、以下の通りに調製した。水中25wt%のD10−50(Mw=10kDa;酸化レベル=50%のグルコース環が切断され、ジアルデヒドになった;試薬調製に記載の通りに調製した)を含有する20.0gのデキストランアルデヒド溶液および5gのデキストラン100K(Mw=100kDa;Aldrich D4876)の混合物を調製し、そしてそれがゲル化するポイントで2時間、静置させた。3gの水を添加し、そしてゲルを室温で2時間、撹拌して、流動性の粘性溶液を得た。このデキストラン溶液は、18wt%D10−50および18wt%デキストラン100Kを含有した。
デキストラン溶液を、実施例1に記載の方法に従って、100kVでエレクトロブロースピニングして、50wt%デキストランアルデヒドおよび50wt%デキストラン100K(CHO EW=292)を含有する約1ミリメートル厚の繊維状デキストランシートを形成させた。繊維の直径は、2〜3μmのオーダーであった。
試薬調製に記載の通りに調製した4アームPEG2Kテトラアミンの25gのサンプルを、100mLのトルエンと合わせ、そして溶液を、熱水浴(80℃)から真空ポンプ吸引(約3mmHg、0.4kPa)下でロータリーエバポレートして、共沸脱水した。トルエンにより留去を停止した後、減圧および熱源を中断し、そしてフラスコを水浴中、窒素流下で保持しながら、それを緩徐に冷却した。4アームPEG2Kテトラアミンの収量は25.3gであった;そのため、PEGアミンは、約1wt%の残留トルエンを含有する。4アームPEG2Kテトラアミンのフラスコを、窒素充填グローブボックスに移し、瓶に再充填し、そしてボックス中で貯蔵および使用して、水分の取り込みを回避した。
繊維状デキストランアルデヒドシートを、以下のように、P4−2−1PEGアミンで被覆した。繊維状デキストランシートの2枚の4インチ×12インチ(10.2cm×30.5cm)シートを、円筒形の真空シリンダ中で回転させ、そして繊維を厳格に乾燥しようと試みて、真空度の高い減圧(0.05mmの水銀、6.7Pa)下、室温で18時間、保持した。フラスコを、なお減圧下で窒素充填グローブボックスに移し、そして繊維状デキストランアルデヒドシートを取り出し、そしてグローブボックス中の密封されたプラスチックバックに移した。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った8cm×10cmシート(0.71g)の乾燥した繊維状デキストランアルデヒドシートを、PTFEシートで裏打ちした浅いアルミニウム皿に置いた。繊維状デキストランアルデヒドシートを、12mLのジクロロメタン中0.3gの乾燥した4アームPEG2Kテトラアミン(CHO:NH2=4.0)の溶液で徹底的に湿潤させた。湿潤繊維状シートを、窒素流下で15分間、乾燥し、次いで、皿を、減圧チャンバ中に置き、そして40分間、排気した。これにより、本来の繊維状デキストランシートに類似する軟質の外観上乾燥した繊維状シートが生成した。繊維状シートを、使用するまで、グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中、窒素下で貯蔵した。
実施例8および9
デキストランアルデヒドおよび4アームPEGテトラアミン(P4−2−1)を含んでなる繊維状シートを使用するブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するためのデキストランアルデヒドおよび4アームPEG2Kテトラアミン(P4−2−1)を含んでなる無水繊維状シートの使用について実証する。
実施例7に記載の無水繊維状シートを、それぞれ約0.06〜0.09gに秤量された2cm×3cmの矩形パッチに切断した。本来のREEMAY(登録商標)裏打ち材から離れたパッチのスムーザーの上側部は、含浸およびエバポレーション中にPEGアミンが底に濃縮し得ることから、いくらかアルデヒドがより豊富であり得るため、通常、この面を組織に適用した。繊維状シートのアルデヒドの豊富な面を組織と接触させることは、アルデヒド基と組織上の遊離のアミン基との相互作用による接着を増加し得ると考えられる。
実施例6および7に記載のように、この無水繊維状シートを使用して、ブタ子宮角を封止した。繊維状シートを、1cm切開部の上方の湿ったブタ子宮角上で軽く押圧し、そして外片部の周りに軽く填塞して、組織への結合を確立するのに役立てた。次いで、シートに、植物用霧吹きで霧吹きして、それを完全に湿潤させた(実施例8)。第2のシートを使用した場合(実施例9)、同じ様式で、それを直ちに、第1のパッチに適用した。シートを、水中に浸漬し、圧試験を行う前に、1分間、架橋させた。圧試験の結果を表2にまとめて示す。
Figure 0005559190
結果は、デキストランアルデヒドおよびP4−2−1PEGアミンを含有する無水繊維状シートがブタ子宮角における切開部を封止するのに有効であったことを実証し、そして繊維状シートが組織接着剤およびシーラントとして有用であることを示唆する。
実施例10
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含有する溶液を、4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含有する溶液で被覆した繊維状ポリマーシートにエレクトロブロースピニングした。
試薬調製の方法Aに記載の通りに調製した20wt%のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含有する溶液を、実施例1実施例に示す条件に類似の条件下、100kVで、エレクトロブロースピニングにして、約1〜3μmの繊維直径を有する約1ミリメートル厚の繊維状ポリマーシートを生じさせた。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーの走査電子顕微鏡写真を図2に示す。この繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーシートを、窒素充填グローブボックスに貯蔵し、そして大気の二酸化炭素から保護した。シートは極めて親水性であり、そして手が僅かでも湿っていれば、手に頑強に粘り着く。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った10cm×12cmシート(0.75g)のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーを、PTFEシートで裏打ちした浅いアルミニウム皿に置いた。皿を窒素充填グローブボックス中に置き、そして繊維状シートを、10mLのジクロロメタン中試薬調製に記載のように調製した0.30gの4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)(CHO:NH2=0.31)の溶液で徹底的に湿潤した。湿潤させたシートを、窒素流下で15分間、乾燥し、次いで、皿を、減圧チャンバ中に置き、そして20分間、排気し、本来の繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーシートに類似する軟質の外観上乾燥したシートが生成した。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる繊維状シートを、使用するまで、グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中、窒素下で貯蔵した。
実施例11
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる繊維状シートを使用するブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するためのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの使用について実証する。
実施例10に記載の通りに調製したポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる繊維状シートを、1.5cm×2cmの矩形パッチに切断した。パッチの重量は、約50〜60mgであった。実施例8および9に記載の理由のため、パッチのスムーザーの上側部を、常に組織に適用した。実施例5および6に記載のように、この繊維状シートを使用して、ブタ子宮角の切開部を封止した。単一のパッチを、1cm切開部の上方の湿ったブタ子宮角上で軽く押圧し、そして外片部の周りに軽く填塞して、組織への結合を確立するのに役立て、次いで、圧試験の前に1分間、硬化させた。パッチは、典型的に、適用後の霧吹きでは、それ以上湿潤しなかった。
この試験における10の治験の平均リーク圧は、1.79±1.30psig(12.3±9.0kPa)であった。
この結果は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および4アームPEG2Kテトラ(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートがブタ子宮角における切開部を封視するのに有効であることを実証し、そして繊維状シートが、組織接着剤およびシーラントとして有用であることを示唆する。
実施例12
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含有する溶液を、PEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含有する溶液で被覆した繊維状ポリマーシートにエレクトロブロースピニングした。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例10に記載の8cm×10cmシート(0.48g)のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーシートを、PTFEシートで裏打ちした浅いアルミニウム皿に置いた。皿を窒素充填グローブボックス中に置き、そして繊維状シートを、10mLのジクロロメタン中試薬調製に記載のように調製した0.18gのPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)(CHO:NH2=0.49)の溶液で徹底的に湿潤した。湿潤させたシートを、窒素流下で15分間、乾燥し、次いで、皿を、減圧チャンバ中に置き、そして10分間、排気し、繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーの本来のシートに類似する軟質の外観上乾燥したシートが生成した。シートを、使用するまで、グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中、窒素下で貯蔵した。
実施例13
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含有する溶液を、PEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含有する溶液で被覆した繊維状ポリマーシートにエレクトロブロースピニングした。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った実施例10に記載の7cm×10cmシート(0.43g)のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーシートを、PTFEシートで裏打ちした浅いアルミニウム皿に置いた。皿を窒素充填グローブボックス中に置き、そして繊維状シートを、10mLのジクロロメタン中試薬調製に記載のように調製した0.25gのPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)(CHO:NH2=0.76)の溶液で徹底的に湿潤した。湿潤させたシートを、窒素流下で15分間、乾燥し、次いで、皿を、減圧チャンバ中に置き、そして10分間、排気し、繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーの本来のシートに類似する軟質の外観上乾燥したシートが生成した。シートを、使用するまで、グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中、窒素下で貯蔵した。
実施例14および15
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および(and and)PEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる繊維状シートを使用するブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するためのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含んでなる無水繊維状シートの使用について実証する。
実施例12および13に記載の無水繊維状シートを、実施例5および6に記載のブタ子宮角破損試験に供した。繊維状シートを、1.5cm×2cmの矩形片に切断した。矩形のほとんどの重量は、約60mgであったが、約20〜30mgのいくつかの薄いパッチも認められた。本来のREEMAY(登録商標)支持体から離れたパッチのスムーザーの上側部を、常に、組織に適用した。単一のパッチを、1cm切開部の上方の湿ったブタ子宮角上で軽く押圧し、そして外片部の周りに軽く填塞して、組織への結合を確立するのに役立て、そして圧試験の前に60秒間、硬化させた。パッチは、適用後の霧吹きでは、それ以上湿潤しなかった。少数の実験では、パッチを湿った組織上に押圧し、次いで、子宮角切片を直ちに、60秒間、浸漬しながら、パッチを硬化させた。破損圧力は、それらの場合では、パッチを空気中で硬化させた場合と同じ程度に高かった。平均リーク圧および標準偏差を、表3に示す。
Figure 0005559190
結果は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ビス(チオメチルアルデヒド)を含有する無水繊維状シートがブタ子宮角における切開部を封止するのに有効であったことを実証し、そして繊維状シートが組織接着剤およびシーラントとして有用であることを示唆する。接着(adhesion)は、すべての場合において良好であり、そして粘着(cohesion)より良好であった。パッチを引き剥がした場合、微量のヒドロゲル接着剤が組織上に残留した。PEG600ビス(チオメチルアルデヒド)充填量がより低いと、より高い充填量(実施例15)より高い破損圧力を生じるようである(実施例14)。パッチが高度に湾曲した組織表面に順応できないため、漏出は、典型的に縁部で認められた。組織に密着する一方、縁部での良好な接着のためにパッチが最初に湿潤されていることは、パッチにとって重要である。より薄いパッチは、より厚いパッチほどの粘着強度はないが、湾曲した組織の表面に極めて良好に順応および接着した。
実施例16
デキストランアルデヒドおよびデキストランアセトアセテートを含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、デキストランアルデヒドおよびデキストランアセトアセテートを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。繊維状シートは、両方の成分の混合物を含有する溶液をエレクトロブロースピニングすることによって、形成した。
凝集を防止するために3滴の酢酸を含有する、水中(試薬調製に記載のように調製した)25wt%のD10−48を含有する15gのデキストランアルデヒド溶液、および試薬調製に記載の通りに調製した5gのデキストランアセトアセテートの混合物を調製した。混合物は、最初に、粘性の溶液を生じたが、直ちにゲル化した。5gの水と共に撹拌および加熱すると、冷却時に再度ゲル化する溶液が生じた(酢酸を省略すると、過剰の水に溶解せず、かつ加温時に液化しない架橋したゲルが生じた)。混合物を再度加温すると、15wt%のD10−48および20wt%のデキストランアセトアセテートを含有する液体のスピニング可能な溶液を生じた。この溶液を、実施例1に記載のように、エレクトロブロースピニングして繊維にした。繊維の羽状毛は、実施例1の溶液の場合より狭かった。ポリマーは、明らかに、同量の電荷を持っていなかったが、それはなお良好にスピニングされた。平均繊維直径は、約1600nm(1.6μm)であった。繊維状シートは、33wt%のD10−48および67wt%のデキストランアセトアセテートを含有し、そして数mmの厚さであったが、処理によって、例えば、圧力の適用時に、極めて容易に圧縮され、シートは、約0.01インチ(0.25mm)の厚さに扁平にされた。繊維状シートは、合理的な強度を有し、そして裂けることなく、取り扱うことができたが、裂くことは困難ではなかった。シートは極めて親水性であり、そして手が僅かでも湿っていれば、手に頑強に粘り着く。
デキストランアルデヒドおよびデキストランアセトアセテートを含んでなる繊維状シートを、水性塩基で処置して、溶解し、酸性アセトアセテートの求核共役塩基と求電子性デキストランアルデヒド基との縮合を介するヒドロゲルへの架橋を行った。具体的には、そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った1片の繊維状シートに、10wt%炭酸ナトリウムを含有する水溶液を噴霧するとき、湿らせた繊維状シートは、半透明になったが、架橋の結果としてその形状を保持して、脆い非膨潤性のヒドロゲルを形成した。
上記の繊維状シートに噴霧したが、但し、湿潤のために希釈炭酸ナトリウム溶液(即ち、0.2wt%)を使用した場合、僅かに膨潤した透明な架橋ヒドロゲルが形成した。繊維状シートは、その形状を保持し、そしていくらか取り扱うことができたが、若干脆弱であった。
上記の繊維状シートに噴霧したが、但し、湿潤のために水または水性リン酸緩衝液(pH7.4)使用した場合、アセトアセテートの求核共役塩基を形成して、求電子性デキストランアルデヒド基と反応させるために、より強力な塩基を必要とするため、架橋ヒドロゲルは形成されなかった。
さらに、微細に粉砕した重炭酸ナトリウム(20mg)を、そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取ったデキストランアルデヒドおよびデキストランアセトアセテートを含有する23mg片の繊維状シート上に均等に拡げ、そしてこすり合わせた。水で湿らせた場合、繊維状シートは、半透明になったが、剛性の脆弱なヒドロゲルとしてその形状を維持した。
実施例17
繊維状デキストランアルデヒドおよび繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、一層の求核性ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維および一層の求電子性デキストランアルデヒド/デキストラン100K繊維を含んでなる無水二層繊維状シートの調製を実証する。
試薬調製、方法Bに記載の通りに調製した10gのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマー、および45gの脱イオン水の混合物を、水浴中70℃で、2時間、撹拌して、18wt%のポリマーを含有する粘性の溶液を生じさせた。この溶液を使用して、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーをスピニングして、繊維状シートにした。
30gのデキストランアルデヒド溶液(D10−50、25wt%)(出発デキストランMw=10kDa;50mol%のグルコース環がジアルデヒドに酸化された)および9gのデキストラン100K(Mw=100kDa;Aldrich D4876)の混合物を、室温で10分間、撹拌し、次いで、6gの水を添加し、そして溶液を、さらに5分間、撹拌した。溶液は、17wt%のD10−50および20wt%のデキストラン100Kを含有した;37wt%の全固体。
この溶液からスピニングされた中実繊維は、D10−50デキストランアルデヒド46wt%/デキストラン100kDa54wt%(CHO EW=340)の組成を有した。
実施例1に記載のエレクトロブロースピニング装置では、REEMAY(登録商標)裏打ち材によって被覆された全巻き取りドラム領域は、約1900cm2であった。目的は、この領域にわたる各ポリマー繊維の合計で約2gに等価である約1mg/cm2厚の一層の各ポリマー繊維を沈積させることであった。約1.2の密度を伴うポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)の18wt%溶液では、約10mLの溶液を、スピニングして、1mg/cm2の繊維状シートを生じさせた。類似の密度を伴うデキストランアルデヒド/デキストラン100Kの37wt%の溶液では、スピニングして、1mg/cm2の繊維状シートを生じさせるために、約5mLの溶液が必要であった。巻き取りドラムを、(オリフィスから36cm離れた)より低い位置に移して、REEMAY(登録商標)支持体上の繊維の分布を改善した。10mLの18wt%ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)溶液から、一層の繊維を、ドラム上に、25分間、120psig(827kPa)でエレクトロブロースピニングし、続いて、5mLの37wt%デキストランアルデヒド/デキストラン100K溶液から、一層の繊維を、約4分間、40psig(276kPa)でエレクトロブロースピニングした。この二層の繊維状シートは、CHO:NH2比=1.15を有した。繊維状シートを、使用するまで、窒素充填グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中で貯蔵した。
実施例18および19
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびデキストランアルデヒドを含んでなる繊維状シートを使用するブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するための繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および繊維状デキストランアルデヒドを含んでなる無水繊維状シートの使用について実証する。
実施例17に記載のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびデキストランアルデヒド/デキストラン100Kを含んでなる二層繊維状シートの中心由来の2.5cm×37cm(93cm2)切片を、REEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った。繊維状シートを200mg秤量し、そしてシートは、厚さにおいて必ずしも均一ではなかったが、これは、約2.2mg/cm2に等価である。繊維状シートのこのストリップを、中央で切断して、同じ幅および本来の長さの半分の2つのストリップにし、そして2つのストリップを、個別に、約1.8cm直径の棒に巻き付けた。巻き付けられたロールを、それぞれ、剃刀の刃で横方向に細断し、そしてポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)とデキストランアルデヒド/デキストラン100Kとが交互に配置された3つもしくは4つの層からなる2.5cm×6cmの層化シートに扁平化した。各多層化シートを、約30mgの重量の3つの2.5cm×2cmの矩形片に切断した。実施例18では、実施例5および6に記載のように、多層化繊維状シートの単一片を使用して、ブタ子宮角の切開部を封止した。
実施例17に記載のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびデキストランアルデヒド/デキストラン100Kを含んでなる二層繊維状シートの中心由来のもう1つの2cm×37cm切片を、REEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取り、そして1.5cm×2cmのパッチに切断した;これらのパッチのそれぞれの重量は、僅か約6mgであった。実施例19では、4つもしくは5つのこれらの単一の厚さの二層パッチを、ブタ子宮角における切開部上で、1つの別のパッチの頂部に適用して、多層パッチを組み立て、これを、実施例5および6に記載のブタ子宮角破損試験に供した。
破損試験では、繊維状パッチを、1cmの切開部の上方の湿ったブタ子宮角に対して、アミン側を下にして(即ち、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維面を組織表面に暴露させて)堅固に押圧し、そして縁部を乾燥スパーテルで填塞して、封止した。実施例18の多層パッチを使用した場合、子宮角上のパッチに、水を切り吹きして、それを湿潤させ、次いで、ブタ子宮角を水に浸漬して、そして圧試験の前に、60秒間、硬化させた。実施例19の単一の厚さの二層繊維状パッチを使用して、多層を組み立てる場合、第1のパッチを、アミン側を下にして、湿った組織上に押圧した。第1のパッチに十分に水を吸収させて、湿潤させた場合、次のパッチもまた、アミン側を下にして、さらに湿らせることなく、またはさらに最小限に湿らせて適用した。この方法では、1つおきにパッチを適用した後のみに水を切り吹きして、4つもしくは5つのパッチの多層構造を組み立てた。多層パッチを組み立てて、架橋を最大限にする場合、対応する繊維層を界接させるように注意する;即ち、デキストランアルデヒド繊維がポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維に面するように適用した。パッチを、水中に浸漬し、圧試験を行う前に、60秒間、硬化させた。圧試験の結果を表4にまとめて示す。
Figure 0005559190
結果は、繊維状ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および繊維状デキストランアルデヒドの交互の層を含んでなる無水繊維状シートがブタ子宮角における切開部を封止するのに有効であったことを実証し、そして繊維状シートが組織接着剤およびシーラントとして有用であることを示唆する。
実施例20
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)および直鎖PEG600ジイソシアネートを含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ジイソシアネートを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)を含有する溶液を、PEG600ジイソシアネートを含有する溶液で被覆した繊維状ポリマーシートにエレクトロブロースピニングした。
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)ポリマーを、連鎖移動剤を用いたことを除いて、上記の試薬調製の方法Bに従って、調製した。これは、約10mol%アミンを伴うより高い分子量のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)(Mw=1000K)を提供した。このポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)溶液の12wt%溶液を、実施例1に記載の装置を使用して、0.5mL/minの溶液供給速度を使用する100kVで、エレクトロブロースピニングして、約0.5〜1μmの繊維直径を有する繊維状ポリマーを生じさせた。オリフィスからドラムまでの距離は、エレクトロブロースピニングプロセスでは、約40cmであった。得られたポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーシートを、窒素充填グローブボックスに貯蔵し、そして大気の二酸化炭素から保護した。
そのReemay(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取ったポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)繊維状ポリマーシートの7cm×10cmのシート(0.22g、シートは、先の実施例で試験した他の繊維状シートと比較して薄かった)を、PTFEシートで裏打ちしておいた浅いアルミニウム皿に置いた。皿を窒素充填グローブボックス中に置き、そしてシートを、10mLのジクロロメタン中試薬調製に記載のように調製した0.10gのPEG600ジイソシアネート(NCO:NH2=0.67)の溶液で徹底的に湿潤した。湿潤シートを、窒素流下で15分間、乾燥し、次いで、皿を、減圧チャンバ中に置き、そして10分間、排気した。これにより、本来の繊維状ポリマーシートに類似する軟質の外観上乾燥したシートが生成した。シートを、使用するまで、グローブボックスにおいて、密封されたプラスチックバック中、窒素下で貯蔵した。
実施例21
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ジイソシアネートを含んでなる無水繊維状シートによるブタ子宮角における切開部の封止
以下の実施例は、ブタ子宮角における切開部を封視するためのポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ジイソシアネートを含んでなる無水繊維状シートの使用について実証する。
実施例20に記載のポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)およびPEG600ジイソシアネートを含んでなる無水繊維状シートを、実施例5および6に記載のブタ子宮角破損試験に供した。シートを、1.5cm×2cmの矩形片に切断した。矩形のほとんどの重量は、約15mgであった。単一のパッチを、1cm切開部の上方の湿ったブタ子宮角上で軽く押圧し、そして外片部の周りに軽く填塞して、組織への結合を確立するのに役立て、1回霧吹きし、そして圧試験の60秒前に、硬化させた。接着は、すべての場合において優秀であり、そして破損圧力は、薄いパッチにもかかわらず高く、具体的には、2つの治験の平均リーク圧は、3.70±0.28psig(25.5±1.93kPa)であった。
実施例22
異なる2つの分子量のデキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含んでなる無水繊維状シートの調製
以下の実施例は、ジクロロメタン中にP8−10−1PEGアミンを含有する溶液で湿潤させることによって、8アームPEG10Kオクタアミン(P8−10−1)を含浸させた異なる2つの分子量のデキストランアルデヒドを含有する繊維状ポリマーを含んでなる無水繊維状シートの調製について実証する。
異なる2つの分子量のデキストランアルデヒドを含有する繊維状ポリマーシートを、以下の通りに調製した:水中(試薬調製に記載のように調製した)25wt%のD10−50を含有する20gのデキストランアルデヒド溶液、および(試薬調製に記載の通りに調製した)3gの固体デキストランアルデヒドD100−6の混合物を、2つの成分を、45℃で1時間、撹拌することによって、調製した。次いで、得られた透明な溶液を、スピニングの前に、30分間、室温で静置させた。この溶液を、実施例1に記載のように、エレクトロブロースピニングして繊維にした。10〜20psigの供給圧力および4psigの噴流圧力でスピニングしたとき、溶液は、細かな短い繊維(<1cm)を生じさせ、これは、沈積されて、ファインフェルトを生じた。平均繊維直径は、350〜700nmであった。繊維状シートは、63wt%D10−50および37wt%デキストランアルデヒドD100−6を含有した。
そのREEMAY(登録商標)裏打ち材から剥ぎ取った上記の通りに調製した繊維状デキストランアルデヒドシートの331mg片を、アルミニウム秤量皿に置き、そして3mLのジクロロメタン中0.28gのP8−10−1の溶液で均等に滴下して湿潤させた。湿らせたシートを、窒素流下で乾燥させて、CHO:NH2=7.0を伴う組成物を生じさせた。
実施例23
異なる2つの分子量のデキストランアルデヒドおよび8アームPEG10Kオクタアミンを含んでなる繊維状シートのブタ子宮角に対する組織接着
実施例22に記載の繊維状シートの1cm×2cm切片を、2インチ(5cm)切片の湿ったブタ子宮角上に置き、そして軽く水を吹き付けて、切片を完全に湿潤させた。湿潤後、シートは、接着性の半透明ヒドロゲルパッチを形成した。パッチの縁部に力を適用するか、またはスパーテルでそれを軽くこする試験でもまた、パッチは脱落しなかったことから、パッチは良好に接着したことが示された。この場合の組織接着は、高分子量デキストラン成分が非官能化された、実施例4の対応する組成物より優れているようである。この改善は、実施例22の繊維状シートにおける高分子量デキストラン成分が低レベルのアルデヒド基で官能化され、それ故、ヒドロゲルの架橋された構造に関与する可能性があるという事実により得る。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 無水繊維状シートであって、求電子基または求核基を含む繊維状ポリマーの第1の成分と、前記シートが水性媒体に暴露される場合、前記第1の成分と架橋して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成することが可能な第2の成分とを含有する、無水繊維状シート。
2. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーと同じもしくは異なる骨格構造を有する繊維状ポリマーであって、そして前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する繊維状ポリマーである、上記1に記載の無水繊維状シート。
3. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマー上の被覆であり、そして前記被覆は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記1に記載の無水繊維状シート。
4. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーの隙間内に分散および捕捉された乾燥粉末であり、ここで、前記乾燥粉末は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記1に記載の無水繊維状シート。
5. 前記第1の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、およびスクシンイミジルエステルからなる群から選択される、上記1に記載の無水繊維状シート。
6. 前記第2の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、スクシンイミジルエステル、およびイソシアネートからなる群から選択される、上記1に記載の無水繊維状シート。
7. 前記第1の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記1に記載の無水繊維状シート。
8. 前記第2の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記1に記載の無水繊維状シート。
9. 前記繊維状ポリマーは、求電子基もしくは求核基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなり、そして前記第2の成分は、前記繊維状ポリマーが、求電子基を有する水分散性ポリマーである場合、求核基を有するか、または前記繊維状ポリマーが、求核基を有する水分散性ポリマーである場合、求電子基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、上記1に記載の無水繊維状シート。
10. 前記繊維状ポリマーは、アルデヒド基を有する酸化多糖類、アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー、およびアセトアセテート基で誘導体化される多糖類からなる群から選択される求電子基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
11. 前記第2の成分は、アルデヒド基を有する酸化多糖類、アセトアセテート基で誘導体化されるポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー、アセトアセテート基で誘導体化される多糖類、アセトアセテート基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテル、アルデヒド基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテル、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテル、およびイソシアネート基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテルからなる群から選択される求電子基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
12. 前記繊維状ポリマーは、第一級アミン基、第二級アミン基、もしくはアセトアセテート基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;および第一級アミン基、第二級アミン基、もしくはアセトアセテート基を有する多糖類からなる群から選択される求核基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
13. 前記第2の成分は、第一級アミン基もしくは第二級アミン基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテル;第一級アミン基、第二級アミン基もしくはアセトアセテート基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマー;第一級アミン基、第二級アミン基、もしくはアセトアセテート基を有する多糖類;チオール基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテル;およびカルボキシヒドラジド基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテルからなる群から選択される求核基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
14. 前記繊維状ポリマーは、アルデヒド基を有する少なくとも1つの酸化多糖を含んでなり、そして前記第2の成分は、少なくとも1つの水分散性マルチアームポリエーテルアミンを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
15. 前記少なくとも1つの酸化多糖は酸化デキストランであり、そして前記少なくとも1つの水分散性マルチアームポリエーテルアミンはマルチアームポリエチレングリコールアミンである、上記14に記載の無水繊維状シート。
16. 前記繊維状ポリマーは、第一級アミン基もしくは第二級アミン基を有するポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアルコール)コポリマーを含んでなり、そして前記第2の成分は、イソシアネート基で誘導体化される線状もしくは分岐ポリエーテルを含んでなる、上記9に記載の無水繊維状シート。
17. 前記繊維状ポリマーは、エレクトロスピニング、エレクトロブロースピニング、または高速回転噴霧器スピニングによって調製される、上記1に記載の無水繊維状シート。
18. 生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するための方法であって、以下の工程:
a)前記部位に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる無水繊維状シートを適用する工程;ならびに
b)前記第1および前記第2の成分を前記部位上で架橋させて、前記組織に接着性であるヒドロゲルを形成させる工程
を含んでなる、方法。
19. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーと同じもしくは異なる骨格構造を有する繊維状ポリマーであって、そして前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する繊維状ポリマーである、上記18に記載の方法。
20. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマー上の被覆であり、そして前記被覆は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記18に記載の方法。
21. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーの隙間内に分散および捕捉された乾燥粉末であり、ここで、前記乾燥粉末は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記18に記載の方法。
22. 前記第1の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、およびスクシンイミジルエステルからなる群から選択される、上記18に記載の方法。
23. 前記第2の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、スクシンイミジルエステル、およびイソシアネートからなる群から選択される、上記18に記載の方法。
24. 前記第1の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記18に記載の方法。
25. 前記第2の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記18に記載の方法。
26. 生存生物体の組織における外科的または外傷性創傷からの出血を抑制する方法であって、以下の工程:
a)前記創傷に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる無水繊維状シートを適用する工程;ならびに
b)血液を吸収することによって前記シートを水和させ、それによって、前記第1の成分および前記第2の成分が架橋して、組織に粘着性であるヒドロゲルを形成させる工程
を含んでなる、方法。
27. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーと同じもしくは異なる骨格構造を有する繊維状ポリマーであって、そして前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する繊維状ポリマーである、上記26に記載の方法。
28. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマー上の被覆であり、そして前記被覆は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記26に記載の方法。
29. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーの隙間内に分散および捕捉された乾燥粉末であり、ここで、前記乾燥粉末は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、上記26に記載の方法。
30. 前記第1の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、およびスクシンイミジルエステルからなる群から選択される、上記26に記載の方法。
31. 前記第2の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、スクシンイミジルエステル、およびイソシアネートからなる群から選択される、上記26に記載の方法。
32. 前記第1の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記26に記載の方法。
33. 前記第2の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、上記26に記載の方法。
34. 生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するための方法であって、以下の工程:
a)前記部位に、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分を適用する工程;
b)前記部位に、前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる水性の溶液または分散液を適用する工程;ならびに
c)前記第1および前記第2の成分を前記部位上で架橋させて、組織に接着性であるヒドロゲルを形成させる工程
を含んでなる、方法。
35. 非生分解性裏打ち材、剥離可能な裏打ち材または生分解性裏打ち材をさらに含んでなる、上記1に記載の無水繊維状シート。

Claims (13)

  1. 無水繊維状シートであって、求電子基または求核基を含む繊維状ポリマーの第1の成分と、前記シートが水性媒体に暴露される場合、前記第1の成分と架橋して、生物学的組織に接着性である架橋ヒドロゲルを形成することが可能な第2の成分とを含有し、ここで前記繊維状ポリマーが、少なくとも1,000のアスペクト比を有する繊維の形態である天然、合成、または半合成のポリマーである、無水繊維状シート。
  2. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーと同じもしくは異なる骨格構造を有する繊維状ポリマーであって、そして前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する繊維状ポリマーである、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  3. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマー上の被覆であり、そして前記被覆は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  4. 前記第2の成分は、前記第1の成分の前記繊維状ポリマーの隙間内に分散および捕捉された乾燥粉末であり、ここで、前記乾燥粉末は、前記第1の成分が求核基を含有する場合、求電子基を含有するか、または前記第1の成分が求電子基を含有する場合、求核基を含有する、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  5. 前記第1の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、およびスクシンイミジルエステルからなる群から選択される、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  6. 前記第2の成分の前記求電子基は、アルデヒド、アセトアセテート、スクシンイミジルエステル、およびイソシアネートからなる群から選択される、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  7. 前記第1の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  8. 前記第2の成分の前記求核基は、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシヒドラジド、アセトアセテート、およびチオールからなる群から選択される、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  9. 前記繊維状ポリマーは、求電子基もしくは求核基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなり、そして前記第2の成分は、前記繊維状ポリマーが、求電子基を有する水分散性ポリマーである場合、求核基を有するか、または前記繊維状ポリマーが、求核基を有する水分散性ポリマーである場合、求電子基を有する少なくとも1つの水分散性ポリマーを含んでなる、請求項1に記載の無水繊維状シート。
  10. 生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するための無水繊維状シートであって、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含み、ここで前記繊維状ポリマーが、少なくとも1,000のアスペクト比を有する繊維の形態である天然、合成、または半合成のポリマーであり、およびここで前記第1および前記第2の成分は、前記部位上で架橋して、前記組織に接着性であるヒドロゲルを形成する、無水繊維状シート。
  11. 生存生物体の組織における外科的または外傷性創傷からの出血を抑制するための無水繊維状シートであって、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分および前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含み、ここで前記繊維状ポリマーが、少なくとも1,000のアスペクト比を有する繊維の形態である天然、合成、または半合成のポリマーであり、およびここで前記シートは、血液を吸収することによって水和し、それによって、前記第1の成分および前記第2の成分が架橋して、組織に粘着性であるヒドロゲルを形成する、無水繊維状シート。
  12. 生存生物体の組織上の解剖学的部位に被覆を適用するためのキットであって、求電子または求核基を含有する繊維状ポリマーの第1の成分、および水性の溶液または分散液であって前記第1の成分と架橋することが可能な第2の成分を含んでなる水性の溶液または分散液を含み、ここで前記繊維状ポリマーが、少なくとも1,000のアスペクト比を有する繊維の形態である天然、合成、または半合成のポリマーであり、およびここで前記第1および前記第2の成分は、前記部位上で架橋して、組織に接着性であるヒドロゲルを形成する、キット。
  13. 非生分解性裏打ち材、剥離可能な裏打ち材または生分解性裏打ち材をさらに含んでなる、請求項1に記載の無水繊維状シート。
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