図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回または7回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。また、変動短縮遊技の実行中においては、普通図柄の変動表示時間も短縮され、始動口62の拡開機構が拡開されたときの保持時間が相対的に長く設定される(以下、これを「開放延長」ともいう)。特別図柄、装飾図柄および普通図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であって所定の特定遊技抽選で当たりとなった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例では、確変付きの大当たりとなったか否かや、確率変動状態に至ったことは遊技者に報知されず、その報知に代わるものとして確率変動状態に至ったか否かを特殊演出を通じて遊技者が推測できるようにする。この特殊演出は通常遊技における時短終了後に実行されるが、その詳細については後述する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御部として機能する。メイン基板102は、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御する副制御部として機能する。サブ基板104は、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、時短回数決定手段126を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は設定された回数繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が設定回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の設定回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。特定遊技実行手段122は、時短中において特別図柄の変動開始ごとにその時短中であることを表す時短継続情報を演出決定手段132へ送信する。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が当たりの場合であって確変状態へ移行すべき抽選結果となった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、その時短変動回数(特別遊技後の特別図柄の変動回数にて定義される)が、時短回数決定手段126によって設定された回数に至るまで継続される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
時短回数決定手段126は、特別遊技の終了後に実行する時短の継続期間である時短変動回数を予め設定された複数の候補から後述する時短抽選によって決定する。本実施例では、時短変動回数の候補として28回、29回、30回、31回が設定され、各候補ごとに確率変動状態へ移行する確率が異なる。時短回数決定手段126による決定内容は特定遊技実行手段122へ通知される。
パターン記憶手段130は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンデータを保持する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。装飾図柄の種類は、図柄決定手段114における図柄種類の決定に対応するよう2つのグループに分けられてもよい。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
図4は、確変状態と時短変動回数との対応関係を示す時短抽選テーブルを表す図である。 時短抽選テーブル210には、確変付きの大当たり(「確変大当たり」ともいう)となったときに用いられる確変時選択テーブル212と、確変付きでない大当たり(「通常大当たり」ともいう)非確変時選択テーブル214が含まれる。時短回数決定手段126は、時短抽選に際してこの時短抽選テーブル210を用いる。
本実施例では、確変時および非確変時ともに上述のように時短変動回数の候補が4段階に設定されている。また、確変状態へ移行する旨が決定されたときの各段階の候補の選択確率と、確変状態へ移行する旨が決定されなかったときの対応する候補の選択確率との大小関係が、各候補の時短変動回数の段階的な増加とともに交互に入れ替わるように設定されている。すなわち、確変大当たりの場合、時短抽選により時短変動回数として28回が選択される確変大当たりAの確率が8.34%、29回が選択される確変大当たりBの確率が29.99%、30回が選択される確変大当たりCの確率が8.34%、31回が選択される確変大当たりDの確率が53.33%に設定されている。一方、通常大当たりの場合、時短抽選により時短変動回数として28回が選択される通常大当たりAの確率が41.65%、29回が選択される通常大当たりBの確率が10.00%、30回が選択される通常大当たりCの確率が41.65%、31回が選択される通常大当たりDの確率が6.7%に設定されている。したがって、時短変動回数が28回および30回のときは通常大当たりとなる可能性が高く、29回および31回のときは確変大当たりとなる可能性が高くなる。言い換えれば、4段階に設定された時短変動回数の段階を経るごとに、確変大当たりの可能性が交互に高くなったり低くなったりする。本実施例では、時短変動回数によって確変大当たりの確率が上記のように振り分けられており、また、確率変動突入率が20%に設定されている。このため、確変状態の期待度は、決定された時短変動回数が28回のときに4.80%、29回のときに42.80%、30回のときに4.80%、31回のときに66.70%となる。
図5は、特殊演出の決定に用いられる特殊演出テーブルを表す図である。
特殊演出テーブル220には、特殊演出の際に用いられる演出テーブルと時短変動回数との対応関係が示されている。本実施例では、特別遊技の終了後に時短に移行すると、その時短変動回数が特定の回数に到ったときに、図柄変動と並行して予め設定された特殊演出が実行される。図示のように、時短変動回数が28回に対して演出テーブルA、29回に対して演出テーブルB、30回に対して演出テーブルC、31回に対して演出テーブルDがそれぞれ対応している。各演出テーブルに設定された複数の特殊演出のパターンデータは、パターン記憶手段130に記憶されている。上述のように、時短変動回数が29回および31回のときに確変大当たりとなる可能性が高くなり、28回および30回のときにはその可能性が低くなる。このため、演出テーブルBおよびDには確変大当たりの可能性が高いことを示唆する内容の特殊演出が設定され、演出テーブルAおよびCにはその可能性が低いことを示唆する内容の特殊演出が設定されている。これにより、遊技者は、その特殊演出を見ることで確変状態にあるか否かを推測することができる。
図6は、特殊演出を伴う具体的処理の例を表すタイミングチャートである。同図の横軸は時間の経過を表している。
同図においては、時刻t1に特別遊技が終了するとともに時短が開始されている。すなわち、その特別遊技の開始前において当否抽選が行われ、その当否抽選の結果に基づき既に特別遊技終了後の時短変動回数が決定されている。
この時短中において、特定遊技実行手段122は、図柄変動の開始ごとに演出決定手段132に向けて時短継続情報を送出する。演出決定手段132は、この時短継続情報を受け取るごとに時短変動回数をアップカウントする。そして、時短変動回数が上述した所定回数に達すると、各演出テーブルに設定された複数の特殊演出の中から抽選によっていずれかを選択する。演出表示制御手段134は、演出決定手段132が決定した特殊演出のパターンデータをパターン記憶手段130から読み出してこれを表示させる。図示のように、カウントされた時短変動回数が時刻t2にて28回になると演出テーブルAが選択され、時刻t3にて29回になると演出テーブルBが選択され、時刻t4にて30回になると演出テーブルCが選択され、さらに時刻t5にて31回になると演出テーブルDが選択される。時短変動回数が31回に到るまでに終了した場合には、その終了時点の時短変動回数に対応する演出テーブルによる演出が継続して行われる。なお、本実施例において、演出決定手段132、演出表示制御手段134が「表示制御手段」に該当する。
この特殊演出は、図柄1変動の間に実行されるのではなく、対応する時短終了後の複数回(たとえば30回)の図柄変動をまたいで継続されるが、時短変動回数が28回から31回まで増加するごとに後続の時短変動回数に対応した演出内容に切り替えられる。このため、複数の演出テーブルが同時に選択されることはない。なお、時短中に大当たりが発生するなどの特殊な場合には、時短変動回数がたとえば一律100回となるように設定し、特殊演出を行わないようにしてもよい。
以上のように、時短回数決定手段126は、確変状態か否かに応じて異なる選択確率にて時短変動回数を選択する。しかし、メイン基板102は、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを遊技者に報知する手段を有しない。また、メイン基板102は、演出を制御するサブ基板104に対して、現在の遊技状態が確変状態か否かを通知する手段を有しない。したがって、サブ基板104は確変状態か否かを100%の確度で判定することができないので、サブ基板104で実行される演出的な表示においても確変状態か否かの断定的な報知はできない。しかし、確変状態か否かは遊技者にとって重要な関心事であり、これをまったく報知しない場合、演出として何らかの煽りをしない限り遊技への期待感減退に繋がりかねない。そこで、サブ基板104においては、メイン基板102から送られる時短継続情報のみに基づいて時短変動回数をカウントし、時短終了時の時短変動回数に対応した特殊演出を行うよう制御する。サブ基板104側でカウントした時短変動回数とメイン基板102側で選択した時短変動回数とは一致するため、メイン基板102側で決定された確変状態の有無とサブ基板104側で実行する特殊演出の内容とが高い確率で整合するようになる。その結果、遊技者は、特殊演出を見ることで確変状態にあるか否かを推測することができる。
図7は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図8は、図7におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。 通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34からS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行する(S40)。そして、図柄変動の停止タイミングになれば(S42のY)、図柄変動を停止させる(S44)。一方、S38にて図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40からS44までの処理をスキップする。S42にて図柄変動の停止タイミングでなければ(S42のN)、S44の処理をスキップする。
図9は、図8におけるS40の変動表示処理において図柄変動表示処理と並行して実行される特殊演出処理を詳細に示すフローチャートである。この特殊演出処理は、特別遊技終了後の通常遊技中に繰り返し実行される。なお、特殊演出は、たとえば装飾図柄190の背景として同図柄の変動表示と干渉しないように実行される。このため、図柄変動単位で実行されるのではなく図柄変動をまたいで実行されるが、何ら問題はない。
演出決定手段132は、時短が開始済みであって(S110のY)、時短継続情報を受信すると(S112のY)、時短変動回数nを1インクリメントする。なお、時短変動回数nの初期値はゼロに設定されている。S110において時短が開始されていない場合(S110のN)、S112において時短継続情報を受信していない場合には(S112のN)、いずれも当該特殊演出処理を一旦終了する。
そして、時短変動回数が28回に達すると(S116のY)、演出決定手段132が演出テーブルAを用いて特殊演出の演出内容を決定し、演出表示制御手段134が決定された特殊演出の表示を開始する(S118)。この場合、時短変動回数が28回にて時短終了となると、その演出テーブルAを用いた特殊演出が継続される。そして、図柄変動複数回分(たとえば図柄変動回数50回分など)に相当する所定の継続期間が経過すると、当該特殊演出が終了される。このようにして特殊演出が終了すると(S132のY)、記憶されている時短変動回数をクリアし(S134)、一連の処理を終了する。S132において、特殊演出が終了していない場合には(S132のN)、S134の処理はスキップされる。
一方、時短変動回数が28回を超え(S116のN)、29回に達すると(S120のY)、演出テーブルBにより特殊演出が決定されて演出表示される(S122)。この場合、時短変動回数が29回にて時短終了となると、その演出テーブルBによる特殊演出が継続される。同様に、時短変動回数が29回を超え(S120のN)、30回に達すると(S124のY)、演出テーブルCにより特殊演出が決定されて演出表示される(S126)。この場合、時短変動回数が30回にて時短終了となると、その演出テーブルCによる特殊演出が継続される。さらに、時短変動回数が30回を超え(S124のN)、31回に達すると(S128のY)、演出テーブルDにより特殊演出が決定されて演出表示される(S130)。この場合は、その時短変動回数31回にて時短終了となるため、その演出テーブルDを用いた特殊演出が継続される。いずれの特殊演出が実行されても、時短終了によって確定した特殊演出が終了すると(S132のY)、記憶されている時短変動回数をクリアし(S134)、一連の処理を終了する。なお、時短変動回数が28回に満たない間は、時短変動回数がインクリメントされた後に処理が一旦終了される(S114、S128のN、S132のN)。なお、この例では、時短変動回数をクリアする時点を特殊演出の終了を判定した後に行う例を示したが(S132,S134)、その判定前に、いずれかの演出が決定されたことをもってクリアするようにしてもよい。
なお、時短中に大当たりとなった場合であって、上述のように時短変動回数を一律100回にするような場合には、たとえば時短継続情報を32回受け取った時点で演出テーブルDを用いた特殊演出を直ちに終了するようにしてもよい。これにより、遊技者は前回の時短中に大当たりがあったことを認識することができる。
図10は、図7におけるS16を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72からS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記実施例においては、時短変動回数を4段階に設定し、各段階を経るごとに確変状態の期待度が交互に大きくなったり小さくなったりするようにしたが、時短変動回数の段階数はこれに限られず、適宜設定可能であることはいうまでもない。ただし、遊技者のドキドキ感を得るためには、少なくとも3段階以上に設定されるのが好ましい。
上記実施例においては、時短変動回数の候補を1回差で設定した例を示したが、その差分は遊技者による時短変動回数の識別が困難であればよく、たとえば2回差、3回差など数回差に設定してもよい。一方、時短中は始動口62の拡開機構が拡開する時間が相対的に長くなるいわゆる開放延長が実行される。このため、その開放延長の開始により遊技者が時短中であることを認識することも可能になる。その場合には、時短変動回数が1回差に設定されていれば、図柄変動の変動時間の設定によっては開放延長の時間が変動をまたぐように設定することも可能であり、そうすることで遊技者に時短変動回数を識別し難くすることができる。
上記実施例においては、時短変動回数が28回になると演出テーブルAによる演出が開始され、時短変動回数が29回になると演出テーブルBによる演出が開始される、といった具合に、サブ基板104側で時短変動回数がアップカウントされるごとに演出が切り替えられる例を示した。変形例においては、サブ基板104側で時短変動回数の確定の有無を判定し、その確定をもってその時短変動回数に対応する演出のみを開始するようにしてもよい。たとえば、時短変動回数の28回目がカウントされても演出テーブルAによる演出を直ちに開始するのではなく、次の図柄変動に際して演出決定手段132が29回目の時短継続情報を受け取らなかった場合に、時短変動回数が28回に確定したと判定してもよい。そして、その確定により演出テーブルAによる演出を開始するようにしてもよい。この場合、時短変動回数が28回に確定したので、後に29回以降に対応した演出テーブルによる演出は実行されることはない。同様に、時短変動回数が29回目までカウントされて30回目がカウントされない場合に時短変動回数が29回に確定したと判定し、その確定により演出テーブルBによる演出を開始するようにしてもよい。時短変動回数が30回、31回に確定した場合も同様である。このようにすることで、演出が途中で切り替えられることがないようにできる。
上記実施例においては、時短変動回数がアップカウントされるごとに対応する時短変動回数の演出に切り替える例を示した。このため、時短変動回数が早期に確定してしまうと、続く図柄変動において演出が切り替わらないため、遊技者がその時短変動回数の確定、ひいては確変状態か否かを容易に推測できてしまい、その後の図柄変動中の興趣が薄れる可能性がある。たとえば、時短変動回数が28回で確定した場合に演出テーブルAによる演出が開始されると、続く29回、30回に対応する図柄変動中も同じ演出テーブルAによる演出が継続される。このため、遊技者は、31回目の図柄変動を待つことなく確変状態にあるか否かを推測できてしまい、30回、31回目の図柄変動において期待感やドキドキ感が失われ、その間の遊技への興趣が薄れる可能性がある。そこで、時短変動回数の後ろの候補(たとえば最終候補)に対応する図柄変動が行われてから特殊演出を開始するようにしてもよい。上記の例でいえば、時短変動回数が28回、29回で確定したとしても、対応する演出テーブルによる演出を最終候補である時短変動回数31回目に対応する図柄変動が行われてからその特殊演出を開始するようにしてもよい。このようにすることで、時短変動回数の各候補に対応する図柄変動が行われる間、遊技に対する遊技者の興趣を維持することができる。その場合、演出テーブルの選択および演出内容の決定については、時短変動回数の確定時の候補に対応するものとなるが、その選択および決定時点は、その時短変動回数の確定時であってもよいし、最終候補に対応する図柄変動の終了時点であってもよい。また、時短変動回数の各候補に対応する図柄変動が行われる間は、それ以前の時短中の演出を継続してもよいし、演出を行わないようにしてもよい。
上記実施例においては、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明したが、当然ながらそのような機種に限定する趣旨ではなく、確率変動状態への移行機能を有する機種であればどのような機種であっても実現可能である。たとえば、複数の第1種ぱちんこ遊技機を複合させたような機種であってもよいし、第1種ぱちんこ遊技機と第2種ぱちんこ遊技機を複合させたような機種であってもよい。