以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る弾球遊技機を適用したパチンコ機PMの概要構成を図1〜図5を参照しながら説明する。
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う操作ハンドル60が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する方形枠状の収容枠(図示しない)が設けられており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
遊技盤10は、図5に示すように、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板11を基板として構成される。化粧板11の前面には、飛送レール12a及び内レール12bが円弧状に固設されて遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成されている。飛送レール12a及び内レール12bにより遊技球を遊技領域PAに誘導する発射通路12が形成され、この発射通路12における遊技球の出口開口12cの近傍位置(内レール12bの先端部)に、発射通路12を通って出口開口12cから遊技領域PA内に放出された遊技球が再び発射通路12に逆戻りするのを防止する球戻り防止装置13が設けられている。
遊技盤10の遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに、風車や各種の入賞装置14,15,16,17、遊技の進行状況に応じて各種の演出パターンの画像および図柄を表示する図柄表示装置18などの遊技構成部品が取り付けられている。また、遊技領域PAの下端には、各入賞装置に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させるアウト口19が設けられている。
図3に示すように、前枠2の前面下部には、球皿ユニット6の背後に位置して遊技盤10と上下に整合し得る遊技補助盤20が形成されており、この遊技補助盤20の各部に、遊技盤10へ向けて遊技球を発射する発射機構70、前枠2の前後に連通して形成された賞球連絡通路22および溢れ球通路23、遊技球回収機構100などが設けられている。発射機構70の前方には、この発射機構70の前面側を覆うカバー部材24が着脱自在に取り付けられている。このカバー部材24は、例えばABS樹脂などの樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段で形成されている。
常には遊技補助盤20を覆って閉鎖状態に保持される球皿ユニット6の背面側には、図4に示すように、遊技補助盤20に設けられた各機器に対応した機構装置が装備されている。すなわち、発射機構70に対応して上球皿6aに貯留された遊技球を1球ずつ発射機構70に送り出す球送りカセット26が設けられ、賞球連絡通路22に位置整合して賞球連絡通路22から流下する遊技球を上球皿6aに導く上球皿連絡ダクト27が設けられ、溢れ球通路23に位置整合して溢れ球通路23から流下する遊技球を下球皿6bに導く下球皿連絡ダクト28が設けられている。
前枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形枠状に形成された裏セット盤30が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤30は、遊技盤10の背後に位置する上部領域に、前後連通して開口する大型の窓口開口30aを有する枠状に形成されており、この窓口開口30aの上方に、遊技球を貯留する球貯留タンク31、及び球貯留タンク31と繋がって下方に若干傾斜するタンクレール32が設けられ、背面視における窓口開口30aの右側に、タンクレール32により前後各1列の整列状態で導かれた遊技球を遊技盤10における入賞状態に基づいて払い出す球払出装置33、球払出装置33から払い出された遊技球を球皿ユニット6の上球皿6aに導く球払出通路34などの賞球機構が設けられている。
このため、球払出装置33によって払い出され球払出通路34から賞球連絡通路22の後端部に流入した遊技球は、通常では、この賞球連絡通路22を前方に流下し、上球皿連絡ダクト27内の通路を通って上球皿6aに達する。一方で、上球皿6aが遊技球で満たされたときには、球払出装置33によって払い出された遊技球は、賞球連絡通路22から溢れ球誘導口(図示せず)を通過して溢れ球通路23を流下し、下球皿連絡ダクト28内の通路を通って下球皿6bに達する。
また、裏セット盤30の背面には、制御装置、電子部品に電力を供給する電源ユニット41、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置(メイン制御基板)42、画像表示、効果照明および効果音等の遊技演出の制御を行う副制御装置(サブ制御基板)43、球払出装置33の作動を制御するとともに、後述する遊技球発射装置50の作動を制御する払出制御装置44等の各種基板や電子部品などが取り付けられ、これらが図示省略するコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球が各入賞装置に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をもう少し詳しく説明する。遊技盤10に設けられる入賞装置には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞装置を用いるものであってもよいが、例えば図5に例示した遊技盤10では、一般入賞装置14、始動入賞装置15、大入賞装置16,17の3種類の入賞装置を設けた例を示している。
一般入賞装置14は、遊技球が落入可能な入賞口14aを有する固定入賞具であり、この入賞口14aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器14s(図6を参照)を通過することによって入賞が検出されるようになっている。入賞球検出器14sは、遊技球の通過を検出可能な通過型センサである限り特に限定されず、例えば、磁気センサや光センサ、近接スイッチ等の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい(以下に示す入賞球検出器15s,16s,17sにおいても同様とする)。
始動入賞装置15は、遊技球が落入可能な入賞口15aを有し、図柄の変動開始の条件を定める入賞具であり、この入賞口15aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器15s(図6を参照)を通過することによって入賞が検出されるようになっている。
大入賞装置16,17は、遊技球が落入可能な入賞口16a,17aを有し、いわゆるアタッカー型の可動入賞装置であり、横長方形状の大入賞口16a,17aを覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口16a,17aが開放される。大入賞口16a,17aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に領域開口に対応して設けられた入賞球検出器16s,17s(図6を参照)を通過することによって入賞が検出されるようになっている。なお、入賞球検出器14s,15s,16s,17sにより検出された遊技球は、遊技済み球排出通路を流下して遊技施設の遊技島の回収装置に排出される。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス扉5、球皿ユニット6等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、球皿ユニット6の上球皿6aに遊技球を貯留させて発射ハンドル60を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル60が回動操作されると、上球皿6aに貯留された遊技球が、球皿ユニット6の裏面側に配設される球送りカセット26によって1球ずつガイドホルダに送り出され、発射機構70のハンマー72により遊技領域PAに打ち出されてパチンコゲームが展開される。
ここで、図6に主制御装置42、副制御装置43および払出制御装置44の制御形態を主として示すブロック図を示している。この図6に示すように、入賞球検出器14s,15s,16s,17sの検出信号は主制御装置42に出力され、主制御装置42は入力された検出信号に基づいてパチンコ機PMの作動を統括的に制御する。例えば、遊技領域PAを転がり落ちる遊技球が一般入賞装置14に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出器14sを通過する際に入賞が検出され、その検出信号が主制御装置42に入力される。主制御装置42は、この検出信号から、遊技球が入賞装置に落入したこと、および入賞した入賞装置が一般入賞装置14であることを検知し、払出制御装置44に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置33を作動させ、一般入賞装置14に入賞した場合として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6aに払い出させる。
また、始動入賞装置15に遊技球が落入して入賞球検出器15sから検出信号が出力されると、主制御装置42はこの検出信号から、遊技球が落入したこと、および入賞した入賞装置が始動入賞装置15であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、主制御装置42内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、副制御装置43に抽選結果を出力して図柄表示装置18に表示させる図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばサイドランプの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また、主制御装置42は、払出制御装置44に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置33を作動させ、始動入賞装置15に入賞した場合として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6aに払い出させる。
主制御装置42による抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、図柄表示装置18には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。特別遊技においては、大入賞装置16,17の作動により大入賞口16a,17aが開放される。そして、例えば、大入賞口16a,17aが約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞装置16,17に入賞した後、大入賞口16a,17aが一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。大入賞装置16,17に遊技球が落入する度に、予め設定された所定個数の遊技球が賞球として球払出装置33より払い出される。
次に、遊技補助盤20に設けられた遊技球発射装置50及び遊技球回収機構100について図7〜図9を追加参照して説明する。遊技球発射装置50は、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル60と、遊技球を発射する発射機構70と、発射された遊技球を発射通路12に導く発射レール部80と、発射機構70の作動を制御する払出制御装置43とを有して構成される。
発射ハンドル60は、パチンコ機PMの機体から前方に突出するハンドルベース61(図4を参照)と、このハンドルベース61の前方に回動操作可能に設けられた回動レバー62(図1を参照)と、ハンドルベース61内に設けられ回動レバー62の回動操作量を検出するポテンショメータ等の角度検出器63(図6を参照)と、遊技者が発射ハンドル60(回動レバー62)に接触しているか否かを検出するタッチ検出器64(図6を参照)とを有して構成されている。なお、角度検出器63及びタッチ検出器64の検出信号は払出制御装置44に入力され、払出制御装置44はタッチ検出器64からの検出信号から遊技者が発射ハンドル60に触れているか否かを判定し、角度検出器63からの検出信号から回動レバー62の回動操作量を検知して、これらの検出信号に基づいて発射機構70の作動を制御する。
発射機構70は、図7および図8に示すように、遊技補助盤20の前面側に設けられ発射機構70の取り付けベースとなる平板状のベースプレート71と、このベースプレート71の前面側に位置して遊技盤10の盤面とほぼ同一な面内で揺動可能に設けられたハンマー72と、このハンマー72を揺動作動させるクラッパー型ソレノイド75(引張型ソレノイド)とを有して構成される。
ベースプレート71は、例えば薄板状の鋼板を切断及び孔あけ加工し所要の表面処理を施して形成される。クラッパー型ソレノイド75は、電流を流すことにより磁気を発生する筒状のコイル76と、このコイルの筒内に配置される固定子77および可動子78とを有して構成される。固定子77および可動子78は、強磁性体材料を用いて形成されている。可動子78の基端部は、ハンマー72に固定されている。クラッパー型ソレノイド75では、払出制御装置44からの指令に基づいてコイル76に通電されると、可動子78がコイル76内に配置された固定子77に引き付けられるように作動する。
ハンマー72は、基端部がベースプレート71の前面に揺動可能に軸支されて左右方向に延びるハンマーアーム部72aと、その先端部から左方に突出する緩衝アーム部72bとを有して構成される。ハンマーアーム部72aは、基端部が支軸73aおよび軸受け73bを用いてベースプレート71の前面に軸支され、遊技盤10の盤面とほぼ平行な面内で揺動可能になっている。ハンマーアーム部72aの先端部には、遊技球を叩打する樹脂製のハンマーヘッド72cが上方に突出するように取り付けられている。ハンマーアーム部72aの中間部には、クラッパー型ソレノイド75の可動子78が上方に突出するようにして固定されている。ハンマー72は、払出制御装置44からの指令に基づいてクラッパー型ソレノイド75が作動する、すなわち可動子78がコイル76内の固定子77に引き付けられることにより、ハンマーアーム部72aがベースプレート71の前面側で支軸73aを中心として上方に揺動するようになっている。
また、ベースプレート71の前面には、ハンマーヘッド72cの打球位置から下方に退避させた揺動位置でハンマーアーム部72aを弾性的に受け止める下部ストッパ74や、打球位置をわずかに超えた揺動位置で緩衝アーム部72bを弾性的に受け止める上部ストッパ79が取り付けられている。そのため、ハンマー72は、支軸73aを中心として、ハンマーアーム部72aが下部ストッパ74に当接して揺動規制された下方限界位置(これを「発射待機位置」と称する)と、緩衝アーム部72bが上部ストッパ79に当接して揺動規制された上方限界位置(これを「発射完了位置」と称する)との間で揺動変位可能である。
発射レール部80は、ベースプレート71の前面側に設けられ、球送りカセット26から供給された遊技球B(図7および図8等を参照)をハンマーヘッド72cの打球位置に合わせて一時保持するガイドホルダ81と、このガイドホルダ81から斜め上方に延びる発射レール82とを備えて構成される。
発射レール82は、左斜め上方に延びる中央通路壁83と、この中央壁を挟んで左側および右側に遊技球の直径よりも幾分大き目の間隔をおいて略平行に立設された左側通路壁84および右側通路壁85とを有し、これらの通路壁83,84,85に囲まれてハンマー72により打ち出された遊技球が通過可能な球通路86が画形されている。この発射レール82は、ガイドホルダ81の上端位置から飛送レール12aと内レール12bとの間の発射通路12に向けて(すなわち飛送レール12aの下端近傍のレール面よりも上方に向けて)左斜め上方に延びて設けられる。発射レール82の上端の発射口82a(図3を参照)は、収容枠の支持面よりも上方に延びて遊技盤10前面のアウト口19のほぼ左側方にあたる高さ位置で開口している。
また、図3に示すように、発射レール82における発射口82aの左側には、上方に開口するファール球回収口151が形成されたファール球回収樋150が設けられており、遊技領域PAに到達できずに発射通路12を戻ってくる遊技球(すなわちファール球)がファール球回収口151に落入するようになっている。このファール球回収樋150の内部に形成されたファール球回収通路152は、下球皿6bに繋がる溢れ球通路23と連通しており、ファール球回収口151に落入したファール球はファール球回収通路152を流下して溢れ球通路23に導かれ、下球皿連絡ダクト28を経て下球皿6bに至るようになっている。
払出制御装置44は、図6に示すように、発射ハンドル60(回動レバー62)の回動操作量に応じた電流を発射機構70のクラッパー型ソレノイド75に供給して発射機構70を駆動する発射制御回路45を有している。発射制御回路45は、可変抵抗器を有して構成されており、角度検出器63からの検出信号に基づいて検知した発射ハンドル60の回動操作量に応じて、可変抵抗器の抵抗値を変化させることで、発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75のコイル76に供給するように構成されている。
なお、発射制御回路45に設けられた可変抵抗器は、角度検出器63の検出誤差(組み付け誤差)により、発射ハンドル60の回動操作量が最大であっても、想定電流値を上回ったり下回ったりする可能性があるため、発射ハンドル60の回動操作量の範囲を超えた抵抗値を設けるようにして、その抵抗値に幅を持たせている。
発射制御回路45は、遊技状態に応じて、クラッパー型ソレノイド75に供給可能な電流値の範囲(以下、供給可能電流範囲と称する)を変更し、その範囲内において発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75に供給するように構成されている。例えば、通常遊技では、遊技盤10の遊技領域PAにおける正面視左側領域に遊技球を到達させて行う遊技(いわゆる左打ち遊技)が主となるため、遊技球の発射強度が比較的小さくてもよい。一方、大入賞装置16が開放される特別遊技では、遊技領域PAにおける正面視右側領域に遊技球を到達させて行う遊技(いわゆる右打ち遊技)が主となるため、遊技球の発射強度は通常遊技のときよりも大きな発射強度が必要となる。従って、発射制御回路45は、通常遊技中には上記の供給可能電流範囲の最大電流値を、大入賞装置16が開放される特別遊技中の最大電流値よりも小さな値に設定して、供給可能電流範囲を変更するように構成してもよい。なお、発射制御回路45は、遊技状態に応じてクラッパー型ソレノイド75に供給する電流の通電時間を変更するように構成してもよい。
また、発射制御回路45は、発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75のコイル76に供給するときに、電流値の供給開始から供給電流値に至るまでの傾き(立ち上がり)が、供給電流値の値にかかわらず一定の傾き(立ち上がり)となるように、コイル76に電流を供給するようになっている(図9において実線と二点鎖線で示すグラフを参照)。
さらに、発射制御回路45は、発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流が、許容電流値(例えば、クラッパー型ソレノイド75において正常な動作を考慮した上で予め定められている保障電流値)を超える場合に、当該許容電流値を超える電流がクラッパー型ソレノイド75のコイル76に流れないように抑制して、当該許容電流値以下の電流をコイル76に流す過電流抑制回路46(リミッタ回路)を有して構成されている。なお、許容電流値の最大値は、遊技盤10の遊技領域PAにおける正面視右側領域に遊技球を到達させて行う遊技(いわゆる右打ち遊技)を問題なく行うことができる発射強度に対応した電流値であることが望ましい。
過電流抑制回路46は、図11に示すように、複数の抵抗と、オペアンプ46a、ダイオード46bおよび複数の抵抗を有して構成され、発射ハンドル60の回動操作量に応じて入力される電流値(電圧値)が、許容電流値(許容電圧値)を超える場合に、当該許容電流値(許容電圧値)以下の電流値(電圧値)をクラッパー型ソレノイド75へ向けて出力するように構成されている。
また、過電流抑制回路46は、遊技状態に応じて、上記の許容電流値を変更することができるように構成されている。上述したように、通常遊技では、遊技球の発射強度が比較的小さく、大入賞装置16が開放される特別遊技では、遊技球の発射強度が通常遊技のときよりも大きな発射強度となる。従って、例えば、過電流抑制回路46は、通常遊技中は上記の許容電流値を、大入賞装置16が開放される特別遊技中の許容電流値よりも小さな値に変更するように構成してもよい。なお、過電流抑制回路46は、遊技状態に応じてクラッパー型ソレノイド75に供給する電流の通電時間を変更するように構成してもよい。
遊技球回収機構100は、図7および図8に示すように、ベースプレート71の背面側に設けられ発射機構70のハンマー72と連結されるアーム部材(図示せず)と、このアーム部材を介してハンマー72の揺動が伝達されることで発射レール82の球通路86を開閉する開閉弁部材120と、発射レール82の左側通路壁84に隣接して設けられ発射レール82の球通路86と連通する遊技球回収樋130とを有して構成される。アーム部材は、ハンマー72と開閉弁部材120との間を連繋して揺動可能に設けられ、ハンマー72の揺動による押圧力を開閉弁部材120に伝達するようになっている。
開閉弁部材120は、発射レール82の左側通路壁84が一部切り欠かれて左右方向に開口形成された連絡口87内において遊技球回収樋130側(左側方)に偏倚して設けられている。この開閉弁部材120は、遊技補助盤20の孔部に挿入される円筒状の支軸部121と、この支軸部121の前端側に設けられ径方向外方へ延びる帯板状の弁体122と、支軸部121の後端側に設けられ径方向外方へ延びる正面視において舌片状の揺動片(図示せず)とを有して構成され、前後に貫通するピン挿通孔に枢結ピン129が挿入されることにより、遊技補助盤20の背面側に設けられた台板に垂直面内で揺動自在に枢支されている。
弁体122は、発射レール82における球通路86の開口面域に合わせた矩形平板状に形成されている。不図示の揺動片には後方に突出する軸状のロッドが設けられており、このロッドに対応してアーム部材の上面側に、このロッドの揺動範囲よりも幾分広い範囲に亘って上方に開く略円弧状の湾曲支持面が形成されている。開閉弁部材120には、弁体122および揺動片などの自重によって枢結ピン129を中心として正面視において反時計回りのモーメントが作用しており、開閉弁部材120はこのモーメントによって反時計回り方向への付勢力を受けることで、この開閉弁部材120における揺動片のロッドがアーム部材の湾曲支持面に常時当接することとなる。そのため、ハンマー72の揺動作動によってアーム部材が上下に揺動したときに、このアーム部材の揺動に応じて揺動片のロッドがアーム部材の湾曲支持面に押動されながらこの湾曲支持面に沿って移動し、この動きに連動して開閉弁部材120が枢結ピン129を中心として時計回りもしくは反時計回り方向に揺動するようになっている。
従って、開閉弁部材120は、ハンマー72が発射待機位置から発射完了位置へ向かって上方に揺動した場合には、このハンマー72に連結されたアーム部材によって揺動片のロッドが上方に押動され、このロッドに一体に繋がる弁体122が正面視において反時計回り方向に揺動するようになっており、ハンマー72が発射完了位置に達したときに弁体122が略鉛直方向に延びた姿勢となり発射レール82の球通路86を開放する。一方、ハンマー72が発射完了位置から発射待機位置へ向かって下方に揺動した場合には、このハンマー72に連結されたアーム部材が下方に揺動するとともに、開閉弁部材120は自重により生じるモーメントによって正面視において時計回り方向に揺動するようになっており、ハンマー72が発射待機位置に達したときに弁体122が発射レール82と略直交する方向に延びた姿勢となり発射レール82の球通路86を閉止する。
すなわち、開閉弁部材120は、弁体122が発射レール82の球通路86内に挿入されて遊技球の通過を阻止する位置(これを「閉止位置」と称する)と、弁体122が発射レール82の球通路86外に退避されて遊技球の通過を許容する位置(これを「開放位置」と称する)との間で上下に揺動変位することが可能である。なお、発射レール82の右側通路壁85には通路内方に向けて突出する突起88が形成されており、開閉弁部材120が時計回りに揺動して閉止位置に達したときに、弁体122の先端部下面が突起88の上面に当接(もしくは近接)するようになっている。
遊技球回収樋130は、左側通路壁84の連絡口87を介して発射レール82の球通路86に連通しており、上方に開口する遊技球回収口131が形成されるとともに、その下側に連絡口87から入球して遊技球回収口131に落入した遊技球を流下させる遊技球回収通路132が形成されている。遊技球回収通路132は、ファール球回収通路152および溢れ球通路22と遊技補助盤20の背面側で合流し、下球皿連絡ダクト28を介して下球皿6bに繋がっている。なお、この遊技球回収通路132とファール球回収通路152とを直接繋いだり、遊技球回収樋130とファール球回収樋150とを一体的に形成して構成してもよい。
このように構成される遊技球発射装置50および遊技球回収機構100では、まず、遊技者が発射ハンドル60を操作していない非操作時においては、タッチ検出器64の出力信号は遊技者の接触が検出されていない非接触状態であり、払出制御装置44は遊技者が遊技を行っていない待機状態であると判断し、発射機構70の作動をオフにする。つまり、払出制御装置44の発射制御回路45からの指令によってクラッパー型ソレノイド75のコイル76に通電されていないため、ハンマー72は発射待機位置で停止している。このとき、開閉弁部材120は発射レール82の球通路86を閉止している。
一方、遊技者が発射ハンドル60を把持し回動操作すると、タッチ検出器64の出力信号は遊技者の接触が検出された接触状態となり、上球皿6aに貯留された遊技球が球送りカセット26により1球ずつガイドホルダ81の打球位置に留置されるとともに、発射機構70の作動をオンにする。つまり、発射制御回路45は、発射ハンドル60の回動操作量(角度検出器63の検出値)に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75のコイル76に供給し、固定子77および可動子78の吸引力によりハンマー72を上方へ揺動させる。このとき、発射制御回路45は、遊技状態に応じてクラッパー型ソレノイド75に供給可能な電流値の範囲(供給可能電流範囲)を変更し、その範囲内において発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75のコイル76に供給する。また、発射制御回路45は、電流値の供給開始から供給電流値に至るまでの傾きが、供給電流値の値にかかわらず一定の傾きとなるように、コイル76に電流を供給する。さらに、発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流が許容電流値を超える場合には、過電流抑制回路46により電流値が抑制されて、許容電流値以下の電流がコイル76に供給される。このようにして、発射待機位置から発射完了位置(打球位置)まで上方に揺動されたハンマー72により発射ハンドル60の回動操作量に応じた発射強度で遊技球が遊技領域PAに向けて打ち出される。
このように発射機構70は、クラッパー型ソレノイド75のコイル76が通電されて可動子78が固定子77に引き付けられることにより、可動子78に固定されたハンマー72が発射待機位置から発射完了位置(打球位置)まで揺動させて遊技球を打ち出すように構成されている。そのため、図10に示すように、ロータリソレノイド(もしくはスイングモータ)の駆動軸173aに取り付けられたハンマー172を、ロータリソレノイド(スイングモータ)により待機位置から打球位置まで揺動させることにより、遊技球を打ち出すように構成された従来の発射機構170のハンマー172の揺動幅(スイング幅)L2よりも、発射機構70におけるハンマー72の揺動幅L1(図7を参照)を短くすることができる。そのため、図9に示すように、ソレノイドに供給する電流の通電時間を従来よりも短くすることができるので、発射機構70の消費電力を従来よりも抑えることができる。また、ハンマー72の揺動幅L1を従来よりも短くすることができるので、発射機構70のコンパクト化を実現することもできる。
また、発射機構70では、発射制御回路45は、遊技状態に応じてクラッパー型ソレノイド75に供給可能な電流値の範囲(供給可能電流範囲)を変更し、その範囲内において発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流をクラッパー型ソレノイド75のコイル76に供給するようになっている。そのため、遊技状態に応じた必要最小限の電流を発射機構70のクラッパー型ソレノイド75に供給することが可能となるので、より細かな発射機構70の消費電力の削減を図ることができる。
また、発射機構70では、発射制御回路45は、電流値の供給開始から供給電流値に至るまでの傾きが、供給電流値の値にかかわらず一定の傾きとなるように、クラッパー型ソレノイド75のコイル76に電流を供給するようになっている(図9を参照)。そのため、一定の電流値をクラッパー型ソレノイド75に供給することができるようになるので、発射機構70による遊技球の打ち出しのバラツキを抑えることができる。
また、発射機構70では、発射ハンドル60の回動操作量に応じた電流が許容電流値を超える場合には、過電流抑制回路46により電流値が抑制されて、許容電流値以下の電流がコイル76に供給されるようになっている。そのため、クラッパー型ソレノイド75に許容電流値を超える電流(過電流)が供給されることを防止することができる。したがって、クラッパー型ソレノイド75の発熱による焼損や発射機構70のストッパ等の機構劣化を防ぐことができる。
また、発射機構70では、過電流抑制回路46が、遊技状態に応じて許容電流値を変更することができるようになっている。このような構成によれば、遊技状態に応じた必要最小限の電流をクラッパー型ソレノイド75に供給することが可能となるので、発射機構70の消費電力の削減を図ることができる。
ハンマー72が上方に揺動作動した際に、これに連結されるアーム部材もハンマー72と一体となって上方に揺動し、開閉弁部材120が正面視において反時計回り方向(発射レール82の球通路86を開放させる方向)に揺動される。そして、ハンマー72が発射完了位置に達したときに、開閉弁部材120が発射レール82の球通路86を開放した開放位置に位置することとなるため、ハンマー72によって打ち出された遊技球は開閉弁部材120の弁体122に衝突することもなく発射レール82の球通路86を通過することができる。
このようにハンマー72により遊技球が発射された後は、発射制御回路46からの指令によってクラッパー型ソレノイド75のコイル76が非励磁となり、ハンマー72が自重により下方に揺動して発射待機位置に復帰する。よって、開閉弁部材120が自重により生じるモーメントによって正面視において時計回り方向に揺動して閉止位置に到達し、開閉弁部材120の弁体122によって発射レール82の球通路86は閉止される。
ここで、発射ハンドル60の回動操作量に応じて打ち出される遊技球の発射強度が弱い場合には、遊技領域PAに到達できずに発射通路12を戻ってくるファール球が生じ得るが、このように落下してくるファール球の大多数はファール球回収口151に落入し、ファール球回収樋150のファール球回収通路152、溢れ球通路23、及び下球皿連絡ダクト28などを経て下球皿6bに排出される。
その一方で、ファール球の落下ルートが右方にずれて発射レール82に戻ってくることもある。このとき、発射レール82の球通路86は開閉弁部材120の弁体122によって塞がれているため、発射レール82に戻ってきたファール球は弁体122に接触して球通路86内での落下が制止される。そして、ガイドホルダ81に留置された後続の遊技球Bがハンマー72の揺動作動によって発射されたときに、このハンマー72に連結されたアーム部材を介して開閉弁部材120が正面視において反時計回り方向に揺動し、この開閉弁部材120の弁体122によってファール球が左側通路壁84の連絡口87から遊技球回収樋130へ弾き出され、遊技球回収通路132、溢れ球通路23、及び下球皿連絡バケット28を経て下球皿6bに排出される。また、ハンマー72によって打ち出された後続の遊技球Bは、弁体122に妨げられることなく(更にはファール球に衝突することもなく)発射レール82の球通路86を通過し、飛送レール12aに沿って遊技領域PAへ向かう。そのため、発射レール82を落下して戻ってくるファール球があった場合でも、この発射レール82における球通路86内での遊技球同士の衝突を防止することができる。
なお、開閉弁部材120が閉止位置にある状態では、この開閉弁部材120の揺動片のロッドがアーム部材に当接して、時計回り方向への揺動が規制されているものの、時計回り方向(すなわち発射レール82の球通路86を開放する方向)へは自由に揺動可能な状態であるため、ハンマー72によって遊技球が打ち出されたときに、万が一、開閉弁部材120の動作不良などによって球通路86が弁体122によって閉鎖された状態になっていたとしても、発射された遊技球の球圧によって弁体122は上方に開放され、発射レール82での遊技球の飛翔を妨げるおそれがない。
また、ハンマー72が発射待機位置に保持された状態では、発射レール82の球通路86は開閉弁部材120の弁体122によって閉鎖されているため、遊技盤10の盤面や発射通路12から落下するゴミ等の異物(遊技球に付着していた異物)はこの弁体122によって阻止され、開閉弁部材120の揺動運動に伴って遊技球回収樋130に排出されるようになっている。そのため、発射レール82の下方に位置する発射機構70に異物が多量に滞留するおそれもなく、発射機構70の機構部品が異物を噛み込んでその作動不良により遊技球の発射不良を誘発するのを防止できるとともに、異物を除去等するための清掃・点検時間が大幅に低減されてメンテナンス性を向上させることが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、上記実施形態においては、弾球遊技機としてパチンコ機PMを例に説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、雀球遊技機やアレンジボール機等の弾球遊技機においても、本発明を適用可能である。