JP5552198B1 - 内燃機関 - Google Patents
内燃機関 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5552198B1 JP5552198B1 JP2014035960A JP2014035960A JP5552198B1 JP 5552198 B1 JP5552198 B1 JP 5552198B1 JP 2014035960 A JP2014035960 A JP 2014035960A JP 2014035960 A JP2014035960 A JP 2014035960A JP 5552198 B1 JP5552198 B1 JP 5552198B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gear
- guide
- combustion engine
- internal combustion
- main shaft
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
Abstract
【課題】爆発行程のピストンのストロークを圧縮行程のストロークよりも長くすることでエネルギー効率が向上可能であり、かつメンテナンスの容易な内燃機関を提供する。
【解決手段】シリンダー2と、ピストン2aと、ピストン2aにコンロッド3を介して連結されるクランク部材4と、クランク部材4に取り付けられる案内部9と、を備え、案内部9は、クランクケース10と連通する案内部ケース12に収容されるガイド歯車14と、歯車群15と、歯車群18と、を備え、歯車群15は、遊星歯車16と、遊星歯車16が噛合する内歯17aが内周面に刻設されるとともに外歯17bが外周面に突出するように刻設される円筒歯車17と、を備え、ガイド歯車14は、歯車群18を介して外歯17bに接続され、出力軸19を中心として回動する。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダー2と、ピストン2aと、ピストン2aにコンロッド3を介して連結されるクランク部材4と、クランク部材4に取り付けられる案内部9と、を備え、案内部9は、クランクケース10と連通する案内部ケース12に収容されるガイド歯車14と、歯車群15と、歯車群18と、を備え、歯車群15は、遊星歯車16と、遊星歯車16が噛合する内歯17aが内周面に刻設されるとともに外歯17bが外周面に突出するように刻設される円筒歯車17と、を備え、ガイド歯車14は、歯車群18を介して外歯17bに接続され、出力軸19を中心として回動する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ピストン―クランク機構を内蔵する内燃機関に係り、特に、アトキンソンサイクルを実現した内燃機関に関する。
従来、ピストンの往復運動をクランクの回動運動に変換する内燃機関が利用されてきた。しかしながら、従来型の内燃機関では、吸気行程、圧縮行程、爆発行程及び排気行程から構成されるサイクルにおいて、ピストンの往復距離(ストローク)がいずれも一定であることから、吸気行程よりも爆発行程のストロークを長くするといった調整を行うことができない。そのため、熱効率を十分に高くすることができないという課題があった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、ピストンのストロークを変化させることのできる内燃機関に関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、ピストンのストロークを変化させることのできる内燃機関に関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
特許文献1には「エンジン構造」という名称で、エンジン本体の圧縮比の調整機構を改良したエンジンに関する考案が開示されている。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示されたエンジン構造に関する考案は、エンジン本体のピストンのコンロッドの大端部とクランク軸のクランクピンとの間に介挿され、コンロッドの大端部の中心線位置に対してクランクピンの中心線位置を偏心させる偏心ブッシュと、この偏心ブッシュに一体的に設けられた内部歯車と、内周部位にこの内部歯車と噛合して前記クランク軸の回転動作中、クランクピンの回転をガイドする噛合部を備え、エンジン本体の固定部に所定角度回動自在に装着された回動リングと、この回動リングの回動操作にともない偏心ブッシュの偏心方向を変化させ、ピストンストローク変化にともないエンジン本体の圧縮比を調整する圧縮比調整機構と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を備えたエンジン構造においては、クランク角に対する偏心ブッシュの自転位相を変化させることにより、ピストンの往復動作時のピストンのストロークを基準状態から変化させ、エンジン本体の圧縮比を連続的に調整することができる。加えて、ピストンの往復運動に連動する可動部分の構成の複雑化、重量増加等を防止することができる。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示されたエンジン構造に関する考案は、エンジン本体のピストンのコンロッドの大端部とクランク軸のクランクピンとの間に介挿され、コンロッドの大端部の中心線位置に対してクランクピンの中心線位置を偏心させる偏心ブッシュと、この偏心ブッシュに一体的に設けられた内部歯車と、内周部位にこの内部歯車と噛合して前記クランク軸の回転動作中、クランクピンの回転をガイドする噛合部を備え、エンジン本体の固定部に所定角度回動自在に装着された回動リングと、この回動リングの回動操作にともない偏心ブッシュの偏心方向を変化させ、ピストンストローク変化にともないエンジン本体の圧縮比を調整する圧縮比調整機構と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を備えたエンジン構造においては、クランク角に対する偏心ブッシュの自転位相を変化させることにより、ピストンの往復動作時のピストンのストロークを基準状態から変化させ、エンジン本体の圧縮比を連続的に調整することができる。加えて、ピストンの往復運動に連動する可動部分の構成の複雑化、重量増加等を防止することができる。
次に、特許文献2には「内燃機関」という名称で、より効率の良い内燃機関に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、クランク室内に、内周面に内歯を有するリング体がクランクシャフトの回転軸と同心状に設けられる一方、クランクシャフトの回転に伴いリング体の内周面に沿って転動すべくこのリング体の内歯に歯合する外歯を外周面に有する歯車部がクランクシャフトのクランクピンに対して同心状に設けられると共に、クランクピンに対して偏心した外周面を有して歯車部と一体回転する偏心部がクランクピンに相対回転自在に外嵌され、この偏心部の外周面に、コンロッドの大端部が相対回転自在に外嵌されていることを特徴とする。
このような特徴を有する内燃機関においては、コンロッドの大端部の中心は、クランクシャフトの回転に伴って円周上を移動するクランクピンの位置から所定量偏心した偏心部の中心となる。したがって、例えば、ピストンの位置が排気孔を開口する切換点よりも上方に位置することとなり、爆発行程が従来よりも広いクランク角度範囲で生じるようにすることができる。この結果、クランクシャフトへのエネルギの伝達効率が向上し、より高効率の内燃機関とすることができる。
特許文献2に開示された発明は、クランク室内に、内周面に内歯を有するリング体がクランクシャフトの回転軸と同心状に設けられる一方、クランクシャフトの回転に伴いリング体の内周面に沿って転動すべくこのリング体の内歯に歯合する外歯を外周面に有する歯車部がクランクシャフトのクランクピンに対して同心状に設けられると共に、クランクピンに対して偏心した外周面を有して歯車部と一体回転する偏心部がクランクピンに相対回転自在に外嵌され、この偏心部の外周面に、コンロッドの大端部が相対回転自在に外嵌されていることを特徴とする。
このような特徴を有する内燃機関においては、コンロッドの大端部の中心は、クランクシャフトの回転に伴って円周上を移動するクランクピンの位置から所定量偏心した偏心部の中心となる。したがって、例えば、ピストンの位置が排気孔を開口する切換点よりも上方に位置することとなり、爆発行程が従来よりも広いクランク角度範囲で生じるようにすることができる。この結果、クランクシャフトへのエネルギの伝達効率が向上し、より高効率の内燃機関とすることができる。
さらに、特許文献3には「4サイクルレシプロエンジン」という名称で、図示仕事をより一層向上することができる4サイクルレシプロエンジンに関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、吸入・圧縮・膨張・排気の4行程を繰り返すピストンの運動をクランク軸の回転運動に変換することによって動力を発生する4サイクルレシプロエンジンであって、クランクケースに形成された軸受にジャーナル部が枢支されたクランクアームと、クランクアームの遊端に枢着された遊星歯車と、遊星歯車の中心から偏心した位置に大端部が連結され、かつピストンに小端部が連結されたコンロッドと、遊星歯車が転動自在に噛合するべく、クランクケースの軸受を中心としてクランクケースに形成された内歯歯車とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する4サイクルレシプロエンジンにおいては、吸入・圧縮行程のピストンストロークに比して膨張・排気行程のピストンストロークが大きくなる。よって、指圧線図上の圧縮・膨張行程で囲まれる部分の面積と吸入・排気行程で囲まれる部分の面積との相対差を、このストロークの差分だけ増大させることができる。したがって、4サイクルレシプロエンジンの図示仕事を増大する上に多大な効果を奏することができる。
特許文献3に開示された発明は、吸入・圧縮・膨張・排気の4行程を繰り返すピストンの運動をクランク軸の回転運動に変換することによって動力を発生する4サイクルレシプロエンジンであって、クランクケースに形成された軸受にジャーナル部が枢支されたクランクアームと、クランクアームの遊端に枢着された遊星歯車と、遊星歯車の中心から偏心した位置に大端部が連結され、かつピストンに小端部が連結されたコンロッドと、遊星歯車が転動自在に噛合するべく、クランクケースの軸受を中心としてクランクケースに形成された内歯歯車とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する4サイクルレシプロエンジンにおいては、吸入・圧縮行程のピストンストロークに比して膨張・排気行程のピストンストロークが大きくなる。よって、指圧線図上の圧縮・膨張行程で囲まれる部分の面積と吸入・排気行程で囲まれる部分の面積との相対差を、このストロークの差分だけ増大させることができる。したがって、4サイクルレシプロエンジンの図示仕事を増大する上に多大な効果を奏することができる。
続いて、特許文献4には「内燃機関」という名称で、高効率のアトキンソンサイクルを比較的容易に実現することができる内燃機関に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、シリンダ内に所定ストロークの範囲で摺動可能に設けられるピストンと、ピストンの摺動によって回転可能に支持されたクランクシャフトと、ピストンが一端側に連結されると共に前記クランクシャフトのクランクピンが他端側に連結されるコンロッドとを具備し、且つピストンとクランクシャフトとが、ピストンのストロークを変化可能な可変長機構を介在して連結され、可変長機構によって膨張行程におけるピストンのストロークが所定ストロークよりも長くなっていることを特徴とする。
このような特徴を有する内燃機関においては、クランク部材等の可変長機構の動きによりピストンとクランクシャフトとの間隔が変化することで、膨張行程におけるピストンのストロークが、圧縮行程におけるピストンのストロークよりも長くなる。これにより膨張比が圧縮比よりも大きくなり、熱効率を向上したアトキンソンサイクルの内燃機関を比較的容易に実現することができる。
特許文献4に開示された発明は、シリンダ内に所定ストロークの範囲で摺動可能に設けられるピストンと、ピストンの摺動によって回転可能に支持されたクランクシャフトと、ピストンが一端側に連結されると共に前記クランクシャフトのクランクピンが他端側に連結されるコンロッドとを具備し、且つピストンとクランクシャフトとが、ピストンのストロークを変化可能な可変長機構を介在して連結され、可変長機構によって膨張行程におけるピストンのストロークが所定ストロークよりも長くなっていることを特徴とする。
このような特徴を有する内燃機関においては、クランク部材等の可変長機構の動きによりピストンとクランクシャフトとの間隔が変化することで、膨張行程におけるピストンのストロークが、圧縮行程におけるピストンのストロークよりも長くなる。これにより膨張比が圧縮比よりも大きくなり、熱効率を向上したアトキンソンサイクルの内燃機関を比較的容易に実現することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された考案においては、回動リング及びこれに噛合する偏心ブッシュ等は、クランクケースの内部に収容されている。したがって、回動リング等の修理の際には、クランクケースを開放しなければならない。そのため、メンテナンスが煩雑となることが考えられる。
次に、特許文献2に開示された発明においては、特許文献1に開示された考案と同様に、リング体と変位体がクランク室の内部に収容されている。したがって、特許文献1と同様に、メンテナンスが煩雑となることが考えられる。
続いて、特許文献3に開示された発明においては、特許文献1に開示された考案と同様に、遊星歯車がクランクケースの内部に収容されている。したがって、特許文献1と同様の課題を有するものと考えられる。加えて、ジャーナル部とクランクピンが近接しているため、クランクピンの回動に大きな力が必要となる可能性がある。
さらに、特許文献4に開示された発明においては、燃焼室内に生じる正圧や負圧を利用してクランク部材が回転する。したがって、エンジンブレーキの使用時等にクランク部材が逆方向に回転する可能性が考えられ、特にピストンが上昇し過ぎた場合には、シリンダが破損するおそれがある。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、爆発行程のピストンのストロークを圧縮行程のストロークよりも長くすることでエネルギー効率が向上可能であり、かつメンテナンスの容易な内燃機関を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る内燃機関は、第1のシリンダーと、この第1のシリンダー内を往複運動する第1のピストンと、この第1のピストンにコンロッドを介して連結されるクランク部材と、このクランク部材の一端に取り付けられる第1の案内部と、を備え、クランク部材は、クランクケースに収容され、コンロッドの下端に回動可能に連結されるクランクピンと、このクランクピンの両側にそれぞれの一端がクランクアームを介して連結される第1及び第2の主軸と、から成り、第1の案内部は、クランクケースと第1の連通孔を介して連通する第1の案内部ケースに収容され、第1の連通孔によって回動可能に支持されるとともに第1の主軸が貫通する第1の貫通孔が設けられる第1のガイド歯車と、この第1のガイド歯車に隣接して第1の主軸の他端に連結される第1の歯車群と、第2の歯車群と、を備え、第1の貫通孔は、第1のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置され、第1の歯車群は、第1の主軸の他端に固設される第1の遊星歯車と、第1の案内部ケースによって回動可能に支持される出力軸を中心として回動するとともに、第1の遊星歯車が噛合する内歯が内周面に刻設されるとともに外歯が外周面に突出するように刻設される円筒歯車と、を備え、第1のガイド歯車は、第2の歯車群を介して円筒歯車の外歯に接続され、出力軸を中心として回動することを特徴とする。
まず最初に、第1のピストンの往復運動とクランクピンの運動との作用について説明する。
上記構成の内燃機関においては、第1及び第2の主軸は、それぞれの一端が、長さが一定のクランクアームを介してクランクピンと連結される。そのため、第1のピストンが第1のシリンダー内を往複運動すると、第1及び第2の主軸がクランクピンの回動中心となる。そして、第1及び第2の主軸は、出力軸よりやや離れて出力軸を中心として回動する。すなわち、第1及び第2の主軸は、出力軸を中心として公転することから、クランクピンは、出力軸に対し偏心運動を行うこととなる。その結果、第1のピストンの往復運動は、出力軸を挟んだ上下方向において不均等に変位する。
上記構成の内燃機関においては、第1及び第2の主軸は、それぞれの一端が、長さが一定のクランクアームを介してクランクピンと連結される。そのため、第1のピストンが第1のシリンダー内を往複運動すると、第1及び第2の主軸がクランクピンの回動中心となる。そして、第1及び第2の主軸は、出力軸よりやや離れて出力軸を中心として回動する。すなわち、第1及び第2の主軸は、出力軸を中心として公転することから、クランクピンは、出力軸に対し偏心運動を行うこととなる。その結果、第1のピストンの往復運動は、出力軸を挟んだ上下方向において不均等に変位する。
次に、クランクピンの偏心運動が、出力軸に伝達される作用について説明する。
まず、「クランク部材の一端に取り付けられる第1の案内部」とは、第1の案内部が第1の主軸と連結されていることを意味する。より詳細には、クランクアームと第1の主軸の他端との間に第1の貫通孔を介して第1のガイド歯車が設けられ、第1の主軸の他端に第1の歯車群を構成する第1の遊星歯車が固設される。このとき、第1の主軸は、第1のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置される第1の貫通孔を貫通し、端部において第1の遊星歯車の中心部と連結される。したがって、第1の主軸の出力軸を中心とする公転に伴い、第1のガイド歯車はこの出力軸を中心として自転する。また、第1の遊星歯車は、第1の主軸を中心として自転するとともに、出力軸を中心として公転する。
さらに、第1の遊星歯車は円筒歯車の内歯に噛合するため、第1の遊星歯車の自転と公転に伴い、円筒歯車は出力軸を中心として自転する。すなわち、円筒歯車の自転が出力軸から取り出される出力となる。このときの円筒歯車の自転の方向は、第1の遊星歯車の公転と逆方向であり、第1のガイド歯車の自転とも逆の方向である。この円筒歯車の自転については、実施例において詳細に述べる。
まず、「クランク部材の一端に取り付けられる第1の案内部」とは、第1の案内部が第1の主軸と連結されていることを意味する。より詳細には、クランクアームと第1の主軸の他端との間に第1の貫通孔を介して第1のガイド歯車が設けられ、第1の主軸の他端に第1の歯車群を構成する第1の遊星歯車が固設される。このとき、第1の主軸は、第1のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置される第1の貫通孔を貫通し、端部において第1の遊星歯車の中心部と連結される。したがって、第1の主軸の出力軸を中心とする公転に伴い、第1のガイド歯車はこの出力軸を中心として自転する。また、第1の遊星歯車は、第1の主軸を中心として自転するとともに、出力軸を中心として公転する。
さらに、第1の遊星歯車は円筒歯車の内歯に噛合するため、第1の遊星歯車の自転と公転に伴い、円筒歯車は出力軸を中心として自転する。すなわち、円筒歯車の自転が出力軸から取り出される出力となる。このときの円筒歯車の自転の方向は、第1の遊星歯車の公転と逆方向であり、第1のガイド歯車の自転とも逆の方向である。この円筒歯車の自転については、実施例において詳細に述べる。
続いて、円筒歯車の自転が、クランクピンへ伝達される作用について説明する。
円筒歯車の外歯には、第2の歯車群を介して第1のガイド歯車が接続されることから、円筒歯車の自転が第1のガイド歯車へ伝達される。第1のガイド歯車には、クランクピンと連結される第1の主軸が貫通しているため、第1の主軸は第1のガイド歯車の自転によって、出力軸を中心とする公転が保持される。すなわち、円筒歯車によって、クランクピンの偏心運動が制御されることとなる。
円筒歯車の外歯には、第2の歯車群を介して第1のガイド歯車が接続されることから、円筒歯車の自転が第1のガイド歯車へ伝達される。第1のガイド歯車には、クランクピンと連結される第1の主軸が貫通しているため、第1の主軸は第1のガイド歯車の自転によって、出力軸を中心とする公転が保持される。すなわち、円筒歯車によって、クランクピンの偏心運動が制御されることとなる。
次に、請求項2記載の発明に係る内燃機関は、請求項1記載の内燃機関において、第2の歯車群は、円筒歯車の外歯に噛合する第1の歯車と、この第1の歯車と噛合する第2の歯車と、この第2の歯車と一定間隔を空けて連動軸を介して同軸的に設置されるとともに第1のガイド歯車に噛合する第3の歯車と、を備え、第1乃至第3の歯車は、第1の案内部ケースによって回動可能に支持されることを特徴とする。
上記構成の内燃機関においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、円筒歯車の外歯に噛合する第1の歯車は、円筒歯車の外歯の自転と逆方向に回動する。そして、第1の歯車の回動は、第2の歯車の回動を介して第3の歯車に伝達される。このとき、第2の歯車は、第1の歯車の回動方向と逆方向に回動し、第2の歯車と第3の歯車は、連動軸がその中心部を貫通することによって、互いに同期して同一方向に回動する。さらに、第3の歯車は、第1のガイド歯車と噛合することから、第1のガイド歯車は、円筒歯車の外歯の自転方向と逆方向に回動することとなる。
上記構成の内燃機関においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、円筒歯車の外歯に噛合する第1の歯車は、円筒歯車の外歯の自転と逆方向に回動する。そして、第1の歯車の回動は、第2の歯車の回動を介して第3の歯車に伝達される。このとき、第2の歯車は、第1の歯車の回動方向と逆方向に回動し、第2の歯車と第3の歯車は、連動軸がその中心部を貫通することによって、互いに同期して同一方向に回動する。さらに、第3の歯車は、第1のガイド歯車と噛合することから、第1のガイド歯車は、円筒歯車の外歯の自転方向と逆方向に回動することとなる。
さらに、請求項3記載の発明に係る内燃機関は、請求項2記載の内燃機関において、クランク部材の他端に取り付けられる第2の案内部を備え、この第2の案内部は、クランクケースと第2の連通孔を介して連通する第2の案内部ケースに収容され、第2の連通孔によって回動可能に支持されるとともに第2の主軸が挿入される挿入孔が設けられる第2のガイド歯車と、この第2のガイド歯車に噛合するとともに第2の歯車と連動軸を介して連動する連動歯車と、を備え、挿入孔は、第2のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置され、第2のガイド歯車は、出力軸を中心として回動することを特徴とする。
上記構成の内燃機関においては、請求項2記載の発明の作用に加えて、連動歯車は、連動軸がその中心部を貫通することによって、第2の歯車と同期して同方向に回動する。また、第2の歯車は、円筒歯車の自転の方向と同一方向に自転するため、連動歯車の自転の方向も円筒歯車の自転の方向と同一方向に自転する。さらに、連動歯車は、第2のガイド歯車に噛合することから、第2のガイド歯車の自転の方向と連動歯車の自転の方向は逆となる。したがって、第2のガイド歯車は、出力軸を中心として第1のガイド歯車と同期しながら同一方向に自転する。なお、第2の主軸は、第1の主軸と同軸的に出力軸を中心として公転する。
上記構成の内燃機関においては、請求項2記載の発明の作用に加えて、連動歯車は、連動軸がその中心部を貫通することによって、第2の歯車と同期して同方向に回動する。また、第2の歯車は、円筒歯車の自転の方向と同一方向に自転するため、連動歯車の自転の方向も円筒歯車の自転の方向と同一方向に自転する。さらに、連動歯車は、第2のガイド歯車に噛合することから、第2のガイド歯車の自転の方向と連動歯車の自転の方向は逆となる。したがって、第2のガイド歯車は、出力軸を中心として第1のガイド歯車と同期しながら同一方向に自転する。なお、第2の主軸は、第1の主軸と同軸的に出力軸を中心として公転する。
そして、請求項4記載の発明に係る内燃機関は、請求項3記載の内燃機関において、第1の主軸と第2の主軸の間に、第2のシリンダーが第1のシリンダーに対し水平対向状に配設され、第2のシリンダーは、その内部を往復運動する第2のピストンを備えることを特徴とする。
このような構成の内燃機関においては、請求項3記載の発明の作用に加えて、第2のシリンダーが第1のシリンダーに対し水平対向状に配設されることから、それぞれのピストンの往復運動による振動等が打ち消し合う。また、第2のピストンと第1のシリンダーの第1のピストンとの往復運動の位相が、例えば、吸気行程と爆発行程のように異なるものとなる。そのため、往復運動の位相の違いによる振動が平均化される。
このような構成の内燃機関においては、請求項3記載の発明の作用に加えて、第2のシリンダーが第1のシリンダーに対し水平対向状に配設されることから、それぞれのピストンの往復運動による振動等が打ち消し合う。また、第2のピストンと第1のシリンダーの第1のピストンとの往復運動の位相が、例えば、吸気行程と爆発行程のように異なるものとなる。そのため、往復運動の位相の違いによる振動が平均化される。
さらに、請求項5記載の発明に係る内燃機関は、請求項4記載の内燃機関において、第1の主軸と第2の主軸の間に、互いに水平対向状に配設される第3及び第4のシリンダーが、第1及び第2のシリンダーと連結部材を介して連設され、第3及び第4のシリンダーは、それぞれの内部を往復運動する第3及び第4のピストンを備え、連結部材は、第2のピストンによって回動する第3の主軸の先端に固設される第3のガイド歯車と、第3のピストンによって回動する第4の主軸の先端に固設される第4のガイド歯車と、第3のガイド歯車と第4のガイド歯車が噛合する内歯車と、この内歯車と第3及び第4のガイド歯車が収容される連結部と、から構成され、第3のガイド歯車と第4のガイド歯車は、第3の主軸と第4の主軸の内歯車の中心に対するそれぞれの位置を互いに90度ずらせて内歯車へ噛合することを特徴とする。
このような構成の内燃機関においては、請求項4記載の発明の作用に加えて、第3のガイド歯車と第4のガイド歯車は、第3の主軸と第4の主軸の内歯車の中心に対するそれぞれの位置を互いに90度ずらせて内歯車へ噛合することから、内歯車に対する第3の主軸の公転と第4の主軸の公転を互いに90度ずらせることとなる。そのため、例えば、第1の主軸の自転の位相と第3の主軸の自転の位相を、互いに180度ずらせることとなる。また、第2の主軸の自転の位相と第4の主軸の自転の位相を、互いに180度ずらせることとなる。
したがって、例えば、第1のピストン及び第2のピストンが、それぞれ爆発行程、吸気行程であった場合に、第3のピストン及び第4のピストンが圧縮行程、排気行程のように異なるものとなる。そのため、往復運動の位相の違いによる振動がより平均化される。
このような構成の内燃機関においては、請求項4記載の発明の作用に加えて、第3のガイド歯車と第4のガイド歯車は、第3の主軸と第4の主軸の内歯車の中心に対するそれぞれの位置を互いに90度ずらせて内歯車へ噛合することから、内歯車に対する第3の主軸の公転と第4の主軸の公転を互いに90度ずらせることとなる。そのため、例えば、第1の主軸の自転の位相と第3の主軸の自転の位相を、互いに180度ずらせることとなる。また、第2の主軸の自転の位相と第4の主軸の自転の位相を、互いに180度ずらせることとなる。
したがって、例えば、第1のピストン及び第2のピストンが、それぞれ爆発行程、吸気行程であった場合に、第3のピストン及び第4のピストンが圧縮行程、排気行程のように異なるものとなる。そのため、往復運動の位相の違いによる振動がより平均化される。
本発明の請求項1記載の内燃機関によれば、第1のピストンの往復運動は出力軸を挟んだ上下方向において不均等に変位するため、吸気行程よりも爆発行程のストロークを長くすることができる。したがって、ストロークが一定である従来型の内燃機関と比較して、空気及び燃料の吸入量を少なく、かつ爆発力による仕事を大きくすることが可能であるので、熱効率を向上することができる。
また、クランクピンの出力軸に対する偏心運動が、第1のガイド歯車と、第1の遊星歯車と、円筒歯車、出力軸の順で伝達される。このように、本請求項1記載の内燃機関によれば、3種類の歯車の組み合わせという簡易な構成で出力を取り出すことが可能であるので、安価な内燃機関が製造できるとともにメンテナンスが容易である。特に、メンテナンス容易という点については、クランク部材はクランクケースに収容され、第1の案内部は第1の案内部ケースに収容されることから、第1の案内部に収容される第1のガイド歯車等の修理の際に、クランクケースを開放する必要がない点が優れている。
さらに、第1のガイド歯車によって、第1の主軸の出力軸を中心とした公転が保持されることから、クランクピンの偏心運動を安定的に継続することが可能である。
また、クランクピンの出力軸に対する偏心運動が、第1のガイド歯車と、第1の遊星歯車と、円筒歯車、出力軸の順で伝達される。このように、本請求項1記載の内燃機関によれば、3種類の歯車の組み合わせという簡易な構成で出力を取り出すことが可能であるので、安価な内燃機関が製造できるとともにメンテナンスが容易である。特に、メンテナンス容易という点については、クランク部材はクランクケースに収容され、第1の案内部は第1の案内部ケースに収容されることから、第1の案内部に収容される第1のガイド歯車等の修理の際に、クランクケースを開放する必要がない点が優れている。
さらに、第1のガイド歯車によって、第1の主軸の出力軸を中心とした公転が保持されることから、クランクピンの偏心運動を安定的に継続することが可能である。
本発明の請求項2記載の内燃機関によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1乃至第3の歯車を介することで、円筒歯車の自転を第1のガイド歯車へ確実に伝達することができる。したがって、第1のガイド歯車の自転と円筒歯車の自転が同期し、出力軸の回動とクランクピンの偏心運動を精度よく連動させることができる。したがって、第1のピストンの往復運動を持続的に維持できる。
本発明の請求項3記載の内燃機関によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、第2の連通孔に支持される第2のガイド歯車によって、第1の主軸の公転と第2の主軸の公転を完全に同軸的にすることができる。したがって、クランクピンの出力軸を中心とした偏心運動を歪むことなく正確に持続させることができる。
本発明の請求項4記載の内燃機関によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、第1のシリンダーのみを備える場合と比較して、排気量を2倍とすることができる。また、振動等が打ち消し合ったり、往復運動の位相の違いによる振動が平均化されたりすることから、振動や騒音を軽減することができる。
本発明の請求項5記載の内燃機関によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、さらに排気量を増加させ、振動や騒音を軽減させることができる。
本発明の実施の形態に係る実施例1の内燃機関について、図1及び図6を用いて詳細に説明する。図1は、実施例1に係る内燃機関の縦断面図である。
図1に示すように、本実施例の内燃機関1は、シリンダー2と、シリンダー2内を往複運動するピストン2aと、ピストン2aにコンロッド3を介して連結されるクランク部材4と、クランク部材4の一端に取り付けられる案内部9と、を備える。
クランク部材4は、クランクケース10に収容され、コンロッド3の下端に回動可能に連結されるクランクピン5と、クランクピン5の端部5a,5bにそれぞれクランクアーム6a,6bを介して連結される主軸7,8と、から成る。
案内部9は、クランクケース10と連通孔11aを介して連通する案内部ケース12に収容されるガイド歯車14と、ガイド歯車14に隣接して主軸7の端部7aに連結される歯車群15と、歯車群18と、を備える。
図1に示すように、本実施例の内燃機関1は、シリンダー2と、シリンダー2内を往複運動するピストン2aと、ピストン2aにコンロッド3を介して連結されるクランク部材4と、クランク部材4の一端に取り付けられる案内部9と、を備える。
クランク部材4は、クランクケース10に収容され、コンロッド3の下端に回動可能に連結されるクランクピン5と、クランクピン5の端部5a,5bにそれぞれクランクアーム6a,6bを介して連結される主軸7,8と、から成る。
案内部9は、クランクケース10と連通孔11aを介して連通する案内部ケース12に収容されるガイド歯車14と、ガイド歯車14に隣接して主軸7の端部7aに連結される歯車群15と、歯車群18と、を備える。
ガイド歯車14は、連通孔11aによって回動可能に支持される支持部14aと、歯車部14bと、が接合されて一体的に構成される。そして、支持部14aと歯車部14bには、主軸7が貫通するための貫通孔13が穿設される。貫通孔13は、支持部14aの中心から外周縁寄りに形成される。なお、主軸7と貫通孔13は、互いに固定されない。
歯車群15は、主軸7の端部7aに固設される遊星歯車16と、遊星歯車16が転動する円筒歯車17と、を備える。円筒歯車17は、遊星歯車16が噛合する内歯17aが内周面に刻設されるとともに外歯17bが外周面に突出するように刻設される。そして、円筒歯車17は、出力軸19の出力軸中心19aを中心として回動する。この出力軸19は、案内部ケース12によって回動可能に支持される。
歯車群15は、主軸7の端部7aに固設される遊星歯車16と、遊星歯車16が転動する円筒歯車17と、を備える。円筒歯車17は、遊星歯車16が噛合する内歯17aが内周面に刻設されるとともに外歯17bが外周面に突出するように刻設される。そして、円筒歯車17は、出力軸19の出力軸中心19aを中心として回動する。この出力軸19は、案内部ケース12によって回動可能に支持される。
また、ガイド歯車14は、歯車群18を介して円筒歯車17の外歯17bに接続され、出力軸中心19aを中心として回動する。
歯車群18は、円筒歯車17の外歯17bに噛合する歯車20と、歯車20と噛合する歯車21と、歯車21と一定間隔を空けて連動軸23を介して同軸的に設置されるとともにガイド歯車14の歯車部14bに噛合する歯車22と、を備える。これらの歯車20〜22は、案内部ケース12によって回動可能に支持される。
歯車群18は、円筒歯車17の外歯17bに噛合する歯車20と、歯車20と噛合する歯車21と、歯車21と一定間隔を空けて連動軸23を介して同軸的に設置されるとともにガイド歯車14の歯車部14bに噛合する歯車22と、を備える。これらの歯車20〜22は、案内部ケース12によって回動可能に支持される。
さらに、クランク部材4の主軸8の端部8aには、案内部24が取り付けられる。案内部24は、クランクケース10と連通孔11bを介して連通する案内部ケース25に収容されるガイド歯車26と、このガイド歯車26に噛合するとともに歯車21と連動軸23を介して連動する連動歯車27と、を備える。
ガイド歯車26は、連通孔11bによって回動可能に支持される支持部26aと、歯車部26bと、が接合されて一体的に構成される。また、ガイド歯車26には、主軸8が挿入されるための挿入孔29が穿設され、挿入孔29は、支持部26aの中心から外周縁寄りに設置される。なお、ガイド歯車26は、出力軸中心19aを中心として回動する。
ガイド歯車26は、連通孔11bによって回動可能に支持される支持部26aと、歯車部26bと、が接合されて一体的に構成される。また、ガイド歯車26には、主軸8が挿入されるための挿入孔29が穿設され、挿入孔29は、支持部26aの中心から外周縁寄りに設置される。なお、ガイド歯車26は、出力軸中心19aを中心として回動する。
さらに、案内部9について、図2を用いながら詳細に説明する。図2(a)乃至図2(c)は、それぞれ実施例1に係る内燃機関を構成する案内部9の部分拡大図である。なお、図1で示した構成要素については、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2(a)は、ガイド歯車14と遊星歯車16の配置を示す斜視図である。図2(a)に示すように、ガイド歯車14を構成する支持部14aと歯車部14bはいずれも円盤状をなし、このうち支持部14aは歯車ではない。なお、主軸7の中心と、ガイド歯車14の回動の中心である出力軸中心19aとは、距離αで離隔している。
図2(a)は、ガイド歯車14と遊星歯車16の配置を示す斜視図である。図2(a)に示すように、ガイド歯車14を構成する支持部14aと歯車部14bはいずれも円盤状をなし、このうち支持部14aは歯車ではない。なお、主軸7の中心と、ガイド歯車14の回動の中心である出力軸中心19aとは、距離αで離隔している。
次に、図2(b)は、遊星歯車16と円筒歯車17の配置を示す斜視図である。図2(b)に示すように、主軸7の端部7aに固設される遊星歯車16は、円筒歯車17の内歯17aに噛み合いながら、主軸7を中心として自転(r方向)すると同時に、出力軸中心19aを中心として公転(R方向)する構成である。
さらに、図2(c)は、円筒歯車17と歯車20と歯車21の配置を示す側面図である。図2(c)に示すように、外歯17bには支持軸20aに支持される歯車20が噛合し、歯車20には歯車21が噛合する。そのため、歯車部14bの自転の方向は、歯車21の自転の方向と逆である。なお、支持軸20aは、案内部ケース12によって支持される。
次に、実施例1に係る内燃機関1の作用について説明する。
まず、クランク部材4の軌跡について、図3を用いながら詳細に説明する。図3(a)及び図3(b)は、それぞれ実施例1に係る内燃機関を構成するクランク部材の軌跡を説明する模式図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)に示すように、ピストン2aは、吸気下死点P1から圧縮・排気上死点P2及び爆発下死点P3を経た後、再び圧縮・排気上死点P2を経て吸気下死点P1に戻る。この間において、クランク部材4を構成するクランクピン5は、出力軸中心19aの周囲を2回転する(実線L1)。また、主軸7は、出力軸中心19aを中心として1回公転する(破線L2)。これに対し、従来型エンジンでは、出力が出力軸19より取り出されるものを想定すると、そのクランクピンは出力軸中心19aを中心として1回公転する(点線L3)。
また、クランクピン5は、ピストン2aが吸気下死点P1にあるときはQ1に位置し、ピストン2aが圧縮・排気上死点P2にあるときはQ2,Q3に位置する。さらに、ピストン2aが爆発下死点P3にあるときは、Q4に位置する。
そのため、クランクピン5が、従来型エンジンのクランクピンが変位する距離βの範囲内にある場合では、ピストン2aの長軸に対するコンロッド3の傾斜角度が小さい。
まず、クランク部材4の軌跡について、図3を用いながら詳細に説明する。図3(a)及び図3(b)は、それぞれ実施例1に係る内燃機関を構成するクランク部材の軌跡を説明する模式図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)に示すように、ピストン2aは、吸気下死点P1から圧縮・排気上死点P2及び爆発下死点P3を経た後、再び圧縮・排気上死点P2を経て吸気下死点P1に戻る。この間において、クランク部材4を構成するクランクピン5は、出力軸中心19aの周囲を2回転する(実線L1)。また、主軸7は、出力軸中心19aを中心として1回公転する(破線L2)。これに対し、従来型エンジンでは、出力が出力軸19より取り出されるものを想定すると、そのクランクピンは出力軸中心19aを中心として1回公転する(点線L3)。
また、クランクピン5は、ピストン2aが吸気下死点P1にあるときはQ1に位置し、ピストン2aが圧縮・排気上死点P2にあるときはQ2,Q3に位置する。さらに、ピストン2aが爆発下死点P3にあるときは、Q4に位置する。
そのため、クランクピン5が、従来型エンジンのクランクピンが変位する距離βの範囲内にある場合では、ピストン2aの長軸に対するコンロッド3の傾斜角度が小さい。
図3(b)に示すように、ピストン2aが、吸気下死点P1〜吸気下死点P1に戻るまでの間、すなわち、吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程と変化するに従って、主軸7の位置は出力軸中心19aに対し90度ずつずれる。
さらに、ピストン2aとクランク部材4の位置関係について、図4を用いながら詳細に説明する。図4(a)乃至図4(d)は、それぞれ実施例1に係る内燃機関を構成するピストンとクランク部材の作用を説明する模式図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4(a)に示すように、吸気行程において、クランクピン5は出力軸中心19aよりも下方に位置し、主軸7,8はそれぞれクランクアーム6a,6bの長さ分クランクピン5の上方、かつ出力軸中心19aから距離α(図2(a)参照)上方に位置する。このときピストン2aは吸気下死点P1(図3(a)参照)にある。
次に、図4(b)に示すように、圧縮行程において、クランクピン5はクランクアーム6a,6bの長さ分主軸7,8の上方に位置し、主軸7,8は出力軸中心19aと同じ高さに位置する。このときピストン2aは圧縮・排気上死点P2(図3(a)参照)にある。
さらに、図4(c)に示すように、爆発行程において、主軸7,8は、出力軸中心19aから距離α下方に位置し、クランクピン5はクランクアーム6a,6bの長さ分主軸7,8の下方に位置する。このときピストン2aは爆発下死点P3(図3(a)参照)にある。
そして、図4(d)に示すように、排気行程において、クランクピン5及び主軸7,8の位置は、図4(b)の圧縮行程と同様である。
図4(a)に示すように、吸気行程において、クランクピン5は出力軸中心19aよりも下方に位置し、主軸7,8はそれぞれクランクアーム6a,6bの長さ分クランクピン5の上方、かつ出力軸中心19aから距離α(図2(a)参照)上方に位置する。このときピストン2aは吸気下死点P1(図3(a)参照)にある。
次に、図4(b)に示すように、圧縮行程において、クランクピン5はクランクアーム6a,6bの長さ分主軸7,8の上方に位置し、主軸7,8は出力軸中心19aと同じ高さに位置する。このときピストン2aは圧縮・排気上死点P2(図3(a)参照)にある。
さらに、図4(c)に示すように、爆発行程において、主軸7,8は、出力軸中心19aから距離α下方に位置し、クランクピン5はクランクアーム6a,6bの長さ分主軸7,8の下方に位置する。このときピストン2aは爆発下死点P3(図3(a)参照)にある。
そして、図4(d)に示すように、排気行程において、クランクピン5及び主軸7,8の位置は、図4(b)の圧縮行程と同様である。
次に、従来型エンジン及び本実施例に係る内燃機関1を構成する各ピストン及びクランク部材について、図5を用いながら詳細に説明する。図5(a)及び図5(b)はそれぞれ従来技術に係る内燃機関を構成するピストンとクランク部材の作用を説明する模式図であり、図5(c)及び図5(d)はそれぞれ実施例1に係る内燃機関を構成するピストンとクランク部材の作用を説明する模式図である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については、図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、従来型エンジンのピストン100が上死点P4から下死点P5まで往復する場合のストロークS1は一定である。このとき、ピストン100とコンロッド101を介して連結されたクランク部材102を構成するクランクピン103は、クランクジャーナル104(図中位置H)を中心として回動する。
これに対し、図5(c)及び5(d)に示すように、内燃機関1のピストン2aの爆発下死点P3は、下死点P5よりも下方に位置する。なお、このとき主軸7,8は最も下方に位置する(図中位置H2)。
また、図5(d)に示すように、ピストン2aの圧縮・排気上死点P2は、上死点P4と同じ位置であるが、吸気下死点P1は下死点P5よりも上方に位置する。したがって、吸気行程におけるピストン2aのストロークS2と、爆発行程におけるピストン2aのストロークS3と、ストロークS1の長さの関係は、S3>S1>S2となる。なお、このとき主軸7,8は最も上方に位置する(図中位置H1)。
図5(a)及び図5(b)に示すように、従来型エンジンのピストン100が上死点P4から下死点P5まで往復する場合のストロークS1は一定である。このとき、ピストン100とコンロッド101を介して連結されたクランク部材102を構成するクランクピン103は、クランクジャーナル104(図中位置H)を中心として回動する。
これに対し、図5(c)及び5(d)に示すように、内燃機関1のピストン2aの爆発下死点P3は、下死点P5よりも下方に位置する。なお、このとき主軸7,8は最も下方に位置する(図中位置H2)。
また、図5(d)に示すように、ピストン2aの圧縮・排気上死点P2は、上死点P4と同じ位置であるが、吸気下死点P1は下死点P5よりも上方に位置する。したがって、吸気行程におけるピストン2aのストロークS2と、爆発行程におけるピストン2aのストロークS3と、ストロークS1の長さの関係は、S3>S1>S2となる。なお、このとき主軸7,8は最も上方に位置する(図中位置H1)。
続いて、遊星歯車16と円筒歯車17の作用について、図6を用いて詳細に説明する。図6(a)は実施例1に係る第1の案内部を構成する第1の遊星歯車と円筒歯車の作用を説明するための模式図であり、図6(b)は実施例1に係る内燃機関の減速率を示すグラフである。なお、図1乃至図5で示した構成要素については、図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、遊星歯車16が円筒歯車17と噛み合って実際に主軸7を中心として自転(r方向,図2参照)したとき及びその結果、遊星歯車16が出力軸中心19aを中心として公転(R方向,図2参照)したときの角度をそれぞれa及びcとし、円筒歯車17が自転(図中V方向)したときの角度をeとすると、遊星歯車16の見掛け上の自転(図中u方向)及び公転(図中U方向)の角度b及びdは以下の(1)式と(2)式で表わされる。なお、反時計周りの角度を正とする(すなわち、a>0、b>0、c<0、d<0、e>0)。
図6(a)に示すように、遊星歯車16が円筒歯車17と噛み合って実際に主軸7を中心として自転(r方向,図2参照)したとき及びその結果、遊星歯車16が出力軸中心19aを中心として公転(R方向,図2参照)したときの角度をそれぞれa及びcとし、円筒歯車17が自転(図中V方向)したときの角度をeとすると、遊星歯車16の見掛け上の自転(図中u方向)及び公転(図中U方向)の角度b及びdは以下の(1)式と(2)式で表わされる。なお、反時計周りの角度を正とする(すなわち、a>0、b>0、c<0、d<0、e>0)。
また、遊星歯車16及び円筒歯車17の内歯17aの歯数をそれぞれGC及びGDとし、x=GC/GDとおくと、次の式が成り立つ。
いま、ガイド歯車14の歯車部14b及び円筒歯車17の外歯17bの歯数をそれぞれGB及びGEとし、y=GE/GBとおくと、ガイド歯車14の回動角度は遊星歯車16の見掛け上の公転の角度dと等しく、外歯17bの回転角度は円筒歯車17が自転したときの角度eと等しいことから、次の式が成り立つ。
さらに、アトキンソンサイクルが成立する条件から、遊星歯車16の見掛け上の自転及び公転の角度b及びdの間には、次の関係が成り立つ。
式(1)〜(5)からa〜eを消去すると、以下の(6)式が成り立つ。
ただし、x>0及びy>0より、x>1/3である。なお、e/bは以下の(7)式で表わされ、e/dは(8)式で表わされる。
図6(b)に示すように、例えばx=2/3のとき、(7)式で示される内燃機関1の減速率は、1/2となる。したがって、円筒歯車17の自転の速度は、遊星歯車16の見掛け上の自転の速度の1/2となる。
また、x=2/3のとき、(8)式で示される内燃機関1の減速率の絶対値は、1となる。遊星歯車16の見掛け上の公転の角度dはガイド歯車14の回動の角度と等しいことから、円筒歯車17の自転の速度とガイド歯車14の回動の速度は、その大きさが等しいため、それぞれの自転及び回動が同期することが分かる。
また、x=2/3のとき、(8)式で示される内燃機関1の減速率の絶対値は、1となる。遊星歯車16の見掛け上の公転の角度dはガイド歯車14の回動の角度と等しいことから、円筒歯車17の自転の速度とガイド歯車14の回動の速度は、その大きさが等しいため、それぞれの自転及び回動が同期することが分かる。
さらに、実施例1に係る内燃機関1の効果について、詳細に説明する。
以上説明したように、実施例1に係る内燃機関1によれば、吸気行程におけるピストン2aのストロークS2と、爆発行程におけるピストン2aのストロークS3と、ストロークS1の長さは、S3>S1>S2となることから、従来型エンジンと比較して熱効率を向上させることができる。
さらに、内燃機関1は、シリンダー2と、クランク部材4等の他、案内部9をから構成され、案内部9は、ガイド歯車14と、歯車群15と、歯車群18と、から構成されることから、既存の部材を組み合わせることによって安価に製造することができる。また、案内部9,24は、それぞれクランクケース10と連通する案内部ケース12,25に収容されるため、案内部9,24をメンテナンスする際に、クランクケース10を開放することなくこれを容易に行うことができる。
以上説明したように、実施例1に係る内燃機関1によれば、吸気行程におけるピストン2aのストロークS2と、爆発行程におけるピストン2aのストロークS3と、ストロークS1の長さは、S3>S1>S2となることから、従来型エンジンと比較して熱効率を向上させることができる。
さらに、内燃機関1は、シリンダー2と、クランク部材4等の他、案内部9をから構成され、案内部9は、ガイド歯車14と、歯車群15と、歯車群18と、から構成されることから、既存の部材を組み合わせることによって安価に製造することができる。また、案内部9,24は、それぞれクランクケース10と連通する案内部ケース12,25に収容されるため、案内部9,24をメンテナンスする際に、クランクケース10を開放することなくこれを容易に行うことができる。
また、クランクピン5の出力軸中心19aに対する偏心運動は、ガイド歯車14と、遊星歯車16と、円筒歯車17、出力軸19の順で伝達される。このうち、遊星歯車16と円筒歯車17においては、減速率は前述の(7)式で記述されるため、遊星歯車16及び円筒歯車17の内歯17aの歯数をそれぞれ調整することによって、容易に減速率及び出力軸19の回転数(=円筒歯車17の自転の回数)を決定することができる。
さらに、x=2/3のとき、円筒歯車17の自転とガイド歯車14の回動が同期するため、この場合では出力軸19の回動とクランクピン5の偏心運動を精度良く連動させることができる。また、上記の精度が良好な連動を可能とする他の理由として、歯車20〜22を介することで、円筒歯車17の自転をガイド歯車14へ確実に伝達することができることも起因している。
さらに、x=2/3のとき、円筒歯車17の自転とガイド歯車14の回動が同期するため、この場合では出力軸19の回動とクランクピン5の偏心運動を精度良く連動させることができる。また、上記の精度が良好な連動を可能とする他の理由として、歯車20〜22を介することで、円筒歯車17の自転をガイド歯車14へ確実に伝達することができることも起因している。
加えて、連通孔11bに支持されるガイド歯車26によって、主軸7の公転と主軸8の公転を完全に同軸的にすることができる。したがって、クランクピン5の偏心運動を正確に持続させることが可能であり、ピストン2aのシリンダー2内における往復運動を持続的に維持できる。
また、クランクピン5が、従来型エンジンのクランクピンが変位する距離βの範囲内にある場合では、ピストン2aの長軸に対するコンロッド3の傾斜角度が小さいことから、ピストン2aとシリンダー2の内壁面との摩擦を従来型エンジンの場合よりも軽減することができる。したがって、この摩擦によるエネルギー損失を軽減可能であり、燃費を向上させることができる。
また、クランクピン5が、従来型エンジンのクランクピンが変位する距離βの範囲内にある場合では、ピストン2aの長軸に対するコンロッド3の傾斜角度が小さいことから、ピストン2aとシリンダー2の内壁面との摩擦を従来型エンジンの場合よりも軽減することができる。したがって、この摩擦によるエネルギー損失を軽減可能であり、燃費を向上させることができる。
なお、本発明の内燃機関1の構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、歯車20と歯車21は、一体的に構成されても良い。
本発明の実施の形態に係る実施例2の内燃機関について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、実施例2に係る内燃機関の構成を示す模式図である。なお、図1乃至図6で示した構成要素については、図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、実施例2に係る内燃機関30は、実施例1の内燃機関1における主軸7と主軸8の間に、シリンダー31がシリンダー2に対し水平対向状に配設されている。シリンダー31には、その内部を往復運動するピストン31aが設けられる。ピストン31aには、コンロッド32を介し、クランク部材33が連結される。
クランク部材33は、コンロッド32の下端に回動可能に連結されるクランクピン34と、クランクピン34の端部34a,34bにそれぞれ連結されるクランクアーム35a,35bと、から成る。クランクアーム35aは、クランクアーム6bと連結されて一体的に構成される。クランクアーム35bは、主軸8と連結される。したがって、クランク部材4とクランク部材33は、同一平面上に配置される。
そして、実施例1の内燃機関1と同様に、案内部9のガイド歯車14と案内部24のガイド歯車26は、歯車22、連動軸23及び連動歯車27を介し、互いに同期して出力軸中心19aを中心とした回動が可能となるよう連結されている。
この他の構成は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
図7に示すように、実施例2に係る内燃機関30は、実施例1の内燃機関1における主軸7と主軸8の間に、シリンダー31がシリンダー2に対し水平対向状に配設されている。シリンダー31には、その内部を往復運動するピストン31aが設けられる。ピストン31aには、コンロッド32を介し、クランク部材33が連結される。
クランク部材33は、コンロッド32の下端に回動可能に連結されるクランクピン34と、クランクピン34の端部34a,34bにそれぞれ連結されるクランクアーム35a,35bと、から成る。クランクアーム35aは、クランクアーム6bと連結されて一体的に構成される。クランクアーム35bは、主軸8と連結される。したがって、クランク部材4とクランク部材33は、同一平面上に配置される。
そして、実施例1の内燃機関1と同様に、案内部9のガイド歯車14と案内部24のガイド歯車26は、歯車22、連動軸23及び連動歯車27を介し、互いに同期して出力軸中心19aを中心とした回動が可能となるよう連結されている。
この他の構成は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
実施例2に係る内燃機関30においては、シリンダー31がシリンダー2に対し水平対向状に配設されるため、ピストン2a,31aの往復運動による振動等が打ち消し合う。
また、クランク部材33とクランク部材4が同一平面上に配置されるため、ピストン2aが図4(c)に示される爆発行程となる場合に、ピストン31aが図4(a)に示される吸気行程となる。また、ピストン2aが図4(d)に示される排気行程となる場合に、ピストン31aが図4(b)に示される圧縮行程となる。したがって、ピストン2a,31aの往復運動の位相の違いによる振動が平均化される。この他の作用は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
また、クランク部材33とクランク部材4が同一平面上に配置されるため、ピストン2aが図4(c)に示される爆発行程となる場合に、ピストン31aが図4(a)に示される吸気行程となる。また、ピストン2aが図4(d)に示される排気行程となる場合に、ピストン31aが図4(b)に示される圧縮行程となる。したがって、ピストン2a,31aの往復運動の位相の違いによる振動が平均化される。この他の作用は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
実施例2に係る内燃機関30によれば、実施例1に係る内燃機関1よりも排気量を増加させることが可能であり、トルクや馬力を増加させる傾向にある。さらに、振動の減少や平均化によって、振動及び騒音を軽減することができる。この他の効果は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
なお、本実施例に係る内燃機関30の構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、クランクアーム6bとクランクアーム35aは、主軸7,8と同軸的に設置される軸体を介して連結されても良い。
本発明の実施の形態に係る実施例3の内燃機関について、図8を用いて詳細に説明する。図8(a)は実施例3に係る内燃機関の構成を示す模式図であり、図8(b)は実施例3に係る内燃機関を構成する連結部材の縦断面図であり、図8(c)は図8(b)におけるA線矢視図である。なお、図1乃至図7で示した構成要素については、図8においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)に示すように、実施例3に係る内燃機関36は、実施例1の内燃機関1における主軸7と主軸8の間に、互いに水平対向状に配設されるシリンダー37とシリンダー38が、シリンダー2,31と連結部材45を介して連設される。シリンダー31,37と連結部材45は、それぞれ主軸46,47を介して連結される。
シリンダー37,38には、それぞれの内部を往復運動するピストン37a,38aが設けられる。ピストン37a,38aには、それぞれコンロッド39,40を介し、クランクピン41,42を備えるクランク部材43,44が連結される。クランク部材43,44は、実施例2に係る内燃機関30のクランク部材4,33と同様に、同一平面上に配置される。
そして、実施例1の内燃機関1と同様に、案内部9のガイド歯車14と案内部24のガイド歯車26は、歯車22(図1参照)と、連動軸23及び連動歯車27(図1参照)を介し、互いに同期して出力軸中心19aを中心とした回動が可能となるよう連結されている。加えて、連結部材45は、連動軸23の途中に設けられる連動歯車(図示せず)によって、ガイド歯車14と接続されている。なお、この連動歯車は連動歯車27と同一の構造である。
図8(a)に示すように、実施例3に係る内燃機関36は、実施例1の内燃機関1における主軸7と主軸8の間に、互いに水平対向状に配設されるシリンダー37とシリンダー38が、シリンダー2,31と連結部材45を介して連設される。シリンダー31,37と連結部材45は、それぞれ主軸46,47を介して連結される。
シリンダー37,38には、それぞれの内部を往復運動するピストン37a,38aが設けられる。ピストン37a,38aには、それぞれコンロッド39,40を介し、クランクピン41,42を備えるクランク部材43,44が連結される。クランク部材43,44は、実施例2に係る内燃機関30のクランク部材4,33と同様に、同一平面上に配置される。
そして、実施例1の内燃機関1と同様に、案内部9のガイド歯車14と案内部24のガイド歯車26は、歯車22(図1参照)と、連動軸23及び連動歯車27(図1参照)を介し、互いに同期して出力軸中心19aを中心とした回動が可能となるよう連結されている。加えて、連結部材45は、連動軸23の途中に設けられる連動歯車(図示せず)によって、ガイド歯車14と接続されている。なお、この連動歯車は連動歯車27と同一の構造である。
図8(b)に示すように、連結部材45は、シリンダー31のピストン31aによって回動する主軸46の先端に固設されるガイド歯車48bと、シリンダー37のピストン37aによって回動する主軸47の先端に固設されるガイド歯車49bと、ガイド歯車48bとガイド歯車49bが噛合する内歯車50と、内歯車50を支持するベアリング51が、連結部52に収容されて構成される。
支持部48aはクランクケース10と連通する連通孔53aによって回動可能に支持され、ガイド歯車48bは支持部48aと分離して主軸46の先端に固設される。支持部49aはクランクケース10と連通する連通孔53bによって回動可能に支持され、ガイド歯車49bは支持部49aと分離して主軸47の先端に固設される。
また、主軸46が挿入される挿入孔54は、支持部48aの中心から外周縁寄りに形成される。なお、主軸46と挿入孔54は、互いに固定されない。同様に、主軸47が挿入される挿入孔55は、支持部49aの中心から外周縁寄りに形成される。主軸47と挿入孔55も、互いに固定されない。さらに、ガイド歯車48b,49bと、内歯車50と、ベアリング51と、連結部52は、それぞれ互いに接合されていない。
連結部52は、支持部48a,49aの先端部とそれぞれ一体的に設けられるフランジ52a,52bが、留め部材52cによって接合された構造であり、主軸46,47の出力軸中心19aを中心とする公転の周期がより良好に同期することを可能としている。これは、ガイド歯車48b,49bが、連結部52に制御されてより良好に同期して回動することによる。
また、支持部48aと接合された歯車56が備えられ、歯車56には、連動軸23が貫通することで歯車21(図1参照)の回動を伝達可能な連動歯車(図示せず)が噛合する。
また、主軸46が挿入される挿入孔54は、支持部48aの中心から外周縁寄りに形成される。なお、主軸46と挿入孔54は、互いに固定されない。同様に、主軸47が挿入される挿入孔55は、支持部49aの中心から外周縁寄りに形成される。主軸47と挿入孔55も、互いに固定されない。さらに、ガイド歯車48b,49bと、内歯車50と、ベアリング51と、連結部52は、それぞれ互いに接合されていない。
連結部52は、支持部48a,49aの先端部とそれぞれ一体的に設けられるフランジ52a,52bが、留め部材52cによって接合された構造であり、主軸46,47の出力軸中心19aを中心とする公転の周期がより良好に同期することを可能としている。これは、ガイド歯車48b,49bが、連結部52に制御されてより良好に同期して回動することによる。
また、支持部48aと接合された歯車56が備えられ、歯車56には、連動軸23が貫通することで歯車21(図1参照)の回動を伝達可能な連動歯車(図示せず)が噛合する。
図8(c)に示すように、ガイド歯車48b及びガイド歯車49bは、内歯車50の中心、すなわち出力軸中心19aに対する主軸46と主軸47の位置を互いに90度ずらせて内歯車50へ噛合する構成となっている。なお、フランジ52bの図示は、省略されている。
内燃機関30に係るこの他の構成は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
内燃機関30に係るこの他の構成は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
実施例3に係る内燃機関36においては、クランク部材43,44は、同一平面上に配置されるため、実施例2に係る内燃機関30のクランク部材4,33と同様に、ピストン2a,31aはそれぞれ吸気行程及び爆発行程、又は圧縮行程及び排気行程となる。
さらに、内燃機関36においては、主軸46,47の位置を互いに90度ずらせて内歯車50へ噛合することから、主軸46,47の公転の位相が互いに90度ずらされたものとなる。よって、クランクピン34,42の位相が互いに180度ずらされたものとなる。したがって、図4から分かるように、例えばピストン2a,31aがそれぞれ爆発行程及び吸気行程であった場合に、ピストン37a,38aは、圧縮行程及び排気行程となる。また、ピストン2a,31aがそれぞれ圧縮行程及び排気行程であった場合に、ピストン37a,38aは、吸気行程及び爆発行程となる。
さらに、内燃機関36においては、主軸46,47の位置を互いに90度ずらせて内歯車50へ噛合することから、主軸46,47の公転の位相が互いに90度ずらされたものとなる。よって、クランクピン34,42の位相が互いに180度ずらされたものとなる。したがって、図4から分かるように、例えばピストン2a,31aがそれぞれ爆発行程及び吸気行程であった場合に、ピストン37a,38aは、圧縮行程及び排気行程となる。また、ピストン2a,31aがそれぞれ圧縮行程及び排気行程であった場合に、ピストン37a,38aは、吸気行程及び爆発行程となる。
また、支持部48aに歯車56が接合され、歯車56が歯車21(図1参照)の回動を伝達可能なことから、ガイド歯車48bは、クランク部材4,33を介してガイド歯車14と連結されることに加え、歯車21によってもその回動が制御される。また、歯車21は、ガイド歯車14を制御しているので、ガイド歯車48bはガイド歯車14と精度良く同期することとなる。そして、ガイド歯車48b,49bは、連結部52によって良好に同期することに加え、ガイド歯車49bとガイド歯車26は、クランク部材43,44を介して互いに連結され、ガイド歯車26は連動軸23と連動歯車27を介してガイド歯車14と同期する。したがって、ガイド歯車14,48b,49b,26は、精度よく同期して出力軸中心19aを中心として回動することが可能である。
このように、内燃機関36においては、ピストン2a〜38aの往復運動の位相の違いによる振動が、実施例2に係る内燃機関30よりもさらに平均化される。この他の作用は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
このように、内燃機関36においては、ピストン2a〜38aの往復運動の位相の違いによる振動が、実施例2に係る内燃機関30よりもさらに平均化される。この他の作用は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
以上説明したように、実施例3に係る内燃機関36によれば、実施例2に係る内燃機関30よりもさらに排気量を増加させ、振動や騒音を軽減させることができる。加えて、ガイド歯車14,48b,49b,26は精度良く同期することから、内燃機関36の稼働を安定的とすることができる。この他の効果は、実施例1に係る内燃機関1と同様である。
なお、本実施例に係る内燃機関36の構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、連結部52の内部に収容されるベアリング51は、備えられなくても良いし、エンジンオイル等に置換されても良い。また、支持部48aに歯車56が設けられなくても良い。この他、歯車群15と同様な歯車群が主軸8に連結されるとともにガイド歯車26に隣接して設置され、この歯車群を介して出力が取り出される構成であっても良い。
本発明は、自動車等に搭載されるピストン―クランク機構を内蔵する内燃機関として利用可能である。
1…内燃機関 2…シリンダー 2a…ピストン 3…コンロッド 4…クランク部材 5…クランクピン 5a,5b…端部 6a,6b…クランクアーム 7,8…主軸 7a,8a…端部 9…案内部 10…クランクケース 11a,11b…連通孔 12…案内部ケース 13…貫通孔 14…ガイド歯車 14a…支持部 14b…歯車部 15…歯車群 16…遊星歯車 17…円筒歯車 17a…内歯 17b…外歯 18…歯車群 19…出力軸 19a…出力軸中心 20〜22…歯車 20a…支持軸 23…連動軸 24…案内部 25…案内部ケース 26…ガイド歯車 26a…支持部 26b…歯車部 27…連動歯車 29…挿入孔 30…内燃機関 31…シリンダー 31a…ピストン 32…コンロッド 33…クランク部材 34…クランクピン 34a,34b…端部 35a,35b…クランクアーム 36…内燃機関 37,38…シリンダー 37a,38a…ピストン 39,40…コンロッド 41,42…クランクピン 43,44…クランク部材 45…連結部材 46,47…主軸 48a,49a…支持部 48b,49b…ガイド歯車 50…内歯車 51…ベアリング 52…連結部 52a,52b…フランジ 52c…留め部材 53a,53b…連通孔 54,55…挿入孔 56…歯車 100…ピストン 101…コンロッド 102…クランク部材 103…クランクピン 104…クランクジャーナル P1…吸気下死点 P2…圧縮・排気上死点 P3…爆発下死点 P4…上死点 P5…下死点
Claims (5)
- 第1のシリンダーと、この第1のシリンダー内を往複運動する第1のピストンと、この第1のピストンにコンロッドを介して連結されるクランク部材と、このクランク部材の一端に取り付けられる第1の案内部と、を備え、
前記クランク部材は、クランクケースに収容され、前記コンロッドの下端に回動可能に連結されるクランクピンと、このクランクピンの両側にそれぞれの一端がクランクアームを介して連結される第1及び第2の主軸と、から成り、
前記第1の案内部は、前記クランクケースと第1の連通孔を介して連通する第1の案内部ケースに収容され、前記第1の連通孔によって回動可能に支持されるとともに前記第1の主軸が貫通する第1の貫通孔が設けられる第1のガイド歯車と、この第1のガイド歯車に隣接して前記第1の主軸の他端に連結される第1の歯車群と、第2の歯車群と、を備え、
前記第1の貫通孔は、前記第1のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置され、
前記第1の歯車群は、前記第1の主軸の前記他端に固設される第1の遊星歯車と、前記第1の案内部ケースによって回動可能に支持される出力軸を中心として回動するとともに、前記第1の遊星歯車が噛合する内歯が内周面に刻設されるとともに外歯が外周面に突出するように刻設される円筒歯車と、を備え、
前記第1のガイド歯車は、前記第2の歯車群を介して前記円筒歯車の前記外歯に接続され、前記出力軸を中心として回動することを特徴とする内燃機関。 - 前記第2の歯車群は、前記円筒歯車の前記外歯に噛合する第1の歯車と、この第1の歯車と噛合する第2の歯車と、この第2の歯車と一定間隔を空けて連動軸を介して同軸的に設置されるとともに前記第1のガイド歯車に噛合する第3の歯車と、を備え、
前記第1乃至第3の歯車は、前記第1の案内部ケースによって回動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。 - 前記クランク部材の他端に取り付けられる第2の案内部を備え、
この第2の案内部は、前記クランクケースと第2の連通孔を介して連通する第2の案内部ケースに収容され、前記第2の連通孔によって回動可能に支持されるとともに前記第2の主軸が挿入される挿入孔が設けられる第2のガイド歯車と、この第2のガイド歯車に噛合するとともに前記第2の歯車と前記連動軸を介して連動する連動歯車と、を備え、
前記挿入孔は、前記第2のガイド歯車の中心から外周縁寄りに設置され、
前記第2のガイド歯車は、前記出力軸を中心として回動することを特徴とする請求項2記載の内燃機関。 - 前記第1の主軸と前記第2の主軸の間に、第2のシリンダーが前記第1のシリンダーに対し水平対向状に配設され、
前記第2のシリンダーは、その内部を往復運動する第2のピストンを備えることを特徴とする請求項3記載の内燃機関。 - 前記第1の主軸と前記第2の主軸の間に、互いに水平対向状に配設される第3及び第4のシリンダーが、前記第1及び第2のシリンダーと連結部材を介して連設され、
前記第3及び第4のシリンダーは、それぞれの内部を往復運動する第3及び第4のピストンを備え、
前記連結部材は、前記第2のピストンによって回動する第3の主軸の先端に固設される第3のガイド歯車と、前記第3のピストンによって回動する第4の主軸の先端に固設される第4のガイド歯車と、前記第3のガイド歯車と前記第4のガイド歯車が噛合する内歯車と、この内歯車と前記第3及び第4のガイド歯車が収容される連結部と、から構成され、
前記第3のガイド歯車と前記第4のガイド歯車は、前記第3の主軸と前記第4の主軸の前記内歯車の中心に対するそれぞれの位置を互いに90度ずらせて前記内歯車へ噛合することを特徴とする請求項4記載の内燃機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014035960A JP5552198B1 (ja) | 2014-02-26 | 2014-02-26 | 内燃機関 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014035960A JP5552198B1 (ja) | 2014-02-26 | 2014-02-26 | 内燃機関 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5552198B1 true JP5552198B1 (ja) | 2014-07-16 |
JP2015161207A JP2015161207A (ja) | 2015-09-07 |
Family
ID=51416816
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014035960A Expired - Fee Related JP5552198B1 (ja) | 2014-02-26 | 2014-02-26 | 内燃機関 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5552198B1 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4943521B1 (ja) * | 1968-01-30 | 1974-11-21 | ||
JPS50133315A (ja) * | 1974-04-09 | 1975-10-22 |
-
2014
- 2014-02-26 JP JP2014035960A patent/JP5552198B1/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4943521B1 (ja) * | 1968-01-30 | 1974-11-21 | ||
JPS50133315A (ja) * | 1974-04-09 | 1975-10-22 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015161207A (ja) | 2015-09-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2257700B1 (en) | A reciprocating piston mechanism and a method of increasing internal egr in an internal combustion engine | |
JPWO2008010490A1 (ja) | サイクロイド往復動機関並びにこのクランク機構を用いたポンプ装置 | |
EP2930329B1 (en) | An internal combustion engine including variable compression ratio | |
JP5266228B2 (ja) | 改良された対向ピストン燃焼エンジン | |
JP2009036030A (ja) | 高膨張比エンジンのクランクシャフト構造 | |
US20100031916A1 (en) | Hypocycloid Engine | |
US10316744B2 (en) | Hypocycloidal methods and designs for increasing efficiency in engines | |
JP4961397B2 (ja) | エンジンのクランクシャフト構造 | |
CN112639266B (zh) | 用于改变压缩比的设备、往复活塞式内燃机和工作设备 | |
WO1998004821A1 (fr) | Mecanisme de deplacement rotatif et moteur | |
KR101018243B1 (ko) | 운동 에너지 발생 장치 | |
JP5552198B1 (ja) | 内燃機関 | |
WO2016140323A1 (ja) | Xy分離クランク機構を備えた駆動装置 | |
EA003724B1 (ru) | Преобразование прямолинейного возвратно-поступательного движения во вращательное движение | |
JP2000073701A (ja) | 直線往復2移動体の直結型クランク装置 | |
GB2516411A (en) | Opposed stepped piston engine with eccentric rod drives and power take-offs | |
KR102525254B1 (ko) | 내연기관 | |
JP4845989B2 (ja) | エンジン | |
JP2009121540A (ja) | クランク装置 | |
WO2011044743A1 (zh) | 往复运动和旋转运动相互转换的机构、其部件以及由其得到的设备 | |
EP3540270A1 (en) | A gear train and an internal combustion engine | |
JP3172366B2 (ja) | カム式エンジン | |
KR20080010950A (ko) | 운동을 변환하는 기구 및 이를 포함하는 내연 기관 | |
JP2008025493A (ja) | 内燃機関 | |
JP2016520750A (ja) | 小型非振動吸熱エンジン |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140516 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140523 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5552198 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |